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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/32 20060101AFI20220621BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220621BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20220621BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H01L23/32 D
H01L23/12 N
H05K1/14 G
H05K3/36 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018538440
(86)(22)【出願日】2017-09-06
(86)【国際出願番号】 JP2017032105
(87)【国際公開番号】W WO2018047861
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2016175459
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】芥川 泰人
(72)【発明者】
【氏名】古屋 明彦
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-289165(JP,A)
【文献】特開2000-353765(JP,A)
【文献】特開2006-269994(JP,A)
【文献】特開平04-291993(JP,A)
【文献】特開2015-198114(JP,A)
【文献】特開2008-270346(JP,A)
【文献】特開2004-146602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/32
H01L 23/12
H05K 1/14
H05K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一配線基板と、当該第一配線基板に接合されるビルドアップ基板からなる第二配線基板とを備えた配線基板の製造方法であって、
支持体の主面上に、加熱により発泡可能な発泡樹脂層である剥離層を形成し当該剥離層上に第一パッドを形成する工程と、当該第一パッドを形成した前記剥離層上に配線層を形成し、当該配線層の前記剥離層とは逆側に第二パッドを形成する工程と、を有する前記第二配線基板を形成する工程と、
前記第二パッド上に突起電極を形成する工程と、
前記第一配線基板は一方の面にパッドを有し、前記第二配線基板と前記第一配線基板とを、前記第一配線基板のパッドと前記第二配線基板の前記突起電極とが対向するように電気的に接合する工程と、
前記突起電極を介して電気的に接合した、前記第一配線基板と前記第二配線基板との隙間に絶縁性の接着部材を充填する工程と、
前記接着部材を充填した後に、前記発泡樹脂層を加熱して発泡させることで前記支持体と前記剥離層とを前記第二配線基板から剥離し、前記第一パッドを前記配線基板のパッドとして露出させる工程と、
を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記支持体はガラス基板であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
第一配線基板と、当該第一配線基板に接合されるビルドアップ基板からなる第二配線基板とを備えた配線基板の製造方法であって、
支持体の主面上に、加熱により発泡可能な発泡樹脂層である剥離層を形成し当該剥離層上に第一パッドを形成する工程と、当該第一パッドを形成した前記剥離層上に配線層を形成し、当該配線層の前記剥離層とは逆側に第二パッドを形成する工程と、を有する前記第二配線基板を形成する工程と、
前記第二パッド上に突起電極を形成する工程と、
前記第一配線基板は一方の面にパッドを有し、前記第二配線基板と前記第一配線基板とを、前記第一配線基板のパッドと前記第二配線基板の前記突起電極とが対向するように電気的に接合する工程と、
前記突起電極を介して電気的に接合した、前記第一配線基板と前記第二配線基板との隙間に絶縁性の接着部材を充填する工程と、
前記接着部材を充填した後に、前記発泡樹脂層を加熱して発泡させることで前記支持体と前記剥離層とを前記第二配線基板から剥離し、前記第一パッドを前記配線基板のパッドとして露出させる工程と、
を備え、
前記支持体はセラミックス基板であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第一パッドの表面と前記第二配線基板の表面とは面一であって、
前記第一パッドの厚さ方向における断面視で前記第一パッドの前記第一配線基板側の端部は、前記第一パッドの表面側の端部よりも幅が広いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第一パッドを形成する工程では、前記第一パッドを、当該第一パッドが前記剥離層とは逆側に向かうほど広くなるテーパ状に形成することを特徴とする請求項4に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第一パッドを形成する工程では、前記第一パッドの厚さ方向における断面視で、前記第一パッドの前記剥離層とは逆側の端部が前記第一パッドの他の部分よりも幅広であるアンカー状に形成することを特徴とする請求項4に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体装置の高速、高集積化が進む中で、FCBGA(Flip Chip-Ball Grid Array)用配線基板に対しても、半導体チップとの接続端子の狭ピッチ化、基板配線の微細化が求められている。
一方、FCBGA用配線基板とマザーボードとの接続は、従来とほぼ変わらないピッチの接続端子での接続が要求されている。
この半導体チップとの接続端子の狭ピッチ化、基板配線の微細化のため、シリコン上に配線を形成してチップ接続用の基板(シリコンインターポーザ)とし、それをFCBGA用配線基板に接続する方式が特許文献1に開示されている。また、FCBGA用配線基板の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)等で平坦にしてから微細配線を形成する方式が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-280490号公報
【文献】特開2014-225671号公報
【文献】国際公開第2015/199030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコンインターポーザ方式は、シリコンウェハを利用して、半導体前工程用の設備を用いて製作している。シリコンウェハは形状、サイズに制限があり、1枚のウェハから製作できるインターポーザの数が少なく、製造設備も高価であるため、インターポーザも高価となる。また、シリコンウェハが半導体であることから、伝送特性も劣化するという課題がある。
また、FCBGA用配線基板の平坦化を行いその上に微細配線層を形成する方式においては、シリコンインターポーザの伝送特性劣化の課題は無いが、FCBGA用配線基板の製造不良と難易度の高い微細配線層形成時の不良との合算により収率が悪くなる課題や、FCBGA用配線基板の反り、歪による半導体チップの実装に対する課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、インターポーザを備えたFCBGA用配線基板の収率の低下を抑制し、半導体チップを良好に実装することの可能な配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の一態様によれば、第一配線基板と、第一配線基板に接合されたビルドアップ基板からなる第二配線基板とを備え、第二配線基板は10μm以上300μm以下の厚さであって、第一配線基板と第二配線基板とは突起電極を介して電気的に接合されると共に、第一配線基板及び第二配線基板の隙間に絶縁性の接着部材が充填され、第二配線基板は、第一配線基板とは逆側の面にパッドを有する配線基板、が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、別々に製造した第一配線基板と第二配線基板とを接合することで形成することができる。そのため、第一配線基板と第二配線基板とについて良品のみを選定し、これらを組み合わせることで一つの配線基板とすることができ、配線基板としての収率の低下を抑制することができる。
また、半導体チップは、第二配線基板を介して第一配線基板に接合され、第二配線基板は、比較的薄い基板であるため第一配線基板と半導体チップとの接合に対してCTE(Coefficient of Thermal Expansion 熱膨張係数)差が与える影響は小さい。そして、アンダーフィルが緩衝材として作用するため、第一配線基板と半導体チップとのCTE差による影響を低減することができ、半導体チップを良好に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る配線基板に半導体チップを実装した一例を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るキャリア基板を備えた状態のインターポーザの一例を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るインターポーザ付き配線基板の一例を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る配線基板の製造工程の一例を示す断面図である。
図5図4の製造工程の続きを示す断面図である。
図6図5の製造工程の続きを示す断面図である。
図7図6の製造工程の続きを示す断面図である。
図8図7の製造工程の続きを示す断面図である。
図9図8の製造工程の続きを示す断面図である。
図10図9の製造工程の続きを示す断面図である。
図11図10の製造工程の続きを示す断面図である。
図12図11の製造工程の続きを示す断面図である。
図13】接続パッドの形状を説明するための断面図である。
図14】接続パッドの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態に係る配線基板について図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、各図面は説明を容易にするために適宜誇張して表現している。
さらに、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る配線基板に半導体チップを実装した半導体パッケージの一例を示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る半導体パッケージは、FCBGA用配線基板1の一方の面に、樹脂と配線とが積層されてなるビルドアップ配線層のみで形成された微細配線層を備えた薄いインターポーザ3が、半田バンプまたはCuポスト(Cuピラー)または金バンプ24で接合されている。また、FCBGA用配線基板1とインターポーザ3との隙間が絶縁性の接着部材としてのアンダーフィル(樹脂)2で埋め固められている。さらにインターポーザ3の、FCBGA用配線基板1とは逆側の面に形成された接続パッド14と、半導体チップ4とが半田バンプまたはCuピラーまたは金バンプ31で接合され、半導体チップ4とインターポーザ3との隙間がアンダーフィル32で埋め固められている。
また、接続パッド14の表面と、インターポーザ3の表面とは面一となっている。また、接続パッド14の厚さ方向における断面視で、接続パッド14のFCBGA用配線基板1側の端部は、接続パッド14の表面側の端部よりも幅が広くなっている。
【0011】
アンダーフィル2は、FCBGA用配線基板1とインターポーザ3とを固定及び封止するために用いられる接着剤である。アンダーフィル2としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等を加えた材料が用いられる。アンダーフィル2は、液状の樹脂を充填させることで形成してもよい。また、アンダーフィル2の代りに、絶縁性の接着部材として異方性導電フィルム(ACF)、または接着及び絶縁の機能を同時に持つフィルム状接続材料(NCF)を用いることで、FCBGA用配線基板1とインターポーザ3とを固定し、これら間を封止してもよい。
【0012】
アンダーフィル32は半導体チップ4とインターポーザ3とを固定及び封止するために用いられる接着剤であり、アンダーフィル2と同様の材料で構成される。なおこの場合も、アンダーフィル32の代りに、異方性導電フィルム(ACF)または、フィルム状接続材料(NCF)を用いてもよい。
インターポーザ3の、半導体チップ4と接合される部分の配線ピッチは、半導体チップ4とFCBGA用配線基板1とを直接接合する場合の、FCBGA用配線基板1の、半導体チップ4と接合される部分の配線ピッチよりも狭くなっている。すなわち、インターポーザ3の半導体チップ4を実装する側の面は、半導体チップ4と接合する場合のFCBGA用配線基板1よりも微細な配線となっている。
【0013】
例えば、現在のハイバンドメモリ(HBM)の仕様に対応するためには、インターポーザ3では配線幅を2μm以上6μm以下にする必要がある。特性インピーダンスを50Ωに合わせるためには、配線幅が2μm、配線高さが2μmの場合、配線間の絶縁膜厚は2.5μmとなる。配線も含めた1層の厚さは4.5μmとなり、この厚さで5層のインターポーザ3を製作する場合、インターポーザ3は、総厚25μm程度と極薄のインターポーザとなる。つまり、インターポーザ3の総厚を10μm程度にするためには、上記4.5μm厚の層を2層積層すればよい。ただし、電気特性の損失を抑える必要がある場合、電気抵抗を低くするために、配線厚を厚くする必要があり、その場合インピーダンスを調整するために絶縁層も厚くする必要が生じる。層数が5層であってもインターポーザ3の総厚が100μm程度になる場合もある。さらに、半導体チップ4等のデバイスチップのピン数増加や電源ラインやグランド層を組み合わせることにより、インターポーザ3の積層数を増やす必要が生じ、インターポーザ3の総厚が300μm程度になる場合もある。
【0014】
なお、インターポーザ3の総厚が300μmを超える場合には、可撓性が低くなり、反りが発生する場合がある。また、インターポーザ3の総厚が10μmに満たない場合には、耐久性が低くなり、インターポーザ3が破損する場合がある。
このような薄いインターポーザ3とFCBGA用配線基板1との接合を、平坦性を確保した上で行うためには、図2に示すようにインターポーザ3の一部となる微細な配線層3aを、後で配線層3aとキャリア基板5とに分離するための剥離層6を形成したキャリア基板5の上に形成する。なお、図2(b)は図2(a)の半田バンプ24を含む一部分を拡大したものである。また、図2(b)に示すように、剥離層6と接続パッド14との間には、例えば、接着層7や銅箔11が形成されていてもよい。
【0015】
そして、このキャリア基板5に形成されたままの配線層3aを、図3に示すように、別に製造したFCBGA用配線基板1にフリップチップ実装する。そして、FCBGA用配線基板1と配線層3aとの間をアンダーフィル2等の樹脂により固めた後、キャリア基板5等を配線層3aから剥離し、配線層3aに形成された半導体チップ4との接合用の接続パッド14を露出させる。これによって、本発明の一実施形態に係る配線基板100が形成される。なお、図3では、図2(b)に示した接着層7や銅箔11の記載を省略している。
【0016】
上記手順で、厚さ300μm以下の配線層3aをFCBGA用配線基板1に接合することによって、厚さ300μm以下の薄い配線層3aを、FCBGA用配線基板1に平坦に接合することができる。
一般的にFCBGA用配線基板1は剛直であり、半導体チップ4とのCTE(熱膨張係数)差があると接合が破壊し易いが、その接合高さが高いと接合が破壊しにくくなる性質がある。
本発明の一実施形態に係る配線基板100では、FCBGA用配線基板1と半導体チップ4とは薄いインターポーザ3を介した2段階の接合で接合されている。そのため、お互いのCTE差が影響しにくく高い信頼性を確保することができる。
【0017】
次に、図4から図12を伴って、本発明の一実施形態に係るインターポーザ3を備えた配線基板100の製造工程の一例を説明する。
ここでは、キャリア基板5として、例えばガラス基板を用いる。ガラス基板は平坦性に優れており、配線層3aの微細なパターンの形成に向いている。またガラス基板はCTEが小さく歪みにくいことから、FCBGA用配線基板1と接合した時のパターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。キャリア基板5としてガラス基板を用いる場合、ガラス基板の厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、例えば0.7mm以上1.1mm以下程度の厚さが好ましい。また、ガラス基板のCTEは、9ppm/℃程度のものが好ましい。
【0018】
まず、インターポーザ3となる配線基板を作成する。図4(a)に示すように、キャリア基板5の一方の面に、後工程で、キャリア基板5を剥離するための剥離層6を形成する。この剥離層6は紫外線をある程度透過する厚さに調整しておく。
次いで、図4(b)に示すように、この剥離層6の上に、紫外線で硬化する接着剤を塗布して接着層7を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、真空中で、接着層7が形成されたキャリア基板5を、平坦な定盤10上に敷いた薄い銅箔11の上に接着層7が銅箔11と接するように載せ、この状態で紫外線12を照射して接着層7を硬化する。銅箔11は定盤10の平坦性を保持したまま固められるため、この上に微細パターンを形成することが可能となる。
【0019】
次に図5(a)に示すように銅箔11上にレジストパターン13を形成し、その開口部13aに銅箔11をシード層として電解めっきにより半導体チップ4との接続用の接続パッド14を形成する。接続パッド14の構造は、図3に示すように、インターポーザ3となる配線層3aをFCBGA用配線基板1と接合した後、キャリア基板5等を剥離し、接続パッド14を露出させたときに、接続パッド14の表面がAuとなるように銅箔11側からAu/Ni/Cuとめっきを形成する。このとき、AuへのCu拡散を防止するため、銅箔11とAuとの間に薄いNiを形成してからAu/Ni/Cuのめっきを行う。その後、図5(b)に示すようにレジストパターン13を除去する。
【0020】
このようにして、接続パッド14を形成しているため、接続パッド14の露出表面とインターポーザ3(配線層3a)の露出表面とを面一にすることができる。
また、例えば、レジストパターン13の開口部13aの断面形状を、銅箔11側が狭く、開口部13aの開口端側に近づくほどより広くなるテーパ形状にすることで、接続パッド14のFCBGA用配線基板1側の端部の幅を、接続パッド14の露出表面側の端部の幅よりも広くすることができる。なお、レジストパターン13の開口部13aの各種形状については、後述する。
【0021】
次に、図6に示すように絶縁樹脂15を形成する。絶縁樹脂15は、接続パッド14が絶縁樹脂15の層内に埋め込まれるように形成する。本実施形態では、絶縁樹脂15を、感光性のエポキシ系樹脂を用いてスピンコート法により形成する。感光性エポキシ系樹脂は比較的低温で硬化することができ、この後の導通ビア形成後のキュア(硬化)による収縮が少なく段差を押さえることが可能であり、さらにその後の微細パターン形成に優れている。絶縁樹脂15としては、感光性のエポキシ系樹脂を用いてスピンコート法により形成する他、絶縁樹脂フィルムを真空ラミネータで圧縮キュアを行って形成することも可能であり、この場合、平坦性の良い絶縁膜を形成することができる。露光工程で多少の段差が許容できるのであれば、ポリイミドを絶縁樹脂15として用いても良い。
【0022】
次に、図7(a)、(b)に示すように、接続パッド14に導通ビア17を形成する。本実施形態では絶縁樹脂15に感光性エポキシ系樹脂を使用しており、UV露光16及び現像を行うことにより導通ビア17を形成することができる。非感光のラミネート樹脂やポリイミドを使用する場合、レーザー光照射によって導通ビア17を形成しても良い。
次に、アッシング等で残渣を除去した後、TiとCuを連続でスパッタし、図8(a)に示すように電解銅めっきのシード層18を形成する。このシード層18の上に微細パターンを形成するが、Tiは下層の絶縁樹脂15との密着性を向上することができ、めっき後のパターン剥がれ、倒れを防止することが出来る。その他、TiWとCuのスパッタ連続処理等にてシード層18を形成しても良い。スパッタCuは、電解銅めっき後のシード層18をエッチングする工程で配線細りを抑えられるように、厚さが300nm以下程度となるように薄く形成する。
【0023】
次に、図8(b)に示すように、絶縁樹脂15の上に、レジストパターン19を形成し、その開口部19aに電解銅めっきで配線20を形成する。
次に、図8(c)に示すようにレジストパターン19を除去した後、配線20をマスクとしてシード層18を構成するスパッタ銅とスパッタTiとをエッチングする。なお、配線細りを抑えるエッチング液を、配線20の幅に合わせて選定し、このエッチング液を用いてエッチングを行う。
以上説明した図6から図8の工程を配線層の形成工程とし、積み重ねる配線層数に合わせて、図6から図8に示す配線層の形成工程を繰り返す。
【0024】
次に、図9(a)に示すように、インターポーザ3のFCBGA用配線基板1側の最表面となる絶縁樹脂層21を形成する。本実施形態では、絶縁樹脂として感光性エポキシ系樹脂を使用して絶縁樹脂層21を形成する。図9(a)に示すように、配線20及び絶縁樹脂15を含む領域を覆うように、絶縁樹脂層21を形成する。次に図9(b)に示すようにUV露光22及び現像を行うことにより、配線20を露出させて開口部21aを形成し、ベークによって絶縁樹脂層21を硬化させて安定させる。
次に、図9(c)に示すように配線20表面のCuの酸化防止と半田バンプの濡れ性を良くするため、表面処理を行う。本実施形態では、配線20表面にNi/Pd/Auからなるパッド表面処理層23を成膜する。なお、配線20の表面に、OSP(Organic Solderability Preservative 水溶性プレフラックスによる表面処理)膜を成膜しても良い。次に図9(d)に示すように、このパッド表面処理層23に半田バンプ24を搭載しリフローした後、キャリア基板5を個片化することで、半導体パッケージ毎にキャリア基板5付きインターポーザ3が完成する。
【0025】
次に、図10(a)に示すように、キャリア基板5付きインターポーザ3の端子、つまり、半田バンプ24の位置に合わせて設計、製造したFCBGA用配線基板1に、フリップチップによりキャリア基板5付きインターポーザ3を接合し、図10(b)に示すようにアンダーフィル2で固める。なお、図10(a)、(b)では、「キャリア基板5付きインターポーザ3」を符号3bで示している。
次に、図11(a)、(b)に示すようにキャリア基板5の背面、すなわち、キャリア基板5のFCBGA用配線基板1とは逆側の面からレーザー光25をキャリア基板5との界面に形成された剥離層6に照射し、キャリア基板5を取り外す。
【0026】
次に、図11(c)に示すようにキャリア基板5を剥離した後、キャリア基板5及び剥離層6と銅箔11とを接着していた接着層7を粘着テープ26等の粘着性の部材によって剥離する。つまり、粘着テープ26を、キャリア基板5を剥離した後の、キャリア基板5が接着されていた部分に貼り付け、粘着テープ26を剥がすことにより、インターポーザ3側に付着している、剥離層6や接着層7を除去する。
この接着層7は耐熱性があり、インターポーザ3の製造プロセスの熱によっても劣化せず簡単に除去できる。このような剥離方法以外にも、インターポーザ3の製造プロセス温度には耐熱性があり、このインターポーザ3の製造プロセス温度よりも高く、かつインターポーザ3の耐熱温度よりも低い温度によって発泡し、接着力が無くなるような材料を接着層7として用いることで、キャリア基板5を剥離するようにしてもよい。また、図3に示すように、キャリア基板5を剥離する際、キャリア基板5と共に剥離層6、接着層7、銅箔11を除去してもよい。
【0027】
最後に、図12に示すように銅箔11と薄いNiとをエッチングし、半導体チップ4と接続する接続パッド14を露出させる。これにより極薄のインターポーザ3付きの配線基板100が完成する。
本実施形態では、接続パッド14の表面にはAuが露出している。この配線基板100のインターポーザ3側に半田バンプ31を介して半導体チップ4を実装し、反対面の配線基板100のパッドに半田バンプ33を搭載しリフローし、さらに、接続パッド14と半導体チップ4との間にアンダーフィル32を充填することによって、図1に示すような半導体パッケージを作ることが出来る。
【0028】
このように、本願発明の一実施形態によれば、FCBGA用配線基板1と、インターポーザ3となるキャリア基板5上に形成した配線層3aと、を別々に製造しこれらを接合することで、インターポーザ3付きの配線基板100を実現している。FCBGA用配線基板1とキャリア基板5を備えた配線層3aとを接合する際に、それぞれの良品のみを選定し、良品どうしを接合して配線基板100を形成することによって、収率の低下を防止することが出来る。
また、キャリア基板5としてシリコン基板ではなく他の基板(例えば、ガラス基板)を利用することができるため、効率の高い基板製造が可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0029】
また、FCBGA用配線基板1とキャリア基板5を備えた配線層3aとを、それぞれの製造プロセスが完了した後、接合及び貼り合わせているため、基板の表裏面における配線密度や層数、構造の違いによって配線基板100に反り等が生じることを回避することができる。
さらに、キャリア基板5として、剛直で低CTEの歪みの少ないキャリアを基板として用いることにより、キャリアを外した後の配線層の表面は平坦でパッドの配置精度も高くなり、チップ実装が容易となる。
【0030】
また、特にインターポーザ3がフィルム状の薄い基板である場合、FCBGA用配線基板1に半田バンプを介して接合することは困難である。しかしながら、本実施形態では、上述のように、キャリア基板5の上に配線層3aを形成し、キャリア基板5を備えた配線層3aをFCBGA用配線基板1に半田バンプ24を介して接合し、アンダーフィル32を充填して配線層3a側とFCBGA用配線基板1とを接合した後、キャリア基板5を除去することで、FCBGA用配線基板1にインターポーザ3が接合された配線基板100を実現しているため、インターポーザ3が薄い基板であっても容易にFCBGA用配線基板1に半田バンプ24を介して接合することができる。
また、半田バンプ24に代えて、Cuポスト又はAuバンプも用いることができるため、配線基板の汎用性を高めることができる。
【0031】
また、FCBGA用配線基板1と半導体チップ4とにCTE差があると接合が破壊されやすいが、FCBGA用配線基板1と半導体チップ4とをインターポーザ3を介して接合することで接合距離が拡がるため、CTE差による影響を緩和することができる。厚さが薄いインターポーザ3は、それ自体のCTE差があってもそれによる応力が小さいため影響は少なく、FCBGA用配線基板1と半導体チップ4とのCTE差による影響の低減を妨げることなく、信頼性を向上させることができる。つまり、インターポーザ3は、厚さの厚いものでも配線基板100を実現することができ、300μm以下の厚さであれば、本実施形態に係る配線基板100の効果を充分に発揮し、100μm以下の厚さであれば、配線基板100の効果をさらに充分に発揮する。
また、接続パッド14の表面とインターポーザ3の表面とを面一にすることで、配線基板100の厚さをより薄くすることができる。
【0032】
また、上記手順で配線基板100を作成した場合、図11に示すように、インターポーザ3をFCBGA用配線基板1と接合した後、接続パッド14を露出させたときに、この接続パッド14が上から樹脂で押さえられた状態となるSMD(Solder Mask Defined)という構造にはならない可能性がある。つまり、図13に示すように、接続パッド14は、表面が絶縁樹脂15と同じ高さとなり、SMD構造に比較して接続パッド14が抜けやすくなる可能性がある。
特に半導体チップ4を配線基板と接合する工程では、アンダーフィル2で固定される前であるため、半導体チップ4と配線基板のCTE差により接合部に応力が集中しやすく、接続パッド14が損傷する可能性がある。半導体チップ4を接合後アンダーフィル2で固定された後は、接続パッド14がアンダーフィル2から抜けるということは無いが、アンダーフィル2で固定されるまでの信頼性を向上させるため、また、接続パッド14の損傷を防ぐ目的で、銅箔11上に接続パッド14を形成する工程で、接続パッド14をその断面形状が図14(a)~(c)に示す形状となるように形成してもよい。
【0033】
図14(a)は、薄いレジスト層を用いてレジストパターン13を形成し、開口部13aにレジストパターン13よりも厚く銅めっき層を形成し、開口部13aからレジストパターン13上部にはみ出した部分をアンカーとして利用するものである。
図14(b)は、接続パッド14の断面形状を銅箔11側が狭く、開口部13aの開口端側に近づくほどより広くなるテーパ形状としたものである。ポジ型レジストの露光パターンのエッジをぼやかし、レジストパターン13の形状を順テーパ形状とすることで、図14(b)のような逆テーパのめっきパターンを形成することができる。接続パッド14の厚さ方向における断面視で、接続パッド14の開口部13a側幅の広い部分がアンカー効果を生み出す。
図14(c)は、例えばポジ型レジストのパターンエッジの露光エネルギーを調整し、階段状のパターンを形成し、めっき厚が薄くても、めっきのはみ出しによるアンカー効果のある接続パッドを形成したものである。パターン密度に合わせてレジストパターンの形状をコントロールすることで、接続パッドのはみ出し量をコントロールすることができ、微細パターンでの短絡発生を抑制することができる。
【0034】
以上のように、接続パッド14を形成する工程では、接続パッド14を、接続パッド14が剥離層6とは逆側に向かうほど広くなるテーパ状に形成してもよいし、接続パッド14の厚さ方向における断面視で、接続パッド14の剥離層6とは逆側の端部が接続パッド14の他の部分よりも幅広であるアンカー状に形成してもよい。
上記の方法により作成された接続パッド14は、接続パッド14の厚さ方向における断面視で接続パッド14のFCBGA用配線基板1側の端部は、接続パッド14の表面側の端部よりも幅が広くなるため、絶縁樹脂15から接続パッド14を抜けにくくすることができる。
【0035】
なお、これらのレジストパターン13の形状は、レジストの加熱によるフロー、又は露光のフォーカス調整、又は直描露光機の階調露光機能等でコントロールすることができる。
このように接続パッド14の形状を、絶縁樹脂15から抜けにくい形状とすることによって、例えば配線基板100に、半導体チップ4を実装する工程において温度変化を伴う処理が行われ、CTE差等によって配線基板100に力が加わったとしても、接続パッド14が、絶縁樹脂15から抜けることを回避することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、キャリア基板5としてガラス基板を用いた場合について説明したが、キャリア基板5としては、歪みの少ない平坦性を有するメタル基板、またはセラミックス基板等を使用することもできる。例えばセラミックス基板ではCTEを意図的にコントロールすることが容易であり、インターポーザ3の構成材料に合わせてCTEを変えることができる。キャリア基板5としてメタル基板またはセラミックス基板を適用する場合には、例えば、加熱により発泡する発泡樹脂層を剥離層6として用い、キャリア基板5付き配線層3aをFCBGA用配線基板1に接合した後、加熱して発泡樹脂層を発泡させることで、キャリア基板5を配線層3aから剥離するようにすればよい。
なお、上記実施形態において、FCBGA用配線基板1が第一配線基板に対応し、インターポーザ3が第二配線基板に対応し、半田バンプ24が突起電極に対応している。また、キャリア基板5が支持体に対応し、接続パッド14が第一パッドに対応し、配線層3aが配線層に対応し、パッド表面処理層23が第二パッドに対応している。
【0037】
以上、本発明の一実施形態を例示したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の技術的思想を逸脱しない限り、配線基板としての用途を考慮し、要求されるその他の物性である剛性、強度、衝撃性等を向上する目的で、他の層や構造を任意に形成できることはいうまでもない。
また、以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、主基板とICチップとの間に介在するインターポーザ等の配線基板を備える半導体装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 FCBGA用配線基板
2 アンダーフィル
3 インターポーザ
4 半導体チップ
5 キャリア基板
6 剥離層
7 接着層
10 定盤
11 銅箔
13 レジストパターン
14 接続パッド
15 絶縁樹脂
17 導通ビア
18 シード層
19 レジストパターン
20 配線
21 絶縁樹脂層
23 パッド表面処理層(Ni/Pd/Au)
24 半田バンプ
26 粘着テープ
32 アンダーフィル
100 配線基板
図1
図2
図3
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図5
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