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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/122 20060101AFI20220621BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20220621BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H01F7/122 C
H01F7/16 R
H01F7/16 E
H01F7/16 D
F16K31/06 305D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018567397
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2018003552
(87)【国際公開番号】W WO2018147175
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2017022167
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
【審査官】泉 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-037333(JP,A)
【文献】特開2010-129680(JP,A)
【文献】特開2000-049011(JP,A)
【文献】特開2016-051708(JP,A)
【文献】特開2011-238937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/04 - 7/17
F16K 31/00 ー31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心とする筒状のガイド部を有するソレノイドと、
磁性体部を有し、前記ガイド部の径方向内側を軸方向に移動する可動子と、
前記可動子の軸方向一方側に配置される磁性体製のヨーク部材と、
前記ヨーク部材の軸方向一方側に配置されるマグネットと、
前記可動子に対して前記マグネットから離れる向きに弾性力を加える弾性部材と、
前記ガイド部の径方向内側に開口する孔部を有し、前記ソレノイド、前記可動子、前記ヨーク部材、前記マグネットおよび前記弾性部材を収容する磁性体製のカバーと、
前記孔部に位置し、前記可動子の移動に伴って移動するピンと、
前記カバーの外部に設けられ、前記可動子および前記ピンの移動とともに開閉される弁部と、
を備え、
前記カバーは、
前記ソレノイドの径方向外側を囲む筒部と、
前記ソレノイドの軸方向他方側に配置される第1壁部と、
前記マグネットの軸方向一方側を覆う第2壁部と、
を有し、
前記ソレノイドは、
前記可動子の径方向外側を囲み、径方向内側面に前記ガイド部が設けられる筒状のボビン部と、
前記ボビン部の径方向外側面に巻き回されるコイルと、
を有し、
前記ヨーク部材は、前記カバーの内側面から離れた位置において、前記マグネットよりも径方向外側に位置した部分を有し、軸方向他方側の部分が前記ボビン部の径方向内側に配置されるヨーク部材本体と、前記ヨーク部材本体における前記ボビン部よりも軸方向一方側の部分から径方向外側に突出するフランジ部と、を有し、
前記フランジ部の径方向外端部は、前記カバーの内側面から離れた位置において、前記ボビン部の径方向内側面よりも径方向外側で、かつ、前記マグネットよりも径方向外側に配置される電磁弁。
【請求項2】
前記ガイド部は、軸方向に延びる筒状の第1ガイド部を有し、
前記第1ガイド部の軸方向他方側の端部は、前記第1壁部に接触し、
前記第1ガイド部は、磁性体製である、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記ヨーク部材と前記第1ガイド部との軸方向の間に配置される非磁性体製の第1スペーサ部をさらに備える、請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記筒部は、軸方向一方側の端部に外径が小さくなる小径部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記フランジ部の径方向外端部は、前記ボビン部の径方向外側面よりも径方向外側に配置される、請求項に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記ボビン部は、前記ボビン部の径方向内側面に設けられた径方向内側に突出する凸部を有し、かつ、樹脂製であり、
前記ヨーク部材本体は、径方向内側に窪む凹部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌め合わされる、請求項に記載の電磁弁。
【請求項7】
前記カバーに収容され、前記マグネットの径方向外側に配置される第2スペーサ部をさらに備え、
前記第2壁部の軸方向他方側の面から前記第2スペーサ部の軸方向他方側の端部までの軸方向の距離は、前記マグネットの軸方向の寸法よりも大きい、請求項1に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石の磁界とソレノイドによる磁界とを利用して可動鉄心を移動させる電磁弁が知られている。例えば、特許文献1では、磁石と可動鉄心との軸方向の間に、磁石のヨークとしての固定鉄心が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-311363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電磁弁においては、ソレノイドに電流を流すことで、固定鉄心を通る磁気回路が構成される。ここで、ソレノイドに電流を流すことによって生じる磁束は磁石内を通過しにくいため、ソレノイドによって磁気回路を構成して可動鉄心を移動させるには、ソレノイドに流す電流を大きくする必要があった。したがって、電磁弁の消費電力が大きくなる問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みて、消費電力を低減できる電磁弁を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁弁の一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心とする筒状のガイド部を有するソレノイドと、磁性体部を有し、前記ガイド部の径方向内側を軸方向に移動する可動子と、前記可動子の軸方向一方側に配置される磁性体製のヨーク部材と、前記ヨーク部材の軸方向一方側に配置されるマグネットと、前記可動子に対して前記マグネットから離れる向きに弾性力を加える弾性部材と、前記ガイド部の径方向内側に開口する孔部を有し、前記ソレノイド、前記可動子、前記ヨーク部材、前記マグネットおよび前記弾性部材を収容する磁性体製のカバーと、前記孔部に位置し、前記可動子の移動に伴って移動するピンと、前記カバーの外部に設けられ、前記可動子および前記ピンの移動とともに開閉される弁部と、を備え、前記カバーは、前記ソレノイドの径方向外側を囲む筒部と、前記ソレノイドの軸方向他方側に配置される第1壁部と、前記マグネットの軸方向一方側を覆う第2壁部と、を有し、前記ソレノイドは、前記可動子の径方向外側を囲み、径方向内側面に前記ガイド部が設けられる筒状のボビン部と、前記ボビン部の径方向外側面に巻き回されるコイルと、を有し、前記ヨーク部材は、前記カバーの内側面から離れた位置において、前記マグネットよりも径方向外側に位置した部分を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、消費電力を低減できる電磁弁が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電磁弁を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の電磁弁を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態の電磁弁の部分を示す断面図である。
図4図4は、第2実施形態の電磁弁の部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1および図2に示すように、本実施形態の電磁弁10は、カバー40と、軸方向に延びる中心軸Jを中心とする筒状のガイド部30を有するソレノイド20と、ヨーク部材70と、マグネット73と、可動子50と、弾性部材52と、弁部60と、ピン51と、モールド80と、を備える。ソレノイド20に電流が供給されることで、可動子50に磁力による推力が与えられ、可動子50が移動する。ピン51は、可動子50の移動に伴って移動する。弁部60は、可動子50およびピン51の移動とともに開閉される。
【0010】
中心軸Jは、例えば、図1における上下方向に延びる。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、軸方向における図1の下側を単に「下側」と呼ぶ。また、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。なお、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。
【0011】
カバー40は、ソレノイド20、可動子50、ヨーク部材70、マグネット73および弾性部材52を収容する。カバー40は、磁性体製である。カバー40は、筒部43と、第1壁部41と、第2壁部42と、を有する。筒部43は、ソレノイド20の径方向外側を囲む筒状である。本実施形態において筒部43は、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒部43は、筒部本体43aと、小径部43bと、を有する。
【0012】
筒部本体43aは、ソレノイド20の径方向外側に配置される。筒部本体43aの上端部は、マグネット73と径方向に重なる。筒部本体43aの下端部は、筒部43の下端部である。筒部本体43aの下端部には、径方向内側に突出する支持部43cが設けられる。支持部43cは、軸方向と直交し、中心軸Jを中心とする円環板状である。小径部43bは、筒部本体43aの上側において、筒部本体43aの上端部と繋がる。小径部43bの内径は、筒部本体43aの内径よりも小さい。小径部43bの外径は、筒部本体43aの外径よりも小さい。
【0013】
第1壁部41は、扁平な略円柱状である。本実施形態において第1壁部41は、中心軸Jを中心とする。第1壁部41は、ソレノイド20の下側に配置される。第1壁部41は、筒部43と別部材であり、筒部43に取り付けられる。第1壁部41の径方向外縁部は、筒部本体43aの下端部の内周面に設けられた径方向外側に窪む凹部に嵌め合わされ、支持部43cに下側から支持される。第1壁部41の外周面は、筒部本体43aの内周面と接触する。第1壁部41の径方向外縁部の下面は、支持部43cの上面と接触する。
【0014】
第1壁部41は、第1壁部41を軸方向に貫通する孔部41aを有する。すなわち、カバー40は、孔部41aを有する。軸方向に沿って視た孔部41aの形状は、中心軸Jを中心とする円形状である。孔部41aは、ガイド部30の径方向内側に開口する。より詳細には、孔部41aの上端開口部が、ガイド部30の径方向内側に開口する。なお、第1壁部41は、筒部43と単一の部材であってもよい。
【0015】
第2壁部42は、径方向に拡がる板状である。本実施形態において第2壁部42は、中心軸Jを中心とする円板状である。第2壁部42は、ソレノイド20の上側に配置される。第2壁部42は、マグネット73の上側を覆う。本実施形態において第2壁部42は、筒部43と単一の部材である。第2壁部42の径方向外周縁部は、筒部43の上端部、すなわち小径部43bの上端部と繋がる。なお、第2壁部42は、筒部43と別部材であってもよい。
【0016】
ソレノイド20は、筒部43の径方向内側に配置される。ソレノイド20は、ボビン部24と、コイル23と、ガイド部30と、を有する。ボビン部24は、可動子50の径方向外側を囲み、径方向内側面にガイド部30が設けられる筒状である。本実施形態においてボビン部24は、中心軸Jを中心とする円筒状である。ボビン部24は、樹脂製で、単一の部材である。ボビン部24は、ボビン本体24aと、下側フランジ部24bと、上側フランジ部24cと、第1スペーサ部24dと、凸部24eと、を有する。すなわち、電磁弁10は、第1スペーサ部24dを備える。
【0017】
ボビン本体24aは、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。下側フランジ部24bは、ボビン本体24aの下端部から径方向外側に拡がる円環状である。下側フランジ部24bの下面には、上側に窪む溝24fが設けられる。溝24fは、周方向の一周に亘って延びる環状である。溝24fには、円環状のOリング90が配置される。Oリング90は、ボビン部24と第1壁部41との間をシールする。上側フランジ部24cは、ボビン本体24aの上端部から径方向外側に拡がる円環状である。
【0018】
第1スペーサ部24dは、ボビン本体24aの内周面から径方向内側に突出する。より詳細には、第1スペーサ部24dは、ボビン本体24aの内周面のうち、軸方向の中央よりも上側寄りの部分から径方向内側に突出する。第1スペーサ部24dは、中心軸Jを中心とする円筒状である。
【0019】
第1スペーサ部24dは、ヨーク部材70とガイド部30の後述する第1ガイド部31との軸方向の間に配置される。第1スペーサ部24dの上端は、ヨーク部材70の下面と接触する。第1スペーサ部24dの下端は、第1ガイド部31の上端と接触する。第1スペーサ部24dの内周面は、可動子50の外周面よりも径方向外側に配置される。上述したように、本実施形態においてボビン部24は、樹脂製の単一部材であるため、第1スペーサ部24dも樹脂製である。すなわち、第1スペーサ部24dは、非磁性体製である。
【0020】
凸部24eは、ボビン本体24aの内周面のうち、第1スペーサ部24dよりも上側の部分から径方向内側に突出する。すなわち、凸部24eは、ボビン部24の径方向内側面に設けられる。第1スペーサ部24dは、中心軸Jを中心とする円筒状である。凸部24eは、ヨーク部材70の後述する凹部71aに嵌め合わされる。凸部24eの内周面は、第1スペーサ部24dの内周面よりも径方向内側に位置する。
【0021】
コイル23は、ボビン部24の径方向外側面、すなわちボビン本体24aの外周面に巻き回される。コイル23に電流が流されると、コイル23の内側において軸方向に沿った磁界が生じる。
【0022】
ガイド部30は、第1ガイド部31と、第2ガイド部32と、を有する。第1ガイド部31は、軸方向に延びる筒状である。より詳細には、第1ガイド部31は、中心軸Jを中心とする円筒状である。第1ガイド部31の外周面は、ボビン本体24aの内周面に固定される。第1ガイド部31の上側の端部は、第1スペーサ部24dの下端と接触する。第1ガイド部31の下側の端部は、ボビン本体24aの下端よりも下側に位置する。第1ガイド部31の下側の端部は、第1壁部41の上面に接触する。第1ガイド部31の内周面は、第1スペーサ部24dの内周面よりも径方向外側に位置する。第1ガイド部31は、磁性体製である。
【0023】
第2ガイド部32は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。第2ガイド部32の外周面は、第1ガイド部31の内周面に固定される。第2ガイド部32の上端は、軸方向において第1ガイド部31の上端と同じ位置にある。第2ガイド部32の下端は、軸方向において第1ガイド部31の下端と同じ位置にあり、第1壁部41の上面と接触する。第2ガイド部32の内周面、すなわちガイド部30の内周面は、第1スペーサ部24dの内周面よりも径方向内側に位置する。第2ガイド部32は、非磁性体製である。第2ガイド部32は、例えば、樹脂製である。
【0024】
ヨーク部材70は、ソレノイド20の上端部に設けられ、可動子50の上側に配置される。ヨーク部材70は、磁性体製である。ヨーク部材70は、ヨーク部材本体71と、フランジ部72と、を有する。ヨーク部材本体71は、中心軸Jを中心として、軸方向に延びる円柱状である。ヨーク部材本体71の下側の部分は、ボビン部24の径方向内側に配置される。ヨーク部材本体71の下側の部分は、ボビン本体24aに嵌め合わされる。これにより、ヨーク部材70は、ボビン部24の上端開口部を閉塞する。
【0025】
ヨーク部材70によってボビン部24の上端開口部が閉塞されることで、ソレノイド20内には、ヨーク部材70の下面とソレノイド20の径方向内側面と第1壁部41の上面とに囲まれた空間Sが設けられる。空間Sを囲むソレノイド20の径方向内側面は、ガイド部30の内周面と第1スペーサ部24dの内周面とを含む。ヨーク部材本体71の上端は、ボビン部24よりも上側に位置する。
【0026】
ヨーク部材本体71は、径方向内側に窪む凹部71aを有する。凹部71aは、ヨーク部材本体71の外周面の周方向の一周に亘って延びる円環状である。上述したように凹部71aには、凸部24eが嵌め合わされる。これにより、ヨーク部材70がボビン部24に対して固定され、ヨーク部材70とボビン部24とが分離することを抑制できる。
【0027】
ボビン部24は、例えば、ヨーク部材70を挿入した金型に樹脂を流し込むインサート成形によって、ヨーク部材70と一体的に成形される。この場合、凹部71aに嵌め合わされる凸部24eは、金型に流し込まれた樹脂が凹部71aに流入して成形される。すなわち、ヨーク部材70に凹部71aが設けられるため、インサート成形によってボビン部24を成形した際に、凹部71aに嵌め合わされる凸部24eが成形され、ボビン部24からヨーク部材70が外れることを抑制できる。このように、本実施形態によれば、インサート成形を用いてボビン部24をヨーク部材70と一体的に作りやすい。したがって、ヨーク部材70とボビン部24とを組み立てる手間を省くことができ、電磁弁10の組み立てを容易にできる。
【0028】
また、凸部24eと凹部71aとが嵌め合わされることで、ヨーク部材70とボビン部24との間のシール性を向上できる。そのため、後述する接続部分61cとピン51との径方向の隙間から空間S内に流入した流体が、ヨーク部材70とボビン部24との間を通ることを抑制でき、流体がマグネット73に到達することを抑制できる。これにより、例えば、流体に含まれる金属片等がマグネット73に付着することを抑制できる。
【0029】
フランジ部72は、ヨーク部材本体71におけるボビン部24よりも上側の部分から径方向外側に突出する。本実施形態では、フランジ部72は、ヨーク部材本体71の上端部から径方向外側に突出する。フランジ部72は、筒部本体43aの内周面の上端部と径方向に重なる位置に配置される。フランジ部72は、軸方向と直交し、中心軸Jを中心とする円環板状である。フランジ部72の下面は、ボビン部24の上面、すなわち上側フランジ部24cの上面と接触する。
【0030】
フランジ部72の径方向外端部は、カバー40の内側面から離れた位置において、ボビン部24の径方向内側面、すなわちボビン本体24aの内周面よりも径方向外側で、かつ、マグネット73よりも径方向外側に配置される。すなわち、本実施形態においてフランジ部72の径方向外端部は、カバー40の内側面から離れた位置において、マグネット73よりも径方向外側に位置した部分に相当する。フランジ部72の径方向外端部は、ボビン部24の径方向外側面、すなわちボビン本体24aの外周面よりも径方向外側に配置される。フランジ部72の径方向外端部の径方向外側斜め上方には、筒部本体43aと小径部43bとの接続部分が位置する。
【0031】
マグネット73は、中心軸Jを中心とする扁平の円柱状である。マグネット73は、ヨーク部材70の上側に配置される。マグネット73の下面は、ヨーク部材70の上面に接触する。マグネット73の上面は、第2壁部42の下面に接触する。マグネット73は、小径部43bの内周面から径方向内側に離れて配置される。マグネット73の外周面は、ボビン本体24aの外周面よりも径方向内側に位置する。マグネット73の磁極は、軸方向に沿ってN極とS極とが配置される。本実施形態では、例えば、マグネット73の磁極のうち上側に配置される磁極をN極、下側に配置される磁極をS極とする。
【0032】
可動子50は、空間S内に収容され、ガイド部30の径方向内側に配置される。本実施形態において可動子50は、例えば、中心軸Jを中心とし、上側に開口する有底の円筒状である。可動子50は、ガイド部30の径方向内側に嵌め合わされ、ガイド部30によって、軸方向に移動可能に支持される。これにより、可動子50は、ガイド部30の径方向内側を軸方向に移動する。可動子50の上端は、ガイド部30よりも上側に位置する。可動子50は、磁性体部を有する。本実施形態において可動子50は、磁性体製の単一部材である。すなわち、本実施形態では、可動子50全体が磁性体部に相当する。
【0033】
可動子50は、軸方向に延びる円筒状の円筒部50aと、円筒部50aの下端部に設けられる底壁部50bと、を有する。底壁部50bには、底壁部50bを軸方向に貫通する貫通孔50cが設けられる。貫通孔50cは、例えば、複数設けられる。可動子50は、上側の端部から下側に窪む収容凹部50dを有する。本実施形態において収容凹部50dは、円筒状の可動子50の内側面によって構成される。
【0034】
本実施形態において弾性部材52は、軸方向に延びるコイルバネである。弾性部材52は、収容凹部50dに収容される。弾性部材52の上側の端部は、ヨーク部材70の下側の端部に接触する。弾性部材52の下側の端部は、収容凹部50dの底面、すなわち底壁部50bの上面に接触する。弾性部材52は、可動子50に対してマグネット73から離れる向き、すなわち本実施形態では下向きに弾性力を加える。このように、弾性部材52を可動子50の内部に配置できるため、電磁弁10が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0035】
弁部60は、カバー40の外部に設けられる。弁部60は、カバー40の下側に取り付けられる。弁部60は、ノズル部材61と、第1弁座部材66aと、第2弁座部材66bと、蓋部材66cと、弁体67と、を有する。
【0036】
ノズル部材61は、中心軸Jを中心とする略円柱状である。ノズル部材61は、樹脂製で、単一の部材である。ノズル部材61は、第1部分61aと、第2部分61bと、接続部分61cと、を有する。第1部分61aは、第1壁部41に固定される。第1部分61aの上面は、第1壁部41の下面に接触する。第1部分61aは、第1部分61aを径方向に貫通するドレインポート64を有する。第1部分61aにおけるドレインポート64よりも下側の部分の外周面には、Oリング91が装着される。
【0037】
第2部分61bは、第1部分61aの下側において第1部分61aの下端に繋がる。第2部分61bの外径は、第1部分61aの外径よりも小さい。第2部分61bは、第2部分61bを径方向に貫通するアウトポート63を有する。アウトポート63は、第2部分61bの上端部に設けられ、第1部分61aと第2部分61bとの軸方向に間に位置する。第2部分61bの外周面には、Oリング92が装着される。
【0038】
第1部分61aには、ドレインポート64からアウトポート63まで貫通する貫通孔61dが設けられる。第2部分61bには、第2部分61bの下端からアウトポート63まで貫通する貫通孔61eが設けられる。貫通孔61d,61eの断面形状は、例えば、中心軸Jを中心とする円形状である。
【0039】
接続部分61cは、第1部分61aの上面から上側に突出する。接続部分61cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。接続部分61cは、孔部41aに嵌め合わされて固定される。接続部分61cの上端は、第1壁部41の上面と軸方向において同じ位置に配置される。接続部分61cは、軸方向両側に開口する。接続部分61cの上側の開口は、空間S内におけるガイド部30の径方向内側に開口する。接続部分61cの下側の開口は、ドレインポート64に開口する。
【0040】
第1弁座部材66aは、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。第1弁座部材66aは、貫通孔61dに嵌め合わされて固定される。第1弁座部材66aの上端の内周縁部には、第1弁座66dが設けられる。第2弁座部材66bは、軸方向と直交し、中心軸Jを中心とする円環板状である。第2弁座部材66bは、貫通孔61eの上端部に嵌め合わされて固定される。第2弁座部材66bの下端の内周縁部には、第2弁座66eが設けられる。蓋部材66cは、中心軸Jを中心とする円板状である。蓋部材66cは、径方向外縁部が貫通孔61eの下端部の内周面に埋め込まれて固定される。蓋部材66cは、蓋部材66cを軸方向に貫通するインポート62を有する。
【0041】
貫通孔61eの内周面と、第2弁座部材66bの下面と、蓋部材66cの上面とに囲まれて弁室65が構成される。弁体67は、弁室65内において移動可能に配置される。弁体67は、例えば、球体である。弁体67の外径は、インポート62の内径および第2弁座部材66bの内径よりも大きい。
【0042】
ピン51は、孔部41aに位置する。より詳細には、ピン51は、孔部41aに嵌め合わされた接続部分61cの径方向内側に、軸方向に移動可能に支持される。ピン51は、例えば、軸方向に延びる円柱状である。ピン51は、接続部分61cの径方向内側に挿入される被支持部51aと、被支持部51aの下端から下側に延びる作用部51bと、を有する。被支持部51aの上端部は、空間S内に突出し、ガイド部30の径方向内側に位置する。被支持部51aの上端面は、可動子50の下端面と接触可能である。被支持部51aの下端部は、ドレインポート64内に位置する。被支持部51aの下端部は、上側から下側に向かって外径が小さくなるテーパ部である。
【0043】
作用部51bの外径は、被支持部51aの外径よりも小さい。作用部51bは、第1弁座部材66aの内部およびアウトポート63を通って、第2弁座部材66bの内部まで延びる。作用部51bの下端は、弁体67と接触可能である。
【0044】
モールド80は、モールド本体部81と、コネクタ部82と、を有する。モールド本体部81は、カバー40の内側に位置する。モールド本体部81は、ソレノイド20の径方向外側、フランジ部72の径方向外側、およびマグネット73の径方向外側を覆う。モールド本体部81の上端部は、小径部43bの径方向内側に嵌め合わされる。モールド本体部81の径方向外側面と筒部43の内周面との径方向の間には、隙間が設けられる。
【0045】
コネクタ部82は、モールド本体部81から径方向外側に突出した位置から上側に延びる。コネクタ部82は、カバー40の外部に露出する。コネクタ部82は、上側に開口するコネクタ開口部82aを有する。コネクタ部82は、接続端子83を有する。接続端子83の一端は、コネクタ開口部82aの底面から上側に突出する。図示は省略するが、接続端子83の他端は、コイル23と電気的に接続される。コネクタ部82には、図示しない外部電源が接続される。外部電源は、接続端子83を介して、コイル23に電流を供給する。
【0046】
図3において破線の矢印で示すように、マグネット73の磁束は、マグネット73の上面から第2壁部42内に放出される。第2壁部42内に放出された磁束は、筒部43、第1壁部41、第1ガイド部31、可動子50、およびヨーク部材70をこの順に介して、マグネット73に下面から戻る。これにより、磁気回路が構成され、磁性体で構成される第1壁部41、ヨーク部材70および可動子50が励磁される。励磁されたヨーク部材70と可動子50との間には、互いに引き合う磁力が生じる。また、励磁された第1壁部41と可動子50との間には、互いに引き合う磁力が生じる。
【0047】
図1および図3では、可動子50が、ヨーク部材70との間の磁力によって、ヨーク部材70に吸着された状態を示している。ここで、可動子50がヨーク部材70に吸着された状態において、可動子50とヨーク部材70との間に働く引き合う磁力は、第1壁部41と可動子50との間に働く引き合う磁力と弾性部材52によって可動子50に加えられる下向きの弾性力とを合わせた力よりも大きい。そのため、ソレノイド20に電流を供給しなくても、可動子50をヨーク部材70に吸着された状態に保持できる。
【0048】
図1に示すように、可動子50がヨーク部材70に吸着された状態においては、弁体67は、インポート62から流入する流体の圧力によって上側に押し上げられ、第2弁座66eに嵌まる。これにより、弁体67は、インポート62とアウトポート63との間を閉塞する。したがって、弁部60は、閉じた状態となる。弁部60が閉じた状態においては、アウトポート63は、第1弁座部材66aの内部を介してドレインポート64と繋がる。
【0049】
一方、図2では、可動子50が、第1壁部41との間の磁力と弾性部材52によって加えられる下向きの弾性力とによって、ヨーク部材70から離された状態を示している。この状態においては、可動子50とヨーク部材70との間に働く引き合う磁力は、第1壁部41と可動子50との間に働く引き合う磁力と弾性部材52によって可動子50に加えられる下向きの弾性力とを合わせた力よりも小さい。そのため、ソレノイド20に電流を供給しなくても、可動子50をヨーク部材70から離れた図2の状態に保持できる。
【0050】
図2に示す状態においては、第1壁部41に吸引される可動子50によってピン51が下側に押し下げられる。そのため、弁体67が押し下げられて第2弁座66eから外れ、インポート62とアウトポート63とが繋がる。これにより、弁部60が開いた状態となり、インポート62から弁室65に流入する流体がアウトポート63に流れる。弁部60が開いた状態においては、被支持部51aの下端部であるテーパ部が第1弁座66dに嵌まる。これにより、ピン51は、ドレインポート64とアウトポート63との間を閉塞する。したがって、インポート62からアウトポート63に流入した流体の圧力が抜けることを抑制できる。弁部60が開いた状態において、可動子50と第1壁部41との軸方向の間には、隙間が設けられる。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、弁部60が開いた状態および弁部60が閉じた状態を維持するためにソレノイド20に電流を供給する必要がなく、電磁弁10の消費電力を低減できる。
【0052】
電磁弁10においては、ソレノイド20に電流を供給してコイル23に電流を流すことで、可動子50を軸方向に移動させることができ、弁部60が開いた状態と弁部60が閉じた状態とを切り換えることができる。例えば、図1に示す弁部60が閉じた状態において、コイル23に流れる電流の向きが上側から視て時計回りとなる向きに、ソレノイド20に電流を供給すると、図3に実線の矢印で示す磁気回路が生じる。すなわち、ソレノイド20によって生じる磁束は、ヨーク部材本体71から、可動子50および第1ガイド部31を介して、第1壁部41まで下向きに進んだ後、第1壁部41から径方向外側の筒部43に進み、筒部43内を上向きに進む。そして、ソレノイド20によって生じる磁束は、筒部本体43aと小径部43bとの接続部分からフランジ部72に移動して、ヨーク部材本体71に戻る。
【0053】
このようなソレノイド20によって生じる磁気回路においてヨーク部材70、可動子50および第1壁部41内を通る磁束の向きは、マグネット73によって生じる磁気回路においてヨーク部材70、可動子50および第1壁部41内を通る磁束の向きと逆向きである。そのため、ヨーク部材70、可動子50および第1壁部41内において、ソレノイド20の磁気回路による磁束とマグネット73の磁気回路による磁束が互いに弱め合う。これにより、ヨーク部材70と可動子50との間に働く引き合う磁力が小さくなる。したがって、可動子50とヨーク部材70との間に働く引き合う磁力が、第1壁部41と可動子50との間に働く引き合う磁力と弾性部材52によって可動子50に加えられる下向きの弾性力とを合わせた力よりも小さくなり、可動子50が下向きに移動する。これにより、弁部60の状態を、閉じた状態から開いた状態にすることができる。
【0054】
可動子50が下向きに移動して、図2に示す状態になった後には、ソレノイド20への電流の供給を停止しても、上述したように、可動子50は図2に示す状態に保持され、弁部60が開いた状態が保持される。
【0055】
一方、例えば、図2に示す弁部60が開いた状態において、コイル23に流れる電流の向きが上側から視て反時計回りとなる向き、すなわち上述した弁部60を開くときと逆向きに、ソレノイド20に電流を供給すると、図3に実線の矢印で示す磁気回路と逆向きの磁気回路が生じる。すなわち、ソレノイド20によって生じる磁束は、第1壁部41から、第1ガイド部31および可動子50を介して、ヨーク部材本体71まで上向きに進んだ後、ヨーク部材本体71から径方向外側のフランジ部72に進む。そして、ソレノイド20によって生じる磁束は、フランジ部72から筒部本体43aと小径部43bとの接続部分に移動して、筒部43内を下向きに進んで第1壁部41に戻る。
【0056】
このようなソレノイド20によって生じる磁気回路においてヨーク部材70、可動子50および第1壁部41内を通る磁束の向きは、マグネット73によって生じる磁気回路においてヨーク部材70、可動子50および第1壁部41内を通る磁束の向きと同じ向きである。そのため、ヨーク部材70、可動子50および第1壁部41内において、ソレノイド20の磁気回路による磁束とマグネット73の磁気回路による磁束が互いに強め合う。これにより、ヨーク部材70と可動子50との間に働く引き合う磁力が大きくなる。したがって、可動子50とヨーク部材70との間に働く引き合う磁力が、第1壁部41と可動子50との間に働く引き合う磁力と弾性部材52によって可動子50に加えられる下向きの弾性力とを合わせた力よりも大きくなり、可動子50が上向きに移動する。これにより、弁部60の状態を、開いた状態から閉じた状態にすることができる。
【0057】
可動子50が上向きに移動して、図1に示す状態になった後には、ソレノイド20への電流の供給を停止しても、上述したように、可動子50は図1に示す状態に保持され、弁部60が閉じた状態が保持される。
【0058】
本実施形態によれば、ヨーク部材70が、カバー40の内側面から離れた位置において、マグネット73よりも径方向外側に位置した部分として、フランジ部72を有する。そのため、ヨーク部材70の一部をカバー40に近づけることができ、マグネット73を介さずにヨーク部材70とカバー40との間に磁束を通しやすい。これにより、ソレノイド20に供給する電流量を比較的小さくしても、上述したマグネット73を通らないソレノイド20による磁気回路を構成しやすく、可動子50を軸方向に移動させることができる。したがって、本実施形態によれば、消費電力を低減できる電磁弁10が得られる。
【0059】
また、例えば、フランジ部の径方向外端が、径方向において、マグネット73の径方向外端と同じ位置、あるいはマグネット73よりも径方向内側に位置すると、ソレノイド20の磁束が、ヨーク部材70とカバー40との間を移動しにくく、ヨーク部材70からマグネット73、あるいはカバー40からマグネット73に流れやすい。しかし、マグネット73内においては、ソレノイド20の磁束が通りにくいため、ソレノイド20に供給する電流を大きくする必要がある。したがって、ヨーク部材70の一部、すなわちフランジ部72は、単にカバー40に近ければよいわけではなく、本実施形態のようにマグネット73よりも径方向外側に位置する必要がある。
【0060】
また、例えば、フランジ部がカバー40と接触する場合、ソレノイド20の磁束は、ヨーク部材とカバー40との間を移動しやすい。しかし、一方で、マグネット73から第2壁部42に放出された磁束が、ヨーク部材とカバー40との接触する箇所からヨーク部材に流れ、マグネット73に戻りやすい。そのため、図3に破線で示すような磁気回路を構成しにくい。これにより、可動子50に磁力による推力を好適に与えられない場合がある。したがって、ヨーク部材70の一部、すなわちフランジ部72は、単にカバー40に近ければよいわけではなく、本実施形態のようにカバー40の内側面から離す必要がある。
【0061】
また、本実施形態によれば、ガイド部30が磁性体製の第1ガイド部31を有するため、第1ガイド部31を介して、第1壁部41と可動子50との間に磁束を通しやすい。これにより、ソレノイド20による磁気回路をより構成しやすく、電磁弁10の消費電力をより低減しやすい。
【0062】
また、例えば、第1ガイド部31の上端がヨーク部材70と接触する場合、磁束が第1ガイド部31内を通って、ヨーク部材70から第1壁部41、あるいは第1壁部41からヨーク部材70へと移動しやすい。そのため、磁束が可動子50内を流れにくくなり、可動子50に対して磁力による推力を与えにくい場合がある。
【0063】
これに対して本実施形態によれば、ヨーク部材70と第1ガイド部31との軸方向の間に、非磁性体製の第1スペーサ部24dが設けられる。そのため、第1壁部41から第1ガイド部31に移動した磁束は、ガイド部30の径方向内側に位置する可動子50に移動した後に、ヨーク部材70へと移動する。また、ヨーク部材70から可動子50に磁束が移動しやすい。したがって、マグネット73の磁気回路およびソレノイド20の磁気回路において、磁束が可動子50内を通りやすく、可動子50に磁力による推力を与えやすい。
【0064】
また、本実施形態によれば、筒部43が、上側の端部に外径が小さくなる小径部43bを有するため、カバー40をフランジ部72により近づけることができる。したがって、ソレノイド20の磁気回路をより構成しやすく、電磁弁10の消費電力をより低減できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、カバー40の内側面から離れた位置において、マグネット73よりも径方向外側に位置した部分が、フランジ部72である。そのため、ヨーク部材本体71の外径を比較的小さくしてソレノイド20の径方向内側に配置しつつ、ヨーク部材70の一部をカバー40に近づけることができる。これにより、電磁弁10の径方向の寸法を小型化しつつ、ソレノイド20の磁気回路を構成しやすくでき、電磁弁10の消費電力を低減できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、フランジ部72の径方向外端部がボビン部24の径方向外側面よりも径方向外側に配置されるため、フランジ部72をよりカバー40に近づけることができる。したがって、ソレノイド20の磁気回路をより構成しやすく、電磁弁10の消費電力をより低減できる。
【0067】
<第2実施形態>
図4に示すように、本実施形態の電磁弁110は、第2スペーサ部174を備える。第2スペーサ部174は、中心軸Jを中心とする円環状の部材である。第2スペーサ部174は、非磁性体製である。第2スペーサ部174は、カバー40に収容され、マグネット73の径方向外側に配置される。
【0068】
第2スペーサ部174は、軸方向に延びる円筒状の本体部174aと、本体部174aの下端部から径方向に拡がる円環板状の円環板部174bと、を有する。本体部174aの上端は、第2壁部42の下面に接触する。本体部174aの径方向内側には、マグネット73が嵌め合わされる。円環板部174bの下面は、フランジ部72の上面に接触する。円環板部174bの径方向外端は、筒部本体43aの内周面に接触する。
【0069】
第2壁部42の下側の面から第2スペーサ部174の下側の端部、すなわち円環板部174bの下面までの軸方向の距離Lは、マグネット73の軸方向の寸法Hよりも大きい。そのため、電磁弁110の組み立て時に、ソレノイド20およびヨーク部材70に上向きの力が加えられる場合であっても、第2スペーサ部174によって、ヨーク部材70からマグネット73に直接的に力が加えられることを抑制できる。これにより、マグネット73が破損することを抑制できる。電磁弁110の組み立て時に、ソレノイド20およびヨーク部材70に上向きの力が加えられる場合とは、例えば、カバー40の下端部をかしめてカバー40の内部に各部を収容固定する場合等である。
【0070】
ボビン部124は、第1実施形態と異なり、凸部24eを有しない。代わりに、凹部71a内には、Oリング190が配置される。これにより、ヨーク部材70とボビン部124との間のシール性を向上できる。そのため、可動子50が移動する空間内に流入した流体が、ヨーク部材70とボビン部124との間を通ることを抑制でき、流体がマグネット73に到達することを抑制できる。
【0071】
第1スペーサ部126は、第1実施形態と異なり、ボビン部124と別部材である。第1スペーサ部126は、中心軸Jを中心とする円筒状である。第1スペーサ部126は、ボビン本体24aの内周面に嵌め合わされる。第1スペーサ部126は、例えば、非磁性の金属製である。
【0072】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。ヨーク部材は、フランジ部を有しなくてもよい。この場合、例えば、ヨーク部材は、外径が軸方向の全体に亘ってほぼ均一な柱状としてもよい。また、ヨーク部材の構成は、少なくとも一部が、カバー40の内側面から離れた位置において、マグネット73よりも径方向外側に位置していれば、特に限定されない。
【0073】
また、上記実施形態において、第1スペーサ部の内周面は、ガイド部30の内周面よりも径方向外側に位置する構成としたが、これに限られない。第1スペーサ部の内周面は、ガイド部30の内周面と、径方向において同じ位置に配置されてもよい。この場合、第1スペーサ部も、可動子50を軸方向に移動可能に支持するガイド部として機能する。また、カバー40は、小径部43bを有しなくてもよい。また、弾性部材52の構成は、可動子50に対してマグネット73から離れる向きに弾性力を加えられるならば、特に限定されない。
【0074】
また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0075】
10,110…電磁弁、20…ソレノイド、23…コイル、24,124…ボビン部、24d,126…第1スペーサ部、24e…凸部、30…ガイド部、31…第1ガイド部、32…第2ガイド部、40…カバー、41…第1壁部、41a…孔部、42…第2壁部、43…筒部、43b…小径部、50…可動子、50d…収容凹部、51…ピン、52… 弾性部材、60…弁部、70…ヨーク部材、71…ヨーク部材本体、71a…凹部、72…フランジ部、73…マグネット、174…第2スペーサ部、J…中心軸

図1
図2
図3
図4