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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】適格性自動判定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020547699
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2018035829
(87)【国際公開番号】W WO2020065804
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 覚
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡本 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】岡部 有真
(72)【発明者】
【氏名】安井 千裕
【審査官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010016(JP,A)
【文献】特公昭60-002712(JP,B2)
【文献】特開2013-083452(JP,A)
【文献】特許第3769904(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析システムとの間で相互に通信可能なコンピュータに組み込まれ、前記分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性を自動的に判定するように構成された適格性自動判定システムであって、
前記分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性を判定するための試験に関する情報を有する電子文書である適格性確認文書を保持する確認文書保持部と、
動作適格性の判定対象のコンポーネントに関する前記適格性確認文書を前記確認文書保持部から読み出すように構成された確認文書読出し部と、
前記確認文書読出し部により読み出された前記適格性確認文書のもつ情報を読み取り、その情報に基づいて動作適格性の判定対象のコンポーネントを動作させることにより前記適格性確認文書に規定された適格性判定項目の試験を実行するように構成された判定試験実行部と、
前記判定試験実行部により実行された前記試験の結果に基づいて、その前記試験に対応する前記適格性判定項目についての適格性を判定するように構成された適格性判定部と、を備え
前記確認文書保持部は、前記分析システムを構成するコンポーネントを含む複数種類のコンポーネントについての前記適格性確認文書を保持するものであり、
前記適格性自動判定システムは、前記分析システムのコンポーネント構成を検出するように構成されたコンポーネント構成検出部をさらに備え、
前記確認文書読出し部は、前記コンポーネント構成検出部により検出されたコンポーネント構成に基づいて、前記分析システムを構成するコンポーネントについての前記適格性確認文書を前記確認文書保持部から読み出すように構成されている、適格性自動判定システム。
【請求項2】
前記確認文書読出し部は、前記コンポーネント構成検出部により検出されたコンポーネント構成に適合する前記適格性確認文書の一覧を表示して当該適格性自動判定システムの操作者に読み出すべき前記適格性確認文書を選択させ、前記操作者により選択された前記適格性確認文書を前記確認文書保持部から読み出すように構成されている、請求項に記載の適格性自動判定システム。
【請求項3】
前記適格性判定部による判定結果が表記された検証結果報告書を作成するように構成された報告書作成部をさらに備えている、請求項1又は2に記載の適格性自動判定システム。
【請求項4】
前記検証結果報告書に表記された判定結果の書換えを禁止するように構成された書換え禁止部をさらに備えている、請求項に記載の適格性自動判定システム。
【請求項5】
前記報告書作成部は、前記検証結果報告書に表記された判定結果の基となる試験の結果のデータを当該検証結果報告書に添付するように構成されている、請求項又はに記載の適格性自動判定システム。
【請求項6】
前記確認文書保持部は、新規の前記適格性確認文書を追加的に保持することができるように構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の適格性自動判定システム。
【請求項7】
前記適格性判定項目の試験の実行手順を当該適格性判定項目の識別情報とともに記憶する実行手順記憶部をさらに備え、
前記適格性確認文書には実行すべき前記適格性判定項目の前記識別情報が埋め込まれており、
前記判定試験実行部は、前記適格性確認文書に埋め込まれている前記識別情報に基づいて実行すべき前記適格性判定項目を特定するとともに、特定した前記適格性判定項目の試験を前記実行手順記憶部に記憶されている前記実行手順に基づいて実行するように構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の適格性自動判定システム。
【請求項8】
前記適格性確認文書には、実行すべき前記適格性判定項目の試験に必要な条件値が前記識別情報に対応付けてられて埋め込まれており、
前記判定試験実行部は、前記適格性確認文書に埋め込まれている前記条件値を用いて前記適格性判定項目の試験を実行するように構成されている、請求項に記載の適格性自動判定システム。
【請求項9】
前記適格性確認文書には、実行すべき前記適格性判定項目の適格性判定に必要な基準値が前記識別情報に対応付けてられて埋め込まれており、
前記適格性判定部は、前記適格性確認文書に埋め込まれている前記基準値を用いて前記適格性判定項目についての適格性判定を行なうように構成されている、請求項又はに記載の適格性自動判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性を自動的に判定するための適格性自動判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析システムが構築され設置された後、その分析システムが正しく動作するか否かを確認する動作適格性判定がエンジニアによって行なわれることが一般的である。動作適格性判定を行なうための手順や基準は、その分析システムを構成するコンポーネントごとに厳格に規定されて文書化される。以下においては、動作適格性判定を行なうための手順や基準が規定されている文書を適格性確認文書と称する。
【0003】
エンジニアは、例えばノート型パーソナルコンピュータ上で判定対象のコンポーネントについての適格性確認文書を開き、それを参照しながらそのコンポーネントを操作し、規定された動作を実行させて得られた数値等を元にそのコンポーネントの動作が適格か否かを判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、分析システムの動作適格性の判定は、エンジニアが予め作成された確認文書を参照しながら試験を実施し、それによって得られた数値等を評価することにより行なうことが一般的であり、判定作業が煩雑である上に人為的なミスも起こり得るという問題があった。特に、液体クロマトグラフィー分析システム(以下、LCシステム)のような多数のコンポーネントが組み合わされて構成される分析システムでは、コンポーネントごとに異なる適格性確認文書を確認しながら装置を操作し判定を行わなければならず、人為的なミスが起こる危険性が増大する。
【0005】
上記の理由から、分析システムの動作適格性の判定を自動化することが好ましいのであるが、LCシステムなどの分析システムでは、顧客の求める仕様により、分析システムを構成するコンポーネントの種類や数が異なる。そのため、分析システムの動作適格性を自動的に行なうための判定自動化用ソフトウェアとして、分析システムのコンポーネント構成に応じたものを用意する必要がある。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、分析システムの構成に応じた判定自動化用ソフトウェアを用意しなくても、分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性の判定の自動化を汎用的に行なうことができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、分析システムとの間で相互に通信可能なコンピュータに組み込まれ、前記分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性を自動的に判定するように構成された適格性自動判定システムであって、確認文書保持部、確認文書読出し部、判定試験実行部及び適格性判定部を備えているものである。前記確認文書保持部は、前記分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性を判定するための試験に関する情報を有する電子文書である適格性確認文書を保持する。前記確認文書読出し部は、動作適格性の判定対象のコンポーネントに関する前記適格性確認文書を前記確認文書保持部から読み出すように構成されている。前記判定試験実行部は、前記確認文書読出し部により読み出された前記適格性確認文書のもつ情報を読み取り、その情報に基づいて動作適格性の判定対象のコンポーネントを動作させることにより前記適格性確認文書に規定された適格性判定項目の試験を実行するように構成されている。前記適格性判定部は、前記判定試験実行部により実行された前記試験の結果に基づいて、その前記試験に対応する前記適格性判定項目についての適格性を判定するように構成されている。
【0008】
すなわち、本発明に係る適格性自動判定システムは、分析システムを構成するコンポーネントの適格性確認文書を予め作成して確認文書保持部に保持させておくだけで、当該適格性自動判定システムがその適格性確認文書を読み出して当該適格性確認文書のもつ情報を読み取り、規定された適格性判定項目の試験を自動的に実行し、さらに適格性の判定も行なうように構成されている。このため、分析システムを構成するコンポーネントの動作適格性の判定の自動化のためには、そのコンポーネントの適格性確認文書さえ作成すればよい。したがって、分析システムの構成に応じた判定自動化用ソフトウェアを作成する必要がない。
【0009】
ここで、「コンポーネント」とは、分析システムを構成するすべての構成要素、例えばLCシステムでいえば、送液ポンプ、オートサンプラ、カラムオーブン、検出器のほかに、各構成要素の動作管理を行なうシステムコントローラやデータ処理装置などを含む概念である。したがって、動作適格性の判定対象には、送液ポンプ、オートサンプラ、カラムオーブン、検出器といったハードウェアだけでなく、システムコントローラやデータ処理装置に搭載されているソフトウェアも含まれる。
【0010】
好ましい実施形態では、前記確認文書保持部は、前記分析システムを構成するコンポーネントを含む複数種類のコンポーネントについての前記適格性確認文書を保持し、当該適格性自動判定システムは、前記分析システムのコンポーネント構成を検出するように構成されたコンポーネント構成検出部をさらに備え、前記確認文書読出し部は、前記コンポーネント構成検出部により検出されたコンポーネント構成に基づいて、前記分析システムを構成するコンポーネントについての前記適格性確認文書を前記確認文書保持部から読み出すように構成されている。このように、確認文書保持部に複数種類のコンポーネント(1つの分析システムを構成するコンポーネントよりも多くのコンポーネント)を保持させておき、分析システムの構成に応じた適格性確認文書のみを読み出すようにすれば、適格性自動判定システムの汎用性が向上する。
【0011】
上記の場合、前記確認文書読出し部は、前記コンポーネント構成検出部により検出されたコンポーネント構成に適合する前記適格性確認文書の一覧を表示して当該適格性自動判定システムの操作者に読み出すべき前記適格性確認文書を選択させ、前記操作者により選択された前記適格性確認文書を前記確認文書保持部から読み出すように構成されていてもよい。
【0012】
また、従来では、エンジニアが動作適格性の判定結果を適格性確認文書の所定の記入欄に記入して報告書を作成するようになっており、ここでも人為的ミスが起こる危険性があった。そこで、本発明においては、前記適格性判定部による判定結果が表記された検証結果報告書を作成するように構成された報告書作成部を備えていることが好ましい。そうすれば、判定結果が表記された報告書が自動的に作成され、人為的ミスの発生を防止することができる。
【0013】
上記の場合、前記検証結果報告書に表記された判定結果の書換えを禁止するように構成された書換え禁止部をさらに備えていることが好ましい。そうすれば、報告書作成部により作成された検証結果報告書の内容を書き換えることができなくなり、報告書の改ざんを防止できる。
【0014】
さらに、前記報告書作成部は、前記検証結果報告書に表記された判定結果の基となる試験の結果のデータを当該検証結果報告書に添付するように構成されていることが好ましい。そうすれば、判定結果の裏付けとなるデータが検証結果報告書に自動的に添付されるので、検証結果報告書の信頼性が向上する。
【0015】
また、前記確認文書保持部は、新規の前記適格性確認文書を追加的に保持することができるように構成されていることが好ましい。そうすれば、新規のコンポーネントがある場合に、そのコンポーネント用の適格性確認文書を確認文書保持部に追加するだけでそのコンポーネントの動作適格性判定の自動化を実現でき、適格性自動判定システム自身(ソフトウェア)の修正が不要である。
【0016】
好ましい実施形態では、前記適格性判定項目の試験の実行手順を当該適格性判定項目の識別情報(ID)とともに記憶する実行手順記憶部をさらに備え、前記適格性確認文書には実行すべき前記適格性判定項目の前記識別情報が埋め込まれており、前記判定試験実行部は、前記適格性確認文書に埋め込まれている前記識別情報に基づいて実行すべき前記適格性判定項目を特定するとともに、特定した前記適格性判定項目の試験を前記実行手順記憶部に記憶されている前記実行手順に基づいて実行するように構成されている。
【0017】
また、好ましい実施形態では、前記適格性確認文書に、実行すべき前記適格性判定項目の試験に必要な条件値が前記識別情報に対応付けてられて埋め込まれており、前記判定試験実行部は、前記適格性確認文書に埋め込まれている前記条件値を用いて前記適格性判定項目の試験を実行するように構成されている。
【0018】
また、好ましい実施形態では、前記適格性確認文書に、実行すべき前記適格性判定項目の適格性判定に必要な基準値が前記識別情報に対応付けてられて埋め込まれており、前記適格性判定部は、前記適格性確認文書に埋め込まれている前記基準値を用いて前記適格性判定項目についての適格性判定を行なうように構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る適格性自動判定システムでは、分析システムを構成するコンポーネントの適格性確認文書を作成して確認文書保持部に保持させておくだけで、規定された適格性判定項目の試験を自動的に実行して動作適格性の判定を行なうように構成されているので、コンポーネントの動作適格性の判定自動化のために、そのコンポーネントの適格性確認文書さえ作成すればよく、分析システムの構成に応じた判定自動化用ソフトウェアを作成する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】適格性自動判定システムの一実施例を概略的に示すブロック図である。
図2】同実施例による分析システムの適格性判定動作の一例を示すフローチャートである。
図3】同実施例による適格性判定用の試験における動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実行するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明に係る適格性自動判定システムの一実施例について説明する。
【0022】
図1に示されているように、適格性自動判定システム2は、分析システム1との間で相互に通信可能なパーソナルコンピュータ(PC)などのコンピュータに組み込まれている。この実施例の分析システム1はコンポーネント1~コンポーネントNまでの複数のコンポーネントによって構成されている。分析システム1がLCシステムである場合、送液ポンプ、オートサンプラ、カラムオーブン、検出器、システムコントローラ、演算処理用のコンピュータなどがそれぞれコンポーネントに該当する。適格性自動判定システム2は、分析システム1を構成するコンポーネント1~Nのうち任意のコンポーネントについて、そのコンポーネントが適正に動作するか否かについての動作適格性判定を自動的に行なうためのものである。
【0023】
適格性自動判定システム2は、確認文書保持部4、実行手順記憶部6、コンポーネント構成検出部8、確認文書読出し部10、判定試験実行部12、適格性判定部14、報告書作成部16及び書換え禁止部18を備えている。確認文書保持部4及び実行手順記憶部6は、適格性自動判定システム2の組み込まれているコンピュータが備える記憶装置の一部の記憶量によって実現される機能である。コンポーネント構成検出部8、確認文書読出し部10、判定試験実行部12、適格性判定部14、報告書作成部16及び書換え禁止部18は、適格性自動判定システム2の組み込まれたコンピュータが備える演算素子がプログラムを実行することによって得られる機能である。
【0024】
確認文書保持部4は、分析システム1のコンポーネント1~Nのうちの少なくとも一部についての適格性確認文書を保持している。適格性確認文書は、コンポーネントごとに作成される文書であって、対応するコンポーネントの動作適格性判定のために実施すべき試験の項目(適格性判定項目)、その適格性判定項目の実行手順、試験を行なう際の条件値、判定の基準値が記載されているPDF形式等の電子文書である。
【0025】
従来では、エンジニアが対象となるコンポーネントを操作して適格性確認文書を参照しながら規定されている適格性判定項目の試験を実施し、その試験結果を適格性確認文書に規定されている基準値と比較して動作適格性の判定を行なっていた。
【0026】
この実施例では、適格性確認文書に適格性判定項目のIDや条件値、基準値といった情報がフィールド情報として埋め込まれており、後述する判定試験実行部12及び適格性判定部14がそのフィールド情報を読み込んで対象となるコンポーネントを自動的に操作し、動作適格性の試験及び判定を自動的に実行する。
【0027】
確認文書保持部4には、新規の適格性確認文書を保持させることができ、既存の適格性確認文書の内容を更新することもできる。また、分析システム1のコンポーネント構成、すなわち、分析システム1がどのようなコンポーネントの組合せによって構成されているかは、顧客の要求する仕様に応じて変化するものであるため、確認文書保持部4には、実際に分析システム1を構成しているコンポーネント1~Nについての適格性確認文書だけでなく、それ以外のコンポーネントについての適格性確認文書が保持されることが好ましい。
【0028】
コンポーネント構成検出部8は、分析システム1との間で通信を行なうことによって、分析システム1を実際に構成する各コンポーネント1~Nを検出するように構成されている。
【0029】
確認文書読出し部10は、確認文書保持部4に保持されている適格性確認文書のうちから、コンポーネント構成検出部8によって検出された分析システム1の各コンポーネント1~Nに対応する適格性確認文書を検索し、動作適格性の判定対象のコンポーネントの適格性確認文書を読み出すように構成されている。
【0030】
好ましい実施形態では、確認文書読出し部10は、分析システム1を構成する各コンポーネント1~NのコンポーネントIDに対応付けられた適格性確認文書を検索し、適合する適格性確認文書の一覧を表示して当該適格性自動判定システム2の操作者に読み出すべき適格性確認文書(すなわち、動作適格性の判定を実行すべきコンポーネント)を選択させ、操作者によって選択された適格性確認文書を確認文書保持部4から読み出すように構成されている。
【0031】
判定試験実行部12は、確認文書読出し部10により読み出された適格性確認文書内に埋め込まれた実行すべき適格性判定項目のIDや各項目の試験の条件値を読み取り、対象のコンポーネントに対して規定された適格性判定項目の試験を実行するように構成されている。適格性判定項目の試験の実行手順は適格性判定項目のIDと対応付けられて実行手順記憶部6に記憶されている。判定試験実行部12は、適格性確認文書から読み取った適格性判定項目のIDに基づいてその項目用の実行手順を実行手順記憶部6から読み出し、その手順に沿って当該項目の試験を実施するように構成されている。
【0032】
なお、適格性確認文書内に各適格性判定項目の試験の実行手順に関する情報も埋め込まれているのであれば、判定試験実行部12がその情報を読み取ることによって各適格性判定項目の試験を実行することができるので、実行手順記憶部6は必須の構成要素ではない。
【0033】
適格性判定部14は、判定試験実行部12により実行される各適格性判定項目の試験結果を適格性確認文書から読み取った当該項目の基準値と比較することにより、当該項目について適格か否かの判定を行なうように構成されている。
【0034】
報告書作成部16は、適格性判定部14による各適格性判定項目の判定結果を表記した検証結果報告書を作成するように構成されている。好ましい実施形態では、報告書作成部16は、各適格性判定項目の判定結果の基となる試験結果のデータを検証結果報告書に添付するように構成されていることが好ましい。報告書作成部16により作成される検証結果報告書は、適格性確認文書の判定結果記入欄に判定結果が記入されたものであってよい。
【0035】
書換え禁止部18は、報告書作成部16により作成された検証結果報告書内の記載内容の書換えを禁止する処理、例えば検証結果報告書を読取り専用にする処理、を行なうように構成されている。
【0036】
次に、適格性自動判定システム2による適格性判定試験の実行までの一連の流れについて、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
分析システム1を構成するコンポーネントについて動作適格性の判定を実行する際、まず、コンポーネント構成検出部8が分析システム1のコンポーネント構成を検出する(ステップS1)。この実施例では、分析システム1がコンポーネント1~Nによって構成されていることが検出される。
【0038】
確認文書読出し部10は、コンポーネント構成検出部8によって検出された各コンポーネント1~Nに対応する適格性確認文書を検索し、該当する適格性確認文書の一覧を表示し(ステップS2)、読み出すべき適格性確認文書をシステム2の操作者に選択させる(ステップS3)。確認文書読出し部10は、操作者により選択された適格性確認文書を確認文書保持部4から読み出す(ステップS4)。確認文書読出し部10により適格性確認文書が読み出されると、判定試験実行部12がその適格性確認文書の有する情報(例えばフィールド情報として埋め込まれている情報)と実行手順記憶部6に記憶されている実行手順を用いて、対象となるコンポーネントを操作して所定の適格性判定項目の試験を実行する(ステップS5)。判定試験実行部12により各項目についての試験が実行されると、各試験で得られた結果に基づいて適格性判定部14が適格性判定を行なう。
【0039】
他に動作適格性の判定を行なうべきコンポーネントが存在する場合にはステップS3~S5を繰り返し実行し、動作適格性の判定を行なうべきコンポーネントがなくなれば終了となる(ステップS6)。
【0040】
次に、コンポーネントの動作適格性判定用の試験から検証結果報告書(以下、報告書)が出力されるまでの一連の動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
図2のフローチャートにおけるステップS3において、当該システム2の操作者が読み出すべき適格性確認文書を選択すると、判定試験実行部12は、当該適格性確認文書内に埋め込まれている適格性判定項目ID、条件値、基準値をそれぞれ読み取り(ステップS11、S12)、実行手順記憶部6に記憶されている当該項目についての実行手順に沿って試験を実施する(ステップS13)。適格性判定部14は、判定試験実行部12により実施された試験の結果に基づいて当該項目の適格性判定を行なう(ステップS14)。報告書作成部16は、適格性判定部14による当該項目の判定結果を報告書に記入する(ステップS15)。
【0042】
上記S11~S15までの動作は、当該適格性確認文書に規定されているすべての適格性判定項目について順に実行される(ステップS16)。すべての項目についての判定結果が報告書に記入されると、書換え禁止部18は報告書の書換え禁止処理を行なう(ステップS17)。さらに、報告書作成部16は、作成した報告書に各項目についての試験結果のデータを添付し(ステップS18)、PDFファイル等の文書として出力する(ステップS19)。
【符号の説明】
【0043】
1 分析システム
2 適格性自動判定システム
4 確認文書保持部
6 実行手順記憶部
8 コンポーネント構成検出部
10 確認文書読出し部
12 判定試験実行部
14 適格性判定部
16 報告書作成部
18 書換え禁止部
図1
図2
図3