(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】移動型放射線撮影装置、無線通信プログラム及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A61B6/00 310
(21)【出願番号】P 2021139782
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 裕一
(72)【発明者】
【氏名】種田 敦
(72)【発明者】
【氏名】林 直輝
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-028628(JP,A)
【文献】特開2019-076638(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213564(WO,A1)
【文献】特開2015-058077(JP,A)
【文献】特開2015-083114(JP,A)
【文献】特開2015-083113(JP,A)
【文献】特開2016-044001(JP,A)
【文献】特開2020-196375(JP,A)
【文献】国際公開第2006/103838(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線による
静止画撮影及び動態撮影を行う移動型放射線撮影装置であって、
放射線源及び車輪と、
少なくとも移動型放射線撮影装置からのデータ通信に使用するために設けられた、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントを検知する検知部と、
前記
静止画撮影により得られた静止画像、及び動態撮影により得られた複数フレームを含む動態画像を前記第1の無線アクセスポイントに接続して出力する無線通信部と、
前記第1の無線アクセスポイント
と接続している際に、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイント
の電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更する制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記静止画像の場合であって、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更し、前記第1の無線アクセスポイントへの
出力が前記動態画像
の場合、前記動態画像の出力が継続している期間、
前記第1の無線アクセスポイント
との接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更
しないこと、を特徴とする移動型放射線撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記動態画像の場合、前記動態画像の出力が継続している期間、前記移動型放射線撮影装置を移動させるための駆動系を駆動させないよう制御することを特徴とする請求項
1に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項3】
報知部を備え、
前記制御部は、前記報知部に、無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報を出力することを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項4】
前記報知部は、文字、図形、色彩、光、音、振動のいずれか1つ以上を用いて前記無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報を報知すること、を特徴とする請求項
3に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項5】
前記報知部は表示画面であることを特徴とする請求項
4に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項6】
前記無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報は、前記第1の無線アクセスポイントに関する情報を含むことを特徴とする請求項
3~5のいずれか一項に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項7】
前記報知部は、前記第2の無線アクセスポイントに関する情報を報知することを特徴とする請求項
6に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項8】
前記報知部は、前記第1の無線アクセスポイントに関する情報と前記第2の無線アクセスポイントに関する情報とを比較可能な状態で報知すること、を特徴とする請求項
7に記載の移動型放射線撮影装置。
【請求項9】
放射線源及び車輪を備え、放射線による
静止画撮影及び動態撮影を行う移動型放射線撮影装置に関する無線通信を行う無線通信プログラムであって、
コンピューターに、
少なくとも移動型放射線撮影装置からのデータ通信に使用するために設けられた、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントを検知する第1処理と、
前記
静止画撮影により得られた静止画像、及び動態撮影により得られた複数フレームを含む動態画像を前記第1の無線アクセスポイントに接続して出力する第2処理と、
前記第1の無線アクセスポイント
と接続している際に、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイント
の電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更する第3処理と、を備え、
前記第3処理は、
前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記静止画像の場合であって、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更し、前記第1の無線アクセスポイントへの
出力が前記動態画像
の場合、前記動態画像の出力が継続している期間、
前記第1の無線アクセスポイント
との接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更
しないこと、を特徴とする無線通信プログラム。
【請求項10】
放射線源及び車輪を備え、放射線による
静止画撮影及び動態撮影を行う移動型放射線撮影装置に関する無線通信を行う無線通信方法であって、
少なくとも移動型放射線撮影装置からのデータ通信に使用するために設けられた、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントを検知する第1ステップと、
前記
静止画撮影により得られた静止画像、及び動態撮影により得られた複数フレームを含む動態画像を前記第1の無線アクセスポイントに接続して出力する第2ステップと、
前記第1の無線アクセスポイント
と接続している際に、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイント
の電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更する第3ステップと、を備え、
前記第3ステップは、
前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記静止画像の場合であって、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更し、前記第1の無線アクセスポイントへの
出力が前記動態画像
の場合、前記動態画像の出力が継続している期間、
前記第1の無線アクセスポイント
との接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更
しないこと、を特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型放射線撮影装置、無線通信プログラム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療施設内での無線通信に関する各種技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、無線通信環境でのAEC(自動露出制御)の安定性向上のため、予め撮影前の時点で各無線周波数帯域に対する安定性をチェックし、安定している帯域を選定することが記載されている。
また、特許文献2には、放射線画像生成装置から制御装置へ無線通信を行う際の無線の通信状態(速度)を事前に算出・把握し、通信状態に問題がある場合は、通信チャネルあるいは通信規格の変更を指示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-94007号公報
【文献】特許第5428767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、先行技術文献では、撮影前の無線通信状態に基づいて、制御情報や画像データの送受信に使用する無線通信規格や周波数帯域を選択する内容が主となっている。しかしながら、回診車(移動型放射線撮影装置)での動態撮影の導入により、撮影前の状態に応じて単に利用する通信規格や周波数帯域等を選択するだけでは、安定して画像出力完了までを担保できなくなっている。
【0005】
例えば、医療施設の既存無線LANでは、電子カルテ端末向けに、利用場所が固定され、かつ小さいデータ量の転送を想定したネットワーク環境(例えば、IPアドレスをフロア・部屋単位で分離、転送速度が遅い無線規格11b/g等)が用いられている。このような環境において、回診車で撮影した画像データを転送する場合、回診車特有の移動に伴う無線ネットワークの切断(無線アクセスポイントの切り替え)が発生するが、これまでは静止画の転送が主であったため、短い送信時間のために影響が出なかった。
【0006】
しかしながら、動態撮影では1撮影で数百のフレーム画像を含む動態画像を撮影することになるため、全てのフレーム画像を無線通信で動態解析装置等に出力するためには静止画に比して出力時間が長くなり、画像出力完了までの間の無線ネットワークの切断及びデータ再送の発生率が増加してしまう。具体的には、ある無線アクセスポイントと接続しての動態画像の出力中に回診車を次の撮影患者のところ等に向けて移動させた際に、回診車で無線強度のより強い他の無線アクセスポイントを検知すると、全てのフレーム画像の出力が終わる前に当該他の無線アクセスポイントに切り替わってしまう。そうなると、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)通信規格では、1アクセス1ファイルの通信となっているため、動態画像を1から送り直す形となり、画像出力完了までが一層遅延することになる。これらの点については、特許文献1や特許文献2では何も考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、移動型放射線撮影装置の移動により生じる無線通信の切断及び再送により動態画像の出力が遅延することを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の移動型放射線撮影装置は、
放射線による静止画撮影及び動態撮影を行う移動型放射線撮影装置であって、
放射線源及び車輪と、
少なくとも移動型放射線撮影装置からのデータ通信に使用するために設けられた、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントを検知する検知部と、
前記静止画撮影により得られた静止画像、及び動態撮影により得られた複数フレームを含む動態画像を前記第1の無線アクセスポイントに接続して出力する無線通信部と、
前記第1の無線アクセスポイントと接続している際に、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更する制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記静止画像の場合であって、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更し、前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記動態画像の場合、前記動態画像の出力が継続している期間、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更しないこと、を特徴とする。
【0009】
本発明の無線通信プログラムは、
放射線源及び車輪を備え、放射線による静止画撮影及び動態撮影を行う移動型放射線撮影装置に関する無線通信を行う無線通信プログラムであって、
コンピューターに、
少なくとも移動型放射線撮影装置からのデータ通信に使用するために設けられた、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントを検知する第1処理と、
前記静止画撮影により得られた静止画像、及び動態撮影により得られた複数フレームを含む動態画像を前記第1の無線アクセスポイントに接続して出力する第2処理と、
前記第1の無線アクセスポイントと接続している際に、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更する第3処理と、を備え、
前記第3処理は、前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記静止画像の場合であって、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更し、前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記動態画像の場合、前記動態画像の出力が継続している期間、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更しないこと、を特徴とする。
【0010】
本発明の無線通信方法は、
放射線源及び車輪を備え、放射線による静止画撮影及び動態撮影を行う移動型放射線撮影装置に関する無線通信を行う無線通信方法であって、
少なくとも移動型放射線撮影装置からのデータ通信に使用するために設けられた、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントを検知する第1ステップと、
前記静止画撮影により得られた静止画像、及び動態撮影により得られた複数フレームを含む動態画像を前記第1の無線アクセスポイントに接続して出力する第2ステップと、
前記第1の無線アクセスポイントと接続している際に、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更する第3ステップと、を備え、
前記第3ステップは、前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記静止画像の場合であって、前記第1の無線アクセスポイントの電波強度よりも前記第2の無線アクセスポイントの電波強度が強くなった場合、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更し、前記第1の無線アクセスポイントへの出力が前記動態画像の場合、前記動態画像の出力が継続している期間、前記第1の無線アクセスポイントとの接続を前記第2の無線アクセスポイントとの接続に変更しないこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動型放射線撮影装置の移動により生じる無線通信の切断及び再送により動態画像の出力が遅延することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】放射線撮影システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】
図1の移動型放射線撮影装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】医療施設内の無線通信環境を模式的に示す図である。
【
図4】
図2の制御部により実行される画像出力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図4のステップS10において表示部に表示される報知情報の一例を示す図である。
【
図6】無線アクセスポイントの変更抑制制御の実施中に表示される報知情報の一例を示す図である。
【
図7】第1の無線アクセスポイントからの電波の強度が弱くなっていることをユーザーに報知する報知情報の一例を示す図である。
【
図8】無線アクセスポイントの変更抑制制御を実施するか否かをユーザーが選択可能な報知情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(放射線撮影システム100の構成)
まず、本発明の実施形態の構成について説明する。
図1に、本実施形態における放射線撮影システム100の全体構成例を示す。放射線撮影システム100は、医療施設内に構築されたシステムであり、
図1に示すように、移動型放射線撮影装置10と、動態解析装置20と、RIS(Radiology Information System)30と、PACS(Picture Archiving and Communication System)40と、がLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。放射線撮影システム100が設置された医療施設内には、異なる複数の無線アクセスポイント(AP)6が備えられている。複数の無線アクセスポイント6は、例えば、通信規格、チャネル、及び/又はIPアドレスが互いに異なる。移動型放射線撮影装置10は、無線アクセスポイント6を介して通信ネットワークNに接続可能である。
放射線撮影システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
【0014】
移動型放射線撮影装置10は、例えば、移動が困難な患者の放射線撮影を回診で行うための装置である。移動型放射線撮影装置10は、本体1に車輪Wを有し、移動可能な回診車として構成されている。なお、移動型放射線撮影装置10は、車輪を有していないポータブルのものであってもよい。
移動型放射線撮影装置10は、手術室、集中治療室(ICU)や病室等に持ち込まれ、FPD2を、例えばベッドに寝ている被写体Sとベッドとの間もしくは、図示しないベッドの被写体Sとは反対面に設けられた挿入口に差し込む等した状態で、放射線源34から放射線を照射して、被写体Sの静止画撮影又は動態撮影を行う。本実施形態において、静止画撮影とは、1回の撮影操作に応じて一枚の被写体Sの画像を取得することをいう。動態撮影とは、1回の撮影操作に応じて、被写体Sに対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体Sの複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。
ここで、動態撮影には動画撮影が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影するものは含まれない。動態画像には、動画像が含まれるが、動画像を表示しながら静止画像を撮影して得られた画像は含まれない。
【0015】
図2は、移動型放射線撮影装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、移動型放射線撮影装置10は、本体1、FPD2、放射線源3、曝射スイッチ4等を備えて構成されている。
【0016】
本体1は、制御部101、操作部102、表示部103、無線IF104、有線IF105、無線IF106、有線IF107、高圧発生機108、バッテリー109、電源分配部110等を備えて構成されている。
【0017】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等により構成されている。制御部101のCPUは、ROMに記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、移動型放射線撮影装置10各部の動作を集中制御するようになっている。
【0018】
操作部102は、操作ボタンやタッチパネル等を備えており、ユーザーによる操作内容(押下された操作ボタンの種類や、指やタッチペンの接触位置等)を検出し、それを操作情報として制御部101へ出力するようになっている。
また、操作部102には、ユーザーが放射線Xの照射を指示するための曝射スイッチ4が接続されている。
なお、曝射スイッチ4は、移動型放射線撮影装置10と有線あるいは無線で接続された遠隔操作可能なものとしてもよい。このようにすれば、ユーザーは、移動型放射線撮影装置10の本体1から離れた場所から放射線の曝射を制御することができる。
【0019】
表示部103は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部101から入力された表示信号の指示に従って検査オーダー情報や撮影した画像を表示するようになっている。ここで、検査オーダー情報は、例えば、RIS30から送信されるものであり、検査識別情報(検査ID等)、検査日付、被写体Sとなる患者に関する患者情報(患者ID、氏名、性別、年齢、病室(病棟)等)、検査で行われる各撮影に関する情報(撮影ID、静止画撮影又は動態撮影の区別を示す撮影種別、撮影条件(例えば、撮影部位、撮影方向、フレームレート、撮影枚数、撮影時間、放射線源3の照射電力等)、動態解析装置20で実施する解析処理の種別(解析処理の種類又は名称等)、依頼科、救急であるか否かの種別等))が含まれる。
なお、表示部103は、移動型放射線撮影装置10と有線あるいは無線で接続された遠隔表示可能なものとしてもよい。このようにすれば、ユーザーは、移動型放射線撮影装置10の本体1から離れた場所から各種情報を確認することができる。
また、表示部103とは別のサブモニターを有線あるいは無線で接続するようにしてもよい。
【0020】
無線IF(無線通信部)104は、無線アクセスポイント6と無線接続し、無線アクセスポイント6を介して通信ネットワークNに接続された外部装置(動態解析装置20、RIS30等)とデータ送受信(入出力)を行うためのインターフェースである。無線IF104は、無線アクセスポイント6からの電波を受信して無線アクセスポイント6を検知する検知部として機能する。また、受信した電波の電波強度を取得する。
有線IF105は、通信ケーブルを差し込んで有線通信により通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークNに接続された外部装置とデータ送受信を行うためのインターフェースである。
なお、通信ネットワークNとの接続方式は、制御部101による制御信号に基づいて有線又は無線に切り替えることが可能となっている。
【0021】
無線IF106は、FPD2と無線通信によりデータ送受信を行うための無線インターフェースである。
有線IF107は、通信ケーブルを差し込んで有線通信によりFPD2とデータ送受信を行うためのインターフェースである。
なお、FPD2との接続方式は、制御部101による制御信号に基づいて有線又は無線に切り替えることが可能となっている。
【0022】
高圧発生機108は、制御部101から制御信号を受信したことに基づいて、予め設定された放射線の照射条件(動態撮影又は静止画撮影の撮影種別、管電圧や管電流、照射時間、電流時間積等の放射線の照射に関する条件)に応じた電圧を放射線源3に印加するようになっている。
【0023】
バッテリー109は、自身が蓄えている電力を電源分配部110へ供給したり、電源分配部110から供給されてきた電力を蓄えたりすることが可能に構成されている。
電源分配部110は、先端にプラグの設けられた電源ケーブル111を有しており、プラグを近くのコンセントに差し込むことで、外部から電力の供給を受けることが可能に構成されている。電源分配部110は、バッテリー109又は外部から供給された電力を移動型放射線撮影装置10の各部へ分配するようになっている。
【0024】
駆動部112は、車輪Wを回転させるためのモーターを駆動させるための駆動回路であり、制御部101の制御信号に基づいて、モーターを駆動させて車輪Wを回転させる。
【0025】
FPD2は、放射線Xを受けることで線量に応じた電荷を発生させる放射線検出素子や電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子を備えた画素が二次元状(マトリクス状)に配列された基板や、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す読み出し回路、読み出し回路が読み出した複数の信号値から画像データを生成する制御部、画像データや各種信号を、有線又は無線で本体1へ送信する通信部、本体1と接続するケーブルを差し込むためのコネクター等を備えている。
【0026】
なお、FPD2は、シンチレーター等を内蔵し、照射された放射線Xをシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光に応じた電荷を発生させるもの(いわゆる間接型)であってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線Xから直接電荷を発生させるもの(いわゆる直接型)であってもよい。
【0027】
放射線源3は、例えば、図示しない回転陽極やフィラメント等を有している。そして、高圧発生機108から電圧が印加されるとフィラメントが電圧に応じた電子ビームを回転陽極に向けて照射し、回転陽極が電子ビームの強度に応じた線量の放射線Xを発生させるようになっている。
【0028】
動態解析装置20は、移動型放射線撮影装置10から出力された動態画像に対して解析処理を実施し、動態画像及び解析結果をPACS40に送信する。動態解析装置20は、複数種類の解析処理の実施が可能であり、複数種類の解析処理の中から指定された種類の解析処理を実施する。
【0029】
RIS30は、検査オーダー情報を発行して記憶するとともに、発行された検査オーダー情報を通信ネットワークNを介して移動型放射線撮影装置10に送信するオーダー発行装置である。
【0030】
PACS40は、移動型放射線撮影装置10等のモダリティーにより生成された医用画像(静止画像、動態画像)や動態解析装置20による解析結果を患者情報及び検査情報に対応付けて記憶し管理する画像管理装置である。
【0031】
(動作)
次に、移動型放射線撮影装置10の動作について説明する。
以下の説明では、移動型放射線撮影装置10が無線通信により通信ネットワークNに接続された外部装置との通信を行う場合について説明する。
【0032】
移動型放射線撮影装置10において、無線IF104によりRIS30からの検査オーダー情報を受信すると、制御部101は、受信した検査オーダー情報をRAMに記憶するとともに、表示部103の検査リスト画面(図示せず)に表示する。検査リスト画面から実施対象検査の検査オーダー情報が操作部102により選択されて検査開始が指示されると、制御部101は、高圧発生機108及びFPD2を制御して選択された検査オーダー情報に基づく撮影を実施する。FPD2は、撮影により取得された撮影画像を移動型放射線撮影装置10に送信する。撮影が終了すると、制御部101は、FPD2から送信された撮影画像を無線IF106又は有線IF107により受信してRAMに一時的に記憶するとともに、無線IF104により撮影画像の出力(画像データの転送)を開始する。動態撮影が実施された場合は、動態解析装置20への画像出力を実施し、静止画撮影が実施された場合は、PACS30への画像出力を実施する。
【0033】
ここで、
図3は、医療施設内の無線通信環境を模式的に示す図である。
図3に示すように、医療施設内には、異なる複数の無線アクセスポイント6(例えば、WLAN1、WLAN2)が設けられており、移動型放射線撮影装置10の制御部101は、或る無線アクセスポイント6の通信エリア内(例えば、エリアA1、エリアA2)に入ると、無線IF104によりその無線アクセスポイント6に接続し、この無線アクセスポイント6を介してRIS30や動態解析装置20等の外部装置との無線通信を行う。複数の無線アクセスポイント6の通信エリアが重複する範囲(例えば、エリアA1とA2が重複する区域A12)に移動すると、制御部101は、一般的には(従来の技術では)、無線IF104により電波強度の強い無線アクセスポイント6に接続を切り替えて(変更して)無線通信を行う。
【0034】
例えば、
図3に示すように、移動型放射線撮影装置10がICU/手術室等の室R1に入ると、室R1はエリアA1の圏内であることから、無線IF104によりWLAN1との接続が行われる。放射線撮影後は、接続されているWLAN1を介して画像出力が行われる。画像出力中に、移動型放射線撮影装置10が移動して区域A12に入り、WLAN2の電波強度がWLAN1よりも強くなると、一般的には(従来の技術では)、無線IF104の接続先はWLAN2に切り替えられる。しかし、WLAN2に接続先を切り替えると、DICOM規格では1アクセス1ファイルの通信となっているため、動態撮影を行った場合は、例えば数百フレームの動態画像を1から送り直さなければならず、画像出力の完了が遅延してしまう。
【0035】
そこで、本実施形態の移動型放射線撮影装置10において、制御部101は、後述する画像出力制御処理を実行することにより、動態画像の複数のフレーム画像(複数フレーム)の出力が継続している期間に、無線IF104の接続先の無線アクセスポイント6の変更を抑制する制御を実行する。
【0036】
図4は、画像出力制御処理の流れを示すフローチャートである。画像出力制御処理は、撮影が開始された際に、制御部101のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。以下、
図4を参照して画像出力制御処理について説明する。
なお、無線IF104は、電波強度の最も強い無線アクセスポイント6に接続されているものとする。
【0037】
まず、制御部101は、無線IF106又は有線IF107によりFPD2から受信した撮影画像を取得してRAMに一時記憶する(ステップS1)。
操作部102により画像出力が指示されると(ステップS2)、制御部101は、撮影画像の種別が静止画像であるか動態画像であるかを判断する(ステップS3)。
ステップS3においては、例えば、検査オーダー情報の撮影種別に基づいて、画像の種別を判断する。
なお、ステップS2を実施せず、撮影又は検査が終了した際に制御部101が自動的にステップS3の処理に移行することとしてもよい。
【0038】
画像の種別が静止画像であると判断した場合(ステップS3;静止画)、制御部101は、無線IF104により、現在接続されている無線アクセスポイント(無線AP)6を介してPACS30への撮影画像の出力を開始させる(ステップS4)。
【0039】
次いで、制御部101は、無線IF104により、接続中の無線アクセスポイント6とは異なる他の無線アクセスポイント6が検知されたか否かを判断する(ステップS5)。
無線IF104により他の無線アクセスポイント6が検知されていないと判断した場合(ステップS5;NO)、制御部101は、ステップS9に移行する。
【0040】
無線IF104により他の無線アクセスポイント6が検知されたと判断した場合(ステップS5;YES)、制御部101は、無線IF104により接続されている無線アクセスポイント6からの電波の強度よりも他の無線アクセスポイント6からの電波の強度の方が高いか否かを判断する(ステップS6)。
【0041】
接続中の無線アクセスポイント6からの電波の強度よりも他の無線アクセスポイント6からの電波の強度の方が低いと判断した場合(ステップS6;NO)、制御部101は、ステップS9に移行する。
【0042】
接続中の無線アクセスポイント6からの電波の強度よりも他の無線アクセスポイント6からの電波の強度の方が高いと判断した場合(ステップS6;YES)、制御部101は、無線IF104の接続先の無線アクセスポイント6を他の無線アクセスポイントに変更させる(ステップS7)。そして、無線IF104により撮影画像の再出力を行わせ(ステップS8)、ステップS9に移行する。
【0043】
ステップS9において、制御部101は、撮影画像の出力が完了したか否かを判断する(ステップS9)。
撮影画像の出力が完了していないと判断した場合(ステップS9;NO)、制御部101は、ステップS5に戻る。
撮影画像の出力が完了したと判断した場合(ステップS9;YES)、制御部101は、画像出力制御処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS3において、撮影画像の種別が動態画像であると判断した場合(ステップS3;動態画像)、制御部101は、無線IF104の接続先を現在接続されている無線アクセスポイント6(第1の無線アクセスポイントという)に固定する旨の報知情報を表示部103に表示させる(ステップS10)。
【0045】
図5は、ステップS10において表示部103に表示される報知情報の一例を示す図である。ここでは、WLAN1が第1の無線アクセスポイントである場合を例にとり説明する。
図5に示すように、ステップS10では、例えば、「出力を安定的に行うため、WLAN1に固定します。」等の報知情報が表示されたダイアログ103aが表示される。
これにより、ユーザーに、接続先がWLAN1に固定されることを報知することができ、移動型放射線撮影装置10の移動を抑制するよう促すことができる。
【0046】
次いで、制御部101は、無線IF104により、第1の無線アクセスポイントを介しての動態解析装置20への撮影画像(動態画像)の出力を開始させ(ステップS11)、接続先の無線アクセスポイント6の変更抑制制御を実施する(ステップS12)。すなわち、制御部101は、動態画像のフレーム画像の出力期間中は、無線IF104と接続する無線アクセスポイント6を第1の無線アクセスポイントから変更しないように制御する。これにより、無線IF104の接続先が現在接続されている第1の無線アクセスポイントに固定される。
【0047】
ステップS12において、制御部101は、例えば、無線IF104により第1の無線アクセスポイントとは異なる他の無線アクセスポイント6(第2の無線アクセスポイントという)が検知された場合であっても、動態画像のフレーム画像の出力が継続している期間中は、無線IF104と第2の無線アクセスポイントとの接続に変更しないよう制御する。例えば、第2の無線アクセスポイントからの電波の強度より第1の無線アクセスポイントからの電波の強度の方が弱くなっていた場合であっても、動態画像のフレーム画像の出力期間中は、無線IF104の接続先を第2の無線アクセスポイントに変更しないよう制御する。
【0048】
あるいは、制御部101は、動態画像のフレーム画像の出力期間中は、無線IF104による、第2の無線アクセスポイントの検知を無効化することで、無線IF104の接続先の無線アクセスポイント6を第1の無線アクセスポイントから変更しないように制御することとしてもよい。例えば、制御部101は、動態画像のフレーム画像の出力期間中は、無線IF104が他の無線アクセスポイント(第2の無線アクセスポイント)を検知しないよう(例えば、第2の無線アクセスポイントからの電波を受信しないよう)制御する。あるいは、無線IF104が、第2の無線アクセスポイントを検知したという情報を制御部101に出力しても、制御部101では、その情報をスルー(無視)する(検知しなかったこととして取り扱う)ようにしてもよい。
【0049】
なお、無線アクセスポイント6の変更抑制制御の実施中、制御部101は、接続先が固定されていること、及び接続先として固定されている第1の無線アクセスポイントをユーザーに報知するための報知情報を表示部103の表示画面上に表示することとしてもよい。例えば、
図6に示すように、無線IF104により現在検知されている無線アクセスポイント6の名称(WLAN1、WLAN2等)及び電波状況を示すアイコンを表示部103の表示画面上の所定領域に表示するとともに、固定されている第1の無線アクセスポイントの名称の上に、固定されていることを示すマークMを表示する。これにより、ユーザーが、接続先の無線アクセスポイントが固定されていることや、固定された接続先を認識することができる。
【0050】
また、制御部101は、第1の無線アクセスポイントからの電波の強度が所定の閾値以下となった場合、
図7に示すように、第1の無線アクセスポイントからの電波の強度が弱くなっていることをユーザーに報知するとともに、画像出力が完了するまで第1の無線アクセスポイントの通信範囲で待つようにユーザーに促すメッセージ及び待機時間の目安を表示したダイアログ103bを表示部103に表示することが好ましい。これにより、ユーザーは、画像出力の遅延を回避するために移動せずに待機した方がよいこと、及び待機時間を認識することができ、通信の切断及び再送が生じてしまうことを防止することができる。
【0051】
なお、例えばユーザーが移動型放射線撮影装置10を移動させてしまった等により、第1の無線アクセスポイントとの接続が切断された場合、制御部101は、無線IF104により第2の無線アクセスポイントへの接続を行わせて動態画像の再送を行わせる。
【0052】
制御部101は、動態画像の全てのフレーム画像の出力が完了するまで(ステップS13;NO)、ステップS12の処理を実行する。
動態画像の全てのフレーム画像の出力が完了すると(ステップS13;YES)、制御部101は、画像出力制御処理を終了する。
【0053】
このように、画像出力制御処理では、動態画像のフレーム画像の出力期間中は、無線IF104の接続先の無線アクセスポイント6の変更を抑制する。
したがって、移動型放射線撮影装置10の移動による無線アクセスポイントの切替により生じる無線通信の切断及び再送による動態画像の出力の遅延を抑制することができる。
【0054】
(変形例)
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
上記画像出力制御処理のステップS12における無線IF104の接続先の無線アクセスポイント6の変更抑制制御として、制御部101は、車輪Wを回転させて移動型放射線撮影装置10を移動させるための駆動系を駆動させないように制御することとしてもよい。例えば、制御部101は、第1の無線アクセスポイントからの電波の強度が予め定められた閾値以下となった場合に、上記駆動系を駆動させないように制御する。例えば、駆動部112が車輪Wを回転させるためのモーターを駆動させないように制御して、車輪Wが回転しないようにロックする。あるいは、駆動部112を制御して車輪Wの回転速度を落とすように制御することとしてもよい。これにより、移動型放射線撮影装置10を移動させないようにすることができるため、無線IF104の接続先の無線アクセスポイント6の変更を抑制することが可能となる。
【0055】
また、上記実施形態では、無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報として、報知部としての表示部103の表示画面上に、
図5、
図7に示す文字や、
図6に示す図形(アイコン、マーク、デザイン)を出力した例を示したが、これに限定されるものではない。無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報は、ユーザーに接続先の無線アクセスポイントの変更を抑制していることについて報知したり、移動の抑制を促したりするための情報であり、接続先として固定される(固定されている)第1の無線アクセスポイントに関する情報(
図5~
図7など)、画像出力中に検知された、第1の無線アクセスポイントとは異なる第2の無線アクセスポイントに関する情報、第1の無線アクセスポイントに関する情報と第2の無線アクセスポイントに関する情報の比較、のいずれか一つ以上を含む。
【0056】
第1の無線アクセスポイントに関する情報としては、例えば、以下の情報が挙げられる。ここで、WLAN1は、第1の無線アクセスポイントの名称の例である。
・固定する予定の第1の無線アクセスポイントの情報(接続前or固定前)
例)「これから固定するのはWLAN1です」、
図5のダイアログ103a
・固定している第1の無線アクセスポイントの情報(固定後)
例)「固定しているのはWLAN1です」、
図6のアイコン
・第1の無線アクセスポイントが固定される予定であるという情報(予定)
例)「WLAN1が固定予定です」
・第1の無線アクセスポイントが固定されている状態にあるという情報(状態)
例)「WLAN1が固定状態です」、
図6のアイコン
・第1の無線アクセスポイントの固定が解除される情報(固定解除までの時間(画像出力完了までの時間)等)
例)「WLAN1が△分間固定」、「画像出力完了/解除まで□分」、
図7のダイアログ103b
・第1の無線アクセスポイントの通信範囲から外れる情報
例)「WLAN1の通信範囲からまもなく外れます」、
図7のダイアログ103b
・第1の無線アクセスポイントからの電波の強度
例)
図6のアイコン
【0057】
第2の無線アクセスポイントに関する情報としては、例えば、以下の情報が挙げられる。なお、WLAN2は、第2の無線アクセスポイントの名称の例である。
・検知されている第2の無線アクセスポイントの名称等の情報
例)「WLAN2を検知していますが、WLAN1に固定します」、
図6のアイコン
・第2の無線アクセスポイントに切り替えた場合の画像出力完了までの所要時間(無線アクセスポイントの切替及び再送に係る時間)
・第2の無線アクセスポイントからの電波の強度
例)
図6のアイコン
【0058】
第1の無線アクセスポイントに関する情報と第2の無線アクセスポイントに関する情報の比較としては、例えば、以下の情報が挙げられる。
・第1の無線アクセスポイントの画像出力完了までの所要時間と第2の無線アクセスポイントを利用した場合の画像出力完了までの所要時間(又はどちらがどれだけ所要時間が短いかの情報)
・第1の無線アクセスポイントからの電波の強度と第2の無線アクセスポイントからの電波の強度
・第1の無線アクセスポイントで通信可能な距離と第2の無線アクセスポイントで通信可能な距離(それぞれの通信可能範囲のマップ表示等)
【0059】
無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報の出力態様としては、上述の文字や図形に限定されず、文字、図形、色彩、光、音、振動のいずれか1つ以上を用いて報知することができる。
例えば、移動型放射線撮影装置10は、報知部として警告灯を備える構成とし、制御部101は、現在接続されている(接続が固定されている)第1の無線アクセスポイントからの電波の強度が第1の閾値より強い場合は緑、第1の閾値以下で第2の閾値より大きい場合は黄色、第2の閾値以下である場合は赤の光を警告灯から出力させることで、接続先の無線アクセスポイントが変更されないように、ユーザーに移動の抑制を促すこととしてもよい(第1の閾値>第2の閾値)。あるいは、第1の無線アクセスポイントからの電波の強度によって、表示画面の表示色を変化させることとしてもよい。
また、例えば、移動型放射線撮影装置10は、報知部としてスピーカーを備える構成とし、制御部101は、無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報を音声や警告音としてスピーカーにより出力させることとしてもよい。例えば、
図5や
図7に示すメッセージを音声により出力させる。あるいは、現在接続されている第1の無線アクセスポイントの電波強度が所定の閾値以下となった場合に、その旨を音声により出力させたり、警告音を出力させたりしてもよい。
また、例えば、移動型放射線撮影装置10は、報知部として振動装置を備える構成とし、制御部101は、無線アクセスポイントの変更を抑制することに関する情報を振動装置により振動として出力させることとしてもよい。例えば、現在接続されている第1の無線アクセスポイントの電波強度が所定の閾値以下となった場合に、振動装置により振動を出力させることとしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、画像出力中、接続されている第1の無線アクセスポイントに接続先を固定して、無線アクセスポイントの変更を抑制する例について説明したが、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントの無線規格(通信速度)によっては、接続先を第2の無線アクセスポイントに切り替えた方が画像出力完了までに要する時間が短い場合もあり得る。例えば、
図3に示すWLAN1が通信速度が遅い規格(例えば、IEEE802.11b等)であり、WLAN2が通信速度が速い規格(例えば、IEEE802.11ax等)である場合、区域A12に入った場合、切断や再接続の時間を考慮しても、接続先を第2の無線アクセスポイントに切り替えた方が画像出力完了までの時間が短い場合がある。
【0061】
そこで、無線アクセスポイント6の変更抑制制御を実施するか否かをユーザーが選択できるようにしてもよい。例えば、
図8に示すように、無線IF104の接続先の無線アクセスポイント6を固定する旨を表示するダイアログ103aにおいて、OKボタンとCANCELボタンを表示することとしてもよい。そして、CANCELボタンが押下された場合には、画像出力開始後、後述する無線アクセスポイント6の変更抑制制御を行わず、静止画である場合に実行されるステップS6~S10と同様の制御を行うこととしてもよい。
これにより、例えば、固定する予定の無線アクセスポイントの通信速度が遅いことが予めわかっている場合などに、無線アクセスポイントの変更抑制制御を行うことによってかえって動態画像の出力が遅延することを抑止することができる。
なお、ユーザーが固定をOKするかキャンセルするかの参考情報とするために、制御部101は、医療施設内の無線アクセスポイント6の配置や通信速度等の情報をROMまたはRAM等の記憶部に記憶しておき、ユーザー操作に応じて、これらの情報を表示部103に表示させることとしてもよい。あるいは、検知されている無線アクセスポイント6が複数存在する場合、制御部101は、それぞれの無線アクセスポイント6の通信速度や画像出力完了までの所要時間等を算出して比較表示することとしてもよい。
【0062】
または、無線アクセスポイントの変更抑制制御中に第2の無線アクセスポイントが検知された場合、制御部101は、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントからの電波の強度、通信速度、画像出力完了までの所要時間等を表示部103に比較表示するとともに、第2の無線アクセスポイントへの変更(又は、変更抑制制御の停止(固定解除))を指示するための操作ボタン等を表示することとしてもよい。そして、ユーザーによる操作ボタンの押下に応じて、第2の無線アクセスポイントに接続先を変更するようにしてもよい。
または、有線IF105への接続検知を契機に、変更抑制制御の停止(固定解除)を行ってもよい。
これにより、無線アクセスポイントの変更抑制制御を行うことによってかえって動態画像の出力が遅延することを抑制することができる。
【0063】
または、無線アクセスポイントの変更抑制制御中に第2の無線アクセスポイントが検知された場合、制御部101は、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントからの電波の強度(又は、通信速度、画像出力完了までの所要時間等)を比較し、比較結果が所定の条件を満たしている場合は、自動的に変更抑制制御を解除して接続先を第2の無線アクセスポイントに変更するようにしてもよい。例えば、第2の無線アクセスポイントからの電波の強度が第1の無線アクセスポイントからの電波の強度より所定値以上大きい場合、第2の無線アクセスポイントの通信速度が第1の無線アクセスポイントの通信速度より所定値以上速い場合、第2の無線アクセスポイントの画像出力完了までの所要時間が第1の無線アクセスポイントの画像出力完了ませの所要時間より所定値以上速い場合、自動的に変更抑制制御を解除して接続先を第2の無線アクセスポイントに自動的に変更する。
これにより、無線アクセスポイントの変更抑制制御を行うことによってかえって動態画像の出力が遅延することを抑制することができる。
【0064】
また、無線アクセスポイントの変更抑制制御を実施するか否か(接続先を固定するか否か)を検査ごとに(又は、回診先、依頼科等によって)ユーザーが指定できるようにしてもよい。例えば、手術室で実施される検査の場合、撮影された動態画像をその場で順次表示して確認するため、画像出力は遅れてもかまわない。そのため、無線アクセスポイントの変更抑制制御を実施する必要はないが、病棟回診や救急の検査の場合は、早々に画像出力を完了させる必要がある。よって、無線アクセスポイントの変更抑制制御を実施するか否かを指定できれば、必要な場合にのみ変更抑制制御を実施することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、動態画像のフレーム画像の出力が実施されている期間の全期間中、無線アクセスポイントの変更抑制制御を実施することとしたが、一部の期間中にのみ無線アクセスポイントの変更抑制制御を実施することとしてもよい。例えば、動態解析に用いるフレーム画像が動態画像の一部のフレーム画像である場合、動態解析に必要な一部のフレーム画像の出力が実施されている期間は無線アクセスポイントの変更抑制制御を実施し、残りのフレーム画像の出力期間は、無線アクセスポイントの変更抑制制御を解除することとしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、出力対象が動態画像か静止画像かにより無線アクセスポイントの変更抑制制御の実施可否を判断していたが、ユーザーが明示的に指定できるようにしてもよい。例えば、アクセスポイントが複数乱立している状態の病棟内で連続して撮影(動態撮影or静止画)を行う場合などでは、予めユーザーが無線アクセスポイントの変更抑制制御の実施を指定しておくことで、他のアクセスポイントからの影響を排除し、1つの接続先での継続した出力処理を可能とする。
【0067】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、上記実施形態及び変形例における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0068】
例えば、放射線撮影システム100に電子カルテシステムが備えられ、移動型放射線撮影装置10は、通信ネットワークNを介して電子カルテシステムに静止画像や動態画像を出力する構成としてもよい。
【0069】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0070】
その他、移動型放射線撮影装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
100 放射線撮影システム
10 移動型放射線撮影装置
1 本体
2 FPD
3 放射線源
4 曝射スイッチ
101 制御部
102 操作部
103 表示部
104 無線IF
105 有線IF
106 無線IF
107 有線IF
108 高圧発生機
109 バッテリー
110 電源分配部
111 電源ケーブル
112 駆動部
【要約】
【課題】移動型放射線撮影装置の移動により生じる無線通信の切断及び再送により動態画像の出力が遅延することを抑制する。
【解決手段】移動型放射線撮影装置は、第1の無線アクセスポイントと第2の無線アクセスポイントを検知するとともに、動態撮影により得られた複数フレームを含む動態画像を第1の無線アクセスポイントに接続して出力する無線IFと、第1の無線アクセスポイントとの接続から第2の無線アクセスポイントとの接続に変更する制御を行う制御部と、を備える。制御部は、第1の無線アクセスポイントへの複数フレームの出力が継続している期間に、無線アクセスポイントの変更を抑制する制御を実行する。
【選択図】
図4