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特許7092267リアルタイム位置を決定するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】リアルタイム位置を決定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/74 20060101AFI20220621BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20220621BHJP
【FI】
G01S13/74
G01S5/02 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021533718
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 US2019066246
(87)【国際公開番号】W WO2020123951
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】62/779,760
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/713,361
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500164385
【氏名又は名称】デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】スミス エリック ジェー
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0172870(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0213355(US,A1)
【文献】特表2004-502177(JP,A)
【文献】特開2009-047487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - G01S 5/14
G01S 13/74 - G01S 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対する携帯デバイスの位置に関する位置情報を決定するためのシステムであって、
対象物に対して固定した位置に配置される固定位置デバイスと、
前記固定位置デバイスは、通信リンクを介して携帯デバイスと無線で通信するように構成されたアンテナを有し、
対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を決定するように構成されるコントローラと、を備え、
前記コントローラは、第1の環境において対象物に対する携帯デバイスの位置情報を提供するように構成される第1のロケータを含み、前記第1のロケータは、携帯デバイスと前記固定位置デバイスとの間で無線で送信される通信の信号特性に基づいて前記位置情報を決定し、
前記コントローラは、第2の環境において対象物に対する携帯デバイスの位置情報を提供するように構成される第2のロケータを含み、前記第2のロケータは、携帯デバイスから前記固定位置デバイスに無線で送信される通信の信号特性に基づいて前記位置情報を決定し、
前記コントローラは、対象物の環境に基づいて位置情報を決定するために、前記第1のロケータと前記第2のロケータのうちの少なくとも1つを選択するように構成され、そして、
前記コントローラは、対象物の環境を決定するように構成される環境識別器を含み、対象物の環境は、前記固定位置デバイスから送信される無線通信に関する受信信号特性に基づいて決定されるシステム。
【請求項2】
前記固定位置デバイスは、前記コントローラを含む対象物デバイスであり、前記対象物デバイスは、対象物に対する携帯デバイスの前記位置情報を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
無線で送信される通信を受信するように構成されるセンサデバイスを備え、
前記センサデバイスは、前記対象物デバイスから送信される前記無線通信を受信するように構成され、
前記センサデバイスは、前記対象物デバイスから送信される無線通信に関する受信信号特性を前記コントローラに通信する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラを含み、前記対象物に対する携帯デバイスの前記位置情報を決定するように構成される対象物デバイスを備え、
前記固定位置デバイスは、前記携帯デバイスから無線で送信される通信を受信するように構成されるセンサデバイスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記センサデバイスは無線通信を送信するように構成され、
前記コントローラは、前記センサデバイスから送信される前記無線通信に関する前記受信信号特性に基づいて対象物の環境を決定するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサデバイスは第1のセンサデバイスであり、
前記第1のセンサデバイスから送信される前記無線通信を受信するように構成される第2のセンサデバイスを備え、
前記第2のセンサデバイスは、前記センサデバイスから送信される前記無線通信に関する前記受信信号特性を通信するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
複数の前記センサデバイスを備え、
前記センサデバイスの各々は、前記対象物に対して固定した位置に配置される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の環境は、野外駐車場であり、前記第2の環境は、可動バリアを備える閉塞されたガレージである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2のロケータは、1つ以上のアダプタロケータパラメータに基づいて、前記第1のロケータの出力に影響を及ぼすように構成されるアダプタロケータである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記信号特性は、前記携帯デバイスから前記固定位置デバイスの前記アンテナへの通信の信号強度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記信号特性は、携帯デバイスと前記固定位置デバイスとの間で無線で送信される通信の飛行時間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記通信リンクは、主通信リンクであり、
前記システムは、携帯デバイスと前記固定位置デバイスとの間の通信の信号特性を監視するように構成されるセンサデバイスを備え、
前記センサデバイスは、前記主通信リンクとは別の補助通信リンクを介して、前記固定位置デバイスに、監視した信号特性を示す信号情報を通信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
第1及び第2のロケータは、同じロケータ関数に基づくものであり、第1のロケータの少なくとも1つのパラメータが第2のロケータの対応するパラメータとは異なる点において相違する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
対象物に対する携帯デバイスの位置に関する位置情報を決定するための方法であって、
対象物に対して固定した位置に固定位置デバイスを設けること、
固定位置デバイスから無線通信を送信すること、
固定位置デバイスから送信された無線通信に関する受信信号特性を検知すること、
受信信号特性に基づいて、対象物の環境を決定すること、
決定された対象物の環境に基づいて、第1のロケータと第2のロケータとの少なくとも1つを選択すること、
第1のロケータ及び第2のロケータは、携帯デバイスから送信される無線通信に基づいて、対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を決定するように構成され、
携帯デバイスから送信される無線通信を受信すること、及び
選択された少なくとも1つのロケータを用いて、携帯デバイスから送信される無線通信に基づき、位置情報を決定すること、を備える方法。
【請求項15】
固定位置デバイスは対象物デバイスであり、
対象物デバイスにおいて、位置情報を決定することを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
センサデバイスにおいて、対象物デバイスからの無線通信を受信すること、及び
センサデバイスから対象物デバイスに、対象物デバイスから受信された無線通信に関する受信信号特性を通信すること、を備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
固定位置デバイスから携帯デバイスに無線通信を送信すること、及び
固定位置デバイスから送信される無線通信に関する受信信号特性を、携帯デバイスから受信すること、を備える請求項14に記載の方法。
【請求項18】
固定位置デバイスはセンサデバイスであり、
位置情報は、センサデバイスとは別の対象物デバイスにおいて決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
決定された環境が第1の環境であることに基づいて第1のロケータを選択すること、及び
決定された環境が第2の環境であることに基づいて第2のロケータを選択すること、を備える請求項14に記載の方法。
【請求項20】
第2のロケータは、第1のロケータの出力に影響を与えるように構成されたアダプタロケータであり、前記第2のロケータを選択することは、第1のロケータを選択することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第1及び第2のロケータは、同じロケータ関数に基づくものであり、第1のロケータの少なくとも1つのパラメータが第2のロケータの対応するパラメータとは異なる点において相違する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、携帯デバイスと車両などの対象物に関する位置情報を決定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物のリアルタイム位置又は場所の決定は、多岐に渡るアプリケーションでますます普及するようになっている。リアルタイム位置特定システム(RTLS)は、例えば、自動車、倉庫、小売、認証用のセキュリティアクセス、許可用のセキュリティアクセスを含む多くの分野で携帯デバイスなどの対象物を追跡するために使用され、信頼されている。
【0003】
自動車分野における従来の1つのRTLSは、車両内に配置され、無線周波数(RF)を介して携帯デバイスと通信することができるトランシーバ又はマスタコントローラを含む。通信の信号強度などの、マスタコントローラと携帯デバイスとの間の通信の1つ以上の特徴が監視され、車両に対する携帯デバイスの位置を決定するための基礎として使用され得る。例えば、通信の信号強度が低ければ、信号強度が高い通信と比較して、携帯デバイスは車両から遠く離れている可能性がある。一般的に、携帯デバイスと車両との間の距離が増加するにつれて、通信の強度は低下する。
【0004】
信号強度と距離との関係に基づく関数を使用して、車両に対する携帯デバイスの位置を算出することができる。ただし、関数の精度は、アプリケーションごとに、また多様な環境の中で大きく異なる可能性がある。関数は、設定された条件下で1つのシステムに対して正確であると見なされ、異なる条件下で、又はわずかに異なるシステムでは著しく不正確な結果を提供する場合がある。様々に変わる条件下でのこのような不正確さは、ユーザ体験に悪影響を及ぼすとともに、RTLSシステムをベースとしたフォン-アズ-ア-キー(PaaK)システムよりも、現在確立されているキーフォブをベースとした従来の代替システムの使用につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
対象物の環境に基づいて、対象物に対する携帯デバイスの位置情報を決定するためのシステム及び方法が提供される。システム及び方法は、対象物に配置された第1の対象物デバイスから送信される通信の受信信号特性に基づいて、対象物の環境を決定することができる。一例として、受信信号特性は、対象物に配置され、第1の対象物デバイスから送信される無線通信を受信するように構成されたセンサデバイスなどの、対象物に配置された第2の対象物デバイスによって決定され得る。別の例として、受信信号特性は、対象物とは別個の、第1の対象物デバイスから送信された無線通信を受信するように構成された携帯デバイスによって決定され得る。決定された環境のタイプ又はその特性に基づいて、ロケータ又はアダプタ、あるいはその両方が、対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を決定するために選択され得る。
【0006】
一実施形態において、対象物に対する携帯デバイスの位置に関する位置情報を決定するためのシステムが提供される。システムは、固定位置デバイスとコントローラを含むことができる。固定位置デバイスは、対象物に対して固定した位置に配置されることができ、通信リンクを介して携帯デバイスと無線で通信するように構成されたアンテナを含むことができる。コントローラは、対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を決定するように構成されることができる。コントローラは、第1の環境において対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を提供するように構成された第1のロケータを含むことができ、第1のロケータは、携帯デバイスと固定位置デバイスとの間で無線で送信される通信の信号特性に基づいて位置情報を決定する。コントローラは、第2の環境において対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を提供するように構成された第2のロケータを含むことができ、第2のロケータは、携帯デバイスから固定位置デバイスに無線で送信される通信の信号特性に基づいて位置情報を決定する。
【0007】
一実施形態において、コントローラは、対象物の環境を決定し、対象物の環境に基づいて位置情報を決定するため、前記第1のロケータと前記第2のロケータのうちの少なくとも1つを選択するように構成され、対象物の環境は、前記固定位置デバイスから送信される無線通信に関する受信信号特性に基づいて決定される。
【0008】
一実施形態において、第2のロケータは、1つ以上のアダプタロケータパラメータに基づいて、第1のロケータの出力に影響を与えるように構成されたアダプタロケータである。
【0009】
一実施形態において、対象物に対する携帯デバイスの位置に関する位置情報を決定するための方法が提供される。この方法は、対象物に対して固定した位置に固定位置デバイスを設けること、及び、固定位置デバイスから無線通信を送信することを含むことができる。受信信号特性は、固定位置デバイスから送信された無線通信に関して検知されることができ、対象物の環境は、受信信号特性に基づいて決定されることができる。この方法は、決定された対象物の環境に基づいて第1のロケータと第2のロケータのうちの少なくとも1つを選択することを含むことができ、第1のロケータと第2のロケータは、携帯デバイスから送信される無線通信に基づいて、対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を決定するように構成される。
【0010】
一実施形態において、方法は、携帯デバイスから送信された無線通信を受信すること、及び、少なくとも1つの選択されたロケータを用いて、携帯デバイスから送信された無線通信に基づいて位置情報を決定することを含むことができる。
【0011】
一実施形態において、方法は、決定された環境が第1の環境であることに基づいて、第1のロケータを選択すること、及び、決定された環境が第2の環境であることに基づいて、第2のロケータを選択することを含むことができる。第2のロケータは、第1のロケータの出力に影響を与えるように構成されたアダプタロケータであっても良く、その結果、第2のロケータを選択することは、第1のロケータを選択することを含む。
【0012】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明で述べる、又は図面に示された構成要素の、動作の詳細又は構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、様々な他の実施形態で実施することができ、本明細書に明示的に開示されていない別の方法で実施又は実行することができる。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定的であると見なされるべきではないことを理解されたい。「含む(including)」及び「備える(comprising)」並びにその類語の使用は、それ以降に列挙された項目及びそれらの均等物、並びに追加の項目及びそれらの均等物を包含することを意味する。さらに、列挙が、様々な実施形態の説明において使用され得る。特に明記しない限り、列挙の使用は、本発明を任意の特定の順序又は構成要素の数に限定するものとして解釈されるべきではない。また、列挙の使用が、列挙されたステップ又は構成要素と組み合わせる、又は組む込むことができる任意の追加のステップ又は構成要素を本発明の範囲から除外するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態によるシステムの代表図を示す。
図2】少なくとも部分的に対象物上に配置された図1のシステムの代表図を示す。
図3】一実施形態によるシステムコンポーネントを示す。
図4】一実施形態によるシステムのロケータを示す。
図5】一実施形態による携帯デバイスを位置特定するための値を示す。
図6】一実施形態による信号特性と、距離などのメトリックとの間の複数の関係を示す。
図7】他の対象物が近くにないエリアに置かれた対象物を示す。
図8A】ガレージのドアが開位置にあるガレージ内に置かれた対象物を示す。
図8B図8Aに類似するが、ガレージのドアは閉位置にある。
図9】他の対象物が近くにあるエリアに置かれた対象物を示す。
図10】一実施形態による環境のタイプと受信信号特性との間の関係を示す。
図11】一実施形態によるアダプタロケータを示す。
図12】一実施形態によるロケータを選択する方法を示す。
図13】一実施形態によるアダプタロケータをトレーニングする方法を示す。
図14】一実施形態によるデバイスの位置を決定する方法を示す。
図15】本開示の一実施形態によるシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
対象物の環境に基づいて、対象物に対する携帯デバイスの位置情報を決定するためのシステム及び方法が提供される。システム及び方法は、対象物に配置された第1の対象物デバイスから送信される通信の受信信号特性に基づいて、対象物の環境を決定することができる。一例として、受信信号特性は、第1の対象物デバイスから送信された無線通信を受信するように構成され、対象物に配置されたセンサデバイスなどの、対象物に配置された第2の対象物デバイスによって決定されることができる。別の例として、受信信号特性は、第1の対象物デバイスから送信された無線通信を受信するように構成され、対象物とは別個の携帯デバイスによって決定されてもよい。
【0015】
一実施形態における対象物は移動可能であっても良く、その結果、対象物の環境は、対象物の位置に応じて変化し得る。例えば、対象物が車両である場合、車両は、夜間は可動式のバリアで閉鎖されたガレージに保管され、その後、近くに1台以上の他の車両がいる野外駐車場に移動して駐車される場合がある。これらの2つの異なる場所の環境構成は、RF又は無線通信に関して重要な点で異なる可能性がある。ガレージの閉鎖された空間は、車両に近接するRF通信を反射する可能性があり、車両に対するRF通信の信号強度は、車両に近接する他の車両が存在しない野外駐車場の場合など、反射なしで生じるよりも、大きくなる可能性がある。通信の信号強度が車両に対する携帯デバイスの位置を決定するための基礎として使用される場合、ガレージから野外駐車場への環境変化は、決定が環境変化又は環境状態に基づいていない限り、一貫性のない位置の決定につながる可能性がある。本開示による一実施形態は、対象物の環境状態に基づいて、対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を決定するように構成される。
【0016】
一実施形態において、ロケータは、携帯デバイスとの通信の信号特性に基づいて、対象物に対する携帯デバイスに関する位置情報を決定するために設けることができる。本開示は、通信の信号特性に基づいて位置情報を決定することに限定されないことを理解されたい。通信の1つ以上の追加の信号特性が、位置情報を決定するためロケータによって基礎として使用されても良い。
【0017】
ロケータは、無線通信の少なくとも1つの信号特性に基づいて位置情報を決定するために、1つ以上のパラメータと連携して動作可能なコア関数を含むことができる。1つ以上のパラメータの値は、与えられた環境で信頼度を持つ、対象物に対する携帯デバイスの位置情報を生成するように選択され得る。例えば、ロケータは、90%以上の信頼度で、近くに又は4インチ以内に車両がいない野外駐車場において、対象物に対する携帯デバイスの位置を決定するように構成され得る。一実施形態において、1つ以上のパラメータの値を選択することは、対象物に対する携帯デバイスの実際の位置に関する真正データを、実際の位置ごとに、少なくとも1つの信号特性の少なくとも1つのサンプルとともに取得することを含む、経験的な分析に基づいて行うことができる。本明細書で論じられるように、システムは、対象物上の異なる位置に配置された複数のセンサを含むことができ、その結果、無線通信の複数の信号特性を、対象物上の異なる位置に関して取得することができる。複数の信号特性は、対象物に対する携帯デバイスの実際の位置に関する真正データと相関させることができ、コア位置関数と組み合わせた1つ以上のパラメータが、信頼度の範囲内で真正データに近似する位置情報を生成するように、トレーニングされ又は選択され得る。
【0018】
一実施形態において、システムは、環境のタイプ又はクラスごとに1つずつ、複数のロケータを利用することができる。第1のロケータは、第1の環境について取得された真正データに基づいて位置情報を生成するようにトレーニングされ、第2のロケータは、第2の環境について取得された真正データに基づいて位置情報を生成するようにトレーニングされ得る。一例において、第1の環境は野外駐車場であり、第2の環境は閉鎖されたガレージであっても良い。
【0019】
ロケータがトレーニングされる環境は、変化しないままではない可能性があることに注意されたい。例えば、一般に、1つのタイプの野外駐車場は、一実施形態によるシステムを備えた車両の近くに車両がいないと仮定すると、別の野外駐車上と同様になる。しかし、前述のように、システムは、車両の近くに他の車両がいない状態でトレーニングされる場合があるが、実際には、このような状況となることはほとんどない。多くの場合、1台以上の他の車両が、システムを備えた車両と並んで又は近くに駐車される。一実施形態において、ロケータが動作のためにトレーニングされた又は構成された環境に対する、そのような環境の変化に係わらず、ロケータは許容可能な信頼度の範囲内で位置情報を生成するように構成され得る。あるいは、ロケータは、許容可能な信頼度の範囲内で位置情報を生成することを容易にするために、本明細書で論じられるように、アダプタロケータと連携して動作する。
【0020】
一実施形態において、システムは、第1の環境に対して第1のロケータを利用し、第2の環境に対してアダプタロケータと組み合わせて第1のロケータを利用することができる。第1の環境は、いくつかの点で第2の環境に類似しているが、第1の環境のものとは異なる形でRF通信に影響を与える可能性がある1つ以上の特徴を有する。例えば、第1の環境は、システムを備えた車両の近くに車両がいない野外駐車場であり、第2の環境は同様の野外駐車場であるが、RF通信に影響する、該当車両の近くに1台以上の車両が存在する。本明細書で論じるように、該当車両の近くのこれらの1台以上の車両は、RF通信を反射又は吸収、あるいはその両方を行う可能性があり、それにより、該当車両に近い1台以上の車両のない第1の環境とは異なるようにRF通信に影響を与える。
【0021】
別の例として、第2の環境は、第1の環境とさらに少ない類似性しか共有しない場合がある。例えば、第2の環境は、可動バリアを備えた閉鎖型ガレージであり得るが、第1の環境は、システムが装備された車両の近くに車両がいない野外駐車場である。この例の第2の環境は、第1の環境におけるRF通信とは異なるように(例えば、反射又は吸収、あるいはその両方によって)RF通信に影響を与える壁又は他の物体、あるいはその両方を含み得る。
【0022】
一実施形態によるシステムは、対象物に配置された固定位置デバイスから送信される無線通信又はRF通信の受信信号特性に基づいて、携帯デバイスの位置を決定するためのロケータ構成を決定するように構成され得る。例えば、固定位置デバイスは、対象物に配置された対象物デバイス又はセンサデバイスとすることができる。RF通信は、対象物デバイス又はセンサデバイス、あるいはその両方などの別の固定位置デバイス、又は携帯デバイス、あるいはそれらの組み合わせによって受信されることができ、受信信号特性は、そのような受信されたRF通信に関して決定され得る。
【0023】
本開示は、対象物に配置された固定位置デバイスから送信される通信に関する単一の受信信号特性に基づいてロケータ構成を決定することに限定されないことに留意されたい。オプションで、異なるデバイスによって取得される複数の受信信号特性が、ロケータ構成を決定するための基礎を形成しても良い。例えば、1つの固定位置デバイスは、別の固定位置デバイスから送信される無線通信に関して複数の受信信号特性を決定することができ、また、携帯デバイスも、同じ無線通信に関して複数の受信信号特性を決定することができる。
【0024】
受信信号特性は、対象物が置かれている環境のタイプを示し得る。結果として、システムは、受信信号特性に基づいてロケータ構成を決定することができ、それにより、対象物が置かれた環境(又は、その近似)のタイプに対応するロケータ構成を決定することができる。
【0025】
受信信号特性に基づいて決定されるロケータ構成は、第1のタイプの環境で動作するようにトレーニング又は構成された第1のロケータであり得る。あるいは、ロケータ構成は、第2のタイプの環境で動作するようにトレーニング又は構成された第2のロケータであり得る。別の代替案では、ロケータ構成は、第1のロケータが動作するように構成された第1の環境とは異なる第3の環境の位置情報を生成するために、第1のロケータからの出力に影響を与えるように構成された第1のアダプタロケータと組み合わせた第1のロケータであっても良い。一例を提供するために、第1のロケータは、近い車両が存在しない野外駐車場で動作するように構成され、第3の環境は、閉鎖されたガレージ又は近い車両が存在する野外駐車場とすることができる。
【0026】
一実施形態において、アダプタロケータは、受信信号特性に基づいて動的に決定されても良い。このようにして、システムは、これまで遭遇したことがなく、アダプタロケータの影響を受けるロケータが動作のために特別にトレーニング又は構成されていない環境を含む、さまざまなタイプの環境で動作するように適応することができる。
I.システム概要
【0027】
一実施形態によるシステムが、図1及び図2の図示された実施形態に示され、全体として100で表されている。システム100は、本明細書で概説されるように、1つ以上のシステムコンポーネントを含むことができる。システムコンポーネントは、ユーザ60、又は、携帯デバイス20、センサ40、もしくは対象物デバイス50であり得る電子システムコンポーネント、又は、それらのデバイスの1つ以上の特徴を含むコンポーネントであり得る。本明細書で論じられるように、対象物デバイス50の基礎となるコンポーネントは、これらのデバイスの任意の1つ以上と連携して動作するように構成することができる。この意味で、一実施形態では、携帯デバイス20、センサ40、及び対象物デバイス50の間で共通するいくつかの態様又は特徴があり得る。図3に示される対象物デバイス50に関連して説明される特徴は、携帯デバイス20、又はセンサ40、あるいはその両方に組み込まれてもよい。一実施形態では、対象物デバイス50は、車両又は建物などの対象物10に配置された機器コンポーネントを形成することができる。対象物デバイス50は、対象物10の1つ以上のシステムに通信可能に結合されて、対象物10の動作を制御し、対象物10の1つ以上のシステムに情報を送信し、又は、対象物10の1つ以上のシステムから情報を受信し、あるいは、それらの組み合わせを行うことができる。例えば、対象物10は、対象物10の動作を制御するように構成された対象物コントローラ12を含むことができる。対象物10は、対象物コントローラ12と対象物デバイス50との間の通信を容易にする、有線又は無線の1つ以上の通信ネットワークを含むことができる。対象物デバイス50と対象物コントローラ12との間の通信を容易にするための通信ネットワークは、図2の図示された実施形態では150で表され、CANバスとして提供される(CANは登録商標、以下同様)。しかしながら、通信ネットワークはそのように限定されないことを理解されたい、通信ネットワークは、有線又は無線ネットワーク、もしくは2つ以上のタイプのネットワークの組み合わせを含む、任意のタイプのネットワークであっても良い。
【0028】
図3の図示の実施形態では、対象物デバイス50は、本明細書で論じられる1つ以上の機能及びアルゴリズム、又はそれらの態様に従って、対象物デバイス50の動作を制御するように構成された制御システム又はコントローラ58を含むことができる。携帯デバイス20、又はセンサ40、あるいはその両方などのシステムコンポーネントは、同様に、コントローラ58を含むことができる。
【0029】
コントローラ58は、本明細書に記載の機能及びアルゴリズムを実行するための、電気回路及びコンポーネントを含むことができる。一般的に言えば、コントローラ58は、本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされた、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又は他のプログラム可能な電子機器を含むことができる。コントローラ58は、追加的又は代替的に、本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされた、又はマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、及び/又は他の電子機器をサポートする他の電子コンポーネントを含むことができる。他の電子コンポーネントには、限定されるものではないが、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ、システムオンチップ、揮発性又は不揮発性メモリ、ディスクリート回路、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は他のハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアが含まれ得る。このようなコンポーネントは、1つ以上の回路基板に実装したり、他の態様で配置したりすることによってなど、1つのユニットにまとめようと、複数のユニットにまたがって分散しようとも、任意の適切な態様で物理的に構成され得る。このようなコンポーネントは、対象物デバイス50内の異なる位置に物理的に分散されても良いし、又は、対象物デバイス50内の共通の場所に存在してもよい。物理的に分散される場合、コンポーネントは、限定されないが、CAN、LIN、車両エリアネットワーク(VAN)、FireWire(登録商標)、I2C、RS-232、RS-485、及びUniversal Serial Bus(USB)のような任意の適切なシリアル又はパラレル通信プロトコルを使用して通信しても良い。
【0030】
本明細書で説明するように、ロケータ、モジュール、モデル、及びジェネレータという用語は、コントローラ58の部品を示す。例えば、一実施形態におけるモデル又はロケータは、1つ以上のコア関数、及び、その1つ以上のコア関数の出力に影響を与える1つ以上のパラメータを有するものとして説明される。モデル又はロケータの態様は、コントローラ58のメモリに格納されても良く、また、モデルが、1つ以上の入力を受信して変換するとともに1つ以上の出力を出力するように動作するよう構成されたコントローラ58の一部であるように、コントローラ構成の一部を形成しても良い。同様に、コントローラ58が、モジュール又はジェネレータに関連して説明される入力を受信し、モジュール又はジェネレータに関連付けられるアルゴリズムに応じた出力を提供するように構成されるよう、モジュール又はジェネレータは、コントローラ58の一部をなす。
【0031】
図3の図示された実施形態における対象物デバイス50のコントローラ58は、他の電子ハードウェアの中でも、1つ以上のアプリケーション57(ソフトウェア及び/又はファームウェアを含む)を実行する1つ以上のプロセッサ51、1つ以上のメモリユニット52(例えば、RAM及び/又はROM)、及び、1つ以上の通信インターフェース53を含むことができる。対象物デバイス50は、通信インターフェース53を介して下位レベルのデバイス/電子機器へのアクセスを制御するオペレーティングシステム56を有していてもよいし、有していなくてもよい。対象物デバイス50は、ハードウェアベースの暗号化ユニット55を有していてもよいし、有していなくてもよい。それらがない場合、暗号化機能はソフトウェアで実行され得る。対象物デバイス50は、セキュアメモリユニット(例えば、セキュアエレメント又はハードウェアセキュリティモジュール(HSM))54(又は、それへのアクセス)を有していてもよいし、有していなくてもよい。図示の実施形態では、オプションのコンポーネント及び通信経路が仮想線で示されている。
【0032】
図3の図示された実施形態におけるコントローラ58は、任意のコンポーネントにおけるセキュアメモリユニット54の存在に依存しない。セキュアメモリユニット54がオプションで存在しない場合、そうでなければセキュアメモリユニット54に格納され得るデータ(例えば、非公開鍵及び/又は秘密鍵)は、休止時に暗号化され得る。そのようなデータへのアクセスを実質的に防止するだけでなく、システムコンポーネント全体のセキュリティ破壊を実質的に防止又は検出するか、あるいはその両方を行うために、ソフトウェアベース及びハードウェアベースの対策の両方が利用されてもよい。このような対策機能の例には、物理的な障害物又はシールドを実装すること、JTAG及び他のポートを無効にすること、攻撃ベクトルを排除するためにソフトウェアインターフェースを強化すること、信頼できる実行環境を使用すること(例えば、ハードウェア又はソフトウェア、あるいはその両方)、オペレーティングシステムのルートアクセス又はセキュリティ破壊を検出することが含まれる。
【0033】
開示の目的のため、安全であることは、一般に、秘密であること(暗号化されていること)、認証されていること、及び完全性が検証されていることと考えられている。しかし、本開示はそのように限定されず、「安全」という用語はこれらの態様のサブセットであってもよく、又はデータセキュリティに関連する追加の態様を含んでも良いことを理解されたい。
【0034】
通信インターフェース53は、有線又は無線を含む、本明細書で説明する通信リンクのタイプのいずれかを含む、任意のタイプの通信リンクとすることができる。通信インターフェース53は、外部又は内部の、あるいはその両方の通信を容易にすることができる。例えば、通信インターフェース53は、アンテナアレイ30に結合されてもよく、又はアンテナアレイ30を組み込んでもよい。アンテナアレイ30は、ブルートゥース(登録商標、以下同様)ローエナジー(BTLE)通信を含む無線通信を容易にするように構成された1つ以上のアンテナを含むことができる。
【0035】
別の例として、通信インターフェース53は、WiFi(登録商標)規格に従う無線通信など、携帯デバイス20の形態の別のシステムコンポーネントとの無線通信リンクを提供することができる。別の例では、通信インターフェース53は、複数のデバイス間の通信を容易にするCANベースの有線ネットワークなどの有線リンクを介して、車両(例えば、車両コンポーネント)の対象物コントローラ12と通信するように構成することができる。一実施形態の通信インターフェース53は、ユーザ60に情報を通信し、及び/又はユーザ60から情報を受信するためのディスプレイ及び/又は入力インターフェースを含むことができる。
【0036】
図4に示す一実施形態では、対象物デバイス50は、別の対象物デバイス50又はユーザ以外の1つ以上の補助デバイスと通信するように構成されてもよい。補助デバイスは、対象物デバイス50とは異なって構成されてもよく、例えば、補助デバイスは、プロセッサ51を含まず、代わりに、対象物デバイス50との情報の送信又は受信、もしくはその両方のための少なくとも1つの直接接続及び/又は通信インターフェースを含んでもよい。例えば、補助デバイスは対象物デバイス50からの入力を受け入れるソレノイドであってもよく、又は、補助デバイスは対象物デバイス50にアナログ及び/又はデジタルフィードバックを提供するセンサ(例えば、近接センサ)であってもよい。
【0037】
図示された実施形態のシステム100は、携帯デバイス20に関してリアルタイムで位置情報を決定するように構成され得る。図1及び図2の図示の実施形態では、ユーザ60は、携帯デバイス20(例えば、スマートフォン)を携帯することができる。システム100は、対象物10へのアクセス又は対象物コマンドの許可が与えられるべき位置にユーザ60が位置しているかどうかを判定するのに十分な精度でリアルタイムに、対象物10(例えば、車両)に対する携帯デバイス20の位置特定を容易にすることができる。
【0038】
例えば、対象物10が車両である実施形態では、システム100は、携帯デバイス20が車両の外部にあるが、運転者側のドアまで5フィート、3フィート、又は2フィート以下のようにすぐ近くであるかどうかの決定を容易にすることができる。この決定は、システム100が車両をアンロックすべきかどうかを識別するための基礎をなすことができる。一方、システム100が、携帯デバイス20は車両の外部にあり、運転者側ドアのすぐ近くにない(例えば、2フィート、3フィート、又は5フィートの範囲外にある)と判定した場合、システム100は、運転者側ドアをロックすることを決定することができる。別の例として、システム100が、携帯デバイス20は運転者側席のすぐ近くにあるが、助手席又は後席の近くではないと判断した場合、システム100は、車両の始動を可能にすることを決定することができる。逆に、携帯デバイス20が運転者側席の近接範囲外であると判定された場合、システム100は、車両を不動にすること又は不動を維持することを決定することができる。
【0039】
対象物10は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態に従って、アンテナアレイ30に結合されるセンサ40を含む対象物デバイス50などの、複数の対象物デバイス50又はその変形例を含むことができる。
【0040】
携帯デバイス20のマイクロロケーションは、全地球測位システム、携帯デバイス20からの通信の1つ以上の信号特性、及び1つ以上のセンサ(例えば、近接センサ、リミットスイッチ、又は視覚センサ)、又はそれらの組み合わせから得られた情報を使用するなど、様々な方法で決定することができる。システム100を構成することができるマイクロロケーション技法の一例は、2017年4月14に出願され、「リアルタイムロケーションを確立するためのシステム及び方法」と題する、Raymond Michael Stittらの米国特許出願第15/488136号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
一実施形態において、図1-3の図示された実施形態では、対象物デバイス50(例えば、システム制御モジュール(SCM))及び(図3に示されるようなアンテナアレイ30に結合された)複数のセンサ40は、対象物10上に、又は対象物10に対して固定された位置に配置することができる。対象物10の例示のユースケースは、先の例で特定された車両、又は対象物デバイス50によってアクセスが制御される建物を含む。
【0042】
携帯デバイス20は、通信リンク140を介して対象物デバイス50と無線で通信することができる。複数のセンサ40は、携帯デバイス20と対象物デバイス50との間の通信リンク140の通信を傍受するように構成され、信号強度、到来時間、飛行時間、又は到来角度、もしくはそれらの組み合わせなどの、通信の1つ以上の信号特性を決定することができる。決定された信号特性は、携帯デバイス20と対象物デバイス50との間の通信リンクとは別の通信リンク130を介して、対象物デバイス50に通信されるか、又は、分析された後に通信され得る。追加的又は代替的に、携帯デバイス20は、1つ以上のセンサ40とダイレクト通信リンクを確立することができ、1つ以上の信号特性が、このダイレクト通信リンクに基づいて決定され得る。
【0043】
例えば、システム100の代替構成は、図15の図示された実施形態に示されている。システム100は、図1に関連して説明されたシステムと同様に、携帯デバイス20、ユーザ60、及び対象物10を含むことができる。一実施形態による対象物10は、対象物デバイス50、対象物コントローラ12、及び本明細書に記載のセンサ40と同様であり得る複数のセンサを含むことができる。
【0044】
図示の実施形態では、携帯デバイス20は、超広帯域(UWB)及びBTLE通信機能の両方を含むことができる。例えば、携帯デバイス20は、UWB及びBLE無線機の両方を備えたスマートフォンの形態の携帯デバイスであり得る。
【0045】
図15の図示された実施形態におけるシステム100は、対象物10に配置された1つ以上のセンサ40(アンカーとしても説明され得る)を含むことができる。1つ以上のセンサ40は、例えば、図2に関連して示され説明されるように、ドアパネル内の1つ以上のセンサ40、Bピラー内の1つ以上の他のセンサを含む、本明細書に記載の場所などの、対象物10の様々な場所に配置することができる。
【0046】
1つ以上のセンサ40は、通信プロトコルに従って、少なくとも1つの通信リンクを介して通信するように動作可能であり得る。通信リンクは、1つ以上のチャネルを介して確立することができる。図1-2に関連して説明するように、センサ40は、センサ40が通信リンク140を介して通信を送信しないように、対象物デバイス50と携帯デバイス20との間で確立された少なくとも1つの通信リンク140を介する通信を傍受又は受信することによって通信するように動作可能であり得る。センサ40のこのタイプの通信が図15の仮想線に示されている。
【0047】
しかしながら、図15のシステム100内の1つ以上のセンサ40は、携帯デバイス20と直接的に確立された少なくとも1つの通信リンク170を介して通信を送受信することによって通信するように動作可能であっても良い。このように、センサ40は、携帯デバイス20と直接に通信することができる。少なくとも1つの通信リンク170は、2つ以上のプロトコル(例えば、BTLEとUWB)に従った通信を含むことができる。
【0048】
図15の図示の実施形態におけるシステム100の1つ以上のセンサ40は、a)携帯デバイス20と対象物デバイス50との間の通信リンク140に関する通信を傍受するか、又はb)少なくとも1つの通信リンク170を介して携帯デバイス20と直接的に通信するように動作可能であり得る。図示の実施形態における1つ以上のセンサ40の通信機能は、図において、UWBの場合はU、BTLEの場合はBとの文字表記によって識別される。例えば、センサ40Uは、UWB信号に応答する超広帯域アンカーである。センサ40U+Bは、UWB通信とBTLE通信の両方に応答する。センサ40BはBTLEアンカーである。
【0049】
車両などの対象物10は、図15の図示の実施形態に示されるよりも多くのセンサ40を含むことができることを理解されたい。実施例によっては、いくつかのアンカーが車両に組み込まれることがある。例えば、UWB機能とBTLE機能の両方を備えた3~10個のアンカーが設けられても良い。
【0050】
一実施形態において、UWBは、BTLEと同様に、標準化された通信プロトコルである(IEEE802.15.4a/zを参照)。UWBがBTLEと異なる点の一つは、測距の用途についてである。UWBは、携帯デバイス20から1つ以上のセンサ40U、40U+B(例えば、アンカー)までの範囲を決定するために飛行時間関数を使用できるようにする短時間パルスを送信することを含み得る。そして、対象物デバイス50は、辺測量関数及び/又は多辺測量関数を使用して、携帯デバイス20に関する所在(例えば、対象物10に対する携帯デバイス20の位置)を決定することができる。辺測量及び/又は多辺測量は、携帯デバイス20から各センサ40までの範囲のセットを処理して、対象物10に対する携帯デバイス20の推定位置を出力することを含み得る。携帯デバイス20及びUWB対応センサ40U、40UBは、データのパケットを送受信し合って、そのような通信に関する飛行時間の決定を可能にする。
【0051】
図15の図示された実施形態のシステム100は、所在を決定するための少なくとも2つの異なる通信リンクを含むことができる。例えば、通信リンク140は、BTLEベースの位置特定を利用することができ、通信リンク170は、UWBベースの位置特定を利用することができる。図示の実施形態では、通信リンク170は、センサ40U、40U+Bのそれぞれに関して指定されている。しかしながら、これらの通信リンク170のそれぞれは、同じではない可能性があることを理解されたい。例えば、通信リンク170のそれぞれは、別個であり得る(例えば、別個のチャネル又は帯域)。
【0052】
位置特定に複数の通信リンクを利用すると、多くの利点が得られることがある。
【0053】
例えば、BTLE情報とUWB情報の両方が取得される構成において、位置特定の推定を高め、安定化させるために、これらの情報は組み合わせることができる。位置特定で使用されるBTLEチャネルとUWBチャネルは異なる周波数を伴うことができ、測距のために利用される信号特性は異なる(BTLEのRSSIとUWBの飛行時間)。
【0054】
RSSI測距キャリブレーションは、UWB通信からの飛行時間で増強され、又は補足されることができる。飛行時間のこの増強的又は補足的使用は、システム100によってリアルタイムに実行され得るか、又はUWB通信に基づかない検知された情報(例えば、BTLE通信に関して検知された情報のみ)を使用するモデルを適応させるように実行され得る。
【0055】
例えば、本開示による一実施形態は、RSSI又は範囲の計算値の分散をキャリブレーションすることに向けられている。BTLE+UWB対応携帯デバイス20は、BTLE通信特性、UWB通信特性、及び測距又は位置特定データのマップを構築するためにテストされ得る。BTLEのみの携帯デバイス20は、RSSIのみの範囲推定を精緻化するために、UWB通信特性の無いそのようなマップを処理するように動作可能であっても良い。例えば、ロケータ210は、BTLE+UWB通信特性の両方に基づくことができるが、実際には、ロケータ210は、UWB通信特性無しでBTLE通信特性に基づいて位置情報を生成しても良い。或いは、ロケータ210が、BTLE通信特性に基づくことができ、実際には、UWBとBTLEの通信特性の両方に基づいて位置情報を生成するように動作可能であっても良い。BTLE又はUWB、或いはその両方が、別のタイプの通信プロトコルで置き換えられても良いことを理解されたい。
【0056】
一実施形態において、携帯デバイス20は、1つ以上のセンサ40U、40U+Bとのダイレクト通信リンク170を確立することができ、1つ以上の信号特性(例えば、飛行時間)は、ダイレクト通信リンク170に基づいて決定することができる。
【0057】
本明細書で説明するように、信号強度、到来時間、飛行時間、及び到来角度などの1つ以上の信号特性を分析して、対象物10に対する携帯デバイス20に関する位置情報、対象物10の態様、又は対象物デバイス50、もしくはそれらの組み合わせを決定することができる。例えば、センサ40と対象物デバイス50との間の到来時間差又は到来角度、あるいはその両方を処理して、携帯デバイス20の相対位置を決定することができる。対象物デバイス50に対する1つ以上のアンテナアレイ30の位置は、携帯デバイス20の相対位置をアンテナアレイ30及び対象物デバイス50に対する絶対位置に変換することができるように既知であり得る。
【0058】
信号特性の追加又は代替の例が、距離関数、三辺測量関数、三角測量関数、辺測量関数、多辺測量関数、フィンガープリント関数、微分関数、飛行時間関数、到来時間関数、到来時間差関数、出発角関数、幾何関数など、又はそれらの任意の組み合わせを含む、1つ以上のアルゴリズムに従って位置の決定を容易にするために、取得されても良い。
II.ロケータ
【0059】
図1-3の図示の実施形態におけるシステム100は、対象物10に対する携帯デバイス20に関する位置情報を決定するように構成され得る。位置情報は、対象物10に対する携帯デバイス20の外部位置を示すことができ、又は位置情報は、対象物10内の携帯デバイス20の内部位置を示すことができ、又はその両方であり得る。一実施形態では、ロケータは、この位置情報を決定するように構成され得る。一実施形態によるロケータは、図4に示され、全体として210で表される。ロケータ210は、携帯デバイス20によって送信され、1つ以上のセンサ40によって受信される無線通信の1つ以上の信号特性などの、1つ以上の入力216を受信するように構成され得る。入力は、位置情報に対応する1つ以上の出力218に変換され得る。
【0060】
入力216は、無線通信の信号特性に限定されないことを理解されたい。入力216は、対象物の状態(例えば、ドアが開いている)もしくは以前の位置又はゾーンの決定、あるいはそれらの任意の組み合わせなど、無線通信以外の特性又はパラメータの1つ以上の測定値を含み得る。追加的又は代替的に、入力216は、対象物10又はシステム100の別のデバイスの状態を示しても良い。例えば、車両の文脈において、入力216の1つ以上は、車両ドアの1つ以上が開いているか閉じているか、又は窓が開いているか閉じているかを示しても良い。
【0061】
図示の実施形態におけるロケータ210は、対象物デバイス50に組み込まれても良い。例えば、対象物デバイス50のコントローラ58は、ロケータ210を組み込むことができ、通信インターフェース53を介してセンサ40の1つ以上と通信可能に結合されることができる。
【0062】
ロケータ210は、1つ以上の入力216を受信し、対象物10に対する携帯デバイス20の位置を示す1つ以上の出力218を生成するように構成されたコア関数又はロケータアルゴリズム212を含むことができる。本明細書で論じられるように、1つ以上の入力216は、アプリケーションごとに異なっても良い。入力216の例には、信号強度(RSSI)、到来角度(AOA)、及び飛行時間(TOF)などの通信の1つ以上の信号特性が含まれる。
【0063】
図5の図示の実施形態において、システム100は、車両である対象物10と組み合わせて設けられている。対象物10は、他のアプリケーションでは異なる場合がある。図示の実施形態のシステム100は、対象物10上で固定した位置に配置された、対象物デバイス50と複数のセンサ40A~Dとを含み、これらのデバイスは、固定位置デバイスをなす。センサ40A~D及び対象物デバイス50の位置は、アプリケーションごとに異なり得る。しかしながら、開示の目的のため、対象物デバイス50は、概して車両の中心に配置され、センサ40A~Dは、車両の四隅に配置される。ロケータ210と関連する議論を容易にするため、図示の実施形態において、グリッドが示されている。
【0064】
図5の図示の実施形態において、携帯デバイス20は、対象物10の車室の中心近くに設けられた原点(0cm、0cm)に対して270cm、450cmのX、Y座標に配置されている。原点は、開示の目的でこの位置に設けられているが、原点は、対象物の中心を含め、対象物10に対してどこに設けられても良いことを理解されたい。センサ40A、40B、40Dは、携帯デバイス20に対してそれぞれ258cm、648cm、及び442cmに配置されている。一実施形態では、携帯デバイス20から送信され、センサ40A、40B、40Dの各々及び対象物デバイス50によって受信される通信の信号特性(例えば、RSSI)は、ロケータ210によって、各それぞれのセンサ40A、40B、40Dに対する距離に変換され得る(車両の一部が携帯デバイス20とセンサ40Cとの間の視線を遮り、通信の信号特性の有効な測定を潜在的に妨げるため、図示の実施形態では、センサ40Cが示されるが、この決定から除外される。)
【0065】
一実施形態におけるロケータ210は、例えば、各固定位置デバイス又は固定位置デバイスのタイプ用の変換テーブル、フィンガープリント又は他のヒューリスティック(例えば、機械学習変換機)を含む様々な方法で、センサ40又は対象物デバイス50から取得した信号特性を距離メトリック又は他のパラメータに変換することができる。変換テーブルの例は、図6の図示された実施形態にチャート形式で示され、全体として600と示されている。変換テーブルは、本明細書で議論されるように、異なる環境のための3つの変換テーブルを示している。この例のために、該当車両の近くに車両がいない場合の屋外変換テーブル610に基づいて、屋外環境においてRSSIを距離に変換するために構成されることに関連して、ロケータ210が説明される。
【0066】
図6の図示の実施形態において、屋外変換テーブル610は、センサ40A、40B、40Dのそれぞれについて、RSSIを距離に変換するように動作可能である。図5の図示の実施形態に戻ると、センサ40A、40B、40DのRSSIの測定値は、概して、それぞれ、-68dBm、-87dBm、及び-75dBmに対応する。各センサ40A、40B、40DのこれらのRSSI測定値は、屋外変換テーブル610に基づいて距離測定値に直接的に変換することができる。あるいは、ロケータ210は、対象物10に対する携帯デバイス20の位置を決定するためのさらなる計算において、距離を表すためにRSSI測定値を利用しても良い。
【0067】
図示の実施形態では、屋外変換テーブル610に基づいてセンサ40A、40B、40Dのそれぞれに対して決定される3つの距離を用いて、ロケータ210は、センサ40A、40B、40Dの既知の位置を考慮した、3つの距離の三辺測量によって携帯デバイスの位置を決定することができる。本開示は、ロケータアルゴリズム212の一部として三辺測量に限定されないことに留意されたい。本明細書で論じられるように、距離関数、三角測量関数、辺測量、多辺測量関数、フィンガープリント関数、微分関数、飛行時間関数、到来時間関数、到来時間差関数、出発角度関数、幾何関数など、又はそれらの任意の組み合わせを含む、様々な追加又は代替関数がロケータアルゴリズム212の一部を形成し得る。
A.環境変化
【0068】
本明細書で論じられるように、携帯デバイス20から受信される無線通信の信号特性と距離又は位置との間の関係は、対象物10が置かれた環境のタイプに応じて変化し得る。例えば、図6の図示の実施形態において、RSSIと距離との間の関係は、3つのタイプの環境のそれぞれで異なる。1)屋外(屋外変換テーブル610)、2)対象物10の近くに他の物体が存在する屋外(他物体有り屋外変換テーブル630)、及び3)屋内(屋内変換テーブル620)。他の物体又は障害物が対象物10の近くに存在すると、それらの他の物体又は障害物からの反射が、携帯デバイス20から受信される無線通信の信号特性と距離又は位置との間の関係を変化させる可能性がある。この関係の変化は、屋外変換テーブル610と屋内変換テーブル620との間の違いに見ることができる。
【0069】
より具体的には、図7及び図9の図示の実施形態において、対象物10が置かれる対照的な環境が示される。図7の図示の実施形態における対象物10は、対象物10の近くに他の物体(例えば、他の車両)が存在しない屋外設定(例えば、野外駐車場)に置かれている。図7に示されるように、対象物10から発せられたRF通信140は、対象物10及び携帯デバイス20に近接する近傍物体に反射することなく、実質的に伝播する。図9において、対象物10は、対象物10及び携帯デバイス20に近接する他の物体14とともに示されている。これらの他の物体14は、反射141が、図7に示されるように、他の物体14が存在しない場合とは異なって、無線通信の信号特性の測定値に影響を与えるように、対象物10から発せられるRF通信140を反射する。図9の例示された実施形態に存在する他の物体14、及び結果として生じる反射141は、他物体有り屋外変換テーブル630によるRSSIと距離との間の機能的関係をもたらし得るが、一方、図7に示されるような、これらの他の物体14の存在なしでのRSSIと距離との間の機能的関係は、屋外変換テーブル610に従い得る。
【0070】
なお、様々な実施形態及び環境が示されている図7~9の図示された実施形態において、RF通信140が対象物10から発せられている様子が示されていることに留意されたい。RF通信140は、携帯デバイス20又はセンサ40、あるいはその両方から発せられ得ること、及び、これらのRF通信140は、対象物10の近くに存在する他の物体14から反射され得ることに留意されたい。本明細書で使用される別の物体14に関する近接とは、距離又は位置と固定位置デバイス(例えば、対象物デバイス50又はセンサ40、もしくは両方)によって測定される通信の信号特性との間の機能的関係に認識できるほどに影響を与える反射141を引き起こすのに十分な近接を意味する。
【0071】
本明細書で論じられるように、対象物10から送信されるRF通信140の1つ以上の受信信号特性は、環境のタイプの決定の基礎を形成することができ、それにより、携帯デバイス20によって送信されるRF通信の1つ以上の信号特性、及び、携帯デバイス20によって送信されるRF通信の1つ以上の信号特性に基づく位置情報の決定のためにロケータ210で利用する機能的関係のタイプの選択を容易にする。
【0072】
対象物10が置かれる環境は、動的に変化し得る。他の物体14は、対象物10の近くに存在したり、存在しなかったりして、反射141をもたらすことがある。図8A~Bの図示の実施形態において、対象物10が、屋内ガレージ16の内部空間への入口を介して出入りすることを可能にし、内部空間へのアクセスを防ぐために入口を遮断する可動バリア17を備えた屋内ガレージ16内に置かれる。図8Aの図示の実施形態では、可動バリア17は開位置にあり、その結果、RF通信140の反射141は、入口近くの可動バリア17からではなく、屋内ガレージ16の内壁から生成される。可動バリア17は、図8Bの図示の実施形態では閉位置にあり、屋内ガレージ16の入口近くでそのような反射141を生じるように示されている。これらのような環境の違いは、ロケータ212に異なる影響を与える可能性がある。
【0073】
本開示による一実施形態は、対象物デバイス50又はセンサ40、もしくは両方などの対象物10に配置された固定位置デバイスから送信される通信の1つ以上の受信信号特性に基づいて、環境のタイプ又は1つ以上の環境特性を決定することができる。1つ以上の受信信号特性は、対象物10に配置された少なくとも1つの他の固定位置デバイス又は携帯デバイス20、もしくはそれらの組み合わせによって受信される通信に基づいて決定することができる。環境のタイプ、又は1つ以上の環境特性、もしくはそれらの組み合わせに基づいて、システム100は、ロケータアルゴリズム212を選択するか、又はロケータ212を適合させて、そこからの出力に影響を与えることができる。
【0074】
図6の図示の実施形態に示される関係のように、環境変動は、信号特性と距離との間の関係に相違を引き起こす可能性があることに留意されたい。ある環境のための関係は、別の環境のための関係と機能的に相関していることがある。場合によっては、ある環境のための関係を別の環境のための関係に簡単にマッピングできないことがある。ある環境のための関係と別の環境のための関係との間に機能的な相関関係がない可能性がある。2つの異なる環境のための関係の間の機能的相関関係の例には、信号特性の値の関数(例えば、傾き*値+初期オフセット)として定義される差のサブセットである、比例オフセット(例えば、傾き)が含まれる。環境の変化に起因する他の機能的相関関係の例は、より複雑である場合がある。一例として、特定の環境を決定する代わりに、システムは、1つ以上の検知されたパラメータからのフィードバックに基づいてロケータの1つ以上のパラメータを動的にオフセット又は調整し、それによって少なくとも2つの異なるロケータ又はロケータ構成を生成し得る。環境の変化を考慮して、ロケータのパラメータを変更したり、ロケータに入力される信号の前処理を変更したり、又はそれらを組み合わせたりすることができる。
【0075】
一実施形態において、2つの環境ための信号特性と距離との間の関係の機能的相関関係は、一方の環境用に構成されたロケータ212を、他方の環境に関する出力を生成するように適合させるために、アダプタロケータ310によって使用されることができる。本明細書で論じられるように、機能的相関関係を含むアダプタロケータ310は、対象物10が置かれている環境のタイプの決定に基づいて選択されることができる。例えば、アダプタロケータ310は、決定された環境のタイプに基づいて、ロケータ210のロケータアルゴリズム212の1つ以上のパラメータ210を変更することができ、その結果、アダプタロケータ310は、ロケータ210が具体的に構成された環境ではなく、決定されたタイプの環境用に構成されることができる。追加的又は代替的に、環境固有のロケータ210が、対象物10が置かれている環境のタイプの決定に基づいて選択されても良い。
【0076】
一実施形態による方法は、アダプタロケータ310の1つ以上のパラメータが、環境において得られた1つ以上の信号特性に基づきシステム100によって決定され得るように、アダプタロケータ310を動的に決定することができる。システム100は、対象物10に配置された固定位置デバイス(例えば、センサ40又は対象物デバイス50、あるいは両方)から無線通信を送信するように構成され得る。これらの無線通信は、別の固定位置デバイス又は携帯デバイス20、あるいは両方によって受信されて、無線通信に関する1つ以上の受信信号特性を生成することができる。これらの1つ以上の受信信号特性に基づいて、システム100は、対象物10が置かれている環境のタイプ、その環境の1つ以上の特性、あるいはその両方を決定することができる。そして、環境のタイプ又は環境の1つ以上の特性、あるいはその両方に基づいて、システム100は、事前定義されたロケータ210を選択するか、ロケータ210に対して事前定義されたアダプタロケータ310を選択するか、又は環境にロケータ210を適合させるためのアダプタロケータ310の1つ以上のパラメータを決定することができる。
B.ロケータアルゴリズム
【0077】
基準ロケータ210のロケータアルゴリズム212は、基準ロケータ210の複数のパラメータ210に従って調整可能であり得る。パラメータの例には、センサオフセット(例えば、RSSIオフセット又はAOAオフセット、あるいはその両方)、ゾーンオフセット(例えば、閾値とヒステリシスパラメータ)、及び、距離変換(例えば、定数又は方程式、あるいはその両方)が含まれる。1つ以上の入力216と複数のパラメータ210の値に基づいて、ロケータ関数212は、対象物10に対する基準デバイス200の位置を示す出力218を提供することができる。ロケータアルゴリズム212は、アプリケーションごとに異なっても良い。
【0078】
ロケータアルゴリズム212の一実施形態に従って位置を決定する方法が図14に示され、全体として4000で表される。図14の方法は、デバイスからのデータ又は入力216を受信すること、デバイスのオフセット(例えば、基準ロケータオフセット及び/又はアダプタロケータオフセット)を取得すること、受信データへオフセットを適用すること、及び、出力218としてゾーンを決定すること、を含むことができる。ステップ4010、4012、4014、4016、4018。ゾーンの決定は、デバイスのタイプと、一例として以前のゾーン決定とすることができる、以前の状態とに基づいて、1つ以上の閾値を取得することを含むことができる。ステップ4020。この方法は、十分なデータがあるかを決定することを含むことができ、ない場合には、ゾーンが未知であることを示す出力を生成することを含むことができる。ステップ4022、4033。十分なデータがある場合、ロケータは、データ、閾値、オフセット、変動性インジケータ、ヒステリシス設定、又は別のパラメータもしくは測定値、あるいはそれらの任意の組み合わせに基づいて、デバイスがゾーン1(例えば、内部)に位置し、ゾーン0(例えば、遠い)又は2(例えば、近い)には位置していないかを決定することができる。ステップ4024、4031。ゾーンの代替のセットは、運転席側(0)、内部(1)、又は助手席側(2)であっても良いが、本開示はそのように限定されないことを理解されたい。ステップ4024と同様の決定に基づいて、ロケータは、デバイスがゾーン2に位置しているかを決定し、そうであれば、それに応じた出力を提供することができる。ステップ4026、4032。デバイスがゾーン2にないと決定された場合、ロケータは、デバイスがゾーン0にあることを出力することができる。ステップ4026、4030。
【0079】
別の例では、ロケータアルゴリズム212は、ニューラルネットワーク(例えば、1以上の層を有する畳み込みニューラルネットワーク)であっても良く、1つ以上のパラメータは、ニューラルネットワーク内のノードの重みを含んでも良い。重みは、携帯デバイス20及び対象物10について取得されたサンプルと、そのサンプルに関して取得された真正情報を用いた、ロケータ210のトレーニング中に調整することができる。
【0080】
車両には、システム100の一実施形態に従い、多くのアンテナが存在することがあり、各々のアンテナは、異なる向きで異なる場所にあっても良い。アンテナ、及び対象物デバイス50又はセンサ40などの関連デバイスのすべて又はサブセットは、RSSI測定値を同時に取得することができる。
【0081】
様々な要因が、受信機と送信機との間の通信の1つ以上の信号特性に影響を及ぼし得るので、ロケータ210及びロケータアルゴリズム212の調整を容易にするために、様々な条件下で1つ以上の信号特性のサンプルが取得されても良い。
【0082】
条件の変化の例は、可能なすべての角度/向きの大きな割合をカバーするように強制的にテストし、又はサンプルを取得するために、携帯デバイス20を意図的にすべての方向に回転させること、並びに、地面に対して異なる高さでテストサンプルを取得することを含むことができる。
III.環境の決定
【0083】
対象物10が置かれている環境のタイプ又はその特性、あるいはその両方を決定するための本開示の一実施形態による方法が図12に示され、全体として1000と表されている。方法1000は、対象物10の既知の位置に配置された固定位置デバイス(例えば、対象物デバイス50又はセンサ40)から送信されたRF通信に関して複数のサンプルを取得することを含む。代替の実施形態では、固定位置デバイスは対象物10に配置されなくても良く、むしろ、この代替実施形態における固定位置デバイスの位置は、対象物10に配置されないが、対象物10に対して既知であっても良いことに留意されたい。
【0084】
第1の固定位置デバイスから送信されたRF通信は、第2の固定位置デバイス又は携帯デバイス20、あるいはその両方などの第2のデバイスによって受信され得る。ステップ1002、1004。第1の固定位置デバイスは、センサ40又は対象物デバイス50、あるいは携帯デバイス20を含む、本明細書に記載の任意のタイプのデバイスであり得る。第2のデバイスによって受信されたこれらのRF通信は、固定位置デバイスから送信されたRF通信に関する1つ以上の受信信号特性を生成するためにサンプリングされ、分析され得る。ステップ1006。開示の目的で、第1の固定位置デバイスから送信されるRF通信は、第2のデバイスによって受信されることに関連して説明されるが、本開示はそのように限定されない。複数のデバイスがRF通信を受信し、受信したRF通信に関する1つ以上の受信信号特性を決定しても良い。一実施形態において、固定位置デバイスから送信されたRF通信は、携帯デバイス20によって受信され、本明細書で論じられるように、携帯デバイス20は、固定位置デバイスから受信したRF通信に関する検知情報を通信することができる。1つ以上のセンサ40も、固定位置デバイスからRF通信を受信し、受信したRF通信に関係する検知された情報を固定位置デバイスに通信することができる。固定位置デバイス(例えば、第1の固定位置デバイス)は、固定位置デバイス及び/又は対象物10が置かれている環境のタイプ(及び/又は環境の特性)を決定するための環境決定器を含むことができる。固定位置デバイスは、そのような決定の出力を、対象物デバイス50又は携帯デバイス20などの別のデバイスに通信することができる。
【0085】
追加的又は代替的に、固定位置デバイスはセンサであっても良く、第2のデバイスは別のセンサであっても良い。第2のデバイスはRF通信を受信し、RF通信に関連する検知情報を対象物デバイス50(例えば、ハブ)に送信しても良い。
【0086】
1つ以上の受信信号特性は、環境決定器などによって分析されて、対象物10が置かれている環境のタイプ、又はその環境の特性、あるいはそれらの組み合わせを決定することができる。ステップ1006。例えば、1つ以上の受信信号特性は、対象物10が、可動バリアを閉位置にした閉鎖されたガレージ内にあることを示すことができる。別の例として、1つ以上の受信信号特性は、対象物10が野外駐車場にあり、その近くに他の同様の物体がないことを示すことができる。
【0087】
1つ以上の受信信号特性は、対象物10に対する携帯デバイス20に関する位置情報を決定するためのロケータ210への入力として提供される信号特性の1つ以上と同様であり得る。例えば、1つ以上の受信信号特性は、RSSI、AOA、及びTOFを含むことができる。
【0088】
環境のタイプ又は環境の特性を決定するためのアルゴリズムは、アプリケーションごとに異なっていても良い。図示の実施形態では、アルゴリズムは、1つ以上のパラメータが特定の環境を示すことに基づいて環境を決定することを含むことができる。代替の実施形態では、環境又はその特性は、同じ信号特性及び類似の又は同じ環境(又はその特性)の真正データに対する受信信号特性の類似性に基づいて識別されても良い。図10の例示された実施形態では、一実施形態によるそのような真正データが、RSSIと、RF通信パラメータのセットに従って送信されたRF通信と組み合わせて示されている。図示の実施形態では、RF通信パラメータは一定であるが、これらのパラメータのうちの1つ以上を変化させても良い。示されるように、RSSI(受信信号特性)は、対象物10が置かれている環境のタイプに応じて変化する。例えば、本明細書で論じられるように、対象物10に近接する物体によって引き起こされる反射141は、対象物10に近いRF通信に影響を及ぼし得る。反射141は、対象物10に配置された固定位置デバイスから送信されるRF通信に関して、ならびに携帯デバイス20から送信されるRF通信に関して発生し得る。少なくともこの理由のために、対象物10から送信されるRF通信に対する環境の影響を測定することは、携帯デバイス20から送信されるRF通信に対するこれらの影響を考慮するための基礎となすことができる(例えば、ロケータ210及び/又はアダプタロケータ310を選択することによって)。
【0089】
図10の図示の実施形態では、RSSI(受信信号特性)が、環境のタイプ及び固定位置デバイスからのRF通信に対するその影響(例えば、反射141)に応じて異なる値を有することが示されている。送信パラメータ及びRSSIはアプリケーションごとに異なる可能性があり、環境のタイプは、受信信号特性として提供されるRSSIに対して信頼度の範囲内で決定され得ることに留意されたい。信頼度は、特定のタイプの環境におけるRSSIの真正データポイントを囲む仮想線によって示される。例えば屋内の閉鎖されたガレージに対応する環境の真正データポイントは、-36dBmである。使用時に、RSSIがこの値の5dBm以内であると決定された場合、システム100は、環境のタイプが屋内閉鎖ガレージ(又は、屋内閉鎖ガレージと同じようにRF通信に影響を与える環境)であると決定することができる。同様に、使用時に、RSSIが、対象物10が空いている駐車場や対象物10の近くに物体が存在するような駐車場で屋外にあることに対応する環境によって特定される領域内にあると決定された場合、システム100は、それに応じて、対象物10が、そのようなタイプの環境(又は、RF通信に同様の影響を与える環境)にあると判断しても良い。ステップ1008。ある意味で、図10の図示された実施形態は、異なるタイプの環境のフィンガープリントを示している。図示の実施形態におけるRSSIは、対象物10の第1の固定位置デバイスから第2の固定位置デバイスへのRF通信に関して取得される。複数のフィンガープリントに対する複数のRSSI及び関連する信頼レベルを、環境又はその特性を識別するための基礎として使用できるように、少なくとも第3の固定位置デバイスにおけるRF通信の受信について、同様のフィンガープリントが決定されても良い。同様に、携帯デバイス20におけるRF通信の受信が、様々なタイプの環境又はその特性についてのフィンガープリントと比較されても良い。
【0090】
環境のタイプ又はその特性を決定した後、方法1000は、環境のタイプに対応するロケータ210、又は環境のタイプに対して位置情報を決定することを容易にする、本明細書で説明されるようなアダプタロケータ310を選択することを含むことができる。ステップ1010。ロケータ210及び/又はアダプタロケータ310が選択されると、システム100は、携帯デバイス20から受信したRF通信に基づいての位置情報の決定に進むことができ、決定は、対象物10が置かれている環境のタイプに従って適合される。
【0091】
一実施形態において、対象物10が置かれている環境のタイプを決定するための基礎として使用される真正データは、ユーザフィードバック又は環境を示す他のパラメータに基づいて現地で決定され得ることに留意されたい。例えば、システムは、バリア開放の作動やイグニッションのオフなど、1つ以上の基準に基づいて、対象物10が閉塞されたガレージに置かれている判断してもよい(この例では、バリアが開位置から閉位置に移動し、RSSI値が時間の経過とともにそれに応じて変化することがある)。本明細書で論じられるように、システム100は、現場で決定された真正データに基づいてアダプタロケータ310を決定することができる。
IV.アダプタロケータ
【0092】
一実施形態によるシステム100は、携帯デバイス20に関する位置情報を決定するためにアダプタロケータ310を使用するように構成され得る。一実施形態では、アダプタロケータ310は、環境のタイプ、環境の特性、又はアダプタロケータ310が動作するように事前に決定されている環境に類似した環境について事前に決定され得る。
【0093】
あるいは、アダプタロケータ310は、対象物10及びその環境に関する真正データを含む、使用時に取得された1つ以上のサンプルに基づいて、システム100によって決定されても良い。環境に関する真正データは、ユーザによって提供されるか、又はGPS位置情報、ブルートゥースデバイス(例えば、携帯デバイス20)への接続性、及び一連のイベント(例えば、バリア開放、イグニッションオフ、ブルートゥースデバイスの切断)、又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の基準に基づいて判断されても良い。
【0094】
一実施形態において、アダプタロケータ310は、対象物10上、又は対象物10に対して既知の位置に配置された第1の固定位置デバイスから送信されるRF通信に基づいて、対象物10が置かれた環境に適応するようにトレーニングされ得る。携帯デバイス又は第2の固定位置デバイスによって受信される第1の固定位置デバイスからのRF通信は、真正情報を形成するように対象物10が置かれている環境のタイプと相関し得る。この真正情報は、システム100のロケータ210に対するアダプタロケータ310を生成するための基礎を形成し得る。一実施形態では、携帯デバイス20から送信されるRF通信に対する環境の影響は、第1の固定位置デバイスから送信されるRF通信に対する影響と同様であることに留意されたい。アダプタロケータ310は、環境に対して信頼度の範囲内で正確な位置情報を生成するため、ロケータ210の出力に影響を及ぼすようにトレーニングされ得る。
【0095】
一実施形態によるアダプタロケータ310をトレーニングする方法が図13に示され、全体として3000で表されている。方法は、第1の固定位置デバイスからのRF通信に関するサンプルデータ及び真正データを取得することを含むことができる。真正情報は、第2の固定位置デバイスによって受信されたRF通信に関する1つ以上の受信信号特性を含むことができる。第1及び第2の固定位置デバイスの絶対位置又は相対位置は、既知であり、真正データの一部として提供され得る。ステップ3002。
【0096】
方法3000は、第1及び第2の固定位置デバイスのための位置情報をロケータ210から生成することを含むことができる。ステップ3002。ロケータ210の1つ以上のパラメータが、対象物10に対する携帯デバイス20の位置ではなく、対象物10に対する第1の固定位置デバイスの位置を決定する際の相違を考慮するため、このステップで調整されても良い。対象物10が置かれている環境が、第1の固定位置デバイスについてロケータ210から生成される位置情報の精度に影響を与える場合、アダプタロケータ310の1つ以上のパラメータがロケータ210の出力に影響を与えるように調整されても良く、それにより、位置情報の精度が許容可能な信頼度の範囲内に収まる。ステップ3006、3008。このプロセスは、精度が許容できるまで繰り返されても良い。
【0097】
アダプタロケータ310がトレーニングされた後、アダプタロケータ310がトレーニングされた環境、又は同様にRF通信に影響を与える環境内で、携帯デバイス20からのRF通信に関する位置情報を決定するために、アダプタロケータ310がロケータ210と組み合わせて使用され得る。受信信号特性又は環境のタイプを示す特性が、メモリに格納され、アダプタロケータ310がトレーニングされる環境のタイプにおける対象物10の検出に応答してトレーニングされたアダプタロケータ310を選択するために、環境のタイプを決定する方法1000と組み合わせて使用されても良い。携帯デバイス20ではなく、第1の固定位置デバイスの位置情報を決定するために調整された1つ以上のパラメータは、アダプタロケータ310がそのように使用されるときに、携帯デバイス20の位置情報を決定するためのそれぞれの値に戻されても良いことに留意されたい。
【0098】
一実施形態によるアダプタロケータ310が図11に示されている。アダプタロケータ310は、携帯デバイス20と対象物デバイス50又はセンサ40との間、もしくはそれらの組み合わせの間の通信の1つ以上の信号特性などの入力データ320を受信するように構成することができる。入力データ320は、アダプタロケータ310のトレーニング中にサンプルで収集されたデータのタイプと実質的に同様であっても良いし、ロケータ210への入力データとして提供されても良い。アダプタロケータ310は、対象物デバイス50及び/又はセンサ40が固定された関係で配置されている対象物10に対する携帯デバイス20の位置を示すアダプタロケータ出力330を提供するように構成され得る。
【0099】
一実施形態において、アダプタロケータ310は、メモリに格納されたパラメータ構成316を含むことができる。パラメータ構成316は、複数のサンプル及び関連する真正データを含むトレーニングデータに従った、アダプタロケータ310のトレーニング中に調整される1つ以上のパラメータを含むことができる。アダプタロケータ310の1つ以上のパラメータは、アダプタロケータ出力330が信頼度の範囲内で真正データと揃うように、アダプタロケータ310のスコアを最大化するための勾配降下最適化アルゴリズムに従って調整され得る。一実施形態では、アダプタロケータ310は、システム100が方法1000に関して決定された環境のタイプ用に現場でアダプタロケータ310をトレーニングする必要がないように、別個のシステムで事前定義又はトレーニングされ得る。
【0100】
オプションで、パラメータ構成316の少なくとも1つ以上のパラメータは、図11の仮想線に示されるように、ロケータ210のパラメータ214の少なくとも1つに対応しても良い。例えば、ロケータ210の第1のパラメータは、携帯デバイス20に関する通信の信号強度のグローバルオフセット値であり、ロケータ210は、グローバルオフセット値が実質的にゼロになるように構成され得る。アダプタロケータ310のトレーニング中に、許容可能と見なされるアダプタロケータ310のスコアを達成するか、又は信頼度の閾値の範囲内で動作するアダプタロケータ出力330を達成するように、グローバルオフセット値が調整され得る。
【0101】
アダプタロケータ310によって制御されるパラメータの数(例えば、トレーニングパラメータの数)は、ロケータ210によって又はロケータ210のトレーニングに利用されるパラメータの数よりも大幅に少なくてもよいことに留意されたい。結果として、アダプタロケータ310は、いくつかの状況又は環境において、ロケータ210と実質的に同様に動作し得るが、他の状況又は環境では同様に動作しない可能性がある。トレーニングプロセスは、全体として許容できるシステム100を実現するために、影響が小さいと考えられる状況と比較して、影響が大きいと考えられる状況のパフォーマンスを達成することにより大きな重みを与えるように構成されてもよい。例えば、遠距離での精度は、対象物10の近接範囲での精度よりも低く重み付けされ得る。
【0102】
オプションで、アダプタロケータ310は、以下のうちの1つ以上を含むことができる。ロケータ210に提供される入力データ320を修正又は適合させるように構成されたアダプタゲートウェイ312、及び、ロケータ210から受信される出力を修正又は適合させるように構成されたアダプタモディファイア314。メモリに格納され、アダプタロケータ310に関連付けられるパラメータ構成316は、アダプタゲートウェイ312及びアダプタモディファイア314に関連付けられた1つ以上のパラメータを含むことができる。アダプタロケータ310のトレーニングは、テスターデバイス300の真正データに対するアダプタロケータ310のパフォーマンススコアを達成するように、1つ以上のパラメータを調整することを含むことができる。アダプタゲートウェイ312は、アダプタロケータ310によって受信されたセンサデータに対して信号処理及び/又はデータ集計を実行することができる。パラメータは、この信号処理及び/又はデータ集計に影響を与えることができる。アダプタモディファイア340は、ロケータの出力に影響を与えるように構成されたポストプロセッサであり得る。アダプタゲートウェイ312及び/又はアダプタモディファイア314は、ロケータに一体化されていてもよいし、そこから外れていてもよい。
【0103】
一実施形態による、トレーニングされたアダプタロケータ310は、携帯デバイス20について信頼度の範囲内で位置情報を決定するようにシステム100に影響を与えることができる。一実施形態の、トレーニングされたアダプタロケータ310は、別のタイプの環境についてのロケータ210からの出力に対して、あるタイプの環境についての通信の信号強度特性を相殺することを容易にすることができる。
【0104】
「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「内側」、「内側へ」、「外側」及び「外側へ」などの方向を示す用語が、図示された実施形態の方向に基づいて本発明を説明するのを助けるために使用される。方向を示す用語の使用が、本発明をいずれかの特定の方向に限定すると解釈されるべきではない。
【0105】
上記の説明は、本発明の現在の実施形態の説明である。均等論を含む特許法の原則に従って解釈されるべき、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神及び広範な態様から逸脱することなく、様々な変更や変化がなされることができる。本開示は、説明の目的のために提示されたものであり、本発明のすべての実施形態の包括的な説明として、又は請求の範囲をこれらの実施形態に関連して図示又は説明される特定の要素に限定するように解釈されるべきではない。例えば、限定するものではないが、記載された発明の任意の個々の要素は、実質的に同様の機能を提供するか、さもなければ適切な動作を提供する代替要素によって置き換えることができる。これには、例えば、当業者に現在知られているような、現時点で知られている代替要素、及び、開発時に当業者が代替要素として認識するような、将来的に開発される代替要素が含まれる。さらに、開示された実施形態は、一緒に説明され、協調して一連の利点を提供する複数の特徴を含む。本発明は、発行された特許請求の範囲に明示的に記載されている場合を除き、これらの特徴の全てを含む、又は、記載された全ての利点を提供する実施形態のみに限定されない。例えば、冠詞「a」、「an」、「the」又は「said」を使用する、単数形での請求項要素への言及は、その要素を単数に限定するものとして解釈されるべきではない。「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」としての請求項要素に対する言及は、個々にX、Y又はZのいずれか1つ、及びX、Y及びZの任意の組み合わせ、例えばX、Y、Z;X、Y;X、Z:Y、Zを含むことを意味する。排他的財産又は特権が主張される本発明の実施形態は、以下のように定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15