(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20220621BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20220621BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220621BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220621BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220621BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G06F3/0484
G09F9/00 366G
G09F9/30 308Z
G09G5/00 510V
G09G5/36 520K
G09G5/38 A
(21)【出願番号】P 2022517310
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2021025971
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2020128894
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 英和
(72)【発明者】
【氏名】西澤 吉彦
(72)【発明者】
【氏名】臼井 健太朗
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-175999(JP,A)
【文献】特開2009-265757(JP,A)
【文献】特開2009-222951(JP,A)
【文献】特開2003-302957(JP,A)
【文献】特表2013-546044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G06F 3/0484
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ディスプレイを含んでいる第1表示部と、
前記第1ディスプレイの右に配置されている第2ディスプレイを含んでいる第2表示部であって、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイとが形成する角度が変化するように、前後方向に延びる回転軸線を中心に前記第1表示部に対して回転することができる第2表示部と、
前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイとが形成する前記角度及び前記角度の角速度を取得する角度角速度取得部と、
ユーザが前記第2表示部を前記第1表示部に対して回転させたときに、前記角度角速度取得部が取得した前記角度及び前記角速度に基づいて、前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイに表示させる映像の水平方向を上下方向又は左右方向に一致させるのかを決定する制御部と、
を備える、
電子機器。
【請求項2】
前記角度角速度取得部は、前記角度を検出する角度検出部及び前記角速度を検出する角速度検出部を含んでいる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記角度角速度取得部は、前記角度を検出する角度検出部及び前記角度に基づいて前記角速度を演算する角速度演算部を含んでいる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記角度角速度取得部は、前記角速度を検出する角速度検出部及び前記角速度に基づいて前記角度を演算する角度演算部を含んでいる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記角度が所定範囲内であって、かつ、前記角速度が0より大きく正の所定値以下である場合、前記映像の水平方向を前後方向に一致させる、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記角度が所定範囲内であって、かつ、前記角速度が0より大きく正の所定値以下である場合、前記映像の水平方向を前後方向に一致させつつ、前記映像を右方向に移動させる、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記角度が所定範囲内ではない、又は、前記角速度が0より大きく正の所定値以下ではない場合、前記映像の水平方向を左右方向に一致させる、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記角度が所定範囲内ではない、又は、前記角速度が0より大きく正の所定値以下ではない場合、前記映像の水平方向を左右方向に一致させつつ、前記映像を右方向に移動させる、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイは、可撓性を有する1枚のディスプレイである、
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の携帯端末が知られている。特許文献1に記載されているように、折り曲げ可能なフレキシブルディスプレイユニットを備える携帯端末では、ユーザは、フレキシブルディスプレイユニットが折り曲げられた状態でタッチパネルを操作することが難しい場合がある。そこで、携帯端末では、フレキシブルディスプレイユニット、感知ユニット及びコントローラを備えている。フレキシブルディスプレイユニットは、折り曲げ可能な構造を有している。感知ユニットは、フレキシブルディスプレイユニットが折り曲げられている角度を検知する。コントローラは、感知ユニットが感知した角度に基づいて、フレキシブルディスプレイユニットの一部の透明度を変更する。このように、特許文献1に記載の携帯端末では、フレキシブルディスプレイユニットが折り曲げられている角度に基づいて、フレキシブルディスプレイユニットの表示状態が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0179236号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の携帯端末では、フレキシブルディスプレイユニットが折り曲げ可能な構造を有する。そのため、携帯端末の使用シーンの種類が多く存在する。携帯端末のユーザは、使用シーンに適した向き(orientation)を有する映像がフレキシブルディスプレイユニットに表示されることを望む。
【0005】
そこで、本発明の目的は、折り畳み可能な第1ディスプレイ及び第2ディスプレイを備える電子機器において、使用シーンに適した向きを有する映像を表示できる電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る電子機器は、
第1ディスプレイを含んでいる第1表示部と、
前記第1ディスプレイの右に配置されている第2ディスプレイを含んでいる第2表示部であって、前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイとが形成する角度が変化するように、前後方向に延びる回転軸線を中心に前記第1表示部に対して回転することができる第2表示部と、
前記第1ディスプレイと前記第2ディスプレイとが形成する前記角度及び前記角度の角速度を取得する角度角速度取得部と、
ユーザが前記第2表示部を前記第1表示部に対して回転させたときに、前記角度角速度取得部が取得した前記角度及び前記角速度に基づいて、前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイに表示させる映像の水平方向を上下方向又は左右方向に一致させるのかを決定する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子機器によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ及び第2ディスプレイを備える電子機器において、使用シーンに適した向きを有する映像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図3は、従来の電子機器1010が全閉状態から全開状態へと切り替えられたときに表示される映像を示した図である。
【
図4】
図4は、電子機器10が全閉状態から全開状態へと切り替えられるときに表示される映像を示した図である。
【
図5】
図5は、電子機器10が全閉状態から中間状態へと切り替えられるときに表示される映像を示した図である。
【
図6】
図6は、全開動作及び中間動作における角度θ及び角速度ωの関係を示したグラフである。
【
図7】
図7は、制御部18が行う処理を示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1の変形例に係る電子機器10aのブロック図である。
【
図9】
図9は、第2の変形例に係る電子機器10bのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
[電子機器の構成について]
以下に、本発明の一実施形態に係る電子機器の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、電子機器10の斜視図である。
図2は、電子機器10のブロック図である。
【0010】
以下では、電子機器10の厚み方向を上下方向と定義する。下方向に見て、電子機器10の折り曲げ線Lが延びる方向を前後方向と定義する。下方向に見て、電子機器10の折り曲げ線Lに直交する方向を左右方向と定義する。上下方向、左右方向及び前後方向は、互いに直交している。また、本明細書における上下方向、左右方向及び前後方向は、電子機器10の使用時における上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。
【0011】
電子機器10は、
図1に示すように、折り畳み式スマートフォンである。電子機器10は、
図1及び
図2に示すように、第1表示部12、第2表示部14、タッチセンサ16、制御部18及び角度角速度取得部20を備えている。
【0012】
第1表示部12は、第1ディスプレイ12a及び第1表示部本体12bを含んでいる。第1ディスプレイ12aは、ユーザに対して映像を表示する。第1表示部本体12bは、筐体、回路基板、バッテリ、CPU(Central Processing Unit)等を含んでいる。第1表示部本体12bの筐体は、第1ディスプレイ12aを保持している。また、第1表示部本体12bの筐体は、回路基板、バッテリ、CPUを内蔵している。なお、第1表示部本体12bの構造は、一般的な構造であるので説明を省略する。
【0013】
第2表示部14は、第1表示部12の右に配置されている。また、第2表示部14は、第1表示部12に接続されている。第2表示部14は、第2ディスプレイ14a及び第2表示部本体14bを含んでいる。第2ディスプレイ14aは、ユーザに対して映像を表示する。第2ディスプレイ14aは、第1ディスプレイ12aの右に配置されている。第2表示部本体14bは、筐体、回路基板、バッテリ、CPU等を含んでいる。第2表示部本体14bの筐体は、第2ディスプレイ14aを保持している。また、第2表示部本体14bの筐体は、回路基板、バッテリ、CPUを内蔵している。なお、第2表示部本体14bの構造は、一般的な構造であるので説明を省略する。
【0014】
第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aは、可撓性を有する1枚のディスプレイである。第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aは、例えば、有機ELディスプレイにより実現される。第2表示部14は、第1ディスプレイ12aと第2ディスプレイ14aとが形成する角度θが変化するように、前後方向に延びる回転軸線を中心に第1表示部12に対して回転することができる。具体的には、折り曲げ線Lは、前後方向に延びている。第1ディスプレイ12aは、折り曲げ線Lの左に配置されている。第2ディスプレイ14aは、折り曲げ線Lの右に配置されている。従って、第2表示部14は、第1表示部12に対して折り曲げ線Lを中心として回転することができる。これにより、電子機器10は、全開状態及び全閉状態をとることができる。全開状態は、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aが一つの平面を形成している状態である。全閉状態は、第1ディスプレイ12aと第2ディスプレイ14aとが対向している状態である。角度θは、全閉状態において0°となる。角度θは、全開状態において180°となる。
【0015】
タッチセンサ16は、第1ディスプレイ12a及び/又は第2ディスプレイ14aに設けられている。本実施形態では、タッチセンサ16は、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aに設けられている。タッチセンサ16は、第1ディスプレイ12aの全面及び第2ディスプレイ14aの全面を覆っている。タッチセンサ16は、ユーザの指がタッチセンサ16に触れた位置を検出する入力手段である。タッチセンサ16は、例えば、静電容量方式のタッチセンサである。ただし、タッチセンサ16は、抵抗膜方式のタッチセンサであってもよい。なお、タッチセンサ16は一般的な構造を有するので、タッチセンサ16の詳細な説明を省略する。
【0016】
角度角速度取得部20は、第1ディスプレイ12aと第2ディスプレイ14aとが形成する角度θ及び角度θの角速度ωを取得する。角度角速度取得部20は、角度θを検出する角度検出部22、及び、角度θに基づいて角速度ωを演算する角速度演算部24を含んでいる。角度検出部22は、例えば、ロータリーエンコーダ、ひずみセンサ、圧電フィルムセンサ等のセンサ及び電子機器10のCPUの組み合わせにより実現される。角度検出部22のCPUは、センサが出力した電気信号に基づいて、CPUが角度θを演算する。角度検出部22のセンサは、
図1に示すように、第1ディスプレイ12aの下面及び第2ディスプレイ14aの下面に跨って設けられている。角速度演算部24は、例えば、電子機器10のCPUにより実現される。角速度演算部24のCPUは、角度θを時間で微分することにより角速度ωを取得する。
【0017】
制御部18は、ユーザが第2表示部14を第1表示部12に対して回転させたときに、角度角速度取得部20が取得した角度θ及び角速度ωに基づいて、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aに表示させる映像の向きを決定する。すなわち、制御部18は、ユーザが第2表示部14を第1表示部12に対して回転させたときに、角度角速度取得部20が取得した角度θ及び角速度ωに基づいて、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aに表示させる映像の水平方向を上下方向又は左右方向に一致させるのかを決定する。本実施形態では、制御部18は、角度θが所定範囲内であって、かつ、角速度ωが0より大きく正の所定値以下である場合、映像の水平方向を前後方向に一致させる。また、制御部18は、角度θが所定範囲内ではない、又は、角速度ωが0より大きく正の所定値以下ではない場合、映像の水平方向を左右方向に一致させる。制御部18は、例えば、電子機器10のCPUにより実現される。
【0018】
[電子機器の動作について]
以下に、電子機器10の動作について図面を参照しながら説明する。
図3は、従来の電子機器1010が全閉状態から全開状態へと切り替えられたときに表示される映像を示した図である。
図4は、電子機器10が全閉状態から全開状態へと切り替えられるときに表示される映像を示した図である。
図5は、電子機器10が全閉状態から中間状態へと切り替えられるときに表示される映像を示した図である。中間状態とは、電子機器10において角度θが所定範囲である状態である。すなわち、中間状態とは、電子機器10において、θ1≦θ≦θ2が満たされる状態である。なお、θ1は、例えば、100°である。θ2は、例えば、140°である。以下では、電子機器10が全閉状態から中間状態へと切り替えられる動作を中間動作と定義する。電子機器10が全閉状態から全開状態へと切り替えられる動作を全開動作と定義する。
【0019】
電子機器1010では、制御部は、ユーザが第2表示部1014を第1表示部1012に対して回転させたときに、角度取得部1020が取得した角度θに基づいて、第1ディスプレイ1012a及び第2ディスプレイ1014aに表示させる映像の水平方向を前後方向又は左右方向に一致させるのかを決定する。具体的には、
図3に示すように、0<θ<θ1では、制御部は、映像の水平方向を左右方向に一致させる。θ1≦θ≦θ2(すなわち、中間状態)では、制御部は、映像の水平方向を前後方向に一致させる。θ2<θでは、制御部は、映像の水平方向を左右方向に一致させる。
【0020】
θ1≦θ≦θ2(すなわち、中間状態)では、ユーザは、右方向に向かって第1ディスプレイ1012a及び第2ディスプレイ1014aを見ることが多い。そこで、制御部は、映像の水平方向を前後方向に一致させる。一方、θ=180°(すなわち、全開状態)では、ユーザは、前方向に向かって第1ディスプレイ1012a及び第2ディスプレイ1014aを見ることが多い。そこで、制御部18は、映像の水平方向を左右方向に一致させる。
【0021】
ただし、
図3に示す全開動作では、映像の向きが不必要に変化する。具体的には、
図3に示す全開動作では、θ1≦θ≦θ2において、制御部が映像の水平方向を前後方向に一致させる必要がない。
【0022】
そこで、電子機器10において、
図4に示す全開動作では、θ1≦θ≦θ2において、制御部18は、映像の水平方向を前後方向に一致させずに、映像の水平方向を左右方向に一致させる。具体的には、0<θ<θ1では、制御部18は、映像の水平方向を左右方向に一致させる。θ1≦θ≦θ2(すなわち、中間状態)では、制御部18は、映像の水平方向を左右方向に一致させる。θ2<θでは、制御部18は、映像の水平方向を左右方向に一致させる。
【0023】
一方、電子機器10において、
図5に示す中間動作では、θ1≦θ≦θ2において、制御部18は、映像の水平方向を前後方向に一致させる。具体的には、0<θ<θ1では、制御部18は、映像の水平方向を左右方向に一致させる。θ1≦θ≦θ2(すなわち、中間状態)では、制御部18は、映像の水平方向を前後方向に一致させる。
【0024】
上記のような制御を実現するために、制御部18は、以下に説明するように角度θ及び角速度ωを利用している。
図6は、全開動作及び中間動作における角度θ及び角速度ωの関係を示したグラフである。横軸は角度を示し、縦軸は角速度を示す。
図6において、実線は、全開動作における角度θ及び角速度ωの関係を示している。
図6において、一点鎖線は、中間動作における角度θ及び角速度ωの関係を示している。
【0025】
全開動作では、θ1≦θ≦θ2では、ω>ωthが成立する。一方、中間動作では、θ1≦θ≦θ2では、ω≦ωthが成立する。このように、制御部18は、角度θ及び角速度ωに基づけば、全開動作と中間動作とを識別できる。ωthは、例えば、300°/secである。
【0026】
そこで、制御部18は、θ1≦θ≦θ2であって、かつ、0<ω≦ωthである場合、映像の水平方向を前後方向に一致させる。また、制御部18は、θ1≦θ≦θ2ではない、又は、0<ω≦ωthではない場合、映像の水平方向を左右方向に一致させる。
【0027】
次に、制御部18が行う動作例について図面を参照しながら説明する。
図7は、制御部18が行う処理を示したフローチャートである。
図7のフローチャートは、制御部18が図示しない記憶部において記憶されているプログラムを実行することにより行われる。
【0028】
制御部18は、θ≒0°であるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1では、制御部18は、電子機器10が全閉状態であるか否かを判定している。θ≒0°である場合、制御部18は、電子機器10が全閉状態であると判定する。そこで、本処理はステップS2に進む。θ≒0°ではない場合、制御部18は、電子機器10が全閉状態ではないと判定する。そこで、本処理は終了する。
【0029】
θ≒0°である場合、制御部18は、θ1≦θ≦θ2であるか否かを判定する(ステップS2)。θ1≦θ≦θ2である場合、本処理はステップS3に進む。θ1≦θ≦θ2ではない場合、本処理はステップS6に進む。
【0030】
θ1≦θ≦θ2である場合、制御部18は、0<ω≦ωthであるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS2及びステップS3において、制御部18は、全開動作又は中間動作のいずれが行われているのかを判定している。0<ω≦ωthである場合、本処理はステップS4に進む。0<ω≦ωthではない場合、本処理はステップS6に進む。
【0031】
0<ω≦ωthである場合、制御部18は、中間動作が行われていると判定する。制御部18は、
図5に示すように、映像の水平方向を前後方向に一致させると決定する(ステップS4)。更に、制御部18は、
図5に示すように、映像を右方向に移動させる(ステップS5)。すなわち、制御部18は、角度θが所定範囲内であって、かつ、角速度ωが0より大きく正の所定値以下である場合、映像の水平方向を前後方向に一致させつつ、映像を右方向に移動させる。これにより、映像は、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを合わせたディスプレイの中央に表示される。この後、本処理は終了する。
【0032】
前記ステップS6において、制御部18は、全開動作が行われていると判定する。制御部18は、
図4に示すように、映像の水平方向を左右方向に一致させると決定する(ステップS6)。更に、制御部18は、
図4に示すように、映像を右方向に移動させる(ステップS7)。すなわち、制御部18は、角度θが所定範囲内ではない、又は、角速度ωが0より大きく正の所定値以下ではない場合、映像の水平方向を左右方向に一致させつつ、映像を右方向に移動させる。これにより、映像は、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを合わせたディスプレイの中央に表示される。この後、本処理は終了する。
【0033】
[効果]
以上のように構成された電子機器10によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを備える電子機器10において、使用シーンに適した向きを有する映像を表示できる。より詳細には、制御部18は、ユーザが第2表示部14を第1表示部12に対して回転させたときに、角度角速度取得部20が取得した角度θ及び角速度ωに基づいて、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aに表示させる映像の水平方向を上下方向又は左右方向に一致させるのかを決定する。これにより、制御部18は、中間動作と全開動作とを識別することができる。従って、制御部18は、中間動作に適した向きを有する映像を第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aに表示させることができると共に、全開動作に適した向きを有する映像を第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aに表示させることができる。以上より、電子機器10によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを備える電子機器10において、使用シーンに適した向きを有する映像を表示できる。
【0034】
電子機器10によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを備える電子機器10において、使用シーンに適した向きを有する映像をより正確に表示できる。より詳細には、全開動作では、θ1≦θ≦θ2では、ω>ωthが成立する。一方、中間動作では、θ1≦θ≦θ2では、ω≦ωthが成立する。このように、制御部18は、θ1≦θ≦θ2における角速度ωに基づいて、全開動作と中間動作とを識別できる。
【0035】
そこで、制御部18は、角度θが所定範囲内であって、かつ、角速度ωが0より大きく正の所定値以下である場合(すなわち、θ1≦θ≦θ2であって、かつ、0<ω≦ωthである場合)、映像の水平方向を前後方向に一致させる。また、制御部18は、角度θが所定範囲内ではない、又は、角速度ωが0より大きく正の所定値以下ではない場合(すなわち、θ1≦θ≦θ2ではない、又は、0<ω≦ωthではない場合)、映像の水平方向を左右方向に一致させる。これにより、制御部18は、全開動作と中間動作とをより正確に識別できるようになる。その結果、電子機器10によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを備える電子機器10において、使用シーンに適した向きを有する映像をより正確に表示できる。
【0036】
電子機器10によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを備える電子機器10において、使用シーンに適した向きを有する映像をより正確に表示できる。より詳細には、制御部18は、角度θが所定範囲内であって、かつ、角速度ωが0より大きく正の所定値以下である場合(すなわち、θ1≦θ≦θ2であって、かつ、0<ω≦ωthである場合)、映像の水平方向を前後方向に一致させつつ、映像を右方向に移動させる。これにより、映像は、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを合わせたディスプレイの中央に表示される。その結果、電子機器10によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを備える電子機器10において、使用シーンに適した向きを有する映像をより正確に表示できる。また、制御部18は、角度θが所定範囲内ではない、又は、角速度ωが0より大きく正の所定値以下ではない場合(すなわち、θ1≦θ≦θ2ではない、又は、0<ω≦ωthではない場合)、映像の水平方向を左右方向に一致させつつ、映像を右方向に移動させる。これにより、映像は、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを合わせたディスプレイの中央に表示される。その結果、電子機器10によれば、折り畳み可能な第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aを備える電子機器10において、使用シーンに適した向きを有する映像をより正確に表示できる。
【0037】
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係る電子機器10aについて図面を参照しながら説明する。
図8は、第1の変形例に係る電子機器10aのブロック図である。
【0038】
電子機器10aは、角速度演算部24の代わりに角速度検出部24aを備えている点において電子機器10と相違する。従って、角度角速度取得部20は、角度θを検出する角度検出部22及び角速度ωを検出する角速度検出部24aを含んでいる。角速度検出部24aは、例えば、角速度ωを検出するためのセンサ及びCPUの組み合わせにより実現される。なお、電子機器10aのその他の構成は、電子機器10と同じであるので説明を省略する。角速度ωを検出するためのセンサは、例えば、加速度センサや圧電センサである。
【0039】
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る電子機器10bについて図面を参照しながら説明する。
図9は、第2の変形例に係る電子機器10bのブロック図である。
【0040】
電子機器10bは、角度検出部22の代わりに角度演算部22aを備えている点において電子機器10と相違する。角度角速度取得部20は、角速度ωを検出する角速度検出部24a及び角速度ωに基づいて角度θを演算する角度演算部22aを含んでいる。角度演算部22aは、角速度ωを時間で積分することにより角度θを演算する。角度演算部22aは、例えば、CPUにより実現される。なお、電子機器10bのその他の構成は、電子機器10と同じであるので説明を省略する。
【0041】
電子機器10bによれば、電子機器10bの小型化を図ることができる。より詳細には、角度角速度取得部20は、角速度ωを検出する角速度検出部24a及び角速度ωに基づいて角度θを演算する角度演算部22aを含んでいる。これにより、電子機器10は、角度演算部22aに相当するセンサを備えなくてもよい。その結果、電子機器10bの小型化が図られる。
【0042】
(その他の実施形態)
本発明に係る電子機器は、前記電子機器10,10a,10bに限らず、その要旨の範囲において変更可能である。なお、電子機器10,10a,10bの構成を組み合わせてもよい。
【0043】
なお、電子機器10,10a,10bにおいて、角度検出部22又は角速度検出部24aのセンサは、タッチセンサ16が備える圧電センサを用いてもよい。圧電センサは、PLLAやPVDF等の有機材料のフィルムを圧電体として含んでいる。これにより、電子機器10,10a,10bにおいて、新たなセンサを追加する必要がない。その結果、電子機器10,10a,10bの薄型化が図られる。
【0044】
なお、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aは、可撓性を有する1枚のディスプレイでなくてもよい。例えば、第1ディスプレイ12aと第2ディスプレイ14aとは、互いに独立した2つのディスプレイであってもよい。
【0045】
なお、電子機器10,10a,10bにおいて、
図7のステップS5,S7の処理は必須ではない。
【0046】
なお、電子機器10,10a,10bにおいて、制御部18が中間動作又は全開動作のいずれが行われているのかを判定する処理は、ステップS2,S3に示した処理に限らない。制御部18は、角度角速度取得部20が取得した角度θ及び角速度ωに基づいて、中間動作又は全開動作のいずれが行われているのかを判定すればよい。
【0047】
なお、電子機器10,10a,10bにおいて、タッチセンサ16は必須ではない。また、タッチセンサ16は、第1ディスプレイ12a又は第2ディスプレイ14aのいずれか一方にのみ設けられていてもよい。
【0048】
なお、電子機器10,10a,10bでは、第1ディスプレイ12aと第2ディスプレイ14aとが1枚の可撓性を有するディスプレイであることにより、第2表示部14が第1表示部12に対して回転することができる。すなわち、第1ディスプレイ12a及び第2ディスプレイ14aが折り曲げられることにより、第2表示部14が第1表示部12に対して回転できる。しかしながら、第1表示部12と第2表示部14とがヒンジにより連結されることにより、第2表示部14が第1表示部12に対して回転することができてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10,10a,10b:電子機器
12:第1表示部
12a:第1ディスプレイ
12b:第1表示部本体
14:第2表示部
14a:第2ディスプレイ
14b:第2表示部本体
16:タッチセンサ
18:制御部
20:角度角速度取得部
22:角度検出部
22a:角度演算部
24:角速度演算部
24a:角速度検出部
L:折り曲げ線
θ:角度
ω:角速度
【要約】
本発明に係る電子機器は、第1ディスプレイを含んでいる第1表示部と、第1ディスプレイの右に配置されている第2ディスプレイを含んでいる第2表示部であって、第1ディスプレイと第2ディスプレイとが形成する角度が変化するように、前後方向に延びる回転軸線を中心に第1表示部に対して回転することができる第2表示部と、第1ディスプレイと第2ディスプレイとが形成する角度及び角度の角速度を取得する角度角速度取得部と、ユーザが第2表示部を第1表示部に対して回転させたときに、角度角速度取得部が取得した角度及び角速度に基づいて、第1ディスプレイ及び第2ディスプレイに表示させる映像の水平方向を上下方向又は左右方向に一致させるのかを決定する制御部と、を備える。