IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社フジカの特許一覧

<>
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図1
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図2
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図3
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図4
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図5
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図6
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図7
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図8
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図9
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図10
  • 特許-スカム除去装置付き汚泥掻寄装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】スカム除去装置付き汚泥掻寄装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/18 20060101AFI20220621BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20220621BHJP
   C02F 1/40 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B01D21/18 G
B01D21/18 A
B01D21/24 V
C02F1/40 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021102777
(22)【出願日】2021-05-11
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503018571
【氏名又は名称】有限会社フジカ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 秀彦
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-267059(JP,A)
【文献】特開2014-18791(JP,A)
【文献】実開昭48-20253(JP,U)
【文献】特開昭59-142810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0215461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/18
B01D 21/24
C02F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
請求項1に記載のスカム除去装置付き汚泥掻寄装置において、前倒れ阻止ローラーはフライトの左右対称位置に一対配備されているスカム除去装置付き汚泥掻寄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスカム除去装置付き汚泥掻寄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
矩形沈澱池は上からみて矩形をした沈澱池で、その矩形のうちの短辺である前後の端壁と左右の長辺である両側壁とを有するもので、その池底(底壁)の汚泥掻寄方向となる前側には汚泥ピットを備え、これらで立体躯体構造を形成したものでなっている。前側の端壁は低くその上側には、多孔付きの整流壁(板)が縦壁状に設けられ、その多孔からは、上流側の流入渠から導かれた汚水が整流化されて極く緩徐に流出するようになっており、そうしたことから汚水が下流側へ流される間において汚泥が沈降しその沈澱した汚泥を掻き寄せてピットまで収集し排出するように構成してある。
ここで、池底上に沈澱した汚泥は掻寄装置によりピット方向に掻き寄せられるようになっている一方において水面上に分離浮上してくるスカムについてはスカム除去装置(スカムスキマー)によって捕集するようになっている。スカム除去装置は、開口前側に堰き止め手段(堰き止め部)をもつ横長状呑込み口を形成し円筒中心回りの前後に往復回転可能とした円筒形スキマーパイプを有するものが従来からあり、同パイプを手動レバーにより定期的に手動操作することでスカムを呑み込むようにしてあったが、そののち手動式は電動シリンダ式によるものに変わり、さらには掻寄装置の機械的運動を利用したフライト連動式(池上での駆動式と池底での駆動式とがある)に変わってきた。
その一つの例として特許文献1に示すものがある。
【0003】
【文献】特開平11-221559
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のスカム除去装置は、チェーンフライト式汚泥掻寄装置の下回りの運動に連動してスキマーパイプを前後回転させて水面のスカムを溜めながら効率的に呑み込むことができるようにした池底駆動式と称するものの一例である。
池底駆動式スカム除去装置が構成されるチェーンフライト式汚泥掻寄装置の概要は、実施を予定する本件図1に示してある。即ち、図1に示すように、汚泥掻寄装置は、矩形の沈澱池1内に、駆動軸2・中間軸3・テール軸4・従動軸5を配し、各軸回りに左右一対のスプロケット7…を備え付けるとともに、これらスプロケット7…の周りにチェーン8を掛け回して駆動源9により矢印方向(図の左方向)に駆動するようになっている。チェーン8は左右一対設けられていてそのそれぞれにはフライト11…が列設され、池底12上を駆動されることで池底に溜まる汚泥をピット13まで捕集し、フライト11が水面14上にくることによりスカムを図の右方向に送るようになっている。そのスカムの送り先にスカム除去装置が設置される。
特許文献1に示すスカム除去装置は、該公報の図8に示すように、上部を呑込み口としたスキマーパイプを水面に設置して図上の左回りに回転させることにより開口が水面より一定に下がってきてスカムを呑み込み、フロートによる浮力により右回りに回転復帰させることによりスカムの呑込みが停止され、この往復回転が定期的に行われるようになっている。この往復回転のうち左回りの回転は、池底よりやや上方に設定された支点に上下動自在に設けられた倣い部材(カム)付き連動アームと、同アームに下端が連結されて縦向きに長く伸びた連動部材(連動ロッド)と、クラッチ爪を備えて前端が連動部材の上端に連結され後端が回転支点に取り付けられたクラッチ板(作動アーム)と、下端がスキマーパイプのブラケットに連結されて上部がクラッチ板に開けた通孔に挿通されたクラッチ軸(押下部材)とでなっている。
池底に配置されたフライトはその上端に連結されたチェーンが該公報の図8の左方向に駆動されることによりその上端に取り付けられた駆動ローラーが定置で待機する倣い部材(カム)を押し上げ、それにより連動部材が引き下げられることによりクラッチ板は前下がりに連動され、そのとき、クラッチ爪も下がりながらクラッチ軸(押下部材)を噛合して押し下げることによりスキマーパイプを左回りに回転させ、水面のスカムを水とともに呑み込むようにさせる。駆動ローラーが倣い部材を通過すると、倣い部材が下降するとともに連動部材と作動アームが持ち上がり、それと同時にクラッチ爪は上昇しながらクラッチ軸から離脱することでクラッチ軸の上下動を自由にし、その結果、フロートの浮力によりスキマーパイプは右回りに回転して元の状態に復帰することとなる。クラッチ軸がクラッチ爪から自由になった復帰状態においては、水位変動があればそれにスキマーパイプが回転追従し、その結果、呑込み口前の堰き止め手段の水面に対する堰き止め高さが一定に確保されることで呑込み代が一定化してスカムの呑込みが円滑かつ確実化することになる。
こうした池底駆動方式を本出願人が同様に採用する実施予定中のスカム除去装置付き汚泥掻寄装置を本件図2および図3に示す。16は支点軸、17は倣い部材、18は連動アーム、19は連動部材(ロッド)であり、池底12には、既設の金属製案内レール20が左右一対配設されている。チェーン8に設けられたフライト11…のうち、図1に示す離間配置した3個のものには、図2および図3のような駆動ローラー21がローラーブラケット22を介して取り付けられている。駆動ローラー21はチェーン8よりも内周側に設けられている。チェーン8のうち8aは側面L字形のフライト連結片、8bはフライト間連結片であり、フライト11はその底部に左右一対備えた金属製下回り用シュー24が前記案内レール20上に添って摺動してゆくものとし、またフライト11両端に備えた上回り用シュー25は、図1のようにフライト11が上回りに来たときに上案内レール26上を摺動するようになっている。図1に示す28は固定のトラフ、29は上下動可能な堰(堰き止め手段)、30は作動アーム、32は作動アーム30の支点軸、50は軸通孔を有しその前後にクラッチ爪31を備えたクラッチ板、33は押下部材(ロッド)である。ここで、倣い部材17・連動部材19・作動アーム30・押下部材33までは堰29を上下させるための連動機構35を構成し、その機構の中で、クラッチ板50・クラッチ爪31などはクラッチ機構53を構成する。
ところで、フライト11が直立姿勢のまま平行に進行して倣い部材17を一杯に持ち上げれば図2の矢印Rのように連動部材19が63mm程度下がってそれに応じて堰29も63mm下がることにより水面14と沈んだ堰29先端との上下寸法差である呑込み水深は所定のL=25mm前後確保されてスカムの呑込みが円滑かつ確実になされるようになっている。
しかし、図2および図3に示す実施予定の装置においては、下回り用シュー24だけでなくそれを摺動案内する下側の案内レール20もが金属製であることから大きな摺動抵抗が発生し勝ちで、駆動ローラー21が倣い部材17の下側にさしかかる前の段階から図4に示すようにチェーン8によって牽引されながらシュー24の前先端エッジが案内レール20に喰い込む形になってフライト11は前倒れになってしまうことがあり、駆動ローラー21が倣い部材17下に入って転動する一方フライト11は喰い込みにより抵抗を受けるとともにチェーンに緩みがある状況下にあれば一層その前傾度が大きくなったまま倣い部材17の下を通過し同倣い部材17を持ち上げるようにすると、前傾している関係で、倣い部材17は所定のように持ち上がらず、連動部材19を図4のr程しか引き下げられないものとなる。ここで、rは前記Rが63mmであるのに対し50mm程度の小さいもので、その結果として呑込み量も前記Lでは25mm程度得られて
なることで、スカムを円滑かつ確実に呑込むことができなくなっていた。特に、下回り用シュー24は案内レール20上を常時摺動していることからその経時的損耗は大きく、その損耗量が大きくなるとその分倣い部材17の持ち上げ量を加算的に少なくし、その結果、連動部材19の引き下げ量を小さくして呑込み量を少なくし呑込み不良を招くおそれもあった。また、図4の右上欄に示すものは駆動ローラー21がフライト11の前側に配置されたタイプのものであるが、このタイプであると、呑込み量が可成り少なく制限されることになって前記呑込み不良の問題は一層深刻なものになるおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記問題を解決しようとするもので、スカムの呑込みが常に大きく円滑かつ確実に得られるようにしたスカム除去装置付き汚泥掻寄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、矩形をした沈澱池内には、板状の部材であってその底部のシューが池底の案内レールに沿って摺動して該部材上部に連結された周回型チェーンによりピット方向に汚泥掻寄のため前進駆動可能とされているフライトが複数枚離間して配備され、それらフライトのうち周方向に離れた特定のものには、周回するチェーンの内周に相当する側に位置するようにして駆動ローラーを備えるとともに、水面側には、スカム除去装置が設けられ、このスカム除去装置は、水面を境に上下動可能とされた堰き止め手段を有するとともに水面からのスカムを呑み込みかつ排出可能なスカム導出手段と、前記駆動ローラーの通過軌道上と堰き止め手段側とを連動可能につないで堰き止め手段を上下に作動させ得る連動機構とを備え、同連動機構は、支点軸を介して支持されて駆動ローラーの通過軌道上に臨むように設けられ進行してくる駆動ローラーにより押し上げられる倣い部材と、同倣い部材と前記堰き止め手段との間に縦長状に連結されて倣い部材に応じて堰き止め手段を下げる方向に連動させる連動部材とを少なくとも有して構成されたスカム除去装置付き汚泥掻寄装置において、前記フライトの掻寄方向側である前側には、案内レール上面を含む池底面を転動可能な前倒れ阻止ローラーが設けられていることを特徴とする。スカム除去装置は、少なくともパイプスキマータイプと可動堰付き固定トラフタイプが含まれる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前倒れ阻止ローラーはフライトの左右対称位置に一対配備されている。
【発明の効果】
【0007】
上述したように、請求項1に記載の発明は、矩形をした沈澱池内には、板状の部材であってその底部のシューが池底の案内レールに沿って摺動して該部材上部に連結された周回型チェーンによりピット方向に汚泥掻寄のため前進駆動可能とされているフライトが複数枚離間して配備され、それらフライトのうち周方向に離れた特定のものには、周回するチェーンの内周に相当する側に位置するようにして駆動ローラーを備えるとともに、水面側には、スカム除去装置が設けられ、このスカム除去装置は、水面を境に上下動可能とされた堰き止め手段を有するとともに水面からのスカムを呑み込みかつ排出可能なスカム導出手段と、前記駆動ローラーの通過軌道上と堰き止め手段側とを連動可能につないで堰き止め手段を上下に作動させ得る連動機構とを備え、同連動機構は、支点軸を介して支持されて駆動ローラーの通過軌道上に臨むように設けられ進行してくる駆動ローラーにより押し上げられる倣い部材と、同倣い部材と前記堰き止め手段との間に縦長状に連結されて倣い部材に応じて堰き止め手段を下げる方向に連動させる連動部材とを少なくとも有して構成されたスカム除去装置付き汚泥掻寄装置において、前記フライトの掻寄方向側である前側には、案内レール上面を含む池底面を転動可能な前倒れ阻止ローラーが設けられていることを特徴とするので、スカムの呑込みが常に大きく円滑かつ確実に得られるようにしたスカム除去装置付き汚泥掻寄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 スカム除去装置付き汚泥掻寄装置の実施予定の概要模式図。
図2図1の要部を示す図3のII-II線側断面図。
図3図2のIII-III線断面図。
図4図2の作用説明図。
図5】 本発明のスカム除去装置付き汚泥掻寄装置の一例を図6のV-V線に沿って示す断面図。
図6図5のVI-VI線断面図。
図7図5のVII-VII線断面図。
図8図5のVIII-VIII線断面図。
図9】 他の実施形態を示す断面図。
図10】 他の実施形態を示す断面図。
図11】 他の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を示す図5ないし図8によって説明する。図5ないし図8はフライトが前進掻寄状態で倣い部材を正に押し上げようとする直前にあるときの様子を示している。図5図1(実施予定の概要模式図)の右半分の部分を拡大したものに相当する。
これらの図5ないし図8における符号は図1ないし図3に示すものと同じものを使用するものとする。図5ないし図8における1は矩形の沈澱池を示し、この沈澱池1の長辺は左右の側壁1aで短辺は前側端壁と後側端壁とで形成され、前側端壁の上部には図示しない整流孔付きの整流板(壁)が設けられて同孔を通じて導入される汚水を極く緩徐な速度でもって沈澱池1内に導入するようになっている。40はピット壁、41はスカム排出共用トラフで、ピット壁40は、1つの側壁1aに対しその左右両側に突隆状に設けられてその隣り合う間に共通のスカム導出ピット42を備え、そのスカム導出ピット42内には排出管43を通じてのスカムが流れ込むようになっているとともに、そのスカムはスカム排出共用トラフ41を通じて排出されるようになっている。ピット42は、図示範囲以外に並ぶ沈澱池1…の側壁1a…に同じように構成されており、それらを1本のトラフ41によって結ぶことで一方向にスカムを排出できるようになっている。トラフ28・排出管43・ピット壁40・スカム排出共用トラフ41・スカム導出ピット42はスカム導出手段を構成する。
12は池底(底壁)で、その前側端壁側である汚泥掻寄方向側にはピット13が凹設されている。池底12には、左右一対の金属製案内レール20,20がその上端一部を池底12より突き出す形で埋め込まれている。
【0010】
この形式のチェーンフライト式汚泥掻寄装置は、図1にその実施予定の概要模式図として示すように、矩形の沈澱池1内に、駆動軸2・中間軸3・テール軸4・従動軸5を配し、各軸回りに左右一対のスプロケット7…を備え付けるとともに、これらスプロケット7…の周りにチェーン8を掛け回して駆動源9により矢印方向(図の左方向)に駆動するようになっている。チェーン8は左右一対設けられていてそのそれぞれにはフライト11…が列設され、池底12上を駆動されることで池底に溜まる汚泥をピット13まで捕集し、フライト11が水面14上にくることによりスカムを図の右方向に送るようになっている。そのスカムの送り先にスカム除去装置(スカムスキマー)が設置される。
【0011】
16は支点軸で、沈澱池1の池底12より少し上側に離れた高さ位置にあるようにして左右両側壁1a間に水平に横架され、各ブラケット45を介して回転自在に支持されている。17は倣い部材で、水平な部分を基部17bとしその先部17aに弓形に下方湾曲した部分を一体に備えた丸パイプからなる部材であり、支点軸16の左右対称位置に設けた取付板47を介して左右一対取り付けられている。
18は連動アームで角パイプでなり、支点軸16の一方の端部に設けた側板48を介して掻寄方向に水平に突き出すように取り付けられている。倣い部材17と連動アーム18とは一体に上下する関係にある。
【0012】
19は連動部材で連動アーム18を下端とし上端を水面14よりやや高めとするような縦長丸パイプ製のものであり、2本の倣い部材17は、連動アーム18および連動部材19を合わせたものよりも回転モーメントが大きく下がり勝手になるように設定されている。49は戻りストッパで、倣い部材17の基部が水平に戻って保持されるようにするものである。
【0013】
一方、池底12には、既設の金属製案内レール20が左右一対配設されている。チェーン8に設けられたフライト11…のうち、図1に示す3個のものには、図5および図6のような駆動ローラー21がローラーブラケット22を介して取り付けられている。駆動ローラー21はチェーン8よりも内周側に設けられている。チェーン8のうち8aはL字形のフライト連結片、8bはフライト間連結片であり、フライト11はその底部に左右一対備えた金属製下回り用シュー24が前記案内レール20上に添って摺動してゆくものとし、またフライト11両端に備えた上回り用シュー25は、図1のようにフライト11が上回りに来たときに上案内レール26上を摺動するようになっている。
【0014】
図5ないし図8に示す28は固定のトラフ(スカム導出手段の一つ)、29は上下動可能な堰(堰き止め手段)、30は作動アーム、32は作動アーム30の支点軸、33は押下部材(ロッド)である。トラフ28は、図5にその断面を示すように前面を開放状にしJ字形に形成したものになっている。このトラフ28の一端(図6の右端)は閉止されているが他端(図6の左端)は開放状とされその通口に前記排出管43が連通状に接続されていてスカムを導出できるようになっている。堰29は、扁平矩形断面をした中空横長体からできていてトラフ28の前端部を介して斜め前上がり状に取り付けられた横長状のゴム質でなる堰支持板29aを介して傾斜支持されており、その上端部は水面14より40mm弱浮上した状態を堰き止め状態とする一方水面14より約25mm程度押し下げられた状態をスカム呑み込み状態とするようになっている。
【0015】
前記作動アーム30は、トラフ28の前記他端に設けた開口付き側板の上端に取り付けた支点軸32を介して水平姿勢と前下がり姿勢とが得られるように上下動自在に支持されている。この作動アーム30の後端には復帰ストッパが設けられている一方、同アーム30の先端には、前記連動部材19の上端から水平に伸びた横軸30aが通されている。この横軸30aの軸回りにはクラッチ板50の先端に設けたボス50aが回転自在に取り付けられている。このボス50aは、横軸30a周りに設けたコイルバネにより図5の半時計回りに持ち上げられるようにされ、クラッチ板50も後上がりに付勢された形になっている。ここで、クラッチ板50・クラッチ爪31・押さえストッパ51などはクラッチ機構53を構成する。
このクラッチ機構は、特許第3711525号公報に記載された機構を採用することもある。
【0016】
クラッチ板50は、堰き止め時、押さえストッパ51によりその後端を押し下げられて水平になっている。
倣い部材17が駆動ローラー21の進行により押し上げられて連動部材19が引下げられると、ボス50aも下がってクラッチ板50は押さえストッパ51から離れながら前下がりに傾斜してゆき、これにより、クラッチ爪31は押下部材33を捉えて押し下げることになり、その押し下げにより堰29は所定量下げられることになる。堰29の押し下げが一定の長さ続き駆動ローラー21が倣い部材17を通過することによって、今度は、倣い部材17の重さが作用することにより連動部材19が持ち上げられ、それにより、作動アーム30とボス50aが持ち上がることによりクラッチ板50と押下ロッド33も持ち上がってのち、クラッチ板50が押さえストッパ51により押し下げられて元の水平姿勢に戻されて押下部材33は爪31から解放されたフリーな水位追従可能状態にされる。連動機構35は、倣い部材17・連動アーム18・連動部材19・作動アーム30・押下部材33等で構成され、その一部にクラッチ機構53が構成されている。
【0017】
こうしたものにおいて、前記フライト11の掻寄方向側である前側には、倣い部材17,17と同芯状をなすようにして、金属、樹脂あるいはゴム製でなる前倒れ阻止ローラー55が左右一対設けられている。各前倒れ阻止ローラー55は、フライト11の前面に取り付けられたアングル型のブラケット56の下部前端を介して回転自在に取り付けられており、ここでは、フライト11が図5のように正立姿勢でかつシュー24が案内レール20上に正規状態で摺動する姿勢において池底12上を抵抗なく転動する関係に設定されている。
【0018】
これにより、駆動ローラー21が倣い部材17下にさしかかって進行してゆく時点で、下回り用シュー24が案内レール20上で咬み込み抵抗を受けて前倒れしようとしても前倒れ阻止ローラー55がそれを阻止しようとするのでフライト11は図5の正立姿勢を保ったまま平行に進行し、その結果、連動部材19は所定の好適深さ程押下げられ、堰29もそれに応じて所定の呑込み量となるように押し下げられることになる。従って、スカムは常に円滑かつ確実に流入されることになる。
【0019】
前倒れ阻止ローラー55は案内レール20上に転動するようにシュー24と同芯配置にしてもよいし、倣い部材17に同芯状あるいはシュー24に同芯状以外の配置にしてもよい。
前倒れ阻止ローラー55は、左右一対でなくフライト11の幅間中央に単一個設けたり、幅間中央と前記左右一対の合計3個所に配置してもよい。それ以外の4個所、5個所配置にしてもよい。
駆動ローラー21は、フライト11の前側に設けてもよい。
フライト11は、FFU(合成木材)以外にFRPなどを素材とすることができる。また、フライト11は、図9のように、SUSやFRPなどによりC形チャンネルで形成し、その内部にスペーサ57を介して駆動ローラー21付きローラーブラケット22を取り付けるようにしてもよい。さらに、フライト11は、図10のように、SUSやFRPなどで横長状の三角形あるいは矩形断面の部材としてその前側に共通ブラケット58を取り付け、同ブラケット58の上部に駆動ローラー21をまた下部前側に前倒れ阻止ローラー55を取り付けるようにしてもよい。59はホルダーである。
前記実施形態では、駆動ローラー21が倣い部材17の先端側から接触するようになっていたが、図11のように、倣い部材17が前記とは逆向きとされて駆動ローラー21が同倣い部材17の先部17aの基部17b寄りの部分から接触するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1…沈澱池 8…チェーン 11…フライト 12…池底 13…ピット 14…水面 16…支点軸 17…倣い部材 19…連動部材 20…案内レール 21…駆動ローラー 24…下回り用シュー 28…トラフ(スカム導出手段) 29…堰(堰き止め手段) 35…連動機構 53…クラッチ機構 55…前倒れ阻止ローラー。
【要約】      (修正有)
【課題】スカムの呑込みが常に大きく円滑かつ確実に得られるスカム除去装置付き汚泥掻寄装置を提供する。
【解決手段】矩形をした沈澱池1内に周回型チェーン8によりピット方向に汚泥掻寄のため前進駆動可能とされているフライト11が複数枚離間して配備され、フライトの特定のものには、周回するチェーンの内周側に位置するようにして駆動ローラー21を備えるとともに、駆動ローラーに連動して水面を境に上下動可能とした堰き止め手段29を有するスカム除去装置と、進行してくる駆動ローラーにより押し上げられる倣い部材17と、同倣い部材と堰き止め手段29との間に縦長状に連結されて倣い部材に応じて堰き止め手段を下げる方向に連動させる連動部材19とを少なくとも有して構成されたスカム除去装置付き汚泥掻寄装置において、前記フライトの掻寄方向側である前側には、案内レール上面を含む池底面12を転動可能な前倒れ阻止ローラーを設けた。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11