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特許7092289パーツフィーダにおける部品供給制御装置および部品供給制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】パーツフィーダにおける部品供給制御装置および部品供給制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 11/20 20060101AFI20220621BHJP
   B65G 47/18 20060101ALI20220621BHJP
   B65G 65/30 20060101ALN20220621BHJP
【FI】
B65G11/20 B
B65G47/18
B65G65/30 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019055590
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020142926
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】512035918
【氏名又は名称】青山 省司
(72)【発明者】
【氏名】青山 好高
(72)【発明者】
【氏名】青山 省司
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-149447(JP,A)
【文献】特開2008-037647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 11/20
B65G 47/00-47/20
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物部品は、磁性材料製とされており、
小物部品の収容箱から突出している磁性材料製のガイドシュータが、小物部品が滑動する滑り板と、この滑り板の両側に設けられた縦壁板によって構成され、
振動式パーツフィーダの円形ボウルの内側に、円弧形状の板材で構成した螺旋形状の部品搬送路が設けてあり、
ガイドシュータの配置位置は、振動式パーツフィーダの円形ボウルに小物部品を落下させて補充する位置に設定され、
ガイドシュータに、小物部品を移動させるための電動式のバイブレータが取り付けられ、
ガイドシュータの滑り板の送出端部近傍の小物部品を滑り板上に吸引する電磁石が、滑り板の裏面側に配置され、
円形ボウル内の部品貯留量を検知する検知手段が設けられ、
検知手段の検知箇所は、小物部品の高さ方向で見て、円形ボウルの底板上を移動する小物部品の高さよりも低い位置とされているとともに、底板上に供給された小物部品の円弧状の搬送方向で見て、底板から部品搬送路へ移行する箇所と、ガイドシュータから底板上に落下する箇所の間に設定してあり、
電磁石の吸引力停止時間とバイブレータの作動時間が、補充された小物部品が送出振動中の円形ボウルの底板上で積層状態にならないように設定され、
検知手段が円形ボウル内の部品貯留量の不足を検知したとき、円形ボウルに小物部品の送出振動を作用させている状態で、小物部品に対する電磁石の吸引力を消滅させるとともに、バイブレータを作動させて、円形ボウルの底板上で積層状態にならない補充量の小物部品をガイドシュータから円形ボウルへ供給することを特徴とするパーツフィーダにおける部品供給制御装置。
【請求項2】
小物部品は、磁性材料製とされており、
小物部品の収容箱から突出している磁性材料製のガイドシュータが、小物部品が滑動する滑り板と、この滑り板の両側に設けられた縦壁板によって構成され、
振動式パーツフィーダの円形ボウルの内側に、円弧形状の板材で構成した螺旋形状の部品搬送路が設けてあり、
ガイドシュータの配置位置は、振動式パーツフィーダの円形ボウルに小物部品を落下させて補充する位置に設定され、
ガイドシュータに、小物部品を移動させるための電動式のバイブレータが取り付けられ、
ガイドシュータの滑り板の送出端部近傍の小物部品を滑り板上に吸引する電磁石が、滑り板の裏面側に配置され、
円形ボウル内の部品貯留量を検知する検知手段が設けられ、
検知手段の検知箇所は、小物部品の高さ方向で見て、円形ボウルの底板上を移動する小物部品の高さよりも低い位置とされているとともに、底板 上に供給された小物部品の円弧状の搬送方向で見て、底板から部品搬送路へ移行する箇所と、ガイドシュータから底板上に落下する箇所の間に設定された部品供給装置を準備し、
検知手段が円形ボウル内の部品貯留量の不足を検知したとき、円形ボウルに小物部品の送出振動を作用させている状態で、小物部品に対する電磁石の吸引力を消滅させるとともに、バイブレータを作動させて、円形ボウルの底板上で積層状態にならない補充量の小物部品をガイドシュータから円形ボウルへ供給することを特徴とするパーツフィーダにおける部品供給制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクションナットやボルト等の小物部品を供給するパーツフィーダの分野におけるものであり、パーツフィーダの円形ボウルへの小物部品供給制御に関する。
【背景技術】
【0002】
小物部品の収容箱からガイドシュータが突出し、このガイドシュータが小物部品の供給先であるパーツフィーダのボウル等に伸びているものが知られている。このような技術は、特開2009-149447号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-149447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術においては、パーツフィーダの部品貯留量を必要最小限にして、パーツフィーダの小型化や消費電力を低減することなどが不可能である。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、パーツフィーダから送出される部品量と、パーツフィーダに対する部品補充量との関連性を考慮して、パーツフィーダの小型化や消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上に述べた問題点を解決するために提供されたもので、
請求項1記載の発明は、パーツフィーダにおける部品供給制御装置であり、
小物部品は、磁性材料製とされており、
小物部品の収容箱から突出している磁性材料製のガイドシュータが、小物部品が滑動する滑り板と、この滑り板の両側に設けられた縦壁板によって構成され、
振動式パーツフィーダの円形ボウルの内側に、円弧形状の板材で構成した螺旋形状の部品搬送路が設けてあり、
ガイドシュータの配置位置は、振動式パーツフィーダの円形ボウルに小物部品を落下させて補充する位置に設定され、
ガイドシュータに、小物部品を移動させるための電動式のバイブレータが取り付けられ、
ガイドシュータの滑り板の送出端部近傍の小物部品を滑り板上に吸引する電磁石が、滑り板の裏面側に配置され、
円形ボウル内の部品貯留量を検知する検知手段が設けられ、
検知手段の検知箇所は、小物部品の高さ方向で見て、円形ボウルの底板上を移動する小物部品の高さよりも低い位置とされているとともに、底板上に供給された小物部品の円弧状の搬送方向で見て、底板から部品搬送路へ移行する箇所と、ガイドシュータから底板上に落下する箇所の間に設定してあり、
電磁石の吸引力停止時間とバイブレータの作動時間が、補充された小物部品が送出振動中の円形ボウルの底板上で積層状態にならないように設定され、
検知手段が円形ボウル内の部品貯留量の不足を検知したとき、円形ボウルに小物部品の送出振動を作用させている状態で、小物部品に対する電磁石の吸引力を消滅させるとともに、バイブレータを作動させて、円形ボウルの底板上で積層状態にならない補充量の小物部品をガイドシュータから円形ボウルへ供給することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
検知手段が円形ボウル内の部品貯留量の不足を検知したとき、円形ボウルに小物部品の送出振動を作用させている状態で、小物部品に対する電磁石の吸引力を消滅させるとともに、バイブレータを作動させて、円形ボウルの底板上で積層状態にならない補充量の小物部品をガイドシュータから円形ボウルへ供給する。つまり、振動式パーツフィーダの円形ボウルに送出振動を付与して、小物部品が円形ボウルの底板上を移動している状態で部品貯留量の不足を検知したとき、この検知信号によって電磁石の吸引力が消滅して、バイブレータの動作が開始される。
【0008】
このため、ガイドシュータの滑り板の送出端部近傍に吸引状態で停止していた小物部品が電磁石の吸引力から開放されるとともに、バイブレータの送出振動が開始される。そして、電磁石の吸引力停止時間とバイブレータの作動時間が、補充された小物部品が送出振動中の円形ボウルの底板上で積層状態にならないように設定されているので、円形ボウルに落下した小量化された小物部品は、直ちに円形ボウル内を円周方向に移動し、一箇所に積層状態で山積みになるようなことがなく、補充された必要最小限の小物部品が底板上を一層状態で円周方向に移送されてゆく。
【0009】
上述のように小物部品の補充量は、円形ボウルの底板上において積層状態で山積みにならないように設定されているので、小物部品の補充量を円形ボウルからの送出量に釣り合った状態にすることができ、これによって円形ボウルにおける部品貯留量を最少化する。また、小量の小物部品が円形ボウルから送出される都度、ガイドシュータから小量の小物部品を補充することができ、円形ボウルにおける部品貯留量を少なくすることができる。さらに、小物部品が不足をきたしたときの部品貯留量と、補充されたときの部品貯留量の差が小さくなるので、円形ボウルの最大駆動力を小さく設定することができる。これらの利点によって、円形ボウルの小型化を始めとしたパーツフィーダ全体の小型化や、消費電力の低減を図ることができ、経済的効果を向上することが可能となる。
【0010】
検知手段の検知箇所は、円形ボウルの底板上を移動する小物部品の高さよりも低い位置とされている。円形ボウルに供給された小物部品は、円形ボウルの底板上で積層した山積みのような状態にならず、底板上を面方向に広がった一層の形態となる。このような一層形態の小物部品に対して、検知手段の検知箇所が、円形ボウルの底板上を移動する小物部品の高さよりも低い位置とされているので、一層形態の小物部品が検知手段の検知箇所に存在しているときには、確実に部品貯留量が正常であることを検知し、部品貯留量が不足をきたしたときには、小物部品が検知手段の検知箇所に一層形態で存在していることが検知されないので、確実に部品不足であることが検知され、信頼性の高い作動がえられる。
【0011】
円形ボウルの底板上に小物部品が一層状態で並んでいるというのは、小物部品が底板上に例えば2段や3段に及ぶ多層状に積層されたり、小山のように山積みになったりしないことを意味している。つまり、積み重ならないで、平たく底板上に広がる現象である。電磁石の吸引力停止時間とバイブレータの作動時間が、補充された小物部品が送出振動中の円形ボウルの底板上で積層状態にならないように設定されていることが重要である。このような部品補充によって、小物部品が円周方向に一層状態で平たく伸びて行くこととなる。
【0012】
請求項2記載の発明は、パーツフィーダにおける部品供給制御方法であり、
小物部品は、磁性材料製とされており、
小物部品の収容箱から突出している磁性材料製のガイドシュータが、小物部品が滑動する滑り板と、この滑り板の両側に設けられた縦壁板によって構成され、
振動式パーツフィーダの円形ボウルの内側に、円弧形状の板材で構成した螺旋形状の部品搬送路が設けてあり、
ガイドシュータの配置位置は、振動式パーツフィーダの円形ボウルに小物部品を落下させて補充する位置に設定され、
ガイドシュータに、小物部品を移動させるための電動式のバイブレータが取り付けられ、
ガイドシュータの滑り板の送出端部近傍の小物部品を滑り板上に吸引する電磁石が、滑り板の裏面側に配置され、
円形ボウル内の部品貯留量を検知する検知手段が設けられ、
検知手段の検知箇所は、小物部品の高さ方向で見て、円形ボウルの底板上を移動する小物部品の高さよりも低い位置とされているとともに、底板上に供給された小物部品の円弧状の搬送方向で見て、底板から部品搬送路へ移行する箇所と、ガイドシュータから底板上に落下する箇所の間に設定された部品供給装置を準備し、
検知手段が円形ボウル内の部品貯留量の不足を検知したとき、円形ボウルに小物部品の送出振動を作用させている状態で、小物部品に対する電磁石の吸引力を消滅させるとともに、バイブレータを作動させて、円形ボウルの底板上で積層状態にならない補充量の小物部品をガイドシュータから円形ボウルへ供給することを特徴としている。
【0013】
この方法発明の効果は、上記装置発明の効果と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例を示す縦断側面図である。
図2】ガイドシュータの先端部分を示す平面図である。
図3】従来例の側面図である。
図4】ガイドシュータの斜視図である。
図5】ガイドシュータと収容箱の部分的な縦断側面図である。
図6】支持ゴムの配置を示す断面図である。
図7】触棒の部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明のパーツフィーダにおける部品供給制御装置および部品供給制御方法を実施するための形態を説明する。
【実施例
【0016】
最初に、部品供給装置について説明する。
【0017】
図3に示すように、部品供給装置Pは、パーツフィーダ3、ホッパー装置4、ガイドシュータ10、バイブレータ14などが組み合わされて構成されており、図3図7は、部品供給装置Pの側面図,斜視図,断面図等である。本発明における小物部品の磁石吸引構造は、後述のガイドシュータ10に装備されている。
【0018】
脚1を有する基台2上に振動式のパーツフィーダ3と同様に振動式とされたホッパー装置4とが固定してある。パーツフィーダ3は起振部5と円形ボウル6を有するもので、円形ボウル6に対して円周方向と上下方向の合成された振動を付与するようになされており、ボウル6からは部品供給管7が伸びている。
【0019】
図4(B)に示すように、円形ボウル6の内側に、円弧形状の板材で構成した螺旋形状の部品搬送路6aが設けてある。部品搬送路6aは、円形ボウル6の底板6bから連続的に円周方向に伸びて、部品供給管7に連なっている。部品は、搬送振動によって、底板6bから部品搬送路6aに移行し、反時計方向に上ってゆく。本実施例で扱われている部品はプロジェクションナット33である。以下の説明において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。
【0020】
ホッパー装置4について説明すると、部品の収容箱8が基台2上にしっかりと起立させた支柱9によって支持されており、収容箱8からのナット33を円形ボウル6へ補充するためにガイドシュータ10が架設してある。ガイドシュータ10は、図4から明らかなように上向きに解放した断面コ字型の形状で、両側に縦壁板10aが起立した状態で配置され、両縦壁板10aの間に平坦な滑り板21が設けてある。一方、図2図4に示すように、ガイドシュータ10の両側の縦壁板10aは、ガイドシュータ10の先端側が内側に屈曲していて次第に幅が狭くなっている。このように幅が狭くなっている部分が、狭幅部10bである。
【0021】
また、図3図4(B)に示すように、ガイドシュータ10の配置位置は、振動式パーツフィーダ3の円形ボウル6にナット33を落下させて補充する位置に設定されている。滑り板21の送出端部は、符号10cで示してある。
【0022】
前記ガイドシュータ10は、収容箱8や支柱9との剛的な結合構造はなく、ガイドシュータ10だけが振動できるようになっている。すなわち、図5および図6に示すように、収容箱8とガイドシュータ10との間には空隙11が形成してあり、ガイドシュータ10自体は支持ゴム12で弾性的に保持されている。
【0023】
前記支持ゴム12は、支柱9に溶接したブラケット13とガイドシュータ10との間に設置してあり、こうすることによってガイドシュータ10だけが振動できるようになっている。ガイドシュータ10を振動させるために電磁式のバイブレータ14が設置してある。これは図3のような支持台15上にしっかりと固定されており、その出力軸16がブラケット17を介してガイドシュータ10に連結されている。
【0024】
前記収容箱8の底板18は、図3図5から明らかなように傾斜させてあり、その下部には部品の送出口19が開けられ、過剰に部品が流出するのを防止するために、規制板20が設けてある。規制板20は、塩化ビニールのような材料で作られた柔軟性のある性質で、ガイドシュータ10の滑り板21との間に部品の通過空隙22が設置してある。
【0025】
前記規制板20の上下位置を調節するために、収容箱8の前壁板23に上下方向の長孔24を明け、ここにボルト25を貫通させて蝶ナット26で規制板20を締付けるようになっている。27は押え板である。
【0026】
つぎに、検知手段について説明する。
【0027】
図7は、検知手段を示す。検知手段としては種々な構造や検知センサーが採用できる。そのひとつとして、円形ボウル6内に進入している触棒28がある。蝕棒28の検知箇所は、蝕棒28の先端部分28aであり、円形ボウル6の底板6a上を移動するナット33の高さHよりも低い位置に設定されている。この触棒28の検知箇所、すなわち先端部分28aは円形ボウル6の底板6b近くまで伸ばされている。つまり、先端部分28aと底板6bの表面との間隔は、ナット33の高さ寸法Hよりも小さくなっている。そして、触棒28の上端は検出スイッチ29に結合してある。検出スイッチ29の作動軸29aに蝕棒28が結合してあり、蝕棒28の揺動角度で所定の信号を発信するようになっている。なお、図7(B)(C)の矢線は、円形ボウル6の搬送振動によって、ナット33が移送されて行く方向を示している。
【0028】
図7(D)に示すように、底板6b上に供給されたナット33の円弧状の搬送方向で見て、触棒28が垂下している箇所は、底板6bから部品搬送路6aへ移行する箇所6cと、ガイドシュータ10から底板6b上に落下する箇所6dの間に設定してある。同図において触棒28は、2点鎖線で図示され、同図(B)に示すように、触棒28が傾斜している状態が2点鎖線で図示されている。
【0029】
複数のナット33が、底板6b上に積み重なることなく一層状態で平たく並んでいる。このナット33の上面に蝕棒28先端部分28aが接触しているときには、ナット33の貯留量が正常である。このときには、ナット28の高さHによって蝕棒28は揺動し、その揺動角度に応じた作動軸29aの回転角によって、図7(B)に示すように、ナット33が不足することなく正常に貯留されていることが信号として発信される。このときには、ナット一層分の高さHに応じた触棒28の揺動角度となっているので、検知スイッチ29に伝えられる作動軸29aの回転変位量が一定に定まり、検知スイッチ29aの動作が正確に行われる。ナット33が円形ボウル6から送出されて、図7(C)に示すように、蝕棒28が真下に向いて先端部分28aがナット高さHよりも低い位置になると、その位置に応じた作動軸29aの回転角となり、ナット貯留量が不足していることが検出スイッチ29から発信される。
【0030】
ナット33が一層状態になっているというのは、図7(B)に示すように、2点鎖線図示のような重なり状態ではなく、実線図示のような一段状態を意味している。
【0031】
検知手段の他の事例としては、発光素子と受光素子からなる手段がある。図示していないが、発光素子と受光素子間の光軸を、蝕棒28の先端部分28aの箇所を通過させることによって、蝕棒28と同様な発信動作をさせることができる。つまり、光軸がナット33で遮られていたら、ナット貯留量が正常でることが発信され、光軸がナット33によって遮られていないときには、ナット不足を検知して、そのことを示す信号が発信される。
【0032】
なお、図4は収容箱8とガイドシュータ10との関係を示している立体図である。
【0033】
つぎに、ガイドシュータに装備した電磁石について説明する。
【0034】
ガイドシュータ10の滑り板21の送出端部10c近傍のナット33を滑り板21上に吸引する電磁石が、滑り板の裏面側に配置されている。このような機能の電磁石としては種々な構造が採用できる。そのひとつとして、図1および図2に示す事例がある。図3図7で説明した部材と同一の機能を果たすものには、同一の符号を記入して詳細な説明を省略してある。
【0035】
前記電磁石は、ガイドシュータ10から余分なナット33が送出されるのを防止したり、必要な補充数量を設定したりするために設置されている。
【0036】
滑り板21の端部に鉄製の吸引部材30が接続部材40を介して溶接されている。この吸引部材30は、厚板状の細長い部材で構成され、図2に示すように、滑り板21の長手方向すなわち小物部品の移送方向に対して直交する向きに配置されている。この吸引部材30の上面が吸引部材30の表面31とされている。
【0037】
前記滑り板21の端部と吸引部材30との間に非磁性材料である、例えば、ステンレス鋼で形成された前記接続部材40が配置されている。滑り板21の端部と接続部材40とは、符号41で示された溶接部41において溶接されている。また、接続部材40と吸引部材30とは、符号42で示された溶接部42において溶接されている。
【0038】
滑り板21、接続部材40、吸引部材30の表面は滑らかに連続させてあるので、表面側の溶接部41と42は溶接による隆起部分がグラインダ加工等で平滑に仕上げられている。さらに、その上に耐摩耗性の高い塗装をすれば、一層平滑な表面がえられる。
【0039】
吸引部材30と同様の形状をした鉄製の補助部材43が吸引部材30と平行に滑り板21の裏面に溶接してある。両部材30と43の間隔は、そこに配置される電磁石44に合致した所定の寸法としてある。両部材30と43との間に電磁石44が取り付けてあり、その鉄芯45は吸引部材30と補助部材43の内面に図示のごとく密着している。
【0040】
前記電磁石44は、吸引部材30の内面と補助部材43の内面との間に挟みつけられているもので、電磁石44の鉄心45の端面が前記両内面に密着している。この密着を確保するために、吸引部材30と補助部材43との間隔が鉄心45の長さと正確に合致させてあり、吸引部材30と補助部材43の下部に貫通したボルト46が、吸引部材30にねじ込まれている。このボルト46を締めつけて上記鉄心45の密着が確保される。
【0041】
前記電磁石44を直流電流で励磁すると、一方のN極またはS極から他方のS極またはN極に対する磁力線が形成される。この磁力線は鉄心45の端部から吸引部材30、滑り板21,補助部材43を通過して鉄心の他方の側に向かう。図1(B)には磁力線47が2点鎖線で図示してある。
【0042】
そこで、前記非磁性金属材料で作られた接続部材40が配置されているので、磁力線47は接続部材40の箇所でさえぎられる。したがって、鉄製のナット33が滑り板21を移動してきて、吸引部材30の表面31と滑り板21の表面34の両方に跨った状態で接触すると、磁力線47がナット33の内部を通過するようになり、これによって、ナット33は両表面31と34に吸引される。表面31と表面34の両方に跨った状態で接触すると、磁力線47がナット33の内部を通過し、そのナット33自体が磁化されて吸引力を発揮することとなるので、近隣のナット33も一緒に吸引され、送出端部10c近傍に複数のナット33が群をなして吸引される。
【0043】
前記のように、接続部材40の近傍における吸引部材30の表面31と滑り板21の表面34によってナット33の吸引領域48が形成されている。この吸引領域48は、図2の2点鎖線で包囲した領域である。
【0044】
図2に示すように、吸引部材30に接合されている接続部材40は、吸引部材30の長手方向すなわちガイドシュータ10の幅方向と、厚さ方向すなわちガイドシュータ10の部品搬送方向にわたって配置されている。そのために、接続部材40はガイドシュータ10の先端側に開放したコ字型に形成されている。
【0045】
図2(B)に示すように、コ字型の接続部材40と狭幅部10bとの間にも滑り板21を伸ばし込んで、前記吸引領域48が狭幅部10bの間際まで拡張されている。前記の滑り板21が伸びている部分は符号49で示してある。
【0046】
なお、図1(C),(D)は、接続部材40の幅が狭いL1と幅が広いL2との比較であり、小幅のL1であると、磁力線47がナット33の極一部を通過するだけで強い吸引力がえられない。一方、大幅のL2であると、磁力線47がナット33のほぼ全域にわたって通過するので、強い吸引力が確保できる。したがって、接続部材40の幅寸法は、部品すなわちナット33の大きさに応じて所定の吸引力がえられるように選定される。
【0047】
一方、電磁石44への通電が遮断されて吸引磁力が消滅し、さらにこれと同時に前記バイブレータ14が作動を開始すると、制動をかけられていたナット33がガイドシュータ10から流出して行き、通過空隙22からも連続的に流出して来る。この実施例では、タイマーを使用して、電磁石44の吸引力停止時間とバイブレータ14の作動時間が、補充されたナット33が送出振動中の円形ボウル6の底板6b上で積層状態にならないように設定されている。
【0048】
上記の電磁石44は、接続部材40、吸引部材30、補助部材43、鉄心45、励磁コイルなどで構成されているが、これに換えて接続部材40、吸引部材30、補助部材43を止めて、送出端部10cにおける滑り板21の裏面側に鉄心45を配置して、ナット33を送出端部10cに吸引するようにすることも可能である。
【0049】
つぎに、部品供給装置の作動を説明する。
【0050】
ナットが充足している場合を説明する。
【0051】
円形ボウル6に送出振動が付与されていて、円形ボウル6の底板6b上にナット33が積み重なることなく、一層状態で底板6a上に面方向に広がっているときには、ナット33の貯留量が正常である。この正常状態は、図7(B)示すように、触棒28の先端部分28aが並んでいるナット33の上面に乗り上げていてナット上面を擦るようにして、触棒28は揺動した姿勢となる。この揺動姿勢に応じた回転が作動軸29aにおいておこなわれるので、この状態で検知スイッチ29から、ナット貯留量正常の信号が発信される。
【0052】
このようなナット貯留量正常のときには、その信号が後述の制御装置などへ通信されて、電磁石44の吸引動作は継続され、同時に、バイブレータ14は動作することなく、ナット33は滑り板21上に吸引されてガイドシュータ10の先端部分10cの近傍で待機状態となる。そして、継続する円形ボウル6の送出振動によって、所定個数のナット33が部品供給管7から送出されてゆく。
【0053】
ナットが不足している場合を説明する。
【0054】
群をなすようにして底板6b上に平たく並んでいたナット33が、図7(C)に示すように、円形ボウル6から送出されてゆくにしたがって、後続のナット33がなくなって途切れ、追加補充が必要になってくる。このときには、ナット33の上面に乗り上げていた触棒28が鉛直方向に垂下した姿勢となる。この揺動姿勢に応じた回転が作動軸29aにおいて行われるので、この状態で検知スイッチ29から、ナット貯留量不足の信号が発信される。
【0055】
このようなナット不足のときには、その信号が後述の制御装置などへ通信されて、電磁石44の吸引動作は解除され、同時に、バイブレータ14も動作を開始する。これによって、ナット33がガイドシュータ10の送出端部10cから円形ボウル6内に落下して補充がなされる。この実施例では、タイマーを使用して、電磁石44の吸引力停止時間とバイブレータ14の作動時間が、補充されたナット33が送出振動中の円形ボウル6の底板6b上で積層状態にならないように設定されている。
【0056】
電磁石44の吸引力停止時間とバイブレータ14の作動時間が、補充されたナット33が送出振動中の円形ボウル6の底板6a上で一層状態となるように、すなわち山積みや積層した状態とならないように設定されていることによって、補充量の適正化がなされる。
【0057】
このようにして、ガイドシュータ10の送出端部10aから落下するナット33の数量が、円形ボウル6の底板6bにおける搬送速度と相関して、ナット貯留の一層化状態がえられる。一般に、円形ボウル6の底板6aの搬送速度は低速なので、ガイドシュータ10からのナット落下量は、少しずつ落下させることになる。
【0058】
このような補充落下が継続すると、一層状態のナット33が底板6b上を一回りしてきて、再び図7(B)に示すように、触棒28の先端部分28aが列状のナット33の上面に乗り上げた状態になる。これにともなって、ナット量が正常に存在していることが、検知スイッチ29から後述の制御装置に発信され、電磁石44への通電励磁の再開と、バイブレータ14への作動電流の通電停止がなされて、ガイドシュータの滑り板21にナット33が吸引され、ナットの補充落下が停止する。
【0059】
上記実施例における電線の図示は、省略してある。
【0060】
上記の作動をえるための動作制御は、検知スイッチ29からの信号で、タイマーの計時動作を介在させて、電磁石44やバイブレータ14などを動作させればよく、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。前述の制御装置またはシーケンス回路を経由した信号で電磁石44への通電の断続や、バイブレータ14への通電の断続を行う。そして、電磁石44の吸引力停止時間とバイブレータ14の作動時間は、円形ボウル6の底板6bにおける搬送速度とガイドシュータ10からの落下数量との兼ね合いを見て、設定されている。検知スイッチに換えて、前述の光電素子を用いる場合でも、同様な供給制御がえられる。
【0061】
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
【0062】
検知手段である触棒28が鉛直方向に垂下した姿勢になって、円形ボウル6内のナット貯留量の不足を検知したとき、円形ボウル6にナット33の送出振動を作用させている状態で、ナット33に対する電磁石44の吸引力を消滅させるとともに、バイブレータ14を作動させて、円形ボウル6の底板6b上で積層状態にならない補充量のナット33をガイドシュータ10から円形ボウル6へ供給する。つまり、振動式パーツフィーダ5の円形ボウル6に送出振動を付与して、ナット33が円形ボウル6の底板6b上を移動している状態でナット貯留量の不足を検知したとき、この検知信号によって電磁石44の吸引力が消滅して、バイブレータ14の動作が開始される。
【0063】
このため、ガイドシュータ10の滑り板21の送出端部10c近傍に吸引状態で停止していたナット33が電磁石44の吸引力から開放されるとともに、バイブレータ14の送出振動が開始される。そして、電磁石44の吸引力停止時間とバイブレータ14の作動時間が、補充されたナット33が送出振動中の円形ボウル6の底板6b上で積層状態にならないように設定されているので、すなわち、大量のナット33が塊状になって一気に落下しないで少しずつ落下するので、円形ボウル6に落下した小量化されたナット33は、直ちに円形ボウル6内を円周方向に移動し、一箇所に積層状態で山積みになるようなことがなく、補充された必要最小限のナット33が底板上を一層状態で円周方向に移送されてゆく。換言すると、ナット33が搬送振動中の底板6b上に少しずつ落下するので、底板6b上の1つ目のナット33は直ちに搬送されて搬送後流側へ移動し、つぎに落下してくる2つ目のナット33は、1つ目のナット33上ではなく底板6b上に直接落下する。したがって、1つ目と2つ目が積み重なるような現象が生じない。
【0064】
上述のようにナット33の補充量は、円形ボウル6の底板6b上において積層状態で山積みにならないように設定されているので、ナット33の補充量を円形ボウル6からの送出量に釣り合った状態にすることができ、これによって円形ボウル6におけるナット貯留量を最少化する。また、小量のナット33が円形ボウル6から送出される都度、ガイドシュータ10から小量のナット33を補充することができ、円形ボウル6におけるナット貯留量を少なくすることができる。さらに、ナット33が不足をきたしたときのナット貯留量と、補充されたときのナット貯留量の差が小さくなるので、円形ボウル6の最大駆動力を小さく設定することができる。これらの利点によって、円形ボウル6の小型化を始めとしたパーツフィーダ3全体の小型化や、消費電力の低減を図ることができ、経済的効果を向上することが可能となる。
【0065】
触棒28の検知箇所28aは、円形ボウル6の底板6b上を移動するナット33の高さHよりも低い位置とされている。円形ボウル6に供給されたナット33は、円形ボウル6の底板6b上で積層した山積みのような状態にならず、底板6b上を面方向に広がった一層の形態となる。このような一層形態のナット33に対して、触棒28の検知箇所28aが、円形ボウル6の底板6b上を移動するナット33の高さHよりも低い位置とされているので、一層形態のナット33の上面に触棒28の検知箇所28aが乗り上げているときには、確実にナット貯留量が正常であることを検知し、ナット貯留量が不足をきたしたときには、触棒28が鉛直方向の姿勢になって、ナット33が検知箇所28aに一層形態で存在していることが検知されないので、確実にナット不足であることが検知され、信頼性の高い作動がえられる。
【0066】
円形ボウル6の底板6b上にナット33が一層状態で並んでいるというのは、ナット33が底板6b上に例えば2段や3段に及ぶ多層状に積層されたり、小山のように山積みになったりしないことを意味している。つまり、積み重ならないで、平たく底板6b上に広がる現象である。そこに、底板6bに搬送振動が付与されているので、ナット33が円周方向に帯状に伸びて行くこととなる。
【0067】
検知手段が触棒28とされている場合には、ナット33が一層状態であるから、触棒28の揺動角度が、図7(B)のナット充足の場合と、同図(C)のナット不足の場合において、常に一定角度となり、検知スイッチ29の検知動作が安定して行われる。
【0068】
底板6b上に供給されたナット33の円弧状の搬送方向で見て、触棒28が垂下している箇所は、底板6bから部品搬送路6aへ移行する箇所6cと、ガイドシュータ10から底板6b上に落下する箇所6dの間に設定してある。触棒28の配置箇所をこのように設定することによって、ナット33が途切れて触棒28の姿勢が鉛直方向になっても、ナット33が途切れた箇所から移行箇所6cまでの円周距離を長く確保できるので、ナット不足信号が発信されも、貯留数量をできるだけ多くすることができて、ナット33の完全な枯渇にいたることが防止できる。
【0069】
部品供給制御方法の実施例の作用効果は、上述の部品供給制御装置の作用効果と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
上述のように、本発明は、パーツフィーダから送出される部品量と、パーツフィーダに対する部品補充量との関連性を考慮して、パーツフィーダの小型化や消費電力を低減するものであり、種々な部品の流出制御を行うことができ、広い産業分野で活用できる。
【符号の説明】
【0071】
3 パーツフィーダ
4 収容箱
6 円形ボウル
6b 底板
10 ガイドシュータ
10a 縦壁板
10c 送出端部
14 バイブレータ
21 滑り板
28 検知手段
28a 先端部分、検知箇所
33 小物部品、プロジェクションナット
44 電磁石
P 部品供給装置
H 小物部品の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7