(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】紫外線治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A61N5/06 B
(21)【出願番号】P 2020206478
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】森田 明理
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 尚司
(72)【発明者】
【氏名】木尾 智彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 弘
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-514292(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0280114(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0183811(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0099613(US,A1)
【文献】特開2020-049143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を含む光を放射するLED光源、および当該LED光源からの光を放射する光放射面を有する光源部と、当該LED光源の点灯を制御する制御部と、を備える紫外線治療器であって、
基準光源から放射される基準光を治療光として用いた場合に患者に照射すべき当該治療光の照射量である設定照射量を入力する入力部と、
前記設定照射量を補正するためのパラメータを記録する記録部と、を備え、
前記制御部は、
前記記録部に記録された前記パラメータに基づいて、前記入力部により入力された設定照射量を補正する補正部と、
前記光の照射量が前記補正部により補正された補正後の設定照射量となるように前記LED光源を点灯させる点灯制御部と、を備え、
前記補正後の設定照射量は、前記基準光による人体への影響度と、前記光放射面から放射される光による人体への影響度とに基づいて導出される照射量であることを特徴とする紫外線治療器。
【請求項2】
前記記録部は、前記パラメータとして、前記基準光による人体への影響度を前記光放射面から放射される光による人体への影響度で除した値である補正係数を記録し、
前記補正部は、前記入力部により入力された設定照射量に、前記記録部に記録された前記補正係数を乗じることで、前記補正後の設定照射量を算出することを特徴とする請求項1に記載の紫外線治療器。
【請求項3】
前記記録部は、前記パラメータとして、前記基準光の分光スペクトルと、前記光放射面から放射される光の分光スペクトルと、紅斑作用スペクトルと、を少なくとも記録し、
前記補正部は、
前記記録部に記録された前記基準光の分光スペクトルと前記紅斑作用スペクトルとの積に基づいて前記基準光による人体への影響度を算出するとともに、前記記録部に記録された前記光放射面から放射される光の分光スペクトルと前記紅斑作用スペクトルとの積に基づいて前記光放射面から放射される光による人体への影響度を算出し、
前記基準光による人体への影響度を前記光放射面から放射される光による人体への影響度で除した値である補正係数を算出し、
前記入力部により入力された設定照射量に前記補正係数を乗じることで、前記補正後の設定照射量を算出することを特徴とする請求項1に記載の紫外線治療器。
【請求項4】
前記記録部は、前記光放射面から放射される光の放射照度を記録し、
前記点灯制御部は、
前記補正後の設定照射量を前記光放射面から放射される光の放射照度で除することで、前記LED光源からの光の照射時間を算出し、算出された照射時間で、前記LED光源を点灯させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項5】
前記点灯制御部は、
前記補正後の設定照射量を予め設定された照射時間で除することで、前記光放射面から放射される光の放射照度を算出し、算出された放射照度で、前記照射時間、前記LED光源を点灯させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項6】
前記影響度は、分光スペクトルと紅斑作用スペクトルとの積を予め設定された波長区間で波長積分した値であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項7】
前記波長区間は、250nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の紫外線治療器。
【請求項8】
前記影響度は、UVインデックスであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項9】
前記LED光源は、波長308nm以上313nm以下にピークを有する光を放射するように製造されたものであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項10】
前記LED光源は、波長308nmにピークを有する光を放射するように製造されたものであることを特徴とする請求項9に記載の紫外線治療器。
【請求項11】
前記基準光源は、波長308nm以上313nm以下にピークを有する光を放射するランプであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項12】
前記基準光源は、エキシマランプであることを特徴とする請求項11に記載の紫外線治療器。
【請求項13】
前記基準光源は、波長308nm以上313nm以下にピークを有する光を放射するLED光源であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とした紫外線治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光線治療として、UVA(波長320nm~400nm)、UVB(波長280~320nm)といった波長域の紫外線を用いる紫外線治療が存在する。紫外線治療とは、紫外線照射により免疫抑制を図り、治療効果を得るものである。
例えば特許文献1には、紫外線によって皮膚疾患を治療する紫外線治療器が開示されている。この紫外線治療器は、紫外線源としてランプ光源やLEDを備える。
【0003】
LEDを光源として用いた場合、概して、ランプの電源装置よりも簡単な回路構成を実現でき、装置の小型化、軽量化が可能である。そのため、近年、紫外線の光源として紫外線発光素子(UVLED)を用いた紫外線治療器が提案されている。
なお、以下の説明においては、紫外線および紫外線を含む光を、単に「光」と呼ぶこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、UVBの波長域の紫外線を利用する紫外線治療器として、波長308nmにピークを有する光を放射するエキシマランプを用いたものが知られている。
これに対して、紫外線を放射するLEDの一つとして、波長308nmにピークを有する光を放射するもの(以下「308nmLED」と呼ぶ。)がある。そこで、上記のエキシマランプを用いたUVB治療器の代替として、308nmLEDを用いた治療器を採用することが考えられる。
しかしながら、LEDはランプとは異なり、ピーク波長308nmを狙って製造されたLEDであっても、製造上のばらつきにより、LEDから放射される光のピーク波長には±5nm程度のばらつきが生じ得る。つまり、308nmLEDの中には、308nmに波長のピークを持つものだけでなく、303nm~313nmの波長範囲にピークを持つものが含まれる。
【0006】
一方、UVB領域の紫外線が皮膚へ及ぼす影響は、当該紫外線の波長毎に異なる。一般に、紫外線治療器においては、光源から放射される光の波長に応じて、患部に対して副作用の出ない範囲で光を照射して、治療効果を得るようにしている。
そのため、光源として使用するLEDの個体差によって、紫外線治療器から放射される光の波長に機差が生じると、患部に対して、副作用の出ない範囲で光を照射したつもりであっても副作用が生じたり、反対に治療効果が不足したりすることがある。
【0007】
そこで、本発明は、LED光源の個体差によらずに、副作用を生じさせることなく、優れた治療効果を得ることができる紫外線治療器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る紫外線治療器の一態様は、紫外線を含む光を放射するLED光源、および当該LED光源からの光を放射する光放射面を有する光源部と、当該LED光源の点灯を制御する制御部と、を備える紫外線治療器であって、基準光源から放射される基準光を治療光として用いた場合に患者に照射すべき当該治療光の照射量である設定照射量を入力する入力部と、前記設定照射量を補正するためのパラメータを記録する記録部と、を備え、前記制御部は、前記記録部に記録された前記パラメータに基づいて、前記入力部により入力された設定照射量を補正する補正部と、前記光の照射量が前記補正部により補正された補正後の設定照射量となるように前記LED光源を点灯させる点灯制御部と、を備え、前記補正後の設定照射量は、前記基準光による人体への影響度と、前記光放射面から放射される光による人体への影響度とに基づいて導出される照射量である。
【0009】
このように、基準光を治療光とした場合に適した設定照射量を、基準光による人体への影響度と、実際に治療に用いる紫外線治療器(本治療器)の光放射面から放射される光による人体への影響度とに基づいて補正してLED光源を点灯させる。したがって、基準光と本治療器から放射される光との間で波長の差異が生じている場合であっても、本治療器から放射される光に適した照射量で紫外線照射を行うことができる。そのため、患部に副作用を生じさせることなく、優れた治療効果を得ることができる。
【0010】
また、上記の紫外線治療器において、前記記録部は、前記パラメータとして、前記基準光による人体への影響度を前記光放射面から放射される光による人体への影響度で除した値である補正係数を記録し、前記補正部は、前記入力部により入力された設定照射量に、前記記録部に記録された前記補正係数を乗じることで、前記補正後の設定照射量を算出してもよい。
この場合、簡易な演算で補正後の設定照射量を導出することができる。
【0011】
さらに、上記の紫外線治療器において、前記記録部は、前記パラメータとして、前記基準光の分光スペクトルと、前記光放射面から放射される光の分光スペクトルと、紅斑作用スペクトルと、を少なくとも記録し、前記補正部は、前記記録部に記録された前記基準光の分光スペクトルと前記紅斑作用スペクトルとの積に基づいて前記基準光による人体への影響度を算出するとともに、前記記録部に記録された前記光放射面から放射される光の分光スペクトルと前記紅斑作用スペクトルとの積に基づいて前記光放射面から放射される光による人体への影響度を算出し、前記基準光による人体への影響度を前記光放射面から放射される光による人体への影響度で除した値である補正係数を算出し、前記入力部により入力された設定照射量に前記補正係数を乗じることで、前記補正後の設定照射量を算出してもよい。
この場合、適切に補正後の設定照射量を導出することができる。
【0012】
また、上記の紫外線治療器において、前記記録部は、前記光放射面から放射される光の放射照度を記録し、前記点灯制御部は、前記補正後の設定照射量を前記光放射面から放射される光の放射照度で除することで、前記LED光源からの光の照射時間を算出し、算出された照射時間で、前記LED光源を点灯させてもよい。
この場合、LED光源の点灯時間を制御して、光の照射量が補正後の設定照射量となるように適切に制御することができる。
【0013】
さらに、上記の紫外線治療器において、前記点灯制御部は、前記補正後の設定照射量を予め設定された照射時間で除することで、前記光放射面から放射される光の放射照度を算出し、算出された放射照度で、前記照射時間、前記LED光源を点灯させてもよい。
この場合、LED光源の電流値を制御して、光の照射量が補正後の設定照射量となるように適切に制御することができる。
【0014】
また、上記の紫外線治療器において、前記影響度は、分光スペクトルと紅斑作用スペクトルとの積を予め設定された波長区間で波長積分した値であってもよい。
この場合、基準光による人体への影響度と本治療器から放射される光による人体への影響度とに基づいて適切に補正された設定照射量を得ることができる。
【0015】
さらにまた、上記の紫外線治療器において、前記波長区間は、250nm以上400nm以下であってもよい。
この場合、紅斑作用スペクトルが定義されている波長区間で適切に導出された影響度に基づく補正後の設定照射量を得ることができる。
【0016】
また、上記の紫外線治療器において、前記影響度は、UVインデックスであってもよい。
この場合、UVインデックス測定器を用いることで、より簡易的に人体への影響度を測定、算出することができる。
【0017】
また、上記の紫外線治療器において、前記LED光源は、波長308nm以上313nm以下にピークを有する光を放射するように製造されたものであってもよい。
この場合、中波紫外線療法が適応される各種皮膚疾患を適切に治療することができる。
【0018】
また、上記の紫外線治療器において、前記LED光源は、波長308nmにピークを有する光を放射するように製造されたものであってもよい。
この場合、波長308nmにピークを有する従来のエキシマランプを光源とする紫外線治療器と同様に各種皮膚疾患を適切に治療することができる。
【0019】
さらに、上記の紫外線治療器において、前記基準光源は、波長308nm以上313nm以下にピークを有する光を放射するランプであってもよい。
この場合、ランプを光源とする紫外線治療器に設定していた照射量を、本治療器に入力する設定照射量として使用することができる。
【0020】
さらに、上記の紫外線治療器において、前記基準光源は、エキシマランプであってもよい。
この場合、従来のエキシマランプを光源とする紫外線治療器に設定していた照射量を、本治療器に入力する設定照射量として使用することができる。
【0021】
さらに、上記の紫外線治療器において、前記基準光源は、波長308nm以上313nm以下にピークを有する光を放射するLED光源であってもよい。
この場合、特定の波長のLEDを光源としたときの実際の照射量を、本治療器に入力する設定照射量として使用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光源として紫外線を出射するLED(UVLED)を用いた紫外線治療器において、光源であるLEDの個体差によらずに、副作用を生じさせることなく、優れた治療効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】CIEの紅斑作用スペクトルを示すグラフである。
【
図3】分光スペクトルと紅斑作用スペクトルとの積を示すグラフである。
【
図5】従来の紫外線治療器の処理フローを示す図である。
【
図6】本実施形態における紫外線治療器の処理フローを示す図である。
【
図7】紫外線治療器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、紫外線を含む光として、例えばUVB(波長280nm~320nm)の領域の紫外線を含む光を放射する治療具を備える紫外線治療器について説明する。ここでは、波長308nmにピークを有する光を放射するように製造されたLED光源を備える紫外線治療器について説明する。
【0028】
UVB領域の紫外線をヒトの皮膚に当てると、副作用として紅斑が発生する。紅斑とは、毛細血管の拡張などが原因で皮膚表面に発赤を伴った状態をいう。皮膚に紅斑が発生する最低の紫外線照射量を最少紅斑量(MinimalErythemaDose:MED)という。なお、MEDの単位は、mJ/cm2である。日焼けのしやすさに個人差があるように、紅斑の出やすさ、即ちMEDにも個人差がある。
また、紫外線による紅斑の出やすさ、つまり紫外線による人体への影響度は、当該紫外線の波長により異なる。波長毎の人体への相対影響度については、国際照明委員会(CIE:Commission Internationale de l'Eclairage)により紅斑作用スペクトルとして定義されている。
【0029】
図1は、紅斑作用スペクトルを示すグラフである。
この
図1において、横軸は波長λ(nm)であり、縦軸は紅斑作用スペクトルS
erである。紅斑作用スペクトルS
erは、250nm~400nmの波長区間において定義されており、下記(1)式に定義式を示すように、波長250nm~298nmの光が皮膚に与える影響を1とした場合の、各波長の相対影響度として示される。
【0030】
【0031】
図1に示すグラフの概形から、波長が短い方が人体の影響が大きく、紅斑が出やすいということがわかる。具体的には、UVBの領域よりも長い波長の光、厳密に上記(1)式を適用するのであれば波長328nmよりも長波長の光は、皮膚にほとんど影響を及ぼさない。一方、波長が328nm以下になると、皮膚へ影響が生じ始め、その影響は短波長になるほど増加する。
このことから、波長が短い方がMEDは小さいということがわかる。つまり、MEDは、この紅斑作用スペクトルS
erと反比例の関係にある。
【0032】
そして、紫外線による人体への総合的な影響度は、照射される紫外線の分光放射照度Eλと紅斑作用スペクトルSerとの積を、250nm~400nmの区間で波長積分することにより得られる。このようにして求められる影響度を、紅斑紫外線量ICIEという。
【0033】
【0034】
また、紫外線による人体への総合的な影響度として、UVインデックスIUVがよく用いられる。UVインデックスIUVと紅斑紫外線量ICIEとは、下記(3)式の関係にある。UVインデックスIUVは、簡易的な測定器により測定することが可能である。
IUV=ICIE/25 ………(3)
【0035】
図1からもわかるように、特に波長298nm以上310nm以下の波長範囲では、わずか1nmの波長の差でも、人体への影響度は大きく変化する。
図2は、ピーク波長が306nm、307nm、308nm、309nmのLED光の分光スペクトルを示すグラフである。この分光スペクトルは、波長250nm~400nmの区間で波長積分した値が1となるように規格化されている。
図2の縦軸の値は、次式で表される。
【0036】
【0037】
図3は、
図2に示す分光スペクトルと
図1に示す紅斑作用スペクトルS
erとの積を示すグラフである。
図3の縦軸の値は、次式で表される。
【0038】
【0039】
この
図3に示すように、ピーク波長が1nm違うだけで、人体への影響度は大きく異なる。
そのため、例えばピーク波長308nmを狙って製造されたLED素子(308nmLED)を使用した紫外線治療器で治療を受けようとする場合、その308nmLEDから放射される光のピーク波長が、LED素子の製造上のばらつきにより1nmずれるだけで、副作用が生じたり、反対に治療効果が不足したりする。
【0040】
例えば、波長308nmの光でのMEDが200mJ/cm2の人が、副作用(紅斑)が生じない範囲で最大の治療効果をあげるために、308nmLEDを使用した紫外線治療器の設定照射量を、例えば190mJ/cm2(MEDより少しだけ低い照射量)に設定して治療を受ける場合について考える。この場合、その紫外線治療器の308nmLEDが、実際は波長307nmにピークを有するLEDであると、波長307nmの光でのMEDを上回る紫外線照射を受けることになり、患部に紅斑が生じてしまう。ここで、波長308nmの光でのMEDが200mJ/cm2である人の波長307nmの光でのMEDは、紅斑作用スペクトルSerをもとに約161mJ/cm2であると計算できる。
反対に、その紫外線治療器の308nmLEDが、実際は波長309nmにピークを持つLEDであった場合は、皮膚に与える影響が想定よりも小さくなる。したがって、190mJ/cm2の照射では、患部に対して最大の治療効果をあげられない、言い換えると、紅斑の出ない範囲で、もう少し多くの照射ができたということになる。
【0041】
このように、LEDは素子間で波長にばらつきが生じ得るため、同じ紫外線照射量を設定しても、副作用の出方や治療効果の出方が治療器間で変わってしまう可能性がある。本実施形態では、このような波長の機差を考慮して、紫外線治療器に設定された紫外線照射量(設定照射量)を補正する。
【0042】
本発明者らは、各波長のMED(紅斑の出やすさ)には個人差があるが、MEDの比率には個人差はなく、CIEの紅斑作用スペクトルS
erに準ずることを確認した。
図4は、個々人のMEDの比率を示す図である。
図4における□、△、〇、◇は、4人の被験者のMED比をプロットしたものである。このプロットの値は、個々人の波長毎のMED(306nmLED、307nmLED、308nmLED、309nmLEDのMED)を、個々人の308nmLEDのMEDで除した値である。また、
図4の破線で示す曲線は、紅斑作用スペクトルS
erをもとに計算されたMED比である。
【0043】
上記知見から、本発明者らは、任意の基準の紫外線治療器(基準治療器)から放射される基準光による人体への影響度と、実際に治療に用いる紫外線治療器(本治療器)から放射される光による人体への影響度との比率に基づいて、上記基準治療器から患者に照射すべき最適な照射量(基準光での患者のMEDに応じた照射量)を補正することで、本治療器から患者に照射すべき最適な照射量(本治療器の光での患者のMEDに応じた照射量)を算出できることを見出した。
本実施形態では、波長308nmにピークを有する光を放射するエキシマランプを基準光源として用いる場合について説明する。
【0044】
まず、従来のエキシマランプを光源とした紫外線治療器を用いた場合の処理フローについて、
図5を参照しながら説明する。
エキシマランプは、LEDとは異なり、製造上の波長のばらつきは殆どなく、紫外線治療器として狙った波長308nmの光を放射することができる。そのため、波長の機差を考慮して紫外線照射量を補正する必要がない。ここでは、光源として、波長308nmの光を放射するように製造されたエキシマランプを使用する場合について説明する。
【0045】
この
図5において、ステップS11は、工場にて紫外線治療器の出荷前に実施される処理であり、ステップS21~S23は、例えば病院等での治療時に実施される処理である。
ステップS11では、紫外線治療器の光放射面における放射照度E[mW/cm
2]を測定し、測定された放射照度Eを紫外線治療器に記録する。
【0046】
ステップS21では、医師が患者を診察し、疾患に応じて適切な照射量(設定照射量)H[mJ/cm2]を決定し、紫外線治療器に入力する。
紫外線治療器に入力される設定照射量Hは、波長308nmのエキシマランプ光での患者のMEDに応じた照射量であり、例えば、波長308nmのエキシマランプ光での患者のMEDよりも若干小さい照射量とすることができる。
【0047】
ステップS22では、紫外線治療器において照射時間tが自動計算される。具体的には、紫外線治療器は、医師から入力された設定照射量Hを取得し、当該設定照射量Hを紫外線治療器に記録されている放射照度Eで除算し、照射時間t[sec]を算出する。
t=H/E ………(6)
【0048】
ステップS23では、医師、場合によっては看護師などの医療従事者が、患部に紫外線治療器の光放射面を押し当て、紫外線治療器に設けられたスイッチを押し、紫外線照射を開始して治療処置を実施する。この治療処置は、照射時間t秒で終了する。
【0049】
上記のように、光源としてエキシマランプを使用した場合、紫外線治療器からは狙ったとおりの波長の光が放射される。つまり、ステップS21において入力された設定照射量Hは、本治療器の光での患者のMEDに応じた最適な照射量となっている。そのため、設定照射量Hをそのまま照射時間tの算出に用いることができる。
【0050】
次に、本実施形態におけるLEDを光源とした紫外線治療器を用いた場合の処理フローについて、
図6を参照しながら説明する。ここでは、光源として、波長308nmにピークを有する光を放射するように製造されたLEDを使用する場合について説明する。
上述したように、LEDでは素子間で波長にばらつきが生じ得る。つまり、波長308nmの光を放射するように製造されたLEDを光源として使用した場合であっても、紫外線治療器から放射される光のピーク波長は308nmからずれる可能性がある。そのため、波長308nmの光での患者のMEDに応じて設定された照射量は、本治療器での最適な照射量とは限らない。
そこで、本実施形態では、波長の機差を考慮して上記設定照射量Hを補正し、補正後の設定照射量に基づいて紫外線照射を実施する。
【0051】
この
図6において、ステップS11~S13は、工場にて紫外線治療器の出荷前に実施される処理であり、ステップS21、S22’およびS23は、例えば病院等での治療時に実施される処理である。なお、
図6において、
図5と同一処理を行うステップには
図5と同一ステップ番号を付している。
ステップS11では、紫外線治療器の光放射面における放射照度E[mW/cm
2]を測定し、測定された放射照度Eを紫外線治療器に記録する。LEDを光源とした紫外線治療器は、一般に複数のLED光源(例えば5×5のLEDアレイ)を備える。ここで測定される放射照度Eは、複数のLED光源から放射される光の合成光の放射照度である。
【0052】
ステップS12では、紫外線治療器の光放射面における分光放射照度(波長別紫外線照度)Eλ[mW/cm2・nm]を、少なくとも波長250nm~400nmの区間で測定する。
【0053】
ステップS13では、設定照射量Hを補正するための補正係数pを算出し、算出された補正係数pを紫外線治療器に記録する。以下、補正係数pの算出方法について説明する。
まず、本治療器の光放射面における分光放射照度Eλと、CIEの紅斑作用スペクトルSerとを乗算し、波長250nm~400nmの区間で波長積分した値である紅斑紫外線量ICIE[mW/cm2]を算出する。紅斑紫外線量ICIEは、上記(2)式により表される。
【0054】
次に、算出された紅斑紫外線量ICIEを、紫外線治療器の分光放射照度Eλの波長250nm~400nmの区間の積分値で規格化し、相対紅斑紫外線量Irelを算出する。
【0055】
【0056】
この相対紅斑紫外線量I
relは、本治療器の光放射面から放射される光による人体への影響度であり、
図3に示す分光スペクトルと紅斑作用スペクトルS
erとの積を、波長250nm~400nmの区間で波長積分した値に相当する。
したがって、ここでは分光放射照度E
λと紅斑作用スペクトルS
erとの積を波長250nm~400nmの区間で波長積分して紅斑紫外線量I
CIEを算出し、紅斑紫外線量I
CIEを規格化して相対紅斑紫外線量I
relを算出する場合について説明したが、本治療器から放射される光の分光スペクトルと紅斑作用スペクトルS
erとの積を波長250nm~400nmの区間で波長積分して、相対紅斑紫外線量I
relを直接算出するようにしてもよい。
【0057】
次に、任意の基準光においても同様に、基準相対紅斑紫外線量Irel_stdを算出する。この基準相対紅斑紫外線量Irel_stdは、基準光による人体への影響度である。
例えば、基準光の分光放射照度Eλ_stdを波長250nm~400nmの区間で測定し、測定した分光放射照度Eλ_stdと紅斑作用スペクトルSerとの積を波長250nm~400nmの区間で波長積分して基準の紅斑紫外線量(基準紅斑紫外線量)ICIE_stdを算出する。そして、その基準紅斑紫外線量ICIE_stdを基準光の分光放射照度Eλ_stdの波長250nm~400nmの区間の積分値で規格化し、基準相対紅斑紫外線量Irel_stdを算出する。
または、基準光の分光スペクトルと紅斑作用スペクトルSerとの積を波長250nm~400nmの区間で波長積分して、基準相対紅斑紫外線量Irel_stdを算出する。
【0058】
次に、基準相対紅斑紫外線量Irel_stdを相対紅斑紫外線量Irelで除し、補正係数pを算出する。
p=Irel_std/Irel ………(8)
上記(8)式により算出された補正係数pは、紫外線治療器に記録される。
【0059】
ステップS21では、医師が患者を診察し、疾患に応じて適切な照射量(設定照射量)H[mJ/cm2]を決定し、紫外線治療器に入力する。
紫外線治療器に入力される設定照射量Hは、上記任意の基準光(例えば、波長308nmのエキシマランプ光)での患者のMEDに応じた照射量であり、例えば、基準光での患者のMEDよりも若干小さい照射量とすることができる。
【0060】
ステップS22では、紫外線治療器において照射時間t’が自動計算される。具体的には、紫外線治療器は、医師から入力された設定照射量Hを取得し、当該設定照射量Hに紫外線治療器に記録されている補正係数pを乗じることで、補正後の設定照射量H’(=H×p)を算出する。そして、補正後の設定照射量H’を紫外線治療器に記録されている放射照度Eで除算し、補正された照射時間t’[sec]を算出する。
t’=H×p/E ………(9)
【0061】
ステップS23では、医師、場合によっては看護師などの医療従事者が、患部に紫外線治療器の光放射面を押し当て、紫外線治療器に設けられたスイッチを押し、紫外線照射を開始して治療処置を実施する。この治療処置は、照射時間t’秒で終了する。
【0062】
このように、医師が入力した設定照射量H[mJ/cm2]に対して、実際に処置する照射量は、LED光源の波長のばらつきを考慮して補正された照射量H’=H×p[mJ/cm2]とすることができる。
本治療器によって補正後の設定照射量H’で処置した場合の副作用の生じ方は、上記基準光を放射する基準治療器によって設定照射量Hで処置した場合の副作用の生じ方と同等となる。すべての紫外線治療器で同一の基準治療器を設定することで、波長が異なる治療器を使っても、医師は波長の違いを意識することなく治療に専念することができる。
【0063】
図7は、本実施形態における紫外線治療器1の構成例を示すブロック図である。
紫外線治療器1は、紫外線を含む光を放射するLED光源を有する治療具(光源部)2と、治療具2が有するLED光源を制御する本体部4と、を備える。
本体部4は、入力部41と、表示部42と、記録部43と、電源ユニット44と、制御ユニット(制御部)45と、LED駆動ユニット46と、を備える。治療具2と本体部4とは接続線6により接続されており、当該接続線6は、太線で示す電源線6aと、細線で示す信号線6bとを備える。
【0064】
入力部41は、操作者(例えば医師)により入力された設定照射量Hを取得し、その情報を制御ユニット45に出力する。
表示部42は、紫外線の照射強度や照射時間、紫外線照射中の経過時間などを表示することができる。また、表示部42は、紫外線治療器1において何らかの異常が発生した場合には、異常が発生していることを示す情報(エラーメッセージなど)を表示することもできる。
記録部43は、紫外線治療器1の光放射面における放射照度Eと、設定照射量Hを補正するための補正係数pとを記録する。
【0065】
電源ユニット44は、外部電源8から供給された電力を、後段の各ユニットに適切な電圧に変換し、供給する。
制御ユニット45は、入力部41から入力された設定照射量Hを記録部43に記録された補正係数pを用いて補正し、補正後の設定照射量H’を記録部43に記録された放射照度Eで除算することで照射時間t’を算出する。そして、制御ユニット45は、LED駆動ユニット46を制御し、治療具2が有するLED光源の照射量(照射時間t’)を制御する。つまり、制御ユニット45は、設定照射量Hを補正する補正部と、LED光源からの光の照射量が補正後の設定照射量H’となるようにLED光源を点灯させる点灯制御部と、を有する。
LED駆動ユニット46は、制御ユニット45からの制御信号に従い、LED光源に給電を行う。
【0066】
以下、操作者が本実施形態の紫外線治療器1を用いて患部に紫外線を照射する手順について説明する。
まず、操作者は、入力部41を操作して、患部に照射する紫外線の照射量(設定照射量H)を入力する。このとき、紫外線治療器1において、設定照射量Hの補正が行われ、紫外線の照射時間t’が算出される。
次に操作者は、治療具2を持ち、光放射面を患部に当接もしくは近接させる。そして、操作者は、治療具2に設けられたスイッチ(不図示)を押す。すると、LED光源が点灯し、患部への紫外線照射が開始される。
その後、紫外線の照射量が補正後の設定照射量H’に達すると(照射時間が算出された照射時間t’に達すると)、自動的にLED光源が消灯する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態における紫外線治療器1は、紫外線を含む光を放射するLED光源、および当該LED光源からの光を放射する光放射面を有する治療具(光源部)2と、当該LED光源の点灯を制御する制御ユニット(制御部)45と、を備える。また、紫外線治療器1は、基準光源から放射される基準光を治療光として用いた場合に患者に照射すべき当該治療光の照射量である設定照射量Hを入力する入力部41と、設定照射量Hを補正するためのパラメータを記録する記録部43と、を備える。
ここで、記録部43は、上記パラメータとして、基準光による人体への影響度(基準相対紅斑紫外線量Irel_std)と、本治療器の光放射面から放射される光による人体への影響度(相対紅斑紫外線量Irel)とに基づいて決定される補正係数pを記録する。また、記録部43は、本治療器の光放射面における光の放射照度Eも記録する。
【0068】
そして、制御ユニット45は、記録部43に記録された補正係数pに基づいて設定照射量Hを補正し、光の照射量が補正後の設定照射量H’となるようにLED光源を点灯させる。具体的には、制御ユニット45は、設定照射量Hに補正係数pを乗じることで補正後の設定照射量H’を算出する。また、制御ユニット45は、補正後の設定照射量H’を放射照度Eで除算することで、LED光源からの光の照射時間t’を算出し、算出された照射時間t’、LED光源を点灯させる。
【0069】
つまり、本実施形態における紫外線治療器1の紫外線照射方法は、基準光源から放射される基準光を治療光として用いた場合に患者に照射すべき当該治療光の照射量である設定照射量Hを入力する第一の工程と、基準光による人体への影響度と、本治療器の光放射面から放射される光による人体への影響度とを比較して、設定照射量Hを補正する第二の工程と、光の照射量が補正後の設定照射量H’となるようにLED光源を点灯させる第三の工程と、を含む。
【0070】
具体的には、上記第二の工程においては、本治療器の光放射面における分光放射照度Eλを、予め設定された波長区間で測定する。また、分光放射照度Eλと紅斑作用スペクトルSerとを乗算し、上記波長区間で波長積分して、紅斑紫外線量ICIEを算出する。さらに、紅斑紫外線量ICIEを分光放射照度Eλの上記波長区間の積分値で規格化して、本治療器の光放射面から放射される光による人体への影響度である相対紅斑紫外線量Irelを算出する。
また、この第二の工程においては、基準光の分光放射照度Eλ_stdを、上記波長区間で測定する。また、基準光の分光放射照度Eλ_stdと紅斑作用スペクトルSerとを乗算し、上記波長区間で波長積分して、基準紅斑紫外線量ICIE_stdを算出する。さらに、基準紅斑紫外線量ICIE_stdを基準光の分光放射照度Eλ_stdの上記波長区間の積分値で規格化して、基準光による人体への影響度である基準相対紅斑紫外線量Irel_stdを算出する。
そして、この第二の工程において、基準相対紅斑紫外線量Irel_stdを相対紅斑紫外線量Irelで除して補正係数pを算出し、設定照射量Hに補正係数pを乗じて、補正後の設定照射量H’を算出する。
【0071】
このように、基準光を治療光とした場合に適した設定照射量Hを、基準光による人体への影響度(基準相対紅斑紫外線量Irel_std)と、本治療器の光放射面から放射される光による人体への影響度(相対紅斑紫外線量Irel)とに基づいて補正してLED光源を点灯させる。したがって、基準光と本治療器から放射される光との間で波長の差異が生じている場合であっても、本治療器から放射される光に適した照射量で紫外線照射を行うことができる。そのため、患部に副作用を生じさせることなく、優れた治療効果を得ることができる。
また、上記基準光を、従来の紫外線治療器の光源であるエキシマランプから放射される光とすることで、医師は、従来の紫外線治療器において設定していた照射量を本治療器に入力する設定照射量Hとしてそのまま使用することができる。つまり、医師は、紫外線治療器の光源の違い(エキシマランプであるかLEDであるか)や、LED光源の個体差による波長の違い等を意識することなく、従来と同様に紫外線治療器を使用することができる。
【0072】
(変形例)
上記実施形態においては、紫外線治療器1の記録部43に放射照度Eを記録し、制御ユニット45は、補正後の設定照射量H’を放射照度Eで除算することで、LED光源からの光の照射時間t’を算出し、算出された照射時間t’、LED光源を点灯させる場合について説明した。しかしながら、光の照射量が補正後の設定照射量H’となるようにLED光源を点灯させることができればよく、制御ユニット45は、光の照射時間ではなく、光の放射照度(LED光源の電流値)を制御するようにしてもよい。
この場合、制御ユニット45は、補正後の設定照射量H’を予め設定された照射時間で除算することで光放射面からの放射照度を算出し、算出された放射照度で、上記の予め設定された照射時間、LED光源を点灯させる。つまり、この場合には、記録部43に放射照度Eを記録する必要はない。
【0073】
また、上記実施形態においては、紫外線治療器1の記録部43に補正係数pを記録し、制御ユニット45は、設定照射量Hに補正係数pを乗じて補正後の設定照射量H’を算出する場合について説明した。しかしながら、記録部43には、設定照射量Hを補正するためのパラメータが記録されていればよく、例えば、記録部43には、補正係数pの算出に必要な情報として、基準光の分光パラメータ(または分光放射照度)と、本治療器から放射される光の分光スペクトル(または分光放射照度)と、紅斑作用スペクトルSerとを記録してもよい。
この場合、制御ユニット45は、記録部43に記録された情報に基づいて補正係数pを算出し、設定照射量Hに算出された補正係数pを乗じて補正後の設定照射量H’を算出する。
【0074】
さらに、上記実施形態においては、波長308nmの光を治療光とする場合について説明したが、治療光の波長は疾患に応じて任意に設定することができる。
また、上記実施形態においては、基準光を放射する基準光源がエキシマランプである場合について説明したが、基準光は、蛍光灯などのランプが放射する光、LEDが放射する光、単一の線スペクトルなどの任意のスペクトル形状を有する光であってもよい。
【0075】
本発明の紫外線治療器においては、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、分光放射照度を積分して放射照度を算出したり、分光スペクトルと放射照度とに基づいて分光放射照度を算出したりしてもよい。
あるいは、分光放射照度や分光スペクトルを介さず、UVインデックスから紅斑紫外線量や補正係数を算出してもよい。
【0076】
1…紫外線治療器、2…治療具、4…本体部、41…入力部、42…表示部、43…記録部、44…電源ユニット、45…制御ユニット、46…LED駆動ユニット
【要約】
【課題】LEDを光源とした紫外線治療器であって、副作用を生じさせることなく、優れた治療効果を得ることができる紫外線治療器、およびその紫外線治療器における紫外線照射方法を提供する。
【解決手段】紫外線治療器は、紫外線を含む光を放射するLED光源からの光を放射する光放射面を有する光源部と、当該LED光源の点灯を制御する制御部と、基準光を治療光として用いた場合に患者に照射すべき当該治療光の照射量である設定照射量を入力する入力部と、設定照射量を補正するためのパラメータを記録する記録部と、を備える。制御部は、記録部に記録されたパラメータに基づいて設定照射量を補正する補正部と、光の照射量が補正後の設定照射量となるようにLED光源を点灯させる点灯制御部と、を備える。補正後の設定照射量は、基準光による人体への影響度と、光放射面から放射される光による人体への影響度とに基づいて導出される照射量である。
【選択図】
図6