(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】回路基板構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220621BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20220621BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K3/46 B
H05K3/40 E
(21)【出願番号】P 2021026584
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2021-02-22
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514209308
【氏名又は名称】佳勝科技股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】517096051
【氏名又は名称】育達電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】李 弘榮
(72)【発明者】
【氏名】方 上銘
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-286537(JP,A)
【文献】特開平6-37412(JP,A)
【文献】実開昭58-144868(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2001/0037561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P3/00―3/08
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板を提供する操作(i)と、
第1の高さを有する第1の線路及び第2の高さを有する第2の線路を含み、且つ前記第1の高さが前記第2の高さより大きい第1の線路構造を前記第1の基板に形成する操作(ii)と、
前記第1の線路構造を覆うように液晶ポリマー層を前記第1の基板に形成する操作(iii)と、
第2の基板を提供する操作(iv)と、
第4の高さを有する第4の線路を含む第2の線路構造を前記第2の基板に形成する操作(v)と、
前記第4の線路が前記液晶ポリマー層に埋め込まれ前記第2の線路に直接接触するように、前記第2の基板と前記第1の基板とを突き合わせる操作(vi)と、
を備える回路基板構造の製造方法。
【請求項2】
導電性層を前記第1の基板と前記第1の線路構造との間に形成する操作を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性層は、パターニングされた導電性層又は全面導電性層である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記操作(ii)は、
前記第1の基板を覆う第1のフォトレジストを形成することと、
前記第1の基板の一部を露出させるように、第1の開口及び第2の開口を形成することと、
第1の導電性材料によって前記第1の開口及び前記第2の開口を充填することと、
前記第1のフォトレジスト及び前記第1の導電性材料を覆う第2のフォトレジストを形成することと、
前記第1の開口を充填する前記第1の導電性材料を露出させるように、第3の開口を形成することと、
前記第1の開口における前記第1の導電性材料に直接接触する第2の導電性材料によって前記第3の開口を充填することと、
前記第1のフォトレジスト及び前記第2のフォトレジストを取り除いて、前記第1の線路及び前記第2の線路を形成することと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のフォトレジスト及び前記第2のフォトレジストは、それぞれドライフィルムフォトレジスト又は液状フォトレジストである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の線路構造は、前記第1の高さよりも小さく且つ前記第2の高さより大きい第3の高さを有する第3の線路を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記操作(ii)は、
前記第1の基板を覆う第1のフォトレジストを形成することと、
前記第1の基板の一部を露出させるように、第1の開口、第2の開口及び第3の開口を形成することと、
第1の導電性材料によって前記第1の開口、前記第2の開口及び前記第3の開口を充填することと、
前記第1のフォトレジスト及び前記第1の導電性材料を覆う第2のフォトレジストを形成することと、
それぞれ前記第1の開口を充填する前記第1の導電性材料及び前記第2の開口を充填する前記第1の導電性材料を露出させるように、第4の開口及び第5の開口を形成することと、
前記第1の開口及び前記第2の開口における前記第1の導電性材料に直接接触する第2の導電性材料によって前記第4の開口及び前記第5の開口を充填することと、
前記第2のフォトレジスト及び前記第2の導電性材料を覆う第3のフォトレジストを形成することと、
前記第4の開口を充填する前記第2の導電性材料を露出させるように、第6の開口を形成することと、
前記第4の開口における前記第2の導電性材料に直接接触する第3の導電性材料によって前記第6の開口を充填することと、
前記第1のフォトレジスト、前記第2のフォトレジスト及び前記第3のフォトレジストを取り除いて、前記第1の線路、前記第2の線路及び前記第3の線路を形成することと、
を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第4の高さと前記第2の高さとの合計は、実質的に前記液晶ポリマー層の厚さに等しい請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記操作(vi)は、液晶ポリマーガラス遷移温度と液晶ポリマー融点との間の温度で行われる請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、通信デバイスの回路基板にマイクロプロセッサやアンテナ等の電子部品が配置されている。電子部品の間は、データを送信するために、回路基板によって接続される。各電子部品の間で転送される必要のあるデータの量が異なるため、電子部品の間の回路の数も異なっている。つまり、回路基板における配線密度は均一に配分されていなく、例えば、マイクロプロセッサは、ほとんどのデータの転送や制御動作を処理するため、大量のデータを処理できるように、マイクロプロセッサの回路領域の配線密度を高くする必要がある。アンテナの配線領域の配線密度は、比較的低い。
【0003】
マイクロプロセッサ機能の増加及び回路基板の電子部品の多様化に伴い、より多くのデータを処理できるように、マイクロプロセッサ又は他の電子部品の間の回路数が増加し、配線密度が向上する。単にし、回路基板における回路領域の面積が一定であるため、回路密度が特定の制限を超えると、回路レイアウトを完成させるために、より多くの層数の回路基板を利用する必要がある。しかしながら、回路基板全体にわたって高い配線密度を必要とするわけではなく、全体で6層基板や8層基板のようなより多くの層数の回路基板に切り替えれば、製造コストが高くなり、且つその製造過程もより複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本開示の目的は、上記課題を解決できる回路基板構造の製造方法を提出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示の一態様は、まず、第1の基板を提供する操作(i)と、そして、第1の高さを有する第1の線路及び第2の高さを有する第2の線路を含み、且つ第1の高さが第2の高さより大きい第1の線路構造を第1の基板に形成する操作(ii)と、更に、第1の線路構造を覆うように液晶ポリマー層を第1の基板に形成する操作(iii)と、を備える回路基板構造の製造方法を提供する。
【0006】
本開示の一実施形態によれば、この方法は、導電性層を第1の基板と第1の線路構造との間に形成する操作を更に備える。
【0007】
本開示の一実施形態によれば、前記導電性層は、パターニングされた導電性層又は全面導電性層である。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、操作(ii)は、第1の基板を覆う第1のフォトレジストを形成することと、第1の基板の一部を露出させるように、第1の開口及び第2の開口を形成することと、第1の導電性材料によって第1の開口及び第2の開口を充填することと、第1のフォトレジスト、第1の開口及び第2の開口を覆う第2のフォトレジストを形成することと、第1の開口を充填する第1の導電性材料を露出させるように、第3の開口を形成することと、第1の開口における第1の導電性材料に直接接触する第2の導電性材料によって第3の開口を充填することと、第1のフォトレジスト及び第2のフォトレジストを取り除いて、第1の線路及び第2の線路を形成することと、を含む。
【0009】
本開示の一実施形態によれば、前記第1のフォトレジスト及び第2のフォトレジストは、それぞれドライフィルムフォトレジスト又は液状フォトレジストである。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、第1の線路構造は、第1の高さよりも小さく且つ第2の高さより大きい第3の高さを有する第3の線路を更に含む。
【0011】
本開示の一実施形態によれば、操作(ii)は、第1の基板を覆う第1のフォトレジストを形成することと、第1の基板の一部を露出させるように、第1の開口、第2の開口及び第3の開口を形成することと、第1の導電性材料によって第1の開口、第2の開口及び第3の開口を充填することと、第1のフォトレジスト、第1の開口、第2の開口及び第3の開口を覆う第2のフォトレジストを形成することと、それぞれ第1の開口を充填する第1の導電性材料及び第2の開口を充填する第1の導電性材料を露出させるように、第4の開口及び第5の開口を形成することと、第1の開口及び第2の開口における第1の導電性材料に直接接触する第2の導電性材料によって第4の開口及び第5の開口を充填することと、第2のフォトレジスト、第4の開口及び第5の開口を覆う第3のフォトレジストを形成することと、第4の開口を充填する第2の導電性材料を露出させるように、第6の開口を形成することと、第4の開口における第2の導電性材料に直接接触する第3の導電性材料によって第6の開口を充填することと、第1のフォトレジスト、第2のフォトレジスト及び第3のフォトレジストを取り除いて、第1の線路、第2の線路及び第3の線路を形成することと、を含む。
【0012】
本開示の一実施形態によれば、この方法は、第2の基板を提供する操作(iv)と、第4の高さを有する第4の線路を含む第2の線路構造を第2の基板に形成する操作(v)と、第4の線路が液晶ポリマー層に埋め込まれ第2の線路に直接接触するように、第2の基板と第1の基板とを突き合わせる操作(vi)と、を更に備える。
【0013】
本開示の一実施形態によれば、第4の高さと第2の高さとの合計は、実質的に液晶ポリマー層の厚さに等しい。
【0014】
本開示の一実施形態によれば、操作(vi)は、液晶ポリマーガラス遷移温度と液晶ポリマー融点との間の温度で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
下記の添付図面についての説明は、本開示の上記及び他の目的、特徴、メリット及び実施例をより分かりやすくするためのものである。
【
図1】本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法を示すフロー図である。
【
図2】本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図3】本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図4】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図5】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図6】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図7A】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図7B】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図8A】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図8B】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図9A】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図9B】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図10】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図11】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図12】本開示の複数の実施形態による製造線路構造における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図13】本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図14】本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図15】本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図16】本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法における各プロセス段階を示す断面模式図である。
【
図17】本開示の一比較例による従来の回路基板構造のある部分を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の記述をより詳細化し充実させるためには、以下、本開示の実施形態と具体的な実施例を説明的に記述するが、これは、本開示の具体的な実施例を実施又は適用する唯一の形式ではない。以下に開示された各実施例は、有益であれば、互いに組み合わせたり取り替えたりすることができ、一実施例に他の実施例を付加することもでき、更に記載又は説明する必要はない。
【0017】
下記の開示内容は、本開示の複数の実施例の異なる特徴を実施するために、複数の異なる実施例又は模範例を提供する。下記の内容は、説明を簡略化するために、各部材及びその配置形態の特定な模範例を記述する。もちろん、これらの特定な模範例は、制限的なものを意図するものではない。特定の具体的な実施例に対して、ある図面を参照して本開示の複数の実施例を説明するが、本開示の複数の実施例は、特定の具体的な実施例及び図面に限定されず、特許請求の範囲のみに限定される。描かれた図面は、例示的なものだけであり、制限するものではない。図面において、例示するために、ある素子の寸法が拡大され、縮尺どおりに描かれていない場合がある。寸法及び相対寸法は、本発明の実施のための実際の縮尺には必ずしも対応していない。
【0018】
注意すべきなのは、特許請求の範囲で使用される「含む」という用語は、その後に記載される手段に限定されると理解されるべきではなく、他の素子又は操作を除外しない。従って、記載された特徴、全体、操作又は構成要素の存在を具体的に説明するように理解されるが、1つ又は複数の他の特徴、全体、操作又は構成要素或いはそれらの群の存在又は追加を排除しない。従って、「装置A及びBを含む装置」の説明の範囲は、構成要素A及びBのみで構成される装置に限定されるべきではない。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態による回路基板構造の製造方法10を示すフロー図である。
図2~
図13は、本開示の一実施形態による回路基板構造Aの製造方法10における各プロセス段階を示す断面模式図である。理解すべきなのは、方法10の前、その中及びその後、別の操作を行ってよく、方法10の別の実施例にとって、操作の一部は置き換えられ、除外され、又は移動されることができる。方法10は、本開示の各実施例を制限する意図はなく、特許請求の範囲で明確に述べられない限り、単に1つの模範例の実施例だけである。回路基板構造Aの製造方法10は、少なくとも操作110、操作120及び操作130を含む。
【0020】
図2に示すように、操作110において、第1の基板210を提供する。ある実施例において、第1の基板210は、ポリイミド(Polyimide;PI)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene;PTFE)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymaer;LCP)及びそれらの組み合わせを含むソフトボードである。つまり、第1の基板210は可撓性を有する。
【0021】
図3に示すように、操作120において、第1の線路構造220を第1の基板210に形成する。具体的に、第1の線路構造220は、第1の高さH1を有する第1の線路222及び第2の高さH2を有する第2の線路224を含み、且つ第1の高さH1が第2の高さH2より大きい。複数の実施例において、第1の線路構造220は、銅、アルミニウム、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、金、スズ、鉛又はステンレス鋼、或いはそれらの金属材料の少なくとも2つで混合された合金を含んでよい。
【0022】
複数の実施例において、
図2に示すように、導電性層240を第1の基板210と第1の線路構造220との間に形成してよい。より詳しく言えば、導電性層240は、パターニングされた導電性層又は全面導電性層であってよい。例として、全面導電性層は、銅箔、アルミニウム箔、銀箔、スズ箔又は/及び金箔を含んでよい。例として、パターニングされた導電性層は、上記全面導電性層をエッチングすることで形成される。以下の操作及び実施例は、導電性層240を含んでもよく含まなくてもよく、単に図面に合わせて説明される。
【0023】
図4、
図5、
図6、
図7A、
図8A及び
図9Aは、本開示の一実施形態による製造線路構造220における各プロセス段階を示す断面模式図である。複数の実施例において、導電性材料を複数回堆積させることで、異なる高さの線路を有する第1の線路構造220を形成することができ、詳しい製造フローについては、以下のステップの通りである。ステップ(a):まず、
図4に示すように、第1の基板210を覆うフォトレジスト410を形成する。例として、フォトレジスト410は、ドライフィルムフォトレジスト又は液状フォトレジストであってよい。
【0024】
より詳しく言えば、ドライフィルムフォトレジストは、
【化1】
という繰り返し単位構造を有するポリエステルアクリル樹脂(polyester acrylates)と、
【化2】
という繰り返し単位構造を有するポリエーテルアクリル樹脂(polyether acrylates)と、
【化3】
という繰り返し単位構造を有するポリウレタンアクリル樹脂(polyurethane acrylates)と、又は
【化4】
という繰り返し単位構造を有するエポキシアクリル樹脂(epoxy acrylates)と、を含んでよい。
【0025】
より詳しく言えば、液状フォトレジストは、脂環式ポリマー(Alicyclic polymers)と、
【化5】
という繰り返し単位構造を有するポリメチルメタクリレート(Poly(methyl methacrylate;PMMA)と、
【化6】
という繰り返し単位構造を有するポリアクリル酸(Poly(acrylic acid))と、
【化7】
という繰り返し単位構造を有するポリノルボルネン(Polynorbornene)と、
【化8】
という繰り返し単位構造を有するポリ(ビニルナフタレン)(Poly(vinyl naphthalene))と、
【化9】
という繰り返し単位構造を有するポリノルボルネン-マレイン酸無水物(Poly(norbornene-alt-maleic anhydride))と、
【化10】
という繰り返し単位構造を有するポリテトラフルオロエチレン(Poly(tetrafluoroethylene)と、
【化11】
という繰り返し単位構造を有するポリ(メチルトリフルオロメチルメタクリレート)(Poly(methyl
trifluoromethylacrylate))と、
【化12】
という繰り返し単位構造を有するポリスチレン(Poly(styrene))と、或いは、
【化13】
、
【化14】
又は
【化15】
という繰り返し単位構造を有するポリ(フルオロスチレン)(Poly(fluorostyrene)又はPoly(hexafluoroisopropanolstyrene))と、を含んでよい。
【0026】
また、ある実施例において、液状フォトレジストは、ポリ(4-ヒドロキシスチレン)(Poly(4-hydroxystyrene))、ポリ(tert-ブチルアクリレート)(Poly(t-butyl acrylate))、ポリノルボルネンメチレンヘキサフルオロイソプロパノール(Poly(norbornene methylene hexafluoro isopropanol))、ポリ(ノルボルネンヘキサフルオロアルコール-co-ノルボルネンヘキサフルオロアルコールtert-ブトキシカルボニル)(Poly(norbornene hexafluoro alcohol-co-norbornene hexafluoro alcohol tbutoxycarbonyl))、ポリ(ノルボルネンヘキサフルオロアルコール-co-ノルボルネンヘキサフルオロアルコールアセタール)(Poly(norbornene hexafluoro alcohol-co-norbornene hexafluoro alcohol acetal))、ポリ(1,1,2,3,3-ペンタフルオロ,4-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシル1,6-ヘプタジエン)(Poly(1,1,2,3,3-pentafluoro,4-trifluoromethyl-4-hydroxy1,6-heptadiene);PFOP)、ポリ([2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチル-1-(4-ビニル-フェニル)エトキシ]酢酸tert-ブチルエステル))(Poly(tert-butyl[2,2,2-trifluoro-1-trifluoromethyl-1-(4-vinyl-phenyl)ethoxy]-acetate))、ポリ(1-(2,2,2-トリフルオロ-1-メトキシメトキシ-1-トリフルオロメチルエチル)-4-ビニルベンゼン)(Poly(1-(2,2,2-trifluoro-1-methoxymethoxy-1-trifluoromethylethyl)-4-vinyl benzene))、ポリ(1-[1-(tert-ブトキシメトキシ)-2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル]-4-ビニルベンゼン)(Poly(1-[1-(tert-butoxymethoxy)-2,2,2-trifluoro-1-trifluoromethylethyl]-4-vinylbenzene))、ポリ(1-[1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル]-4-ビニルベンゼン)(Poly(1-[1-(tert-butoxycarbonyl)-2,2,2-trifluoro-1-trifluoromethylethyl]-4-vinylbenzene))又はポリ(2-[4-(2-ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキサン]ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)(Poly(2-[4-(2-hydroxyhexafluoroisopropyl)cyclohexane]hexafluoroisopropyl acrylate))を更に含んでよい。
【0027】
ステップ(b):次に、
図5に示すように、フォトレジスト410をパターニングして、第1の基板210の一部を露出させるように、開口510及び開口520を形成する。例として、パターニングされたフォトレジスト410は、リソグラフィーエッチングプロセスによって達成されてよい。
【0028】
ステップ(c):
図6に示すように、導電性材料610によって開口510及び開口520を充填する。例として、電気めっき、無電解めっき、物理的蒸気堆積、化学的蒸気堆積、原子層堆積等の好適なプロセスによってステップ(c)を完成してよい。また、例として、導電性材料610は、銅、アルミニウム、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、亜鉛、マンガン、コバルト、金、スズ、鉛又はステンレス鋼、或いはそれらの金属材料の少なくとも2つで混合された合金を含んでよい。
【0029】
ステップ(d):
図7Aに示すように、フォトレジスト410及び導電性材料610を覆うフォトレジスト710aを形成する。複数の実施例において、フォトレジスト710aの材料は、フォトレジスト410の材料と同じ又は類似であってよい。
【0030】
ステップ(e):
図8Aに示すように、開口510を充填する導電性材料610を露出させるように、開口810aを形成する。複数の実施例において、開口810aは、ほぼ開口510に整列される。複数の実施例において、開口810aの寸法は、実際に開口510の寸法と同じである。
【0031】
ステップ(f):
図9Aに示すように、開口510における導電性材料610に直接接触する導電性材料910aによって開口810aを充填する。複数の実施例において、導電性材料910aは、導電性材料610と同じ又は類似であってよい。
【0032】
ステップ(g):フォトレジスト410及びフォトレジスト710aを取り除いて、
図3に示す第1の線路222及び第2の線路224を形成する。複数の実施例において、好適なフォトレジストストリッパーによってフォトレジスト410及びフォトレジスト710aを取り除いてよい。
【0033】
説明すべきなのは、上記線路構造220の製造方法によって細い線幅を有する回路基板構造を生産することができる。例として、線幅は、15ミクロン~50ミクロンにあってよく、例えば、20ミクロン、25ミクロン、30ミクロン、35ミクロン又は45ミクロンのである。また、上記の方法は、線路に加え、ビアホールを形成することに用いられ、更に凹みの問題を避けることができるが、詳しい内容については以下の通りに説明する。
【0034】
また
図3に戻して、ある実施例において、第1の線路構造220は、第1の高さH1よりも小さく且つ第2の高さH2より大きい第3の高さH3を有する第3の線路226を更に含んでよい。
図4、
図5、
図6、
図7B、
図8B、
図9B、
図10、
図11及び
図12は、本開示の一実施形態による製造線路構造220における各プロセス段階を示す断面模式図である。複数の実施例において、同様に、上記のような複数回堆積された導電性材料によって第1の高さH1と第2の高さH2の間にある第3の高さH3を有する第3の線路226を形成することができる。この実施例において、製造フローについては、以下のように簡略的に説明する。まず、
図4に示すように、第1の基板210を覆うフォトレジスト410を形成する。次に、
図5に示すように、第1の基板210の一部を露出させるように、開口510、520及び530を形成する。導電性材料610によって開口510、520及び530を充填する。
図7Bに示すように、フォトレジスト410及び導電性材料610を覆うフォトレジスト710bを形成する。
図8Bに示すように、それぞれ開口510及び530を充填する導電性材料610を露出させるように、開口810b及び830bを形成する。
図9Bに示すように、開口510及び530における導電性材料610に直接接触する導電性材料910bによって開口810b及び830bを充填する。
図10に示すように、フォトレジスト710b及び導電性材料910bを覆うフォトレジスト1010を形成する。
図11に示すように、開口810bを充填する導電性材料910bを露出させるように、開口1110を形成する。
図12に示すように、開口810bにおける導電性材料910bに直接接触する導電性材料1210によって開口1110を充填する。最後、フォトレジスト410、710b及び1010を取り除いて、
図3に示す第1の線路222、第2の線路224及び第3の線路226を形成する。
【0035】
複数の実施例において、フォトレジスト710b及び1010の材料は、フォトレジスト410の材料と同じ又は類似であってよい。複数の実施例において、導電性材料910b及び1210は、導電性材料610と同じ又は類似であってよい。
【0036】
理解できるのは、
図3には異なる高さを有する3つの線路のみが示されるが、当業者であれば、要求に応じて異なる高さ又は同じ高さを有する4つ、5つ、6つ又は幾つかの線路を設計してもよい。また、上記のような線路の製造方法を参照して線路数がより多くの線路構造を形成してよい。
【0037】
下記のサーモトロピック液晶ポリマーの融点とは、サーモトロピック液晶ポリマーが固体状態から流動性のある液晶状態に変化する場合の温度である。
【0038】
操作130において、第1の線路構造220を覆うように液晶ポリマー層230を第1の基板210に形成して、
図13に示す回路基板構造Aを形成する。複数の実施例において、液晶ポリマー層230は、サーモトロピック液晶ポリマー、リオトロピック液晶ポリマー或いは同時にサーモトロピック及びリオトロピック特性を有する液晶ポリマーを含んでよい。更に具体的に、同時にサーモトロピック及びリオトロピック特性を有する液晶ポリマーは、サーモトロピック液晶ポリマーのような融点(melting point)及びリオトロピック液晶ポリマーのようなある特定の溶媒に溶解する可溶性を備える。例として、サーモトロピック液晶ポリマーはサプライヤーKurarayにより購入されてよく、リオトロピック液晶ポリマーはサプライヤーAzotekにより購入されてよく、また、同時にサーモトロピック及びリオトロピック特性を有する液晶ポリマーはサプライヤーAzotekにより購入されてよい。
【0039】
一実施例において、サーモトロピック液晶ポリマーを選択すると、例えば、フィルムブローイング(film blowing)又はキャスティング(casting)等の成膜形態によって液晶ポリマー層230を形成してよい。一実施例において、リオトロピック液晶ポリマーを選択すると、例えば、コーティング(coating)等の成膜形態によって液晶ポリマー層230を形成してよい。一実施例において、同時にサーモトロピック及びリオトロピック特性を有する液晶ポリマーを選択すると、例えば、キャスティング又はコーティング等の成膜形態によって液晶ポリマー層230を形成してよい。注意すべきなのは、リオトロピック液晶ポリマーによって形成された液晶ポリマー層230は、接着性を有しないため、十分な接着力を提供するにはボンディングシート(bonding sheet)を別途配置する必要がある。
【0040】
理解できるのは、液晶ポリマーは、低誘電率(Dk=2.9)及び低誘電損失(Df=0.001~0.002)の特質を有するため、例えばアンテナのような高周波信号の伝送に非常に適する。液晶ポリマーは、高周波信号の伝送の優れた電気的特性に加えて、低吸湿性を有する(吸湿率が約0.01~0.02%であり、一般的なPI基材の1/10しかない)ので、良好な信頼性を有する。従って、本開示は、回路基板構造の誘電材料として液晶ポリマーを使用することが好ましい。
【0041】
図14~
図15は、本開示の別の実施形態の回路基板構造Bの製造方法10における各プロセス段階を示す断面模式図である。同時に
図1及び
図14を参照すると、操作140において、第2の基板1410を提供する。ある実施例において、第2の基板1410は、ポリイミド(Polyimide;PI)、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene;PTFE)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymaer;LCP)及びそれらの組み合わせを含むソフトボードである。つまり、第2の基板1410は、可撓性を有する。
【0042】
図1及び
図15を同時に参照すると、操作150において、第2の線路構造1510を第2の基板1410に形成する。具体的に、第2の線路構造1510は、第4の高さH4を有する第4の線路1512を含む。ある実施例において、第2の線路構造1510は、第5の高さH5を有する第5の線路1514を更に含む。複数の実施例において、第2の線路構造1510は、銅、アルミニウム、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、金、スズ、鉛又はステンレス鋼、或いはそれらの金属材料の少なくとも2つで混合された合金を含んでよい。複数の実施例において、第2の線路構造1510の形成方法は、第1の線路構造220の形成方法と同じでも類似してもよいが、ここで説明しない。
【0043】
図1及び
図16を同時に参照すると、操作160において、第4の線路1512が液晶ポリマー層230に埋め込まれ第2の線路224に直接接触するように、第2の基板1410と第1の基板210とを突き合わせて、回路基板構造Bを形成する。複数の実施例において、第4の高さH4と第2の高さH2の合計は、実質的に液晶ポリマー層230の厚さTKに等しい。複数の実施例において、操作160は、液晶ポリマーガラス遷移温度と液晶ポリマー融点との間の温度で行われる。
【0044】
第2の線路構造1510が第5の線路1514を含む実施例において、第2の基板1410と第1の基板210とを突き合わせた後、第5の線路1514が液晶ポリマー層230に埋め込まれ第3の線路226に直接接触する。この実施例において、第5の高さH5と第3の高さH3との合計は、実質的に液晶ポリマー層230の厚さTKに等しい。
【0045】
図17は、本開示の一比較例による従来の回路基板構造のある部分を示す断面模式図である。一般的に、従来の回路基板は、上位層と下位層との間の回路接続を確立するために、ほとんどビルドアッププロセス(built-up process)を使用する。しかしながら、従来の回路基板に使用される誘電層は、一般的にプリプレグ(prepreg)であり、且つその厚さが75~300ミクロンであり、ひいては500ミクロンを超えてもよい。
図17に示すように、ワイヤー1720及び1750は、それぞれプリプレグ1710の対向する2つの表面に設けられ、且つビアホール1740がプリプレグ1710を貫通してワイヤー1720及び1750に電気的に接続される。プリプレグの厚さが厚いため、電気めっき(plating)プロセスによって形成されたビアホール1740には、ひどいディンプル(dimple)1730が発生する。このような状況は、その後の高温製造プロセスでアウトガス(out-gassing)の現象を引き起こし、更に回路基板全体の信頼性に影響を与える可能性がある。
【0046】
以上をまとめると、従来の多層回路基板に比べると、本開示の回路基板構造の製造方法は、回路基板構造に必要な層の数を大幅に減らし、すなわち、回路基板構造の全体の厚さを減らすことができ、薄型化の効果を有するだけではなく、製造プロセスを簡素化し、製造コストを削減することもできる。なお、本開示の回路基板構造の製造方法によれば、金属材料がビアホールに充填された後の凹みの問題を回避して、その後のリフロー(reflow)試験中のアウトガス(out-gassing)のリスクを回避することもできる。また、本開示の回路基板構造の製造方法によれば、更に、回路の寸法を大幅に縮小し、更に配線密度を最大化することができる。
【0047】
本発明は、実施形態で前述の通りに開示されたが、それらに限定されなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えてもよく、従って、本発明の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0048】
10:方法
110、120、130、140、150、160:操作
210:第1の基板
220:第1の線路構造
222:第1の線路
224:第2の線路
226:第3の線路
230:液晶ポリマー層
240:導電性層
410:フォトレジスト
510、520、530、810a、810b、830b、1110:開口
610、910a、910b、1210:導電性材料
710a、710b:フォトレジスト
1010:フォトレジスト
1410:第2の基板
1510:第2の線路構造
1512:第4の線路
1514:第5の線路
1710:プリプレグ
1720、1750:ワイヤー
1730:凹み
1740:ビアホール
A、B:回路基板構造
H1:第1の高さ
H2:第2の高さ
H3:第3の高さ
H4:第4の高さ
H5:第5の高さ
TK:厚さ