(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】LED駆動方法及び該LED駆動方法を用いた照明機器
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20220621BHJP
H05B 45/31 20200101ALI20220621BHJP
H05B 45/48 20200101ALI20220621BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20220621BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20220621BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20220621BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/31
H05B45/48
H05B47/105
H05B47/155
H05B47/16
(21)【出願番号】P 2017134824
(22)【出願日】2017-07-10
【審査請求日】2020-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503455802
【氏名又は名称】椋田 洋治
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【氏名又は名称】中村 佳正
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】椋田 洋治
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-529124(JP,A)
【文献】特開2015-106566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全波整流された脈流により駆動される、給電端を一端とする直列接続されたLED列に於いて、給電端を起点とするLED列の異なる複数個所を各々異なるLED駆動部と接続し、脈流の瞬時値に応じて必要なLED駆動部を動作させて給電端から前記LED駆動部接続箇所までのLEDを点灯制御するとともに、前記LED列の給電端から見て最遠端のLED端子を駆動部に接続し、前記LED列の予め設定された単数あるいは複数個所でLED端子間を導通または短絡して脈流の瞬時値に応じて点灯LED数を制御するものであって、
前記点灯LED数の制御は、
(1)
交流入力一周期における定められた時間毎において予め設定された
点灯LED数に達するか、あるいは、
交流入力一周期における定められた時間毎において予め設定された
脈流の電圧値に達するかのいずれかの状態を監視し、
(2)前記点灯LED数が前記予め設定された数に達するか、あるいは、前記脈流の電圧値が前記予め設定された値に達すると、
(2-1)
LED列中の予め設定された単数または複数個所に応じて予め設定された数のLEDの端子間に接続されたスイッチを閉じることによって前記端子間のLEDを消灯させ、
(2-2)上記(2-1)と同時に前記LED列の給電端から最遠端部に接続されたLED駆動部を動作させて前記LED列を点灯させ
ることにより、
(2-3)上記(2-1)及び上記(2-2)の動作の前後で
、前記LED列中
、新たに点灯するLEDと、新たに消灯するLEDまたは消灯を維持するLEDとが発生し、前記LED中の各LE
Dが、前記交流入力一周期における定められた時間区間の少なくともいずれかの区間において点灯するように制御される
ことを特徴とするLED駆動方法。
【請求項2】
前記LED駆動方法は、
前記LED列に設けられた複数の引き出し端と、前記複数の引き出し端に接続された複数の定電流駆動部と、
前記の定電流駆動部の動作に同期して動作し、且つ必要な部分に設置されたスイッチ機能と、
前記スイッチ機能で動作する、給電端と異なるLED端とを導通させる導通切替部と、
前記複数の定電流駆動部を制御する制御部と
をさらに含み、
前記制御部は、前記脈流の瞬時電圧値に応じた長さのLED列に電流を流す様に前記定電流駆動部と共に前記スイッチ及び/又は前記導通切替部を制御することにより前記LED列に流れる電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の駆動方法。
【請求項3】
前記LED駆動方法は、
前記LED列に設けられた複数の引き出し端と、前記複数の引き出し端に接続された複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタの各々に接続された複数のスイッチとを含む定電流駆動部と、
導通切替部及び前記スイッチを制御する駆動制御部と
をさらに含み、
前記駆動制御部により、前記脈流の前記瞬時電圧値に応じて前記複数のスイッチを制御し前記複数のトランジスタの各々に流れる電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の駆動方法。
【請求項4】
前記駆動制御部は、
前記脈流の直近複数個の波形情報を蓄積し、
前記蓄積した前記波形情報を基に、前記脈流の前記瞬時電圧値から前記脈流の尖頭値を含む波形を予測するものであり、
前記脈流の前記瞬時電圧値は前記予測した尖頭値を含む波形である請求項3に記載の駆動方法。
【請求項5】
前記駆動制御部は、入力電圧測定用ADCと、スイッチ制御部と、電流値設定用DACと、前記入力電圧測定用ADC、前記スイッチ制御部、及び前記電流値設定用DACを制御する制御MPUとを含み、
前記スイッチ制御部は、前記複数のトランジスタの各々に接続された複数のスイッチと、前記導通切替部とを制御するものであり、
前記複数のトランジスタの各々に接続された複数のスイッチの端部は前記電流値設定用DACに接続され、
前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1のトランジスタのソースは前記入力電圧測定用ADCへ帰還接続される請求項3又は4に記載の駆動方法。
【請求項6】
前記駆動制御部は、入力電圧測定用ADCと、スイッチ制御部と、電流値設定用DACと、前記入力電圧測定用ADC、前記スイッチ制御部、及び前記電流値設定用DACを制御する制御MPUとを含み、
前記スイッチ制御部は、少なくとも前記導通切替部を制御するものであり、
前記定電流駆動部に対する定電圧制御を行う定電圧制御部を更に備え、
前記定電圧制御部は、
入力端(+側)が前記電流値設定DACへ接続され、
入力端(-側)の一方が抵抗を経て接地され他端が抵抗を経て前記複数のトランジスタのうちの1つのソースに接続され、
出力端の一方が抵抗を経て接地され他端が前記複数のスイッチに接続された
オペアンプを備える
請求項3又は4に記載の駆動方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載された駆動方法を備えた照明機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流入力を用いてLED列を駆動するためのLED駆動技術に関し、より詳細には、交流入力を用いてLED列を駆動するためのLED駆動方法及び該駆動方法を備えた照明機器ないし照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)を使用したLED照明器具は、蛍光灯や白熱電球といった従来の照明器具に比べ、長寿命かつ低消費電力であるという特徴を有しており、環境への配慮に優れた次世代の照明機器として期待されている。他方、短期的な課題として電波として放射される雑音(以下、「雑音」という。)や交流入力に流れる高調波(以下、「高調波」という。)の低減に関する問題・電源の寿命・コスト等の諸問題が指摘されている。これらの問題は、現在多くのLED照明機器が交流を直流に一旦変換し、内部的には直流にて駆動させるため、電源回路を含む複雑なLED周辺回路が必要となることがその一因と考えられている。
【0003】
交流入力を用いてLED列を駆動するためのLED駆動方法として、直列接続された複数のLEDを有するLED列を駆動するLED駆動回路が開示されている(特許文献1)。より具体的には、特許文献1に開示されたLED駆動回路は、交流入力を整流する整流器と、オペアンプと該オペアンプの出力段に分圧抵抗を介して接続された複数の駆動用トランジスタとを有する定電流駆動回路と、前記複数の駆動用トランジスタのエミッタ間にそれぞれ挿入された電流検出器としての抵抗とを備え、前記整流器の出力側の一端を前記LED列の入力側に接続し、前記複数のトランジスタの出力側の一端をそれぞれ、前記LED列における異なるLED段数の接続ポイントに接続することにより、前記交流入力の電圧に応じて前記複数のトランジスタが選択的に前記LED列を駆動されると共に、前記選択的に駆動される前記LED列を流れる電流も前記交流入力の電圧に応じて変動するように作動し、交流入力電圧が低い時には段数の少ない数でLED列のLEDを点灯する事で交流入力の電圧が低い時から高い時までLED列の点灯維持を可能とする。
【0004】
図6を用いて従来のLED駆動方法1についてさらに説明する。
図6に示すように、LED駆動回路1において、交流入力(交流電源)からブリッジダイオード等の全波整流器FR1で全波整流された脈流VoがLED列D1~D9に入力される。
図6に示されるとおり、LED列は、例示的に9個のLED(D1~D9)から構成されている。LED駆動回路1のMOSFETであるQ1~Q3は、スイッチを兼ねた定電流源として動作し、LED列に流れる電流波形を正弦波に近似する事で交流の入力に流れる高調波を抑止するという作用効果も奏する。
【0005】
まず、Q1のゲートには、電流I1が流れる時のQ1のゲート・ソース間電圧VGS値にその時のQ1のソース電圧(Rs1+Rs2+Rs3)×I1を加えた電圧、即ちVGS1+(Rs1+Rs2+Rs3)×I1以上の電圧を印加し、Q1が導通できる状態とし、電流I2及びI3が流れるQ2、Q3各々のVGSの値にその時のQ2、Q3の各ソース電圧を各々加算した電圧値より大きな値を印加してQ1、Q2を導通できる状態にしておく。脈流Voが0Vから徐々に上昇し、電流I1が第1~第4段目のLED(D1~D4)を経てQ1に流れる事が可能となる電圧以降は、第1段目~第4段目のLED(D1~D4)が点灯するが、第5段目以降のLED(D5~D9)とQ2、Q3には電流が流れず、Q2、Q3には引き続き電流は流れないままの状態となる。この時、オペアンプOP1の出力電圧Vopは、Vop={VGS1+I1×(Rs1+Rs2+Rs3)}×(R1+R2+R3)/R3となり、電流値を定める基準電圧Vrefとの関係式は、Vref×(Rf1+Rf2)/Rf1=I1×(Rs1+Rs2+Rs3)=一定となる。
【0006】
脈流Voが上昇して、電流I2が第1段目~第7段目のLED(D1~D7)を経てQ2に流れることが可能となる電圧以降は、LED列のD1~D7が点灯するが、第8段及び第9段のLED(D8、D9)とQ3には引き続き電流が流れないままの状態となる。この時、オペアンプOP1の出力電圧VopはVop={VGS2+I2×(Rs2+Rs3)}×(R1+R2+R3)/(R2+R3)となる。また、基準電圧Vrefとの関係式は、Vref×(Rf1+Rf2)/Rf1=I2×(Rs2+Rs3)となる。このときMOSFTE(Q1)が電流I1を流す時と流さない時のVGSの差δVGSよりもI1×Rs1+(R2の電圧降下)が大きくなる様に抵抗R2及びR3の値を定め、Q2動作時にQ1に電流が流れないようにしておく。
【0007】
さらに電圧Voが上昇して、電流I3が第1段目~第9段目のLED(D1~D9)を経てQ3に流れる事が可能となる電圧以降は全LEDが点灯する。この時、オペアンプOP1の出力電圧Vopは、Vop=(VGS3+I3×Rs3)となる。また、基準電圧Vrefとの関係式は、Vref×(Rf1+Rf2)/Rf1=I3×Rs3となる。ここで、MOSFTE(Q2)が電流I2を流す時と流さない時のVGSの差δVGSよりも、I2×Rs2+(R1の電圧降下)が大きくなる様に抵抗R1の値を定め、Q3動作時にQ2に電流が流れないようにしておく。Q2が不動作状態のとき、R2の電圧降下も加わる為、Q1も不動作となっている。以上の説明により、基準電圧Vrefを制御する事でLEDに流す電流値を制御し、よってLEDの輝度を制御することが可能なことも理解できるであろう。
なお、電圧が減少するときは上記の逆の動作となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のLED駆動方法は、交流入力が変動し、LED列に印加される電圧が標準電圧値から低下(例えば-10%)した場合であっても、そのような電圧の低下を見越して全てのLEDが点灯できるように、LED列のLEDの個数を設定している。この構成の場合、LED搭載個数は、交流入力が変動せず標準電圧状態にあれば問題無く点灯することができる個数より少なく、標準電圧状態では、いつも減らした数のLED分の電圧域が使用されず、本駆動方法におけるエネルギー損失の主要因となっている。
【0010】
より具体的には、従前の交流駆動方式においては、電圧の高低に応じて点灯させるLED列の長さ(LEDの個数)を変えるという考え方で設計されており、かかる設計の一番の問題点は、電圧が一番高いときに点灯させるLED列を一番長くするよう制御されていることである。この場合、電圧が最長のLED列を点灯できない値まで低くなると1列に配置されたLED列のうち交流電圧の1波形区間(各脈流周期内)において全消灯のままというLEDが表れてしまう(つまり、かかる現象は消費者からはLEDの不良と解されかねない)。一方で、かかる現象を防止すべく電圧の変動分を見繕って電圧低下時にも全LEDを点灯させるように制御すると、電源変動分に起因する損失が常時生じることになる。
【0011】
これを別の視点から見ると、従来の交流駆動法は入力電圧の許容変動範囲が狭いと言う大きな問題があるとも言える。一方世界に目を転じると、国内でいわゆるAC100Vと称される電圧でも、世界では100Vのみならず、110V、115V、120V等、多種多様の値が存在しており、AC200Vでも同じ状況にある。従来の交流駆動法によってこれらに対処しようとすると、各電圧に応じて製品を都度開発する必要が有り開発コストや製品在庫管理上でも大きな問題ともなっていた。
【0012】
上記課題に鑑み、本発明は、LED列に印加される交流入力の電圧域を効率よく(有効に)利用するよう電圧値に応じてLED列を点滅するタイミングとその位置を制御し、電源変動に起因する損失の低減(あるいは、電源使用率の向上)を実現するLED駆動方法及び該LED駆動方法を備えた照明機器を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、LED列に印加される電圧が標準電圧値から一定値低下した場合のみならず、交流の入力電圧範囲を広くして低い電圧から高い電圧まで動作可能とするLED駆動方法及び該LED駆動方法を備えた照明機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態は、全波整流された脈流により駆動される、給電端を一端とする直列接続されたLED列に於いて、給電端を起点とするLED列の異なる複数個所を各々異なるLED駆動部と接続し、脈流の瞬時値に応じて必要なLED駆動部を動作させて給電端から前記LED駆動部接続箇所までのLEDを点灯制御するとともに、前記LED列の給電端から見て最遠端のLED端子を駆動部に接続し、前記LED列の予め設定された単数あるいは複数個所でLED端子間を導通または短絡して脈流の瞬時値に応じて点灯LED数を制御することを特徴とするLED駆動方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態にかかるLED駆動方法及び該LED駆動方法を備えた照明装置によれば、交流駆動によるLED列の点灯制御において、LED列に印加される交流入力の電圧域を効率よく(有効に)利用するよう電圧値に応じてLED列を点滅するタイミングとその位置を制御し、交流電圧の1波形区間(各脈流周期内)において全消灯してしまうLEDの発生を防止するとともに、電源変動に起因する損失の低減、あるいは、電源使用率の向上を実現するという効果を奏する。
さらに、本発明の一実施形態にかかるLED駆動方法及び該LED駆動方法を備えた照明装置によれば、LED列に印加される電圧が標準電圧値から一定値低下した場合のみならず、交流の入力電圧範囲を拡大せしめて低い電圧から高い電圧まで動作可能とするLED駆動方法及び該LED駆動方法を備えた照明機器を提供することができ、これによって僅少の製品群で多種多様な電圧に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明の一実施形態にかかるLED駆動方法とその構成例を説明する説明図である。
【
図1B】本発明の他の実施形態にかかるLED駆動方法とその構成例を説明する説明図である。
【
図2】本発明の他の実施形態にかかるLED駆動方法とその構成例を説明する説明図である。
【
図3】本発明のさらに他の実施形態にかかるLED駆動方法とその構成例を説明する説明図である。
【
図4】本発明の動作原理を例示的に説明する説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかるLED駆動方法における全波整流器のバリエーションを説明する説明図。
【
図6】従来のLED駆動方法と構成例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態は、全波整流された脈流により駆動される給電端を一端とする直列接続されたLED列に於いて、給電端を起点とするLED列の異なる複数個所を各々異なるLED駆動部と接続、脈流の瞬時値に応じて給電端から前記LED駆動部接続箇所までのLEDを点灯制御すると共に、前記LED列の給電端から見て最遠端のLED端子をLED駆動部に接続すると共に、単数または複数個所でLED列のLED端子間を導通して脈流の瞬時値に応じて点灯LED数を制御するLED駆動方法で、点灯するLEDの位置を選定する事で一脈流サイクル中に全てのLEを点灯する事が可能であるが、ここでは、駆動部やLED列との接続を少なくし、且つ制御の説明を分かり易くする為、脈流の瞬時値がVLなる値に至るまでは給電端から点灯するLED数を順次増加し、脈流の瞬時値がVL以上VH以下の場合は給電端から最遠のLED端子に駆動部を接続して給電端とLED端子間を導通させ、VH以上の場合は全LEDを点灯させる動作モデルを例とし、説明を分かり易くする為、標準脈流尖頭値の90%をVL、同じく110%をVHとし、LED列は一列で、LEDの数は標準の脈流尖頭値で点灯する時に10個として説明する。
【0018】
次に、本発明にかかるLED駆動方法等を実施するための各実施形態について、図面を参照しながら詳述する。
【0019】
本発明の第1実施形態はLED駆動方法のデジタル制御法に関し、第2実施形態はLED駆動電流のアナログ制御法に関し、第3実施形態はLED駆動電流のデジタル・アナログ混在制御法に関するものとして説明する。なお、回路系の安定性向上のために、例えば、DAコンバータ→定電流駆動回路→ADコンバータ→誤差算出という一連の負帰還制御動作に対し系の安定性を確保する為の付加手段等が適宜必要とされる場合もあるが、これらは本発明の本質部分ではなく、また、本発明の理解を容易にするために、説明を省略する。
【0020】
あるいは、アナログ回路系の安定性のために、適宜コンデンサ(C)や抵抗(R)を挿入するなどして応答調整が行われる場合もあるが、これらも本発明の本質部分ではなく、また、本発明の理解を容易にするために、説明を省略する。
【0021】
(本発明の基本概念)
上述のように、本発明の実施形態としては、デジタル制御方法によるもの(第1実施形態)、アナログ制御方法によるもの(第2実施形態)、デジタル・アナログ混合制御方法によるもの(第3実施形態)といった様々な実施形態が想定されるが、本発明の基本概念は、上述の課題として挙げた「各脈流周期内で全消灯のままとなるLEDの発生」を防止するために、電圧値によってLED列中の点灯数を柔軟に変更制御し、かつ、点灯させる位置(LED)を柔軟に制御するという点にある。そのために、電圧の尖頭値を含む基準点から所定の経過時間後の波高値(以下、これを尖頭値等という)を適切に予測することは重要な処理となりうる。
【0022】
また、第2実施形態では、電圧波形の尖頭値等の予測を行う替わりに、回路中の各スイッチのオン/オフが電圧の高低に依存して制御されるように構成されており、これによって、第1実施形態及び第3実施形態と同様のLED点灯制御が行われる。いずれにせよ、電圧の高低に応じてLED列中の点灯数と点灯位置(つまり点灯させるべきLED)が柔軟に制御される点に変わりはない。
【0023】
このようなLEDの駆動制御が行われると、LEDの点灯段数は減っても消灯状態が継続してしまう箇所(LED位置)の発生を防止することができ、瞬間的に一部消灯していることを人は知覚出来ないという効果を奏する。
【0024】
図4を参照して、本発明の動作原理を例示的に説明する。
図4には、LED駆動方法(詳細には、
図1A~
図3に示された駆動方法)における脈流Voの高低と、それぞれの脈流Voの場合に応じて点灯/消灯制御されるLED列中のLEDとの関係について説明したものである。
図4(A1)に示されている波形は、脈流Voの尖頭値が標準値より10%高いAC110Vの場合の全波整流波形(脈流1サイクル)であり、(A2)には(A1)に示された波形の各電圧ステップに応じてLED列中のLEDがどのように点灯/消灯制御されるのかを時系列に例示している。また、
図4(B1)に示されている波形は、脈流Voの尖頭値が標準値のAC100Vの場合の全波整流波形(脈流1サイクル)であり、(B2)には(B1)に示された波形の各電圧ステップに応じてLED列中のLEDがどのように点灯/消灯制御されるのかを時系列に例示している。また、
図4(C1)に示されている波形は、脈流Voの尖頭値が標準値より10%低いAC90Vの場合の全波整流波形(脈流1サイクル)であり、(C2)には(C1)に示された波形の各電圧ステップに応じてLED列中のLEDがどのように点灯/消灯制御されるのかを時系列に例示している。
【0025】
図4(A1)に示された電圧値が高い場合の全波整流波形におけるLED駆動方法のLEDの点灯/消灯制御を示す。(A2)においては、制御の基準点(脈流Voの電圧値が最小となる点)から脈流Voが時刻t10から立ち上がっていくとともに、LED駆動方法による駆動制御部は、時刻t11~t12の区間では第1段目~第4段目のLED(D1~D4)を点灯させ、時刻t12~t13の区間では第1段目~第7段目のLED(D1~D7)を点灯させ、時刻t13~t14の区間では第1段目~第2段目のLED(D1~D2)を消灯させるとともに、第8段目~第11段目のLED(D8~D11)をさらに点灯させる(つまり、同区間では、D3~D11が点灯している状態である)。次に、時刻t14~t15の区間では第2段目のLED(D2)をさらに点灯させ(つまり、同区間では、D2~D11が点灯している状態である)、時刻t15~t16の区間(脈流Voの尖頭値が含まれる区間)では、再び第1段目のLED(D1)を点灯させることにより、第1段目~第11段目のLED(D1~D11)を全点灯させる。以後、脈流Voの電圧が立ち下がっていくとともに、点灯させるLEDについては、時刻t16~t17の区間においてD2~D11を点灯させ、時刻t17~t18の区間においてD3~D11を点灯させ、時刻t18~t19の区間においてD1~D7を点灯させ、時刻t19~t1aの区間においてD1~D4を点灯させるように、順次制御される。
【0026】
また、
図4(B1)に示された電圧値が平均の場合の全波整流波形におけるLED駆動方法のLEDの点灯/消灯制御を示す(B2)においては、制御の基準点(脈流Voの電圧値が最小となる点)から脈流Voが時刻t20から立ち上がっていくとともに、LED駆動方法による駆動制御部は、時刻t21~t22の区間では第1段目~第4段目のLED(D1~D4)を点灯させ、時刻t22~t23の区間では第1段目~第7段目のLED(D1~D7)を点灯させ、時刻t23~t24の区間では第1段目~第2段目のLED(D1~D2)を消灯させるとともに、第8段目~第11段目のLED(D8~D11)をさらに点灯させる(つまり、同区間では、D3~D11が点灯している状態である)。次に、時刻t24~t25の区間(脈流Voの尖頭値が含まれる区間)では第2段目のLED(D2)をさらに点灯させる(つまり、同区間では、D2~D11が点灯している状態である)。以後、脈流Voの電圧が立ち下がっていくとともに、点灯させるLEDについては、時刻t25~t26の区間においてD3~D11を点灯させ、時刻t26~t27の区間においてD1~D7を点灯させ、時刻t27~t28の区間においてD1~D4を点灯させるように、順次制御される。
【0027】
また、また、
図4(C1)に示された電圧値が低い場合の全波整流波形におけるLED駆動方法のLEDの点灯/消灯制御を示す(C2)においては、制御の基準点(脈流Voの電圧値が最小となる点)から脈流Voが時刻t50から立ち上がっていくとともに、LED駆動方法による駆動制御部は、時刻t51~t52の区間では第1段目~第4段目のLED(D1~D4)を点灯させ、時刻t52~t53の区間では第1段目~第7段目のLED(D1~D7)を点灯させる。次に、時刻t53~t54の区間(脈流Voの尖頭値が含まれる区間)では第1段目~第2段目のLED(D1~D2)を消灯させるとともに、第8段目~第11段目のLED(D8~D11)をさらに点灯させる(つまり、同区間では、D3~D11が点灯している状態である)。以後、脈流Voの電圧が立ち下がっていくとともに、点灯させるLEDについては、時刻t54~t55の区間においてD1~D7を点灯させ、時刻t55~t56の区間においてD1~D4を点灯させるように、順次制御される。
【0028】
なお、駆動制御部は、現在の脈流Voの値(瞬時電圧値)及び蓄積した波形情報(例えば直近4~8個の波形情報の平均値)を基に、直後の脈流Voの尖頭値等を予測させることができる。このとき、尖頭値等の予測は任意のタイミングで行わせることができるが、より精度の高い予測のためには、脈流Voの尖頭値近くで全LEDを点灯させる直前のタイミングで予測させると好適である。
【0029】
また、
図4では、LED列中のLEDの数を11個とし、脈流周期内において全消灯のままのLEDの発生を回避するために点灯/消灯の切り替え対象としたLED列端部のLEDをD1~D2とし(他端は、D5~D11である)、引き出し端の数を3つとして説明しているが、本発明はこれらに限定されない(
図1A~
図3を参照して後述する実施形態においても、同様である)。
【0030】
次に、
図1A~
図3を参照しながら第1実施形態~第3実施形態について詳説する。
【0031】
[
第1実施形態]<LED駆動電流のデジタル制御法>
図1Aは、本発明の第1実施形態にかかるLED駆動方法110の構成例である。いわゆるフルデジタルの構成である。このようなデジタル制御においては、通常は系の安定性の問題(システムの動作不安定や発振を防止する観点)として、マイクロプロセッサのレスポンスよりも、回路出力のほうが十分にゆっくりであること(逆に言えば、プロセッサのレスポンスが十分速いこと。但し、コスト要請もある)が条件とされる事が多いが、具体的なスペックについては本発明の本質ではないため詳細な説明は割愛する。以下、LED駆動方法110はこの問題をクリアしているものとする。
【0032】
また、
図1Aにおいては、Q11~Q15のゲート~ソース間に各MOSFETの動作に影響を与えない大きな値の抵抗(図では破線で表示)を実装しており、SW101~SW106を開放した場合にはMOSFETには電流が流れないように構成した。またI11~I15とRs11~Rs15の値は予め設定されており、Q11~Q15、Q132、Q142の特性は既知とする。
つまり、電流I11~I15の値と抵抗Rs11~Rs15の値は、ドライバの設計手順により定まる値である(つまり、流す電流、及びドライバにとっての基準電圧・基準電流が定まればソースに使用される抵抗値は設計値として決定される)。
同様に、すでに決定された標準入力AC電圧、変動率、LED段数、切換タップ数、各タップに流す電流値と各切替電圧、基準電圧により、トランジスタQ11~Q15で必要とされる特性、並びに、導通切替部140の各抵抗の値及びトランジスタQ261、Q262の特性も自ずと定まる。
以下、「値は予め設定されている」、「特性は既知とする」の意義については同様の趣旨である。
【0033】
図1Aに示すように、LED駆動方法110は、全波整流器FR1、駆動制御部120、複数のトランジスタ等を有する定電流駆動回路130、導通切替部140、及びLED列(例示的に、D11~D1bまで11個のLED列からなる)を備える。
【0034】
LED列は、互いに直列接続されたN個(Nは3以上の整数。
図1Aにおいては例示的に11個)のLEDを有し、交流入力(交流電源)からブリッジダイオード等の全波整流器FR1で全波整流された脈流Voが、LED列の給電端150A及び駆動制御部120に入力される。
【0035】
図1Aに示す形態では、発明の理解を容易にするために、LED(D11~D1b)の数Nを11個としているがこれに限定されるものではない。また、LED列の給電端150Aから異なる数(同じ数であってもよい)のLEDごとに引き出し端151~153が設けられ、それぞれは駆動用のトランジスタQ11、Q12、Q13-1に接続されている。LED列の終端150Bは駆動用のトランジスタQ13-2、Q14、Q15に接続されている。なお、引き出し端151~153の数はこれに限定されない。
【0036】
定電流駆動回路130は、複数の駆動用のトランジスタQ11、Q12、Q13-1、Q13-2、Q14、Q15、複数のスイッチSw101~Sw106、及び複数の抵抗Rs11~Rs14を含む回路であり、それぞれの要素は
図1Aに示すように接続されている。駆動制御部120によるスイッチSw101~Sw106の制御により、トランジスタQ11、Q12、Q13-1、Q13-2、Q14、Q15に流れる電流I11、I12、I13-1、I13-2、I14,I15がそれぞれ制御される。なお、定電流駆動回路130に含まれる駆動用のトランジスタ、スイッチ及び抵抗の個数は、
図1Aに示す例に限定されず、LED列に含まれるLEDの数や、電流I11~I15が流れるLED列からの引き出し配線の数や入力される交流電圧等に応じて変更される。また本説明ではLEDを1列として説明してあるが、並列、直並列、並列の数を変える等、さまざまな接続形態が可能なのであり、これらを代表として1列として説明するものである。
【0037】
ここで、本実施形態では、トランジスタQ11、Q12、Q13-1、Q13-2、Q14、Q15としてMOSFETを用い、スイッチSw101~Sw106として半導体スイッチ(CMOS・MOSFET・バイポーラトランジスタ)を用いて説明しているが、これらに限定されるものではなく、他の同等機能品を採用してもよい。
【0038】
導通切替部140は、トランジスタQ132、Q142、スイッチSw121、122、及び抵抗Rc111、112、121、122を含む。導通切替部140は、次に述べる駆動制御部120による制御に応じて、LED列の給電端150Aから数えてj段目(jは2以上N未満の整数)のLEDの陽極(アノードあるいは入力端子)と給電端150Aとを導通状態又は非導通状態に切り替える。
言い換えると、導通切替部140は、駆動制御部120による制御に応じて、LED列の給電端150Aと、この給電端150Aから数えてj段目のLEDとの間のLEDを導通状態又は非導通状態に切り替える。尚、非導通を切り替える数や場所はこれ等説明に限定されるものではなく、必要に応じて増減が可能な事は言うまでもない。
【0039】
駆動制御部120は、入力電圧測定用のADコンバータ(ADC)121、制御マイクロプロセッサユニット(MPU)122、電流値設定用のDAコンバータ(DAC)123、及びスイッチ制御部124を備える。
【0040】
制御MPU122は、CPU、メモリ及びプログラムメモリ等を備えたコンピュータであり、全波整流器FR1で全波整流された脈流Voの電圧値を予め定められた時間毎にADC121を介して取得し、内部メモリ内に脈流Voの波形情報(電圧値とその電圧値を示す時間とを関連付けた情報)を蓄積する。当該予め定められた時間は、例えば、交流入力一周期ごとに16~128個、好ましくは32~64個の電圧値をサンプリングできる時間としてもよい。また、蓄積する波形情報は、脈流一サイクルで1個の波形情報とすると、現時点から直近2個以上の波形情報を蓄積していればよい。本実施形態では限定されないが、制御MPU122は例えば直近4~16個の波形情報を常時蓄積し、古い波形情報はその都度破棄される。
なお、これらのMPU性能は、本願の出願時において低価格低速のMPUであり上述したようにシステムが動作不安定とならず発振をしない程度の処理性能の使用を想定している。
【0041】
制御MPU122は、蓄積した波形情報を基に、現時点におけるADC121を介して取得した脈流Voの値(瞬時電圧値)から、以後の脈流波形を予測する。この予測した脈流波形に基づき、制御MPU122は、スイッチ制御部124を制御して定電流駆動回路130内のスイッチSw101~Sw106をそれぞれ制御して、トランジスタQ11、Q12、Q13-1、Q13-2、Q14、Q15の何れを動作させるかを決めると共に、DAC123を介してこれらのトランジスタに流れる電流値I11、I12、I13-1、I13-2、I14、I15を設定する。このとき、制御MPU122は、ADC121を介して取得した電圧値(瞬時電圧値)に従い、電流値I11、I12、I13-1、I13-2、I14、I15が設定範囲内に収まる様にDAC123の出力を変更し電流値を調整する。
【0042】
次に、
図1Aに記載のLED駆動方法110に基づき、制御MPU122によるLED駆動制御方法について説明する。
【0043】
まず、制御MPU122は、予め定められた時間毎に(例えば交流入力一周期ごとに32~64個の電圧値をサンプリング)、ADC121を介して脈流Vo及びトランジスタQ11、Q12、Q13-1、Q13-2、Q14、Q15に流れる電流でRs15に生ずる電圧値より算定する。取得した値は波形情報として制御MPU122に蓄積される。制御MPU122は、蓄積した波形情報を逐次(限定されないが現時点から直近4~16個の波形情報分)平準化してノイズの影響を低減した後に、その値を参照する。
【0044】
以下に記載のステップ1~5では、LED駆動方法110において脈流Voの電圧が制御の基準点(脈流Voの電圧値が最小となる点)から立ち上がっていく際の制御MPU122によるLED駆動方法について説明する。
【0045】
(ステップ1)
MPU122は、Voの値やQ11~Q15に流れる電流値を予め定められた時間毎にADCで測定すると共に制御の基準点、例えばVoの電圧値が最小となる時を認識するとSw101を閉じて他のSwは開き、DAC123には予め設定されたI11なる電流が流れる時のQ11のVGS標準値に(Rs11+Rs12+Rs13+Rs14+Rs15)×I11を加えた電圧を出力し、その後VsのADC測定値がVs=Rs15×I11となるように制御を開始する。
【0046】
(ステップ2)
MPU122は、Vo・Vsや蓄積情報よりLED(D11~D14)を経てQ11にI11が流れ始めた事を知り、I11なる電流が流れる時のQ1のVGS標準値に(Rs11+Rs12+Rs13+Rs14)×I11を加えた電圧値をDAC初期値とし、I11が所定の値である事を示すVs=Rs15×I11となるようにDAC出力を調整する。
また、これと前後してSw102を閉じてQ12にも電流が流れるように設定する。
【0047】
(ステップ3)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報等よりLED(D11~D17)を経てQ12にI12が流れ始めた事を知り、DAC初期値をI12なる電流が流れる時のQ12のVGS標準値に(Rs12+Rs13+Rs14+Rs15)×I12を加えた電圧を出力後、I12が所定の値であるVs=Rs15×I12となるようにDAC出力を調整し、それと前後してSw101を開き、Sw103及びSw104を閉じてQ13-1及びQ13-2に電流が流れるように設定する。
【0048】
(ステップ4)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりLED(D11~D19)を経てQ13-1にI13-1が流れ始めた事を知るとSw102を開くと共に、I13-1なる電流が流れる時のQ13-1のVGS標準値に(Rs13+Rs14+Rs15)×I13を加えた電圧をDAC123より出力し、その後I13が所定の値であるVs=Rs15×I13となるようにDAC出力を調整する。
それと同時期にSw121を閉じSw103を開いてQ13-2を導状態としてLED(D13~D1b)を経てQ13-2に電流I13-2を流す。またこれと前後してSw105を閉じ、Q14に電流が流れるように設定する。尚、I13-1=I13-2=I13である為、Q13-1を経てI13-1が流れても、Q13-2を経てI13-2が流れてもDAC出力を制御するMPU122の制御内容に変わりはない。
【0049】
(ステップ5)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりVoの電圧波形を予測し、VoがLED(D12~D1b)を経てQ14にI14を流す事が出来る値に達しないと予測する場合は、Voが尖頭値に達し電圧値が減少を開始するまで予測・判定を継続する。この時、I3が所定の値であるVs=Rs15×I3となるようにDAC出力を調整するのは言うまでもない。
Voの電圧波形の予測で、VoがLED(D12~D1b)を経てQ14にI14を流す事が出来る値に達すると予測される場合、Q14に電流I14を流す時点を設定し、当該時点に達したと判断するとSw121を開きSw122を閉じてQ132を遮断状態とし且つQ142を導通状態として150AからQ142を経由しLED(D12~D1b)を経てQ14に電流I14が流れる様に、I14なる電流が流れる時のQ14のVGS標準値に(Rs14+Rs15)×I14を加えた電圧をDAC123より出力し、I14が所定の値であるVs=Rs15×I14となるようにDAC出力を調整する。また、Sw106を閉じSw103を開いてQ15を動作可能とする。
【0050】
(ステップ6)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりVoの電圧波形を予測し、VoがLED(D11~D1b)を経てQ15にI15を流す事が出来る値に達しないと予測する場合は、Voが尖頭値に達し電圧値が減少し始めるまで本動作を継続し、I14が所定の値であるVs=Rs15×I14となるようにDAC出力を調整する。
Voの電圧波形の予測で、VoがLED(D11~D1b)を経てQ15にI15を流す事が出来る値に達すると予測する場合、Q15に電流I15を流す時点を設定し、当該時点に達したと判断するとSw122を開いてQ142を遮断状態として全LED(D11~D1b)を経てQ15に電流I15を流し始めると共に、I15なる電流が流れる時のQ15のVGS標準値にRs15×I15を加えた電圧をDAC123より出力し、その後I15が所定の値であるVs=Rs15×I15となるようにDAC出力を調整すると共に、MPU122はVo、Vsや蓄積情報よりVoの電圧波形の予測を継続し、Voが尖頭値に達するまで動作を継続する。
【0051】
そして、脈流Voが尖頭値に達した後は電圧が減少するが、その時は上記ステップの逆順の動作を行う。
【0052】
なお、上記例では(ステップ4)でLED(D11~D19)に電流I13-1が流れ出すのを知り、Sw121を操作してQ132を導通させる事でLED(D13~D1b)に電流を流すように制御を行っているが、電圧Voの予測で直接Sw121を操作することにより、Q13-1を削除することもできる。
【0053】
また、上記の制御方法では入力電圧許容範囲を広げるとそれに伴い消費電力も変動してしまうが、電圧に応じて流す電流を増減する事で電力の変動を抑止するよう制御しても良い。
【0054】
このように各ステップを繰り返し、LED駆動回路110は、LED列の各LEDを点灯/消灯させる。また、LED駆動回路110は、脈流Voの予測した尖頭値等が基準値よりも高い場合であっても低い場合であっても、LED列中の個々のLEDを適宜点灯/消灯制御することで、脈流1周期内でD11~D1bの全LEDをいずれかのタイミングで点灯させ、且つ、周期内で全く点灯しないLEDを無くすることができる。
【0055】
以上の説明に基づけば、LED列中のLED数をN個(Nは3以上の整数)とし、脈流周期内における不点灯を回避するために点灯/消灯の切り替え対象としたLEDをLED列の両端からその合計がN個を越えない任意の数のLEDとし、また、LED列中のLED間において引き出し端の数と引き出し位置を任意に設計することができることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0056】
この場合、LED駆動方法は、全波整流された脈流が入力される給電端を一端とするLED列であって、互いに直列接続されたN個(Nは3以上の整数)のLEDを有する前記LED列と、LED列の両端からその合計がN個を越えないそれぞれ任意の数のLEDを切り替える導通切替部とを含み、前記導通切替部は、脈流の(瞬時)電圧値に応じて、前記給電端と前記給電端から数えてj段目(jは2以上N未満の整数)のLEDとの間のLEDの導通と、前記給電端から数えてk段目(kはjとの合計がN未満の整数)からN段目までのLEDとの導通とを切り替えるように制御する。
【0057】
さらに、以上の説明に基づいて本発明の技術概念を敷衍すれば、配線は複雑となるがLED端子間を導通するときに一端を給電端に固定せずに任意のLED間を導通させてLED数の制御を行っても上記と同様の効果を得られる事、LED列中のLED間において引き出し端の数と引き出し位置を任意に設計しても同様の効果を得る事は言うまでもなく、容易に理解もできるであろう。
また、複数の駆動回路を用いる代わりに、入力される脈流の波高値に応じてLED列に所定の電流が流せるか否かの判断を行ない、駆動回路端に接続されるLED列の数をLED間を導通させる機能を必要数用意してこれを制御する事で点灯するLED数を制御する事で単一の駆動回路でも同様の効果を得られるであろう事も容易に理解できるであろう。
むろん、駆動回路を複数用いてLED間を導通させる事も前述の制御法と類似の制御で可能な事も同様である。
【0058】
また、該LED駆動方法は、前記LED列に設けられた複数の引き出し端と、前記複数の引き出し端に接続された複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタの各々に接続された複数のスイッチと、前記導通切替部及び前記スイッチを制御する駆動制御部とをさらに含んでいてもよく、前記駆動制御部が、前記脈流の瞬時電圧値に応じて前記複数のスイッチを制御し前記複数のトランジスタの各々に流れる電流を制御してもよい。
【0059】
(LED駆動電流のデジタル制御法の他のバリエーション)
図1Bを参照して、LED駆動電流のデジタル制御法の他のバリエーションを示す。
図1Bにおいて
図1Aと同じ部材番号が付されている装置や素子等は、基本的に同等の動作機能を有するものである(動作の仕組みは同等であっても、要求スペックが異なる場合はあり得る)。
【0060】
図1Bに示されたLED駆動方法115の概要は、次のとおりである。
図1BにおけるMPUは、交流入力をブリッジダイオードFR1で全波整流した脈流V
0を、予め定められた時間毎にADCを用いて「DAC→定電流回路→ADC→誤差算出」と言う一連の負帰還制御動作を常時行う。なお、本動作に於いて安定性は確保されているものとし、本説明に於いては、I11~I15とRs15の値は予め設定されており、Q15の特性は既知として、以下、
図1Bを参照してその動作を詳述する。
【0061】
(ステップ1)
MPU122は、Voの値やQ15に流れる電流波形等をRs15の電圧値として予め定められた時間毎にADCで測定すると共に制御の基準点、例えばVoが最低電圧となる時点を認識するとSw101を閉じ、且つ他のSwは開き、DAC123には予め設定されたI11なる電流が流れる時のQ15のVGS標準値にRs15×I11を加えた電圧を出力し、その後Vsの値がVs=Rs15×I11となるように制御を始める。
【0062】
(ステップ2)
MPU122は、Vo・Vsや蓄積情報よりLED(D11~D14)を経てQ15にI11が流れる事を認識すると、I11なる電流が流れる時のQ15のVGS標準値にRs15×I11を加えた電圧値をDAC初期値として出力し、その後I11が設定した値であるVs=Rs15×I11となるようにDAC出力を調整する。
【0063】
(ステップ3)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報等よりLED(D11~D17)を経てQ15にI12が流れる事を認識すると、Sw101を開き、Sw102を閉じると共にDAC設定値をI12なる電流値のQ15のVGS標準値にRs15×I12を加えた電圧を出力し、その後I12が所定の値であるVs=Rs15×I12となるようにDAC出力を制御する。
【0064】
(ステップ4)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりLED(D11~D19を経てQ15にI13_1が流れる事を知ると、Sw102を開き、Sw103を閉じ、更にI13_1なる電流が流れる時のQ15のVGS標準値にRs15×I13_1を加えた電圧をDACより出力し、その後I13_1が設定した値であるVs=Rs15×I13_1となるようにDAC出力を制御する。
【0065】
(ステップ5)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりLED(D11~D19)を経てQ15にI13_1が流れる事を知ると、Sw122を閉じ、Sw103を開いてSw122~LED(D13~D1b)の経路でQ15に電流I13_2が流れるようにI13_2なる電流が流れる時のQ15のVGS標準値にRs15×I13_2を加えた電圧をDACより出力し、その後I13_2が設定した値であるVs=Rs15×I13_2となるようにDAC出力を制御する。
【0066】
(ステップ6)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりVoの電圧波形を予測し、VoがLED(D12~D1b)を経てQ15にI14を流す事が出来る値に達しないと予測する場合は、Voが尖頭値に達し電圧値が減少を開始するまで予測・判定を継続する。MPU122はI13_2が設定した値であるVs=Rs15×I13_2となるようにDAC出力を制御するのは言うまでもない。
Voの電圧波形が、LED(D12~D1b)を経てQ15にI14を流す事が出来る値に達するとMPU122が予測する場合、Q15に電流I14を流す時点を設定し、当該時点にVoが達したと判断すると、Sw122を開き、Sw121を閉じてSw121~LED(D2~D1b)を経てQ15に電流I14が流れるよう、I14なる電流が流れる時のQ15のVGS標準値にRs15×I14を加えた電圧をDACより出力し、その後I14が設定した値であるVs=Rs15×I14となるようにDAC出力を制御する。
【0067】
(ステップ7)
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりVoの電圧波形を予測し、VoがLED(D11~D1b)を経てQ15にI15を流せる値には達しないと予測する場合、Voが尖頭値に達し電圧値が減少し始めるまで前記動作を継続する。
また、Voの電圧波形がLED(D11~D1b)を経てQ15にI15を流す事が出来る値に達すると予測される場合、MPU122はQ15に電流I15を流す時点を設定し、当該時点にVoが達したと判断すると、Sw121を開き、LED(D11~D1b)を経てQ15に電流I15を流し始めると共に、I15なる電流が流れる時のQ15のVGS標準値にRs15×I15を加えた電圧をDACより出力し、その後I15が設定した値であるVs=Rs15×I15となるようにDAC出力を制御する。
MPU122は、Vo、Vsや蓄積情報よりVoの電圧波形の予測を継続し、Voが尖頭値に達するまで動作を継続する。
【0068】
なお、脈流Voが尖頭値に達した後は電圧が減少するが、その時は上記の逆の動作を行う。
本例では実用時に配線本数が増えて作業が煩雑になる事を考慮してSw101~Sw103とSw121~122はいずれも一端を共通としてあるが、動作原理上はSwの一端を共通にする必然性は無く、必要に応じて異なるLED間を接続しても同様の効果を得ることは言うまでもない。
電圧許容範囲を広げるとそれに伴い消費電力も変動するが、電圧に応じて流す電流を低減して電力の変動を抑止しても良い。
【0069】
[
第2実施形態]<LED駆動電流のアナログ制御法>
図2は、本発明の第2実施形態にかかるLED駆動方法210の構成例である。いわゆるフルアナログ制御法であり、相対的には上述の第1実施形態よりも実装の難易度が高い(なお、フルデジタル制御での発振抑制やフルアナログ制御法の実装難易度を勘案したデジタル・アナログ混在制御法が、後述する第3実施形態となる)。
【0070】
図2に示すように、LED駆動制御法210は、全波整流器FR1、LED列(例示的に、D21~D2bまで11個のLED列からなる)、複数のトランジスタ等を有する定電流駆動回路230、及び導通切替部240を有する。
【0071】
LED駆動回路210は、オペアンプOp21、定電流駆動用のトランジスタQ21~Q26、スイッチ用トランジスタ制御用トランジスタQ221、Q231、Q241、スイッチ用トランジスタ駆動用トランジスタQ230、Q240、Q250、スイッチ用トランジスタ(PチャネルMOSFET)Q261、Q262、抵抗R21~R26、Rs21~Rs26、Rg11、Rg22等を含み、これらは
図3に示すようにLED列(D21~D2b)を定電流駆動するための定電流駆動回路230を構成する。各トランジスタはMOSFETであるが、これに限定されるものではなく、また1列のLEDもこれに限定されるものではなく、複数列、直並列、各列数で数を可変する等、さまざまな接続形態が可能なのであり、これらを代表として1列として説明するものである。
【0072】
図2に示されるように、LED列(D21~D2b)を駆動する為のトランジスタとしては、例示的にQ21~Q26、Q221、Q231、Q241、Q230,Q240、Q250を示しているがこれに限定されるものではない。また、LED列には、11個のLED(D21~D2b)が含まれ、引き出し端251~253と250Bを設けているが、この数に限定されるものではない。
【0073】
以下に記載のステップ1~7では、LED駆動回路210において脈流Voの電圧が基準点(例えばVoの電圧値が最小となる点)から立ち上がっていく際のLED駆動方法について説明する。
【0074】
ここで、Q21~Q26はスイッチを兼ねた定電流源として動作し、
Vref×(Rf2+Rf1)/Rf1
=(Rs21+Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I21
=(Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I22
=(Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I23
=(Rs24+Rs25+Rs26)×I24
=(Rs25+Rs26)×I25
=Rs26×I26
なる式を満たすように動作する。
ここで、I21<I22<I23<I24<I25<I26となっている。
【0075】
また、LED(D21~D22)間を導通させるスイッチQ261・Q262は、Q230、Q240、Q250に電流I261またはI262を流す事により動作する。またQ221・Q231・Q241はスイッチQ261・Q262を制御するMOSFETQ230・Q240・Q250を制御する。
なお、I21~I26の電流値に用いるMOSFETを始め、LEDや他のMOSFET等も特性は既知であり、これ等を用いる事を前提にRs21~Rs26、I21~I26、Rc211~Rc212、Rc221~Rc222、I261~I262の値を設定済であり、また、回路は安定動作するものとして、LED駆動回路210の動作を説明する。
【0076】
(ステップ1)
ブリッジダイオードFR1で全波整流した脈流Voの値が低くLED列に電流が流れないとき、演算増幅器Op21はMOSFET(Q21)に電流を流すべく演算増幅器Op21の出力Vopを上昇させるが、Voが低くLED列に電流は流れない。
この時、Q21のゲートにはI21なる電流が流れる時のQ1のVGS値に(Rs21+Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I21を加えた値より大きな電圧を印加し、Q21を動作可能とする。また、I21よりも大きな電流で動作するQ22~Q25にも各MOSFETに電流を流す時のVGSの値に各々のソース電圧を加算した値より大きな電圧が印加される為、Q22~Q26も動作可能となるが、同じゲート電位を抵抗Rg11、Rg21、Rg31を介して印加されるQ230、Q240、Q250は前段のQ22、Q23、Q24のゲート電位を抵抗Rg02/Rg03、Rg12/Rg13、Rg22/Rg23を介して印加されたQ221、Q231、Q241が動作してQ230、Q240、Q250のゲート電位を引き下げて動作を抑止するので、スイッチQ261、Q262は開いた状態を維持する。
なお、Rg11、Rg21、Rg31とRg02・Rg03、Rg12・Rg13、Rg22・Rg23の各値はQ22~Q25の動作に影響を与えず各々が動作する値とする事で回路の動作への影響は無視できる。Rg11・Rg21・Rg31やRg02/Rg03、Rg12/Rg13、Rg22/Rg23の抵抗値と比率は各MOSFETの特性を考慮し、動作に支障の無い値を順次決定する。
【0077】
(ステップ2)
脈流Voが徐々に上昇し、I21がLED(D21~D24)を経てQ21に流れる電圧となった後は、LED列のD21~D24が点灯する。
Q21のゲートには電流I21を流す時のVGS値に(Rs21+Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I21を加えた電圧が印加され、I21よりも大きな電流で動作するQ22~Q25にも各MOSFETに電流を流す時のVGSの値に各々のソース電圧を加算した値より大きな電圧が印加され、Q22~Q25も動作可能となるが、D25~D2bとQ22~Q26には電流が流れずにQ221、Q231、Q241が動作し、Q230、Q240、Q250、Q261、Q262は遮断状態で(ステップ1)と同じ状態となる。
【0078】
(ステップ3)
脈流Voが更に上昇し、I22がLED列(D21~D27)を経てQ22に流れる電圧となった後は、LED列(D21~D27)が点灯する。
Q22のゲートには電流I22を流す時のVGS値に(Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I22を加えた電圧VG2=VGS2+(Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I22が印加される。
Q21のゲートには、VGS1={VGS2+(Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I22}×R26/(R25+R26)-(Rs22+Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I22が印加されるが、VGS2、Rs2~Rs6、I22は既知の為、前記のVGS1でQ21が動作しないようにR25及びR26を定め、I22が流れる時にはQ21が動作せずI21が流れない値とする。
以上により、Q21とQ23~Q26、LED列(D28~D2b)に電流は流れず、Q221、Q231、Q241、Q230、Q240、Q250、Q261、Q262は前と同じ状態にとどまる。
【0079】
(ステップ4)
脈流Voが更に上昇し、I23がLED列(D21~D29)を経てQ23に流れる電圧となった後は、LED列(D21~D29)が点灯する。
Q23のゲートには、電流I23を流す時のVGS値に(Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I23を加えた電圧VG3=VGS3+(Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I23が印加される。
Q22のゲートには、VGS2=(VGS3+(Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I3)×(R25+R26)/(R24+R25+R26)-(Rs23+Rs24+Rs25+Rs26)×I3が印加されるが、VGS3、Rs23~Rs26・I23は既知の為、前記VGS2でQ22が動作しないようにR24を定め、I23が流れる時にQ22は動作しない値とする。Q22のVGSよりQ21のVGSは低い為、Q21も動作しない。このようにQ23動作時にQ22は非動作状態となるが、この時Q221も遮断状態となり、Q22動作時にはQ221も動作状態となるように、且つQ22・Q23の動作には影響を与えないようにRg02とRg03の値を定める。更にQ221動作時にQ230は非動作状態となり、Q221が非動作時にはQ230が動作し、且つQ23の動作には影響を及ぼさないようにRg11の値を定める。
その結果、Q23にI23が流れる時はQ221が非動作状態となりRg11の電圧降下が無くなりQ230が動作して電流I261が流れてRc211に電圧が生じ、PチャネルMOSFET(Q261)より成るスイッチが閉じてLED(D21~D22)間が導通する。この時点でQ21~Q22、Q24~Q26、D2a~D2bに電流は流れていてない。
そして、Q230、Q231、Q241は動作し続け、Q221、Q240、Q250は動作しない。
【0080】
(ステップ5)
スイッチのQ261が閉じるとD21~D22間が導通する。ここでLED列D21~D29とLED列D23~D2bはLED段数も同じであり、電流I23とI24の値を同じ値またはその差が大きくないように設定する事でLED列の電圧降下を同等の値とし、(ステップ4)と同等の脈流Voの値でスイッチQ261を経てLED(D23~D2b)にI24なる電流を流してLED(D23~D2b)を点灯させる。Q24のゲートには、電流I24を流す時のVGS値に(Rs24+Rs25+Rs26)×I24を加えた電圧VG4=VGS4+(Rs24+Rs25+Rs26)×I24が印加される。Q23のゲートには、VGS3=(VGS4+(Rs24+Rs25+Rs26)×I24)×(R24+R25+R26)/(R23+R24+R25+R26)-(Rs24+Rs25+Rs26)×I24が印加されるが、VGS4、Rs24~Rs26、I24は既知の為、前記VGS3でQ23が動作しないようにR23を定め、I24が流れる時にQ23は動作しない値とする。Q23のVGSよりQ22、Q21のVGSは低くQ21、Q22も動作しない。このようにQ24動作時にはQ23は非動作状態となるが同時にQ231も遮断状態とし、Q23動作時にはQ231も動作状態とし、且つQ23の動作に影響を与えないようにRg12とRg13の値を定める。またQ231動作時にQ240は非動作状態となる様にするがこの時に、Q24の動作には影響を及ぼさないようにRg21の値を定める。
その結果、Q24にI24が流れる時はQ231が非動作状態となりRg21の電圧降下が無くなりQ240が動作して電流I261が流れてRc211に電位が生じ、PチャネルMOSFET(Q261)より成るスイッチが閉じたままとなる為、LED(D21~D22)間は導通し続ける。Q21~Q23、Q25~Q26、D21~D22に電流は流れていない。
Q240とQ241は動作し続け、Q221、Q231、Q230、Q250は動作しない。
【0081】
(ステップ6)
脈流Voが更に上昇し、I25がLED列(D22~D2b)を経てQ25に流す事が可能な電圧となった後はLED列(D22~D2b)が点灯する。
Q25のゲートには、電流I25を流す時のVGS値に(Rs25+Rs26)×I25を加えた電圧VG5=VGS5+(Rs25+Rs26)×I25が印加される。
Q24のゲートには、VGS4=(VGS5+(Rs25+Rs26)×I25)×(R23+R24+R25+R26)/(R22+R23+R24+R25+R26)-(Rs25+Rs26)×I25が印加されるが、VGS5、Rs25・Rs26、I25は既知の為、前記VGS4でQ24が動作しないようにR22を定め、I25が流れる時にQ24は動作しない値とする。Q24のVGSよりQ23、Q22、Q21のVGSは低くQ21~Q23も動作しない。このようにQ25動作時にQ24は非動作状態となるがこの時Q241も遮断状態とし、Q24動作時にはQ241も動作状態とし、且つQ24、Q25の動作に影響を与えないようにRg22とRg23の値を定める。更にQ241動作時にQ250は非動作状態とさせ、Q241が非動作時にはQ250が動作し且つQ25の動作に響を及ぼさないようにRg31の値を定める。
その結果、Q25にI25が流れる時はQ241が非動作状態となりRg31の電圧降下が無くなりQ250が動作して電流I262が流れRc221に電圧が生じ、PチャネルMOSFET(Q262)より成るスイッチが閉じてLED(D21)間は導通する。D21に電流は流れず、Q21~Q24、Q26、Q221、Q231、Q241、Q230、Q240は動作しない。
【0082】
(ステップ7)
脈流Voが更に上昇し、I26がLED列D21~D2bを経てQ26に流す事が可能な電圧となった後はLED列D21~D2bの全LEDが点灯する。
Q26のゲートには、電流I26を流す時のVGS値にRs26×I26を加えた電圧VG6=VGS6+Rs26×I26が印加される。
Q25のゲートには、VGS5=(VGS6+Rs26×I26)×(R22+R23+R24+R25+R26)/(R21+R22+R23+R24+R25+R26)-Rs26×I26が印加されるが、VGS6、Rs26、I26は既知の為、前記VGS5でQ25が動作しないようにR21を定め、I26が流れる時にQ25は動作しない値とする。Q25のVGSよりQ24~Q21のVGSは低くQ21~Q24も動作しない。
Q25が動作しなくなるとQ250も動作しなくなりI262も流れなくなるのでRc221両端に生ずる電位差も無くなりPチャネルMOSFET(Q262)より成るスイッチはD21の両端を開くので、D21も点灯、D21~D2b全てのLEDが点灯する。Q21~Q25、Q221、Q231、Q241、Q230、Q240、Q250は動作しない。
【0083】
脈流Voが尖頭値に達した後は電圧が減少するが、その時は上記ステップと逆順の動作を行う。
【0084】
第2実施形態にかかるフルアナログ駆動方法は、上述した回路構成および特有の動作原理を有しており、これらにより、第1実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
【0085】
[
第3実施形態]<LED駆動電流のデジタル・アナログ混在制御法>
図3は、本発明の第3実施形態にかかるLED駆動回路310の回路構成例である。いわゆるハイブリッド回路である。このようなハイブリッド構成にする意義は、フルデジタル構成における系の安定性確保を別の観点から達成しようとするものである。つまり、フルデジタルで行われていた系の安定性は、ハイブリッド構成ではアナログ回路部分が担うことになる。これにより、系の安定性確保に必要であったCPU(MPU)のパワーは解放され、余剰分を正確なピーク予測、状態予測、及びスイッチ制御に振り分けることができる。
【0086】
図3に示すように、LED駆動方法310は、全波整流器FR1、駆動制御部320、複数のトランジスタ等を有する定電流駆動回路330、及び導通切替部340を備える。本実施形態にかかるLED駆動方法310は、第1実施形態にかかるLED駆動方法110と第2実施形態にかかるLED駆動方法210とを単純に組み合わせたというよりは、第1実施形態にかかるLED駆動方法110の一部をアナログ回路構成で置換したもの、あるいは、LED回路110にアナログ駆動方法を追加したものという性格を有する。
【0087】
以下に記載のステップ1~7では、LED駆動方法310において脈流Voの電圧が基準点(例えばVoの値が最小となる点)から立ち上がっていく際のLED駆動方法について説明する。
【0088】
ここで、MPU322は、ブリッジダイオードFR1で全波整流した脈流Voを予め定められた時間にADC321を用いて電圧波形を計測し、Q31~Q36の動作状態を把握した上でスイッチを制御する。
I31~I36の電流値は、Vref×(Rf32+Rf31)/Rf31=(Rs31+Rs32+Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I31=(Rs32+Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I32=(Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I33=(Rs34+Rs35+Rs36)×I34=(Rs35+Rs36)×I35=Rs36×I36を満たす様にI31~I36とRs31~Rs36を設定する事でDAC出力をI31~I36毎に個別に設定する事を無くして処理の煩雑さと処理時間の変動を少なくし制御を単純化できる。Rs31~Rs36を適切に設定し、LED列に流れる電流波形を正弦波に近似し高調波を低減する事も可能となる。ここで、Q31~Q36のゲート~ソース間には他の回路の動作に影響を及ぼさない非常に高い抵抗が接続(煩雑になるので、
図3において不図示)されており、ゲートに接続されたスイッチが開いた状態ではMOSFETは遮断状態となり動作しない。
なお、I1~I6の値とRs31~Rs36の値はすでに定まっており-よってVrefとRf31、Rf32も定まっている-MOSFET(Q31~Q36)の特性も明確になっているものとし、また、定電流回路系は安定で制御系の安定性も確保されているものとして以下の各ステップを説明する。
【0089】
(ステップ1)
MPU322は、脈流VoやVs(Q31~Q36に流れる電流値)を予め定められた時間毎にADCで測定し、制御の基準点-例えばVoの値が最小となる時点-と経過時間を認識するとともに、現在と過去の測定情報を基に以降のVoの波形やLED列導通開始電圧等を予測する。脈流Voの測定電圧が低くQ31~Q35は動作しないが、MPU322は、Sw302とSw311を閉じ、他のSw312~Sw316、Sw301、SW303~Sw306、Sw321とSw322を開き、Q31とQ32を動作可能な状態とする。
また、ここでRi32の値を設定しておく。
【0090】
(ステップ2)
脈流Voが徐々に上昇し、I31がLED列D31~D34を経てQ31に流れる事が可能となった後は、Q31が動作してLED列D31~D34に電流I31が流れて点灯する。
Voの値はまだ低く、D35~D3bに電流は流れず、Q32~Q36も動作しない。
Q32の動作時、Q32のゲートVG2には電流I32が流れる時のVGS値VGS2に(Rs32+Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I32を加えた電圧VG2=VGS2+(Rs32+Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I32が印加され、Q31にはVGS1={VGS2+(Rs32+Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I32}×Ri32/(Ri31+Ri32)-(Rs32+Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I32が加えられるが、VGS2、Rs32~Rs36、I32は既知であるから、このVGS1値でQ31が動作しないようにRi31の取り得る範囲を定めてRi31の値を仮決めすると共に、I32が流れる時にはQ31が動作しないようにしておく。
MPU322は、Vsの値よりQ31が動作しI31が流れている事とその時のVo値を検知する。
【0091】
(ステップ3)
脈流Voが上昇し、I32がLED(D31~D37)を経てQ32に流れる事が可能となった後は、Q32に電流I32が流れてLED列D31~D37は点灯する。
MPU322は、Vsの値からQ32が動作しI32が流れている事を認識、Q32が動作し始めたVoの値を測定すると共にSw302とSw311を開きSw303とSw312を閉じてQ31の動作を停止し、Q32とQ33を動作可能とする。スイッチが開いているのでQ31、Q34~Q36は動作しない。
Q33動作時、Q33のゲートVG3には電流I33が流れる時のVGS値に(Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I33を加えた電圧VG3=VGS3+(Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I33が印加され、Q32にはVGS2={VGS3+(Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I33}×Ri32/(Ri31+Ri32)-(Rs33+Rs34+Rs35+Rs36)×I33が加えられるが、VGS3、Rs33~Rs36、I33は既知であるから、このVGS2でQ32が動作しないように、且つ以前の値とも矛盾しない範囲でRi31が取り得る範囲内で以前の値と矛盾しない様その値を仮決めする。
【0092】
(ステップ4)
脈流Voが更に上昇し、I33がLED列D31~D39を経てQ33に流れる事が可能となった後は、Q33に電流I33が流れてLED列D31~D39は点灯する。
MPU322はQ33の動作し始めるVoの値と共にVsの値からQ33が動作しI33が流れている事を認識すると、Sw303とSw312を開き、Sw304とSw313を閉じてQ31~Q32の動作を抑止し、Q33とQ34を動作可能とする。
Q34動作時、Q34のゲートVG4には電流I34が流れる時のVGS値に(Rs34+Rs35+Rs36)×I34を加えた電圧VG4=VGS4+(Rs34+Rs35+Rs36)×I34が印加され、Q33にはVGS3={VGS4+(Rs34+Rs35+Rs36)×I34}×Ri32/(Ri31+Ri32)-(Rs34+Rs35+Rs36)×I34が印加されるが、VGS4、Rs34~Rs36、I34は既知である為、このVGS3でQ33が動作せず且つ以前の値とも矛盾しない範囲でRi31が取り得る範囲内で以前の値と矛盾しない様その値を仮決めする。
【0093】
(ステップ5)
MPU322は、現Vo値と基準点よりの経過時間等よりVo電圧波形を予測し、電流I34をLED列D33~D3bに流せると予測した時点でSW321を閉じてPチャネルMOSFET(Q332)より成るスイッチを動作させてLED列D31~D32間を導通し、LED列D33~D3bを点灯させる。
なお、LED列D31~D39とLED列D33~D3bのLED段数は同じため電流I33とI34の差が大きくないように設定する、もしくはRs33を0ΩとしてI33=I34とすれば、LED列の電圧降下は同等となり、予測を行わずにSw321を閉じてQ332より成るスイッチを動作してLED列D33~D3bにI34の電流を流してこれを点灯させる事も可能である。
MPU322は、Vsの値を読む事でI34が流れている事とその時のVo値を把握する。
その後、MPU322はSw304とSw313を開きSw305とSw314を閉じてQ31~Q33の動作を停止し、Q34とQ35を動作可能とする。
Q35動作時、Q35のゲートVG5には電流I35が流れる時のVGS値に(Rs35+Rs36)×I35を加えた電圧VG5=VGS5+(Rs35+Rs36)×I35が印加され、Q34にはVGS4={VGS5+(Rs35+Rs36)×I35}×Ri32/(Ri31+Ri32)-(Rs35+Rs36)×I35が印加されるが、VGS5、Rs34~Rs36、I35は既知である為、このVGS4でQ33が動作せず、且つ以前の値とも矛盾しない範囲でRi31が取り得る範囲内で以前の値と矛盾しない様その値を仮決めする
【0094】
(ステップ6)
MPU322は、脈流Voの現在値や基準点からの経過時間等よりVo電圧波形を予測、電流I35をLED列D32~D3bに流すことが可能か否かを予測する。
可能と予測した場合、MPU322は可能と予測した時にSw321を開きSw322を閉じて、PチャネルMOSFETQ332より成るスイッチを開きQ342より成るスイッチを閉じてLED(D31)間を導通させてLED列D32~D3bを点灯させる。
更に、MPU322は、Sw305とSw314を開きSw306とSw315を閉じてQ31~Q34の動作を停止し、Q35とQ36を動作可能とする。尚、MPU322は、Vsの値を読む事でI35が流れている事とその時のVo値を把握する。
不可能と予測した場合は以前の状態を維持する。
Q36が動作する時、Q36のゲートVG6には電流I36が流れる時のVGS値にRs36×I36を加えた電圧VG6=VGS6+Rs36×I36が印加され、Q35にはVGS5=(VGS6+Rs36×I36)×Ri32/(Ri31+Ri32)-Rs36×I36が印加されるが、VGS6、Rs36、I36は既知である為、このVGS5でQ35が動作せず、且つ以前の値とも矛盾しないよう、且つ以前の値とも矛盾しない範囲でRi31が取り得る範囲内で以前の値と矛盾しない様その値を決定する。
【0095】
(ステップ7)
MPU322は、脈流Voの現在値や基準点からの経過時間等よりVo電圧波形を予測し、電流I36をLED列D31~D3bに流すことが可能か否かを予測する。
可能と予測した場合、MPU322は可能と予測した時にSw322を開き、PチャネルMOSFETQ342より成るスイッチを開いてLED(D31)にも電流I36を流して全LED列D31~D3bを点灯させる。
また、MPU322は、Sw315を開いてQ31~Q35の動作を停止し、Q36のみを動作させる。(Q332とQ342のスイッチは開放となっている。)
MPU322は、I36が流れている事とその時のVo値を確認する。
不可能と予測した場合は以前の状態を維持する。
【0096】
脈流Voが尖頭値に達した後は電圧が減少するが、その時は上記ステップと逆順の動作を行う。
【0097】
以上の実施形態におけるLED駆動方法ないし駆動回路においては、交流電源を単相としており、これを全波整流することを前提として説明をしたが、本発明はこれら単相二線の交流に限定されるものではない。三相三線の交流を全波整流して脈流となし、かかる脈流を前提に本発明の上記実施形態にかかるLED駆動方法ないし駆動回路を適用することもできる。本発明は、この場合にも単相交流と同様の効果を得る。
【0098】
図5を参照して、三相三線の交流を全波整流して脈流とする場合の一実施形態について説明する。
図5(A)は、
図1A~
図3を参照して説明したLED駆動方法ないし駆動回路に使用された単相二線の交流に対する全波整流器FR1である。三相三線の交流を全波整流して本発明の一実施形態となす場合には、
図5(B)に示されるような全波整流器FR2を採用することで、同図(B)中のFR2から見て右側の回路構成は、同図(A)中のFR1から見て右側の回路構成(つまり、
図1A~
図3を三種押して説明したLED駆動方法ないし駆動回路)と同じものを採用することができる。
【0099】
但し、三相全波整流の場合は、
図5(C)に示されるように脈流が0Vまで低下しないため、脈流と脈流の切替点は電圧が減少から増加に変化する点を起点とする。三相全波整流の場合は60度の位相差があるため、同図(C)においては、電圧が減少から増加に変化する切替点は、
となる。
【0100】
また、LEDは、輝度の変動は有るが消灯の期間は無く常時点灯となる。さらに、三相全波整流を用いた本発明の一実施形態にかかるLED駆動回路を採用すると、部分点灯の場合を含めると欠相時や電圧低下時にもLEDの点灯を継続する事が出来るという効果も奏する。
【0101】
以上、具体例に基づき、本発明の一実施形態にかかるLED駆動方法と駆動回路について説明したが、かかるLED駆動方法と駆動回路を組み込んだ照明機器を実現することは、当業者であれば容易であることは言うまでもない。
【0102】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0103】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0104】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0105】
110、210、310 LED駆動回路
120,320 駆動制御部
130、230、330 定電流駆動回路
140、240、340 導通切替部
150A、250A、350A 供給端
151~153、251~253、351~353 引き出し端