(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】プラスチック製袋の収容具
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
B65D83/08 F
(21)【出願番号】P 2018027032
(22)【出願日】2018-02-19
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】313014789
【氏名又は名称】新輝合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽子
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-111679(JP,U)
【文献】実開昭52-039435(JP,U)
【文献】実開昭63-123488(JP,U)
【文献】実開平06-025180(JP,U)
【文献】実公昭51-032685(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性および復元性を有する素材からなる板状の収容本体の下部に、収容本体を床面または容器内に自立させるためにL字状に張り出させた張り出し部を設け、上記張り出し部の前方および両側方に立ち上がり片を立設することにより張り出し部を底面としたポケット部を形成するとともに、収容本体の中途に
一端を残してコ字状に切り込んだ切り込みを入れることにより、切り込みにより囲まれるクリップ作用を持つ舌片を形成し、上記舌片により平面状に折り畳んだごみ袋を収容本体表面に重合して保持可能とするともに、上記ポケット
部により小さく折り畳んだり丸めたごみ袋をポケット
部内に収容可能としたことを特徴とするプラスチック製袋の収容具。
【請求項2】
可撓性および復元性を有する素材はプラスチックであり、全体を一体成形したことを特徴とする請求項1記載のプラスチック製袋の収容具。
【請求項3】
張り出し部の底面に、回動または引き出しまたは折り曲げにより収容本体を床面または容器内に自立させるために張り出し部の前後方向に張り出し可能な張り出し部材を設けることにより、張り出し部の張り出し寸法を可及的に小さくすることを可能とした請求項1または2記載のプラスチック製袋の収容具。
【請求項4】
収容本体の上部に巾方向の
コ字状の切り欠きを設けることにより、クリップ作用を持つ舌片により保持する平面状に折り畳んだごみ袋の上端を掛けるとともに、壁面に突設した掛止部材に収容具を掛止する際の被掛止部とすることを可能とした請求項1から3のいずれかに記載のプラスチック製袋の収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はプラスチック製袋の収容具に関し、より詳細には各種態様のプラスチック製袋を取り出しやすく、かつ最小限のスペースに収容することのできる収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭では日常の生活の中で様々な種類のプラスチック製袋に接する機会が多い。例えばポリマーを原料とするフィルムからなるポリ袋がその代表例である。
【0003】
これらのプラスチック製袋は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店で購買したものをまとめて収容するレジ袋として使用されたり、生鮮食品を袋詰めするための包装袋として使用されている。これらは本来は購買した商品を持ち帰るための包装材であるが、家庭では資源の再利用のために廃棄することなく保管して物を入れたり、ゴミを捨てるために使用するのが通例である。
【0004】
また、分別回収が原則であり、そのための大判のプラスチック製袋にごみを入れて収集場所に置くことが日常の現代生活においては、家庭では事前にそのためのごみ袋をストックしておかなければならない。
【0005】
一方、食品を保存するのに際し、プラスチック製袋を使用することも家庭では日常的に行われている。
【0006】
以上のように、家庭ではプラスチック製袋を収容しておかなければならない場面が多数あり、従来そのための収容具が提案されていた(例えば特許文献1~2、非特許文献1~2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-292538
【文献】特開2016-216076
【文献】リッチエル公式ウエブショップ「トトノ引き出し用ゴミ袋収納ケース/ ポリ袋収納ケース/ レジ袋収納ボックス」(https://www.richell.co.jp/shop/house/detail/11851 )
【文献】Amazon「山崎実業ポリ袋ストッカータワーホワイト 7839 山崎実業ポリ袋ストッカータワーホワイト 7839 」https://www.amazon.co.jp/%E5%B1%B1%E5%B4%8E%E5%AE%9F%E6%A5%AD-%E3%83%9D%E3%83%AA%E8%A2%8B%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC-%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC-%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88-7839/dp/B00IM2XSYS/ref=sr _1 _11?m=AN1VRQENFRJN5&s=home&ie=UTF8&qid=1518929964&sr=1-11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記したように、家庭では日常の生活の中で様々な種類のプラスチック製袋に接する機会が多く、それらのプラスチック製袋には多種のサイズのものがある。また、買い物の際の包装材として持ち帰った使用済みのものは丸めたり、小さく折り畳んだ姿で収容されるが、未使用のごみ袋や食品収容用の袋は平面状に畳んだ姿で収容される。
【0009】
しかしがら、従来技術の収容具はそれぞれのプラスチック製袋用に特化したもので、多種多様のサイズや姿のものを総合的に収容できるものはなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は以上の従来技術の問題点を解消したプラスチック製袋の収容具を提供することを目的として創作されたものであり、可撓性および復元性を有する素材からなる板状の収容本体の下部に、収容本体を床面または容器内に自立させるためにL字状に張り出させた張り出し部を設け、上記張り出し部の前方および両側方に立ち上がり片を立設することにより張り出し部を底面としたポケット部を形成するとともに、収容本体の中途に一端を残してコ字状に切り込んだ切り込みを入れることにより、切り込みにより囲まれるクリップ作用を持つ舌片を形成し、上記舌片により平面状に折り畳んだごみ袋を収容本体表面に重合して保持可能とするともに、上記ポケット部より小さく折り畳んだり丸めたごみ袋をポケット部内に収容可能としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、前記のプラスチック製袋の収容具において、可撓性および復元性を有する素材はプラスチックであり、全体を一体成形したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、前記のプラスチック製袋の収容具において、張り出し部の底面に、回動または引き出しまたは折り曲げにより収容本体を床面または容器内に自立させるために張り出し部の前後方向に張り出し可能な張り出し部材を設けることにより、張り出し部の張り出し寸法を可及的に小さくすることを可能としたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、前記のプラスチック製袋の収容具において、収容本体の上部に巾方向のコ字状の切り欠きを設けることにより、クリップ作用を持つ舌片により保持する平面状に折り畳んだごみ袋の上端を掛けるとともに、壁面に突設した掛止部材に収容具を掛止する際の被掛止部とすることを可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願発明のプラスチック製袋の収容具によれば、板状の収容本体の表面を利用して例えば分別収集用のごみ袋などの平面的に畳んだ大判のプラスチック製袋を収容することができる。
【0015】
一方、本体の下部の張り出し部を底面としたポケット部を設けることにより、小さく折り畳んだり丸めたプラスチック製袋を収容することもできるので、一つの収容具で家庭での生活において想定できる多種多様のプラスチック製袋を収容することが可能となる。
【0016】
しかも、前記のポケット部は、その底部が同時に自立させるために作用するので、収容本体を板状に保ったまま、収容具を床や容器内に載置することが可能となる。特にごみ容器内に載置する場合には収容本体は板状なので厚みが薄く、ごみ容器のごみ収容容量を損なうことがない。
【0017】
また、プラスチック製袋を収容本体の表面に保持する機構は、可撓性および復元性を有する素材からなる板状の収容本体の中途に半島状の切り込みを入れることにより、切り込みにより囲まれるクリップ作用を持つ舌片を形成し、上記舌片により平面状に折り畳んだごみ袋を収容本体表面に重合して保持するので、請求項2に記載の発明のようプラスチックにより全体を一体成形すれば、別部材を要しないので製造をコストを軽減することができる。
【0018】
さらに、請求項3記載の発明の場合、張り出し部の底面に、回動または引き出しまたは折り曲げにより収容本体を床面または容器内に自立させるために張り出し部の前後方向に張り出し可能な張り出し部材を設けるので、張り出し部の張り出し寸法を可及的に小さくすることができ、よりコンパクトな収容具が実現され、特にごみ容器内に載置する場合に有用である。
【0019】
さらに、請求項4記載の発明の場合は、収容本体の上部に巾方向の半島状の切り欠きまたは窓部を設けることにより、収容本体の中途に設けた保持手段により保持する平面状に折り畳んだプラスチック製袋の上端を掛けるとともに、壁面に突設した掛止部材に収容具を掛止する際の被掛止部とするので、前記のプラスチック製袋の保持がより容易になるだけでなく、壁面を利用して収容具を設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願発明のプラスチック製袋の収容具の斜視図。
【
図2】本願発明のプラスチック製袋の収容具の張り出し部材を張り出させた状態の斜視図。
【
図4】本願発明のプラスチック製袋の収容具の底部の斜視図。
【
図5】同上、張り出し部材を張り出させた状態の底部の斜視図。
【
図6】本願発明のプラスチック製袋の収容具の異なる形状の斜視図。
【
図7】本願発明のプラスチック製袋の収容具の異なる実施例の斜視図。
【
図8】本願発明のプラスチック製袋の収容具をごみ容器内に載置した状態の斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本願発明のプラスチック製袋の収容具の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は収容具の全体を示す斜視図である。この収容具は縦長の板状の収容本体1とその下部の前方にL字状に張り出させた張り出し部2からなり、上記張り出し部の前方および両側方に立ち上がり片3、4、4を立設することにより張り出し部を底面としたポケット部Pを形成している。収容具はこの実施例ではプラスチックにより一体成形しているが、可撓性および復元性を有する素材であればその他の素材でもよいことは勿論である。また、立ち上がり片3、4、4はここでは連続しているが、小さく折り畳んだり丸めたプラスチック製袋を収容するポケット機能を実現できれば互いに独立した柵状のものであってもよい。
【0022】
前記の収容本体1の中途には平面状に折り畳んだごみ袋を保持可能とするための保持手段が設けられ、本願発明では収容本体の中途に半島状の切り込み5を入れることにより、切り込みにより囲まれるクリップ作用を持つ舌片6を形成し、上記舌片により平面状に折り畳んだごみ袋を収容本体表面に重合して保持可能としている。ここでは、切り込み5および舌片6は上下2箇所に配している。
【0023】
また、前記の収容本体1の上部には巾方向の半島状の切り欠き7を設けることにより、収容本体の中途に設けた保持手段により保持する平面状に折り畳んだプラスチック製袋の上端を掛けるとともに、壁面に突設した掛止部材に収容具を掛止する際の被掛止部とすることを可能としている。図中符号8は掛止部材に掛止した際に収容具が左右に移動することを防止するための凹状の切り欠きである。
【0024】
図6は以上の収容具の異なる形態を示す図であり、収容本体1の上部に設けた巾方向の半島状の切り欠き7の上部を山状とすることにより、山の頂部8を掛止部材に掛止した際に収容具が左右に移動することを防止するための凹状の切り欠きとしている。
【0025】
図3は平面状に折り畳んだプラスチック製袋Bの上端を収容本体の上部に設けた巾方向の半島状の切り欠き7に掛けるとともに、下方を収容本体の中途の舌片6により収容本体との間に挟んで保持した状態を示す図である。
【0026】
本願発明のプラスチック製袋の収容具は、収容本体が板状なので厚みが薄くコンパクトであることが特徴の一つであるが、一方、自立することも特徴の一つである。そのために、収容本体の下部のL字状の張り出し部2はその張り出し寸法が可及的に小さく、ポケット部Pが不必要に張り出さないことが望ましい。そのために、この実施例では張り出し部の底面に回動により張り出し部の前後方向に張り出す一対の張り出し部材10、10を設けている(
図4および5参照)。こうすることにより、収容具の不使用時は張り出し部材10、10を
図4に示すように張り出し部2の張り出し寸法の範囲内に納めることによりコンパクト化することができる。この場合、使用時には回動により張り出し部材10、10が
図5に示すように張り出すが、収容具をごみ容器内に載置する際には、ポケット部P自体は薄いままなのでごみ収容容量を損なうことがない。なお、張り出し部材は回動の他、引き出しや折り曲げにより張り出すようにしてもよい。
【0027】
図7は本願発明のプラスチック製袋の収容具の異なる実施例を示す図である。ここでは、収容本体1の下部の前方のL字状の張り出し部2の両側の立ち上がり片14、14を上部に向かうほど先細りとなる形状をもって収容本体1の上方に延長している。また、それに合わせて、収容本体1の上部に設けた巾方向の半島状の切り欠き7に代え窓部17としている。この場合、上記窓部17を壁面に突設した掛止部材に収容具を掛止する際の被掛止部としてもよいが、ここでは独立した被掛止穴18を設けている。
【0028】
前記実施例においては、収容本体1の上方まで延長した張り出し部2の両側の立ち上がり片14、14により収容本体の剛性が保たれるので、収容本体の厚みを可及的に薄くすることが可能となる。
【0029】
以上の構成よりなる本願発明のプラスチック製袋の収容具は床面に載置して使用する他、ごみ容器内や引き出し内に載置して使用したり、あるいは壁面に掛止して使用する。
図8はごみ容器G内に載置して使用する状態を図示したものである。
【符号の説明】
【0030】
1 収容本体
2 張り出し部
3 立ち上がり片
4 立ち上がり片
5 切り込み
6 舌片
7 半島状の切り欠き