(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】ライセンス管理装置、ライセンス管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/10 20130101AFI20220621BHJP
G06F 9/455 20060101ALN20220621BHJP
【FI】
G06F21/10
G06F9/455 150
(21)【出願番号】P 2018028643
(22)【出願日】2018-02-21
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【氏名又は名称】青木 充
(74)【代理人】
【識別番号】100168310
【氏名又は名称】▲高▼橋 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】池内 望
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正昭
(72)【発明者】
【氏名】平井 亮太
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/024341(WO,A1)
【文献】特開2008-242856(JP,A)
【文献】特開2017-049643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/10
G06F 9/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーケストレーション対象の仮想ネットワーク機能毎に、許諾するライセンスの数を示すライセンス数を含むライセンス情報の登録を受け付け、前記仮想ネットワーク機能毎にライセンス数を管理するライセンス管理部を備え、
前記ライセンス管理部は、前記仮想ネットワーク機能毎に定められた前記ライセンス数の範囲で、前記仮想ネットワーク機能の生成及び利用を許可
し、
前記ライセンス情報は、ライセンスの認証方法を示す認証パターン情報を含み、
前記仮想ネットワーク機能について、ライセンス種別に応じた認証パターンを設定可能であること、を特徴とするライセンス管理装置。
【請求項2】
前記ライセンス情報は、前記ライセンス数に対応するライセンスの認証キーを含み、
前記ライセンス管理部は、前記認証キー毎に、各仮想ネットワーク機能のステータスを管理する請求項1のライセンス管理装置。
【請求項3】
前記ライセンス管理部は、前記認証キーと、払い出した仮想ネットワーク機能を一意に識別する識別子とを対応付けることで、各仮想ネットワーク機能のステータスを管理する請求項2のライセンス管理装置。
【請求項4】
前記ライセンス情報は、ライセンスの有効期間情報を含み、
前記ライセンス管理部は、有効期間が満了したライセンスを失効状態に更新する請求項1から3いずれか一のライセンス管理装置。
【請求項5】
前記認証パターンとして、仮想ネットワーク機能が所定のライセンスサーバから認証を受けるオンライン認証と、仮想ネットワーク機能から発行された認証キーと引き換えに入手可能なライセンス情報を用いたオフライン認証とのいずれかを設定可能である
請求項1から4いずれか一のライセンス管理装置。
【請求項6】
前記ライセンス管理部は、ライセンスの解除要求に応じて、ライセンスの解除処理を行うとともに、前記解除を受け付けたライセンスを失効又は使用前の状態に更新する請求項1から
5いずれか一のライセンス管理装置。
【請求項7】
さらに、仮想ネットワーク機能のオーケストレーションを行う機能を備える請求項1から
6いずれか一のライセンス管理装置。
【請求項8】
仮想ネットワーク機能のライセンス管理装置が、
オーケストレーション対象の仮想ネットワーク機能毎に、許諾するライセンスの数を示すライセンス数を含むライセンス情報の登録を受け付け、前記仮想ネットワーク機能毎にライセンス数を管理するステップと、
前記仮想ネットワーク機能毎に定められた前記ライセンス数の範囲で、前記仮想ネットワーク機能の生成及び利用を許可するステップと、
を含
み、
前記ライセンス情報は、ライセンスの認証方法を示す認証パターン情報を含み、
前記仮想ネットワーク機能について、ライセンス種別に応じた認証パターンを設定可能である、ライセンス管理方法。
【請求項9】
仮想ネットワーク機能のライセンス管理装置を構成するコンピュータに、
オーケストレーション対象の仮想ネットワーク機能毎に、許諾するライセンスの数を示すライセンス数を含むライセンス情報の登録を受け付け、前記仮想ネットワーク機能毎にライセンス数を管理する処理と、
前記仮想ネットワーク機能毎に定められた前記ライセンス数の範囲で、前記仮想ネットワーク機能の生成及び利用を許可する処理と、
を実行させ
、
前記ライセンス情報は、ライセンスの認証方法を示す認証パターン情報を含み、
前記仮想ネットワーク機能について、ライセンス種別に応じた認証パターンを設定可能である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライセンス管理装置、ライセンス管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用サーバの性能向上、ネットワーク基盤の充実を背景として、サーバなどの物理リソース上に仮想化されたコンピューティングリソースをオンデマンドで使うクラウドコンピューティング(以下、クラウド)が広く普及している。また、ネットワーク機能を仮想化し、クラウド上で提供するNetwork Function Virtualization(以下、NFV)が知られている。NFVとは、仮想化技術およびクラウド技術を用いて、これまで専用ハードウェア(以下、HW)上で動かされていた様々なネットワークサービスのHWとソフトウェア(以下、SW)を分離し、SWを仮想化された基盤上で動かす技術である。これによって運用の高度化やコスト削減が期待されている。
【0003】
ETSI NFVではNFVのアーキテクチャが定義されている(非特許文献1、特許文献1、2参照)。仮想化されるネットワークMANO(Management and Orchestration)には、仮想化基盤を管理するVIM、ネットワークサービスを構成するVNFを管理するVNFM、これらを制御するNFVOが定義されている。なお、VIM、VNF、VNFMは、それぞれ、Virtualized Infrastructure Manager、Virtual Network Function、VNF Managerの略である。また、VNFはVNFC(VNF Component)によって構成され、VNFCが一つのVM(Virtual Machine)上で実行される。
【0004】
また、特許文献3には、仮想マシン上で利用されるソフトウェアの不正利用を防止することができるというライセンス管理プログラムが開示されている。同公報によると、このライセンス管理プログラムは、ソフトウェアがインストールされるコンピュータに、前記コンピュータ又は前記コンピュータ上の仮想マシンの第一の固有情報を取得する第一の固有情報取得手順を実行させる。そして、このライセンス管理プログラムは、前記第一の固有情報が仮想マシンに関する情報を含む場合、前記コンピュータに、第二の固有情報を取得する第二の固有情報取得手順を実行させる。ここで、第二の固有情報とは、前記コンピュータ又は前記コンピュータとネットワークを介して接続されるコンピュータの固有情報であると記載されている。そして、このライセンス管理プログラムは、前記第一の固有情報が仮想マシンに関する情報を含む場合、前記コンピュータに、前記第一の固有情報と前記第二の固有情報とを組み合わせて、第一の生成手順を実行させる。この第一の生成手順においては、前記ソフトウェアが利用される前記仮想マシンを識別する識別情報を生成する、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/121802号
【文献】特開2017-173894号公報
【文献】特開2013-131015号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】ETSI GS NFV-MAN 001 V1.1.1 (2014-12) Network Functions Virtualisation (NFV); Management and Orchestration、[online]、[平成30年1月30日検索]、インターネット〈http://www.etsi.org/deliver/etsi_gs/NFV-MAN/001_099/001/01.01.01_60/gs_NFV-MAN001v010101p.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。上記NFVの普及の一方で、サービスを構成するVNFのライセンス体系や管理方法は統一されていないという問題点がある。ETSI NFVにおいても、ライセンス管理については検討中の状況にあり、オープンシステムとしての汎用的な管理方法は確立されていない。このような状況は、オープンシステムを基本とするETSI NFVの趣旨ともマッチしていない。上記ライセンス体系や管理方法の不統一は、管理の複雑さやそれに伴うコストの増をもたらしており、実運用上の課題となっている。
【0008】
例えば、ライセンスの総量の管理、ライセンスの使用済み/未使用をあらわす状態管理、VNF作成時におけるライセンスの払い出しおよび認証、ライセンスの有効期限の管理、VNF削除時におけるライセンスの認証解除などを管理する必要がある。現状では、これらの処理をシステムで採用するVNFに合わせてMANOに実装するか、管理者が手動で行って対処している。いずれの場合においても、VNF側の要件に合わせてシステムを実装し、又は、手動で処理する必要があり、導入コストの増加や、運用コストの増加につながっている。
【0009】
本発明は、上記したVNFのライセンスの管理の容易化、低コスト化に貢献できるライセンス管理装置、ライセンス管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の視点によれば、オーケストレーション対象の仮想ネットワーク機能毎に、許諾するライセンスの数を示すライセンス数を含むライセンス情報の登録を受け付け、前記仮想ネットワーク機能毎にライセンス数を管理するライセンス管理部を備えるライセンス管理装置が提供される。そして、前記ライセンス管理部は、前記仮想ネットワーク機能毎に定められた前記ライセンス数の範囲で、前記仮想ネットワーク機能の生成及び利用を許可する。
【0011】
第2の視点によれば、仮想ネットワーク機能のライセンス管理装置が、オーケストレーション対象の仮想ネットワーク機能毎に、許諾するライセンスの数を示すライセンス数を含むライセンス情報の登録を受け付け、前記仮想ネットワーク機能毎にライセンス数を管理するステップと、前記仮想ネットワーク機能毎に定められた前記ライセンス数の範囲で、前記仮想ネットワーク機能の生成及び利用を許可するステップと、を含むライセンス管理方法が提供される。本方法は、仮想ネットワーク機能のライセンス管理を行うライセンス管理装置という、特定の機械に結びつけられている。
【0012】
第3の視点によれば、仮想ネットワーク機能のライセンス管理装置を構成するコンピュータに、オーケストレーション対象の仮想ネットワーク機能毎に、許諾するライセンスの数を示すライセンス数を含むライセンス情報の登録を受け付け、前記仮想ネットワーク機能毎にライセンス数を管理する処理と、前記仮想ネットワーク機能毎に定められた前記ライセンス数の範囲で、前記仮想ネットワーク機能の生成及び利用を許可する処理と、を実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記したVNFのライセンスの管理の容易化、低コスト化に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のMANOが保持するライセンス管理テーブルの一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態のMANOが保持する認証パターン管理テーブルの一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態のMANOによって管理されるライセンスの状態遷移を示す状態遷移図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の動作(オンラインライセンス認証)を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の動作(オフラインライセンス認証)を説明するためのシーケンス図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の動作(オンラインライセンス解除)を説明するためのシーケンス図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の動作(オフラインライセンス解除)を説明するためのシーケンス図である。
【
図10】本発明のライセンス管理装置又はMANOを構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0016】
本発明は、その一実施形態において、
図1に示すように、NFVI(NFVインフラストラクチャ)12上で動作するVNFをオーケストレーションするMANO20に、ライセンス管理機能21aを追加した構成にて実現することができる。
【0017】
具体的には、このライセンス管理機能21aは、オーケストレーション対象のVNF13毎に、管理者30から、許諾するライセンスの数を示すライセンス数を含むライセンス情報の登録を受け付ける。そして、このライセンス管理機能21aは、前記ライセンス情報に基づいて、VNF毎にライセンス数を管理するライセンス管理部として機能する。そして、このライセンス管理機能21aは、VNF毎に定められた前記ライセンス数の範囲で、VNFの生成及び利用を許可する。
【0018】
以上のようなMANO10によれば、VNFのライセンスの管理の容易化、低コスト化が実現される。その理由は、ライセンスの総量の管理、使用状態管理、認証、有効期限の管理、認証解除などを一元管理可能な構成を採用したことにある。
【0019】
なお、
図1の例では、MANO20内のライセンス管理機能21aがライセンス管理装置として機能しているが、MANO20と、ライセンス管理装置とがそれぞれ独立して配置されている構成も採用可能である。
【0020】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
図2を参照すると、ライセンス管理部21と、VNFM22とを備えたMANO20の構成が示されている。
【0021】
MANO20は、仮想化基盤上を介して提供されるNFV(Network Functions Virtualisation)のオーケストレーションを行う装置である。本実施形態では、MANOがライセンス管理装置としても機能する。なお、MANOは、NFV MANO(Network Functions Virtualisation Management and Network Orchestration)とも記載される(非特許文献1参照)。
【0022】
管理者30は、VNFのライセンスの管理を行う者の端末等である。前述したように、VNFによってライセンス管理主体が異なる場合があり、その場合、管理者30は複数存在することになる。
【0023】
ライセンス管理部21は、総量管理部211と、認証処理部212とを備えている。VNFM22は、上記したライセンス管理部21と連携して、ネットワークサービスを構成するVNFを管理する。以下、ライセンス管理部21の詳細構成を説明する。
【0024】
総量管理部211は、VNFのライセンスをプールとして保持しておき、VNF作成時にはこのプールからライセンスを払い出す。ただし、管理者30はVNF作成時よりも前にライセンスの情報を登録しておく必要がある。従って、管理者30はライセンスの情報として、次の情報を総量管理部211に登録する。
【0025】
・VNFの種類
・ライセンスの数
・ライセンスの認証パターン
・ライセンスの認証キーとなる文字列、またはファイルなど
・ライセンスの有効期限
【0026】
図3は、上記管理者30から受け付けたライセンスの情報を管理するためのライセンス管理テーブルの一例を示す図である。
図3の「VNFの種類」フィールドには、VNFを一意に特定する文字列が登録される。VNFを一意に特定する文字列は、例えば、VNFのメーカ名_VMの型番といった形態を採ることができる。
【0027】
図3のライセンス管理テーブルにおいて、「ライセンスの数」は、同一種類のVNFのエントリの数によって表されている。例えば、
図3のVNF_Aのライセンス数は3であり、それぞれ「使用可」状態となっている。
【0028】
図3の「認証パターン」には、ライセンスの認証の方法を特定する情報が登録される。
図3の場合、VNF_A~VNF_Cについて、パターン1~4が設定されている。パターン1~4は、
図4に示す認証パターン管理テーブルに定義されている。例えば、
図3のVNF_Aの認証パターンは、パターン1となっている。一方、
図4を参照すると、パターン1は、オンライン認証でA1コマンドを実行するとの認証方法が定義されている。従って、VNF_Aは、オンライン認証で、A1コマンドを実行することでライセンス認証を受けることが可能となっている。同様に、例えば、
図3のVNF_Bの認証パターンは、パターン2となっているので、VNF_Bは、オンライン認証で、B1コマンドを実行することでライセンス認証を受けることが可能となっている。
【0029】
なお、
図4に示す認証パターン管理テーブルを用いた本実施形態によれば、同一種類のVNFについて異なる認証方法を設定することも可能となっている。例えば、
図3のVNF_Cには、認証パターンが、パターン3のものと、パターン4のものがある。
図4を参照すると、パターン3は、オンライン認証でC1コマンドを実行することで認証を受ける方法を規定している。一方、パターン4は、オフライン認証でX-API(Application Programming Interface)を用いて認証キーを送る方式で認証を受ける認証方法を規定している。なお、
図4の例では、認証時のみならず認証を解除するときの方法も設定されている。
【0030】
なお、上記説明において、A1コマンド、B1コマンド、C1コマンドという表記中の符号「A1」は、他の認証パターンのコマンドとは異なりうるコマンドであることを示すための記号である。もちろん、異なるVNFであっても同一の認証用コマンドが用いられてもよい。同様に、X-APIの「X」はライセンス解除用Y-APIと区別するための記号である。
【0031】
また、
図3の「認証キー」には、ライセンス認証に使用するキーワード(VNFによってはファイルも可)が登録される。例えば、
図3のNo.1のVNF_Aの認証キーは、0123456789である。No.4のVNF_Bは、ライセンス認証に、ファイル名にて特定されるファイルに格納された認証キーを用いることを示している。
【0032】
図3のライセンスの「有効期限」には、使用可能な期限が登録される。有効期限の表現形式は、
図3のように終期を定めた形式のほか、残日数を設定する形式であってもよい。
【0033】
図3の「状態」フィールドは、ライセンスの状態を管理するための情報を格納する領域である。
図3の例では、すべてのVNFが「使用可」状態(初期値)となっている。一方、
図3の「払い出しVNF」フィールドは、実際にVNFが払い出されたVNFを一意に特定するための情報を格納するための領域である。
図3の例では、すべてのVNFが「null」となっている。これは、ライセンスは有効であるが、VNFは払い出されていないことを示している。
【0034】
認証処理部212は、上記総量管理部211に登録された情報を参照して、ライセンスの認証、解除及び有効期限の確認等を行って、上記ライセンス管理テーブルの「状態」フィールドと、「払い出しVNF」フィールドを管理する。
【0035】
図5は、上記認証処理部212によって更新されるライセンスの状態遷移を示す状態遷移図である。その状態遷移の基本的な流れは、以下のとおりとなる。まず、ライセンス認証要求を行い、認証に成功すると、VNFの状態は「使用可」から「使用中」に遷移する。「使用中」状態においてライセンス解除要求がなされると、VNFはその種類に応じて「失効」状態又は「使用可」に遷移する。上記各状態において、認証処理部212は、ライセンスの有効期限を定期的にチェックする。「使用可」、「使用中」状態のライセンスに対して有効期限のチェックを行った結果、有効期限が過ぎている場合、認証処理部212は、ライセンスの状態を「失効」に遷移させる。もちろん、
図5に示した遷移は、代表的な遷移の一例を示しただけのものであり、ライセンスの形態によって変わりうる。
【0036】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態のライセンス管理部21を備えたMANO20は、VNF作成時および削除時に、ライセンスの払い出しと認証及び認証解除を行なう。これらの動作は、VNFM22からの通知を契機として行うことが可能である。以下、オンラインによるライセンス認証動作、オフラインによるライセンス認証動作、オンラインによるライセンス解除動作、オフラインによるライセンス認証動作の順に説明する。
【0037】
図6は、本発明の第1の実施形態の動作(オンラインライセンス認証)を説明するためのシーケンス図である。
図6を参照すると、テナント管理者がVNF生成要求をsenderに送り(ステップS001)、これを契機としてsenderが、MANO20内のNFVOにVNF生成要求を送信する(ステップS002)。ここで、テナント管理者はVNFのユーザであり、senderは、非特許文献1のNFVアーキテクチャにおけるOSS/BSS(Operation Support Systems/Business Support Systems)に相当する。
【0038】
前記VNF生成要求を受信したNFVOは、ライセンス管理部21に対し、該当するVNFの在庫の有無を問い合わせる(ステップS003)。ライセンス管理部は、作成するVNFの種類やライセンス認証の方法といった情報に基づいて、在庫から、テナント管理者が使用可能なライセンスを払い出す(破線参照)。
【0039】
NFVOは、VNF作成要求に、前記払い出されたライセンスの情報を格納した上で、VNFM22に対し、VNF生成要求を送信する(ステップS004、S005)。なお、ステップS003において、使用可能なライセンスが在庫になくライセンスが払い出されなかった場合、NFVOは、VNFの生成を中止してもよい。また、この場合において、前記VNFの生成を中止とせず、NFVOが、ライセンス認証をスキップしてVNFの生成のみを続行してもよい。この場合、NFVOは、VNF生成が完了したあと、ライセンス認証のみを実施すればよい。
【0040】
VNF生成要求を受信したVNFM22は、VIMに対して、VNF生成要求を転送する(ステップS006)。そして、VNF生成要求を受信したVIMは、VNFを生成する(ステップS007)。
【0041】
VNF生成後、VNFM22は、払い出されたライセンス情報に基づき、VNFに対して、ライセンス認証要求を送信する(ステップS008)。VNFは、DC内ライセンスサーバを介して、インターネット等の外部にある各VNFベンダのライセンスサーバへ認証を行なう(ステップS009、S010)。なお、DC内ライセンスサーバはVNFのベンダによって要否が異なるため、VNFがインターネット上の外部ライセンスサーバへ直接認証手続を行う場合もある。
【0042】
上記VNFによるライセンスの認証が成功した場合、NFVOは、ライセンス管理部21のライセンス数を更新する(ステップS011、S012)。具体的には、ライセンス管理部21は、払い出したライセンス情報の状態を「使用中」に変更し、払い出し先VNFの情報としてVNFを一意に特定する情報に更新する。このVNFを一意に特定する情報としては、UUID(Universally Unique Identifier)等を用いることが可能である。
【0043】
図7は、本発明の第1の実施形態の動作(オフラインライセンス認証)を説明するためのシーケンス図である。本実施形態のオフラインライセンス認証とは、VNFがライセンスサーバ等と直接ライセンス認証手続を行わず、テナント管理者がVNFベンダから取得したライセンス情報を用いて認証を行う形態を指している。テナント管理者によるVNF生成要求(ステップS001)からVNF生成(ステップS007)までの動作は、
図6に示したオンラインライセンス認証と同様の手順であるため説明を省略する。なお、
図7の例で、ライセンスの確認後のNFVOからVNFM22に対し直接VNF生成要求が送信される点での相違はあるが(ステップS004a参照)、ライセンス管理部21がVNF生成要求を中継するか否かの違いであり、全体としての流れは同じである。
【0044】
VNF生成後、テナント管理者は、ライセンス発行に必要なVNFのキー情報を取得すべく、VNFM22を介して、VNFからキー情報を取得する(ステップS101~S104)。
【0045】
前記キー情報を取得したテナント管理者は、VNFベンダに対し、キー情報を送信し、ライセンス情報を取得する(ステップS111、S112)。
【0046】
その後、テナント管理者は、取得したライセンス情報を用いて、senderにライセンス認証要求を送る。senderによるライセンス認証要求の転送を契機として、NFVOは、VNFに対し、ライセンス認証を行なう(ステップS131~S134)。VNFでライセンスの認証が成功した場合、NFVOはライセンス管理部のライセンス数を更新する(ステップS011、S012)。また、NFVOは、払い出したライセンス情報の状態を「使用中」に更新し、払い出し先VNFの情報としてVNFを一意に特定する情報に更新する。
【0047】
図8は、本発明の第1の実施形態の動作(オンラインライセンス解除)を説明するためのシーケンス図である。ライセンス解除を希望するテナント管理者はsenderに対して、ライセンス解除要求を送る(ステップS201)。ライセンス解除要求を受信したsenderはNFVOに対してライセンス解除要求を送信する(ステップS202)。
【0048】
ライセンス解除要求を受信したNFVOは、VNFMに対してライセンス解除要求を送信する(ステップS203)。ライセンス解除要求を受信したVNFM22は、VNFに対し、ライセンス解除要求を送信する(ステップS204)。
【0049】
VNFは、DC内ライセンスサーバを経て、インターネット等の外部にあるVNFベンダのライセンスサーバに対してライセンス解除を要求する。なお、オンラインライセンス認証と同様、DC内ライセンスサーバはVNFのベンダによって要否が異なるため、VNFがインターネット上の外部ライセンスサーバへ直接解除手続を行う場合もある。
【0050】
VNFでライセンスの解除が成功した場合、NFVOはライセンス管理部21のライセンス数を更新する。具体的には、NFVOは、解除したライセンス情報の状態を「使用可」または「失効」に更新する。
図5の状態遷移図に示したとおり、解除時の遷移先の状態はVNFに依存する。ライセンスの状態を「使用可」に遷移させる場合、NFVOは、払い出し先VNFの情報をnullに戻す処理を行う。これにより、ライセンス情報の状態は、未使用状態(使用前の状態)になる。
【0051】
図9は、本発明の第1の実施形態の動作(オフラインライセンス解除)を説明するためのシーケンス図である。本実施形態のオフラインライセンス解除とは、VNFがライセンスサーバ等と直接ライセンス解除手続を行わず、テナント管理者がVNFから取得した解除キーを用いてVNFベンダとライセンス解除を行う形態を指している。基本的な流れは、
図8と同様であり、テナント管理者がsenderに対し、ライセンス解除要求を送り(ステップS301)、これを契機としてsenderがNFVOに対してライセンス解除要求を送信する(ステップS302)。
【0052】
ライセンス解除要求を受信したNFVOは、VNFM22にライセンス解除要求を転送する(ステップS303)。前記ライセンス解除要求を受信したVNFM22は、VNFに対してライセンス解除要求を送信する(ステップS304)。前記ライセンス解除要求を受信したVNFは、VNFM22に対して、解除キーを返却する(ステップS305)。前記解除キーを受信したVNFM22はNFVOに対して解除キーを返却する(ステップS306)。VNFでライセンスの解除が成功した場合、NFVOはライセンス管理機能のライセンス数を更新する(ステップS307)。そして、NFVOは、解除したライセンス情報の状態を「使用可」または「失効」に更新する。前述のとおり、この際のライセンスの状態の遷移先は、VNFに依存する。ライセンスの状態を「使用可」に遷移させる場合、NFVOは、払い出し先VNFの情報もnullに更新する。
【0053】
その後、前記ライセンス解除要求の応答として、解除キーを取得したテナント管理者はVNFベンダに対して解除キーを送付する。なお、解除キー送付はVNFのベンダによって要否が異なるため、必ずしも必要なシーケンスではない。
【0054】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、VNFに関するライセンスの管理が簡素化される。その理由は、VNFの運用中におけるライセンスの認証及び解除が、MANO20により自動で実施させる構成を採用したことにある。なお、先の実施形態の
図3、
図4を用いて説明したように、本実施形態では、運用開始前に、ライセンス情報の登録が必要となるが、運用開始後の管理者の負担を減るため、全体として作業量は大きく削減される。
【0055】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。また、以下の説明において、「A及び/又はB」は、A及びBの少なくともいずれかという意味で用いる。
【0056】
例えば、上記した実施形態では、MANO20内にライセンス管理部21が配置されるものとして説明したが、MANO20以外の別の装置にライセンス管理部21を設けてライセンス管理装置として機能させることもできる。
【0057】
また、上記した実施形態に示した手順は、ライセンス管理装置乃至MANO20として機能するコンピュータ(
図10の9000)に、ライセンス管理装置としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図10のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図10のCPU9010にて、ライセンス管理部21内の総量管理部211及び認証処理部212の機能を実現するプログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持されたライセンス管理情報の更新処理を実施させればよい。
【0058】
即ち、上記した実施形態に示したライセンス管理装置乃至MANO20の各部(処理手段、機能)は、これらの装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0059】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点によるライセンス管理装置参照)
[第2の形態]
上記したライセンス管理装置において、
前記ライセンス情報は、前記ライセンス数に対応するライセンスの認証キーを含み、
前記ライセンス管理部は、前記認証キー毎に、各仮想ネットワーク機能のステータスを管理する構成を採ることができる。
[第3の形態]
上記したライセンス管理装置において、
前記ライセンス管理部は、前記認証キーと、払い出した仮想ネットワーク機能を一意に識別する識別子とを対応付けることで、各仮想ネットワーク機能のステータスを管理する構成を採ることができる。
[第4の形態]
上記したライセンス管理装置において、
前記ライセンス情報は、ライセンスの有効期間情報を含み、
前記ライセンス管理部は、有効期間が満了したライセンスを失効状態に更新する構成を採ることができる。
[第5の形態]
上記したライセンス管理装置において、
前記ライセンス情報は、ライセンスの認証方法を示す認証パターン情報を含み、
前記仮想ネットワーク機能について、ライセンス種別に応じた認証パターンを設定可能な構成を採ることができる。
[第6の形態]
上記したライセンス管理装置において、
前記認証パターンとして、仮想ネットワーク機能が所定のライセンスサーバから認証を受けるオンライン認証と、オンライン認証とは異なるオフライン認証とのいずれかを設定可能な構成を採ることができる。前記オフライン認証の例としては、仮想ネットワーク機能から発行された認証キーと引き換えに入手可能なライセンス情報を用いた認証を行う方法を採ることができる。
[第7の形態]
上記したライセンス管理装置において、
前記ライセンス管理部は、ライセンスの解除要求に応じて、ライセンスの解除処理を行うとともに、前記解除を受け付けたライセンスを失効又は使用前の状態に更新する構成を採ることができる。
[第8の形態]
上記したライセンス管理装置において、
仮想ネットワーク機能のオーケストレーションを行う機能を備えていてもよい。即ち、上記したライセンス管理装置は、ライセンス管理機能を備えたMANOとして実現することもできる。
[第9の形態]
(上記第2の視点によるライセンス管理方法参照)
[第10の形態]
(上記第3の視点によるプログラム参照)
なお、上記第9~第10の形態は、第1の形態と同様に、第2~第8の形態に展開することが可能である。
【0060】
なお、上記の特許文献および非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0061】
12 NFVI(NFVインフラストラクチャ)
13 VNF(仮想ネットワーク機能)
20 MANO
21 ライセンス管理部
21a ライセンス管理機能
22 VNFM
30 管理者
211 総量管理部
212 認証処理部
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置