(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】エジェクタロッド及びこれを用いた射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/40 20060101AFI20220621BHJP
B29C 33/44 20060101ALI20220621BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20220621BHJP
B29C 45/84 20060101ALI20220621BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20220621BHJP
B22D 17/22 20060101ALI20220621BHJP
B22C 9/06 20060101ALI20220621BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20220621BHJP
B22D 29/04 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B29C45/40
B29C33/44
B29C45/76
B29C45/84
B22D17/32 Z
B22D17/22 L
B22C9/06 A
B22D46/00
B22D29/04 C
(21)【出願番号】P 2018045339
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】大久保 芳樹
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3193031(JP,U)
【文献】特開平06-039843(JP,A)
【文献】特開2010-076278(JP,A)
【文献】特開2005-335131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
B29C 45/00 - 45/84
B22D 15/00 - 17/32
B22D 29/00 - 29/08
B22D 46/00
B22C 5/00 - 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテン(2)に対して近接方向または離隔方向へ移動されるように当該プラテン(2)の裏側に設けられるエジェクタプレート(6)を貫通する取付孔(6b)に固定端(14e)が固定され、前記エジェクタプレート(6)から、前記プラテン(2)に向けて突設されるベースロッド(11)と、
前記ベースロッド(11)の先端に脱着自在に連結されるアタッチメントロッド(12)と、を備えるエジェクタロッドであって、
前記エジェクタプレート(6)が前記プラテン(2)に向けて近接方向へ移動されることにより、前記プラテン(2)の表面に固定される金型(M)内の成形物を当該プラテン(2)のロッド挿通孔(5)を通じて押し出すエジェクタロッド(10)において、
前記ベースロッド(11)は、前記ベースロッド(11)の先端から前記エジェクタプレート(6)に取り付けられる固定端(14e)まで間を貫通し、前記先端部に取り付けられたアタッチメントロッドに対して前記ベースロッド(11)内部で対向する筒孔(14c、15f)を有しており、
アタッチメントロッド(12)が前記先端部に連結されたこと又は連結が解除されたことを検出するセンサユニット(16)が、前記筒孔(14c、15f)に取り付けられている、
ことを特徴とするエジェクタロッド。
【請求項2】
請求項1のエジェクタロッドにおいて、
前記ベースロッド(11)は、前記エジェクタプレート(6)に取り付けられる延長ロッド(14)とアタッチメントロッド(12)が取り付けられる第2連結部分(15)とを有し、
前記第2連結部分(15)を貫通する前記筒孔(15f)に雌ネジ(15g)が設けられ、前記センサユニット(16)の外周に前記雌ネジ(15g)と螺合する雄ネジ(16a)が設けられ、
前記雌ネジ(15g)と雄ネジ(16a)の螺合により、前記センサユニット(16)が前記筒孔(15f)内を進退することを特徴とするエジェクタロッド。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかのエジェクタロッドが取り付けられたエジェクタプレート(6)と、
前記センサユニット(16)の検出信号を表示する警報表示装置(9)とを有することを特徴とする射出成形機。
【請求項4】
請求項1又は2のいずれかのエジェクタロッドが複数取り付けられたエジェクタプレート(6)と、
金型(M)に応じてエジェクタプレート(6)のどの位置に取り付けられたベースロッド(11)に対してアタッチメントロッド(12)を連結すべきかを表す連結情報を記憶するメモリ(25)と、
前記プラテン(2)に取り付けられた金型(M)の識別情報から対応する連結情報(25a)を読み出し、各エジェクタロッドの前記センサユニット(16)からの検出信号と比較する処理装置(27)と、
一致しない場合に警報を発する警報装置(28)とを有することを特徴とする射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のベースロッドに対して軸心方向に着脱可能なアタッチメントロッドが選択的に連結されるエジェクタロッド及びこれを用いた射出成形機に関し、特に必要なアタッチメントロッドが連結されているかを判定できるエジェクタロッド及びこれを用いた射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、エジェクタロッドにより金型内に射出成形された成形物を押し出すエジェクタ装置を具備している。金型によってエジェクタロッドの配置位置は決まっており、射出成形機の金型を別の金型に変更したときはエジェクタロッドの配置を変更しなければならない場合がある。
【0003】
金型を固定するプラテンの背後には、エジェクタプレートが配置されている。エジェクタプレートにはエジェクタロッドを固定する位置が複数用意されており、エジェクタロッドはプラテンのロッド挿通孔を貫通して金型内に到る。エジェクタロッドは、軸方向に基端側のベースロッドと先端側のアタッチメントロッドに2分割されており、アタッチメントロッドを、エジェクタプレートに固定されたベースロッドとの間で着脱可能に接続する。エジェクタロッドの配置変更は、ベースロッドはそのままとし、アタッチメントロッドを着脱することにより行われる。
【0004】
このようなエジェクタ装置として例えば、特許文献1には記載されたものがある。この技術によれば、基端側のロッドと先端側のロッドとの間に異なる磁石を周方向に互い違いに配置して対面させ、磁力で吸着させて連結し、その連結を解除するときには基端側のロッドに対して先端側のロッドを軸心回りに回転させ磁力の反発によって分離させる。
【0005】
また、特許文献2には、ソケット側のロッドにプラグ側のロッドを差し込んで連結する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-76278号公報
【文献】特開2013-256078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
射出成形機は、多くの場合同じ成形物を連続的に成型するのであり、全く異なる成形物への変更は少ない。一方、成形物の仕様が一部異なる金型への変更は、比較的頻繁に発生する。この場合、殆どのエジェクタロッドについては、位置を変更する必要は無いが、ごく一部のエジェクタロッドのみ(例えば、1本のみ)は、位置変更を行うことが発生する。
【0008】
エジェクタロッドの位置は金型に応じて決められているのでその通り設定すれば良いが、仕様が一部異なる金型への変更の場合、ラインの作業員によるミスにより本来あるべき位置にエジェクタロッドが存在せず、また逆の場合が発生しやすい。
また、アタッチメントロッドはベースロッドと共にプラテンのロッド挿通孔を挿通しており、アタッチメントロッドとベースロッドの連結部分は、プラテンのロッド挿通孔の中に隠れて、外観で正確に連結されているか、抜けがあるかどうかを判別することは難しかった。また、アタッチメントロッドの抜けは、射出成形作業を繰り返している間にも発生することがある。
本発明の目的は、金型変更の際にアタッチメントロッドの付け忘れ、取り外し忘れ、或いは意図せず抜けが生じたことを警告可能なエジェクタロッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明のエジェクタロッドは、ベースロッド11と、アタッチメントロッド12とを備える。プラテン2に対して近接方向または離隔方向へ移動されるエジェクタプレート6が、当該プラテン2の裏側に設けられる。そのエジェクタプレート6を貫通する取付孔6bにベースロッド11の固定端14eが固定される。そのベースロッド11が前記エジェクタプレート6から前記プラテン2に向けて突設される。前記ベースロッド11の先端にアタッチメントロッド12が脱着自在に連結される。前記エジェクタプレート6が前記プラテン2に向けて近接方向へ移動されることにより、前記プラテン2の表面に固定される金型M内の成形物を当該プラテン2のロッド挿通孔5を通じて押し出す。前記ベースロッド11は、筒孔14c、15fを有している。その筒孔14c、15fは、前記ベースロッド11の先端から前記エジェクタプレート6に取り付けられる固定端14eまで間を貫通され、前記先端部に取り付けられたアタッチメントロッドに対して前記ベースロッド(11)内部で対向する。アタッチメントロッド12が前記先端部に連結されたこと又は連結が解除されたことを検出するセンサユニット16が、前記筒孔14c、15fに取り付けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、仕様が一部異なる金型への変更の場合、ラインの作業員によるミスにより本来あるべき位置にエジェクタロッドが存在せず、また逆の場合が生じても、センサユニットによりこれを検出することができる。また、アタッチメントロッドの連結の状態及び連結解除の状態をベースロッドの内部に設けられたセンサユニットにより検出するため、アタッチメントロッドとベースロッドとの連結部分がロッド挿通孔内に隠れてしまっていても、正確な連結若しくは抜けの有無をセンサユニットにより検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】射出成形機の一部を示す図であり、
図1Aは当該一部の部分断面側面図、
図1Bはプラテンの正面図である。
【
図2】ベースロッドの断面図であり、
図2Aはソケットと延長ロッドが分離するベースロッドの断面図、
図2Bは
図2Aのベースロッドの分解図、
図2Cはソケットと延長ロッドが一体のベースロッドの断面図、
図2Dは
図2Aのベースロッドの分解図である。
【
図3】エジェクタプレート、ベースロッド、及びアタッチメントロッドとの接続関係を示した断面図であり、
図3Aはアタッチメントロッドの連結前を示す図、
図3Aは連結途中を示す図、
図3Cは連結後を示す図である。
【
図5】エジェクタ装置を示す図であり、
図5Aはブロック図、
図5Bは動作フローを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を説明する。
図1において射出成形機1の一部が示されている。
図1Aにおいて射出成形機1は、金型M(破線で示した)が固定されるプラテン2と、図示しない駆動機構によりプラテン2を(図面左右方向に)前進・後退に移動自在にガイド支持するガイドロッド3と、金型Mから成形品をエジェクトするエジェクタ装置4を備えている。プラテン2には、左右方向に貫通された複数のロッド挿通孔5が設けられており、
図1Bに示すようにロッド挿通孔5の配置位置は、プラテン2の表面に離散的である。そして、その位置は、射出成形機1で使用予定の複数種類の金型Mに基づいて設定されている。複数のロッド挿通孔5には、夫々エジェクタロッド10が摺動自在に挿通される。プラテン2の背面側(図面左側)にはエジェクタプレート6が配設されており、そのエジェクタプレート6にエジェクタロッド10が右方へ突設されている。エジェクタプレート6は、エジェクタ駆動機構7によりプラテン2に接近・離隔される。エジェクタロッド10は、エジェクタプレート6に固定されたベースロッド11と、ベースロッド11に選択的に接続されるアタッチメントロッド12とを有している。ここで、選択的とは、設定される金型Mによっては、アタッチメントロッド12がベースロッド11に連結される箇所と連結しない箇所が存在するということである。アタッチメントロッド12には、ベースロッドと接続するための第1連結部分13が設けられている。第1連結部分13については、
図3に関連して後述する。尚、本明細書において、エジェクタロッド10と言う場合は、ベースロッド11のみの場合および、アタッチメントロッド12とベースロッド11とが連結している場合の両方を言うものとする。
【0013】
プラテン2の裏面のエジェクタ駆動機構7がプラテン2に対してエジェクタプレート6を左右に移動させると、エジェクタロッド10も対応するロッド挿通孔5内を摺動される。エジェクタロッド10が右方向に移動したとき(エジェクト位置のとき)に、ベースロッド11の先端部はプラテン2から右に突出しない。一方、アタッチメントロッド12が装着されたエジェクタロッド10は、プラテン2に取り付けられた金型M内に進入し、エジェクタ駆動機構7の押し力により内部の成形物を押し出す。
【0014】
図2はベースロッド11の断面図である。ベースロッド11は、円筒状の延長ロッド14と、延長ロッド14と同一径の外形寸法を有する円柱状の第2連結部分15とからなる。延長ロッド14の右端の雌ネジ14aと第2連結部分15の左端の雄ネジ15eが同軸上にあり、両者を螺合して固定・一体化される。尚、雌ネジ14aと雄ネジ15eの関係は雌雄逆でも良い。
【0015】
第2連結部分15には、右端面(先端面)から左方へソケット穴15aが開口している。ソケット穴15aの内周壁の右端寄り部(先端寄り部)に径方向の外方へ陥没したロック溝15bが周方向に形成される。ロック溝15bを挟んでその左右には、第1連結部分13(後述する)の外周が嵌合する受け面15cが設けられる。また、ソケット穴15aの左側(奥側)には、六角穴からなる嵌合部15dが設けられる。嵌合部15dは、第2連結部分15を延長ロッド14に螺合する際に、六角レンチが装着されて回転締め付けを行うために用いられる。嵌合部15dのさらに左側(奥側)は、第2連結部分15と同心の筒孔15f(装着孔)が、第2連結部分15の左端まで貫通している。筒孔15fを内周壁には雌ネジ15gが設けられている。センサユニット16は、雌ネジ15gに対して螺合する雄ネジ16aを外周に有し、ロッドセンサ16bが内部に配置されている。センサユニット16は、第2連結部分15の雌ネジ15gの左側から、螺入することができ、その根元には平面取りによる二平面や六角面等の入力面16cが備えられ、適当な工具により回転力を受けられるようになっている。また、ロッドセンサ16bは、第1連結部分13の存在の有無を検出するセンサであり、スイッチ等の接触又はホール素子、光電センサ、近接スイッチ等の非接触センサを用いることができる。センサユニット16は、第1連結部分13の存在の有無を検出するのに最適な位置になるまで雌ネジ15gに螺入され、適当な位置でロックナット17を雄ネジ16aに左側から螺合することにより固定する。ロッドセンサ16bの位置を調整することにより、第1連結部分13の微妙な抜け状態に対しても精度良くロッドセンサ16bが反応できるようになる。
【0016】
延長ロッド14には、第2連結部分15の雄ネジ15eが螺入される雌ネジ14aと、センサユニット16の一部を収容する収容室14bと、延長ロッド14に同心となる筒孔14cとが、右側から順に連続して形成されると共に、延長ロッド14の左端まで貫通している。筒孔14c、筒孔15fを通した筒孔に第2連結部分15のソケット穴15aが連通している。この構成により、ソケット穴15aにアタッチメントロッド12が挿入されたときに、アタッチメントロッド12の第1連結部13が上記の筒孔に対面する。
【0017】
図3は、エジェクタプレート6、ベースロッド11、及びアタッチメントロッド12との接続を示した断面図である。尚、プラテン2に接しているプレート8は、金型Mを磁力によりプラテンに固定するマグネットクランププレートである。
図3Aにおいて、ベースロッド11は、延長ロッド14と第2連結部分15とを固定・一体化された状態でエジェクタプレート6に固定される。固定端14eの外周に設けられる雄ネジが、エジェクタプレート6の取付孔6bの内周に設けられた雌ネジ6aに螺合することにより固定される。固定の際には、延長ロッド14の外周の一部に設けられた平面取りされた二平面若しくは六角面等の入力面14dに対して適当な治具により延長ロッド14を回転させる。取付孔6bは、エジェクタプレート6を貫通する貫通孔である。このため、センサユニット16からの信号線等の配線は、延長ロッド14の筒孔14cおよび取付孔6bを経てエジェクタプレート6の裏側に取り出される。ベースロッド11の筒孔15fにセンサユニット16が設けられる。これにより、アタッチメントロッド12とベースロッド11との連結部分がロッド挿通孔5内に隠れてしまっていても、確実に連結されていること若しくは抜けていることをセンサユニット16により検出することができる。また、近接・離間が行われるプラテン2とエジェクタプレート6との間には、センサユニット16からの配線を取り回すことがない。
【0018】
また、
図3Aの右側には、アタッチメントロッド12の断面が示されている。アタッチメントロッド12は、円柱状の延長ロッド18と、延長ロッド18と同一径で中空の基端部13aを右側に有する第1連結部分13とを備える。基端部13aの内周に設けた雌ネジ13bが延長ロッド18の雄ネジ18aにネジ止め固定される。尚、雌ネジ13bと雄ネジ18aの関係は、特許文献2に示したように雌雄逆でも良い。
【0019】
第1連結部分13は、基端部13aの左側に基端部13aよりも小径の挿入筒13cを有している。その挿入筒13cの筒孔13d内には、操作部材13eを左方へ付勢するように圧縮コイルバネからなる弾性部材13fが装着されている。弾性部材13fは、延長ロッド18の雄ネジ18aの左側に設けられた押当面18bにより支持されている。筒孔13dの内周壁には、半径方向へ貫通する2つの収容孔13gが周方向へ所定の間隔をあけて設けられる。各収容孔13gにロック用のボール13hが半径方向へ移動自在に挿入される。収容孔13gは、挿入筒13cの筒壁13iに貫通している。挿入筒13cの筒壁13iと第2連結部分15の受け面15cとは、両者が互いに摺動するのに必要な隙間を有する程度にほぼ同一径である。収容孔13gには外側に向かって小径となる縮径部が設けられ、ボール13hが外方へ脱落するのを防止している。操作部材13eの左端部は左方へ向かうにつれて先細りするように形成され、弾性部材13fにより常にボール13hを半径方向外方へ付勢している。第1連結部分13は、設定されるロッドセンサ16bの種類により適当な形状若しくは材質が選定されている。
【0020】
図3B及び
図3Cは、第1連結部分13を取り付ける過程を示している。
図3Bにおいて、第1連結部分13を第2連結部分15に挿入すると、第1連結部分13の挿入筒13cの筒壁13iが第2連結部分15の受け面15cを摺動する。ボール13hは第2連結部分15の受け面15cにより第1連結部分13内に押し込まれた状態である。
図3Cにおいて、さらに、第1連結部分13が停止位置に達すると、ボール13hがロック溝15bに侵入し保持される。第1連結部分13の先端は、ロッドセンサ16bに近接若しくは接触(センサ種別による)し、ロッドセンサ16bは取付孔6bを介して第1連結部分13の検出情報をエジェクタプレート6の裏側へ出力する。
【0021】
図2C、
図2Dは、エジェクタロッド10の他の実施例を示している。ベースロッド21は、ベースロッド11のように延長ロッド14と第2連結部分15とからなる別々の部材を螺合して固定・一体化しておらず、一本の円筒に延長ロッド部22と基端側継手部23と一つの部材として加工形成している。また、ベースロッド21のセンサユニット24は、接触子24aとロッドセンサ(例えば圧力センサ)24bとを有する。ベースロッド11とは異なり、ベースロッド21内にロッドセンサ24bを有しておらず接触子24aのみである。
【0022】
ベースロッド21の基端側継手部23は、右端面(先端面)から左方へソケット穴21aが開口している。ソケット穴21aの内周壁の右端寄り部(先端寄り部)が外方へ陥没したロック溝21bが形成される。ロック溝21bを挟んでその左右には、第1連結部分13の筒壁13iが嵌合する受け面21cが設けられる。また、ソケット穴21aの左側(奥側)には、六角穴からなる嵌合部21dが設けられる。嵌合部21dは、ベースロッド21をエジェクタプレート6に螺合する際に、六角レンチが装着されて回転締め付けを行うために用いられる。嵌合部21dのさらに左側(奥側)は、ベースロッド21と同心の筒孔21eが、ベースロッド21の左端まで貫通している。センサユニット24の接触子24aがこの筒孔21eに挿入されており、接触子24aはエジェクタプレート6のさらに左側に固定されたロッドセンサ24bに接続されている。
【0023】
次に、エジェクタロッド10を用いて、ベースロッド11に必要なアタッチメントロッド12が連結されているかを判定可能なエジェクタ装置4について説明する。
まず、既存の射出成形機に対して簡便に、ベースロッド11に必要なアタッチメントロッド12が連結されているかを判定する機能を付加する例を示す。
図4は、射出成形機1を示す。本例においては、金型Mの変更があってもごく限られたエジェクタロッド10のみの変更である場合に適用できる。
【0024】
生産設備の管理者は、射出成形機1に設定する金型Mが仕様の若干異なる成形物を成形するような生産計画の場合、エジェクタロッド10の存在/不存在の変更が生じる箇所のみ、センサユニット16(若しくは24。以下、同じ)を設けられたベースロッド11に入れ替えて、ロッドセンサ16b(若しくは24b。以下、同じ)の出力を警報表示装置9(例えば、ランプ)に接続しておく。警報表示装置9は、ロッドセンサ16bがアタッチメントロッド12を検出できないと、警告を表示する。また、各金型Mについて警報表示装置9の動作の有無を金型Mの外表面に表示しておく。その後、射出成形機1を担当する作業者が、射出成形機1を操作して作業を行う。その際に誤ったアタッチメントロッド12を設定すると、本来設定すべきベースロッド11のロッドセンサ16bが不検出状態になり、警報表示装置9が動作する。作業者は金型Mの外表面の表示を視て、適正な設定がされていないことを確認できる。また、正しくアタッチメントロッド12を設定したと思っていても、ロッドセンサ16bが検出できなければ、実際には抜けている状態であって警告が発せられるのである。そして、作業中にアタッチメントロッド12とベースロッド11の連結が不安定になり、外れる若しくは外れかけた状態になってもロッドセンサ16bがアタッチメントロッド12を検出できないと警告が表示され、作業者は射出成形機1の異常に気付くことができる。
【0025】
次に、既存の射出成形機に対して大幅に変更若しくは射出成形機を新設する場合に、ベースロッド11に必要なアタッチメントロッド12が連結されているかを判定する機能を付加したエジェクタ装置4を
図5に示す。このエジェクタ装置4は、メモリ25、入力装置26、処理装置27、警報装置28、バーコードリーダ29を有する。また、金型には、金型を特定するIDが付されている。
【0026】
センサユニット16を設けたベースロッド11がエジェクタプレート6の全ての取付孔6bに設定されている。各ベースロッド11に対しては、取付孔6bの位置に対応してアドレスが振り当てられる。また、メモリ25には、各金型Mに対して、どのアドレスのベースロッド11に対してアタッチメントロッド12を連結すべきかを表す連結情報25aが格納されている。
【0027】
作業者は各アタッチメントロッド12を所定のベースロッド11に連結し、入力装置26を介して金型MのIDを入力する。金型のIDがバーコードとして金型Mに付与されている場合には、そのバーコードの情報をバーコードリーダ29により読み取る。処理装置27は、
図5Bに示したフローを実行する。金型MのIDに基づきメモリ25から連結情報25aを読み出す(ステップ30)。各センサユニット16からのロッド検出結果と連結情報25aとを比較する(ステップ31)。一致しない場合においては、その不一致情報を処理装置27が警報装置28に伝達し、警報装置28が警報を発する。また、処理装置27は金型Mがプラテン2に設定されている限りにおいては、アタッチメントロッド12の検出を行うことにより、作業途中におけるアタッチメントロッド12の脱落を検出したときにも、同様に警報装置28が警報を発する(ステップ32)。
【0028】
本実施例によれば、生産設備の管理者でなくとも、金型のIDを入力するだけで適正なアタッチメントロッド12が連結されているかを判別できるので、熟練者でなくとも射出成形機1を扱えるという効果がある。
【0029】
上記実施例においては、ベースロッド11の第2連結部分15を雌型のソケットとし、アタッチメントロッド12の第1連結部分13を雄型のプラグとしたが、継手の雌雄の関係は逆であってもかまわない。例えば、特許文献1に示すようなエジェクタプレートに直接固定されるベースロッド側に凸状の係合ピンを設け、着脱されるロッド側に係合ピンが挿入される係合孔が設けられるエジェクタロッドにおいても適用可能である。この場合、エジェクタプレート側からベースロッドの係合ピン先端に貫通する筒孔を設けて、センサユニットを設定する。そして、係合孔の底面をセンサユニットのロッドセンサが検出する。
【符号の説明】
【0030】
1 射出成形機
2 プラテン
3 ガイドロッド
4 エジェクタ装置
5 ロッド挿通孔
6 エジェクタプレート
6a 雌ネジ
6b 取付孔
7 エジェクタ駆動機構
8 プレート
9 警報表示装置
10 エジェクタロッド
11 ベースロッド
12 アタッチメントロッド
13 第1連結部分
13a 基端部
13b 雌ネジ
13c 挿入筒
13d 筒孔
13e 操作部材
13f 弾性部材
13g 収容孔
13h ボール
13i 筒壁
14 延長ロッド
14a 雌ネジ
14b 収容室
14c 筒孔
14d 入力面
14e 固定端
15 第2連結部分
15a ソケット穴
15b ロック溝
15c 受け面
15d 嵌合部
15e 雄ネジ
15f 筒孔
15g 雌ネジ
16 センサユニット
16a 雄ネジ
16b ロッドセンサ
16c 入力面
17 ロックナット
18 延長ロッド
18a 雄ネジ
18b 押当面
21 ベースロッド
21a ソケット穴
21b ロック溝
21c 受け面
21d 嵌合部
21e 筒孔
22 延長ロッド部
23 基端側継手部
24 センサユニット
24a 接触子
24b ロッドセンサ
25 メモリ
25a 連結情報
26 入力装置
27 処理装置
28 警報装置
29 バーコードリーダ