(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】梱包体および組立システム
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
B65D85/00 P
(21)【出願番号】P 2018220747
(22)【出願日】2018-11-26
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西本 充広
(72)【発明者】
【氏名】河野 宏典
(72)【発明者】
【氏名】白石 誠
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505782(JP,A)
【文献】特開2004-153054(JP,A)
【文献】特開平04-173585(JP,A)
【文献】特開平05-146922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する複数の筒状部材を搬送
し、前記筒状部材の傷または破損を抑制するための梱包体であって、
前記筒状部材は、被取付対象の嵌合孔に圧入されるブッシュであり、前記筒状部材は、一端および他端の間の中間領域の外周部に、前記嵌合孔の内周面に係合する尖端部を有し、
前記梱包体は、
巻芯と、
前記巻芯の両側に互いに対向するように設けられた一対の側板と、
前記貫通孔を介して
、前記筒状部材の内面との間に隙間を有した状態で前記複数の筒状部材が挿通された状態で、前記巻芯の周りに巻き付けられる紐状部材と
を備え
、
前記一対の側板は、1つの筒状部材の幅に対応した間隔で離間し、
前記紐状部材は、前記複数の筒状部材が挿通された状態で渦巻き状に巻き付けられ、
前記梱包体がさらに、渦巻状に配列された複数の筒状部材のうち径方向に隣接する筒状部材の間に渦巻状に設けられる緩衝シートを有する、梱包体。
【請求項2】
前記梱包体は、前記一対の側板の中央部において、前記一対の側板のうちの一方から他方へ向かって貫通する孔部を有している、請求項
1に記載の梱包体。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の梱包体と、
前記梱包体を支持する支持部と、
前記梱包体の筒状部材と、前記筒状部材が取り付けられる被取付対象とを組み立てる組立装置とを備えた組立システム。
【請求項4】
前記支持部が、前記梱包体の筒状部材を前記組立装置に送り込むように、前記梱包体を回転させるように構成されている、請求項
3に記載の組立システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状部材を梱包するための梱包体、および、該梱包体を有し、梱包体に梱包された筒状部材と被取付対象とを組み立てる組立システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、ネジ止めされる樹脂製のコネクタなどにおいて、ネジ止め用の孔部分に補強用のブッシュが圧入される場合がある。このようなブッシュは、ブッシュが所定の形状に成形された後、コネクタとブッシュとを組み立てる組立機が設けられた場所まで、たとえば、袋などの容器にバラバラの状態で収容されて搬送されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したように、ブッシュをバラバラの状態で容器に収容して搬送した場合、搬送時の揺れなどによってブッシュ同士が互いに衝突したり、擦れたりすることによって、ブッシュが傷ついてしまう場合がある。また、ブッシュに削れなどが生じた場合、ブッシュの傷の問題だけではなく、削れカスがブッシュを取り付ける対象であるコネクタや、コネクタが取り付けられる基板などに付着してしまう場合がある。
【0005】
このような問題を解決するためには、たとえば、特許文献1に示されるような、複数の収容凹部を有する搬送用トレーをブッシュの搬送に用いることが考えられる。しかし、このような搬送用トレーを用いる場合、複数のブッシュのそれぞれを収容凹部のそれぞれに収容する作業が必要となり、ブッシュの収容および取り出しが面倒となる。
【0006】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、ブッシュ等の筒状部材を搬送する際に、筒状部材の傷や破損を抑制し、筒状部材の収容および取り出しが容易な梱包体および組立システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の梱包体は、貫通孔を有する複数の筒状部材を搬送するための梱包体であって、前記梱包体は、巻芯と、前記巻芯の両側に互いに対向するように設けられた一対の側板と、前記貫通孔を介して前記複数の筒状部材が挿通された状態で、前記巻芯の周りに巻き付けられる紐状部材とを備えている。
【0008】
また、前記一対の側板は、1つの筒状部材の幅に対応した間隔で離間し、前記紐状部材は、前記複数の筒状部材が挿通された状態で渦巻き状に巻き付けられることが好ましい。
【0009】
また、前記梱包体は、前記一対の側板の中央部において、前記一対の側板のうちの一方から他方へ向かって貫通する孔部を有していることが好ましい。
【0010】
また、本発明の組立システムは、上記梱包体と、前記梱包体を支持する支持部と、前記梱包体の筒状部材と、前記筒状部材が取り付けられ被取付対象とを組み立てる組立装置とを備えていることを特徴とする。
【0011】
また、上記組立システムにおいて、前記支持部が、前記梱包体の筒状部材を前記組立装置に送り込むように、前記梱包体を回転させるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の梱包体および組立システムによれば、ブッシュ等の筒状部材を搬送する際に、筒状部材の傷や破損を抑制し、筒状部材の収容および取り出しを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の梱包体の一部を切り欠いた概略正面図である。
【
図2】筒状部材を挿通した紐状部材の巻き付け途中の状態を示す斜視図である。
【
図3】筒状部材が無い状態での梱包体の側面図である。
【
図4】本実施形態における、筒状部材の斜視図である。
【
図6】筒状部材が紐状部材に挿通された状態を示す図である。
【
図7】紐状部材への筒状部材の取付方法の一例を示す図であり、筒状部材が挿通された紐状部材が巻芯に巻き付けられる前の状態を示す概略図である。
【
図8】紐状部材への筒状部材の取付方法の一例を示す図であり、筒状部材が挿通された紐状部材が巻芯にわずかに巻き付けられた状態を示す概略図である。
【
図9】梱包体を備えた組立システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の梱包体および組立システムを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の梱包体および組立システムは、以下の実施形態に限定されない。
【0015】
図1および
図2に示されるように、梱包体1は、貫通孔Hを有する複数の筒状部材C(
図4および
図5参照)を搬送するために用いられる。梱包体1は、
図1~
図3に示されるように、巻芯2と、巻芯2の両側に互いに対向するように設けられた一対の側板31、32(以下、第1側板31、第2側板32という)と、貫通孔Hを介して複数の筒状部材Cが挿通された状態で、巻芯2の周りに巻き付けられる紐状部材4とを備えている。
【0016】
梱包体1は、
図1に示されるように、複数の筒状部材Cを巻芯2の周りに巻き付けた状態で所定の場所へと搬送される。本実施形態の梱包体1は、複数の筒状部材Cを巻芯2の周りに巻き付けた状態で搬送することにより、後述するように、筒状部材Cの傷や破損を抑制することができる。梱包体1は、たとえば、後述するように、筒状部材Cが加工された場所で筒状部材Cを梱包して、筒状部材Cが使用される場所(たとえば、筒状部材Cが後述する被取付対象A(
図5参照)に取り付けられる場所)まで搬送される。
【0017】
筒状部材Cは、
図4および
図5に示されるように、梱包体1に梱包されて搬送される貫通孔Hを有する筒状の部材である。筒状部材Cは、貫通孔Hが延びる方向の一端Caおよび他端Cbに開口部を有している。筒状部材Cは、たとえば、金属製のブッシュとすることができ、たとえば、樹脂製コネクタなどの被取付対象Aに取り付けられる。具体的には、金属製のブッシュである筒状部材Cが、被取付対象Aである樹脂製コネクタのネジ挿通部を構成する部位に取り付けられ、コネクタにおいてネジが挿通される部位を補強する。本実施形態では、ブッシュとして示された筒状部材Cは、コネクタとして示された被取付対象Aに形成された嵌合孔に圧入されてネジ挿通部を構成している。本実施形態では、筒状部材Cは、一端Caにおける径が他端Cbにおける径よりも小さく、一端Ca側が被取付対象Aへの圧入時に先行して嵌合孔に挿入されるように構成されている。筒状部材Cの外周部には、たとえば、
図4に示されるように、被取付対象Aの嵌合孔の内周面に係合する尖端部Ccのような、所定の抜け止め加工が施されている。
【0018】
なお、筒状部材Cの種類は、梱包体1により搬送可能であればブッシュに限定されない。また、筒状部材Cの材料は金属に限定されず、筒状部材Cの形状も図示する形状に特に限定されない。また、被取付対象Aは、筒状部材Cが取り付けられる対象であればよく、コネクタに限定されない。
【0019】
巻芯2は、
図2および
図3に示されるように、第1側板31および第2側板32を繋ぎ、複数の筒状部材Cが挿通された紐状部材4を巻き付ける際の芯となる部位である。巻芯2は、本実施形態では筒体であり、具体的には中空の円筒体である。なお、巻芯2の形状は、第1側板31および第2側板32をつなぎ、複数の筒状部材Cが挿通された紐状部材4を巻き付けることができれば、特に限定されない。たとえば、巻芯2の、第1側板31と第2側板32とを繋ぐ方向である巻芯2の軸方向に対して垂直な断面は、多角形状であってもよい。
【0020】
本実施形態では、巻芯2は、第1側板31および第2側板32に対して別体として設けられ、第1側板31および第2側板32に接続されている。しかし、巻芯2は、第1および第2側板31、32の一方と一体であってもよいし、巻芯2、第1側板31および第2側板32の全てが一体に形成されていてもよい。また、巻芯2は巻芯2自体が軸方向に分離可能に構成されていてもよく、たとえば、巻芯2の軸方向の半分を第1側板31と一体とし、巻芯2の軸方向の残りの部分を第2側板32と一体としてもよい。巻芯2、第1側板31および第2側板32によって形成されるリールRが、第1側板31を含む部分と第2側板32を含む部分とに分離可能に構成されている場合、梱包体1の組み立ておよび分離が容易となる。また、たとえば、紐状部材4の一端4a(
図3参照)をリールR(巻芯2、第1側板31および第2側板32のうちのいずれか)に取り付ける場合、または紐状部材4をリールRから取り外す場合の作業が容易となる。
【0021】
巻芯2の軸方向の長さは、1つの筒状部材Cの幅(本実施形態では筒状部材Cの最大の直径)W(
図5参照)に対応する長さに設定されている。具体的には、巻芯2の軸方向の長さは、1つの筒状部材Cの幅Wよりもわずかに大きく、筒状部材Cの幅Wの2つ分よりは小さい。
【0022】
第1側板31および第2側板32は、巻芯2の軸方向の両端にそれぞれ取り付けられる板状の部材である。第1および第2側板31、32は巻芯2に巻き付けられた筒状部材Cを両側から保持し、搬送時などに筒状部材Cの動きを所定の範囲に規制する。第1および第2側板31、32の大きさは、梱包される筒状部材Cの大きさや数に応じて適宜変更することができる。本実施形態では、第1および第2側板31、32は、
図1および
図2に示されるように、円盤状に形成されている。第1および第2側板31、32が円盤状である場合、筒状部材Cを梱包体1に巻き付けた際に、無駄なスペースを減らすことができる。なお、第1および第2側板31、32の形状は特に限定されず、たとえば多角形状など、円盤状以外の形状であってもよい。また、第1側板31および第2側板32の材料は特に限定されず、たとえば段ボール等の紙製や樹脂製とすることができる。
【0023】
第1および第2側板31、32は、1つの筒状部材Cの幅Wに対応した間隔で離間している。具体的には、第1側板31および第2側板32の間の離間距離D(
図3参照)は、1つの筒状部材Cの幅Wよりもわずかに大きく、筒状部材Cの幅Wの2つ分よりは小さい。たとえば離間距離Dは、幅Wの1~1.5倍、より好ましくは1~1.2倍とすることができる。このように、第1および第2側板31、32は、1つの筒状部材Cの幅Wに対応した間隔で離間していることにより、複数の筒状部材Cが挿通された状態の紐状部材4を渦巻き状に巻き付けることが可能であるとともに、筒状部材Cの巻芯2の軸方向での動きを小さくすることができる。したがって、搬送時の筒状部材Cの傷や破損などをさらに抑制することができる。なお、本実施形態の梱包体1は、
図1に示されるように、渦巻き状に配列された複数の筒状部材Cのうち径方向に隣接する筒状部材Cの間に渦巻き状に設けられる緩衝シートCuを有している。梱包体1が緩衝シートCuを有している場合、さらに筒状部材Cの傷や破損を抑制することができる。
【0024】
本実施形態では、梱包体1は、
図1~
図3に示されるように、第1および第2側板31、32の中央部において、第1および第2側板31、32のうちの一方から他方へ向かって貫通する孔部3Hを有している。孔部3Hを有していることにより、孔部3Hを介して回転軸となる軸部材に梱包体1を挿入することにより、たとえば、筒状部材Cが挿入された紐状部材4をリールRに巻き取る際やリールRから送り出す際に、梱包体1を回転させることが可能となる。たとえば、筒状部材Cを所定の形状に成形する成形装置(図示せず)の近傍で、成形後の筒状部材Cを紐状部材4に挿通して巻芯2周りに巻き取る際に、孔部3Hを介して梱包体1を回転軸となる軸部材に取り付けて、軸部材をモータ等によって回転させることができる。この場合、筒状部材Cを紐状部材4に通した後、軸部材の回転によって、紐状部材4を自動で巻き取ることができるので、梱包体1への筒状部材Cの梱包が容易になる。また、後述する組立装置6によって筒状部材Cを被取付対象Aに取り付ける際など(
図9参照)、梱包体1から筒状部材Cを取り出す際に、孔部3Hに筒状部材Cを送り出すための軸部材Axに取り付けて、軸部材Axをモータ等によって回転させることができる。この場合、筒状部材Cを梱包体1から取り外すことが容易となる。また、孔部3Hを有していることにより、梱包体1の搬送時や保管時に、垂直または水平に延びる支持軸などに孔部3Hを介して複数の梱包体1を取り付けて、複数の梱包体1をまとめて搬送または保管することができる。
【0025】
紐状部材4は、筒状部材Cが挿通される紐状体である。複数の筒状部材Cは、紐状部材4に挿通された状態で梱包されることにより、連続した状態でばらけることなく、巻芯2の周りに巻き付けられる。紐状部材4は、巻芯2周りに巻き付けることができるように柔軟な材料により形成されている。紐状部材4は、所定の長さを有し、筒状部材Cの貫通孔Hに挿通できる細さで形成されている。
【0026】
紐状部材4は、本実施形態では、
図3に示されるように、一端4aにおいて巻芯2に取り付けられている。しかし、紐状部材4は、一端4aにおいて第1側板31または第2側板32に取り付けられていてもよい。紐状部材4への筒状部材Cの取付方法は特に限定されないが、たとえば、筒状部材Cは
図7および
図8に示されるように紐状部材4に取り付けることができる。具体的には、
図7に示されるように、紐状部材4を第1側板31(または第2側板32)の孔部3Hから巻芯2の内側へと通し、さらに巻芯2の内側と外側との間を貫通する挿通孔21を通して、紐状部材4を巻芯2の内側から外側へと通す。このように、リールRの中心側から紐状部材4を延ばして、
図7に示されるように、筒状部材Cを紐状部材4に通していく。紐状部材4に挿通される筒状部材Cの数を増やすにつれて、
図8に示されるように、紐状部材4を繰り出しながら、リールRを回転させる。これにより、リールRに筒状部材Cを巻き付けていくことができる。所定の数の筒状部材CのリールRへの巻き付けが完了すると、紐状部材4を切断して紐状部材4の両端をリールRに固定することにより、筒状部材Cを梱包することができる。
【0027】
また、紐状部材4は、たとえば、紐状部材4の一端4aに係合部を設けるか、巻芯2または第1、第2側板31、32に係合部を設けることによって、リールR(巻芯2または第1、第2側板31、32)に対して着脱可能としてもよい。紐状部材4をリールRに対して着脱可能とする場合、紐状部材4への筒状部材Cの挿入方法や、紐状部材4からの筒状部材Cの取り外し方法の自由度を高めることができる。たとえば、紐状部材4がリールRに取り付けられた状態で筒状部材Cを紐状部材4に通して紐状部材4を巻芯2に巻き付ける以外に、リールRから分離された状態の紐状部材4に筒状部材Cを挿通した後(
図6参照)に、紐状部材4を巻芯2に巻き付けて取り付けることができる。また、紐状部材4がリールRに取り付けられた状態で筒状部材Cを1つずつ紐状部材4から外す以外に、複数の筒状部材Cが挿通された紐状部材4をリールRから取り外した後に(
図6参照)、1つずつ筒状部材Cを紐状部材4から取り外すこともできる。
【0028】
上述したように、本実施形態の梱包体1は、巻芯2と、巻芯2の両側に互いに対向するように設けられた第1および第2側板31、32と、貫通孔Hを介して複数の筒状部材Cが挿通された状態で、巻芯2の周りに巻き付けられる紐状部材4とを備えている。これにより、複数の筒状部材Cは、
図1に示されるように、紐状部材4に通されて巻芯2の周りに巻き付けられて第1および第2側板31、32の間に保持される。したがって、梱包体1の搬送時に、筒状部材Cの動きが規制され、筒状部材C同士が搬送時に衝突することによる傷や破損が抑制される。また、筒状部材C同士の衝突などに起因して生じる削れカスや破片などが生じて、筒状部材Cが取り付けられる被取付対象Aやその周囲に削れカスや破片などが付着することを抑制することができる。
【0029】
また、筒状部材Cを梱包体1に梱包する際に、紐状部材4に筒状部材Cが挿通された状態で、紐状部材4を巻芯2の周りに巻き付けるだけで梱包が完了する。したがって、特許文献1のような、搬送対象の形状に応じた収容凹部を有する搬送トレーなどのように、筒状部材Cを1つずつ入れていくことは、本実施形態の梱包体1では必要ない。したがって、本実施形態の梱包体1では、筒状部材Cの梱包および取り出しが容易となる。
【0030】
また、本実施形態では、
図2および
図6に示されるように、紐状部材4に取り付けられる複数の筒状部材Cは、筒状部材Cの両端のうちの一端Caが、紐状部材4の長手方向で同方向(長手方向の一方となる紐状部材4の他端4b側)を向くように、紐状部材4に取り付けられている。このように複数の筒状部材Cが同方向を向くように紐状部材4に取り付けられることによって、複数の筒状部材Cを同方向を向いた状態で取り外すことができる。したがって、筒状部材Cがバラバラで袋に収容されている場合のように、筒状部材Cを組立装置6に供給する際に、筒状部材Cの向きを揃えて供給するためにボウルフィーダーのような向きを揃える装置を用いる必要がなくなる。したがって、筒状部材Cを組み立てる工程において、筒状部材Cの向きを揃える装置が不要であるとともに、向きを揃える工程が不要となり、筒状部材Cの組み立てに必要な時間を短縮化することができる。
【0031】
つぎに、
図9を参照して、梱包体1を備えた組立システムSについて説明する。なお、以下で説明する組立システムSはあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
【0032】
組立システムSは、
図9に示されるように、梱包体1と、支持部5と、組立装置6とを有している。
【0033】
支持部5は、組立装置6の近傍で梱包体1を支持する部位である。本実施形態では、
図9に示されるように、支持部5は組立装置6と一体的に設けられているが、組立装置6と分離して別体として設けられていてもよい。支持部5は、本実施形態では、軸部材Axを有し、軸部材Axに梱包体1が挿入されることによって支持されている。具体的には、軸部材Axに梱包体1が挿入されて締結されることにより、軸部材Axと梱包体1とが一体的に回転するように構成されている。軸部材Axは図示しないモータ等の駆動部によって回転駆動されて、軸部材Axが回転することにより、梱包体1が回転するように構成されている。
【0034】
本実施形態では、第1および第2側板31、32の面が垂直方向に延びるように梱包体1が支持部5に支持されているが、梱包体1の姿勢は特に限定されない。たとえば、梱包体1は、第1および第2側板31、32の面が水平になるように支持部5に支持されていてもよい。また、梱包体1は、本実施形態では、組立装置6の側方に設けられているが、組立装置6の上方や下方に設けられていてもよい。
【0035】
梱包体1の筒状部材Cは、組立装置6の導入部61から組立装置6の内部へと導入される。本実施形態の組立システムSは、
図9に示されるように、梱包体1と導入部61との間に梱包体1から取り外される筒状部材Cを導入部61へと案内するガイド部Gを有している。ガイド部Gはたとえばレール状の部材であり、紐状部材4に挿通された状態または紐状部材4から取り外された状態の筒状部材Cが組立装置6に向かって案内される。なお、組立システムSは、ガイド部Gを有さずに、紐状部材4の先端(他端4b)が導入部61へと直接挿入されて、筒状部材Cが組立装置6内部に導入されてもよい。
【0036】
組立装置6は、筒状部材Cと被取付対象Aとを組み立てる装置である。たとえば、組立装置6は、被取付対象であるコネクタに筒状部材であるメタルブッシュを圧入する装置とすることができる。なお、組立装置6は、筒状部材Cと被取付対象Aとを組み立てる装置であれば特に限定されない。
【0037】
つぎに、梱包体1を用いた梱包方法および組立方法の一例を説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
【0038】
まず、筒状部材Cの成形装置によって、
図4および
図5に示される筒状部材Cが成形・加工される。つぎに、成形装置によって成形された複数の筒状部材Cが紐状部材4に挿通される。筒状部材Cが紐状部材4に挿通された後、梱包体1を巻芯2周りに回転させる、または、紐状部材4を操作することによって、筒状部材Cが挿通された紐状部材4を巻芯2周りに巻き付ける。このとき、紐状部材4とともに、緩衝シートCuを巻き付けることによって、径方向に隣接する筒状部材Cの間に緩衝シートCuが介装される。これにより、複数の筒状部材Cが梱包されて、梱包体1が完成する。なお、紐状部材4の他端4bは、たとえば第1側板31または第2側板32の外周に接着テープなど、公知の固定手段によって固定される。本実施形態では、筒状部材Cが紐状部材4に挿通された状態で巻き付けられているため、筒状部材C同士が互いに衝突したり擦れたりすることが抑制される。また、梱包体1の径方向で隣接する筒状部材Cの間に緩衝シートCuが介装され、筒状部材Cの外周に尖端部Ccのように傷をつけやすい部分がある場合であっても傷や破片が生じることを抑制することができる。
【0039】
梱包体1が完成した後、梱包体1は、組立システムSの位置まで搬送される。搬送された梱包体1は、
図9に示されるように、支持部5に取り付けられる。具体的には、梱包体1の孔部3Hが支持部5の軸部材Axに挿入されて固定される。梱包体1が取り付けられた軸部材Axはモータ等の駆動部によって駆動されて、梱包体1に梱包された筒状部材Cを組立装置6に送り出す方向に回転する。これによって、梱包体1から筒状部材Cが1つずつ組立装置6の導入部61から組立装置6の内部へと供給される。その後、組立装置6の内部で筒状部材Cと被取付対象Aとが組み付けられ、組立システムSにより筒状部材Cと被取付対象Aとが組み立てられた組立体が完成する。このように、本実施形態では、ボウルフィーダーなどを用いることなく、梱包体1から直接的に組立装置6に筒状部材Cが供給される。したがって、筒状部材Cが梱包体1から取り外されてから筒状部材Cに傷や破損が生じることが抑制される。また、筒状部材Cを組立装置6に供給するまでに、筒状部材Cの向きを揃える必要が無く、向きを揃える装置の導入コストを抑え、さらに、筒状部材Cの組み立てに必要な時間を短縮化することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 梱包体
2 巻芯
31 第1側板
32 第2側板
3H 孔部
4 紐状部材
4a 紐状部材の一端
4b 紐状部材の他端
5 支持部
6 組立装置
61 導入部
A 被取付対象
Ax 軸部材
C 筒状部材
Ca 筒状部材の一端
Cb 筒状部材の他端
Cc 尖端部
Cu 緩衝シート
D 第1側板および第2側板の間の離間距離
G ガイド部
H 貫通孔
R リール
S 組立システム
W 筒状部材の幅