(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20220621BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20220621BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020523030
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2018079136
(87)【国際公開番号】W WO2019081568
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-06-18
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ポッター, マーク
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/076178(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/001818(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/135342(WO,A2)
【文献】国際公開第2013/118299(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/062777(WO,A1)
【文献】特表2013-521074(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0035117(US,A1)
【文献】登録実用新案第3211213(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00-A24F47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者による吸引のためのエアロゾルの流れを生成するためのエアロゾル供給デバイス用のカートリッジであって、
使用時に前記エアロゾル供給デバイスが前記エアロゾルの流れを生成する元になる液体を入れるためのチャンバと、
前記カートリッジを前記エアロゾル供給デバイスの本体部分に着脱可能に接続するための第1のコネクタ構成体と、
前記カートリッジを材料用の容器に着脱可能に接続するための第2のコネクタ構成体であり、前記エアロゾルが前記使用者によって吸引される前に、使用時に前記エアロゾル供給デバイスによって生成された前記エアロゾルの流れが前記容器の前記材料を通って流れ且つ前記材料の1つ又は複数の成分が前記エアロゾルに巻き込まれる、第2のコネクタ構成体と
を備え、
前記第1のコネクタ構成体が、係止形態及び係止解除形態に構成可能であり、前記カートリッジを前記エアロゾル供給デバイスの前記本体部分から取外し可能とするために、前記第1のコネクタ構成体が、前記係止解除形態に構成されなければならず、
前記カートリッジが前記本体部分に対して静止したままであるときに、前記第1のコネクタ構成体を前記係止形態から前記係止解除形態に構成することができるように、前記第1のコネクタ構成体が構成されている、カートリッジ。
【請求項2】
前記カートリッジが前記本体部分に接続されているときに、前記第1のコネクタ構成体を前記係止解除形態に構成すると、前記カートリッジを前記本体部分から自由に引っ張り出すことができる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第1のコネクタ構成体は、前記第1のコネクタ構成体が前記係止形態にあるときに前記本体部分の相補的な第2の要素と相互作用するための第1の要素を備える、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第1のコネクタ構成体は、前記第1の要素を前記第2の要素に対して動かすことによって前記係止解除形態に構成することができる、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記第1のコネクタ構成体は、前記第1のコネクタ構成体が前記係止形態にあるときに前記本体部分の相補的な第4の要素と相互作用するための第3の要素をさらに備える、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記第1のコネクタ構成体は、
前記第1の要素を前記第2の要素に対して動かすことと、
前記第3の要素を前記第4の要素に対して動かすことと
によって前記係止解除形態に構成することができる、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記第1の要素と前記第3の要素は、前記カートリッジの遠位端の周囲において反対側に配置されている、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記第1のコネクタ構成体が前記カートリッジの遠位端に配置され、前記第2のコネクタ構成体が前記カートリッジの近位端に配置され、前記カートリッジは、前記近位端の断面積が前記遠位端の断面積よりも小さくなるように前記遠位端から前記近位端に先細になっている、請求項1~7のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第2のコネクタ構成体は、前記容器と前記カートリッジを一緒に押すことによって前記容器を前記カートリッジに取り付けることを可能にし、前記容器と前記カートリッジを引き離すことによって前記容器を前記カートリッジから外すことを可能にする、請求項1~8のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記第2のコネクタ構成体は、材料用の前記容器が挿入される凹部を前記カートリッジに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記容器は、前記カートリッジの前記凹部の内部面と相互作用する少なくとも1つの第1の表面構造物を備える、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記容器は、前記カートリッジの前記凹部の内部面と相互作用する少なくとも2つの第1の表面構造物を備える、請求項
11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記容器は、前記カートリッジの前記凹部の内部面と相互作用する少なくとも3つの第1の表面構造物を備える、請求項
12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記凹部は、前記容器と相互作用する少なくとも1つの第2の表面構造物を備える内部面を備える、請求項11~13のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第1の表面構造物のうちの少なくとも1つが第1の隆起部であり、前記少なくとも1つの第2の表面構造物のうちの少なくとも1つが対応する第1の溝であり、前記第1の隆起部が前記対応する第1の溝と相互作用して、前記容器を前記凹部に保持して実質的な気密シールを提供する、
請求項14に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第2の表面構造物のうちの少なくとも1つが第2の隆起部であり、前記少なくとも1つの第1の表面構造物のうちの少なくとも1つが対応する第2の溝であり、前記第2の隆起部が前記対応する第2の溝と相互作用して、前記容器を前記凹部に保持して実質的な気密シールを提供する、
請求項14又は15に記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記容器は、マウスピース集合体の一部であり、
前記マウスピース集合体は、
使用時に、使用者の口に受け入れられるための第1のハウジングと、
材料を入れるための第2のハウジングであり、使用時に、前記エアロゾル供給デバイスによって生成されたエアロゾルが、前記使用者による吸引のために前記エアロゾルが前記マウスピース集合体から出る前に前記材料の1つ又は複数の成分が前記エアロゾルに巻き込まれるように通る、第2のハウジングと
を備え、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングが接続されて一緒になって前記マウスピース集合体を形成する、請求項1~16のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のカートリッジと、デバイス本体と、材料用の容器とを備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項19】
材料用の前記容器は、マウスピース集合体の一部であり、
前記マウスピース集合体は、
使用時に、使用者の口に受け入れられるための第1のハウジングと、
材料を入れるための第2のハウジングであり、使用時に、前記エアロゾル供給デバイスによって生成されたエアロゾルが、前記使用者による吸引のために前記エアロゾルが前記マウスピース集合体から出る前に前記材料の1つ又は複数の成分が前記エアロゾルに巻き込まれるように通る、第2のハウジングと
を備え、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングが接続されて一緒になって前記マウスピース集合体を形成し、前記マウスピース集合体が、前記第2のコネクタ構成体によって前記カートリッジに着脱可能に接続可能であるように構成されている、請求項18に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項20】
前記カートリッジを前記第1のコネクタ構成体によって前記デバイス本体に取り付けるステップと、
前記第1のコネクタ構成体を係止形態に構成するステップと、
材料用の前記容器を前記第2のコネクタ構成体によって前記カートリッジに取り付けるステップと
を含む、請求項18又は19に記載のエアロゾル供給デバイスを使用する方法。
【請求項21】
前記カートリッジを前記デバイス本体に取り付ける前記ステップは、前記第1のコネクタ構成体が前記係止形態になるまで前記カートリッジと前記デバイス本体を一緒に押すステップを含む、請求項20に記載のエアロゾル供給デバイスを使用する方法。
【請求項22】
前記容器を前記カートリッジに取り付ける前記ステップは、前記容器を前記カートリッジに押込み嵌めするステップを含む、請求項20又は21に記載のエアロゾル供給デバイスを使用する方法。
【請求項23】
前記カートリッジが前記係止形態で前記デバイス本体に取り付けられたままであるときに、前記容器を前記カートリッジから外すステップをさらに含む、請求項20~22のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスを使用する方法。
【請求項24】
前記第1のコネクタ構成体を前記係止解除形態にするステップと、
前記カートリッジを前記デバイス本体から外すステップと
をさらに含む、請求項20~23のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引可能な媒体を生成するためのエアロゾル供給デバイス用のカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。
【0003】
燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによってタバコを燃焼させるこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みがなされている。
【0004】
そのような製品の例としては、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する加熱デバイスがある。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0005】
別の例として、いわゆるeシガレットデバイスがある。これらのデバイスは、加熱されて気化し、吸入可能な蒸気又はエアロゾルを発生させる、エアロゾル化可能な物質、典型的には液体を含む。この液体は、ニコチン及び/又は加香物質及び/又はグリセロールなどのエアロゾル発生物質を含んでもよい。このような知られているeシガレットデバイスは、典型的には、タバコを含まない又は使用しない。
【0006】
さらに別の例として、いわゆるハイブリッドデバイスがある。これらのハイブリッド装置は、典型的には、これも典型的には液体であるエアロゾル発生可能な物質、及び材料用の容器を別々に含む。典型的な例では、この材料はタバコでもよいし、他の香味材料でもよい。この液体は吸引可能な蒸気又はエアロゾルを発生するようにエアロゾル化されて、使用者によって吸引される前に、この材料によって香味などの特性が蒸気又はエアロゾルに付与されるように材料用の容器を通過する。
【0007】
ハイブリッドデバイスでは、エアロゾル発生可能材料を、カートリッジ、典型的には液体カートリッジに供給することができる。このカートリッジをデバイスの本体部分から外すことができることが望ましい場合があり、いくつかの知られているハイブリッドデバイスでは、カートリッジを交換又は再充填するためにカートリッジを本体部分から外すことができる。例えば、カートリッジの液体を使い切ったとき、又は、使用者が、デバイスで使用していた液体のタイプを変更したいとき、カートリッジを交換又は再充填することができる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、使用者による吸引のためのエアロゾルの流れを生成するためのエアロゾル供給デバイス用のカートリッジが提供される。本カートリッジは、使用時にエアロゾル供給デバイスがエアロゾルの流れを生成する元になる液体を入れるためのチャンバと、カートリッジをエアロゾル供給デバイスの本体部分に着脱可能に接続するための第1のコネクタ構成体と、カートリッジを材料用の容器に着脱可能に接続するための第2のコネクタ構成体であり、使用時にエアロゾル供給デバイスによって生成されたエアロゾルの流れが、使用者によって吸引される前に容器の材料を通って流れる、第2のコネクタ構成体とを備え、第1のコネクタ構成体は、係止形態及び係止解除形態に構成可能であり、カートリッジをエアロゾル供給デバイスの本体部分から取外し可能とするために、第1のコネクタ構成体は、係止解除形態に構成されなければならず、カートリッジが本体部分に対して静止したままであるときに、第1のコネクタ構成体を係止形態から係止解除形態に構成することができるように、第1のコネクタ構成体は構成されている。
【0009】
本カートリッジは、カートリッジが本体部分に接続されているときに、第1のコネクタ構成体を係止解除形態に構成すると、カートリッジを本体部分から自由に引っ張り出すことができるように構成することができる。
【0010】
第1のコネクタ構成体は、第1のコネクタ構成体が係止形態にあるときに本体部分の相補的な第2の要素と相互作用するための第1の要素を備えることができる。
【0011】
第1のコネクタ構成体は、第1の要素を第2の要素に対して動かすことによって第1のコネクタ構成体を係止解除形態に構成することができるように構成することができる。
【0012】
第2のコネクタ構成体は、容器とカートリッジを一緒に押すことによって容器をカートリッジに取り付けることを可能にし、容器とカートリッジを引き離すことによって容器を前記カートリッジから外すことを可能にするように構成することができる。
【0013】
第2のコネクタ構成体は、材料用の容器が挿入される凹部をカートリッジに備えることができる。
【0014】
容器は、カートリッジの凹部の内部面と相互作用する少なくとも1つの第1の表面構造物を備えることができる。
【0015】
凹部は、容器と相互作用する少なくとも1つの第2の表面構造物を備える内部面を備えることができる。
【0016】
少なくとも1つの第1の表面構造物のうちの少なくとも1つは、第1の隆起部とすることができ、少なくとも1つの第2の表面構造物のうちの少なくとも1つは、対応する第1の溝とすることができ、第1の隆起部は対応する第1の溝と相互作用して、容器を凹部に保持して実質的な気密シールを提供する。
【0017】
少なくとも1つの第2の表面構造物のうちの少なくとも1つは、第2の隆起部とすることができ、少なくとも1つの第1の表面構造物のうちの少なくとも1つは、対応する第2の溝とすることができ、第2の隆起部は対応する第2の溝と相互作用して、容器を凹部に保持して実質的な気密シールを提供することができる。
【0018】
容器はマウスピース集合体の一部とすることができ、マウスピース集合体は、使用時に、使用者の口に受け入れられるための第1のハウジングと、使用時に、エアロゾル供給デバイスによって生成されたエアロゾルが、使用者による吸引のためにマウスピース集合体から出る前に通る材料を入れるための第2のハウジングとを備え、第1のハウジングと第2のハウジングは接続されて一緒になってマウスピース集合体を形成する。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様によるカートリッジと、デバイス本体と、材料用の容器とを備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0020】
材料用の容器はマウスピース集合体の一部とすることができ、マウスピース集合体は、使用時に、使用者の口に受け入れられるための第1のハウジングと、使用時に、エアロゾル供給デバイスによって生成されたエアロゾルが、使用者による吸引のためにマウスピース集合体から出る前に通る材料を入れるための第2のハウジングとを備え、第1のハウジングと第2のハウジングは接続されて一緒になってマウスピース集合体を形成し、マウスピース集合体は、第2のコネクタ構成体によってカートリッジに着脱可能に接続可能であるように構成される。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様によるエアロゾル供給デバイスを使用する方法が提供される。本方法は、カートリッジを第1のコネクタ構成体によってデバイス本体に取り付けるステップと、第1のコネクタ構成体を係止形態に構成するステップと、材料用の容器を第2のコネクタ構成体によってカートリッジに取り付けるステップとを含む。
【0022】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】鉛直方向の姿勢で示された、吸引可能な媒体を生成するためのエアロゾル供給デバイスの長手方向の概略断面図である。
【
図2】マウスピース集合体がデバイスの残りの部分から取り外された状態の、水平方向の姿勢で示された
図1のデバイスの例の斜視図である。
【
図3】マウスピース集合体に取り付けられたカートリッジの第1の例の図である。
【
図4b】第2のハウジングの詳細を示すためにマウスピースを取り外した同じ集合体の透視図である。
【
図5】マウスピース集合体に取り付けられたカートリッジの第2の例の図である。
【
図6a】第2の例示的なマウスピース集合体の斜視図である。
【
図6b】第2のハウジングの詳細を示すためにマウスピースを取り外した第2のマウスピース集合体の斜視図である。
【
図7】
図6a及び
図6bのマウスピース集合体の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、エアロゾル供給デバイス100が概略的に示されている。エアロゾル供給デバイス100は吸引デバイス(すなわち、使用者は吸引デバイスを使ってシステム100によって供給されるエアロゾルを吸引する)であり、デバイス100は携帯型デバイスである。この例では、デバイス100は電子デバイスである。
【0025】
概略的に述べると、デバイス100は、カートリッジ200に供給されたエアロゾル供給材料20を揮発させる。この例では、エアロゾル供給材料20は液体、例えばeシガレットの液体であるが、他の例では、エアロゾル供給材料はゲルなどの任意の他のタイプのエアロゾル発生可能材料であってもよい。この例のデバイス100は、カートリッジ200から発生された任意のエアロゾル及び/又は蒸気が使用者によって吸引される前に、材料30を入れるための材料チャンバ430を通過するので、いわゆるハイブリッドデバイスである。
【0026】
使用者による吸引のために蒸気及び/又はエアロゾルがデバイス100から出る前に、材料30は、蒸気及び/又はエアロゾルの特性、例えば、香料を付与する又は変えることができる。材料30は、例えば、タバコのみからなるものであってもよいし、タバコを含むものであってもよい。例えばタバコである材料30の中をエアロゾルが通過すると、例えばタバコである材料30にその官能特性を与える、材料30からの有機化合物又は有機成分、及び他の化合物又は成分をエアロゾルは巻き込み、それにより、エアロゾルが材料チャンバ430を通過するときにエアロゾルに材料30の香料が付与される。
【0027】
材料30の適切な例としては、タバコ自体、異なる種類のタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、挽きタバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品を挙げることができる。タバコの場合、材料30などは、タバコのロッド、タバコのポッド又はプラグ、ばらタバコ、塊などの形態であってもよく、例えば、比較的乾燥した形態又は比較的湿った形態であってもよい。材料30は、適当な長さに切断され、材料チャンバ430に配置されたタバコロッドのプラグの形態であってもよい。材料30は他の非タバコ製品を含んでいてもよく、非タバコ製品は、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0028】
材料30は、香料以外の(又は香料に加えて)エアロゾルの特性を変えるためのものでもよい。
【0029】
いくつかの例では、材料30は、エアロゾルの1つ又は複数の他の官能特性を変える物質(例えば、使用者に対してエアロゾルの感触、匂い又は見た目を変える物質)であっても、そのような物質を含んだものでもよい。
【0030】
いくつかの例では、材料30は、PHを低下させるか又は上昇させる(例えば、エアロゾルの酸性度又は塩基性度を変える)ことによってエアロゾルのPHを変える物質であっても、そのような物質を含んだものでもよい。
【0031】
いくつかの例では、材料30はエアロゾル中のアルデヒドの量を変える(例えば、低減する)物質であっても、そのような物質を含んだものでもよい。
【0032】
いくつかの例では、材料30は、エアロゾルの流れのこれらの特性又は実際には他の特性のうちの2つ以上の様々な組合せを変える物質であっても、そのような物質を含んだものでもよい。
【0033】
しかしながら、タバコ以外の材料を使用してエアロゾルに異なる香料を付与できることは理解されよう。
【0034】
材料30がタバコであり又はタバコを含む場合、エアロゾルの流れが材料30から十分なニコチンを引き出す可能性がある。これに代えて又はこれに加えて、材料30がタバコを全く含まない場合、材料30は、例えばニコチンで材料をコーティングすることによって、ニコチンを増強することができる。実際、材料30がタバコであり又はタバコを含む場合であっても、材料30はニコチンでコーティングされて、又はその他でニコチンを増強することができる。別の例として、材料30がタバコであるかどうか、又はタバコ及び/又はニコチンを含むかどうかにかかわらず、ニコチンをエアロゾル供給材料に、この例では液体20に加えることもできる。したがって、システム100が使用者にニコチンを供給することを意図する場合、ニコチンは、エアロゾル供給材料20に加えられてもよいし、材料がタバコであり又はタバコを含む場合は材料30から得られるようにしてもよいし、材料30が非タバコ材料である場合には材料30にコーティングするなどして与えられてもよいし、材料30がタバコ材料である場合には材料30にコーティングするなどして与えられてもよいし、これらを任意に組み合わせてもよい。同様に、加香剤を材料30(物質がタバコであり又はタバコを含むかどうかにかかわらず)及び/又はエアロゾル供給材料に添加することができる。
【0035】
少なくともいくつかの例では、蒸気が生成され、次いで、その蒸気は、使用者(図示せず)による吸引のために材料チャンバ430を通ってエアロゾル供給デバイス100から出る前に少なくとも部分的に凝縮してエアロゾルを形成する。
【0036】
これに関して、まず、一般に、蒸気はその臨界温度よりも低い温度で気相の物質であり、これは、例えば、その蒸気を、温度を下げることなく圧力を増大させることによって液体に凝縮させることができることを意味することに気づくことができる。一方、エアロゾルは、一般に、空気中又は他のガス中の微細な固体粒子又は液滴のコロイドである。「コロイド」とは、微視的に分散された不溶解性の粒子が別の物質全体に懸濁された物質である。
【0037】
便宜上の理由から、本書では、エアロゾルという用語は、エアロゾル、蒸気、又はエアロゾルと蒸気の組合せを意味するものとして受け取るべきである。
【0038】
図1に戻ると、この例のデバイス100は、カートリッジ200と、本体部分300と、マウスピース集合体600とを備える。マウスピース集合体600は、使用者の口に受け入れられるためのマウスピースである第1のハウジング500と、材料30を入れるためのものである第2のハウジング400とを備える。本書では、第1のハウジング500をマウスピースと称し、一方で第2のハウジング400を容器と称することとする。
【0039】
カートリッジ200は、この場合には、上記のように、eリキッドであるエアロゾル供給材料20を入れるためのものであり、本体部分300は、デバイス100に電力を供給し、デバイス100を制御するためのものである。
【0040】
カートリッジ200は第3の「上部」ハウジング210を備え、本体部分300は第4の「下部」ハウジング310を備える。上部ハウジング210は、第1のコネクタ構造体270によって下部ハウジング310に着脱可能に取り付けられる。第1のコネクタ構成体270については以下においてより詳細に説明する。
【0041】
カートリッジ200は、eリキッドを入れるための液体リザーバ220を備える。材料容器400は、材料30を受け入れるためのチャンバ430を備える。この材料はタバコを含んでもよいし、タバコを含まなくてもよい。
【0042】
図1の例では、カートリッジ200には加熱構成体240も入っている。加熱構成体は、エアロゾルの流れ(図示せず)を生成するために液体リザーバ220からのeシガレットの液体20を加熱するためのものである。
【0043】
加熱構成体240は、少なくとも1つの加熱要素(図示せず)を備えてもよい。
図1では、液体リザーバ220は、加熱構成体240の上方に示されているが、液体リザーバ220は、生成されたエアロゾルの流れが通る中央の穴(図示せず)を取り囲む環状のチャンバ(図示せず)を備えてもよい。加熱構成体240は、液体リザーバ220から液体20を少なくとも1つの加熱要素に供給するための少なくとも1つのウィック(図示せず)を備えてもよい。
【0044】
加熱構成体240は「アトマイザ」と称せられることがあり、液体カートリッジ200がアトマイザを備える場合には、カートリッジは「カトマイザ」と称せられることがある。加熱構成体240を備える代わりに、デバイスは、超音波アトマイザなどの非加熱手段によって液体をエアロゾル化してもよい。
【0045】
タバコなどの材料30は、エアロゾルの流れから材料への熱伝達によって加熱されることが好ましい。使用時、特に、材料がタバコの場合、タバコから十分な量又は適切な量の化合物が確実に放出されるように、タバコ、又は少なくともタバコの表面は、約120℃~170℃の温度に加熱されることが好ましく、約150℃が最も好ましい。存在するタバコの量は、例えば、100mg~400mgの範囲であってもよい。タバコの量に関して最も適した値は、例えば、150mg~380mgの範囲とすることができ、この範囲は、タバコがpH調製タバコに使用される場合などのいくつかの用途においては特に適切であることが分かった。別の例では、タバコの量の最も適した値は、例えば、120mg~190mgの範囲のことがあり、この値は、挽きタバコを使用するときには特に適していることが分かった。典型的な例では、システムの動作毎(すなわち1パフ毎)に加熱されるタバコの量は約8mg~50mgの対応範囲内のことがある。
【0046】
システム100の電力消費を抑えることに役立つので、液体20は、適度な温度で揮発可能である液体であることが好ましく、それは100℃~300℃の範囲が好ましく、約150℃~250℃が特に好ましい。適切な材料としては、例えば、プロピレングリコール及びグリセロール(グリセリンとしても知られている)を含む、eシガレットデバイスに従来から使用されているものが挙げられる。
【0047】
他の例では、個別のマウスピース500がなくてもよく、容器400がマウスピースとして機能してもよい。
【0048】
下部ハウジング310には電源320、典型的にはバッテリーが入っており、これは、加熱構成体240を含むデバイス100の様々な構成部品に電気的に接続されている。
【0049】
バッテリー320は、再充電可能なバッテリーであってもよいし、使い捨て可能なバッテリーであってもよい。デバイス100の様々な構成部品の動作を制御するために、マイクロチップ及び関連回路を備える場合があるコントローラ330も第2のハウジング310に設けられている。使用者がコントローラ330を操作するために、使用者入力手段340、例えば1つ又は複数の制御ボタンを第2のハウジング310の外側に設けてもよい。
【0050】
したがって、使用時、使用者がマウスピース500を吸うと、空気が1つ又は複数の空気入口111を通って引き込まれる。液体20を揮発させるために、ヒーター構成体240は、使用者が制御ボタン340を操作することによって(又は、これに代えて、それ自体周知のようにパフ検出器(図示せず)によって)電力が供給され、液体リザーバ220から引き込まれた液体20がヒーター構成体240によって加熱されて液体20を揮発させ、エアロゾルを生成させ、エアロゾルは空気入口111から流れる空気と混合してエアロゾルの流れを発生する。エアロゾルの流れは、使用者による吸引のために、チャンバ430の材料30を通り、次いで、マウスピース500の穴590を通ってデバイス100から引き出される。エアロゾルの流れが材料30を通過すると、材料30の1つ又は複数の成分がエアロゾルの流れに巻き込まれ、それが、味などのエアロゾルの特性を変える、又は特性に加わることができる。
【0051】
上部ハウジング210は、遠位端又は基端260と、近位端又は口側端部250とを有する。上記のように、カートリッジ200は、様々な異なる形態を採ることができる液体リザーバ220を備える。1つの例では、液体リザーバ220は、上部ハウジング210において近位端250と基端260との間を軸方向に延在する環状のチャンバの形態である。カートリッジ200の遠位端260は、カートリッジハウジング210を本体部分ハウジング310に着脱可能に取り付けるための第1のコネクタ構成体270を備える。カートリッジ200の近位端又は口側端部250において、カートリッジは、カートリッジハウジング210を材料容器ハウジング410に着脱可能に接続することによってカートリッジ200を材料容器400に着脱可能に接続する第2のコネクタ構成体280を備える。第1のコネクタ構成体270及び第2のコネクタ構成体280については以下においてより詳細に説明する。
【0052】
いくつかの例では、複数回使用するのに十分な液体20が供給されている場合、使用者は材料30を時々補充又は交換するだけでよい場合がある。
図1の例では、カートリッジ200は本体部分300に着脱可能に取り付けられ、液体20が消費されると、使用者はそのカートリッジ200を廃棄し、新しいカートリッジを供給する。他の例では、カートリッジ200は使い捨てになるようには設計されておらず、その代わりに、使用者は液体20を時々補充又は交換するだけでよい。
【0053】
図1の例のマウスピース500は、第1の取付け具580によって材料容器400に接続されてマウスピース集合体600を形成して示されている。第1の取付け具580は、着脱可能な取付け具であってもよいし、又は、これに代えて、マウスピース500と容器400は、例えば、超音波溶接又は接着剤によって着脱不可に取り付けられてもよい。マウスピース集合体の例は、
図4a及び
図4b、
図6a及び
図6b、並びに
図7を参照し、以下において説明する。
【0054】
次に、
図2を参照すると、
図1の例示的なエアロゾル供給デバイス100の斜視図が示されている。エアロゾル供給デバイスは、本体部分300と、eリキッドカートリッジ200と、材料容器400を備えるマウスピース集合体600とを備える。この例では、材料容器400にはタバコが入っているが、これに加えて、又はこれに代えて、上に列挙した材料のいずれかなどの非タバコ材料を容器400のチャンバ430に入れてもよい。
【0055】
第1のコネクタ構成体
この例のカートリッジ200は、カートリッジ200を本体部分300に着脱可能に取り付けるための第1のコネクタ構成体270を備える。第1のコネクタ構成体270は、使用者がカートリッジ200をデバイス本体100から取り外すことができない係止状態に構成することができ、又は、第1のコネクタ構成体は、使用者が、カートリッジ200と本体部分300を引き離すことによってカートリッジ200をデバイス本体から取り外すことができる係止解除状態に構成することもできる。第1のコネクタ構成体270が係止状態に構成されているときは、カートリッジと本体部分とは引っ張って分離することはできない。第1のコネクタ構成体270は、カートリッジが本体部分に対して静止したままであるときに係止解除形態に構成することができる。すなわち、カートリッジは、第1のコネクタ構成体270を係止解除するために回転又はその他の動きをさせる必要はない。
【0056】
例えば、第1のコネクタ構成体270は、第1のコネクタ構成体が係止形態にあるときに本体部分300の対応する第2の要素(図示せず)と相互作用する第1の要素207をカートリッジ200に備えることができる。第1のコネクタ構成体270は、カートリッジ200が本体部分300に対して静止したままであるときに、第1の要素207を第2の要素に対して動かすことによって解放することができる。ここで、第2の要素(図示せず)が本体部分300に対して静止したままであるときに動かされるのが第1の要素207でもよいし、第1の要素が静止したままであるときに動かされるのが第2の要素でもよいし、第1の要素及び第2の要素の両方が本体部分に対して動かされてもよい。
【0057】
図2、
図3、及び
図5の例では、第1のコネクタ構成体270はクリップである。カートリッジ200を本体部分300から取り外すために、クリップ270は、カートリッジ200が本体部分300に対して静止したままであるときに、第1の要素であるタブ207を本体部分の第2の要素である戻り止め(図示せず)に対して動かすことによって係止解除形態になるように構成される。次いで、カートリッジ200は、本体部分300から自由に引っ張り出すことができる。
【0058】
したがって、第1のコネクタ構成体270は、カートリッジがデバイス本体にねじ止めされている場合などで、デバイスに対してカートリッジを回転又はその他の動きをさせる必要なく、係止形態の状態から係止解除形態の状態に迅速に構成することができる。さらに、
図2及び
図3の例では、カートリッジ200をデバイス本体300と一緒にそれらの長手方向軸線を適切に合わせて押すと、第1のコネクタ構成体270は自動的に係止形態に入る。すなわち、クリップ207は自動的にカチッと係止形態になり、それは、カートリッジをデバイス本体に迅速に取り付けることを可能にし、これもまた、いかなる構成要素も互いにねじ留めする必要がない。
【0059】
図2、
図3、及び
図5の例示的な第1のコネクタ構成体270は、1つのタブ、第1のタブ207を有し、これは、本体部分300のそれぞれの戻り止め(図示せず)と相互作用する。他の例では、第1のコネクタ構成体270は、複数のタブを備えてもよく、カートリッジの遠位端260の周囲の任意の位置に配置された2つ、3つ、4つ、又は5つ以上のタブを備えてもよい。別の有利な例では、クリップ270は2つのタブを有し、それらは、カートリッジ200の遠位端260の両側に配置されることが有利である。各タブ207は可撓性があってもよく、可撓性のプラスチック材料から形成されてもよい。
【0060】
図2の例のカートリッジ200は、近位端250が遠位端260よりも小さな断面積を有する形状である。
【0061】
カートリッジ200と本体部分300とがクリップ270を用いて係止形態で取り付けられているとき、カートリッジ200に電力が供給されるようにカートリッジ200は本体部分と必要な電気的な接続を行う。
図2には、クリップ270がこの係止形態にあるデバイス100が示されている。
【0062】
カートリッジ200を本体部分300から解放するために、第1のコネクタ構成体270は係止解除形態に構成されねばならない。
図2及び
図3の例では、第1のコネクタ構成体を係止解除状態に構成するために、使用者は、第1のタブ207を半径方向内向きに、デバイス100の長手方向軸線の方へ押す。
【0063】
次に、
図3を参照すると(
図5の第1のコネクタ構成体も、ここで説明する特徴と同じ特徴を備える)、例示的な第1のタブ207は、第1のタブ207の遠位端に鉤状部分208を備えて示されている。第1のタブ207は可撓性であり、図示の位置に付勢されている。鉤状部分208は、係止形態時に本体部分300の戻り止め(図示せず)に引っ掛かってカートリッジ200が本体部分300から自由に引っ張り出されないようにしている。使用者が第1のタブ207を半径方向内向きに押すと、タブが半径方向内向きに曲がって、鉤状部分208を本体部分300の戻り止めから自由にする。その結果、クリップ270は係止解除形態になる。次いで、使用者は、タブ207を押し下げ続けている間に(したがって、第1のコネクタ構成体270を係止解除形態に保っている間に)、カートリッジと本体部分とを引き離すことによってカートリッジ200を本体部分300から取り外すことができる。
【0064】
2つ以上のタブ207を備える他の例では、各タブは、それぞれの戻り止めと相互作用することができ、第1のタブ207に対して説明した方法と同じ方法で解放することができ、その結果、使用者は、第1のコネクタ構成体270を係止解除状態に構成するためにすべてのタブを押し下げ続けなければならない。
【0065】
図示していない他の例では、第1のコネクタ構成体は、使用者が第1のコネクタ構成体を係止解除形態に構成するために押す着脱ボタンを備える。
【0066】
図2の例など、何もしなければ係止状態であるが、押して係止解除され、引っ張って外れることができる第1のコネクタ構成体を設けることによって、使用者がカートリッジ200をデバイス本体300から素早く容易に取り外すことを可能にしながら確実な取付けが可能となる。
【0067】
第2のコネクタ構成体
カートリッジ200はまた第2のコネクタ構成体280を備え、それによって、材料容器400を備えるマウスピース集合体600をカートリッジ200に取り付けることができる。第2のコネクタ構成体280は、マウスピース集合体600をカートリッジ200に押込み嵌めすることができる構成体が有利である。
【0068】
すなわち、
図2~
図7に示す例のように、第2のコネクタ構成体280は、使用者がカートリッジ200とマウスピース集合体600を引き離すことによってこの2つを分離することができる押込み嵌め型取付け具であることが有利である。これによって、例えば、使用者が材料容器を交換したいときに、デバイス100からマウスピース集合体600を素早く容易に取り外すことができる。
【0069】
図2、
図3、及び
図5において、第2のコネクタ構成体280の例が、マウスピース集合体600の一部分を収容するためにカートリッジ200の近位端250に凹部290を備えて示されている。マウスピース集合体600に取り付けるために、容器400は凹部290に挿入され、容器400の一部分は、摩擦嵌め又はスナップ嵌めによって凹部290に保持される。
【0070】
有利な例では、材料容器400は、その外面に少なくとも1つの第1の表面構造物208b、208cを備え、それは、凹部290の内面の対応する少なくとも1つの第2の表面構造物208a、208dと摩擦によって相互作用する。
【0071】
容器400が第2のコネクタ構成体280によってカートリッジ200に接続されると、容器400の表面の少なくとも1つの第1の表面構造物208b、208cは、凹部290の内面の少なくとも1つの第2の表面構造物208a、208dと相互作用して、容器400の周りで実質的な気密シールを形成する。このようにして、第2のコネクタ構成体280は、デバイスからのエアロゾルの漏れ、又は圧力の損失を実質的に防ぐ。
【0072】
少なくとも1つの第1の表面構造物208b、208cのそれぞれは、容器400の表面から半径方向外向きに突出するリブなどの少なくとも1つの構造物及び/又は、容器400の表面の溝などの少なくとも1つの窪みを含んでもよい。同様に、凹部290の内面の少なくとも1つの第2の表面構造物208a、208dは、凹部290の内面から半径方向に突出する少なくとも1つの構造物、及び/又は凹部290の内面の少なくとも1つの窪みを含んでもよい。
【0073】
有利な例では、少なくとも1つの第1の表面構造物208b、208cと少なくとも1つの第2の表面構造物208a、208dとの間の相互作用によって、第2の着脱可能な取付け具280は、容器400をカートリッジ200にスナップ嵌めすることができる。いくつかの例(図示せず)では、少なくとも1つの第1の表面構造物のうちの1つは付勢された表面構造物で、容器400が、カートリッジ200に接続される過程で、対応する第2の表面構造物とカチッと相互作用するときに、少なくとも部分的に引っ込む表面構造物であってもよく、容器400が凹部290に挿入されると実質的な気密シールが提供される。
【0074】
図3及び
図5に示す例などの他の例では、容器400、凹部290、及びそれらのそれぞれの表面構造物の寸法公差は、表面構造物が付勢される必要がなく、容器400が定位置に保持され、固定された表面構造物間(第1の表面構造物208b、208cと第2の表面構造物208との間)の相互作用によって実質的な気密シールを形成するような公差であってもよい。
【0075】
図3並びに
図4a及び
図4bの例では、容器400の表面の第1の表面構造物は少なくとも1つの溝208bを備え、一方、凹部290の少なくとも1つの第2の表面構造物208aは、容器400の表面の少なくとも1つの溝208bと相互作用するための少なくとも1つの周方向の隆起部208aを備える。この例では、溝208bは約0.15mm~約0.17mmの幅を有することが好ましい。
図4a及び
図4bの例では、容器400の表面は、長手方向構造物208cを備え、これは、凹部290の内面の対応する長手方向構造物(208d、
図2)と相互作用するための隆起部又は溝であってもよい。
【0076】
対照的に、
図5、
図6a及び
図6b、並びに
図7の例では、容器400の表面の第1の表面構造物は、凹部290の内面の少なくとも1つの溝208a、208dと相互作用するために、少なくとも1つの隆起部208b、208cを備える。
図5~
図7の例の表面構造物208a、208b、208cについては、以下において、より詳細に説明する。
【0077】
図2で最もよく分かるように、カートリッジ200の第1のコネクタ構成体270が、使用者がタブ207を押さなければ引っ張ってカートリッジを本体部分300から分離することができない係止状態に構成されているときには、カートリッジがデバイス本体から意図せずに外れることを避けることができる。すなわち、使用者は、カートリッジをデバイス本体300から分離することなく、引っ張ることによってマウスピース集合体600をカートリッジ200から容易に分離することができる。この例などのデバイス100では、材料30は、液体20よりも頻繁に変更されることが多く、この構成によって、材料30をより容易でより効率的に交換することができる。
【0078】
マウスピース集合体
次に、マウスピース集合体600の例を
図6a、
図6b、及び
図7を参照してより詳細に説明する。
図6aは例示的なマウスピース集合体600の斜視図であり、一方、
図6aは、第1のマウスピースハウジング500が第2の材料容器ハウジング400から外された状態の同じ集合体の斜視図であり、容器400の近位端407が見えている。
【0079】
マウスピース集合体600は、材料容器400とマウスピース500とを備える。上記のように、容器400は、使用時に容器400が嵌められるカートリッジ200と摩擦によって相互作用するために、その外面に少なくとも1つの第1の表面構造物208b、208c、この場合には、1組の第1の隆起部又はリブ208b、208cを備える。
【0080】
図6a、
図6b、及び
図7の例では、第1の隆起部208bは、容器400の外面の周囲を延在する。第1の隆起部208b、208cはまた、この例では、1つ又は複数の周方向隆起部208bを含む。容器が、2つ以上の周方向隆起部208b又は3つ以上の周方向隆起部208bを備えることは有利である。この例では、
図6bで最もよく分かるように、中央に1つの周方向隆起部と、その周辺に2つの周方向隆起部との3つの周方向隆起部208bがある。この例では、中央の周方向隆起部は、周辺の周方向隆起部が容器の表面から半径方向に延在するよりさらに長く、容器400の表面から半径方向に延在し、中央の周方向隆起部の幅は約0.15mm~約0.17mmが好ましい。
【0081】
この例では、カートリッジ200の凹部290の内面の第2の表面構造物208a、208dは、第1の隆起部208b、208cと相互作用する少なくとも1つの周方向溝(208a、
図5)を備えてもよい。引き続き、
図6a、
図6b、及び
図7の例を参照すると、第1の表面構造体のうちの少なくとも1つは、ゴム又はプラスチック材料、例えばシリコーンなどの可撓性及び/又は圧縮性材料のリブ208bであってもよく、これは、材料容器400が凹部290に嵌まることができるように圧縮され、凹部290の表面の対応する溝208aと相互作用するように拡大することができ、したがって、容器400を定位置に保持し、実質的な気密シールを形成することに寄与する。
【0082】
図6a、
図6b、及び
図7に示した例示的な容器400の第1の隆起部の組はまた、容器400の表面に沿って延在する少なくとも1つの長手方向隆起部208cを含む。
図4a、
図4bでは、この例の容器400が複数の軸方向隆起部208cを備えていることが分かる。長手方向隆起部208cは、凹部290の内面と相互作用することができ、凹部290の内面の少なくとも1つの対応する長手方向溝(208d、
図2)と相互作用することができる。容器の長手方向隆起部208cは、実質的な気密シールを提供することを助けることができ、容器400が凹部290に挿入されるときに容器400とカートリッジ200との間を正しく位置合わせすることをさらに助けることができる。他の例(図示せず)では、凹部290は長手方向隆起部を備えてもよく、一方、容器400は長手方向溝を備える。
【0083】
容器400は、その表面に沿って任意の方向に延在する任意の数の隆起部又は溝を備えてもよい。他の例では、容器400はいかなる表面構造物も備えなくてもよく、容器の表面とカートリッジ200の凹部290との間の摩擦だけでカートリッジ200に押込み嵌めされてもよい。容器400の表面は、摩擦嵌めを助けるために、プラスチック又はゴム材料などの高摩擦係数の材料を含んでもよい。容器400は、ポリプロピレンなどのプラスチック材料を含んでもよい。
【0084】
図7を参照すると、容器400は、材料30が入ったチャンバ430を備えるように示されている。製造時、容器400はチャンバ430を備えて形成され、次いで、材料30がチャンバに供給される。材料30は、近位端450の近くでチャンバ430を封じる第1のバリア404と、遠位端460の近くでチャンバ430を封じる第2のバリア405とによってチャンバに封じられる。
【0085】
第1のバリア404及び第2のバリア405は、エアロゾルの流れに対して浸透性であり、タバコ材料などの材料30がチャンバ430を出ることを防ぐメッシュを備える。メッシュは耐熱材料から形成され、金属などの熱伝導性材料であることが有利である。これは、材料からより多くの所望の化合物を放出するために熱を材料30に伝える助けをするからである。メッシュが浸透性であることによって、エアロゾルは、遠位端460でカートリッジ200からチャンバ430を通ることができ、使用者が吸引するために、エアロゾルは近位端450を出て吸引穴590に入ることができる。近位端250では、メッシュは、材料30がマウスピース500に入って使用者によって意図せず吸引されることを防ぐ。
【0086】
第1のバリア404及び第2のバリア405の両方がメッシュの場合、メッシュは、ポリプロピレンなどのプラスチック材料、或いはステンレス鋼又はアルミニウムなどの金属を含んでもよく、例えば、アルミニウム箔を含んでもよい。メッシュはステンレス鋼のメッシュが好ましい。メッシュは約0.1mm~約1.2mmの厚さを有することがあり、例えば、メッシュがプラスチック材料を含むときには約1.2mmの厚さ、又は、メッシュがステンレス鋼などの金属を含むときには約0.1mm~約0.3mmの厚さ、又は、メッシュがアルミニウム箔を含むときには約0.3mmの厚さを有することがある。メッシュは、最大開口の大きさが、有利には、入れられた材料30の直径よりも小さいメッシュであることが有利である。例えば、材料30がタバコの場合、メッシュの最大開口の大きさは約0.2mm~約0.7mmとすることができ、メッシュの最大開口の大きさは、使用されるタバコのタイプに応じて選ぶことができる。
【0087】
構築時、第1のマウスピースハウジング500と第2の容器ハウジング400は別々に形成される。次いで、容器400とマウスピース500は、マウスピース集合体600を形成するように取り付けられる。
【0088】
マウスピース500は、例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から射出成形によって形成されてもよい。
図7の例のマウスピース500の形状は、遠位端508に向かって広がるような形状である。これは、使用者の口が接触するための人間工学的な形状を提供する。この例では、その遠位端508において、マウスピース500は、カートリッジ200の近位端の直径より大きな直径を有する。マウスピース500は、材料ポッドハウジング409を収容するように構成されるように形成される。マウスピースはその近位端に穴590を有し、
図4bなどのいくつかの例では、穴590に沿ってエアロゾルの流れを導くための長手方向のフィン591を備えてもよい。
【0089】
容器400はまた、プラスチック材料から射出成形によって形成されてもよい。容器400は、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート(PET:polyethyleneterephthalate)から形成されてもよい。この例では、容器の近位端407は、マウスピースハウジング500の内部面507の相補形状に対応する段付き構造物を備える。
【0090】
容器400は、容器の表面の周囲を延在する突出部406をさらに備える。この突出部406は、第2のコネクタ構成体280によってマウスピース集合体600とカートリッジ200とを一緒になるように嵌めたときに、マウスピースハウジング500の遠位端508と当接し、さらに、マウスピース集合体600とカートリッジ200との間に実質的な気密シールを設けるように構成される。
図6a及び
図6bの例などのいくつかの例では、突出部406は、複数の実質的に三角柱の部分406aと複数の実質的に平坦な部分406bとを備えることができ、実質的に平坦な部分406bは、各三角柱の部分406aの間に配置され、三角柱の部分406aは、平坦な部分406bが半径方向外向きに突出する距離よりも大きく半径方向外向きに突出する。
図6a及び
図6bの例の突出部406はまた、少なくとも1つの台形柱の部分406cを備え、これは、三角柱の部分406aと隣り合って配置され、さらに容器400の近位端450の方に向かって配置されている。台形柱の部分406cの非平行面の平面は、容器400の長手方向軸線に沿って整列している。マウスピース500を材料ポッド400に取り付ける際、容器ハウジング400の一部分は、マウスピースハウジング500の遠位端の凹部に挿入される。容器がこの凹部に挿入されると、容器400の近位端407の段付き構造物はマウスピースの内部面507に当接し、マウスピース500の遠位端508は突出部406に当接する。
【0091】
容器ハウジング400とマウスピースハウジング500とは、超音波溶接で取り付けられることが有利である。次いで、突出部406は、容器400をマウスピース500に取り付けるために超音波溶接装置のための接触点を提供することができる。
【0092】
或いは、マウスピース500を材料ポッド400に取り付けるために、接触点(例えば、407と507、並びに406と508)に接着剤を使用してもよい。さらに他の代替例では、マウスピース500と容器400は、例えば、摩擦嵌め又はスナップ嵌めによって着脱可能に取り付けられてもよく、この場合、接着剤は使用されない。
【0093】
いくつかの例では、容器400が形成され、材料30がチャンバ430に供給された後、第1のメッシュ404と第2のメッシュ405は、容器400の近位端450と遠位端460に嵌められる。他の例では、容器400の近位端450の第1のメッシュ404又は遠位端460の第2のメッシュ405のどちらかが容器400と一体的に形成されるが、近位端450の第1のメッシュ404が容器400と一体的に形成されることが有利である。例えば、近位端450の第1のメッシュ404は、容器400の成形のプロセス時に形成されてもよく、次いで、材料30が容器に供給され、それから、遠位端460の第2のメッシュ405によって封じられる。有利な例では、マウスピース500と容器400が超音波溶接によって接合される場合、第1のメッシュ404は、超音波溶接プロセス時に容器400の近位端250に嵌められていることが有利である。
【0094】
容器400とマウスピース500を単一のマウスピース集合体600として提供すると、使用者には人間工学的なメリットが得られる。例えば、使用者は、材料30を交換する必要があるときに集合体600を取り外すためにマウスピース500を掴んで引っ張ることができる。次いで、使用者は、集合体600全体を交換して、マウスピースとは別個の材料容器を取り外して交換するという時間のかかる仕事を避けることができる。この集合体によってまた、確実に、材料30が交換を必要とするのと同じ頻度で新しいマウスピースが嵌められる。これは、より長期間使用される他のデバイスのマウスピースに対する衛生上のメリットを提供する。
【0095】
このマウスピース集合体600はまた、マウスピースとして機能するが別個のマウスピースを持たない容器を有するハイブリッドデバイスに対するメリットを有する。他の利点の中でも、マウスピース集合体600は、人間工学的な形状のマウスピース500を提供し、裾広がり形状によって使用者の口とデバイスの他の部分との接触を減らし、以って衛生面が改善される。さらに、材料容器400に加えてマウスピース500を組み入れると(使用者の口に対する接触点として機能する容器400とは対照的に)、材料ポッドを使用者の口から空間的に分離することができ、使用者が高温になる可能性のある材料と接触することを防ぎ、前記材料のいずれも意図せずに吸引する可能性を減じる。マウスピースの穴590には、容器400の近位端450とマウスピースの穴590の近位端との間の空間が設けられている。この空間は、使用者に送達されるエアロゾルの流れの質を改善することができる。例えば、この空間を設けると、使用者に送達されるエアロゾルの流れの特性、すなわち、エアロゾルの粒子の大きさ、エアロゾルの流れからのエアロゾルの凝縮度、及びエアロゾルの流れの温度のうちのいずれか1つ、又はこれらの特性の任意の組合せを改善することができる。
【0096】
上記のように、マウスピース集合体600を製造する方法は、容器400を用意するステップと、容器に材料30を供給するステップと、材料を第1のバリアで容器に封じるステップと、マウスピース500を用意するステップと、容器400をマウスピース500に取り付けるステップとを含む。これは、人間工学的で便利な製品を生じさせる、コスト効率の高いプロセスである。
【0097】
上記の例に対してはいくつかの他の変形及び代替が可能であることに留意すべきである。
【0098】
例として、例えば、使用者の選択により、材料を材料チャンバから省くことができる。これによって、使用者は、使用者が選ぶならばその時々で、液体をエアロゾル化するだけでエアロゾルを材料の中を通過させることがない伝統的な「eシガレット」デバイスとして、本カートリッジを使用することができるので、使用者はより柔軟にカートリッジを使用することができる。
【0099】
本書では、用語「香料」及び「香味料」は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りを発生するために、現地の規制によって許可される場合に使用することができる材料を指す。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ(Drambuie)(商標)、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油など)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤若しくは感覚受容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤、を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、又はこれらの混合物の場合であってもよい。これらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、又は粉末の形態であってもよい。
【0100】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例示的に示している。これらの実施形態は、特許請求された発明を実施することが可能なものであり、吸引可能な媒体を生成するように構成された優れたシステムを提供するものである。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうちの代表的な例にすぎず、網羅するものでもなければ、排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成部品、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、或いは本質的にそれらから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。