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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】押しボタンスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
H01H13/14 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020534649
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2019029749
(87)【国際公開番号】W WO2020027093
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2018142249
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394000493
【氏名又は名称】ヒーハイスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】本多 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩平
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-204550(JP,A)
【文献】特開昭57-190120(JP,A)
【文献】特開2016-018633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
F16C 29/06
H01H 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部を備え、上面にて開口してなる外筒部材;頂部に拡大された周縁部を持つ面状押圧部を備えたロッド、そしてこの面状押圧部の周縁部から、ロッドの外周面の外側に筒状空隙を介して下方に伸びる内筒部を含む、上記外筒部材の内部に収容された押しボタン;上記筒状空隙に配置された上昇力付勢部材;そして上記外筒部材の底面部の上記ロッドの下面に対向する位置に付設された接触スイッチを含み、上記ロッドの内筒部の外周面に形成され、複数の球体を、外筒部材の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝を含むことを特徴とする押しボタンスイッチ。
【請求項2】
ロッドの頂部の面状押圧部の周縁もしくは内筒部の底部に外筒部材との一時的な係合を可能にする係合手段が備えられている請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
【請求項3】
押しボタンの内筒部に3乃至6の球体循環溝が形成されている請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
【請求項4】
上記面状押圧部の上面が、押しボタンの中心軸に対して垂直もしくは傾斜した平面を持つ請求項1記載の押しボタンスイッチ。
【請求項5】
上昇力付勢部材がコイルバネもしくは板バネである請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
【請求項6】
上記球体循環溝が、球体の外筒部材の内周面との接触下の移動を可能にする球体接触移動路、球体の外筒部材の内周面との非接触状態での移動を可能にする球体非接触移動路、そして球体接触移動路と球体非接触移動路のそれぞれの端部を互いに連結する半円状連結路を含む請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
【請求項7】
請求項1に記載の押しボタンスイッチが装着されたゲーム機器の操作盤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンスイッチに関し、ゲーム機器にケーブルを介して接続し、操作者によるゲームの進行に関する指示をゲーム機器に伝達するために用いられる操作盤に装着した状態で好適に用いられる押しボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイを備えたゲーム機器に、操作者(遊戯者)のゲームの進行に関する指示を与えるための操作ハンドル(ジョイスティック)と共に押しボタンスイッチを装着した操作盤をケーブルを介して接続させたゲーム操作システムが一般的に利用されるようになっている。このようなゲーム操作システムでは、ゲームの進行に応じて、遊戯者がジョイスティックを操作したり、押しボタンスイッチを押すことにより、ゲームの進行が指示される。
【0003】
添付図面の図1に、ゲーム機器に接続される操作盤の一般的な構成例を示す。図1において、操作盤1は、上面にジョイスティック2と複数個の押しボタンスイッチ3とが装着された薄厚の箱体の構成にある。
【0004】
図2は、図1に示した押しボタンスイッチ3の一般的な内部構造を示す。図2において、押しボタンスイッチ3は、底面部を備え、上面にて開口している外筒部材4;外筒部材4の内部に収容されている、頂部に面状押圧部(押圧付与面)5aを備えたロッド5と面状押圧部5aの周縁部からロッド5の外周面の外側に、筒状空隙6を介して下方に伸びた内筒部材7を含む押しボタン8;押しボタン8のロッド5の外周面の外側の筒状空隙6に配置された上昇力付勢部材(例、コイルバネ)9;そして外筒部材4の底面のロッド5の下方位置に付設されている接触スイッチ10を含む。
そして、図2の押しボタンスイッチ3の内筒部7の下端部には、外筒部材4の下方位置に形成された開口部4aと係合することにより、上昇力付勢部材9から与えられる上昇力による内筒部7の上昇を制限するための係止部7aが形成されている。
【0005】
特許文献1には、基本的には上記の図2と同様の構成を持つテレビゲーム機用の操作ボタン(すなわち、押しボタンスイッチ)に関する考案が開示されている。この特許文献1に開示の考案は、テレビゲーム機の使用中にプログラムの変更をする場合に、不要となった操作ボタンを簡単に操作できないようにし、また再度のプログラムの変更により、この一旦不要となった操作ボタンを使用する場合に容易にその再準備ができるようにした操作ボタンの盲蓋に関する考案である。
【0006】
特許文献2にも、基本的には上記の図2と同様の構成を持つゲーム機用のボタン式入力装置(すなわち、押しボタンスイッチ)に関する発明が開示されているが、この特許文献2に開示の発明は、押しボタンスイッチに特定の構造のカバーを付設して、メンテナンスの頻度の軽減を可能にした入力装置の発明である。
【0007】
添付の図1図2に示したような構成のゲーム機用の操作盤の押しボタンスイッチは、ゲームの操作者(遊戯者)が、ディスプレイ面に表示されるゲームを迅速かつ確実に進行させることができるようにするために、常に円滑かつ安定な作動状態を維持することが要求される。例えば、高い集中状態と強い興奮状態にある遊戯者(操作者)が押しボタンに与える操作条件の変動(例えば、押しボタンに与える押圧の変動や押圧の付与角度の変動)に拘わらず、安定かつ円滑なスイッチ操作が実現することが要求される。
【0008】
図2に示した構造の一般的な押しボタンスイッチでは、押しボタン8の面状押圧部5aを押すことにより、押しボタン8が上昇力付勢部材9の抵抗を押しのけて下降し、その結果、接触スイッチ10が押し下がることにより、接触スイッチ10の下側に付設されているスイッチ回路(図示せず)におけるスイッチ動作(電気回路の開閉動作等)が行われる。従って、押しボタンに付与される押圧の強度や角度の変動により、押しボタンは僅かではあるが傾斜しながら下降あるいは上昇する場合があり、このような場合には押しボタンの円滑な下降や上昇が妨げられやすい。そして、このような押しボタンの円滑な下降や上昇に関する不具合が発生した場合には、ゲーム機への迅速かつ確実な指示が実現しにくくなるため、そのような不具合が発生しやすい押しボタンスイッチが装着されたゲーム機器の操作盤は好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】登録実用新案公報第3001852号
【文献】特開2016-18633公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、押しボタンへの押圧角度の変動や押圧力の変動などの押圧条件の様々な変動によっても、迅速かつ確実なスイッチ操作の実現を可能にする押しボタンスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者は、上記の目的を実現するために通常使用されている押しボタンスイッチの基本構成を大きく変えること無く、迅速かつ確実なスイッチ作動の実現を可能にする押しボタンスイッチの開発を目的として研究を行った結果、以下に述べる新規な構成の押しボタンスイッチの開発に成功した。
【0012】
本発明は第一に、底面部を備え、上面にて開口してなる外筒部材;頂部に拡大された周縁部を持つ面状押圧部を備えたロッド、そしてこの面状押圧部の周縁部から、ロッドの外周面の外側に筒状空隙を介して下方に伸びる内筒部を含む、上記外筒部材の内部に収容された押しボタン;上記筒状空隙に配置された上昇力付勢部材;そして上記外筒部材の底面部の上記ロッドの下面に対向する位置に付設された接触スイッチを含み、上記ロッドの内筒部の外周面に形成され、複数の球体を、外筒部材の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝を含むことを特徴とする押しボタンスイッチ(第一の態様)にある。
【0013】
本発明の第一の態様の押しボタンスイッチの好ましい構成を以下に記載する。
(1)ロッドの頂部に備えられた面状押圧部の上面がロッドの中心軸に対して垂直の平面である。
(2)ロッドの頂部に備えられた面状押圧部の上面がロッドの中心軸に対して傾斜した平面である。
【0014】
(3)ロッドの頂部の面状押圧部の周縁もしくは内筒部の底部に外筒部材との一時的な係合を可能にする係合手段が備えられている。
(4)上昇力付勢部材がコイルバネである。
【0015】
(5)球体循環溝が、球体の外筒部材の内周面との接触下の移動を可能にする球体接触移動路、球体の外筒部材の内周面との非接触状態での移動を可能にする球体非接触移動路(球体帰還路)、そして球体接触移動路と球体非接触移動路のそれぞれの端部を互いに連結する半円状連結路を含む。
(6)押しボタンの内筒部に3以上、好ましく3乃至6の球体循環溝が形成されている。
【0016】
上記の本発明の第一の態様の押しボタンスイッチに装着されている上昇力付勢部材は、押しボタンの内側ではなく、押しボタンの下部に装着することもできる。
【0017】
従って、本発明は第二に、底面部を備え、上面にて開口してなる外筒部材;この外筒部材の内部に収容されている、頂部に面状押圧部を備えてなる押しボタン;この押しボタンの底部に備えられた下方に伸びるロッド;このロッドの周囲に配置された上昇力付勢部材;そして上記外筒部材の底面部の上記ロッドの下面に対向する位置に付設された接触スイッチを含み、上記押しボタンの外周面に形成され、複数の球体を、外筒部材の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝を含むことを特徴とする押しボタンスイッチ(第二の態様)にもある。
【0018】
本発明の第二の態様の押しボタンスイッチの好ましい構成を以下に記載する。
(1)押しボタンの頂部に備えられた面状押圧部の上面がロッドの中心軸に対して垂直の平面である。
(2)押しボタンの頂部に備えられた面状押圧部の上面がロッドの中心軸に対して傾斜した平面である。
【0019】
(3)押しボタンの底部に外筒部材との一時的な係合を可能とする係合手段が備えられている。
(4)上昇力付勢部材がコイルバネである。
【0020】
(5)球体循環溝が、球体の外筒部材の内周面との接触下の移動を可能にする球体接触移動路、球体の外筒部材の内周面との非接触状態での移動を可能にする球体非接触移動路(球体帰還路)、そして球体接触移動路と球体非接触移動路のそれぞれの端部を互いに連結する半円状連結路を含む。
(6)押しボタンに3以上、好ましく3乃至6の球体循環溝が形成されている。
【0021】
本発明はまた、上記第一の態様及び第二の態様の押しボタンスイッチのいずれかが装着されたゲーム機器の操作盤にもある。
【発明の効果】
【0022】
本発明の押しボタンスイッチは、押しボタンのロッドの周囲の内筒部の外周面(第一の態様)もしくは押しボタンの外周面自体(第二の態様)に形成され、複数の球体を外筒部材の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝を含む構成が採用されているため、この球体循環溝に収容された複数の球体の無限循環により、押しボタンの下降/上昇によるスイッチ操作が極めて円滑に行われ、また繰り返しのスイッチ操作によっても故障の発生が少ないため、操作性と信頼性とが極めて優れた押しボタンスイッチとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ゲーム機器に接続されるジョイスティックと押しボタンスイッチとを備える一般的な操作盤の構成例(従来例)を示す。なお、図1には、一個の押しボタンスイッチを操作盤から取り出した状態で示されている。
図2図1に示したゲーム機器の押しボタンスイッチの構成例(従来例)を示す断面図である。
図3】本発明の第一の態様に従う押しボタンスイッチの外観の例を示す斜視図である。
図4図3の押しボタンスイッチの内部の構成を示す正面断面図である。但し、内筒部、球体無限循環溝、球体、上昇力付勢部材、そして接触スイッチについては、それぞれ正面図として図示している。
図5図4の押しボタンスイッチの押しボタンが押し下げられた状態(スイッチが入った状態)の構成を示す正面断面図である。内筒部、球体無限循環溝、球体、上昇力付勢部材、そして接触スイッチについてはそれぞれ、図4と同様に、正面図として図示している。
図6図3の押しボタンスイッチの正面断面図である。
図7図3の押しボタンスイッチの内筒に形成された球体無限循環溝の球体接触移動路と球体非接触移動路の位置を示す水平断面図である。
図8図3の押しボタンスイッチの内筒に形成された球体無限循環溝の球体接触移動路と球体非接触移動路との間の位置関係を示す水平断面図である。
図9図3の押しボタンスイッチの構成部材を示す分解図である。
図10】本発明に従う押しボタンスイッチの他の構成例の断面図を示す。
図11図10に示した押しボタンスイッチの使用態様(計数装置)の例を示す斜視図である。
図12図11に示した計数装置で用いられている押しボタンスイッチの作動状態を示す正面部分断面図であり、(A)は、計数対象の物品の接触待ち状態にある押しボタンスイッチを示し、(B)は、計数対象の物品の接触下の状態(計数状態)にある押しボタンスイッチを示す。
図13】本発明の第二の態様に従う押しボタンスイッチの構成を示す正面断面図である。ここで使用されている上昇力付勢部材は、コイルスプリングである。
図14】本発明の第二の態様に従う押しボタンスイッチの他の構成(上昇力付勢部材として板バネを使用)を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の押しボタンスイッチを、添付図面の図3乃至図14を参照しながら詳しく説明する。
【0025】
図3は、本発明の第一の態様に従う押しボタンスイッチ3の斜視図を示し、図4は、図3の押しボタンスイッチ3の内部構造が理解されるように描いた正面断面図である。但し、図4では、内筒部、球体無限循環溝、球体、上昇力付勢部材、そして接触スイッチについては、それぞれ正面図として図示している。図5は、図3の押しボタンスイッチの押しボタンが押し下げられた状態(スイッチが入った状態)の構成を示す正面断面図であり、内筒部、球体無限循環溝、球体、上昇力付勢部材、そして接触スイッチについてはそれぞれ、図4と同様に、正面図として図示している。図6は、図3の押しボタンスイッチの正面断面図である。
【0026】
図7は、図3の押しボタンスイッチの内筒に形成された球体無限循環溝の球体接触移動路と球体非接触移動路の位置を示す水平断面図であり、図8は、図3の押しボタンスイッチの内筒に形成された球体無限循環溝の球体接触移動路と球体非接触移動路との間の好ましい位置関係を表す水平断面図である。
【0027】
本発明の第一の態様に従う押しボタンスイッチも、図2に示した一般的に使用されている押しボタンスイッチと同様な基本構成を持っている。すなわち、本発明の第一の態様に従う押しボタンスイッチ3は、外筒部材4;頂部に面状押圧部5a(拡大された周縁部を持つ面状押圧部)を備えたロッド5(図7参照)と面状押圧部5aの周縁部からロッド5の外周面の外側に、筒状空隙6を介して下方に伸びた内筒部7を含む、外筒部材4の内部に収容された押しボタン8;押しボタン8のロッド5の外周面の外側の筒状空隙6に配置された上昇力付勢部材9;そして外筒部材4の底面上のロッド5の下方位置に付設された接触スイッチ10を含む。そして、図2の一般的な押しボタンスイッチと同様に、ボタンスイッチ3の内筒部7の下端部には、外筒部材4の下方位置に形成された開口部4aと係合することにより、上昇力付勢部材9から与えられる上昇力による内筒部7の上昇高さを制限するための係止部7aが形成されている。
【0028】
外筒部材、そして面状押圧部と内筒部を含む押しボタンは、金属製であっても、合成樹脂製であってもよい。上昇力付勢部材としては、通常はコイルバネが利用されるが、板バネであってもよく、またゴムなどの他の弾性材料から製造されたものであってもよい。
【0029】
本発明の第一の態様に従う押しボタンスイッチの特徴は、上記の内筒部7の周面に形成され、複数の球体11を、外筒部材4の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝12を含むことにある。
【0030】
球体循環溝12は、球体11の外筒部材の内周面との接触下の回転移動を可能にする球体接触移動路12a、球体11の外筒部材の内周面との非接触状態での移動を可能にする球体非接触移動路(球体帰還路)12b、そして球体接触移動路12aと球体非接触移動路12bのそれぞれの端部を互いに連結する半円状連結路12c、12dを含むことが好ましく、内筒部に三本以上の球体循環溝、特に三本乃至六本の球体循環溝が形成されていることが好ましい。なお、図4乃至7に示されている内筒部7に形成されている球体循環溝は四本である。球体はボールベアリングとして一般的に利用されている鋼球であってもよく、あるいは軽量化を意図して硬質もしくは軟質の合成樹脂材料の成形により製造した球体であってもよい。
【0031】
また、図7に示されているように、球体循環溝12の球体接触移動路12aに収容されている球体の中心点とロッド5の中心軸との距離xが、球体非接触移動路(球体帰還路)12bに収容されている球体11の中心点とロッド5の中心軸との距離yよりも大きいこと(x>y)が好ましく、また、球体11の円滑な無限循環、そして押しボタン3の円滑な作動、すなわち、押圧された押しボタン3の外筒内面に沿う円滑な下降と、押圧から解除された押しボタン3の外筒内面に沿う円滑な上昇とが実現する。
【0032】
さらに、図8に示されているように、断面の上部が長方形で底部が半円状の球体接触移動路12aの中心点(半円状底部の中心点)と該球体接触移動路12aの最低位置とを結ぶ仮想線L1に対してロッド5の軸中心点Pから仮想線L2を直角に交差するように伸ばした場合の交点(仮想線L1と仮想線L2の交点)Q1までの距離(a)が、断面の上部が長方形で底部が半円状の球体接触移動路12bの中心点(半円状底部の中心点)と該球体接触移動路12bの最低位置とを結ぶ仮想線L3に対してロッド5の軸中心点Pから仮想線L4を直角に交差するように伸ばした場合の交点(仮想線L3と仮想線L4との交点)Q2までの距離(b)よりも大きい(a>b)ことが好ましい。そして、球体接触移動路12aの中心点からQ1迄の距離(c)が、球体接触移動路12bの中心点からQ2迄の距離(c)が同一であることが好ましい。このような構成とすることにより、球体循環溝の球体接触移動路と球体非接触移動路(球体帰還路)の形成が容易となる。
【0033】
本発明の第一の態様の例である図3の押しボタンスイッチの構成部材を示す分解図を図9に示す。図6の正面断面図と図9の分解図から理解できるように、図3の押しボタンスイッチ(第一の態様の押しボタンスイッチ)は、下記の部材から構成されている。
1)底面部を備え、上面にて開口してなる外筒部材4
2)頂部に拡大された周縁部を持つ面状押圧部を備えたロッド5、そしてその面状押圧部の周縁部から、ロッド5の外周面の外側に筒状空隙6を介して下方に伸びる内筒部7を含む押しボタン(この押しボタンは、外筒部材4の内部に収容される)
3)筒状空隙6に配置される上昇力付勢部材9(図9ではコイルバネ)
4)外筒部材4の底面部のロッド5の下面に対向するの位置に付設される接触スイッチ10。
【0034】
そして、内筒部7の外周面には、複数の球体11を、外筒部材4の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容することのできる球体循環溝12cが含まれる。
【0035】
なお、ロッド5の頂部の面状押圧部の周縁もしくは内筒部の底部に外筒部材との一時的な係合を可能にする係合手段(例、内筒部7の底部の突起7aと外筒部材の孔部4a)が備えられていることが好ましい。
【0036】
図10は、本発明に従う押しボタンスイッチを、計数装置での使用に好適なように構成した例を示す。
この図10に示した計数装置で用いられている押しボタンスイッチ3もまた、本発明の第一の態様に従う押しボタンスイッチの実施例に相当し、外筒部材4に収容されている、頂部に押しボタン8の軸に対して傾斜した平面を持つ面状押圧部5aを備えたロッド5と面状押圧部5aの周縁部からロッド5の外周面の外側に、筒状空隙を介して下方に伸びた内筒部7を含む押しボタン8;押しボタン8のロッド5の外周面の外側の筒状空隙に配置された上昇力付勢部材9;そして外筒部材4の底面上のロッド5の下方位置に付設された接触スイッチ10を含む押しボタンスイッチである。そして、内筒部7の周面に形成され、複数の球体11を、外筒部材4の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している四本の球体循環溝12を含む。
【0037】
図11は、図10に示した押しボタンスイッチの使用態様(計数装置)の例を示す斜視図である。図11において、押しボタンスイッチ3は、樋状の物品供給路の表面に上方(図11では左側)から順次供給されてくるコロ状の物品14の数を、押しボタン8の頂部の押圧部5aとの接触により検知し、その検知結果を累計することにより、供給された物品14の計数を行う装置として利用される。
【0038】
図12は、図11に示した計数装置で用いられている押しボタンスイッチ3の構成を示す正面部分断面図を示し、(A)は、計数対象の物品14の接触待ち状態にある押しボタンスイッチ3を示し、(B)は、計数対象の物品14の接触下の状態にある押しボタンスイッチ3を示す。
【0039】
図13は、本発明の第二の態様に従う押しボタンスイッチの構成例を示す正面断面図である。図13において、押しボタンスイッチ3は、底面部を備え、上面にて開口してなる外筒部材4;該外筒部材4の内部に収容されている、面状押圧部を頂部に備えてなる押しボタン8;該押しボタン8の底部に備えられた下方に伸びるロッド13;ロッド13の周囲に配置された上昇力付勢部材(図13では、コイルバネ)9;そして外筒部材4の底面部のロッド13の下面に対向する位置に付設されている接触スイッチ10を含み、押しボタン8の外周面に形成され、複数の球体11を、外筒部材の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝12を含む。
【0040】
図14も、本発明の第二の態様に従う押しボタンスイッチの構成例を示す正面断面図を示す。図14でも、押しボタンスイッチ3は、底面部を備え、上面にて開口してなる外筒部材4;該外筒部材4の内部に収容されている、頂部に面状押圧部を備えた押しボタン8;押しボタン8の底部に備えられた下方に伸びるロッド13;ロッド13の周囲に配置された上昇力付勢部材(但し、図14では板バネ)9;そして外筒部材4の底面部のロッド13の下面に対向する位置に付設されている接触スイッチ10を含み、押しボタン8の外周面に形成され、複数の球体11を、外筒部材の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝12を含む。
【0041】
図13図14に示された本発明の第二の態様の押しボタンスイッチにおける、押しボタン8の外周に形成されている複数の球体11を外筒部材の内周面との接触下での無限循環が可能なように収容している球体循環溝12(即ち、本発明の第一の態様と第二の態様において共通する本発明の特徴的構成)に関しては、双方共に共通しているため、それらに付いての改めての説明の記載は省略する。また、各部材の材料等についての改めての説明の記載も省略する。
【符号の説明】
【0042】
1 ゲーム機の操作盤
2 ジョイスティック
3 押しボタンスイッチ
4 外筒部材
4a 開口部
5 ロッド
5a 面状押圧部
6 筒状空隙
7 内筒部
7a 係止部
8 押しボタン
9 上昇力付勢部材
10 接触スイッチ
11 球体
12 球体循環溝
12a 球体接触移動路
12b 球体非接触移動路
12c、12d 半円状連結路
13 ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14