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  • 特許-直動軸受用止め輪及び直動軸受 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】直動軸受用止め輪及び直動軸受
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/18 20060101AFI20220621BHJP
   F16C 29/06 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
F16B21/18 Z
F16C29/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021554917
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2020040625
(87)【国際公開番号】W WO2021090757
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019203059
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394000493
【氏名又は名称】ヒーハイスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】本多 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】福留 弘人
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-082313(JP,U)
【文献】実開昭61-093611(JP,U)
【文献】実開平01-154316(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01970583(EP,A2)
【文献】特開2020-063839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 21/18
F16C 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直動軸受の外筒の端部の内周面に嵌め込まれる合成樹脂製円環板、そして、その合成樹脂製円環板の外周側面の底部から外側に向けて突き出ている、上記外筒の内周側の端部近傍に形成されている環状溝に挿入される複数の不連続な弧状のフック部から構成され、この合成樹脂製円環板のフック部の内周側には、その合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状溝が形成されていることを特徴とする合成樹脂製止め輪。
【請求項2】
上記直動軸受が、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの循環移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受である請求項1に記載の合成樹脂製止め輪。
【請求項3】
上記合成樹脂製円環板の外周側面の下部から外側に延びる複数の不連続な弧状のフック部が、隣接するフック部の間隔が均等の四個以上の偶数個のフック部である請求項1もしくは2に記載の合成樹脂製止め輪。
【請求項4】
上記合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状の溝が断面U字状の溝である請求項1もしくは2に記載の合成樹脂製止め輪。
【請求項5】
両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;この球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの循環移動が可能なように収容保持されている球体群;そして上記外筒の端部の内周面に嵌め込まれる合成樹脂製円環板と、その合成樹脂製円環板の外周側面の底部から外側に向けて突き出ている、上記外筒の環状溝に挿入された複数の不連続な弧状のフック部から構成され、この合成樹脂製円環板のフック部の内周側には、その合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状溝が形成された合成樹脂製止め輪を含む直動軸受。
【請求項6】
上記合成樹脂製止め輪の合成樹脂製円環板の外周側面の下部から外側に延びる複数の不連続な弧状のフック部が、隣接するフック部の間隔が均等の四個以上の偶数個のフック部である請求項5に記載の直動軸受。
【請求項7】
上記合成樹脂製止め輪の合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状の溝が断面U字状の溝である請求項5もしくは6に記載の直動軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動軸受に装着するのに好適な合成樹脂製の止め輪、およびこの止め輪が装着された直動軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軸体の直線方向の相対的な往復運動を案内する軸受として利用されている直動軸受(リニア軸受とも呼ばれる)の代表的な構成の例は、特許文献1に記載されている。本明細書に添付した図面に、特許文献1に記載されている直動軸受の構成図を図1乃至図3として示す。図1は、直動軸受の外観を示す斜視図であり、図2は、直動軸受に軸体が挿入された状態を示す部分断面図である。そして、図3は、図1の直動軸受の軸方向から見た断面図である。
【0003】
図1乃至図3に示した直動軸受10は、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された溝部(凹溝)11a、11bを備える外筒11;外筒11の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒11の長さ方向に延びる細長い開口(スリット)12a、12bが形成されている筒状の球体保持器(リテーナとも呼ばれる)12;そして球体保持器12の内部に、外周面と内周面とに開口12a、12b介して僅かに突出した状態での回転下の移動が可能なように収容保持されている球体群(通常は、複数個の鋼球からなる群)13を含む。
【0004】
外筒11の両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に形成された溝部11a、11bには、外筒11からの球体保持器12の抜け落ちを防ぐための止め輪(スナップリングとも呼ばれる)14a、14bが装着される。
【0005】
なお、図3に示した断面図では、外筒11の内周面には円周方向に沿って凹凸が形成され、そして球体保持器12の外周面は、外筒11の上記内周面の形状に沿う凹凸を持つ形状とされているが、これらの形状は、球体保持器12の外筒11の内部での周方向の回転を防止するための形状であって、直動軸受にとっての必須な形状ではない。
また、図2では、球体保持器12に収容されている球体群の内の互いに隣接する球体の間での直接的な接触を避けるためのセパレータ15が挿入されているが、このセパレータ15もまた任意の部材である。
【0006】
直動軸受10により案内される軸体16は、球体保持器12の内周側に挿入される。そして、球体保持器12に収容されてい球体群13は、軸体16の長さ方向への相対的な往復運動により、球体保持器12の内部にて、加圧条件下に外筒11の内周面に接触しながら、球体循環路17に沿って回転しながら循環移動する。
【0007】
特許文献1には、止め輪は、金属材料や樹脂材料などの弾性材料から形成され、周方向の一部分が切り欠かれたC字状の形状とされた部材であるとの記載が見られる。そして、この止め輪は、直動軸受の組立において、外周縁部に力を加えて外径が小さくなるように弾性変形させた状態にて外筒の端部の開口から内側に挿入され、次いで外筒の環状溝の内部に到達すると元の形状に復帰し、環状溝の内部に収容配置される旨の説明がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-287645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の構成の直動軸受に装着するC字状の形状(C字形)の金属材料製の止め輪は、外筒からの球体保持器の抜け落ちを防ぐための手段として有効であるため、現在でも一般的に使用されている。しかしながら、C字形の金属材料製の止め輪は、外筒内への装着に際して必要な弾性変形を生じさせる作業において、その変形に対して強い抵抗を示すため、その装着作業を円滑に実施するためには熟練した技能が必要となる。そして、熟練した技能者であっても、その装着作業を素早く(すなわち、短時間内に)行うことは容易ではない。特に、近年になって需要が増えてきた微小な直動軸受の製造に必要な微小な金属材料製の止め輪の外筒内部への装着は難しさが増している。
【0010】
一方、特許文献1で触れられている樹脂材料製のC字形止め輪に関しては、外筒内への装着は比較的容易であるが、途中に切断面を持つ不連続な止め輪であることから、装着後において、外筒からの球体保持器の抜け落ち防止手段としての確実性や安定性に欠けるという問題もある。従って、直動軸受に装着する止め輪としての樹脂材料製のC字形止め輪の普及は殆ど進んでいない。
【0011】
本願発明の発明者は、従来より一般的に使用されている金属材料製のC字形止め輪、そして既に提案がなされている合成樹脂製のC字形止め輪のそれぞれが持つ問題点を検討し、それらの直動軸受用の止め輪に代わって、外筒内部への装着が容易で、かつ装着後における球体保持器の確実な抜け落ち防止機能が実現する合成樹脂製の止め輪の開発を目的として研究を行った。そして、その研究の結果、以下に記載する新規な構造を持つ合成樹脂製の止め輪が、従来知られている直動軸受用の止め輪の持つ問題点(即ち、課題)の解決に有効であることを見出し、本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第一に、直動軸受の外筒の端部の内周面に嵌め込まれる合成樹脂製円環板、そして、その合成樹脂製円環板の外周側面の底部から外側に向けて突き出ている、上記外筒の内周側の端部近傍に形成されている環状溝に挿入される複数の不連続な弧状のフック部から構成され、この合成樹脂製円環板のフック部の内周側には、その合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状溝が形成されていることを特徴とする合成樹脂製止め輪にある。
【0013】
本発明の上記の合成樹脂製止め輪は、特に、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの循環移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の球体保持器の外筒からの抜け落ち防止に有効に用いることができる。
【0014】
本発明の合成樹脂製止め輪の好ましい態様を以下に記載する。
(1)上記合成樹脂製円環板の外周側面の下部から外側に延びる複数の不連続な弧状のフック部が、隣接するフック部の間隔が均等の四個以上の偶数個(好ましくは、六個、八個、十個、12個)である。
(2)上記合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状の溝が断面U字状の溝である。
【0015】
本発明は第二に、本発明の合成樹脂製止め輪が装着された直動軸受にある。
【0016】
そして、本発明の直動軸受は、特に、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;この球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの循環移動が可能なように収容保持されている球体群;そして上記外筒の端部の内周面に嵌め込まれる合成樹脂製円環板と、その合成樹脂製円環板の外周側面の底部から外側に向けて突き出てされている、上記外筒の環状溝に挿入された複数の不連続な弧状のフック部から構成され、この合成樹脂製円環板のフック部の内周側には、その合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状溝が形成された合成樹脂製止め輪を含む直動軸受である。
【0017】
本発明の直動軸受の好ましい態様を以下に記載する。
(1)上記合成樹脂製止め輪の合成樹脂製円環板の外周側面の下部から外側に延びる複数の不連続な弧状のフック部が、隣接するフック部の間隔が均等の四個以上の偶数個(好ましくは、六個、八個、十個、12個)のフック部である。
(2)上記合成樹脂製止め輪の合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状の溝が断面U字状の溝である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の合成樹脂製の止め輪は、直動軸受の外筒の端部の内周面に嵌め込まれる合成樹脂製円環板、そして、その合成樹脂製円環板の外周側面の底部から外側に向けて突き出ている複数の不連続な弧状のフック部から構成されている。この複数の不連続な弧状のフック部は、外筒の環状溝に挿入されて、外筒と合成樹脂製円環板との確実な係合を実現する。そして、合成樹脂製円環板のフック部の内周側には、その合成樹脂製円環板の外周縁に沿って底面側で開口する円環状溝が形成されている。この円環状溝の形成により、弧状のフック部は、その突き出し方向に沿う弾性を持つ変形が可能となるため、合成樹脂製止め輪の、外筒の端部の内周面への嵌め込みはめ込み、そして外筒の環状溝へのフック部の挿入が容易、かつ円滑に実現する。
【0019】
そして、本発明の合成樹脂製の止め輪が外筒の両端部の内周面に装着された本発明の直動軸受は、その内周部に装着された球体保持器の内周側に軸体が挿入されて、その軸体が激しい往復運動を行った場合であっても、外筒内の球体保持器を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】止め輪が装着されている公知の直動軸受の外観を示す斜視図である。
図2図1に示した直動軸受に軸体が挿入された状態を示す部分断面図である。
図3図1に示した直動軸受の軸方向から見た断面図である。
図4】本発明に従う合成樹脂製の止め輪の斜視図である。
図5】本発明に従う合成樹脂製の止め輪の平面図(上面図)と側面図(A)、そして底面図(B)である。
図6】本発明の合成樹脂製の止め輪の平面図(A)、そしてAW-AW線での断面図(B)、そして、断面図(B)の部分拡大断面図(C)である。
図7】本発明の合成樹脂製の止め輪と、その止め輪を含む直動軸受の各構成部品を示す。
図8】本発明の合成樹脂製の止め輪が装着された直動軸受の構成を示す部分断面図(A)と装着状態を示す部分拡大断面図(B)である。
図9】本発明の合成樹脂製の止め輪が装着された直動軸受の斜視図である。
図10図9に示す直動軸受に軸体が挿入された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照しながら、本発明に従う合成樹脂製の止め輪、そしてその合成樹脂製止め輪が装着された本発明の直動軸受を詳しく説明する。
【0022】
図4は、本発明に従う代表的な合成樹脂製止め輪の斜視図を示す。本発明の合成樹脂製止め輪14は、合成樹脂製円環板18、そして合成樹脂製円環板18の外周側面の底部から外側に向けて突き出ている複数の不連続な弧状のフック部19から構成されている。合成樹脂製円環板18は、直動軸受の外筒の端部の内周面に嵌め込まれ、そして複数の不連続な弧状のフック部19は、外筒の環状溝(図2の11a、11b)に挿入されて、外筒と合成樹脂製円環板18との確実な係合を実現し、これにより合成樹脂製止め輪14の直動軸受の外筒内部への確実な装着を実現する。
【0023】
本発明に従う合成樹脂製の止め輪14の平面図(上面図)と側面図、そして底面図を、図5の(A)そして(B)に示す。図5に示した合成樹脂製止め輪14は、合成樹脂製円環板18に八個のフック部19が付設されている。このフック部19は、全て同形であって、四個以上の偶数個(例えば、四個、六個、八個、十個、12個)付設されていることが好ましい。また、複数個のフック部19は全て、図5に見られるように、合成樹脂製円環板18の中心点に対して点対称に付設されていることが好ましい。
【0024】
図5に示した本発明の合成樹脂製の止め輪の断面構造を明らかにするために、図6に、の平面図(A)、そしてAW-AW線での断面図(B)、そして、断面図(B)の部分拡大断面図(C)を示す。この断面図(B)、そして、部分拡大断面図(C)に見られるように、合成樹脂製止め輪14の合成樹脂製の円環板18に付設されている複数個のフック部19の内周側には、合成樹脂製円環板18の外周縁に沿って底面側で開口するU字状断面を持つ円環状溝20が形成されている。この円環状溝20の形成により、複数個のフック部19の合成樹脂製円環板18の平面方向に沿う弾性的な変形が可能になる。そして、このフック部19の弾性的な変形によって、外筒の環状溝(19a、19b)へのフック部19の挿入が容易となり、またその環状溝とフック部19との確実な係合が実現する。従って、直動軸受の外筒内に収容されている球体保持器の外筒からの抜け落ちを確実に防止することができる。
【0025】
なお、フック部19は、その断面が図6の(C)に見られるように、先端が切り落とされたデルタ形の断面を持つことが好ましいが、必ずしもこのような断面形状を持つ必要はない。
【0026】
本発明の合成樹脂製止め輪を含む直動軸受の代表的な構成部品を図7に示す。
図7に示した用に、本発明の直動軸受は、その基本部品として、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝11aを備える外筒11;外筒11の内部に装着される、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に延びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器12;そしてこの球体保持器内12に、外周面と内周面のそれぞれに形成された細長い開口を介して僅かに突出した状態での回転下の移動が可能なように収容保持される球体群13を含み、さらに外筒11の環状溝11aの内部に嵌め込まれる複数個のフック部19を備える合成樹脂製円環体18を含む合成樹脂製止め輪14から構成される。
【0027】
本発明の合成樹脂製の止め輪は、合成樹脂の成形により製造される。合成樹脂としては、特に限定はないが、圧力が加えられた場合に、容易に弾性変形し、圧力の負荷が無くなった場合には、元の形状に状態に変形する程度の弾性を示す合成樹脂であることが好ましく、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、あるいはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂などを用いることができる。
【0028】
直動軸受の外筒は、一般に金属材料の鋳造により製造されるが、硬質の合成樹脂の成形により製造される場合もある。また、球体保持器は、通常は樹脂材料の成形により製造されるが、金属材料から製造されることもある。そして、球体保持器は、前述のように、直動軸受の内部に軸体が挿入され、その軸体が直動軸受に対して、軸方向での繰り返しの相対的な往復運動を行なうと、その軸体の外周面と外筒の内周面に沿って内部の球体群が加圧下に回転しながら循環移動することにより、直動軸受の内周に沿った軸体の円滑な相対運動の実現を可能にする軸体支持球体回転循環路と、軸体支持球体回転循環路の両端部を接続する球体帰還路とを備える。
【0029】
なお、上述したような直動軸受の構成は既に知られていて、そのような構成の直動軸受は、直動軸受を開示する各種文献に開示され、また実際に各種構成にて多数利用されているため、そのような構成の直動軸受についての詳しい説明は要しない。
【0030】
本発明の合成樹脂製止め輪が装着された直動軸受の構成の例を、図8の部分断面図(A)と装着状態を示す部分拡大断面図(B)に示す。
本発明の合成樹脂製止め輪14は、その合成樹脂製円環板18を外筒の端部内周側に装着した後、強い力で外筒内に押し込むことにより、合成樹脂製円環板18の外側に突き出ているフック部19が、僅かに変形(弾性変形)した後、外筒の環状溝11a(あるいは11b)に入り込み、係合する。そして、この合成樹脂製止め輪14のフック部19の外筒の環状溝11aとの係合によって、合成樹脂製止め輪19は、外筒の内周側に確実に固定される。
【0031】
本発明の合成樹脂製の止め輪が装着された直動軸受の斜視図を、図9に示す。図9から分かるように、本発明の合成樹脂製の止め輪が装着された直動軸受は、図1に示した一般的な直動軸受と外観に関しては特に目立って変わったところはない。
【0032】
図10は、図9に示したしたす直動軸受10に軸体21が挿入された状態を、断面図として示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 直動軸受
11 外筒
11a、11b 環状溝
12 球体保持具
13 球体
14a、14b 止め輪(金属材料製)
14 本発明の合成樹脂製の止め輪
18 合成樹脂製円環板
19 本発明の合成樹脂製止め輪のフック部
20 本発明の合成樹脂製止め輪の円環状溝
21 軸体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10