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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】飛沫飛散防止装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 5/02 20060101AFI20220621BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20220621BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A47G5/02
A47B13/00 Z
E04B2/74 561H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022516646
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2020028430
【審査請求日】2022-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504307179
【氏名又は名称】東京マイクロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友彦
(72)【発明者】
【氏名】荒牧 修司
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-209711(JP,A)
【文献】実開昭56-096207(JP,U)
【文献】特開2004-330488(JP,A)
【文献】特開平11-263319(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152493(JP,U)
【文献】特開平03-067843(JP,A)
【文献】特開平08-019522(JP,A)
【文献】特開2007-296139(JP,A)
【文献】特開2003-239660(JP,A)
【文献】登録実用新案第3230518(JP,U)
【文献】登録実用新案第3233750(JP,U)
【文献】登録実用新案第3231397(JP,U)
【文献】特許第6895579(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3234609(JP,U)
【文献】特開2021-175493(JP,A)
【文献】特許第6989990(JP,B1)
【文献】特開2022-013278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 5/02
A47B 13/00
E04B 2/74
A62B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたフィルム本体から展開されたフィルム材により人から飛散する飛沫を捉える飛沫飛散防止装置であって、
前記フィルム本体を支持する第1の主柱機構と、
前記フィルム本体から展開された前記フィルム材を巻き取る第2の主柱機構と、
前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との少なくとも一端部側を架橋し、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構とを略平行に維持する枠体部と、
その使用時において前記第1の主柱機構、前記第2の主柱機構及び前記枠体部を載置面上に立設させる脚部と、を備え、
前記第2の主柱機構は、
前記フィルム材を巻き取る巻き取り回転軸と、
前記巻き取り回転軸を一方向へと回転させる駆動部と、を有し、
前記巻き取り回転軸が回転することで、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間に展開された前記フィルム材が前記巻き取り回転軸に巻き取られると共に、前記フィルム本体から新たな前記フィルム材が、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間であり、前記載置面に対して略鉛直方向に展開されることを特徴とする飛沫飛散防止装置。
【請求項2】
前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構とは横幅方向において略平行に立設し、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間に展開された前記フィルム材は前記横幅方向へと移動し、
前記第1の主柱機構は、
前記フィルム本体を支持すると共に、前記フィルム材に引っ張られることで回転する送り出し回転軸と、
前記送り出し回転軸の回転を規制する規制部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項3】
前記送り出し回転軸は、前記駆動部が駆動し前記フィルム材に引っ張られることで、前記一方向とは逆方向に回転し、
前記規制部は、前記駆動部の停止時には前記送り出し回転軸が前記逆方向へと回転することを規制し、
前記規制部は、トルクリミッタであることを特徴とする請求項2に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項4】
前記巻き取り回転軸には、前記フィルム材を巻き取るための巻き取り用芯材が着脱可能に配設され、
前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材との間には、前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材とが一体に回転するための滑り軽減部材が配設されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項5】
前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構とは、少なくとも前記フィルム材よりも上端側にて前記枠体部を介して連結し、
前記第2の主柱機構には、前記フィルム材を前記巻き取り回転軸側へと押圧する巻き取りガイド部が配設されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項6】
前記第1の主柱機構及び前記第2の主柱機構を高さ方向において略平行に支持する一対の支柱部と、を更に備え、
前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間に展開された前記フィルム材は前記高さ方向へと移動することを特徴とする請求項1に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項7】
前記フィルム本体から展開された前記フィルム材に張力を加え、前記支柱部により前記第1の主柱機構及び前記第2の主柱機構に対して前記高さ方向において略平行に支持される第3の主柱機構と、を更に備え、
前記第1の主柱機構は、前記第2の主柱機構と前記第3の主柱機構との間に配設され、前記第1の主柱機構から展開された前記フィルム材は前記第3の主柱機構を経由して前記第2の主柱機構に巻き取られることを特徴とする請求項6に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項8】
前記第3の主柱機構は、
前記支柱部に非回転状態に固定される主軸と、
前記主軸に配設され、前記フィルム材と当接し前記主軸と前記巻き取り回転軸との間に展開される前記フィルム材を張設する張設部材と、を有することを特徴とする請求項7に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項9】
前記第1の主柱機構は、
前記フィルム本体を支持すると共に、前記フィルム材に引っ張られることで回転する送り出し回転軸と、
前記送り出し回転軸の回転を規制する規制部と、を有し、
前記送り出し回転軸は、前記駆動部が駆動し前記フィルム材に引っ張られることで回転し、
前記規制部は、前記駆動部の停止時には前記送り出し回転軸が回転することを規制することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項10】
前記巻き取り回転軸には、前記フィルム材を巻き取るための巻き取り用芯材が着脱可能に配設され、
前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材との間には、前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材とが一体に回転するための滑り軽減部材が配設されることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の飛沫飛散防止装置。
【請求項11】
前記第2の主柱機構には、前記フィルム材を前記巻き取り回転軸側へと押圧する巻き取りガイド部が配設されることを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の飛沫飛散防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛沫飛散防止装置に関し、特に、人から飛散する飛沫を捉えるフィルム材を巻き取り、人前に展開されたフィルム材を適宜入れ替えることで、飛沫の飛散を防止すると共に、フィルム材に付着した飛沫を介したウイルス感染等を防止する飛沫飛散防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療機器として、図7(A)及び図7(B)に示す構造が知られている。図7(A)は、従来の医療機器100を説明する斜視図である。図7(B)は、従来の医療機器100を説明する断面図である。
【0003】
図7(A)に示す如く、医療機器100は、主に、患者が横たわる寝台101と、寝台101の天板102に設けられたフィルム入り口103及びフィルム出口104と、フィルム入り口103近傍に配設されるフィルム105と、フィルム出口104近傍に配設される巻き取りロール106と、を備える。
【0004】
図7(B)に示す如く、フィルム入り口103は、天板102の患者が横たわる部分の一端側に設けられ、フィルム出口104は、天板102の患者が横たわる部分の他端側に設けられる。そして、巻き取りロール106の芯部107が、小型モータ等により自動回転することで、天板102上面に貼着されたフィルム105を入れ替えることができる。
【0005】
上記構造により、医療機器100では、一人の患者の診断、治療が終了する毎または汚染発生後直ちに、天板102上面に貼着されたフィルム105を巻き取ることで、患者や操作者への菌、ウイルスの感染を未然に防止することができる。また、巻き取りロール106に巻き取られた使用済みのフィルム105は、その状態のまま破棄することが出来、医療機器100の操作者への菌、ウイルスの感染を防止することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、従来の間仕切り用スクリーン装置200(以下、「スクリーン装置200」と呼ぶ。)として、図8(A)及び図8(B)に示す構造が知られている。図8(A)は、従来のスクリーン装置200の使用状態を説明する斜視図である。図8(B)は、従来のスクリーン装置200の不使用状態を説明する斜視図である。
【0007】
図8(A)に示す如く、スクリーン装置200は、主に、広幅のスクリーン部201と、スクリーン部201の左右両側に設けられた縦長筒状の収納ケース202,203と、収納ケース202,203の下端に配設された固定脚部204と、を備える。尚、図示していないが、収納ケース202,203内部には、スクリーン部201を巻き取るための巻き取り部が配設される。
【0008】
上記構造により、図8(A)に示すように、スクリーン装置200の使用時には、収納ケース202,203が、相互に任意の間隔に隔てて配置されることで、スクリーン部201が、収納ケース202,203から引き出される。そして、スクリーン装置200は、建屋の任意の室内空間部に配置され、室内空間部を間仕切ることができる。
【0009】
一方、図8(B)に示すように、スクリーン装置200の不使用時には、収納ケース202,203が、相互に隣接配置されることで、スクリーン部201が、収納ケース202,203内に巻き取られる。そして、スクリーン装置200は、コンパクトな大きさとなり、部屋の隅等に収納される(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平08-19522号公報
【文献】特開2000-83782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
最近のコロナ禍において、コンビニエンスストアのレジやミーティングルーム等、人の対面作業が発生する場所では、対面者間に、例えば、透明のフィルム材を天井等から吊り下げて使用し、あるいは、透明のアクリル板をテーブル上に配置して使用することで、対面者が、お互いに相手の飛沫に晒されない工夫をしている。
【0012】
しかしながら、上記アクリル板を使用する状況下では、アクリル板に付着した飛沫内のウイルスからの感染を防止するため、ミーティングの都度アクリル板の表面をアルコール消毒する必要があり、その消毒作業が手間となる課題がある。更には、上記アクリル板の消毒作業時に、その作業者が、ウイルス感染してしまうリスクもある。
【0013】
同様に、上記フィルム材においても、通常、同一のフィルム材を連続して使用している。そのため、対面する店員と買い物客との間では、フィルム材により飛沫の飛散防止対策は出来るが、買い物客が、既に、フィルム材に付着した他の買い物客の飛沫内のウイルスから2次感染してしまうリスクもある。更には、上記フィルム材の消毒作業時に、その作業者が、上記2次感染してしまうリスクもある。また、上記フィルム材は、薄く柔らかい素材であり、空調風により揺れると共に寄れることで、見栄えが悪く、周囲を見え難くするという課題がある。
【0014】
上記課題を解決するために、図7(A)及び図7(B)に示す医療機器100のフィルム105及び巻き取りロール106を図8(A)及び図8(B)に示すスクリーン装置200の様に、直立させた状態にて使用することも考えられる。
【0015】
上述したように、医療機器100では、フィルム105は、天板102上面に貼着された状態にて使用されるため、フィルム105自体は、薄く柔らかい素材であるが、フィルム105は天板102に支持されることで、使用中に寄れたり、捻じれたりし難くなる。
【0016】
しかしながら、フィルム105のように薄く柔らかい素材を図8(A)に示すスクリーン部201の様に使用すると、使用中にフィルム105に空調風等が当たることで、フィルム105が余分に巻き出され、寄れたり、垂れたりしてしまう。その結果、フィルム105が、対面者間に適切に張設されない場合もあり、対面者が、お互いに相手の飛沫に晒されてしまう恐れがある。更には、上記寄れた状態のフィルム105を巻き取ることで、例えば、巻き取りロール106の上端側にフィルム105が偏った状態にて巻き取られ、その結果、フィルム105が破損し、また、巻き取りロール106にてフィルム105を巻き取れなくなる可能性もある。
【0017】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、人から飛散する飛沫を捉えるフィルム材を巻き取り、人前に展開されたフィルム材を適宜入れ替えることで、飛沫の飛散を防止すると共に、フィルム材に付着した飛沫を介したウイルス感染等を防止する飛沫飛散防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の飛沫飛散防止装置では、ロール状に巻かれたフィルム本体から展開されたフィルム材により飛沫を捉える飛沫飛散防止装置であって、前記フィルム本体を支持する第1の主柱機構と、前記フィルム本体から展開された前記フィルム材を巻き取る第2の主柱機構と、を備え、前記第2の主柱機構は、前記フィルム材を巻き取る巻き取り回転軸と、前記巻き取り回転軸を一方向へと回転させる駆動部と、を有し、前記巻き取り回転軸が回転することで、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間に展開された前記フィルム材が前記巻き取り回転軸に巻き取られると共に、前記フィルム本体から新たな前記フィルム材が、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間に展開されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構とは横幅方向において略平行に立設し、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間に展開された前記フィルム材は前記横幅方向へと移動し、前記第1の主柱機構は、前記フィルム本体を支持すると共に、前記フィルム材に引っ張られることで回転する送り出し回転軸と、前記送り出し回転軸の回転を規制する規制部と、を有し、前記送り出し回転軸は、前記駆動部が駆動し前記フィルム材に引っ張られることで、前記一方向とは逆方向に回転し、前記規制部は、前記駆動部の停止時には前記送り出し回転軸が前記逆方向へと回転することを規制することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記規制部は、トルクリミッタであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記巻き取り回転軸には、前記フィルム材を巻き取るための巻き取り用芯材が着脱可能に配設され、前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材との間には、前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材とが一体に回転するための滑り軽減部材が配設されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構とは、少なくとも前記フィルム材よりも上端側にて枠体部を介して連結し、前記第2の主柱機構には、前記フィルム材を前記巻き取り回転軸側へと押圧する巻き取りガイド部が配設されることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記第1の主柱機構及び前記第2の主柱機構を高さ方向において略平行に支持する一対の支柱部と、を更に備え、前記第1の主柱機構と前記第2の主柱機構との間に展開された前記フィルム材は前記高さ方向へと移動することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記フィルム本体から展開された前記フィルム材に張力を加え、前記支柱部により前記第1の主柱機構及び前記第2の主柱機構に対して前記高さ方向において略平行に支持される第3の主柱機構と、を更に備え、前記第1の主柱機構は、前記第2の主柱機構と前記第3の主柱機構との間に配設され、前記第1の主柱機構から展開された前記フィルム材は前記第3の主柱機構を経由して前記第2の主柱機構に巻き取られることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記第3の主柱機構は、前記支柱部に非回転状態に固定される主軸と、前記主軸に配設され、前記フィルム材と当接し前記主軸と前記巻き取り回転軸との間に展開される前記フィルム材を張設する張設部材と、を有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記第1の主柱機構は、前記フィルム本体を支持すると共に、前記フィルム材に引っ張られることで回転する送り出し回転軸と、前記送り出し回転軸の回転を規制する規制部と、を有し、前記送り出し回転軸は、前記駆動部が駆動し前記フィルム材に引っ張られることで回転し、前記規制部は、前記駆動部の停止時には前記送り出し回転軸が回転することを規制することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記巻き取り回転軸には、前記フィルム材を巻き取るための巻き取り用芯材が着脱可能に配設され、前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材との間には、前記巻き取り回転軸と前記巻き取り用芯材とが一体に回転するための滑り軽減部材が配設されることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、前記第2の主柱機構には、前記フィルム材を前記巻き取り回転軸側へと押圧する巻き取りガイド部が配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の飛沫飛散防止装置では、第1の主柱機構では、フィルム本体からフィルム材を展開させ、第2の主柱機構では、展開されたフィルム材を自動で巻き取ることができる。この構造により、飛沫飛散防止装置は、フィルム材のアルコール消毒等の作業を不要とすると共に、フィルム材に付着した飛沫からの2次感染等を防止することができる。
【0030】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、第2の主柱機構の巻き取り回転軸と第1の主柱機構の送り出し回転軸とが、それぞれ逆方向へ回転しながら、フィルム材が装置の横幅方向へと移動する。この構造により、第1及び第2の主柱機構の間に展開されたフィルム材に適正な張力が加えられ、フィルム材が張設された状態を維持することで、フィルム材を介して対面した者同士が、お互いの飛沫に晒され難くなる。
【0031】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、第2の主柱機構には巻き取り回転軸を回転させる駆動部が配設されると共に、第1の主柱機構には送り出し回転軸の回転を適宜規制する規制部が配設される。そして、規制部としてトルクリミッタが用いられる。この構造により、規制部が、一定の負荷の範囲内では送り出し回転軸の回転を規制する。そして、フィルム材に空調風等が当たった際にも、余分なフィルム材が送り出されることが防止され、フィルム材が、寄れたり、また、弛んだりすることが防止される。
【0032】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、巻き取り用芯材が、滑り軽減部材を介して巻き取り回転軸へとしっかりと固定された状態にて、上記展開されたフィルム材が、巻き取り用芯材に巻き取られる。この構造により、使用済みのフィルム材を破棄する作業者が、フィルム材に極力触れることなく、破棄作業を行うことができ、フィルム材に付着した飛沫からの2次感染等を防止することができる。
【0033】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、第2の主柱機構には、フィルム材を巻き取り回転軸側へと押圧する巻き取りガイド部が配設されることで、フィルム材が、巻き取り回転軸の上下端部方向へと偏って巻き取られることが防止され、フィルム本体から展開されるフィルム材を最後まで使用することができる。
【0034】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、第1の主柱機構に支持されたフィルム本体から展開されるフィルム材が装置の高さ方向へと移動し、第2の主柱機構では、展開されたフィルム材を自動で巻き取ることができる。この構造により、飛沫飛散防止装置は、フィルム材のアルコール消毒等の作業を不要とすると共に、フィルム材に付着した飛沫からの2次感染等を防止することができる。
【0035】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、フィルム本体から展開されるフィルム材が装置の高さ方向へと移動し、上記展開されたフィルム材には第3の主柱機構等を介して適正な張力が加えられる。この構造により、上記展開されたフィルム材が張設された状態を維持し、フィルム材を介して対面した者同士が、お互いの飛沫に晒され難くなる。
【0036】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、第3の主柱機構の主軸が非回転状態に固定されると共に、その主軸にはフィルム材を張設する張設部材が配設される。この構造により、フィルム材が、巻き取り回転軸にて巻き取られる一方、主軸での移動速度が遅くなることで、上記展開されたフィルム材が、装置の高さ方向へと引っ張られ張設される。
【0037】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、第2の主柱機構には巻き取り回転軸を回転させる駆動部が配設されると共に、第1の主柱機構には送り出し回転軸の回転を適宜規制する規制部が配設される。そして、第1の主柱機構と第2の主柱機構との間には、張設部材が配設された第3の主柱機構が配設される。この構造により、上記展開されたフィルム材が、規制部及び第3の主柱機構により張設された状態を維持することで、フィルム材に空調風等が当たった際にも、余分なフィルム材が送り出されることが防止され、フィルム材が、寄れたり、また、弛んだりすることが防止される。
【0038】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、巻き取り用芯材が、滑り軽減部材を介して巻き取り回転軸へとしっかりと固定された状態にて、上記展開されたフィルム材が、巻き取り用芯材に巻き取られる。この構造により、フィルム材の巻き取り作業の際に、巻き取り用芯材の揺れ動き動作が防止され、フィルム材が、巻き取り回転軸の端部方向へと偏って巻き取られることが防止される。また、使用済みのフィルム材を破棄する作業者が、フィルム材に極力触れることなく、破棄作業を行うことができる。
【0039】
また、本発明の飛沫飛散防止装置では、第2の主柱機構には、フィルム材を巻き取り回転軸側へと押圧する巻き取りガイド部が配設されることで、フィルム材が、巻き取り回転軸の端部方向へと偏って巻き取られることが防止され、フィルム本体から展開されるフィルム材11を最後まで使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態である飛沫飛散防止装置を説明する(A)斜視図、(B)上面図である。
図2】本発明の一実施形態である飛沫飛散防止装置の第1の主柱機構を説明する(A)側面図、(B)概略図、(C)概略図である。
図3】本発明の一実施形態である飛沫飛散防止装置の規制部を説明する(A)概略図、(B)概略図、(C)概略図である。
図4】本発明の一実施形態である飛沫飛散防止装置の第2の主柱機構を説明する(A)側面図、(B)概略図である。
図5】本発明の一実施形態である飛沫飛散防止装置の巻き取りガイド部及び滑り軽減部材を説明する(A)正面図、(B)側面図、(C)側面図である。
図6】本発明の他の実施形態である飛沫飛散防止装置を説明する(A)斜視図、(B)概略図である。
図7】従来の医療機器を説明する(A)斜視図、(B)断面図である。
図8】従来の間仕切り用スクリーン装置を説明する(A)斜視図、(B)斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態に係る飛沫飛散防止装置10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、上下方向は飛沫飛散防止装置10の高さ方向を示し、左右方向は飛沫飛散防止装置10の横幅方向を示し、前後方向は飛沫飛散防止装置10の奥行方向を示す。
【0042】
図1(A)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10を説明する斜視図である。図1(B)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10を説明する上面図である。尚、図1(B)では、説明の都合上、上端側の枠体部15のシャフト部15Bを省略して示す。
【0043】
図1(A)に示す如く、飛沫飛散防止装置10は、主に、フィルム本体11を支持する第1の主柱機構12と、フィルム本体11から展開されたフィルム材11Aを巻き取り、巻き取りフィルム体18を支持する第2の主柱機構13と、第2の主柱機構13の駆動源となる駆動部14(図4(B)参照)と、第1の主柱機構12と第2の主柱機構13とを連結させる枠体部15と、を備える。
【0044】
尚、以下の説明では、フィルム本体11とは、使用前の長尺のフィルム材11Aがロール状に巻かれた状態であり、巻き取りフィルム体18とは、巻き取り用芯材20(図1(B)参照)に対してフィルム本体11から展開された使用済みのフィルム材11Aを巻き取った状態である。
【0045】
図示したように、飛沫飛散防止装置10は、コンビニエンスストアのレジ用テーブルやミーティングルームのデスク等の台座17上であり、人が対面する可能性がある場所に配設される。そして、第1及び第2の主柱機構12,13は、それぞれ台座17の設置面17Aに対して略鉛直方向(紙面上下方向)へと立設する。また、第1及び第2の主柱機構12,13には、その上下端部近傍に、上記設置面17Aに対して略水平方向(紙面左右方向)に延在する枠体部15が組み付けられる。枠体部15は、第1及び第2の主柱機構12,13を架橋するシャフト部15B,15Cを有し、第1及び第2の主柱機構12,13の離間幅W1を一定距離に維持すると共に、第1及び第2の主柱機構12,13を台座17上に安定した状態にて立設させる。
【0046】
尚、枠体部15としては、少なくとも第1及び第2の主柱機構12,13の上端側にシャフト部15Bが配設されることで、飛沫飛散防止装置10の稼働中に第1及び第2の主柱機構12,13が傾斜することが防止される。また、枠体部15としては、第2の主柱機構13の脚部42(図4(A)参照)とシャフト部15Cとを連結する略L字形状のシャフト部15Dを有することで、駆動部14の稼働時に、第2の主柱機構13が回転することを防止できる。
【0047】
また、枠体部15の材料の一例としては、プラスチックシャフトと上記プラスチックシャフトを連結する各種形状のプラスチックジョイントとが用いられる。そして、飛沫飛散防止装置10の配設箇所や使用目的に応じて、上記プラスチックシャフトやプラスチックジョイントを種々に組み合わせることで、飛沫飛散防止装置10を適宜各種大きさに変形させることができる。
【0048】
駆動部14は、例えば、電動モータであり、第2の主柱機構13の下端部近傍に組み付けられた電源ボックス19内に配設される。詳細は後述するが、駆動部14は、第2の主柱機構13の巻き取り回転軸41を回転させることで、第1及び第2の主柱機構12,13間のフィルム材11Aを巻き取ると共に、フィルム材11Aを介してフィルム本体11からフィルム材11Aを第1及び第2の主柱機構12,13間へと送り出し展開させる。
【0049】
ここで、本実施形態のフィルム材11Aは、透明度が高く、薄く柔らかい素材である。そして、フィルム材11Aとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVAなどの各種ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ABS、ポリエチレンテフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリメタリル酸エステル、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、生分解性樹脂、シリコーン樹脂などの高分子フィルムが好適に用いられる。
【0050】
また、上記の高分子フィルムは、OPP又はOPET等の延伸フィルムであっても、各種ポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの未延伸フィルムであっても差し支えない。更には、フィルム材11Aとしては、天然繊維、合成樹脂繊維又はこれらの複合繊維からなる布帛、織物、織布、不織布、紙、合成紙、金属箔などの単層体、及びこれらの積層体などを使用することもできる。
【0051】
図1(B)に示す如く、第1の主柱機構12では、フィルム本体11が、送り出し回転軸21に挿通して固定された状態にて、送り出し回転軸21と一体に回転することで、第1及び第2の主柱機構12,13間へとフィルム本体11からフィルム材11Aを送り出し展開させる。一方、第2の主柱機構13では、巻き取り用芯材20が、滑り軽減部材44(図5(C)参照)を介して巻き取り回転軸41に挿通して固定される。そして巻き取り用芯材20が巻き取り回転軸41と一体に回転することで、第1及び第2の主柱機構12,13間のフィルム材11Aを巻き取る。
【0052】
このとき、図示したように、巻き取り回転軸41は、反時計回り方向に回転することで、フィルム材11Aは、巻き取りフィルム体18に対して紙面前方側から巻き取られる。一方、送り出し回転軸21は、フィルム材11Aに引っ張られ、時計回り方向に回転することで、フィルム本体11も時計回り方向に回転し、フィルム材11Aは、フィルム本体11に対して紙面後方側から展開される。
【0053】
つまり、フィルム材11Aが、送り出し回転軸21と巻き取り回転軸41との間を対角線上に移動することで、第1の主柱機構12では、フィルム材11Aが送り出し回転軸21側へと押し付けられながら展開され、第2の主柱機構13では、フィルム材11Aが巻き取り回転軸41側へと押し付けられながら巻き取られる。この構造により、第1及び第2の主柱機構12,13間へと展開されたフィルム材11Aには、確実に張力が加えられ、フィルム材11Aが張設された状態を維持できる。
【0054】
その結果、フィルム材11Aは、薄く柔らかい素材であるが、フィルム材11Aは、第1及び第2の主柱機構12,13間にて寄れたり、垂れたりすることがなく、フィルム材11Aが、対面者間を適切にシールドすることで、お互いの飛沫に晒され難くなる。また、フィルム材11Aが、張設された状態を維持することで、空調風等により揺れたり、寄れたりすることが防止され、その見栄えが悪くなることを防止すると共に、フィルム材11Aの向こう側が見え難くなることが防止される。
【0055】
また、第1及び第2の主柱機構12,13間へと展開されたフィルム材11Aは、一定期間使用された後、巻き取り回転軸41を介して巻き取られ、未使用状態のフィルム材11Aが、新たに第1及び第2の主柱機構12,13間へと自動に展開される。この構造により、飛沫飛散防止装置10の使用者が、定期的に第1及び第2の主柱機構12,13間へと展開されたフィルム材11Aの表面をアルコール消毒する必要がなく、作業者が、フィルム材11Aに付着した飛沫から2次感染するリスクが大幅に低減される。また、作業者の上記アルコール消毒作業も不要となる。
【0056】
更には、第2の主柱機構13の巻き取り回転軸41には、巻き取り用芯材20が装着されることで、巻き取りフィルム体18は、巻き取り用芯材20の周囲に形成される。この構造により、飛沫飛散防止装置10の使用者は、巻き取り用芯材20を巻き取り回転軸41から抜き取ることで、使用済みの巻き取りフィルム体18に極力触れることなく、巻き取りフィルム体18を破棄することが可能となる。つまり、上記使用者は、巻き取り用芯材20を用いることで、巻き取り回転軸41から使用済みのフィルム材11Aを剥がし取る作業が不要となり、フィルム材11Aに付着した飛沫からの2次感染リスクを大幅に低減することができる。
【0057】
このとき、飛沫飛散防止装置10の使用者は、例えば、フィルム材11Aの後方側(紙面後方側)に位置するように飛沫飛散防止装置10を一方向から使用する。そして、使用者が位置する側の使用済みのフィルム材11Aを巻き取りフィルム体18の内側へと巻き取ることで、巻き取りフィルム体18に付着した同一方向から使用する他人の飛沫からの2次感染リスクを大幅に低減することができる。また、フィルム材11Aを介して人が対面する状況において、飛沫飛散防止装置10を両方向から使用する場合においても、巻き取りフィルム体18を破棄する際には、第1及び第2の主柱機構12,13間の1スパン分のフィルム材11Aを余分に巻き取ることで、巻き取りフィルム体18の表面が未使用状態のフィルム材11Aとなり、上記2次感染のリスクを大幅に低減することができる。
【0058】
次に、図2及び図3を用いて、飛沫飛散防止装置10の第1の主柱機構12を説明する。図2(A)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の第1の主柱機構12を説明する側面図である。図2(B)及び図2(C)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の規制部24を説明する概略図である。図3(A)から図3(C)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の規制部24の変形例を説明する概略図である。尚、規制部24の変形例としては、下記板バネ規制体31及びコイルバネ規制体34に限定するものではなく、規制部24に一定値以上の負荷が加わるまでは、送り出し回転軸21の回転を規制する構造であれば種々の設計変更が可能である。
【0059】
図2(A)に示す如く、第1の主柱機構12は、主に、送り出し回転軸21と、脚部22と、送り出し回転軸21と脚部22と連結するジョイント部23と、送り出し回転軸21をジョイント部23に対して回転可能に連結する規制部24(図2(B)参照)と、を備える。
【0060】
送り出し回転軸21は、例えば、円筒形状のプラスチックシャフトから成り、その下端側が規制部24の上端側部材24B(図2(B)参照)に対してネジ固定され、規制部24と一体に回転する。一方、送り出し回転軸21の上端側が枠体部15のジョイント部15Aへと挿入され、回転可能に連結する。この構造により、送り出し回転軸21は、上述したように、フィルム材11Aにより引っ張られることで回転する。
【0061】
脚部22は、例えば、略T字形状のプラスチックシャフトから成り、その上端側がジョイント部23に対してネジ固定される。また、脚部22の台座17(図1(A)参照)との当接箇所には、一対の滑り防止キャップ部22Aが取り付けられ、第1の主柱機構12が安定した状態にて台座17上に立設する。
【0062】
ジョイント部23は、3方向に分岐する略T字形状のプラスチックジョイントから成り、その上端側には規制部24の下端側部材24Aがネジ固定される。また、ジョイント部23の中央部には、枠体部15のシャフト部15C(図1(A)参照)がネジ固定される。
【0063】
図2(B)では、規制部24の一例として、公知のトルクリミッタ25が用いられる構造を示す。トルクリミッタ25の上端側部材24Bは、リミッタ回転部25Aを含みその上側の部材であり、下端側部材24Aに対して回転する構造となる。一方、トルクリミッタ25の下端側部材24Aは、リミッタ回転部25Aを下方から回転支持する部材であり、ジョイント部23に固定される。尚、点線にて示すように、下端側部材24Aには、コイルバネが配設され、リミッタ回転部25Aを介して一定値以上の負荷が加わることで、リミッタ回転部25Aの回転を開始させる。
【0064】
図示したように、トルクリミッタ25の上端側部材24Bは、リミッタ回転部25Aに一定値以上の負荷が加わった際に時計回りに回転する機構である。そして、上端側部材24Bは、リミッタ回転部25Aの上端部の一対の突起部25Bに対してネジ固定されるステンレスシャフト26と、ステンレスシャフト26に対してネジ固定される軸受け部27と、を有する。尚、軸受け部27は、例えば、ポリアセタール材から成る円筒形状のシャフトである。
【0065】
図2(C)に示す如く、軸受け部27の外径は、送り出し回転軸21の内径よりも若干小さく、軸受け部27は、送り出し回転軸21の内部に圧入されると共に、ネジ固定される。また、送り出し回転軸21の下端部からは、トルクリミッタ25の下端側部材24Aの一部が導出し、矢印28にて示すように、その下端側部材24Aが、ジョイント部23内に挿入されると共に、ネジ固定される。この構造により、送り出し回転軸21にフィルム材11Aから一定値以上の引張力が加わり、トルクリミッタ25にも一定値以上の負荷が加わることで、矢印29にて示すように、リミッタ回転部25Aが時計回り方向へと回転を開始し、送り出し回転軸21も一体に回転する。
【0066】
上述したように、送り出し回転軸21を介して規制部24に一定値以上の負荷が加わるまでは、規制部24自体が回転することがなく、規制部24は、送り出し回転軸21の回転を規制する。その結果、飛沫飛散防止装置10の使用中に、例えば、フィルム材11Aに空調風が当たり、送り出し回転軸21がフィルム材11Aより引っ張られる状況においても、規制部24に上記一定値以上の負荷が加わるまでは、フィルム材11Aが、第1及び第2の主柱機構12,13間へと展開されることが防止される。そして、フィルム材11Aは、第1及び第2の主柱機構12,13間にて張設された状態を維持することが出来る。尚、巻き取り回転軸41は、駆動部14の駆動軸と連結する構造であり、駆動部14の停止状態では、上記空調風等に起因する負荷が加わっても回転しない構造である。
【0067】
図3(A)は、規制部24の変形例の一例として板バネ規制体31が用いられる場合を示す。板バネ規制体31は、送り出し回転軸21及びジョイント部23の両部材に挿入される軸受け部32と、その下端側が軸受け部32の外周面に固定され、その上端側が自由端となる板バネ片33と、を有する。そして、板バネ片33は、軸受け部32の外周面に沿って時計回り方向へと巻かれた状態にて使用される。尚、軸受け部32は、例えば、ポリアセタール材から成る円筒形状のシャフトであり、板バネ片33は、例えば、その厚みが3.0mm程度のプラスチック板である。
【0068】
図3(B)に示す如く、軸受け部32の外径は、送り出し回転軸21の内径及びジョイント部23の内径よりも小さい。板バネ規制体31は、板バネ片33が軸受け部32の外周面に沿って巻かれた状態にて、送り出し回転軸21及びジョイント部23の両部材に挿入される。そして、ジョイント部23は、軸受け部32の下端側に対してネジ固定され、送り出し回転軸21は、軸受け部32に対してネジ固定されることなく、回転可能な状態となる。板バネ片33は、送り出し回転軸21と軸受け部32との間にて送り出し回転軸21の内周面21A側へと広がり、送り出し回転軸21の内周面21Aを押圧した状態となる。
【0069】
この構造により、上述したように、駆動部14が駆動し、フィルム材11Aを介して送り出し回転軸21へと加わる引張力が、送り出し回転軸21と板バネ片33との摺動抵抗値より大きくなることで、板バネ片33が軸受け部32へと巻かれ、板バネ片33の外径が小さくなりながら、送り出し回転軸21が回転を開始する。そして、フィルム本体11も送り出し回転軸21と一体に回転することで、フィルム材11Aは、第1及び第2の主柱機構12,13間へと展開される。
【0070】
一方、飛沫飛散防止装置10の使用中に、例えば、フィルム材11Aに空調風が当たり、送り出し回転軸21がフィルム材11Aより引っ張られ、上記引張力が、送り出し回転軸21と板バネ片33との摺動抵抗値より小さい場合には、板バネ規制体31が送り出し回転軸21の回転を規制し、送り出し回転軸21は非回転の状況を維持する。
【0071】
つまり、送り出し回転軸21を介して規制部24に一定値以上の負荷が加わるまでは、送り出し回転軸21が回転することがなく、規制部24は、送り出し回転軸21の回転を規制する。その結果、規制部24としてトルクリミッタ25を用いた場合と同様に、フィルム材11Aは、第1及び第2の主柱機構12,13間にて張設された状態を維持することが出来る。
【0072】
図3(C)は、規制部24の変形例の一例としてコイルバネ規制体34が用いられる場合を示す。コイルバネ規制体34は、鉄製コイルバネ35から構成され、鉄製コイルバネ35は、時計回りに巻き回されている。そして、鉄製コイルバネ35は、送り出し回転軸21及びジョイント部23の両部材に挿入されると共に、その下端側は、ジョイント部23に対してネジ固定される。一方、鉄製コイルバネ35の上端側は、送り出し回転軸21に対して固定されていない。
【0073】
図示したように、送り出し回転軸21の下端側は、ジョイント部23内に回転可能な状態に挿入される。そして、鉄製コイルバネ35は、送り出し回転軸21内に収納されると共に、送り出し回転軸21の内周面21A側へと広がり、その内周面21Aを押圧した状態となる。
【0074】
この構造により、フィルム材11Aによる送り出し回転軸21への引張力が、送り出し回転軸21と鉄製コイルバネ35との摺動抵抗値より大きくなることで、鉄製コイルバネ35の外径が小さくなりながら、送り出し回転軸21が回転を開始する。そして、フィルム本体11も送り出し回転軸21と一体に回転することで、フィルム材11Aは、第1及び第2の主柱機構12,13間へと展開される。
【0075】
一方、飛沫飛散防止装置10の使用中に、例えば、フィルム材11Aに空調風等が当たり、送り出し回転軸21がフィルム材11Aより引っ張られ、上記引張力が、送り出し回転軸21と鉄製コイルバネ35との摺動抵抗値より小さい場合には、コイルバネ規制体34が送り出し回転軸21の回転を規制し、送り出し回転軸21は非回転の状況を維持する。
【0076】
つまり、送り出し回転軸21を介して規制部24に一定値以上の負荷が加わるまでは、送り出し回転軸21が回転することがなく、規制部24は、送り出し回転軸21の回転を規制する。その結果、規制部24としてトルクリミッタ25を用いた場合と同様に、フィルム材11Aは、第1及び第2の主柱機構12,13間にて張設された状態を維持することが出来る。
【0077】
次に、図4及び図5を用いて、飛沫飛散防止装置10の第2の主柱機構13を説明する。図4(A)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の第2の主柱機構13を説明する側面図である。図4(B)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の第2の主柱機構13の駆動機構を説明する概略図である。図5(A)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の第2の主柱機構13の巻き取りガイド部45を説明する正面図である。図5(B)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の第2の主柱機構13の巻き取りガイド部45を説明する側面図である。図5(C)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置10の第2の主柱機構13の滑り軽減部材44を説明する側面図である。
【0078】
図4(A)に示す如く、第2の主柱機構13は、主に、巻き取り回転軸41と、脚部42と、その内部に駆動部14が配設される電源ボックス19と、巻き取り回転軸41と電源ボックス19と連結するジョイント部43と、巻き取りフィルム体18を支持する滑り軽減部材44(図5(B)参照)と、フィルム材11Aの巻き取りをサポートする巻き取りガイド部45と、を備える。
【0079】
巻き取り回転軸41は、例えば、円筒形状のプラスチックシャフトから成り、その下端側が電源ボックス19内の駆動部14の駆動軸部46(図4(B)参照)に対してネジ固定され、駆動部14と一体に回転する。一方、巻き取り回転軸41の上端側が枠体部15のジョイント部15Aに対して回転可能に連結する。
【0080】
脚部42は、例えば、略T字形状のプラスチックシャフトから成り、その上端側が電源ボックス19に対してネジ固定される。また、脚部42の台座17との当接箇所には、一対の滑り防止キャップ部42Aが取り付けられ、第2の主柱機構13が安定した状態にて台座17上に立設される。
【0081】
ジョイント部43は、3方向に分岐する略T字形状のプラスチックジョイントから成り、その高さ方向(紙面上下方向)に巻き取り回転軸41が挿通される。そして、巻き取り回転軸41は、ジョイント部43の下端側から挿通された駆動部14の駆動軸部46に対してネジ固定される。また、ジョイント部43の中央部には、枠体部15のシャフト部15C(図1(A)参照)がネジ固定される。
【0082】
図4(B)では、駆動部14の一例として、公知の電動モータが用いられ、電動モータの駆動軸(図示せず)には、駆動軸部46がネジ固定される。駆動軸部46は、駆動軸に対してネジ固定されるステンレスシャフト46Aと、ステンレスシャフト46Aに対してネジ固定される軸受け部46Bと、を有する。そして、軸受け部46Bが、巻き取り回転軸41内に挿通されると共に、巻き取り回転軸41の下端側にネジ固定される。尚、軸受け部46Bは、例えば、ポリアセタール材から成る円筒形状のシャフトである。
【0083】
この構造により、巻き取り回転軸41は、上述したように、駆動部14が駆動することで、駆動軸部46と一体に反時計回り方向に回転する。尚、飛沫飛散防止装置10の使用者が電源スイッチ47(図4(A)参照)を操作することで、駆動部14には、電源ボックス19に配設されるバッテリ(図示せず)や建屋のコンセント(図示せず)等から電源給電される。
【0084】
図5(A)に示す如く、巻き取りガイド部45は、例えば、その厚みが3.0mm程度のプラスチック板から形成される。巻き取りガイド部45は、四角形状の本体部45Aと、本体部45Aと連続し、その先端側へと突出した突出部45Bと、を有する。そして、巻き取りガイド部45は、それぞれフィルム材11Aの上下端部の近傍であり、ジョイント部15A,23の前面側(紙面前方側)にネジ固定される。
【0085】
上述したように、巻き取り回転軸41が反時計回り方向へと回転することで、フィルム材11Aは、巻き取り回転軸41に対して前面側から巻き取られる。そして、図5(B)に示すように、巻き取りガイド部45の突出部45Bは、巻き取り回転軸41側(紙面後方側)へと折り曲げられると共に、突出部45Bの先端側はフィルム材11Aへと当接する。
【0086】
この構造により、フィルム材11Aは、巻き取りフィルム体18の直前にて、突出部45Bにより巻き取り回転軸41側へと押し付けられながら巻き取られる。その結果、フィルム材11Aが、巻き取りフィルム体18の上下方向の端部側へと偏りながら巻き取られ難くなり、フィルム材11Aの略規格幅にて偏ることなく巻き取られる。その結果、第1及び第2の主柱機構12,13の間に展開されたフィルム材11Aが寄れた状態、また、捻じれ状態になり難くなると共に、巻き取り回転軸41の周囲に巻き取られる際に、フィルム材11Aが破損し難くなる。そして、巻き取りフィルム体18では、フィルム本体11から展開されるフィルム材11Aを最後まで巻き取ることができ、フィルム本体11が無駄となることやフィルム本体11の使用途中にて、巻き取り用芯材20に対して再設定して巻き直す作業が不要となる。
【0087】
更には、図5(A)に示したように、巻き取り回転軸41の巻き取りフィルム体18の上下端部近傍に、一対の巻き取りキャップ部48を配設する場合でも良い。巻き取りキャップ部48は、例えば、その厚みが3.0mm程度のプラスチック板を円盤形状に成形し、巻き取り回転軸41や巻き取り用芯材20に対して固定される。そして、フィルム材11Aが、巻き取り回転軸41の周囲に巻き取られる際に、フィルム材11Aの上下端部が巻き取りキャップ部48に接触することで、フィルム材11Aが、巻き取りフィルム体18の上下方向の端部側へと偏りながら巻き取られることが防止される。
【0088】
図5(C)に示す如く、滑り軽減部材44は、巻き取り回転軸41の周囲であり、巻き取り用芯材20(図1(A)参照)が配設される領域R1に取り付けられる。上述したように、巻き取り用芯材20を用いることで、巻き取りフィルム体18を破棄する際に、フィルム材11Aに付着した飛沫からの2次感染リスクを大幅に低減することができる。その一方、巻き取り用芯材20が、フィルム材11Aの巻き取り時に、巻き取り回転軸41に対して揺れ動くことで、フィルム材11Aが、巻き取りフィルム体18の上下方向の端部側へと偏りながら巻き取られる恐れがある。
【0089】
そこで、滑り軽減部材44としては、例えば、摺動抵抗性を有し、収縮性を有するゴム材やスポンジ材が用いられる。図示したように、例えば、滑り軽減部材44としてゴム製チューブ44Aを用いる場合には、ゴム製チューブ44Aは、巻き取り回転軸41の周囲に螺旋状に巻かれる。そして、ゴム製チューブ44Aが、巻き取り用芯材20と巻き取り回転軸41との隙間を埋めることで、巻き取り用芯材20が、巻き取り回転軸41に対して密着した状態にて取り付けられ、巻き取り用芯材20の上記揺れ動き現象を防止できる。
【0090】
また、上記ゴム製チューブ44Aに加えて、滑り軽減部材44として、略C字形状のプラスチック製部材44Bを準備し、巻き取り用芯材20の上下端部近傍の上記隙間へと嵌め込むことで、巻き取り用芯材20は、巻き取り回転軸41に対して更に密着した状態となる。
【0091】
また、図示していないが、滑り軽減部材44として、接着面に両面テープが配設された直方体形状のスポンジ材を準備し、上記スポンジ材を巻き取り回転軸41の長手方向に沿って、巻き取り用芯材20が配設される領域R1に対して貼り付ける場合でも良い。この場合には、例えば、上記スポンジ材を略120度間隔にて、巻き取り回転軸41の周囲に3本配設することで、巻き取り用芯材20が、巻き取り回転軸41に対して密着した状態にて取り付けられ、巻き取り用芯材20の上記揺れ動き現象を防止できる。
【0092】
尚、本実施形態の飛沫飛散防止装置10では、第2の主柱機構13側に、滑り軽減部材44、巻き取りガイド部45及び巻き取りキャップ部48を配設する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、滑り軽減部材44、巻き取りガイド部45または巻き取りキャップ部48の少なくとも1つが、第1の主柱機構12側に配設される場合でも良い。この場合には、第1及び第2の主柱機構12,13間に展開されるフィルム材11Aが、フィルム本体11の上下方向へとずれた状態にて送り出されることが防止される。そして、第1及び第2の主柱機構12,13の間に展開されたフィルム11Aが寄れた状態、また、捻じれ状態になり難くなると共に、第2の主柱機構13では、更に精度良くフィルム材11Aを巻き取ることができる。
【0093】
また、第2の主柱機構13に支持される巻き取りフィルム体18が、飛沫飛散防止装置10として露出した状態について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、第2の主柱機構13として、少なくとも巻き取り回転軸41の巻き取りフィルム体18の支持領域の周囲を囲む筐体(図示せず)が配設される場合でも良い。この場合には、飛沫飛散防止装置10の使用中において、常時、巻き取りフィルム体18が上記筐体内に収納された状態となり、フィルム材11Aに付着した飛沫からの2次感染リスクを大幅に低減される。
【0094】
また、図1(B)に示すように、巻き取り回転軸41は反時計回り方向に回転し、フィルム材11Aは巻き取りフィルム体18に対して紙面前方側から巻き取られ、送り出し回転軸21は時計回り方向に回転し、フィルム材11Aはフィルム本体11に対して紙面後方側から展開される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、巻き取り回転軸41も時計回り方向に回転し、フィルム材11Aは巻き取りフィルム体18に対して紙面後方側から巻き取られる場合でも良い。つまり、飛沫飛散防止装置10では、送り出し回転軸21と巻き取り回転軸41とが、同一方向に回転する場合でも良く、この場合でも、上述した効果と同様な効果が得られる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【0095】
次に、本発明の他の実施形態に係る飛沫飛散防止装置60を図面に基づき詳細に説明する。飛沫飛散防止装置60と図1から図5を用いて説明した飛沫飛散防止装置10とは、主に、フィルム材11Aが、飛沫飛散防止装置60の高さ方向(紙面上下方向)に移動する機構において相違し、その目的や効果は上述した飛沫飛散防止装置10と同様である。そこで、以下の飛沫飛散防止装置60の説明では、主に、飛沫飛散防止装置10と相違する機構を中心に説明し、飛沫飛散防止装置10と同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、飛沫飛散防止装置60の説明では、適宜、図1から図5を参照する。
【0096】
図6(A)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置60を説明する斜視図である。図6(B)は、本実施形態の飛沫飛散防止装置60を説明する概略図である。
【0097】
図6(A)に示す如く、飛沫飛散防止装置60は、主に、フィルム本体11を支持する第1の主柱機構61と、フィルム本体11から展開されたフィルム材11Aを巻き取り、巻き取りフィルム体18を支持する第2の主柱機構62と、フィルム材11Aに張力を加える第3の主柱機構63と、第2の主柱機構62の駆動源となる駆動部14と、第1、第2及び第3の主柱機構61,62,63を支持する一対の支柱部64と、を備える。
【0098】
飛沫飛散防止装置60では、その高さ方向の上部から、第2の主柱機構62、第1の主柱機構61、第3の主柱機構63の順序にて配列され、第1、第2及び第3の主柱機構61,62,63は、略平行な状態にて支柱部64に支持される。また、支柱部64は、それぞれシャフト部64Aとジョイント部64Bとを連結して形成され、第1の主柱機構61の送り出し回転軸21及び第2の主柱機構62の巻き取り回転軸41は、ジョイント部64Bに対して回転可能に連結する。一方、第3の主柱機構63の主軸65は、ジョイント部64Bに非回転状態にネジ固定され、非回転軸として用いられる。尚、飛沫飛散防止装置60では、電動モータの駆動軸は電源ボックス19内に配設されたギア部(図示せず)と噛合し、そのギア部に設けられた駆動軸部46(図4(B)参照)が、巻き取り回転軸41とネジ固定される。
【0099】
図6(B)に示す如く、第1の主柱機構61の送り出し回転軸21は、反時計回り方向へと回転する。そして、フィルム材11Aは、送り出し回転軸21に支持されるフィルム本体11の前方側から飛沫飛散防止装置60の下方側へと向けて展開される。次に、フィルム材11Aは、第3の主柱機構63の主軸65に対して、後方側から前方側へと向けて巻き回された後、飛沫飛散防止装置60の上方側へと向けて展開される。最後に、第2の主柱機構62の巻き取り回転軸41は、時計回り方向へと回転する。そして、フィルム材11Aは、巻き取り回転軸41に固定される巻き取り用芯材20の周囲に巻き取られる。尚、第1の主柱機構61には、フィルム本体11を前方側から送り出し回転軸21側へと押さえ込むための板バネ押圧部材67が配設されることで、第1の主柱機構61に規制部24が配設されない場合でも、フィルム本体11から余分なフィルム材11Aが展開され難い構造が実現される。
【0100】
図示したように、第3の主柱機構63の主軸65には、その外周に沿って張設部材66が配設される。張設部材66は、第3の主柱機構63の主軸65と第2の主柱機構62の巻き取り回転軸41との間に展開されるフィルム材11Aを張設するための部材であり、フィルム材11Aに対して摺動し難いゴム部材等が採用される。本実施形態では、張設部材66として、例えば、2つの輪ゴムを準備し、上記輪ゴムが、主軸65の両端部近傍に装着される。
【0101】
上述したように、フィルム材11Aは、主軸65に対して後方側から前方側へと向けて巻き回されるが、フィルム材11Aが2箇所の張設部材66に対して当接する。そして、フィルム材11Aは、第3の主柱機構63の主軸65にて、張設部材66を介して大きな摺動抵抗を受け、移動速度が遅くなると共に、巻き取り回転軸41を介して飛沫飛散防止装置60の上方側へと引っ張られることで、フィルム材11Aは、主軸65と巻き取り回転軸41との間にて張設される。
【0102】
この構造により、飛沫飛散防止装置60においても、飛沫飛散防止装置10と同様に、フィルム材11Aが対面者間を適切にシールドする効果、フィルム材11Aの見栄えが良くなる効果、適宜未使用状態のフィルム材11Aが自動に供給され2次感染を防止出来る効果、アルコール消毒作業が不要となる効果等が得られる。
【0103】
また、図示したように、第1及び第2の主柱機構61,62に対して、滑り軽減部材44、巻き取りガイド部45または巻き取りキャップ部48の少なくとも1つが配設される場合でも良い。この場合には、飛沫飛散防止装置60においても、飛沫飛散防止装置10と同様に、フィルム材11Aがフィルム本体11の左右方向へとずれた状態にて送り出されることが防止され、フィルム本体11を最後まで使用できる効果、主軸65と巻き取り回転軸41との間に展開されるフィルム材11Aが寄れた状態、また、捻じれ状態になり難くなり、第2の主柱機構13にて精度良くフィルム材11Aを巻き取る効果等が得られる。
【0104】
また、第2の主柱機構62の巻き取り回転軸41に対して巻き取り用芯材20を固定して、使用済みのフィルム材11Aを巻き取ることで、飛沫飛散防止装置60においても、飛沫飛散防止装置10と同様に、フィルム材11Aに付着した飛沫からの2次感染リスクを大幅に低減する効果等が得られる。
【0105】
また、第1の主柱機構61では、送り出し回転軸21の両端部が支柱部64のジョイント部64Bへと回転可能に挿入され、フィルム材11Aに引っ張られることで、送り出し回転軸21及びフィルム本体11が回転する。そして、第1の主柱機構61と第2の主柱機構62との間に第3の主柱機構63が配設されることで、主軸65と巻き取り回転軸41との間に展開するフィルム材11Aに空調風等が当たった場合でも、張設部材66の効果により、フィルム材11が寄れたりし難くなる。
【0106】
しかしながら、空調風等は、送り出し回転軸21と主軸65との間に展開するフィルム材11Aにも当たる場合があり、この場合には、送り出し回転軸21が回転し、フィルム本体11からフィルム材11Aが余分に展開される恐れもある。そのため、飛沫飛散防止装置10と同様に、送り出し回転軸21が規制部24と連結することで、送り出し回転軸21を介して規制部24に一定値以上の負荷が加わるまでは、送り出し回転軸21が回転することがなく、規制部24は、送り出し回転軸21の回転を規制する効果が得られる。その結果、フィルム材11Aが、送り出し回転軸21と主軸65との間に余分に展開され、主軸65の周囲にてフィルム材11Aが弛み、主軸65と巻き取り回転軸41との間に展開するフィルム材11Aが寄れたり、弛んだりすることが防止される。
【0107】
尚、本実施形態の飛沫飛散防止装置60では、その高さ方向の上部から、第2の主柱機構62、第1の主柱機構61、第3の主柱機構63の順序にて配列し、第1の主柱機構61から展開されたフィルム材11Aに対して主軸65の張設部材66等を介して張力を加え、フィルム材11Aは主軸65と巻き取り回転軸41との間にて張設される構造について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、飛沫飛散防止装置60が、第1の主柱機構61と第2の主柱機構62とから構成され、飛沫飛散防止装置10と同様に、第1の主柱機構62から上方に向けて展開されたフィルム材11Aが第2の主柱機構62にて巻き取られる構造の場合でも良い。そして、この構造の場合には、第1の主柱機構61の送り出し回転軸21が規制部24と連結することで、上述した構造と同様な効果を得ることができる。
【0108】
また、飛沫飛散防止装置10,60では、対面者間の飛沫の飛散を防止するため、フィルム本体11から展開されたフィルム材11Aが、台座17の接地面17A上方の対面者間を遮る構造について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、フィルム本体11から展開されたフィルム材11Aが、銀行のATMの操作画面に対して、5mm程度の隙間を有した状態であり、且つ操作画面と略平行となる様に、飛沫飛散防止装置10,60を横臥させた状態にて使用する場合でも良い。この場合には、ATMの使用者が、適宜、フィルム本体11から未使用のフィルム材11Aを上記操作画面上に展開させることで、使用者の指やタッチペンを介したウイルス感染を防止することができる。このとき、送り出し回転軸21の回転が規制部24等により規制されることで、使用者が、フィルム材11Aの上面から操作画面を指やタッチペンを用いてタッチ操作する場合でも、余分なフィルム材11Aが展開されることが防止される。
【0109】
また、飛沫飛散防止装置10,60では、巻き取り回転軸41は駆動部14を介して回転し、送り出し回転軸21はフィルム材11Aに引っ張られることで回転する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、送り出し回転軸21に対しても駆動部14を連結させ、送り出し回転軸21も巻き取り回転軸41と同様に駆動部14を介して回転させる場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
10,60 飛沫飛散防止装置
11 フィルム本体
11A フィルム材
12,61 第1の主柱機構
13,62 第2の主柱機構
14 駆動部
15 枠体部
18 巻き取りフィルム体
20 巻き取り用芯材
21 送り出し回転軸
24 規制部
25 トルクリミッタ
31 板バネ規制体
32 軸受け部
33 板バネ片
34 コイルバネ規制体
35 鉄製コイルバネ
41 巻き取り回転軸
44 滑り軽減部材
45 巻き取りガイド部
46 駆動軸部
48 巻き取りキャップ部
63 第3の主柱機構
64 支柱部
65 主軸
66 張設部材
67 板バネ押圧部材
【要約】
従来では、フィルム本体を立設した状態にて展開し、フィルム材を適宜未使用な状態へと入れ替える飛沫飛散防止装置が世の中に存在しないという課題があった。
本発明の飛沫飛散防止装置10は、主に、フィルム本体11を支持する第1の主柱機構12と、フィルム本体11から展開されたフィルム材11Aを巻き取り、巻き取りフィルム体18を支持する第2の主柱機構13と、第2の主柱機構13の駆動源となる駆動部14と、第1の主柱機構12と第2の主柱機構13とを連結させる枠体部15と、を備える。この構造により、第1の主柱機構にてフィルム本体11を立設して支持すると共に、フィルム本体11から適宜未使用な状態のフィルム材11Aを展開することで、フィルム材11Aを介して対面する者同士がお互いの飛沫に晒されることが防止される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8