(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】フリップフロップを用いたリレー制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220621BHJP
H02H 7/20 20060101ALI20220621BHJP
H01H 47/22 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 302A
H02J7/00 P
H02H7/20 A
H01H47/22 A
(21)【出願番号】P 2020551553
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 KR2019012600
(87)【国際公開番号】W WO2020067773
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2018-0115723
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェオン、ジュンピル
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ラエ
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-333480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0009317(US,A1)
【文献】特開2008-206288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/20
H01H 47/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレ
ー制御信号を出力するための入力信号を生成する制御部、
前記制御部と通信信号をやり取りし、前記リレー制御信号を出力するためのクロッ
ク信号を生成するクロック信号生成部、
前記クロック信号および入力信号の伝達を受け、伝達を受けた前記クロック信号および入力信号に基づいて前記リレー制御信号を出力するフリップフロッ
プ、および
前記リレー制御信号の伝達を受け、伝達を受けた前記リレー制御信号に基づいて動作状態を遷移させるリレーを含
み、
前記クロック信号生成部は、
車両のバッテリー電源の供給を受けて稼動され、前記フリップフロップに電源を供給し、
前記リレーが閉じ状態であると同時に前記制御部から前記通信信号が伝達されない場合、前記フリップフロップに対する電源供給を所定時間の間保持し、前記所定時間が過ぎれば前記フリップフロップに対する電源供給を遮断する、フリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項2】
バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)の高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、前記高電圧領域と低電圧領域間の電源衝突を防止するアイソレータ、
前記BMSの高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、前記クロック信号生成部で生成されて前記高電圧領域側から伝達される前記通信信号
を前記低電圧領域に伝達し、前記制御部で生成されて前記低電圧領域側から伝達される前記通信信号
を前記高電圧領域に伝達する変圧器、および
前記制御部と前記クロック信号生成部の通信連結経路に位置し、前記通信信号を両者が検出できるように変換する信号変換部をさらに含む、請求項1に記載のフリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記BMS内部の前記低電圧領域に位置し、前記BMSを稼動させるBMS電源の供給を受けて稼動される、請求項2に記載のフリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項4】
前記クロック信号生成部は、
前記BMS内部の前記高電圧領域に位
置する、請求項2または3に記載のフリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項5】
前記クロック信号生成部は、
前記制御部で生成された前記入力信号が前記フリップフロップに伝達される場合、前記リレーの動作状態が閉じ状態に遷移するまで前記クロック信号を前記フリップフロップに伝達し、前記リレーの動作状態が閉じ状態であることが確認されれば前記クロック信号の生成を中断する、請求項1から4のいずれか一項に記載のフリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項6】
前記クロック信号生成部は、
前記車両のバッテリー電源を遮断するための前記通信信号が前記制御部から伝達される場合、前記リレーの動作状態が開き状態に遷移するまで前記クロック信号を前記フリップフロップに伝達し、前記リレーの動作状態が開き状態であることが確認されれば前記クロック信号の生成を中断する、請求項
1から5のいずれか一項に記載のフリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項7】
前記フリップフロップは、
Dフリップフロップ形態の論理回路を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載のフリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項8】
前記リレーは、
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む半導体リレーである、請求項1から
7のいずれか一項に記載のフリップフロップを用いたリレー制御システム。
【請求項9】
制御部を介して、リレー制御信号を出力するための入力信号を生成するステップ
と、
クロック信号生成部を介して、前記制御部と通信信号をやり取りし、前記リレー制御信号を出力するためのクロック信号を生成するステップ
と、
フリップフロップを介して、前記クロック信号および入力信号の伝達を受け、伝達を受けた前記クロック信号および入力信号に基づいて前記リレー制御信号を出力するステップ
と、
リレーを介して、前記リレー制御信号の伝達を受け、伝達を受けた前記リレー制御信号に基づいて動作状態を遷移させるステップ
と、を
備え、
前記クロック信号を生成するステップは、
前記リレーが閉じ状態であると同時に前記制御部から前記通信信号が伝達されない場合、前記フリップフロップに対する電源供給を所定時間の間保持し、前記所定時間が過ぎれば前記フリップフロップに対する電源供給を遮断するステップを含む、フリップフロップを用いたリレー制御方法。
【請求項10】
前記クロック信
号を生成するステップは、
前記制御部で生成された前記入力信号が前記フリップフロップに伝達される場合、前記リレーの動作状態が閉じ状態に遷移するまで前記クロック信号を前記フリップフロップに伝達し、前記リレーの動作状態が閉じ状態であることが確認されれば前記クロック信号の生成を中断するステップを含む、請求項
9に記載のフリップフロップを用いたリレー制御方法。
【請求項11】
前記クロック信
号を生成するステップは、
車両のバッテリー電源を遮断するための前記通信信号が前記制御部から前記クロック信号生成部に伝達される場合、前記リレーの動作状態が開き状態に遷移するまで前記クロック信号を前記フリップフロップに伝達し、前記リレーの動作状態が開き状態であることが確認されれば前記クロック信号の生成を中断するステップを含む、請求項
9または
10に記載のフリップフロップを用いたリレー制御方法。
【請求項12】
リレー制御信号を出力するための入力信号を生成する制御部、
前記制御部と通信信号をやり取りし、前記リレー制御信号を出力するためのクロック信号を生成するクロック信号生成部、および
前記クロック信号および入力信号の伝達を受け、伝達を受けた前記クロック信号および入力信号に基づいて前記リレー制御信号を出力するフリップフロップを含
み、
前記クロック信号生成部は、
車両のバッテリー電源の供給を受けて稼動され、前記フリップフロップに電源を供給し、
リレーが閉じ状態であることを前記リレー制御信号が示すと同時に前記制御部から前記通信信号が伝達されない場合、前記フリップフロップに対する電源供給を所定時間の間保持し、前記所定時間が過ぎれば前記フリップフロップに対する電源供給を遮断する、バッテリー管理システム。
【請求項13】
バッテリー管理システム(BMS)の高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、前記高電圧領域と低電圧領域間の電源衝突を防止するアイソレータ、
前記BMSの高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、前記高電圧領域から伝達される前記通信信号は前記低電圧領域に伝達し、前記低電圧領域から伝達される前記通信信号は前記高電圧領域に伝達する変圧器、および
前記制御部と
前記クロック信号生成部の通信連結経路に位置し、前記通信信号を両者が検出できるように変換する信号変換部をさらに含む、請求項
12に記載のバッテリー管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年09月28日付の韓国特許出願第10-2018-0115723号に基づいた優先権の利益を主張し、上記韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、フリップフロップを用いたリレー制御システムおよび方法に関し、車両のバッテリー管理システムの内部に制御部の信号を受けてリレーを制御するフリップフロップを設け、車両のバッテリー管理システムの稼動電源が遮断される場合にも車両のバッテリーと連結されたモニタリング回路を介してフリップフロップ稼動電源をフリップフロップに供給することによって、車両の駆動電源を制御するリレーの閉じ状態を保持し、車両の動力を一定時間の間保存させるようにする、フリップフロップを用いたリレー制御システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じた適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源により駆動する電気車両(Electric Vehicle)、ハイブリッド車両(Hybrid Vehicle)または家庭用または産業用として用いられる中大型バッテリーを用いるエネルギー貯蔵システム(Energy Storage System)や無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply)システムなどに普遍的に応用されている。
【0004】
このような二次電池を使う未来自動車産業の動向は、大きく、環境問題と関連した電気自動車と、運転者の便宜性を極大化した自律走行車といった二つの形態に集中していると言える。
【0005】
二次電池を使う自動車の二つの形態における最も重要な問題のうちの一つは安定性と関連した問題であり、自動車のバッテリーを制御するバッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)に供給される電源が走行中に予期せず遮断される状況の発生時、自動車の動力もすぐに遮断されてしまうという問題がある。このような非常状況で発生する問題に対応するために、バッテリー管理システムの稼動電源の遮断時に、自動車の動力がすぐに遮断されずに一定時間の間保持されるようにして非常状況に対応できる機能が必要であると言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するために導き出されたものであり、車両のバッテリー管理システムの内部に制御部の信号を受けてリレーを制御できるフリップフロップを設け、車両のバッテリー管理システムの稼動電源が予期せず遮断される場合にも車両のバッテリーと連結されたモニタリング回路を介してフリップフロップ稼動電源をフリップフロップに供給することによって、車両の駆動電源を制御するリレーの閉じ状態を保持し、車両の動力を一定時間の間保存させて非常状況に対応できるようにする、フリップフロップを用いたリレー制御システムおよび方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システムは、リレー(Relay)制御信号を出力するための入力信号を生成する制御部、制御部と通信信号をやり取りし、リレー制御信号を出力するためのクロック(Clock)信号を生成するクロック信号生成部、クロック信号および入力信号の伝達を受け、伝達を受けたクロック信号および入力信号に基づいてリレー制御信号を出力するフリップフロップ(FlipFlop)、およびリレー制御信号の伝達を受け、伝達を受けたリレー制御信号に基づいて動作状態を遷移させるリレーを含む。
【0008】
一つの実施形態において、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)の高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、高電圧領域と低電圧領域間の電源衝突を防止するアイソレータ、BMSの高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、クロック信号生成部で生成されて高電圧領域側から伝達される通信信号は低電圧領域に伝達し、制御部で生成されて低電圧領域側から伝達される通信信号は高電圧領域に伝達する変圧器、および制御部とクロック信号生成部の通信連結経路に位置し、通信信号を両者が検出できるように変換する信号変換部をさらに含んでもよい。
【0009】
一つの実施形態において、制御部は、BMS内部の低電圧領域に位置し、BMSを稼動させるBMS電源の供給を受けて稼動されてもよい。
【0010】
一つの実施形態において、クロック信号生成部は、BMS内部の高電圧領域に位置し、車両のバッテリー電源の供給を受けて稼動され、フリップフロップに電源を供給してもよい。
【0011】
一つの実施形態において、クロック信号生成部は、制御部で生成された入力信号がフリップフロップに伝達される場合、リレーの動作状態が閉じ状態に遷移するまでクロック信号をフリップフロップに伝達し、リレーの動作状態が閉じ状態であることが確認されればクロック信号の生成を中断してもよい。
【0012】
一つの実施形態において、クロック信号生成部は、車両のバッテリー電源を遮断するための通信信号が制御部から伝達される場合、リレーの動作状態が開き状態に遷移するまでクロック信号をフリップフロップに伝達し、リレーの動作状態が開き状態であることが確認されればクロック信号の生成を中断してもよい。
【0013】
一つの実施形態において、クロック信号生成部は、リレーが閉じ状態であると同時に制御部から通信信号が伝達されない場合、フリップフロップに対する電源供給を所定時間の間保持し、所定時間が過ぎればフリップフロップに対する電源供給を遮断してもよい。
【0014】
一つの実施形態において、フリップフロップは、Dフリップフロップ形態の論理回路を含んでもよい。
【0015】
一つの実施形態において、リレーは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含んでもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御方法は、制御部を介して、リレー制御信号を出力するための入力信号を生成するステップ、クロック信号生成部を介して、制御部と通信信号をやり取りし、リレー制御信号を出力するためのクロック信号を生成するステップ、フリップフロップを介して、クロック信号および入力信号の伝達を受け、伝達を受けたクロック信号および入力信号に基づいてリレー制御信号を出力するステップ、およびリレーを介して、リレー制御信号の伝達を受け、伝達を受けたリレー制御信号に基づいて動作状態を遷移させるステップを含む。
【0017】
一つの実施形態において、クロック信号生成部を介して、制御部と通信信号をやり取りし、リレー制御信号を出力するためのクロック信号を生成するステップは、制御部で生成された入力信号がフリップフロップに伝達される場合、リレーの動作状態が閉じ状態に遷移するまでクロック信号をフリップフロップに伝達し、リレーの動作状態が閉じ状態であることが確認されればクロック信号の生成を中断するステップを含んでもよい。
【0018】
一つの実施形態において、クロック信号生成部を介して、制御部と通信信号をやり取りし、リレー制御信号を出力するためのクロック信号を生成するステップは、車両のバッテリー電源を遮断するための通信信号が制御部からクロック信号生成部に伝達される場合、リレーの動作状態が開き状態に遷移するまでクロック信号をフリップフロップに伝達し、リレーの動作状態が開き状態であることが確認されればクロック信号の生成を中断するステップを含んでもよい。
【0019】
一つの実施形態において、クロック信号生成部を介して、制御部と通信信号をやり取りし、リレー制御信号を出力するためのクロック信号を生成するステップは、リレーが閉じ状態であると同時に制御部から通信信号が伝達されない場合、フリップフロップに対する電源供給を所定時間の間保持し、所定時間が過ぎればフリップフロップに対する電源供給を遮断するステップを含んでもよい。
【0020】
本発明のまた他の実施形態によるバッテリー管理システムは、リレー制御信号を出力するための入力信号を生成する制御部、制御部と通信信号をやり取りし、リレー制御信号を出力するためのクロック信号を生成するクロック信号生成部、およびクロック信号および入力信号の伝達を受け、伝達を受けたクロック信号および入力信号に基づいてリレー制御信号を出力するフリップフロップを含む。
【0021】
一つの実施形態において、バッテリー管理システムの高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、高電圧領域と低電圧領域間の電源衝突を防止するアイソレータ、バッテリー管理システムの高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、高電圧領域から伝達される通信信号は低電圧領域に伝達し、低電圧領域から伝達される通信信号は高電圧領域に伝達する変圧器、および制御部と状態判断部の通信連結経路に位置し、通信信号を両者が検出できるように変換する信号変換部をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システムおよび方法は、車両のバッテリー管理システムの内部にフリップフロップを設けることによって、車両のバッテリー管理システムの稼動電源が遮断される場合にも車両のバッテリーと連結されたモニタリング回路を介してフリップフロップ稼動電源をフリップフロップに供給して車両の駆動電源を制御するリレーの閉じ状態を保持することができ、それにより、車両の動力を一定時間の間保存させて非常状況に対応できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来のリレー制御システム1の形態を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システム100の構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システム100をより具体的に示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システム100を介したリレー制御過程を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明のフリップフロップを用いたリレー制御システム100を適用した適用例の進行過程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を、添付図面を参照して詳細に説明すれば以下のとおりである。ここで、繰り返される説明、本発明の要旨を不要に濁す恐れのある公知の機能および構成に関する詳細な説明は省略する。本発明の実施形態は当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面での要素の形状および大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0025】
明細書の全体にわたって、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0026】
また、明細書に記載された「...部」という用語は一つ以上の機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアやソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの結合で実現されることができる。
【0027】
図1は、従来のリレー制御システム1の形態を示す図である。
【0028】
図1を参照すれば、従来のリレー制御システム1は、制御部1aの入力信号がアイソレータ1dを介してリレー1cに伝達されてリレー1cの動作状態が制御され、リレー1cの動作状態に応じて車両とバッテリー10との間の連結状態が変更される。
【0029】
ここで、バッテリー10は、車両を駆動させる主電源を意味し、車両に搭載されたバッテリーパックに含まれるバッテリーセルを意味する。
【0030】
より具体的には、リレー制御システム1は、制御部1aの入力信号を介したリレー1cの動作状態の制御によりバッテリー10の遮断有無が決定されるため、制御部1aの機能が中断されるかまたは電源が遮断される場合には、入力信号が生成されず、リレー1cは制御から外れ、バッテリー10は遮断され、車両の動力も失われる。
【0031】
このようなリレー制御システム1は、走行中の車両のBMSに問題が生じるかまたは電源が遮断される場合、直ちに車両の動力消失につながることにより、非常状況に対応し難いという問題を有する。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システム100の構成を示す図であり、
図3は、本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システム100をより具体的に示す図である。
【0033】
図2および
図3を参照すれば、本発明の一実施形態によるフリップフロップを用いたリレー制御システム100は、大きく、制御部101、クロック信号生成部102、フリップフロップ103およびリレー104を含んで構成されることができる。また、更なる一実施形態においては、アイソレータ105、変圧器106および信号変換部107をさらに含んで構成されることができる。
図2および
図3に示されたフリップフロップを用いたリレー制御システム100は一実施形態によるものであって、その構成要素が
図2および
図3に示された実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて一部の構成要素が付加、変更または削除されてもよい。
【0034】
先ず、制御部101は、リレー(Relay)制御信号を出力するための入力信号を生成することができる。
【0035】
また、制御部101は、バッテリー管理システム(Battery Management System、BMS)内部の低電圧領域に位置し、BMSを稼動させるBMS電源の供給を受けて稼動される。
【0036】
ここで、BMSの内部は高電圧領域と低電圧領域に分けることができ、高電圧領域は車両のバッテリー10と直接的または間接的に連結され、約数百ボルト(Voltage)以上の電圧を使うかまたは取り扱える回路および素子が位置した領域を意味し、低電圧領域は約10ボルト以下の電圧を使うかまたは取り扱える回路および素子が位置した領域を意味する。
【0037】
次に、クロック信号生成部102は、制御部101と通信信号をやり取りし、リレー制御信号を出力するためのクロック(Clock)信号を生成することができる。
【0038】
また、クロック信号生成部102は、BMS内部の高電圧領域に位置し、車両のバッテリー10電源の供給を受けて稼動され、フリップフロップ103に電源を供給することができる。
【0039】
なお、クロック信号生成部102は、制御部101で生成された入力信号がフリップフロップ103に伝達される場合、リレー104の動作状態が閉じ状態に遷移するまでクロック信号をフリップフロップ103に伝達し、リレー104の動作状態が閉じ状態であることが確認されればクロック信号の生成を中断することができる。
【0040】
また、クロック信号生成部102は、車両のバッテリー10電源を遮断するための通信信号が制御部101から伝達される場合、リレー104の動作状態が開き状態に遷移するまでクロック信号をフリップフロップ103に伝達し、リレー104の動作状態が開き状態であることが確認されればクロック信号の生成を中断することができる。
【0041】
なお、クロック信号生成部102は、リレー104が閉じ状態であると同時に制御部101から通信信号が伝達されない場合、フリップフロップ103に対する電源供給を所定時間の間保持し、所定時間が過ぎればフリップフロップ103に対する電源供給を遮断することができる。
【0042】
ここで、所定時間は、クロック信号生成部102に予め設定された固定値であってもよく、BMSに対するユーザの入力を通じて変更される値であってもよく、一つの実施形態において、所定時間は60秒であってもよい。
【0043】
具体的に例を挙げれば、クロック信号生成部102は、リレー104が閉じられている状態で制御部101と両方向通信をしている間、制御部101から通信信号が伝達されなければ、制御部101と通信試みを60秒間行って制御部101の状態を持続的に判断する。この間には車両の動力消失を防止するためにフリップフロップ103に電源供給を60秒間保持してリレー104の閉じ状態を保持し、60秒が過ぎても制御部101から通信信号が伝達されなければ、クロック信号生成部102は休眠状態に転換され、フリップフロップ103に対する電源供給を遮断する。
【0044】
次に、フリップフロップ103は、クロック信号および入力信号の伝達を受け、伝達を受けたクロック信号および入力信号に基づいてリレー制御信号を出力することができる。
【0045】
ここで、フリップフロップ103は、Dフリップフロップ形態の論理回路を含むことができる。
【0046】
具体的に例を挙げれば、フリップフロップ103は、クロック信号生成部102からクロック信号が伝達される場合、制御部101から伝達される入力信号の入力値をそのまま出力値として出力することができる。したがって、制御部101がリレー104を閉じ状態にまたは開き状態に遷移させるための入力信号がフリップフロップ103に伝達されれば、クロック信号生成部102は約1周期のクロック信号をフリップフロップ103に伝達してフリップフロップ103が入力値を出力するようにした後にクロック信号の生成を中断すれば、フリップフロップ103が引続き初期入力値を出力値として送り出すようにすることができる。
【0047】
次に、リレー104は、リレー制御信号の伝達を受け、伝達を受けたリレー制御信号に基づいて動作状態を遷移させることができる。
【0048】
ここで、リレー104は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む半導体リレーを意味する。
【0049】
次に、アイソレータ105は、BMSの高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、高電圧領域と低電圧領域間の電源衝突を防止することができる。
【0050】
ここで、アイソレータ105は、低電圧領域の制御部101から伝達される入力信号を高電圧領域と低電圧領域間の電源衝突なしに高電圧領域のフリップフロップ103に伝達することができる。
【0051】
次に、変圧器106はBMSの高電圧領域と低電圧領域との間の境界にかけて位置し、クロック信号生成部102で生成されて高電圧領域側から伝達される通信信号は低電圧領域に伝達し、制御部101で生成されて低電圧領域側から伝達される通信信号は高電圧領域に伝達することができる。
【0052】
次に、信号変換部107は、制御部101とクロック信号生成部102の通信連結経路に位置し、通信信号を両者が検出できるように変換することができる。
【0053】
ここで、信号変換部107と制御部101の通信連結経路の間でなされる通信は、SPI(Serial Peripheral Interface)通信を含むことができる。
【0054】
次に、
図4を参照して、このようなフリップフロップを用いたリレー制御システム100を介したリレー制御過程について説明する。
【0055】
図4は、
図2および
図3に示されたフリップフロップを用いたリレー制御システムを介したリレー制御過程を説明するためのフローチャートである。
【0056】
図4を参照すれば、先ず、制御部を介して、リレー制御信号を出力するための入力信号を生成し(S301)、生成された入力信号を、アイソレータを介して高電圧領域のフリップフロップに伝達する(S302)。
【0057】
次に、クロック信号生成部は、制御部との両方向通信を介してクロック信号を生成しフリップフロップに伝達する(S303)。
【0058】
次に、フリップフロップは伝達を受けた入力信号とクロック信号に基づいてDフリップフロップの論理回路によりリレー制御信号を出力し(S304)、リレーはフリップフロップで生成されたリレー制御信号の伝達を受けて動作状態を決定してバッテリーを遮断するかまたは連結する(S305)。
【0059】
次に、
図5を参照して、このようなフリップフロップを用いたリレー制御システム100を適用した適用例の進行過程について説明する。
【0060】
図5は、
図2および
図3に示されたフリップフロップを用いたリレー制御システムを適用した適用例での進行過程を説明するためのフローチャートである。
【0061】
図5を参照すれば、先ず、BMSにユーザが意図しない問題または分からない原因などでBMSの電源が遮断される状況が発生すれば(S401)、BMSの内部に位置しBMS電源を共有して稼動される制御部も機能を止めるようになる(S402)。
【0062】
次に、クロック信号生成部は、制御部から通信信号が伝達されなければ、制御部に通信試みを所定時間の間行って制御部の状態を持続的に判断する(S403)。
【0063】
ここで、所定時間内に制御部の機能が回復して通信が再び再開になれば、クロック信号生成部はフリップフロップに対する電源供給を保持し、フリップフロップを用いたリレー制御システムは持続する(S405)。
【0064】
一方、所定時間内に制御部の機能が回復せず通信が再開にならなければ、クロック信号生成部は、所定時間が過ぎた後に休眠状態に転換され、それにより、フリップフロップに供給される電源が遮断され、車両の動力が遮断される(S405')。
【0065】
前述したフリップフロップを用いたリレー制御方法は、図面に提示されたフローチャートを参照して説明された。簡単に説明するために、方法は一連のブロックで図示し説明されたが、本発明はブロックの順に限定されず、幾つかのブロックは他のブロックと本明細書で図示し記述されたものとは互いに異なる順にまたは同時になされてもよく、同一または類似した結果を達成する様々な他の分枝、流れ経路およびブロックの順が実現されてもよい。また、本明細書にて記述される方法の実現のために示された全てのブロックが要求されなくてもよい。
【0066】
以上では本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、上記技術分野の熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解することができるであろう。