IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鈴茂器工株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図1
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図2
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図3
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図4
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図5
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図6
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図7
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図8
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図9
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図10
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図11
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図12
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図13
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図14
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図15
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図16
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図17
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図18
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図19
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図20
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図21
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図22
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図23
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図24
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図25
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図26
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図27
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図28
  • 特許-米飯成形装置および米飯処理装置 図29
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】米飯成形装置および米飯処理装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20220621BHJP
【FI】
A23L7/10 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018038464
(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公開番号】P2019149980
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】小池 真二
(72)【発明者】
【氏名】杉▲崎▼ 健
(72)【発明者】
【氏名】中沢 和樹
(72)【発明者】
【氏名】安田 篤文
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-253840(JP,A)
【文献】特開昭62-294050(JP,A)
【文献】特開平09-075019(JP,A)
【文献】特開2017-051141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から供給された米飯を規制孔から下方へ通過させることにより当該米飯の水平断面を所定の形状に成形する米飯成形装置であって、
表裏面が相互に接触して立った状態に配置された複数の板状の規制部材からなり、前記規制部材の一側面である規制面の集合で少なくとも一部の前記規制孔を構成する規制手段と、
それぞれの前記規制部材が独立して移動して前記規制面が進退するように前記規制部材の移動を案内する案内手段と、
を有することを特徴とする米飯成形装置。
【請求項2】
前記規制手段は、前記規制面が相互に対向するようにして間隔を空けて一対で設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯成形装置。
【請求項3】
前記規制手段の両側に配置された支持手段をさらに有し、
前記案内手段は、それぞれの前記規制部材に取り付けられたロッド、および両端が前記支持手段に固定されて前記ロッドが摺動可能に貫通して当該ロッドを保持する保持部材を備える、
ことを特徴とする請求項1または2記載の米飯成形装置。
【請求項4】
前記規制部材は、四角形の板状体である、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項5】
複数の前記規制部材を貫通して水平方向に移動可能に設けられ、複数の前記規制部材を一括して移動させる移動軸をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項6】
前記規制部材の移動に追随して伸縮して前記規制面を覆うベルトをさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項7】
前記規制手段の上部において水平方向に移動可能に設けられ、前記規制手段の上面に付着した米飯を前記規制孔内に落下させるスクレッパをさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項8】
前記規制部材を移動した位置で固定する固定手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項9】
前記保持部材に設けられ、前記ロッドを前記保持部材に対して不動にして前記規制部材を移動した位置で固定する固定手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項3~7の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項10】
前記規制部材を移動させるモータをさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項11】
前記ロッドを介して前記規制部材を移動させるモータをさらに有する、
ことを特徴とする請求項3~7の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【請求項12】
投入された米飯を解しながら下方へ落下供給する米飯供給装置と、
前記米飯供給装置から供給された米飯を前記規制孔から下方へ通過させて当該米飯の水平断面を所定の形状に成形する請求項1~11の何れか一項に記載の米飯成形装置と、
前記米飯成形装置を通過した米飯を所定の厚みに分割して落下させる米飯分割装置と、
を有することを特徴とする米飯処理装置。
【請求項13】
前記米飯分割装置は、
前記米飯成形装置からの米飯を分割するシャッタと、
前記シャッタの下方において当該シャッタと所定の間隔を空けて配置され、前記米飯成形装置を通過した米飯の落下経路を開閉する分割落下手段とを備え、
前記分割落下手段を閉鎖位置にして前記米飯成形装置からの米飯を前記シャッタによって所定の厚みに分割し、分割後に前記分割落下手段を開放位置にして米飯を落下させる、
ことを特徴とする請求項12記載の米飯処理装置。
【請求項14】
前記分割落下手段は上下方向に移動可能とされている、
ことを特徴とする請求項13記載の米飯処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯成形装置および米飯処理装置に関し、特に、米飯の成形形状に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホッパに投入された米飯を容積計量(米飯が通過する計量枡の水平断面積と分割された米飯の厚み(高さ)で規定される容積で米飯の計量を行う技術)により所定の設定重量値に分割する米飯処理装置が知られている。そして、米飯処理装置で得られた米飯は、例えば弁当などの容器の米飯盛付部に盛り付けられる。
【0003】
ここで、米飯処理装置で得られた米飯は、計量枡(米飯成形装置)の水平断面に沿って成形される。一方、米飯盛付部の形状や大きさ(以下、単に「形状」という。)は、容器の種類によって様々である。
【0004】
したがって、得られた米飯の形状が容器の米飯盛付部の形状と同じであればそのまま盛り付けることができるが、同じでない場合には、プレス等の手段を用いて再度米飯の形状を調整したり、米飯盛付部の形状に合った専用の計量枡を使用したり、作業者が手作業によって米飯盛付部の形状に沿って米飯を整えている。
【0005】
なお、容積計量による米飯計量装置については、例えば特許文献1(特開2000-253840号公報)に記載された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-253840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、米飯の形状を再調整しようとしても、一旦所定の形状に成形された米飯は、容易に所望の形状に変更することができない。
【0008】
また、専用の計量枡を使用する場合には、容器の米飯盛付部の形状ごとに計量枡が必要になってしまうため、そのように対応することが困難であったり、対応できたとしても装置のコストアップになってしまう。とりわけ、弁当生産の現場においては、弁当の種類の改廃や弁当容器の種類の改廃が多いため、対応が一層困難になる。
【0009】
さらに、作業者が手作業で米飯の形状を整える場合には、人件費がかかってしまうことになる。
【0010】
そして、米飯の形状を再調整する際の問題は、米飯を容器の米飯盛付部の形状に対応させる場合のみではなく、例えば米飯でおむすびや握り寿司用のシャリを成形する場合などでも生じるものである。
【0011】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、米飯を様々な形状に成形することができる米飯成形装置および米飯処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯成形装置は、上方から供給された米飯を規制孔から下方へ通過させることにより当該米飯の水平断面を所定の形状に成形する米飯成形装置であって、表裏面が相互に接触して立った状態に配置された複数の板状の規制部材からなり、前記規制部材の一側面である規制面の集合で少なくとも一部の前記規制孔を構成する規制手段と、それぞれの前記規制部材が独立して移動して前記規制面が進退するように前記規制部材の移動を案内する案内手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1に記載の発明において、前記規制手段は、前記規制面が相互に対向するようにして間隔を空けて一対で設けられている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1または2記載の発明において、前記規制手段の両側に配置された支持手段をさらに有し、前記案内手段は、それぞれの前記規制部材に取り付けられたロッド、および両端が前記支持手段に固定されて前記ロッドが摺動可能に貫通して当該ロッドを保持する保持部材を備える、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記規制部材は、四角形の板状体である、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、複数の前記規制部材を貫通して水平方向に移動可能に設けられ、複数の前記規制部材を一括して移動させる移動軸をさらに有する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1~5の何れか一項に記載の発明において、前記規制部材の移動に追随して伸縮して前記規制面を覆うベルトをさらに有する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記規制手段の上部において水平方向に移動可能に設けられ、前記規制手段の上面に付着した米飯を前記規制孔内に落下させるスクレッパをさらに有する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1~7の何れか一項に記載の発明において、前記規制部材を移動した位置で固定する固定手段をさらに有する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項3~7の何れか一項に記載の発明において、前記保持部材に設けられ、前記ロッドを前記保持部材に対して不動にして前記規制部材を移動した位置で固定する固定手段をさらに有する、ことを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項1~7の何れか一項に記載の発明において、前記規制部材を移動させるモータをさらに有する、ことを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の本発明の米飯成形装置は、上記請求項3~7の何れか一項に記載の発明において、前記ロッドを介して前記規制部材を移動させるモータをさらに有する、ことを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決するため、請求項12に記載の本発明の米飯処理装置は、投入された米飯を解しながら下方へ落下供給する米飯供給装置と、前記米飯供給装置から供給された米飯を前記規制孔から下方へ通過させて当該米飯の水平断面を所定の形状に成形する請求項1~11の何れか一項に記載の米飯成形装置と、前記米飯成形装置を通過した米飯を所定の厚みに分割して落下させる米飯分割装置と、を有することを特徴とする。
【0024】
請求項13に記載の本発明の米飯処理装置は、上記請求項12に記載の発明において、前記米飯分割装置は、前記米飯成形装置からの米飯を分割するシャッタと、前記シャッタの下方において当該シャッタと所定の間隔を空けて配置され、前記米飯成形装置を通過した米飯の落下経路を開閉する分割落下手段とを備え、前記分割落下手段を閉鎖位置にして前記米飯成形装置からの米飯を前記シャッタによって所定の厚みに分割し、分割後に前記分割落下手段を開放位置にして米飯を落下させる、ことを特徴とする。
【0025】
請求項14に記載の本発明の米飯処理装置は、上記請求項13に記載の発明において、前記分割落下手段は上下方向に移動可能とされている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、規制手段を構成する規制部材を動かすことにより規制孔を様々な形状にすることができるので、米飯を様々な形状に成形することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施の形態である米飯処理装置を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の米飯処理装置を構成する米飯成形装置およびその周辺部分を示す斜視図である。
図4図3の正面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図である。
図6図5の米飯成形部の平面図である。
図7図6のA-A線に沿った断面図である。
図8図5の米飯成形部と異なった規制孔を形成した米飯成形部を示す斜視図である。
図9図8の米飯成形部の平面図である。
図10】は図5および図8の米飯成形部と異なった規制孔を形成した米飯成形部を示す斜視図である。
図11図10の米飯成形部の平面図である。
図12】本発明の第2の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図である。
図13図12の米飯成形部から支持パネルを外して示す斜視図である。
図14図12の米飯成形部の平面図である。
図15図12の米飯成形部の正面図である。
図16】本発明の第3の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図である。
図17図16の米飯成形部から支持パネルを外して示す斜視図である。
図18図16の米飯成形部に設けられたベルトが規制パネルの規制面に沿って変形した状態を示す斜視図である。
図19図16の米飯成形部の平面図である。
図20図16の米飯成形部の正面図である。
図21】本発明の第4の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図である。
図22図21の米飯成形部から支持パネルを外して示す斜視図である。
図23図21の米飯成形部に設けられたスクレッパが待機位置にある場合を手前の支持パネルを外して示す正面図である。
図24図21の米飯成形部に設けられたスクレッパが作動位置にある場合を手前の支持パネルを外して示す正面図である。
図25】本発明の第5の実施の形態である米飯成形部について手前の支持パネルを外した状態で示す斜視図である。
図26図25の米飯成形部の平面図である。
図27図25の米飯成形部の正面図である。
図28】本発明の変形例としての米飯成形部を示す斜視図である。
図29】本発明の他の変形例としての米飯成形部を手前の支持パネルを外して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
(第1の実施の形態)
【0030】
図1は本発明の第1の実施の形態である米飯処理装置を示す斜視図、図2図1の正面図、図3図1の米飯処理装置を構成する米飯成形装置およびその周辺部分を示す斜視図、図4図3の正面図である。
【0031】
図1および図2に示すように、本実施の形態の米飯処理装置Mには、投入された米飯を解しながら落下供給するホッパ(米飯供給装置)10と、ホッパ10から供給された米飯を下方へ通過させることにより当該米飯の水平断面を所定の形状に成形する米飯成形部(米飯成形装置)20と、米飯成形部20を通過した米飯を設定重量値に相当する厚みに分割して落下させる米飯分割部(米飯分割装置)30と、設定重量値に対して不足した重量分の米飯を落下させる補助計量部40と、米飯を搬送する搬送コンベア50と、作業者が装置の動作設定条件を入力するための入力部60とを備えている。
【0032】
なお、入力部60は、米飯処理装置Mの駆動、停止、再起動などを行う操作スイッチ61や、米飯の設定重量、生産数量などの設定を行う操作パネル62などで構成されている。
【0033】
さて、これらの図面に示すように、ホッパ10は、米飯が投入される本体部11と、本体部11内の米飯を解しながら落下供給する解しローラ12と、解しローラ12から落下した米飯の一部を補助計量部40に送る搬送ローラ13とを備えている。
【0034】
また、図3および図4に示すように、米飯成形部20には、上方のホッパ10から供給された米飯を下方へと通過させる規制孔21が形成されており、規制孔21を通った米飯は、水平断面の形状が当該規制孔21に沿った形状に成形される。なお、米飯成形部20の詳細については後述する。
【0035】
米飯分割部30は、米飯成形部20の下部に配置されたシャッタ31と、シャッタ31の下方において当該シャッタ31と所定の間隔を空けて配置された分割落下部(分割落下手段)32とを備えている。シャッタ31は、水平方向に相互に接近・離間する動作を行う一対のシャッタ板31a,31bで構成されており、シャッタ板31a,31bの動作によって米飯成形部20からの米飯を分割する。また、分割落下部32は、米飯成形部20を通過した米飯の落下経路を構成するゲート孔32a-1が形成されて上下方向に移動可能になった厚み調整部32aと、スライド動作によってゲート孔32a-1を開閉するゲート板32bとを備えている。そして、ゲート板32bを閉鎖位置にして米飯成形部20からの米飯をシャッタ31によって所定の厚みに分割し、分割後にゲート板32bを開放位置にして米飯をゲート孔32a-1から落下させる。
【0036】
このとき、前述した米飯成形部20の規制孔21の水平断面積と、米飯分割部30で分割された米飯の厚み(高さ)とで規定される容積によって設定重量値の米飯が計量される。したがって、分割落下される米飯の重量は、米飯成形部20の規制孔21の水平断面積と、米飯分割部30を構成するシャッタ31とゲート板32bとの距離に依存する。なお、分割落下部の厚み調整部32aを固定して上下移動不能にし、米飯成形部20の規制孔21の水平断面積のみで米飯の重量を調整するようにしてもよい。
【0037】
搬送コンベア50は、搬送方向の上流側から下流側に向けて、第1のコンベア51、第2のコンベア52および第3のコンベア53の3台のコンベアが設けられている。第1のコンベア51の直上には米飯分割部30が配置されており、米飯分割部30からの米飯は第1のコンベア51上に落下し、当該第1のコンベア51から第2のコンベア52、第3のコンベア53へと搬送される。また、第3のコンベア53の直上には、前述した補助計量部40が配置されている。なお、米飯分割部30と第1のコンベア51との間には、米飯の落下をガイドして散逸を防止するための落下ガイド35が取り付けられている。
【0038】
第2のコンベア52には、米飯分割部30から落下供給された米飯の重量を計測するためのロードセル(図示せず)が設けられている。そして、ロードセルで計測された米飯重量が作業者の設定した米飯の設定重量に対して所定重量以上に不足していたならば、不足重量分の米飯が補助計量部40で計量され、第3のコンベア53へ搬送された米飯に対して落下供給される。
【0039】
次に、本実施の形態の米飯処理装置Mに備えられた米飯成形部20について、図5図11を用いて説明する。ここで、図5は本発明の第1の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図、図6図5の米飯成形部の平面図、図7図6のA-A線に沿った断面図である。また、図8図5の米飯成形部と異なった規制孔を形成した米飯成形部を示す斜視図、図9図8の米飯成形部の平面図、図10図5および図8の米飯成形部と異なった規制孔を形成した米飯成形部を示す斜視図、図11図10の米飯成形部の平面図である。
【0040】
図5および図6に示すように、米飯成形部20には、規制ユニット(規制手段)22が設けられている。この規制ユニット22は、相互に並列配置された四角形の板状体からなる複数の規制パネル(規制部材)22aで構成されており、当該規制パネル22aには規制面22a-1が形成されている。そして、これら規制パネル22aの規制面22a-1の集合により、米飯の水平断面の形状を規制する前述の規制孔21が構成されている。
【0041】
本実施の形態において、規制ユニット22は、規制パネル22aの規制面22a-1が相互に対向するように間隔を空けて一対で設けられており、これら2つの規制ユニット22の規制面22a-1で構成される空間により、ホッパ10からの米飯を下方へと通過させる規制孔21が形成される。
【0042】
但し、規制ユニット22を1つだけにして、規制ユニット22の向かい側に、規制ユニット22とで規制孔21を形成するための壁面を有する部材を配置するようにすることもできる。この場合には、規制ユニット22の規制面22a-1の集合は、規制孔21の一部を形成ことになる。
【0043】
規制パネル22aの両側には、規制パネル22aを支持するための支持パネル(支持手段)23が配置されている。
【0044】
また、図5図6および図7に示すように、規制パネル22aの後部には、規制面22a-1の進退方向に往復移動するように規制パネル22aの移動を案内するためのガイド部(案内手段)24が設けられている。ガイド部24は、規制パネル22aの規制面22a-1と反対面の上下2箇所に取り付けられて移動方向に延びたロッド24aと、ロッド24aが摺動可能に貫通して当該ロッド24aを保持する保持板(保持部材)24bからなる。したがって、保持板24bに保持されたロッド24aを介して規制パネル22aを前後に移動させると、規制パネル22aに形成された規制面22a-1が進退方向に移動する。
【0045】
なお、保持板24bは、その両端が支持パネル23に固定されており、これら2枚の保持板24bと2枚の支持パネル23とで、四角形の枠体が構成されている。
【0046】
規制パネル22aを移動した位置で固定するため、米飯成形部20には固定ネジ(固定手段)25が設けられている。本実施の形態において、固定ネジ25は保持板24bにねじ込まれてロッド24aを押圧する構造となっており、固定ネジ25を締めることによって当該ロッド24aを保持板24bに対して不動にして規制パネル22aを移動した位置で固定する。
【0047】
本実施の形態では、固定ネジ25は六角レンチで締め込みを行う六角穴付ネジであり、締めたり緩めたりするときの周囲のスペースが少なくて済むことから、図示するように、殆ど間隔を空けることなく一列に配置されている。但し、固定ネジ25には、例えばプラスネジなど、六角穴付ネジ以外を用いてもよい。
【0048】
なお、規制パネル22aを固定するための固定手段は、保持板24bにねじ込まれた固定ネジ25に限定されるものではなく、規制パネル22aを固定することができる限り、様々なものを用いることができる。さらに、固定ネジ25などの固定手段は必須ではなく、設けられていなくてもよい。
【0049】
以上の構成を有する米飯成形部20によれば、保持板24bに保持されたロッド24aを介して規制パネル22aを前後に動かすと、規制パネル22aに形成された規制面22a-1が進退方向に移動する。したがって、複数の規制パネル22aの規制面22a-1を動かせば、米飯の水平断面の形状を規制する規制孔21を所望の形状にすることができる。例えば、図5および図6に示すような長方形の形状にすることや、図8および図9に示すような台形、図10および図11に示すような六角形など、規制パネル22aを動かすことにより規制孔21を様々な形状にすることができる。
【0050】
これにより、米飯を様々な形状に成形することが可能になるため、米飯を容器の米飯盛付部(図示せず)の様々な形状に対応した形状に成形することができる。
【0051】
また、このように米飯を容器の米飯盛付部の様々な形状に対応した形状に成形できることから、一旦成形された米飯の形状を後工程でプレス等によって調整することが不要になる。
【0052】
さらに、米飯を容器の米飯盛付部の様々な形状に対応した形状に成形できることから、作業者が手作業で米飯の形状を整える必要がなくなるので、省人化になって人件費を抑制することができる。
【0053】
米飯を容器の米飯盛付部の様々な形状に対応した形状に成形できることから、特定の形状の米飯に合わせた専用部品が必要なくなるので、コストダウンを図ることができる。
【0054】
規制パネル22aの移動位置を変えるだけで所望の形状の米飯が成形できるので、弁当の種類の改廃や弁当容器の種類の改廃に素早く対応することができ、また、米飯の成形形状の微調整が可能になる。
【0055】
(第2の実施の形態)
【0056】
図12は本発明の第2の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図、図13図12の米飯成形部から支持パネルを外して示す斜視図、図14図12の米飯成形部の平面図、図15図12の米飯成形部の正面図である。なお、米飯成形部20が備えられた米飯処理装置の構成は、以下に説明する実施の形態を含め、前述した第1の実施の形態における米飯処理装置Mの構成と同一となっている。
【0057】
本実施の形態の米飯成形部20では、図13に示すように、複数の規制パネル22aの同じ位置に貫通孔22a-2が形成されており、これらの貫通孔22a-2を貫通する移動軸26が設けられている。また、図12および図15に示すように、支持パネル23には、水平方向に長くなった長孔23aが形成されている。そして、移動軸26は、当該長孔23aから外方に突出している。
【0058】
したがって、移動軸26は長孔23aにガイドされて水平方向に移動可能になっており、当該移動軸26を移動させることにより、移動軸26が貫通した複数の規制パネル22aが一括して移動する。
【0059】
例えば、図12図15に示す場合においては、図面右側の移動軸26を支持パネル23に対してほぼ直角にし、図面左側の移動軸を支持パネル23に対して傾斜させれば、それぞれの移動軸26が貫通した規制パネル22aが一括して移動して、台形の規制孔21が形成される。
【0060】
このように、本実施の形態の米飯成形部20によれば、前述した第1の実施の形態における米飯成形部20により得られる作用効果に加えて、移動軸26を操作することにより、規制パネル22aを一枚ずつ移動させるのではなく一括して移動させることができるので、規制孔21を短時間で所望の形状に形成することが可能になる。
【0061】
(第3の実施の形態)
【0062】
図16は本発明の第3の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図、図17図16の米飯成形部から支持パネルを外して示す斜視図、図18図16の米飯成形部に設けられたベルトが規制パネルの規制面に沿って変形した状態を示す斜視図、図19図16の米飯成形部の平面図、図20図16の米飯成形部の正面図である。
【0063】
図16および図17に示すように、本実施の形態の米飯成形部20には、ベルト27が設けられている。このベルト27は伸縮性を有しており、幅方向の両端が支持パネル23の内側に貼着等によって固定され、途中の部位が、一部または全部の規制パネル22aの規制面22a-1に貼着等によって固定されている。また、ベルト27の上下長は、規制面22a-1の上下長以上になっている。但し、ベルト27の上下長は、規制面22a-1の上下長以下であってもよい。
【0064】
したがって、ベルト27は、規制パネル22aの移動に追随して伸縮し、当該規制パネル22aに形成された規制面22a-1を覆うことになる。
【0065】
このような米飯成形部20によれば、前述した第1の実施の形態における米飯成形部20により得られる作用効果に加えて、隣り合う規制パネル22aの規制面22a-1で形成される段差がベルト27によりなめらかになるので、成形された米飯に規制面22a-1の段差が反映されにくくなる。
【0066】
なお、ベルト27は、規制面22a-1を覆うことができるようになっていればよいので、その両端は、並列配置された規制パネル22aの内の端部に位置する規制パネル22aの外側(つまり、支持パネル23側)に固定してもよい。
【0067】
(第4の実施の形態)
【0068】
図21は本発明の第4の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図、図22図21の米飯成形部から支持パネルを外して示す斜視図、図23図21の米飯成形部に設けられたスクレッパが待機位置にある場合を手前の支持パネルを外して示す正面図、図24図21の米飯成形部に設けられたスクレッパが作動位置にある場合を手前の支持パネルを外して示す正面図である。
【0069】
図21および図22に示すように、本実施の形態の米飯成形部20には、規制ユニット22の上部に、当該規制ユニット22の上面に付着した米飯を規制孔21内に落下させるスクレッパ28が、水平方向に移動可能に設けられている。このスクレッパ28は、一対の規制ユニット22のそれぞれの上部に設けられており、水平方向に移動して相互に接近・離間する。
【0070】
なお、本実施の形態において、スクレッパ28は、一対の規制ユニット22のそれぞれの上部に設けられているが、片方の規制ユニット22の上部のみに設けられていてもよい。
【0071】
ホッパ10から落下してくる米飯を規制孔21から下方へと通過させる場合、ホッパ10からの一部の米飯は規制ユニット22の上面に付着してしまう。そして、付着した米飯は水分が次第に蒸発して固くなってしまう。よって、そのような米飯が何らかのきっかけで規制ユニット22の上面から剥が落ちて規制孔21を通り、他の米飯に混じって排出されることになれば、成形された米飯の品質が損なわれてしまうことになる。
【0072】
そこで、本実施の形態では、このような事態を未然に防止するために、規制ユニット22の上部にスクレッパ28が設けられている。
【0073】
スクレッパ28は、通常は待機位置(図23)となっており、例えば所定の時間間隔で水平移動して作動位置(図24)となった後、待機位置に戻る。なお、スクレッパ28の動作タイミングは、時間間隔ではなく、例えばシャッタ31が所定回数作動する毎など、様々に設定することができる。
【0074】
このような米飯成形部20によれば、前述した第1の実施の形態における米飯成形部20により得られる作用効果に加えて、規制ユニット22の上面に付着した米飯が定期的に除去されるので、水分が減少して固くなった米飯が他の米飯に混じって排出されることがなくなる。
【0075】
(第5の実施の形態)
【0076】
図25は本発明の第5の実施の形態である米飯成形部を示す斜視図、図26図25の米飯成形部の平面図、図27図25の米飯成形部の正面図である。なお、これらの図面では、内部構造を明確化するために、手前の支持パネルを外した状態で示している。
【0077】
これらの図面に示すように、本実施の形態の米飯成形部20では、規制パネル22aを移動させるモータ29aが備えられている。
【0078】
すなわち、モータ29aは、支持パネル23に固定された台座板29bに取り付けられて規制パネル22aの背後に位置しており、雄ネジの形成された回転軸29a-1が規制パネル22aに向かって伸びている。一方、ロッド24aには、回転軸29a-1と直交するとともに、当該回転軸29a-1の雄ネジとネジ結合する雌ネジが形成された駆動棒29cが固定されている。
【0079】
これにより、モータ29aで回転軸29a-1を回転させると、当該回転軸29a-1とネジ結合している駆動棒29cを介してロッド24aが動き、これにより規制パネル22aが移動する。
【0080】
なお、図示する場合には、モータ29aにより1枚の規制パネル22aだけが移動されるようになっているが、全数など複数枚の規制パネル22aが移動されるようにすることができる。この場合、移動する規制パネル22aの枚数分だけモータ29aを取り付けることができるが、例えば第2の実施の形態で説明した移動軸26を採用して1台のモータ29aで全ての規制パネル22aを一括して同時に移動させるようにしたり、1台のモータ29aの駆動力を切り換えながら複数枚の規制パネル22aに伝達する切換手段を設けて、規制パネル22aを個別に移動させるようにすることができる。
【0081】
また、本実施の形態においては、モータ29aは一方の規制ユニット22の規制パネル22aを移動させるようになっているが、両方の規制ユニット22の規制パネル22aを移動させてもよいことはもちろんである。
【0082】
なお、モータ29aによる規制パネル22aの移動については、本実施の形態に示すようなロッド24aを介した構造に限定されることはなく、様々な構造を採用することができる。
【0083】
このような米飯成形部20によれば、前述した第1の実施の形態における米飯成形部20により得られる作用効果に加えて、モータ29aにより規制パネル22aが移動するようになっているので、モータ29aの駆動を制御することにより、所望の形状の規制孔21を自動的に形成することが可能になる。
【0084】
なお、モータ29aの駆動による規制孔21の形状を図示しないメモリに予め記憶させておき、記憶された形状を入力部60で指定できるようにしておけば、入力部60で設定を行うだけでモータ29aの駆動が制御されて所望の形状の規制孔21を形成することが可能になる。
【0085】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0086】
例えば、本実施の形態においては、規制部材は、四角形の板状体からなる規制パネル22aであるが、規制面を備えて規制孔21を形成することができればよく、四角形の板状体に限定されるものではない。一例を挙げると、図28に示すように、上下に伸びた角材からなる規制棒22bや、図29(本図では、手前の支持パネル23を外した状態で示している)に示すように、L字状に屈曲した規制棒22cなどを適用することができる。
【0087】
但し、本実施の形態のように、規制部材を四角形の板状体からなる規制パネル22aにした場合には、当該規制パネル22aの側面(規制パネル22aの規制面22a-1と隣接した側面)が使えるので、隣り合う規制パネル22aを大きくずらすことが可能になり、結果的に、形成される規制孔21の形状の自由度が大きくなる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上の説明の米飯成形装置および米飯処理装置では、成形された米飯は、弁当などの容器の米飯盛付部に盛り付けられるが、これに限定されるものではなく、例えば、おむすびや握り寿司用のシャリにも適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 ホッパ(米飯供給装置)
20 米飯成形部(米飯成形装置)
21 規制孔
22 規制ユニット(規制手段)
22a 規制パネル(規制部材)
22a-1 規制面
22a-2 貫通孔
22b,22c 規制棒
23 支持パネル(支持手段)
23a 長孔
24 ガイド部(案内手段)
24a ロッド
24b 保持板(保持部材)
25 固定ネジ(固定手段)
26 移動軸
27 ベルト
28 スクレッパ
29a モータ
29a-1 回転軸
29b 台座板
29c 駆動棒
30 米飯分割部(米飯分割装置)
31 シャッタ
31a,31b シャッタ板
32 分割落下部(分割落下手段)
32a 厚み調整部
32a-1 ゲート孔
32b ゲート板
35 落下ガイド
40 補助計量部
50 搬送コンベア
60 入力部
M 米飯処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29