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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/47 20180101AFI20220621BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20220621BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220621BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20220621BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20220621BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220621BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220621BHJP
   F21V 29/87 20150101ALI20220621BHJP
   F21V 29/89 20150101ALI20220621BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220621BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20220621BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220621BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S41/143
F21S43/14
F21S41/19
F21S43/19
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V29/503
F21V29/87
F21V29/89
F21W103:00
F21W103:35
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017084166
(22)【出願日】2017-04-21
(65)【公開番号】P2018181783
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】特許業務法人プロウィン特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 篤
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-195098(JP,A)
【文献】特開2013-004824(JP,A)
【文献】特開2015-118779(JP,A)
【文献】国際公開第2015/180978(WO,A1)
【文献】特開2013-038018(JP,A)
【文献】特開2014-049625(JP,A)
【文献】特開2012-043750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/47
F21S 41/00
F21S 43/00
F21V 19/00
F21V 29/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と回路基板を有する光源部と、前記光源部を搭載するソケット部とを備え、
前記回路基板は開口部を有し、前記回路基板上には前記発光素子を駆動するための配線パターンが形成されて電子部品が実装され、
前記ソケット部は、前記回路基板よりも熱伝導率が高く、
前記ソケット部は、熱伝導性樹脂からなるハウジングと、前記ハウジングに埋め込まれた金属板とを有し、
前記ソケット部は、平板状のフランジ部と、前記フランジ部から立設された光源保持部を備え、
前記金属板は、前記光源保持部内において、平坦部と前記平坦部から突出して形成された金属板露出面を有し、
前記平坦部は前記ハウジング内に埋め込まれて、前記金属板露出面のみが前記ハウジングから露出しており、
前記発光素子は、前記開口部内において前記金属板露出面に搭載されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用灯具であって、
前記金属板は、前記金属板露出面のみが前記ハウジングから露出しており、
前記回路基板は、前記ハウジング上に搭載されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用灯具であって、
前記発光素子は、サブマウントと、前記サブマウント上に搭載されたLEDチップで構成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の車両用灯具であって、
前記金属板露出面の上面と、前記ハウジングの上面が面一であることを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項1からの何れか一つに記載の車両用灯具であって
前記フランジ部が略円盤状であり、前記光源保持部が略円筒状であり、
前記フランジ部の径(A)と前記光源保持部の径(B)の比は0.48<B/A<0.65の範囲であることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に光源に発光素子を用いた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になって、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光素子を光源として用いた車両用灯具が普及しつつある。このような車両用灯具では、発光素子をプリント配線基板上に搭載し、ランプボディやリフレクタ、カバー等と一体化したものも提案されている。発光素子は、温度の上昇に伴い発光効率が低下する傾向があるため、プリント配線基板には放熱部材を当接させて放熱を図ることが一般的である。
【0003】
しかし、プリント配線基板上に発光素子を搭載する従来技術では、メンテナンス時に光源部分の交換が必要となった場合に、プリント配線基板か車両用灯具全体を交換する必要があり、車種ごとに異なる部品を用意しなくてはならず汎用性という点では問題があった。このような問題を解決するために特許文献1では、発光素子を搭載した光源部分をソケット化し、ソケット化した部分のみの交換で光源部分を交換可能にした車両用灯具が提案されている。ソケット化された車両用灯具では、ランプボディ外部からランプボディ内部に光源部分を挿入し、反射鏡の所定位置に光源部分の発光素子を位置させて所望の配光を実現している。このとき、発光素子の発光に伴う熱は、発光素子の搭載された基板とソケット部分に形成された放熱フィンを介して車両用灯具の外部に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-137960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1の車両用灯具では、基板上に発光素子と駆動回路を一括して搭載しているため、駆動回路で生じた熱が同一の基板を介して発光素子にまで伝達してしまう。したがって、発光素子の発光効率が低下しない温度範囲にまで放熱するためには、駆動回路からの発熱も良好に放熱できるように、基板の面積を大きくしてソケット部との接触面積を大きくする必要があった。
【0006】
上述したようにソケット化した車両用灯具では、ランプボディ外部から光源部分を挿入するため、発光素子を搭載した基板全体が反射鏡内に露出することになり、基板の面積が大きいことは車両用灯具の小型化を図るうえでは好ましくない。また、放熱フィン等を含むソケット部全体を大型化することは、ソケット部での放熱性を向上させるためには有効であるが、やはり車両用灯具の小型化を図るうえでは好ましくない。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、発光素子で生じる熱を良好に放熱しつつ、小型化を図ることが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の車両用灯具は、発光素子と回路基板を有する光源部と、前記光源部を搭載するソケット部とを備え、前記回路基板は開口部を有し、前記回路基板上には前記発光素子を駆動するための配線パターンが形成されて電子部品が実装され、前記ソケット部は、前記回路基板よりも熱伝導率が高く、前記ソケット部は、熱伝導性樹脂からなるハウジングと、前記ハウジングに埋め込まれた金属板とを有し、前記ソケット部は、平板状のフランジ部と、前記フランジ部から立設された光源保持部を備え、前記金属板は、前記光源保持部内において、平坦部と前記平坦部から突出して形成された金属板露出面を有し、前記平坦部は前記ハウジング内に埋め込まれて、前記金属板露出面のみが前記ハウジングから露出しており、前記発光素子は、前記開口部内において前記金属板露出面に搭載されていることを特徴とする。
【0009】
このような本発明の車両用灯具では、駆動回路の電子部品が実装された回路基板の開口部内に発光素子が搭載され、発光素子が搭載されている搭載部の熱伝導率が回路基板よりも高いことにより、電子部品からの熱が発光素子に伝達しにくくなり、発光素子で生じる熱を良好に放熱しつつ、小型化を図ることが可能となる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記金属板は、前記金属板露出面のみが前記ハウジングから露出しており、前記回路基板は、前記ハウジング上に搭載されている。
【0011】
また本発明の一態様では、前記発光素子は、サブマウントと、前記サブマウント上に搭載されたLEDチップで構成されている
【0012】
また本発明の一態様では、前記金属板露出面の上面と、前記ハウジングの上面が面一である。
【0015】
また本発明の一態様では、前記ソケット部は、前記フランジ部が略円盤状であり、前記光源保持部が略円筒状であり、前記フランジ部の径(A)と前記光源保持部の径(B)の比は0.48<B/A<0.65の範囲である。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、発光素子で生じる熱を良好に放熱しつつ、小型化を図ることが可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における車両用灯具100を示す模式斜視図である。
図2】第1実施形態における車両用灯具100を示す模式正面図である。
図3】第1実施形態における車両用灯具100を示す模式側面図である。
図4】第1実施形態における車両用灯具100を示す底面図である。
図5】第1実施形態における光源部20を示す模式斜視図である。
図6】第2実施形態におけるソケット部10を示す模式斜視図である。
図7】第2実施形態におけるソケット部10の内部構造を示す透視図であり、図7(a)は斜視図であり、図7(b)は正面図である。
図8】第2実施形態におけるソケット部10を示す模式斜視図である。
図9】第3実施形態における光源部20を示す模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態における車両用灯具100を示す模式斜視図であり、図2は模式正面図、図3は模式側面図、図4は底面図である。図1に示すように車両用灯具100は、ソケット部10と光源部20を有している。
【0019】
ソケット部10は、光源部20を保持し、光源部20からの放熱を行い、外部から光源部20への電気的接続を確保するとともに、図示しないランプボディへの取り付けを行うための部材である。図1に示すように、ソケット部10は、フランジ部11と、コネクタ部12と、放熱フィン13と、光源保持部14とを備え、光源保持部14には複数の側壁15と係止部16が形成されている。また、光源部20に隣接して端子保持部17および端子17aが露出されており、ボンディングワイヤ18が端子17aと光源部20を電気的に接続している。
【0020】
ソケット部10を構成する材料は、熱伝導性が良好な材料であれば限定されないが、アルミダイカストや熱伝導性樹脂を用いることが好ましい。熱伝導性樹脂に炭素繊維を含有させた場合には、高い熱伝導率と良好な導電性を備え、Al,AlN,BN等のセラミックフィラーを含有させた場合には、高い熱伝導率と良好な電気的絶縁性を備え、いずれも軽量であるため特に好ましい。ソケット部10を構成する材料の熱伝導率は、図5で後述する回路基板21を構成する材料の熱伝導率よりも高くされている。
【0021】
フランジ部11は略円盤状の部分であり、主面には光源保持部14が立設され、裏面にはコネクタ部12および放熱フィン13が形成されている。光源保持部14が形成された主面は、ランプボディへの取り付けの際にランプボディ側に当接する面であり、フランジ部11によって光源部20のランプボディへの挿入が規制される。ここではフランジ部11として略円盤状のものを示したが、平板状であれば他の形状でもよく、位置決め等のために切り欠きや突起を設けてもよい。
【0022】
コネクタ部12は、フランジ部11の裏面に設けられて、外部から図示しないワイヤーハーネスが接続される部分である。図1,2,4に示すように、コネクタ部12はワイヤーハーネス側のコネクタを収容可能な内径の筒状をなしており、その内部には端子保持部17および端子17aが露出されている。コネクタ部12にワイヤーハーネス側コネクタが挿入されると、端子17aとワイヤーハーネスが電気的に接続され、外部から車両用灯具100に電力および信号が供給される。
【0023】
放熱フィン13は、フランジ部11の裏面において、コネクタ部12が形成されていない領域の略全体にわたって立設された複数の柱状部分である。図1から図4に示した例では、複数の放熱フィン13は一方の方向に沿った長板形状の柱状をなしており、それぞれの間には空隙が設けられている。放熱フィン13の形状としては、体積あたりの表面積を増加させて放熱性を向上させることができれば長板形状に限定されず、棒状や波板状などの各種形状としてよい。長板形状の放熱フィン13を用いて上下方向に延在させると、放熱フィン13同士の間に存在する空隙で空気の対流が生じやすく、より放熱性の向上を期待できる。
【0024】
光源保持部14は、フランジ部11の主面から立設された略円筒状の部分であり、その上面には光源部20が搭載されている。図1に示すように、光源保持部14とフランジ部11とは、中心が一致して同心円となるように配置されている。光源保持部14の径は、光源部20が内部に収容できる程度であればよく、図1に示すように光源部20の四隅が光源保持部14の外周に位置する程度が小型化の観点から好ましい。フランジ部11主面から光源部20を搭載する上面までの高さは、ランプボディへの挿入深さとなるように設計される。光源保持部14の上面は、光源部20が搭載されるため本発明における搭載部に相当している。
【0025】
側壁15は、光源保持部14の上端において、光源部20の周りを囲むように延長された円筒の外周部分であり、複数の側壁15内部に光源部20が収容されて位置決めされている。係止部16は、光源保持部14の外周上端において断続的に形成された突起部である。光源保持部14の外形に対応した形状の挿入孔をランプボディに形成しておき、挿入孔に車両用灯具100を挿入して回転させると、係止部16とフランジ部11主面との間でランプボディを挟み込んで車両用灯具100が固定される。
【0026】
端子保持部17は、絶縁性樹脂で構成されて複数の端子17aを保持する部分である。端子17aは、導電性の良好な金属で形成された棒状部材であり、端子保持部17の絶縁性樹脂で複数の端子17aが一体化されている。図1および図4に示すように、端子保持部17と端子17aは、一方の端部が光源保持部14の上面において光源部20に隣接して露出され、光源保持部14とフランジ部11を貫通して他方の端部がコネクタ部12内で露出している。
【0027】
ボンディングワイヤ18は、光源保持部14の上面で露出した端子17aと光源部20上の端子部分とを電気的に接続する金属細線である。ボンディングワイヤ18の材料は限定されず、通常のワイヤボンディング装置を用いることができれば金線でもアルミニウム線でもよい。図5で後述する光源部20内部でのボンディングワイヤ27と同じ材料で構成すると、ボンディングワイヤ18とボンディングワイヤ27を同一工程で一括して形成でき、工程の簡略化を図ることができるため好ましい。
【0028】
図5は、本実施形態における光源部20を示す模式斜視図である。光源部20は、回路基板21と、サブマウント22およびLED23からなる発光素子を備えている。ここでは本発明における発光素子として、サブマウント22上にLED23が搭載された例を示したが、LEDパッケージのみを発光素子として用いてもよく、ベアチップのLEDを発光素子として用いてもよい。図1および図5では発光素子を3個配置した例を示したが、個数および配列はどのようなものでもよい。
【0029】
回路基板21は、中央に開口部21aが形成された略矩形の板状部材である。回路基板21の上面には、配線パターン24と、端子24a,24bが形成されており、配線パターン24上に電子部品25,26が実装されている。また、端子24bとサブマウント22の端子とはボンディングワイヤ27で電気的に接続されている。回路基板21を構成する材料は限定されず、通常のプリント配線基板に用いられるガラスエポキシ樹脂やアルミナ等を用いることができる。回路基板21を構成する材料の熱伝導率は、ソケット部10を構成する材料の熱伝導率よりも低くされている。回路基板21は、裏面側に熱伝導性のグリースや接着剤を塗布して光源保持部14の上面に貼り付けられている。
【0030】
開口部21aは、回路基板21の略中央領域に形成された開口である。図5に示すように、本実施形態の車両用灯具100では、開口部21a内にサブマウント22およびLED23が複数配置されている。したがって、サブマウント22とLED23からなる発光素子は、開口部21a内において光源保持部14の上面に直接搭載されている。
【0031】
サブマウント22は、熱伝導性が良好な材料で構成された薄板状の部材であり、その表面に配線および端子が形成され、配線上にLED23が実装されている。サブマウント22を構成する材料は限定されず、通常のLEDパッケージで用いられるAlN等を用いることができる。サブマウント22は、裏面側に熱伝導性のグリースや接着剤を塗布して光源保持部14の上面に貼り付けられている。
【0032】
LED23は、電圧を印加されることで所定波長の光を発光する発光ダイオードであり、車両用灯具100が前照灯である場合には白色を発光し、テールランプやストップランプである場合には赤色を発光する。白色を発光するLED23としては、青色から紫外光の波長を一次光として発光するベアチップと黄色蛍光体とを組み合わせたものや、RGB各色のベアチップを組み合わせるものなどを用いることができる。赤色を発光するLED23としては、AlGaInP系やGaAs系のものを用いることができる。また、複数のLED23の一部をテールランプとして用い、残りをストップランプとして用いるとしてもよい。
【0033】
配線パターン24は、回路基板21上に形成された金属膜をパターニングした回路配線であり、電子部品25,26が実装されてLED23の駆動回路を構成している。配線パターン24の一部は端子24a,24bとされており、端子24aは前述した端子17aとボンディングワイヤ18で接続され、端子24bはサブマウント22の端子とボンディングワイヤ27で接続されている。
【0034】
電子部品25,26は、LED23を駆動するための駆動回路を構成する部品であり、抵抗やキャパシタ、インダクタンス、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)等である。回路基板21を構成する材料は、ソケット部10を構成する材料よりも熱伝導率が低く放熱性が比較的低いため、電子部品25,26による発熱でハンダが溶融しないようにベアチップ実装や抵抗印刷で実装することが好ましい。電子部品25,26を回路基板21にハンダ実装する場合には、融点の高いAuSnハンダが好ましい。
【0035】
ボンディングワイヤ27は、回路基板21上の端子24bとサブマウント22の端子とを電気的に接続する金属細線である。ボンディングワイヤ27の材料は限定されず、通常のワイヤボンディング装置を用いることができれば金線でもアルミニウム線でもよい。
【0036】
車両用灯具100の組立工程として、始めに予め成型したソケット部10と回路基板21、サブマウント22上に搭載したLED23を用意する。次に、光源保持部14の上面に回路基板21を搭載し、開口部21a内において露出した光源保持部14上面に発光素子を搭載する。次に、端子17aと端子24aをボンディングワイヤ18で電気的に接続し、端子24bとサブマウント22上の端子をボンディングワイヤ27で電気的に接続する。前述したように、ボンディングワイヤ18とボンディングワイヤ27を同一材料で構成すると、両者を同一のワイヤボンド工程で一括して形成でき、工程の簡略化を図ることができるため好ましい。
【0037】
本実施形態の車両用灯具100では、コネクタ部12にワイヤーハーネスを接続し外部から電力が供給されると、端子17aからボンディングワイヤ18、端子24a、配線パターン24を介して電子部品25,26に電力が供給されて駆動回路が動作する。また、駆動回路からの出力は端子24b、ボンディングワイヤ27を介してLED23に伝達され、LED23が発光する。
【0038】
このとき、光源部20では駆動回路に含まれる電子部品25,26も発熱し、サブマウント22とLED23からなる発光素子も発熱している。本実施形態では、サブマウント22とLED23からなる発光素子は、回路基板21に形成された開口部21a内において、光源保持部14の上面に直接搭載されている。
【0039】
車両用灯具100では、LED23の発光によって生じた熱は、サブマウント22から光源保持部14の上面を介して、光源保持部14、フランジ部11を経由して放熱フィン13に伝達される。光源保持部14はソケット部10の一部であり、回路基板21よりも熱伝導率が高い材料で構成されているため、発光素子で生じた熱は回路基板21上の電子部品25,26よりも良好に光源保持部14に伝達され、フランジ部11および放熱フィン13を介して放熱される。
【0040】
一般的に電子部品25,26の許容温度範囲は、LED23の許容温度範囲よりも高温であるため、ソケット部10よりも熱伝導率が低い回路基板21を用いて電子部品25,26の温度がLED23よりも高くなっても問題が少ない。また、回路基板21の熱伝導率がソケット部10よりも低いため、LED23からの放熱経路と電子部品25,26からの放熱経路が分離され、電子部品25,26で生じた熱が発光素子のLED23に伝わることが抑制され、発光素子から良好に放熱することができる。また、回路基板21からの放熱を優先する必要がないため、回路基板21の面積を小さくしながらも発光素子の放熱を良好にすることができ、光源部20および光源保持部14の小型化を図り、車両用灯具100の小型化を図ること可能となる。
【0041】
フランジ部11の半径を(A)とし、光源保持部14の半径を(B)としたとき、放熱性を向上させるためにフランジ部11の面積を大きくして放熱フィン13を大きくすると、B/Aの値は小さくなるが車両用灯具100の小型化が困難になる。また、小型化を図るためにフランジ部11の面積を小さくすると、B/Aの値は大きくなるが放熱フィン13が小型化して放熱性が悪化する。車両用灯具100の小型化と発光素子からの放熱を両立するためには、0.48<B/A<0.65の範囲とすることが好ましい。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6,7を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図6は、本実施形態におけるソケット部10を示す模式斜視図である。本実施形態でも車両用灯具100は、ソケット部10と光源部20を有しているが、第1実施形態とはソケット部10の構造が異なり、光源部20は第1実施形態の図5と同様である。
【0043】
図6に示すように、本実施形態のソケット部10は、フランジ部11と、コネクタ部12と、放熱フィン13と、光源保持部14とを備え、光源保持部14には複数の側壁15と係止部16が形成されている。また、光源保持部14の上面19には、略中央部分から金属板露出面31が露出している。
【0044】
図7は、ソケット部10の内部構造を示す透視図であり、図7(a)は斜視図であり、図7(b)は正面図である。本実施形態のソケット部10では、ソケット部10の外殻であるハウジングが熱伝導性樹脂で形成され、その内部には金属板30が埋設されている。予め成形した金属板30を用意し、金型内に金属板30を配置して熱伝導性樹脂をモールド成形することで、ソケット部10が得られる。
【0045】
金属板30は、ソケット部10の外殻を構成する熱伝導性樹脂のハウジングよりも熱伝導率が高い金属で構成された部材であり、例えばアルミニウム板や銅板を用いることができる。放熱性の向上と車両用灯具100の軽量化を図る場合には、アルミニウム板が好ましい。また、図7(a)(b)に示したように、金属板30は折り曲げ加工されており、光源保持部14の上面近傍および側面近傍、フランジ部11内部、放熱フィン13内部に沿ってハウジングの熱伝導性樹脂に埋め込まれている。
【0046】
金属板30のうち光源保持部14の上面19近傍に位置する領域には、金属板露出面31と平坦部32が形成されている。金属板露出面31は、平坦部32からプレス加工等により突出された部分であり、その表面は上面19と略面一の位置で上面19から露出している。平坦部32は、上面19に略平行に光源保持部14内に埋め込まれており、金属板露出面31の周囲はソケット部10の外殻を構成する熱伝導性樹脂のハウジングにより上面19が構成されている。
【0047】
上面19において金属板露出面31が露出している位置と範囲は、図5に示した光源部20の開口部21aに対応している。したがって、光源保持部14の上面19に光源部20を搭載すると、開口部21a内で金属板露出面31が露出し、サブマウント22およびLED23からなる発光素子が金属板露出面31上に直接搭載される。本実施形態では、開口部21aから露出して発光素子が搭載される金属板露出面31が搭載部に相当している。また、回路基板21は金属板露出面31の周囲でハウジング上に搭載される。
【0048】
本実施形態では、LED23の発光によって生じた熱は、サブマウント22から金属板露出面31および金属板30を介して、ソケット部10の外殻を構成する熱伝導性樹脂のハウジングに伝達される。金属板30は、ハウジングの熱伝導性樹脂よりも熱伝導率が高く、光源保持部14の上面近傍から放熱フィン13内部にわたって設けられているため、発光素子から放熱フィン13への放熱効率を向上させることができる。
【0049】
また、回路基板21の熱伝導率がソケット部10よりも低く、回路基板21が搭載される上面19の熱伝導性樹脂も金属板30より熱伝導率が低いため、LED23からの放熱経路と電子部品25,26からの放熱経路が分離され、電子部品25,26で生じた熱が発光素子のLED23に伝わることが抑制され、発光素子から良好に放熱することができる。また、回路基板21からの放熱を優先する必要がないため、回路基板21の面積を小さくしながらも発光素子の放熱を良好にすることができ、光源部20および光源保持部14の小型化を図り、車両用灯具100の小型化を図ること可能となる。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図8は、本実施形態におけるソケット部10を示す模式斜視図である。本実施形態でも車両用灯具100は、ソケット部10と光源部20を有しているが、第1実施形態とはソケット部10の構造が異なり、光源部20は第1実施形態の図5と同様である。また、本実施形態のソケット部10でも、ソケット部10の外殻であるハウジングが熱伝導性樹脂で形成され、その内部には金属板30が埋設されている。
【0051】
図8に示すように、本実施形態のソケット部10は、フランジ部11と、コネクタ部12と、放熱フィン13と、光源保持部14とを備え、光源保持部14には複数の側壁15と係止部16が形成されている。また、光源保持部14の上面では、略全面から金属板30の平坦部32が露出している。図7(a)(b)に示した第2実施形態と同様に、金属板30は折り曲げ加工されており、光源保持部14の側面近傍、フランジ部11内部、放熱フィン13内部に沿ってハウジングの熱伝導性樹脂に埋め込まれている。
【0052】
本実施形態のソケット部10では、光源保持部14の上面全体から金属板30の平坦部32が露出しており、図5に示した光源部20が平坦部32上に搭載される。したがって、光源保持部14の上面に光源部20を搭載すると、開口部21a内で平坦部32が露出し、サブマウント22およびLED23からなる発光素子が平坦部32上に直接搭載される。本実施形態では、開口部21aから露出して発光素子が搭載される平坦部32が搭載部に相当している。また、回路基板21も平坦部32上に直接搭載される。
【0053】
本実施形態でも、LED23の発光によって生じた熱は、サブマウント22から平坦部32および金属板30を介して、ソケット部10の外殻を構成する熱伝導性樹脂のハウジングに伝達される。金属板30は、ハウジングの熱伝導性樹脂よりも熱伝導率が高く、光源保持部14の上面近傍から放熱フィン13内部にわたって設けられているため、発光素子から放熱フィン13への放熱効率を向上させることができる。
【0054】
また、回路基板21の熱伝導率がソケット部10よりも低いため、LED23からの放熱経路と電子部品25,26からの放熱経路が分離され、電子部品25,26で生じた熱が発光素子のLED23に伝わることが抑制され、発光素子から良好に放熱することができる。また、回路基板21からの放熱を優先する必要がないため、回路基板21の面積を小さくしながらも発光素子の放熱を良好にすることができ、光源部20および光源保持部14の小型化を図り、車両用灯具100の小型化を図ること可能となる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図9を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図9は、本実施形態における光源部20を示す模式上面図である。本実施形態では車両用灯具100は、ソケット部10と光源部20を有しているが、第1実施形態とは光源部20の構造が異なり、ソケット部10は第1~第3実施形態の何れかと同様である。
【0056】
図9に示すように光源部20は、回路基板21と、搭載基板28と、発光素子であるLED23を備えている。ここでは本発明の発光素子であるLED23としては、ベアチップのLEDでもよく、LEDパッケージを発光素子として用いてもよい。図9では発光素子を4個配置した例を示したが、個数および配列はどのようなものでもよい。また、複数のLED23の一部をテールランプとして用い、残りをストップランプとして用いるとしてもよい。
【0057】
回路基板21の略中央には、開口部が形成されており開口部には搭載基板28が嵌め込まれている。第1実施形態と同様に回路基板21の上面には、配線パターンが形成されて電子部品25,26が実装されている。搭載基板28上にも配線パターンが形成されており、複数のLED23が実装されている。また、搭載基板28上には、複数のLED23を取り囲んで包囲部材29が形成されている。回路基板21および搭載基板28は、裏面側に熱伝導性のグリースや接着剤を塗布して光源保持部14の上面に貼り付けられている。
【0058】
搭載基板28は、回路基板21よりも熱伝導率が高い材料で構成された板状部材である。搭載基板28の外形は、回路基板21の開口部内に収容可能なものであれば限定されないが、可能な限り面積を大きくして放熱性を向上させるためには、開口部の形状と略同一であることが好ましい。搭載基板28は、回路基板21よりも熱伝導率が高く、回路基板21の開口部内でLED23が搭載されるため、本発明の搭載部に相当している。回路基板21の開口部と搭載基板28との隙間には、熱伝導率が比較的低い絶縁性接着剤等が充填されており、回路基板21と搭載基板28との間は熱的に絶縁された状態で結合されている。
【0059】
搭載基板28の厚みは回路基板21と略同一であり、両者の表面および裏面は略面一とされているため、絶縁性接着剤で固定した状態では一枚の板状部材として取り扱うことができる。したがって、回路基板21に配線パターンを形成する際に、搭載基板28にも一括して配線パターンを形成することができる。
【0060】
包囲部材29は、搭載基板28上において複数のLED23を囲むように形成された略円環状の部材である。包囲部材29を構成する材料は特に限定されず、セラミックや樹脂等を用いることができる。LED23からの光を良好に反射するためには、包囲部材として光を反射する材料で構成することが好ましく、例えば樹脂中に光散乱剤を混入した白色樹脂等が好ましい。包囲部材29は搭載基板28上で所定の厚みをもって形成されており、LED23から側方に照射された光を搭載基板28の上方に反射する。また、包囲部材29の内側にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の封止樹脂を充填し、LED23を封止するとしてもよく、封止樹脂をレンズ形状に成形するとしてもよい。
【0061】
本実施形態では、LED23の発光によって生じた熱は、搭載基板28から光源保持部14の上面を介して、光源保持部14、フランジ部11を経由して放熱フィン13に伝達される。搭載基板28は、回路基板21よりも熱伝導率が高い材料で構成されているため、LED23で生じた熱は回路基板21上の電子部品25,26よりも良好に光源保持部14に伝達され、フランジ部11および放熱フィン13を介して放熱される。
【0062】
また、回路基板21の熱伝導率が搭載基板28よりも低く、回路基板21と搭載基板28の間では熱伝導率が比較的低い絶縁性接着剤により熱的に絶縁されているため、LED23からの放熱経路と電子部品25,26からの放熱経路が分離され、電子部品25,26で生じた熱が発光素子のLED23に伝わることが抑制され、発光素子から良好に放熱することができる。また、回路基板21からの放熱を優先する必要がないため、回路基板21の面積を小さくしながらも発光素子の放熱を良好にすることができ、光源部20および光源保持部14の小型化を図り、車両用灯具100の小型化を図ることが可能となる。
【0063】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
100…車両用灯具
10…ソケット部
11…フランジ部
12…コネクタ部
13…放熱フィン
14…光源保持部
15…側壁
16…係止部
17…端子保持部
17a,24a,24b…端子
18…ボンディングワイヤ
19…上面
20…光源部
21…回路基板
21a…開口部
22…サブマウント
23…LED
24…配線パターン
25…電子部品
27…ボンディングワイヤ
28…搭載基板
29…包囲部材
30…金属板
31…金属板露出面
32…平坦部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9