(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
B25J15/06 D
(21)【出願番号】P 2017127596
(22)【出願日】2017-06-29
【審査請求日】2020-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 洋
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-019061(JP,A)
【文献】特開2010-169205(JP,A)
【文献】独国実用新案第202012010170(DE,U1)
【文献】特開2004-152882(JP,A)
【文献】特開2007-049112(JP,A)
【文献】特開2014-104798(JP,A)
【文献】特開2015-196232(JP,A)
【文献】特開平04-365796(JP,A)
【文献】特開平05-179831(JP,A)
【文献】特開2010-269885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0287534(US,A1)
【文献】中国実用新案第203612898(CN,U)
【文献】特開昭58-155576(JP,A)
【文献】特開平01-288660(JP,A)
【文献】実開平02-058152(JP,U)
【文献】特開平03-008249(JP,A)
【文献】特開平10-122327(JP,A)
【文献】特開2004-044710(JP,A)
【文献】特開2012-066320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/00-15/06
B23Q 1/38
B60N 2/07
B65G 1/00-49/07
B66F 9/08- 9/20
E04H 6/22
F16H 25/20-25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、
直線状に形成される複数のフォークと、前記フォークの長手方向と上下方向とに直交する直交方向における複数の前記フォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構と、前記フォークを前記直交方向へ案内するガイド機構とを備え、
前記フォークピッチ変更機構は、駆動源であるモータと、外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されるとともに前記モータの出力軸に連結されるネジ部材と、前記ネジ部材に係合するナット部材と、前記フォークの基端側に固定されるスライド部材とを備え、
前記ナット部材は、前記スライド部材に対して前記直交方向に直交する方向への移動が可能となるように、前記スライド部材に保持され
、
前記ナット部材には、前記ネジ部材が挿通される挿通穴が前記直交方向で前記ナット部材を貫通するように形成され、
前記直交方向における前記挿通穴の一部分に前記台形ネジまたは前記角ネジに係合するメネジが形成されていることを特徴とするハンド。
【請求項2】
前記メネジが形成されるメネジ部の前記直交方向の長さは、前記台形ネジまたは前記角ネジのピッチの略1.5倍であることを特徴とする請求項
1記載のハンド。
【請求項3】
搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、
直線状に形成される複数のフォークと、前記フォークの長手方向と上下方向とに直交する直交方向における複数の前記フォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構と、前記フォークを前記直交方向へ案内するガイド機構とを備え、
前記フォークピッチ変更機構は、駆動源であるモータと、外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されるとともに前記モータの出力軸に連結されるネジ部材と、前記ネジ部材に係合するナット部材と、前記フォークの基端側に固定されるスライド部材とを備えるとともに、2本の前記フォークのピッチを変更し、
前記ナット部材は、前記スライド部材に対して前記直交方向に直交する方向への移動が可能となるように、前記スライド部材に保持され、
前記ネジ部材は、順ネジが形成される順ネジ部と、逆ネジが形成される逆ネジ部と、前記順ネジ部と前記逆ネジ部とを繋ぐカップリングとを備え、
前記順ネジ部には、2本の前記フォークのうちの一方の前記フォークに固定された前記スライド部材に保持される前記ナット部材が係合し、
前記逆ネジ部には、2本の前記フォークのうちの他方の前記フォークに固定された前記スライド部材に保持される前記ナット部材が係合していることを特徴とするハンド。
【請求項4】
前記フォークピッチ変更機構は、前記スライド部材に前記ナット部材を取り付けるためのボルトと、円筒状に形成されるとともに内周側に前記ボルトが挿通される円筒部を有する円筒部材とを備え、
前記ナット部材には、前記円筒部が配置される丸穴状の配置穴が前記直交方向で前記ナット部材を貫通するように形成され、
前記スライド部材には、前記ボルトの先端部がねじ込まれるネジ穴が形成され、
前記配置穴の内径は、前記円筒部の外径よりも大きくなっており、
前記直交方向における前記ナット部材の厚さは、前記直交方向における前記円筒部の長さよりも薄くなっていることを特徴とする請求項1
から3のいずれかに記載のハンド。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれかに記載のハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドに関する。また、本発明は、このハンドを備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ用のガラス基板を搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットのハンドは、直線状に形成される2本のフォークと、フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向で2本のフォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構とを備えている。フォークピッチ変更機構は、駆動源であるモータと、モータの出力軸に連結されるネジ部材と、2本のフォークのうちの一方のフォークに固定されるナット部材と、他方のフォークに固定されるナット部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、フォークピッチ変更機構を有するハンドのコストを低減するため、フォークピッチ変更機構の駆動源であるモータとして、比較的安価なDCモータの採用を検討している。しかしながら、フォークピッチ変更機構の駆動源がDCモータである場合には、DCモータの電源が切れている状態で、フォークの長手方向と上下方向とに直交する方向(直交方向)の外力がフォークに作用すると、フォークが直交方向にずれてしまうおそれがある。そこで、本願発明者は、DCモータの電源が切れている状態で直交方向の外力がフォークに作用してもフォークが直交方向にずれないように、モータの出力軸に連結されるネジ部材として、外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されるネジ部材の採用を検討している。
【0005】
一方、近年、直交方向の幅が異なる多くの種類の搬送対象物を共通のハンドで搬送したいとのニーズがある。かかるニーズに応えるためには、2本のフォークのピッチの変更量を大きくする必要があり、2本のフォークのピッチの変更量を大きくするためには、ネジ部材の長さを長くする必要がある。しかしながら、ネジ部材の長さが長くなると、ネジ部材の直進性(直線性)が低下するおそれがある。また、外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されるネジ部材の直進性が低下すると、ネジ部材が回転するときのネジ部材とナット部材との接触抵抗が大きくなり、その結果、ネジ部材を回転させるためのトルクが大きくなってネジ部材を回転させることができなくなるおそれがある。
【0006】
すなわち、外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されるネジ部材の直進性が低下すると、ネジ部材を回転させることができなくなって、2本のフォークのピッチを円滑に変更できなくなるおそれがある。なお、フォークピッチ変更機構の駆動源として、容量の大きなDCモータを採用すれば、ネジ部材を回転させるためのトルクが大きくなってもネジ部材を回転させることは可能であるが、この場合には、DCモータのコストが高くなる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、複数のフォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構を備える産業用ロボットのハンドにおいて、複数のフォークのピッチの変更量が比較的大きくても、フォークピッチ変更機構の駆動源であるモータのコストを低減しつつ、複数のフォークのピッチを円滑に変更することが可能な産業用ロボットのハンドを提供することにある。また、本発明の課題は、このハンドを備える産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットのハンドは、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、直線状に形成される複数のフォークと、フォークの長手方向と上下方向とに直交する直交方向における複数のフォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構と、フォークを直交方向へ案内するガイド機構とを備え、フォークピッチ変更機構は、駆動源であるモータと、外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されるとともにモータの出力軸に連結されるネジ部材と、ネジ部材に係合するナット部材と、フォークの基端側に固定されるスライド部材とを備え、ナット部材は、スライド部材に対して直交方向に直交する方向への移動が可能となるように、スライド部材に保持され、ナット部材には、ネジ部材が挿通される挿通穴が直交方向でナット部材を貫通するように形成され、直交方向における挿通穴の一部分に台形ネジまたは角ネジに係合するメネジが形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットのハンドでは、モータの出力軸に連結されるネジ部材の外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されている。そのため、本発明では、モータとして比較的安価なDCモータが使用されても、モータの電源が切れている状態で直交方向の外力がフォークに作用したときの直交方向へのフォークのずれを防止することが可能になる。
また、本発明では、ネジ部材に係合するナット部材は、直交方向に直交する方向への移動が可能となるように、スライド部材に保持されている。すなわち、本発明では、ガイド機構によって直交方向に案内されるフォークに固定されたスライド部材に対して、ナット部材は、直交方向に直交する方向への移動が可能となっている。そのため、本発明では、複数のフォークのピッチの変更量を大きくするためにネジ部材の長さが長くなって、その結果、ネジ部材の直進性が低下しても、ネジ部材が回転するときのネジ部材とナット部材との接触抵抗を低減することが可能になる。したがって、本発明では、ネジ部材の長さが長くなってネジ部材の直進性が低下しても、また、容量の小さな安価なモータを使用しても、ネジ部材を回転させて、複数のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。すなわち、本発明では、複数のフォークのピッチの変更量が比較的大きくても、フォークピッチ変更機構の駆動源であるモータのコストを低減しつつ、複数のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。
また、本発明では、ナット部材に、ネジ部材が挿通される挿通穴が直交方向でナット部材を貫通するように形成され、直交方向における挿通穴の一部分に台形ネジまたは角ネジに係合するメネジが形成されている。そのため、ネジ部材とナット部材との噛み合い長さを短くすることが可能になる。したがって、ネジ部材に対してナット部材が傾いても、ネジ部材が回転するときのネジ部材とナット部材との接触抵抗を低減することが可能になる。したがって、モータの容量をより低減することが可能になる。この場合には、たとえば、メネジが形成されるメネジ部の直交方向の長さは、台形ネジまたは角ネジのピッチの略1.5倍となっている。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットのハンドは、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、直線状に形成される複数のフォークと、フォークの長手方向と上下方向とに直交する直交方向における複数のフォークのピッチを変更するフォークピッチ変更機構と、フォークを直交方向へ案内するガイド機構とを備え、フォークピッチ変更機構は、駆動源であるモータと、外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されるとともにモータの出力軸に連結されるネジ部材と、ネジ部材に係合するナット部材と、フォークの基端側に固定されるスライド部材とを備えるとともに、2本のフォークのピッチを変更し、ナット部材は、スライド部材に対して直交方向に直交する方向への移動が可能となるように、スライド部材に保持され、ネジ部材は、順ネジが形成される順ネジ部と、逆ネジが形成される逆ネジ部と、順ネジ部と逆ネジ部とを繋ぐカップリングとを備え、順ネジ部には、2本のフォークのうちの一方のフォークに固定されたスライド部材に保持されるナット部材が係合し、逆ネジ部には、2本のフォークのうちの他方のフォークに固定されたスライド部材に保持されるナット部材が係合していることを特徴とする。
本発明の産業用ロボットのハンドでは、モータの出力軸に連結されるネジ部材の外周面に台形ネジまたは角ネジが形成されている。そのため、本発明では、モータとして比較的安価なDCモータが使用されても、モータの電源が切れている状態で直交方向の外力がフォークに作用したときの直交方向へのフォークのずれを防止することが可能になる。
また、本発明では、ネジ部材に係合するナット部材は、直交方向に直交する方向への移動が可能となるように、スライド部材に保持されている。すなわち、本発明では、ガイド機構によって直交方向に案内されるフォークに固定されたスライド部材に対して、ナット部材は、直交方向に直交する方向への移動が可能となっている。そのため、本発明では、複数のフォークのピッチの変更量を大きくするためにネジ部材の長さが長くなって、その結果、ネジ部材の直進性が低下しても、ネジ部材が回転するときのネジ部材とナット部材との接触抵抗を低減することが可能になる。したがって、本発明では、ネジ部材の長さが長くなってネジ部材の直進性が低下しても、また、容量の小さな安価なモータを使用しても、ネジ部材を回転させて、複数のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。すなわち、本発明では、複数のフォークのピッチの変更量が比較的大きくても、フォークピッチ変更機構の駆動源であるモータのコストを低減しつつ、複数のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。
また、本発明では、フォークピッチ変更機構は、2本のフォークのピッチを変更し、ネジ部材は、順ネジが形成される順ネジ部と、逆ネジが形成される逆ネジ部と、順ネジ部と逆ネジ部とを繋ぐカップリングとを備え、順ネジ部には、2本のフォークのうちの一方のフォークに固定されたスライド部材に保持されるナット部材が係合し、逆ネジ部には、2本のフォークのうちの他方のフォークに固定されたスライド部材に保持されるナット部材が係合しており、別体で形成された順ネジ部と逆ネジ部とがカップリングによって繋がれている。そのため、順ネジ部と逆ネジ部とが一体で形成されている場合と比較して、ネジ部材の、一体で形成されている部分の長さを短くすることが可能になる。したがって、ネジ部材の直進性の低下を抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、フォークピッチ変更機構は、スライド部材にナット部材を取り付けるためのボルトと、円筒状に形成されるとともに内周側にボルトが挿通される円筒部を有する円筒部材とを備え、ナット部材には、円筒部が配置される丸穴状の配置穴が直交方向でナット部材を貫通するように形成され、スライド部材には、ボルトの先端部がねじ込まれるネジ穴が形成され、配置穴の内径は、円筒部の外径よりも大きくなっており、直交方向におけるナット部材の厚さは、直交方向における円筒部の長さよりも薄くなっている。この場合には、比較的簡易な構成で、直交方向に直交する方向への移動が可能となるように、スライド部材にナット部材を保持させることが可能になる。
【0014】
本発明のハンドは、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備える産業用ロボットに用いることができる。この産業用ロボットでは、複数のフォークのピッチの変更量が比較的大きくても、フォークピッチ変更機構の駆動源であるモータのコストを低減しつつ、複数のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、複数のフォークのピッチの変更量が比較的大きくても、フォークピッチ変更機構の駆動源であるモータのコストを低減しつつ、複数のフォークのピッチを円滑に変更することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【
図3】
図1に示すハンドの基部の内部の構造を説明するための平面図である。
【
図4】
図1に示すフォークの動作を説明するための平面図である。
【
図5】
図3のE部におけるフォークピッチ変更機構の構成を説明するための平面図である。
【
図6】
図3のF部におけるフォークピッチ変更機構の構成を説明するための平面図である。
【
図7】
図3のG-G方向からフォークピッチ変更機構の構成を説明するための側面図である。
【
図8】(A)は
図5のH部の拡大図であり、(B)は
図5のJ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(産業用ロボットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の側面図である。
【0019】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、所定の搬送対象物2を搬送するための水平多関節型のロボットである。搬送対象物2は、たとえば、液晶ディスプレイ用のガラス基板である。この搬送対象物2は、長方形の平板状に形成されている。本形態のロボット1は、大きさの異なる多くの種類の搬送対象物2を搬送することが可能になっている。
【0020】
ロボット1は、搬送対象物2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向に移動可能に支持するベース6とを備えている。本体部5は、アーム4の基端側を支持するとともに上下動可能なアームサポート7と、アームサポート7を上下動可能に支持する支持フレーム8と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース6に対して水平移動可能な基台9と、支持フレーム8の下端が固定されるとともに基台9に対して回動可能な旋回フレーム10とを備えている。
【0021】
アーム4は、第1アーム部12と第2アーム部13との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部12の基端側は、アームサポート7に回動可能に連結されている。すなわち、アーム4の基端側は、本体部5に回動可能に連結されている。第1アーム部12の先端側には、第2アーム部13の基端側が回動可能に連結されている。第2アーム部13の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。すなわち、アーム4の先端側には、ハンド3が回動可能に連結されている。ロボット1は、2本のアーム4のそれぞれを伸縮させる2個のアーム駆動機構を備えている。
【0022】
支持フレーム8は、アームサポート7を介してハンド3およびアーム4を昇降可能に保持している。この支持フレーム8は、アームサポート7を昇降可能に保持する柱状の第1支持フレーム14と、第1支持フレーム14を昇降可能に保持する柱状の第2支持フレーム15とを備えている。ロボット1は、第1支持フレーム14に対してアームサポート7を昇降させる昇降機構と、第2支持フレーム15に対して第1支持フレーム14を昇降させる昇降機構と、第1支持フレーム14を上下方向に案内するガイド機構と、アームサポート7を上下方向へ案内するガイド機構とを備えている。
【0023】
第2支持フレーム15の下端は、旋回フレーム10に固定されている。旋回フレーム10は、上述のように、基台9に対して回動可能となっている。ロボット1は、基台9に対して旋回フレーム10を回動させる回動機構を備えている。基台9は、上述のように、ベース6に対して水平移動可能となっている。ロボット1は、ベース6に対して基台9を水平移動させる水平移動機構を備えている。
【0024】
(ハンドの構成)
図3は、
図1に示すハンド3の基部17の内部の構造を説明するための平面図である。
図4は、
図1に示すフォーク18、19の動作を説明するための平面図である。
【0025】
ハンド3は、第2アーム部13の先端側に回動可能に連結される基部17と、上面側に搬送対象物2が載置される複数のフォーク18、19とを備えている。本形態のハンド3は、2本のフォーク18と2本のフォーク19との合計4本のフォーク18、19を備えている。また、ハンド3は、フォーク18、19の上面側に固定されるとともに搬送対象物2が載置される複数の載置部材(図示省略)と、この載置部材に載置される搬送対象物2の下面を真空吸着する複数の吸着機構(図示省略)とを備えている。
【0026】
基部17は、中空状に形成されるとともに上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。フォーク18、19は、直線状に形成されている。4本のフォーク18、19は、基部17から水平方向の同方向へ突出している。また、4本のフォーク18、19は、互いに平行に配置されている。フォーク18、19の長手方向(
図3等のX方向)を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する
図3等のY方向を「左右方向」とすると、2本のフォーク18は、左右方向の内側に配置され、2本のフォーク19は、左右方向の外側に配置されている。本形態の左右方向(Y方向)は、フォーク18、19の長手方向と上下方向とに直交する直交方向である。
【0027】
フォーク18、19は、炭素繊維を含有する樹脂で形成されている。また、フォーク18、19は、中空状に形成されるとともに細長い略直方体状に形成されている。フォーク18、19の上下の両面は、平面となっている。また、フォーク18、19の左右の両側面は、左右方向に直交する平面となっている。フォーク18、19の上下方向の厚さは、フォーク18、19の基端から先端に向かうにしたがって次第に薄くなっている(
図2参照)。
【0028】
フォーク18、19の基端部は、中空状に形成される基部17の内部に配置されている。
図3に示すように、基部17の内部には、左右方向における2本のフォーク18のピッチを変更するフォークピッチ変更機構26と、左右方向における2本のフォーク19のピッチを変更するフォークピッチ変更機構27とが配置されている。すなわち、ハンド3は、フォークピッチ変更機構26、27を備えている。
【0029】
フォークピッチ変更機構26では、2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18と他方のフォーク18とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク18の左右方向のピッチが変更される。同様に、フォークピッチ変更機構27では、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19と他方のフォーク19とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク19の左右方向のピッチが変更される。
【0030】
本形態では、ロボット1で搬送される搬送対象物2の大きさが決まると、ロボット1が搬送対象物2を搬送する搬送動作の前に、フォークピッチ変更機構26は、必要に応じて2本のフォーク18の左右方向のピッチを変更し、フォークピッチ変更機構27は、必要に応じて2本のフォーク19の左右方向のピッチを変更する。すなわち、フォークピッチ変更機構26、27は、ロボット1による搬送対象物2の搬送動作中に、フォーク18、19の左右方向のピッチを変更することはない。フォークピッチ変更機構26、27は、たとえば、
図4に示すように、ロボット1で搬送される搬送対象物2の大きさに応じて、フォーク18、19の左右方向のピッチを変更する。フォークピッチ変更機構26、27の詳細な構成については後述する。
【0031】
また、基部17の内部には、2本のフォーク18の移動範囲における左右方向の内側端側でフォーク18を検知するための検知機構21と、2本のフォーク19の移動範囲における左右方向の外側端側でフォーク19を検知するための検知機構22と、左右方向で隣接するフォーク18とフォーク19とが接近したことを検知するための検知機構23とが配置されている。すなわち、ハンド3は、検知機構21~23を備えている。
【0032】
検知機構21は、基部17のベースフレーム55に固定されるセンサ56と、2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18の基端部に固定される検知板57とを備えている。検知機構22は、ベースフレーム55に固定されるセンサ58と、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19の基端部に固定される検知板59とを備えている。センサ56、58は、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサである。本形態では、検知機構21を用いて、2本のフォーク18の原点位置が検知される。また、検知機構22を用いて、2本のフォーク19の原点位置が検知される。
【0033】
検知機構23は、2本のフォーク19のうちの他方のフォーク19の基端部に固定されるセンサ60と、2本のフォーク18のうちの他方のフォーク18の基端部に固定される検知板61とを備えている。センサ60は、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサである。また、ベースフレーム55には、センサ62が固定されている。センサ62は、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサである。本形態では、センサ62と検知板59とによって、2本のフォーク19の移動範囲における左右方向の外側の限界位置にフォーク19が近づいたことを検知するための検知機構24が構成されている。
【0034】
(フォークピッチ変更機構の構成)
図5は、
図3のE部におけるフォークピッチ変更機構26、27の構成を説明するための平面図である。
図6は、
図3のF部におけるフォークピッチ変更機構26、27の構成を説明するための平面図である。
図7は、
図3のG-G方向からフォークピッチ変更機構26、27の構成を説明するための側面図である。
図8(A)は、
図5のH部の拡大図であり、
図8(B)は、
図5のJ部の拡大図である。
【0035】
フォークピッチ変更機構26は、駆動源であるモータ29と、モータ29の出力軸に連結されるネジ部材30と、2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18の基端側(基端部)に固定されるスライド部材31と、2本のフォーク18のうちの他方のフォーク18の基端側(基端部)に固定されるスライド部材31と、2個のスライド部材31のそれぞれに取り付けられるとともにネジ部材30に係合する2個のナット部材32とを備えている。また、フォークピッチ変更機構26は、ネジ部材30の回転量を検出するエンコーダ33を備えている。
【0036】
フォークピッチ変更機構27は、フォークピッチ変更機構26と同様に構成されている。すなわち、フォークピッチ変更機構27は、モータ29と同様に構成されるモータ34と、ネジ部材30と同様に構成されるネジ部材35と、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19の基端側(基端部)に固定されるスライド部材36と、2本のフォーク19のうちの他方のフォーク19の基端側(基端部)に固定されるスライド部材36と、2個のスライド部材36のそれぞれに取り付けられるとともにネジ部材35に係合する2個のナット部材37と、ネジ部材35の回転量を検出するエンコーダ38とを備えている。
【0037】
モータ29、34は、DCモータである。ネジ部材30、35は、細長い棒状に形成されている。ネジ部材30、35は、ネジ部材30、35の軸方向と左右方向とが一致するように配置されており、左右方向を回転の軸方向として回転する。また、ネジ部材30とネジ部材35とは、前後方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。ネジ部材30の一端には、カップリング41を介してモータ29の出力軸が連結され、ネジ部材35の一端には、カップリング41を介してモータ34の出力軸が連結されている。
【0038】
ネジ部材30、35は、ネジ部材30、35の一端側を構成する順ネジ部30a、35aと、ネジ部材30、35の他端側を構成する逆ネジ部30b、35bとを備えている。順ネジ部30a、35aには、順ネジが形成され、逆ネジ部30b、35bには、逆ネジが形成されている。順ネジ部30a、35aに形成される順ネジ、および、逆ネジ部30b、35bに形成される逆ネジは台形ネジである。すなわち、ネジ部材30、35の外周面には、台形ネジが形成されている。
【0039】
順ネジ部30aと逆ネジ部30bとは、別体で形成されており、カップリング42によって繋がれている。同様に、順ネジ部35aと逆ネジ部35bとは、別体で形成されており、カップリング42によって繋がれている。すなわち、ネジ部材30は、順ネジ部30aと逆ネジ部30bとを繋ぐカップリング42を備え、ネジ部材35は、順ネジ部35aと逆ネジ部35bとを繋ぐカップリング42を備えている。本形態では、順ネジ部30aと逆ネジ部30bとカップリング42とによってネジ部材30が構成され、順ネジ部35aと逆ネジ部35bとカップリング42とによってネジ部材35が構成されている。順ネジ部30a、35aの両端部、および、逆ネジ部30b、35bの両端部は、ベースフレーム55に取り付けられた軸受43に回転可能に支持されている。なお、本形態の順ネジ部30a、35aおよび逆ネジ部30b、35bは、転造で形成された転造ネジである。
【0040】
スライド部材31は、直方体状に形成されている。スライド部材36は、スライド部材31と同様に、直方体状に形成されている。スライド部材36は、
図7に示すように、平板状の固定部材44に固定されている。固定部材44は、フォーク19の基端部に固定されている。同様に、スライド部材31は、フォーク18の基端部に固定された固定部材44に固定されている。すなわち、スライド部材31は、固定部材44を介してフォーク18の基端部に固定され、スライド部材36は、固定部材44を介してフォーク19の基端部に固定されている。
【0041】
ナット部材32は、直方体状に形成されている。ナット部材37は、ナット部材32と同様に直方体状に形成されている。ナット部材32は、2個のボルト45によってスライド部材31に取り付けられ、ナット部材37は、2個のボルト45によってスライド部材36に取り付けられている。すなわち、フォークピッチ変更機構26、27は、スライド部材31、36にナット部材32、37を取り付けるためのボルト45を備えている。
【0042】
また、フォークピッチ変更機構26、27は、鍔付きの円筒状に形成される円筒部材46を備えている。フォークピッチ変更機構26、27は、ボルト45と同じ数の円筒部材46を備えている。円筒部材46は、円筒状に形成されるとともに内周側にボルト45が挿通される(具体的には、ボルト45の軸部が挿通される)円筒部46aと、円筒部46aの一端から鍔状に広がる円環状の鍔部46bとから構成されている(
図8参照)。
【0043】
スライド部材31には、ネジ部材30との干渉を防止するための切欠き部31aと、ネジ部材35との干渉を防止するための切欠き部31bとが形成されている。同様に、スライド部材36には、ネジ部材30との干渉を防止するための切欠き部36aと、ネジ部材35との干渉を防止するための切欠き部36bとが形成されている。また、スライド部材31には、
図8(A)に示すように、ボルト45の先端部がねじ込まれる2個のネジ穴31cが形成されている。ネジ穴31cは、スライド部材31の左右方向の一方の側面に形成されている。同様に、スライド部材36には、
図8(B)に示すように、ボルト45の先端部がねじ込まれる2個のネジ穴36cが形成されている。ネジ穴36cは、スライド部材36の左右方向の一方の側面に形成されている。
【0044】
図8(A)に示すように、ナット部材32には、ネジ部材30が挿通される挿通穴32aが形成されている。挿通穴32aは、左右方向でナット部材32を貫通している。また、挿通穴32aは、ナット部材32の中心に形成されている。左右方向における挿通穴32aの一部分には、ネジ部材30の台形ネジに係合するメネジが形成されている。すなわち、メネジは、左右方向における挿通穴32aの全域には形成されていない。本形態では、メネジが形成されるメネジ部32bの左右方向の長さは、ネジ部材30の台形ネジのピッチの略1.5倍となっている。
【0045】
ナット部材32と同様に、ナット部材37には、ネジ部材35が挿通される挿通穴37aが形成されている(
図8(B)参照)。また、左右方向における挿通穴37aの一部分には、ネジ部材35の台形ネジに係合するメネジが形成されている。メネジが形成されるメネジ部37bの左右方向の長さは、ネジ部材35の台形ネジのピッチの略1.5倍となっている。
【0046】
また、ナット部材32には、円筒部46aが配置される丸穴状の配置穴32cが形成されている。配置穴32cは、左右方向でナット部材32を貫通している。また、配置穴32cは、前後方向における挿通穴32aの両側の2箇所に形成されている。ナット部材32と同様に、ナット部材37には、円筒部46aが配置される丸穴状の配置穴37cが形成されている。配置穴37cは、左右方向でナット部材37を貫通するとともに、前後方向における挿通穴37aの両側の2箇所に形成されている。
【0047】
配置穴32c、37cの内径は、円筒部46aの外径よりも大きくなっており、配置穴32c、37cの内周面と円筒部46aの外周面との間には、隙間が形成されている。鍔部46bの外径は、配置穴32c、37cの内径よりも大きくなっている。また、ナット部材32、37の厚さ(左右方向の厚さ)は、円筒部46aの長さ(左右方向の長さ)よりもわずかに薄くなっており、左右方向において、ナット部材32、37と鍔部46bとの間、および、ナット部材32、37とスライド部材31、36との間の少なくともいずれか一方には、わずかな隙間が形成されている。なお、円筒部46aの内径は、ボルト45の軸部の外径よりもわずかに大きくなっている。
【0048】
ナット部材32は、左右方向の一方側から円筒部46aの内周側に挿通されるとともにネジ穴31cにねじ込まれるボルト45によってスライド部材31に取り付けられている。上述のように、配置穴32cの内周面と円筒部46aの外周面との間に隙間が形成され、左右方向において、ナット部材32と鍔部46bとの間やナット部材32とスライド部材31との間にわずかな隙間が形成されているため、ナット部材32は、スライド部材31に対して左右方向に直交する方向へ移動可能となっている。すなわち、ナット部材32は、左右方向に直交する方向へ移動可能となるようにスライド部材31に保持されている。また、ナット部材32は、スライド部材31に対して左右方向にわずかに移動可能となっている。
【0049】
同様に、ナット部材37は、左右方向の一方側から円筒部46aの内周側に挿通されるとともにネジ穴36cにねじ込まれるボルト45によってスライド部材36に取り付けられており、配置穴37cの内周面と円筒部46aの外周面との間に隙間が形成され、左右方向において、ナット部材37と鍔部46bとの間やナット部材37とスライド部材36との間にわずかな隙間が形成されているため、ナット部材37は、スライド部材36に対して左右方向に直交する方向へ移動可能となっている。すなわち、ナット部材37は、左右方向に直交する方向へ移動可能となるようにスライド部材36に保持されている。また、ナット部材37は、スライド部材36に対して左右方向にわずかに移動可能となっている。
【0050】
2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18に固定されたスライド部材31に保持されるナット部材32は、順ネジ部30aに係合し、他方のフォーク18に固定されたスライド部材31に保持されるナット部材32は、逆ネジ部30bに係合している。同様に、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19に固定されたスライド部材36に保持されるナット部材37は、順ネジ部35aに係合し、他方のフォーク19に固定されたスライド部材36に保持されるナット部材37は、逆ネジ部35bに係合している。
【0051】
2本のフォーク18および2本のフォーク19は、2本の共通のガイドレール48によって左右方向に案内される。ガイドレール48は、ガイドレール48の長手方向と左右方向とが一致するように、ベースフレーム55に固定されている。また、2本のガイドレール48のうちの一方のガイドレール48は、前後方向におけるベースフレーム55の一端側に配置され、他方のガイドレール48は、前後方向におけるベースフレーム55の他端側に配置されている。
【0052】
図7に示すように、フォーク19の基端部に固定される固定部材44には、2本のガイドレール48のそれぞれに係合する2個のガイドブロック49が固定されている。同様に、フォーク18の基端部に固定される固定部材44には、2本のガイドレール48のそれぞれに係合する2個のガイドブロック49が固定されている。本形態では、2本のガイドレール48と2個のガイドブロック49とによって、フォーク18、19を左右方向へ案内するガイド機構50が構成されている。
【0053】
フォークピッチ変更機構26では、モータ29が回転してネジ部材30が回転すると、上述のように、一方のフォーク18と他方のフォーク18とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク18の左右方向のピッチが変更される。同様に、フォークピッチ変更機構27では、モータ34が回転してネジ部材35が回転すると、上述のように、一方のフォーク19と他方のフォーク19とが左右の逆方向へ同じ量だけ移動して2本のフォーク19の左右方向のピッチが変更される。
【0054】
エンコーダ33は、ネジ部材30の他端に固定される検知板51と、ベースフレーム55に取り付けられるセンサ52とを備えている。同様に、エンコーダ38は、ネジ部材35の他端に固定される検知板53と、ベースフレーム55に取り付けられるセンサ54とを備えている。センサ52、54は、発光素子と受光素子とを備える透過型の光学式センサである。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ネジ部材30、35の外周面に台形ネジが形成されている。そのため、本形態では、モータ29、34が比較的安価なDCモータであっても、モータ29、34の電源が切れている状態で左右方向の外力がフォーク18、19に作用したときの左右方向へのフォーク18、19のずれを防止することが可能になる。
【0056】
本形態では、ガイド機構50によって左右方向に案内されるフォーク18に固定されたスライド部材31に、ナット部材32が、左右方向に直交する方向への移動が可能となるように保持されている。そのため、本形態では、2本のフォーク18のピッチの変更量を大きくするためにネジ部材30の長さが長くなって、その結果、ネジ部材30の直進性が低下しても、ネジ部材30が回転するときのネジ部材30とナット部材32との接触抵抗を低減することが可能になる。
【0057】
同様に、本形態では、ガイド機構50によって左右方向に案内されるフォーク19に固定されたスライド部材36に、ナット部材37が、左右方向に直交する方向への移動が可能となるように保持されているため、2本のフォーク19のピッチの変更量を大きくするためにネジ部材35の長さが長くなって、その結果、ネジ部材35の直進性が低下しても、ネジ部材35が回転するときのネジ部材35とナット部材37との接触抵抗を低減することが可能になる。
【0058】
したがって、本形態では、ネジ部材30、35の長さが長くなってネジ部材30、35の直進性が低下しても、また、容量の小さな安価なモータ29、34を使用しても、ネジ部材30、35を回転させて、フォーク18、19のピッチを円滑に変更することが可能になる。すなわち、本形態では、フォーク18、19のピッチの変更量が比較的大きくても、モータ29、34のコストを低減しつつ、フォーク18、19のピッチを円滑に変更することが可能になる。
【0059】
本形態では、ナット部材32の挿通穴32aの左右方向の一部分にメネジが形成されており、このメネジは、左右方向における挿通穴32aの全域に形成されていない。そのため、本形態では、ネジ部材30とナット部材32との噛み合い長さを短くすることが可能になる。したがって、本形態では、ネジ部材30に対してナット部材32が傾いても、ネジ部材30が回転するときのネジ部材30とナット部材32との接触抵抗を低減することが可能になり、その結果、モータ29の容量をより低減することが可能になる。
【0060】
同様に、本形態では、ナット部材37の挿通穴37aの左右方向の一部分にメネジが形成されており、このメネジは、左右方向における挿通穴37aの全域に形成されていないため、ネジ部材35とナット部材37との噛み合い長さを短くすることが可能になる。したがって、本形態では、ネジ部材35に対してナット部材37が傾いても、ネジ部材35が回転するときのネジ部材35とナット部材37との接触抵抗を低減することが可能になり、その結果、モータ34の容量をより低減することが可能になる。
【0061】
本形態では、別体で形成された順ネジ部30aと逆ネジ部30bとがカップリング42によって繋がれている。そのため、本形態では、順ネジ部30aと逆ネジ部30bとが一体で形成されている場合と比較して、ネジ部材30の、一体で形成されている部分の長さを短くすることが可能になる。したがって、ネジ部材30の直進性の低下を抑制することが可能になる。同様に、本形態では、別体で形成された順ネジ部35aと逆ネジ部35bとがカップリング42によって繋がれているため、ネジ部材35の、一体で形成されている部分の長さを短くすることが可能になり、その結果、ネジ部材35の直進性の低下を抑制することが可能になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態において、ネジ部材30、35の外周面に、台形ネジの代わりに角ネジが形成されていても良い。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。また、上述した形態において、順ネジ部30aと逆ネジ30bとが一体で形成されていても良いし、順ネジ部35aと逆ネジ35bとが一体で形成されていても良い。さらに、上述した形態において、左右方向における挿通穴32aの全域にメネジが形成されていても良いし、左右方向における挿通穴37aの全域にメネジが形成されていても良い。
【0064】
上述した形態において、円筒部材46は、鍔部46bを備えていなくても良い。この場合には、ボルト45の頭部の外径は、配置穴32c、37cの内径よりも大きくなっている。また、上述した形態において、ナット部材32、37が、左右方向に直交する方向へ移動可能となるようにスライド部材31、36に保持されているのであれば、フォークピッチ変更機構26、27は、円筒部材46を備えていなくても良い。この場合には、たとえば、配置穴32c、37cにボルト45の軸部が配置されている。配置穴32c、37cの内径は、ボルト45の軸部の外径よりも大きくなっており、配置穴32c、37cの内周面とボルト45の軸部の外周面との間には隙間が形成されている。また、ボルト45の頭部の外径は、配置穴32c、37cの内径よりも大きくなっている。
【0065】
上述した形態において、2本のフォーク18のうちの一方のフォーク18が左右方向で固定され、他方のフォーク18が左右方向へ移動可能となっていても良い。この場合には、他方のフォーク18が左右方向に移動することで、2本のフォーク18のピッチが変更される。同様に、2本のフォーク19のうちの一方のフォーク19が左右方向で固定され、他方のフォーク19が左右方向へ移動可能となっていても良い。この場合には、他方のフォーク19が左右方向に移動することで、2本のフォーク19のピッチが変更される。
【0066】
上述した形態において、左右方向における2本のフォーク19のピッチは固定されていても良い。この場合には、フォークピッチ変更機構27が不要になる。また、この場合には、フォークピッチ変更機構26によって2本のフォーク18のピッチが変更されると、4本のフォーク18、19のピッチも変わる。同様に、左右方向における2本のフォーク18のピッチは固定されていても良い。この場合には、フォークピッチ変更機構26が不要になる。また、この場合には、フォークピッチ変更機構27によって2本のフォーク19のピッチが変更されると、4本のフォーク18、19のピッチも変わる。
【0067】
上述した形態において、ハンド3は、2本のフォーク18または2本のフォーク19を備えていなくても良い。すなわち、ハンド3が備えるフォークの数は、2本であっても良い。また、ハンド3が備えるフォークの数は、3本であっても良い。この場合には、たとえば、真ん中に配置される1本のフォークが左右方向において固定され、残りの2本のフォークがフォークピッチ変更機構によって左右方向へ移動する。この場合には、1個のフォークピッチ変更機構によって3本のフォークのピッチが変更される。また、ハンド3が備えるフォークの数は、5本以上であっても良い。この場合には、5本以上のフォークの全てが左右方向へ移動可能になっていても良いし、5本以上のフォークの中に左右方向で固定されているフォークがあっても良い。
【0068】
上述した形態では、ロボット1は、水平多関節型のロボットであるが、本発明が適用されるロボットは、水平多関節型のロボット以外の産業用ロボットであっても良い。たとえば、本発明が適用されるロボットは、上述の特許文献1に開示された産業用ロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 搬送対象物
3 ハンド
4 アーム
5 本体部
18、19 フォーク
26、27 フォークピッチ変更機構
29、34 モータ
30、35 ネジ部材
30a、35a 順ネジ部
30b、35b 逆ネジ部
31、36 スライド部材
31c、36c ネジ穴
32、37 ナット部材
32a、37a 挿通穴
32b、37b メネジ部
32c、37c 配置穴
42 カップリング
45 ボルト
46 円筒部材
46a 円筒部
50 ガイド機構
X フォークの長手方向
Y 直交方向