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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】眼科検査システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A61B3/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017189778
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019063116
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】徳田 寛一
(72)【発明者】
【氏名】八木岡 重樹
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-021699(JP,A)
【文献】特開2006-277609(JP,A)
【文献】特開2016-164770(JP,A)
【文献】特開2004-318570(JP,A)
【文献】特開2000-003400(JP,A)
【文献】特開2011-215971(JP,A)
【文献】特開2006-155066(JP,A)
【文献】特開2010-277271(JP,A)
【文献】特開2005-352965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科検査装置と、
前記眼科検査装置が設置された施設において複数の被検者により使用され、前記眼科検査装置と通信可能に接続された複数の被検者端末と、
前記施設に設置され、各種情報を表示する表示部を有し、前記被検者端末と通信可能に接続された監視端末と、
前記眼科検査装置が設置された検査室の待合空間に設置され、前記眼科検査装置および前記被検者端末と通信可能に接続された待合端末と、
前記施設において検者により使用され、各種情報を表示する表示部を有し、前記監視端末と通信可能に接続された検者端末と、
を備え、
前記待合端末は、前記眼科検査装置と通信することにより前記眼科検査装置の第1識別情報を認識しており、
前記監視端末は、前記複数の被検者のそれぞれに割り当てられた第2識別情報および前記被検者端末の現在位置を示す位置データを前記被検者端末から受信して前記第2識別情報および前記現在位置を前記監視端末の前記表示部に表示し、前記被検者端末と前記待合端末との間において近距離通信技術を介して通信が行われると、前記近距離通信技術を介して通信が行われた時刻を示す第1時刻データを前記待合端末から受信し、前記被検者端末と前記眼科検査装置との間において通信が行われると、前記眼科検査装置による検査が行われた時刻を示す第2時刻データを前記眼科検査装置から受信し、前記第1時刻データと前記第2時刻データとの差分により前記被検者が前記第1識別情報の前記眼科検査装置による検査を待機している待ち時間を算出し前記待ち時間を前記監視端末の前記表示部に表示し、
前記検者端末は、前記待ち時間を前記監視端末から受信して前記待ち時間を前記検者端末の前記表示部に表示することを特徴とする眼科検査システム。
【請求項2】
前記監視端末は、前記被検者の検査の状況を示す検査状況情報の要求データを前記眼科検査装置に送信すると、前記検査状況情報前記眼科検査装置から受信し前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の眼科検査システム。
【請求項3】
前記監視端末は、前記眼科検査装置と前記被検者端末との間でやり取りされた情報の少なくとも一部を含む検査情報を受信するとともに記録し、前記検査情報のうちで前回記録された前記検査情報と、前記検査情報のうちで今回記録された前記検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の眼科検査システム。
【請求項4】
複数の前記検査室に複数の前記眼科検査装置が設けられ、
前記複数の検査室のそれぞれに割り当てられた複数の前記待合端末が設けられ、
前記監視端末は、前記複数の待合端末のうちの第1待合端末における前記待ち時間に応じて、前記第1待合端末に対応する前記眼科検査装置以外の他の眼科検査装置が設置された前記検査室に割り当てられた第2待合端末に前記被検者を誘導する誘導情報を生成し、前記誘導情報を前記被検者端末に送信することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の眼科検査システム。
【請求項5】
前記被検者端末は、各種情報を表示する表示部を有し、
前記監視端末は、前記位置データと前記第2待合端末に割り当てられた第3識別情報とに基づいて、前記現在位置と前記第2待合端末との位置関係を前記被検者端末の前記表示部に表示させるとともに前記現在位置から前記第2待合端末までの順路を前記被検者端末の前記表示部に表示させることを特徴とする請求項に記載の眼科検査システム。
【請求項6】
記監視端末は、前記第2識別情報と、前記位置データと、を前記検者端末に送信することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の眼科検査システム。
【請求項7】
前記検者端末は、前記被検者の検査の状況を示す検査状況情報の要求データを前記眼科検査装置に送信すると、前記検査状況情報前記眼科検査装置から受信することを特徴とする請求項に記載の眼科検査システム。
【請求項8】
前記監視端末は、前記眼科検査装置と前記被検者端末との間でやり取りされた情報の少なくとも一部を含む検査情報を受信するとともに記録し、前記検査情報のうちで前回記録された前記検査情報と、前記検査情報のうちで今回記録された前記検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を前記検者端末に送信することを特徴とする請求項またはに記載の眼科検査システム。
【請求項9】
前記監視端末は、前記待ち時間を前記検者端末に送信することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の眼科検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科の分野で使用される眼科装置は種類が多く、これら各眼科装置を個別に操作することは煩雑であるため、複数の眼科装置を一つの端末等で操作可能とする提案がなされている(例えば、特許文献1)。
一方、眼科を受診する患者等の被検者は、複数の眼科装置を用いた検査をする必要がある。また、これらの眼科装置は、装置によっては1つの部屋に複数の眼科装置が配置される場合もあるが、一方、暗室や半暗室で行うことが必要となる場合は、すべての眼科装置を同じ部屋に配置せずに、複数の部屋に分けて配置することもある。
したがって、被検者が複数の眼科装置の検査を受けるときは、同じ部屋内の眼科装置を順番に巡る必要や順番に異なる部屋を巡る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017―29369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、被検者が同じ部屋にある複数の眼科装置について、検査を受ける順番を把握することは難しく、特に、眼科装置が異なる部屋に分かれて配置されているときに、検査を受けるために入室する部屋の順番を把握することは、被検者にとって、より困難である。そのため、被検者が検査を受ける眼科装置がある部屋に迅速に到着できず、眼科診療の効率化を図ることが困難であるという問題があった。また、眼科装置が設置された施設(眼科病院等)の受付担当者や検者等は、被検者が順番を待っている眼科装置のある部屋を把握できず、検査を受けるべき眼科検査がある部屋に被検者を誘導することが困難であった。この点においても、眼科診療の効率化を図ることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、眼科診療の効率化を図ることができる眼科検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明によれば、眼科検査装置と、前記眼科検査装置が設置された施設において複数の被検者により使用され、前記眼科検査装置と通信可能に接続された複数の被検者端末と、前記施設に設置され、各種情報を表示する表示部を有し、前記被検者端末と通信可能に接続された監視端末と、前記眼科検査装置が設置された検査室の待合空間に設置され、前記眼科検査装置および前記被検者端末と通信可能に接続された待合端末と、前記施設において検者により使用され、各種情報を表示する表示部を有し、前記監視端末と通信可能に接続された検者端末と、を備え、前記待合端末は、前記眼科検査装置と通信することにより前記眼科検査装置の第1識別情報を認識しており、前記監視端末は、前記複数の被検者のそれぞれに割り当てられた第2識別情報および前記被検者端末の現在位置を示す位置データを前記被検者端末から受信して前記第2識別情報および前記現在位置を前記監視端末の前記表示部に表示し、前記被検者端末と前記待合端末との間において近距離通信技術を介して通信が行われると、前記近距離通信技術を介して通信が行われた時刻を示す第1時刻データを前記待合端末から受信し、前記被検者端末と前記眼科検査装置との間において通信が行われると、前記眼科検査装置による検査が行われた時刻を示す第2時刻データを前記眼科検査装置から受信し、前記第1時刻データと前記第2時刻データとの差分により前記被検者が前記第1識別情報の前記眼科検査装置による検査を待機している待ち時間を算出し前記待ち時間を前記監視端末の前記表示部に表示し、前記検者端末は、前記待ち時間を前記監視端末から受信して前記待ち時間を前記検者端末の前記表示部に表示することを特徴とする眼科検査システムにより解決される。
【0007】
前記構成によれば、眼科検査装置が設置された施設に設置された監視端末は、複数の被検者のそれぞれに割り当てられた識別情報を受信するとともに、被検者端末の現在位置を示す位置データを受信する。そして、監視端末は、被検者の識別情報および被検者端末の現在位置を監視端末の表示部に表示する。そのため、例えば施設の受付のスタッフなどは、監視端末の表示部を確認することにより、被検者の位置や被検者端末の位置を把握することができる。そのため、例えば施設の受付のスタッフなどは、被検者に対して指示を出したり、監視端末を操作することにより被検者端末に対して指示や情報などを送信したりすることができる。これにより、眼科診療の効率化を図ることができる。
また、前記構成によれば、監視端末は、被検者端末と待合端末との間において近距離通信技術を介して通信が行われた時刻を示す第1時刻データと、眼科検査装置による検査が行われた時刻を示す第2時刻データと、に基づいて被検者が眼科検査装置による検査を待機している待ち時間を算出し、表示部に表示する。これにより、例えば施設の受付のスタッフなどは、監視端末の表示部を確認することにより、眼科検査装置による検査を待機している被検者の待機状態(混雑状況)を把握することができる。
【0008】
好ましくは、前記監視端末は、前記被検者の検査の状況を示す検査状況情報の要求データを前記眼科検査装置に送信すると、前記検査状況情報前記眼科検査装置から受信し前記表示部に表示することを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、監視端末は、被検者の検査の状況を示す検査状況情報を受信し、表示部に表示する。検査状況情報は、被検者(被検眼)の検査の状況を表している。そのため、例えば施設の受付のスタッフなどは、監視端末の表示部を確認することにより、被検者(被検眼)の検査の状況を把握することができる。
【0010】
好ましくは、前記監視端末は、前記眼科検査装置と前記被検者端末との間でやり取りされた情報の少なくとも一部を含む検査情報を受信するとともに記録し、前記検査情報のうちで前回記録された前記検査情報と、前記検査情報のうちで今回記録された前記検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、監視端末は、眼科検査装置と被検者端末との間でやり取りされた検査情報を受信するとともに記録する。そして、監視端末は、検査情報のうちで前回記録された検査情報と、検査情報のうちで今回記録された検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を表示部に表示する。これにより、例えば施設の受付のスタッフなどは、監視端末の表示部を確認することにより、検査情報、検査状況および眼科検査装置の少なくともいずれかに異常が生じているか否かを把握することができる。
【0014】
好ましくは、複数の前記検査室に複数の前記眼科検査装置が設けられ、前記複数の検査室のそれぞれに割り当てられた複数の前記待合端末が設けられ、前記監視端末は、前記複数の待合端末のうちの第1待合端末における前記待ち時間に応じて、前記第1待合端末に対応する前記眼科検査装置以外の他の眼科検査装置が設置された前記検査室に割り当てられた第2待合端末に前記被検者を誘導する誘導情報を生成し、前記誘導情報を前記被検者端末に送信することを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、監視端末は、複数の待合端末のうちの第1待合端末における待ち時間に応じて、第1待合端末に対応する眼科検査装置以外の他の眼科検査装置が設置された検査室に割り当てられた第2待合端末に被検者を誘導する誘導情報を生成する。つまり、監視端末は、第1待合端末において眼科検査装置による検査を待機している被検者の待ち時間に応じて、第1待合端末とは異なる他の第2待合端末に被検者を誘導する誘導情報を生成する。そして、監視端末は、生成した誘導情報を被検者端末に送信する。これにより、第1待合端末が設置された検査室の眼科検査装置による検査を待機している被検者の待ち時間が長い場合(第1待合端末が設置された検査室が混雑している場合)には、監視端末は、第1待合端末が設置された検査室よりも空いている検査室の第2待合端末に被検者を誘導することができる。そのため、眼科診療のさらなる効率化を図ることができる。
【0016】
好ましくは、前記被検者端末は、各種情報を表示する表示部を有し、前記監視端末は、前記位置データと前記第2待合端末に割り当てられた第3識別情報とに基づいて、前記現在位置と前記第2待合端末との位置関係を前記被検者端末の前記表示部に表示させるとともに前記現在位置から前記第2待合端末までの順路を前記被検者端末の前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、監視端末は、位置データと、第2待合端末に割り当てられた識別情報と、に基づいて、被検者端末の現在位置(被検者の現在位置)と、第2待合端末と、の位置関係を被検者端末の表示部に表示させる。また、監視端末は、被検者端末の現在位置(被検者の現在位置)から第2待合端末までの順路を被検者端末の表示部に表示させる。これにより、被検者は、第1待合端末とは異なる第2待合端末に誘導される場合であっても、眼科検査装置が設置された施設内で迷うことなく、比較的短時間で第1待合端末から第2待合端末に移動することができる。
【0018】
好ましくは、前記監視端末は、前記第2識別情報と、前記位置データと、を前記検者端末に送信することを特徴とする。
【0019】
前記構成によれば、監視端末は、複数の被検者のそれぞれに割り当てられた識別情報と、被検者端末の位置データと、を検者端末に送信する。言い換えれば、眼科検査装置が設置された施設において検者により使用される検者端末は、被検者に割り当てられた識別情報を受信するとともに被検者端末の位置データを受信する。これにより、検者は、検者端末を確認することにより、被検者の位置や被検者端末の位置を把握することができる。そのため、検者は、被検者に対して指示を出したり、検者端末を操作することにより被検者端末に対して指示や情報などを送信したりすることができる。これにより、眼科診療の効率化を図ることができる。
【0020】
好ましくは、前記検者端末は、前記被検者の検査の状況を示す検査状況情報の要求データを前記眼科検査装置に送信すると、前記検査状況情報前記眼科検査装置から受信することを特徴とする。
【0021】
前記構成によれば、監視端末は、被検者の検査の状況を示す検査状況情報を受信するとともに、検査状況情報を検者端末に送信する。検査状況情報は、被検者(被検眼)の検査の状況を表している。そのため、検者は、検者端末を確認することにより、被検者(被検眼)の検査の状況を把握することができる。
【0022】
好ましくは、前記監視端末は、前記眼科検査装置と前記被検者端末との間でやり取りされた情報の少なくとも一部を含む検査情報を受信するとともに記録し、前記検査情報のうちで前回記録された前記検査情報と、前記検査情報のうちで今回記録された前記検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を前記検者端末に送信することを特徴とする。
【0023】
前記構成によれば、監視端末は、検査情報のうちで前回記録された検査情報と、検査情報のうちで今回記録された検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を検者端末に送信する。これにより、検者は、検者端末を確認することにより、検査情報、検査状況および眼科検査装置の少なくともいずれかに異常が生じているか否かを把握することができる。
【0024】
好ましくは、前記監視端末は、前記待ち時間を前記検者端末に送信することを特徴とする。
【0025】
前記構成によれば、監視端末は、被検者端末と待合端末との間において近距離通信技術を介して通信が行われた時刻を示す第1時刻データと、眼科検査装置による検査が行われた時刻を示す第2時刻データと、に基づいて被検者が眼科検査装置による検査を待機している待ち時間を算出し、検者端末に送信する。これにより、検者は、検者端末を確認することにより、眼科検査装置による検査を待機している被検者の待機状態(混雑状況)を把握することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、眼科診療の効率化を図ることができる眼科検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る眼科検査システムの主な構成を示す概略図である。
図2】眼科病院において、各眼科装置を備える部屋の配置の一例を示す概略図である。
図3図1の被検者用タブレット100(検者用タブレット200a等)の主な構成を示す概略ブロック図である。
図4図1に示す管理サーバ40の主な構成を示す概略ブロック図である。
図5図1に示す監視端末50の主な構成を示す概略ブロック図である。
図6図1に示す眼科装置の主な構成を示す概略ブロック図である。
図7図1に示す待合端末300a等の主な構成を示す概略ブロック図である。
図8】本実施形態に係る眼科検査システムの第1動作例を表すシーケンスチャートである。
図9】本実施形態に係る眼科検査システムの第2動作例を表すシーケンスチャートである。
図10】本実施形態に係る眼科検査システムの第3動作例を表すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る眼科検査システムの主な構成を示す概略図である。
図2は、眼科病院において、各眼科装置を備える部屋の配置の一例を示す概略図である。
【0030】
(眼科病院に配置される眼科装置等)
図1に示すように、眼科検査システム1は、眼科病院の複数の部屋(検査室)、例えば、「他覚測定室(1)」、「自覚検査室(2)」、「撮影検査室(3)」、「暗室検査・特殊検査室(4)」、「視野検査室(5)」及び「診察室1~4」に配置される眼科検査装置を有している。以下の説明において、眼科検査装置を単に「眼科装置」と称することがある。
【0031】
具体的には、「他覚測定室(1)」には、眼科装置である例えば、「レフラクトメータ、ケラトメータ10」、「眼圧計11」及び「スペキュラーマイクロスコープ12」が配置されている。
また、「自覚検査室(2)」には、眼科装置である例えば、「視力検査装置13」、「フォロプター14」、「検眼システム15」が配置されている。
また、「撮影検査室(3)」には、眼科装置である例えば、「眼底カメラ16」及び「OCT装置17」が配置されている。
また、「暗室検査・特殊検査室(4)」には、眼科装置である例えば、「視機能検査装置18」が配置されている。
また、「視野検査室(5)」には、眼科装置である例えば、「マイクロペリメータ19」及び「視野計20」が配置されている。
また、「診察室1~4」には、眼科装置である例えば、「スリットランプ21a~21d」が配置されている。
【0032】
また、図1に示すように、「他覚測定室(1)」等の眼圧計11等は、通信回線2に通信可能に接続されている。そして、眼科検査システム1の各種情報を管理等する「管理サーバ40」(「他の装置」の一例)も通信回線2に通信可能に接続されている。本実施形態の管理サーバ40は、本発明の「管理装置」の一例である。
したがって、「他覚測定室(1)」等の眼圧計11等は、管理サーバ40と相互に通信可能に配置されている。
【0033】
(「被検者用タブレット」等)
被検者用タブレット(被検者端末)100は、図1に示すように、その表面に表示部である例えば、「タブレット側ディスプレイ101」を有し、この「タブレット側ディスプレイ101」には各種情報が表示される構成となっている。本実施形態の被検者用タブレット100は、本発明の「被検者端末」の一例である。
また、被検者用タブレット100は、通信機能を有している。具体的には、到達距離の短い無線通信、通信エリアは、数センチからおよそ1メートル程度の極短距離であり「非接触通信」とも呼ばれるBluetooth(登録商標)や赤外線通信等の「近距離無線通信」が可能な構成となっている。
【0034】
また、被検者用タブレット100は、眼科病院内で利用可能なLAN(ローカルエリアネットワーク)を無線(ワイヤレス)通信可能な構成ともなっている。
したがって、後述するように、被検者が「被検者用タブレット100」を例えば、図1の「他覚測定室(1)」に入室し、「眼圧計11」に近づけることで、「眼圧計11」との間で通信が可能な構成となっている。
また、被検者若しくは検者(検査者)が、「被検者用タブレット100」を操作することで、対象の眼圧計11等の測定操作等の簡単な制御が可能な構成となっている。
すなわち、被検者は、検者が傍にいないときでも、単独で眼圧計11等の測定を開始することができる構成となっている。
【0035】
また、「被検者用タブレット100」は、「位置情報取得装置102」(図3参照)を備えている。この「位置情報取得装置102」は、病院内で利用可能なLANのアクセスポイントの位置と被検者用タブレット100との距離から位置情報を取得するものである。
そして、当該「被検者用タブレット100」の位置情報を取得し、タブレット側ディスプレイ101に表示する。
【0036】
なお、本発明では、上述の「位置情報取得装置102」が、衛星との距離で位置情報を測位するGPS装置(グローバル・ポジショニング・システム(英語: Global Positioning System、GPS、全地球測位システム)であっても良い。
【0037】
また、本発明の「位置情報取得装置102」が、高精度位置情報提供技術を用いた装置であっても構わない。これは、GPS装置等と異なり、室内でも高精度に位置情報を取得することができる装置であり、具体的には、以下のとおりである。
この「高精度位置情報提供」装置は、指向性の高いビーコン、高精度自律航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)及び「高精度マップマッチング(PMM:Pedestrian Map Matching)」の3つの技術を組み合わせることで、高精度な位置情報(例えば、位置誤差3m以下)を取得するものである。
ここで、「ビーコン」は、無線局等から発射される電波(または赤外線のような高周波の電磁波)及びこのような電波を発射する設備等を意味する。
【0038】
具体的には、被検者用タブレット100を利用して、指向性の高いビーコンからの信号強度と、ビーコンの位置から絶対位置を計測する。そして、この絶対位置をPDRで処理し、PMMを利用して地図表示することになる。
【0039】
また、本システム1では、図1に示すように、検者用タブレット200a~200fを有している。これら検者用タブレット200a~200fの構成は、上述の被検者用タブレット100と同様であるが、これら検者用タブレット200a~200fは、「他覚測定室(1)」等の各部屋に配置されている「眼圧計11」等の機器を操作する検者(検査者)が所持する端末である。
そして、これら検者用タブレット200a~200fは、「検者端末」の一例となっている。
【0040】
(「監視端末」等)
図1および図2に表したように、複数の眼科装置が設置された施設(眼科病院等)の例えば受付には、監視端末50が設けられている。監視端末50は、通信回線2に通信可能に接続され、監視端末ディスプレイ503(図5参照)を有している。受付担当者や検者等は、監視端末ディスプレイ503を確認することで、監視端末ディスプレイ503に表示された各種情報を把握することができる。本実施形態の監視端末ディスプレイ503は、本発明の監視端末の「表示部」の一例である。なお、監視端末50は、受付に設置されることには限定されず、施設内において受付から離れた位置に配置されてもよい。
【0041】
(「待合端末」等)
図1および図2に表したように、複数の眼科装置が設置された複数の部屋(検査室)の待合空間には、待合端末300a~300iが設けられている。待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各部屋のID(識別情報)を認識している。つまり、待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各部屋と紐付けされている。あるいは、待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各眼科装置のID(識別情報)を認識していてもよい。この場合には、待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各眼科装置と紐付けされる。
【0042】
待合端末300a等は、図2に表したように、「他覚測定室(1)」等の各部屋の入口近傍に設置された待合椅子のところに設定されていてもよい。あるいは、待合端末300a等は、「他覚測定室(1)」等の各部屋の中に設置されていてもよい。待合端末300a等は、通信機能を有し、被検者用タブレット100と通信可能とされている。具体的には、距離の短い無線通信、通信エリアは、数センチからおよそ1メートル程度の極短距離であり「非接触通信」とも呼ばれるBluetooth(登録商標)や赤外線通信等の「近距離無線通信」が可能な構成となっている。
【0043】
被検者用タブレット100は、通信機能を有している。具体的には、到達距離の短い無線通信、通信エリアは、数センチからおよそ1メートル程度の極短距離であり「非接触通信」とも呼ばれるBluetooth(登録商標)や赤外線通信等の「近距離無線通信」が可能な構成となっている。本実施形態の「近距離無線通信」としては、例えば、Bluetooth(登録商標)などのワイヤレスLAN通信や赤外線通信などが挙げられるが、本実施形態の「近距離無線通信」は、非接触型磁気カードや非接触型ICカードなどを利用した通信であってもよい。
【0044】
(眼科装置である「レフラクトメータ、ケラトメータ10」等の説明)
次いで、上述の眼科病院に配置される眼科装置である「レフラクトメータ、ケラトメータ10」等の主な装置について、説明する。
【0045】
(他覚測定室(1)関連)
・「レフラクトメータ、ケラトメータ10」(以下「レフラクトメータ等10」とする。)は、眼球の屈折特性を測定する眼屈折検査装置である。
・「眼圧計11」は眼圧を計測する装置である。具体的には、眼圧計11は、例えば、眼圧測定部を有し、非接触式又は接触式の眼圧計としての機能を備える。
非接触式眼圧計の場合、眼圧測定部は、たとえば、被検眼E(図6参照)の前眼部を撮影するための光学系と、この光学系と同軸に設けられたノズルから被検眼の角膜に気流を吹き付ける気流吹付部と、被検眼に固視標を提示する固視光学系とを含む。更に、眼圧測定部は気流が吹き付けられている状態の角膜の変形状態に基づいて被検眼の眼圧値を求めるプロセッサを含む。
一方、接触式の眼圧計の場合、眼圧測定部は、たとえば、被検眼Eの前眼部を観察するための光学系と、被検眼の角膜に一定面積の平面を有する部材を押し付けるための圧平部とを含む。
更に、眼圧測定部は、角膜の当該一定面積を圧平するのに必要な圧力を検出して被検眼の眼圧値を求めるプロセッサを含む。
・「スペキュラーマイクロスコープ12」は角膜の特性(角膜厚、細胞分布等)を検査する装置である。
なお、「他覚測定室(1)」に配置される装置は、自動化されているものもある。
(自覚検査室(2)関連)
・「視力検査装置13」は、提示された視標に対する応答に基づき視力を測定する装置である。この視力検査には時間がかかる傾向がある。
【0046】
(撮影検査室(3)関連)
・「眼底カメラ16」は、眼底を写真撮影するためのカメラである。
具体的には、眼底カメラ16は、眼底撮影部を有し、眼底撮影部は、眼底カメラとしての機能を備える。この眼底撮影部は、例えば、被検眼の眼底に照明光を照射するための照明光学系と、照明光の眼底からの戻り光をイメージセンサ(エリアセンサ)に導く撮影光学系と、被検眼に固視標を提示する固視光学系とを含む。
・「OCT装置17」は、光干渉を利用して眼底や前眼部の断面像や3次元データ、解析データを得るため光干渉断層計である。
具体的には、OCTが例えば、低コヒーレンス光源と分光器が搭載された、いわゆるスペクトラルドメイン(Spectral Domain)タイプのOCTを用いた光干渉断層計やスペクトラルドメイン以外のタイプ、たとえば、スウェプトソース(Swept Source)タイプのOCTの手法を用いた光干渉断層計がある。
スウェプトソースOCTとは、被写体に照射される光の波長を走査(波長掃引)し、各波長の光の反射光と参照光とを重ね合わせて得られる干渉光を順次に検出して、スペクトル強度分布を取得し、それに対して、フーリエ変換を施すことにより被写体を画像化する手法である。
【0047】
(暗室検査・特殊検査室(4)関連)
・「視機能検査装置18」は、視機能検査装置のみならず、視力測定用の視標(ランドルト環等)を呈示する視標呈示装置を含む。被検眼の視力測定を行うための機能を備える。
【0048】
(診察室1~4関連)
・診察室1~4には、それぞれ、「スリットランプ21a~21d」が配置されると共に、医師が在室し、各医師は「検者用タブレット」を有している。
「スリットランプ21a~21d」は、細隙灯とも呼ばれ、両方の目で見る検眼用の顕微鏡である。
【0049】
また、図1に表した管理サーバ40、監視端末50、被検者用タブレット100,検者用タブレット200a等、眼圧計11等は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バス等を介して接続されている。
【0050】
(被検者用タブレット100等の主な構成)
図3は、図1の被検者用タブレット100(検者用タブレット200a等)の主な構成を示す概略ブロック図である。
検者用タブレット200a等の構成は、被検者用タブレット100の構成と同様であるため、以下、被検者用タブレット100の構成のみ説明する。
被検者用タブレット100は、図3に示すように、「タブレット制御部103」を有していると共に、上述のように被検者用タブレット100が、眼科装置である眼圧計11等と通信するために使用される「タブレット側通信装置104」や上述の位置情報取得装置102を有している。
【0051】
また、被検者用タブレット100は、上述のタブレット側ディスプレイ101や、各種情報を入力するキーボード等のタブレット側各種情報入力部105、そして、各種情報を記憶するタブレット側各種情報記憶部106を有している。
そして、タブレット制御部103は、タブレット側通信装置104等を制御する構成となっている。
【0052】
(管理サーバ40の主な構成)
図4は、図1に示す管理サーバ40の主な構成を示す概略ブロック図である。
図4に示すように、管理サーバ40は、「サーバ制御部41」、他の機器と通信するための「サーバ側通信装置42」、各種情報を表示する「サーバ側ディスプレイ43」、各種情報を入力するキーボード等の「サーバ側各種情報入力部44」を有し、眼科装置、被検者用タブレット100、検者用タブレット200a等、待合端末300a等、監視端末50と通信回線2を介して通信可能に接続されている。
【0053】
また、管理サーバ40は、図4に示すように、「患者X情報記憶部45」および「病院配置図情報記憶部47」等を有するが、これらの構成については後述する。
図4のサーバ制御部41は、図4に示すサーバ側通信装置42等と接続され、これらを制御する構成となっている。
【0054】
(監視端末の主な構成)
図5は、図1に示す監視端末50の主な構成を示す概略ブロック図である。
図5に示すように、監視端末50は、「監視端末制御部501」、他の機器と通信するための「監視端末通信部502」、各種情報を表示する「監視端末ディスプレイ503」、各種情報を入力するキーボード等の「監視端末入力部504」を有する。監視端末ディスプレイ503および監視端末入力部504は、互いに一体化されていてもよい。すなわち、監視端末ディスプレイ503は、監視端末入力部504と一体化されたタッチパネル等のデバイスや、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)であってもよい。
【0055】
監視端末制御部501は、出力制御部512と、待ち時間算出部513と、を有する。監視端末制御部501は、監視端末通信部502等を制御する構成となっている。
【0056】
出力制御部512は、例えば監視端末通信部502を介して他の装置から受信した情報を出力するための制御を行う。出力される情報の例として視覚情報と音声情報がある。視覚情報は、視覚系により認識される情報であり、文字列情報や画像情報を含む。出力制御部512は、監視端末ディスプレイ503を制御することにより視覚情報を出力させる。出力される情報は、音声情報であってもよい。音声情報は、聴覚系により認識される情報であり、警告音や音声メッセージを含む。出力制御部512は、図示しない音声出力装置を制御することにより聴覚情報を出力させてもよい。
【0057】
待ち時間算出部513は、待合端末300a等から受信した時刻に関する情報(第1時刻データ)と、眼圧計11等から受信した時刻に関する情報(第2時刻データ)と、に基づいて被検者が眼圧計11等による検査(あるいは診察室における診療)を待機している待ち時間を算出する。
【0058】
また、監視端末50は、患者X(被検者)の情報を送受信する「患者X情報送受信部505」、被検者用タブレット100の位置情報を送受信する「位置情報送受信部506」、各種情報を記憶する「監視端末記憶部511」を有している。さらに、監視端末50は、「検査状況情報送受信部507」と、「検査情報送受信部508」と、「時刻送受信部509」と、「誘導情報生成部510」と、を有する。
【0059】
検査状況情報送受信部507は、眼圧計11等により生成された検査状況情報を眼圧計11等から受信したり、検査状況情報を他の装置(管理サーバ40、待合端末300a等、検者用タブレット200a等)に送信したりする。検査状況情報は、検査の進行状況(検査のフェーズ)、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)、検査時間(例えば、検査開始時刻、経過時間)などを含む。眼圧計11等が被検眼Eや被検者を撮影する機能を備える場合、検査状況情報は、被検眼E等の撮影画像(静止画像、動画像)を含んでよい。また、検査状況情報は、被検者の音声情報を含んでよい。
【0060】
検査情報送受信部508は、検査情報の送受信を行う。検査情報は、眼圧計11等と被検者用タブレット100との間でやり取りされた情報の少なくとも一部を含み、例えば監視端末記憶部511等に記録された情報である。検査情報は、眼圧計11等から検者用タブレット200a等に送信された情報の少なくとも一部を含んでよい。また、検査情報は、検者用タブレット200a等から眼圧計11等に送信された情報の少なくとも一部を含んでよい。検査情報の例としては、眼圧計11等の内部要素又は外部装置を制御するための情報(制御情報)や、眼圧計11等に入力された情報(入力情報)や、入力情報を処理して得られた情報(処理結果)などが挙げられる。
【0061】
時刻送受信部509は、待合端末300a等から時刻データを受信したり、他の装置(管理サーバ40、検者用タブレット200a等)に時刻データを送信したりする。また、時刻送受信部509は、眼圧計11等から受信した時刻データを受信したり、他の装置(管理サーバ40、検者用タブレット200a等)に時刻データを送信したりする。
【0062】
誘導情報生成部510は、待ち時間算出部513により生成された待ち時間に応じて、検査を待機している眼科装置以外の他の眼科装置が設置された検査室に割り当てられた待合端末300a等に患者Xを誘導する誘導情報を生成する。この詳細については、後述する。
【0063】
なお、監視端末50は、管理サーバ40と一体的に設けられていてもよい。また、管理サーバ40が、監視端末50の機能の少なくとも一部を実現してもよい。つまり、管理サーバ40が監視端末50を兼ねていてもよい。
【0064】
(眼科装置の主な構成)
図6は、図1に示す眼科装置の主な構成を示す概略ブロック図である。
眼科病院に配置される眼科装置である「レフラクトメータ、ケラトメータ10」等の主な構成は種々存在する。ここでは、本実施形態の眼科装置の主な構成を説明する。
【0065】
本実施形態の眼科装置は、「眼科装置制御部31」と、「検査部32」と、「ユーザインターフェイス(UI)部33」と、「眼科装置通信部34」と、を有する。眼科装置制御部31は、各種の制御や演算を実行する。検査部32は、眼科装置制御部31による制御を受けて被検眼Eの検査を実行する。検査部32は、眼科検装置の種別に応じた構成を備える。ユーザインターフェイス部33は、被検者(及び検者)に向けた情報を出力する機能と、情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。眼科装置通信部34は、他装置(管理サーバ40、被検者用タブレット100、検者用タブレット200a等、待合端末300a等)との間でデータ通信を行う。
【0066】
また、本実施形態の眼科装置は、「検査状況情報生成部35」と、「時刻データ生成部36」と、を有する。検査状況情報生成部35は、被検眼Eの検査の状況を表す検査状況情報を生成する。検査状況情報生成部35は、検査状況を監視しつつ検査状況情報を逐次に生成する。検査状況情報は、図5に関して前述した通りである。時刻データ生成部36は、検査が行われた時刻を示す情報(第2時刻データ)を生成する。例えば、時刻データ生成部36は、被検者が他覚測定室(1)等に入室し、被検者用タブレット100を眼圧計11等に近づけて通信を行ったときの時刻を第2時刻データとして生成する。
【0067】
(待合端末300a等の主な構成)
図7は、図1に示す待合端末300a等の主な構成を示す概略ブロック図である。
図7に示すように、待合端末300a~300iの構成は、互いに同様である。待合端末300a等は、「待合端末制御部301」、他の機器と通信するための「待合端末通信部302」、各種情報を表示する「待合端末ディスプレイ303」、各種情報を入力するキーボード等の「待合端末入力部304」を有する。
【0068】
また、待合端末300a等は、患者X(被検者)の情報を送受信する「患者X情報送受信部305」、被検者用タブレット100の位置情報を送受信する「位置情報送受信部306」、各種情報を記憶する「待合端末記憶部307」、「時刻データ生成部308」を有している。
待合端末制御部301は、待合端末通信部302等を制御する構成となっている。
【0069】
時刻データ生成部308は、被検者用タブレット100と待合端末300a等との間において近距離通信技術を介して通信が行われた時刻を示す情報(第1時刻データ)を生成する。例えば、時刻データ生成部308は、被検者が他覚測定室(1)等の待合空間に設置されている待合端末300a等に近づき、被検者用タブレット100を待合端末300a等に近づけて通信を行ったときの時刻を第1時刻データとして生成する。
【0070】
(眼科検査システムの主な動作例)
図8は、本実施形態に係る眼科検査システムの第1動作例を表すシーケンスチャートである。
本実施形態では、被検者である患者Xが眼科病院を訪れ、初診として受診し、各種の眼科装置等を用いて検査を受ける場合を例に以下、説明する。
【0071】
患者Xは眼科病院を訪問し、図2の受付で受け付けする。その際、自己の氏名等の個人情報等を提示する。すると、病院の担当者が患者XのID情報等(「識別情報」の一例)を生成し、「患者が初診である」情報、及び訪問先が「診察室1」である情報を管理サーバ40の図4の「患者X情報記憶部45」に登録する。
【0072】
次いで、受付が、来院する患者が院内で所持する「被検者用タブレット100」を有しているので、この被検者用タブレット100に、患者XのID情報(被検者ID:識別情報)、「患者が初診である」情報、及び訪問先が「診察室1」である情報を「被検者用タブレット100」に入力し、患者Xに貸与する。
【0073】
次いで、患者Xが、受け取った「被検者用タブレット100」を起動させると、タブレット側ディスプレイ101に図2に示す「病院配置図」が表示される。
この病院配置図は、図4に示すように管理サーバ40の「病院配置図情報記憶部47」に記憶され、この病院配置図は、患者Xに貸与される前に、受付等で、被検者用タブレット100が、管理サーバ40から受信する。
【0074】
また、ステップS11において、被検者用タブレット100は、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データ(位置情報)を生成する。具体的には、被検者用タブレット100の「位置情報取得装置102」が動作し、「被検者用タブレット100」の位置を測位する。これにより、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データ(位置情報)が生成される。
【0075】
なお、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データは、被検者用タブレット100により作成されることには限定されず、監視端末50や管理サーバ40(図1参照)により作成されてもよい。すなわち、監視端末50および管理サーバ40は、被検者用タブレット100が取得した位置情報に基づいて、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データを生成してもよい。本実施形態では、被検者用タブレット100が被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データを生成する場合を例に挙げる。
【0076】
なお、被検者用タブレット100の現在位置は、図2に示すように「病院配置図」上に丸印Pにより表示されてもよい。さらに、「被検者用タブレット100」のスピーカから音声で「診察室1に行ってください」という音声が出力されてもよい。
【0077】
これによれば、患者Xは、最初に「診察室1」に行くことを明確に把握することができると共に、自己の現在の位置(丸印P)と「診察室1」との位置関係を明確に把握することができる。そのため、患者Xは、容易かつ迷わずに「診察室1」に行くことができる。
【0078】
続いて、診察室1に設置されているスリットランプ21aを用いた被検眼Eの検査が開始される。このとき、被検者および検者の少なくともいずれかが、被検者用タブレット100をスリットランプ21aに近づけて通信を行う。検査の開始を受けて、ステップS12において、眼科装置(スリットランプ21a)の眼科装置制御部31は、検査状況情報生成部35に検査状況情報の生成を開始させる。なお、検査状況情報は、眼科装置により生成されることには限定されず、監視端末50や管理サーバ40により生成されてもよい。本実施形態では、眼科装置(スリットランプ21a)が検査状況情報を生成する場合を例に挙げる。
【0079】
一方で、ステップS13において、被検者用タブレット100は、患者Xに割り当てられた識別情報(被検者ID)と、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データと、を監視端末50に送信する。これにより、監視端末50は、患者Xに割り当てられた識別情報(被検者ID)を患者X情報送受信部505により受信し、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データを位置情報送受信部506により受信する。そして、ステップS14において、監視端末50は、患者Xに割り当てられた識別情報(被検者ID)と、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データと、を出力制御部512により監視端末ディスプレイ503に表示させる。
【0080】
なお、患者Xが目的の場所に到着していないことが判明した場合は、情報をわかりやすく変更して「被検者用タブレット100」の「タブレット側ディスプレイ101」に表示させたり、スタッフに声をかけるように「タブレット側ディスプレイ101」に表示させたりする構成ともなっている。また、自動的に監視装置(監視端末50)から、あるいは気づいた検者から「被検者用タブレット100」に呼び出しを行う構成としてもよい。
【0081】
続いて、ステップS15において、監視端末50は、スリットランプ21aに対して検査状況情報の要求データを送信する。例えば、受付担当者が監視端末ディスプレイ503により患者Xを確認し、監視端末入力部504により患者Xを選択すると、検査状況情報の要求データが監視端末50からスリットランプ21aに送信される。続いて、ステップS16において、スリットランプ21aは、監視端末50から眼科装置通信部34を介して検査状況情報の要求データを受信すると、検査状況情報生成部35により生成された検査状況情報を眼科装置通信部34を介して監視端末50に送信する。
【0082】
続いて、ステップS17において、監視端末50は、検査状況情報送受信部507により検査状況情報を受信し、出力制御部512により監視端末ディスプレイ503に表示させる。続いて、ステップS18において、監視端末50は、スリットランプ21aと被検者用タブレット100との間でやり取りされた検査情報を検査情報送受信部508により受信するとともに監視端末記憶部511に記録する。本実施形態の第1動作例では、スリットランプ21aと被検者用タブレット100との間でやり取りされた検査情報は、検査状況情報生成部35により生成された検査状況情報を含んでいる。
【0083】
続いて、ステップS19において、監視端末50は、監視端末記憶部511に記録された検査情報のうちで前回記録された検査情報と、今回記録された検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を、出力制御部512により監視端末ディスプレイ503に表示させる。
【0084】
なお、比較情報は、監視端末50により生成されることには限定されず、管理サーバ40により生成されてもよい。すなわち、管理サーバ40は、スリットランプ21a等の眼科装置と被検者用タブレット100との間でやり取りされた検査情報を受信し、比較情報を生成してもよい。本実施形態では、監視端末50が比較情報を生成する場合を例に挙げる。
【0085】
本実施形態の第1動作例によれば、例えば受付担当者などは、監視端末50の監視端末ディスプレイ503を確認することにより、被検者の位置や被検者用タブレット100の位置を把握することができる。そのため、例えば受付担当者などは、被検者に対して指示を出したり、監視端末50を操作することにより被検者用タブレット100に対して指示や情報などを送信したりすることができる。これにより、眼科診療の効率化を図ることができる。
【0086】
また、監視端末50は、検査状況情報を出力制御部512により監視端末ディスプレイ503に表示させる。検査状況情報は被検者(被検眼)の検査の状況を表しているため、例えば受付担当者などは、監視端末ディスプレイ503を確認することにより、被検者(被検眼)の検査の状況を把握することができる。
【0087】
また、監視端末50は、前回記録された検査情報と、今回記録された検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を、出力制御部512により監視端末ディスプレイ503に表示させる。これにより、例えば受付担当者などは、監視端末ディスプレイ503を確認することにより、検査情報、検査状況および眼科装置等の少なくともいずれかに異常が生じているか否かを把握することができる。
【0088】
図9は、本実施形態に係る眼科検査システムの第2動作例を表すシーケンスチャートである。
図9に表したステップS21は、図8に関して前述したステップS11の動作と同様である。
【0089】
なお、図8に関して前述したように、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データは、被検者用タブレット100により作成されることには限定されず、監視端末50や、管理サーバ40や、待合端末300a等により作成されてもよい。すなわち、監視端末50、管理サーバ40および待合端末300a等は、被検者用タブレット100が取得した位置情報に基づいて、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データを生成してもよい。本実施形態では、被検者用タブレット100が被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データを生成する場合を例に挙げる。
【0090】
一方で、ステップS22において、眼圧計11等の眼科装置は、装置ID(識別情報)を待合端末300a等に予め送信している。つまり、待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各眼科装置の装置ID(識別情報)を認識している。これにより、待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各眼科装置と紐付けされている。あるいは、待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各部屋の部屋ID(識別情報)を認識している。これにより、待合端末300a~300iのそれぞれは、「他覚測定室(1)」等の各部屋と紐付けされている。
【0091】
続いて、図9に表したステップS23およびステップS24は、図8に関して前述したステップS13およびステップS14の動作と同様である。
【0092】
ステップS24に続くステップS25において、患者Xが被検者用タブレット100を「診察室1」の待合空間に設置された待合端末300f(第1端末)に近づけると、被検者用タブレット100と待合端末300fとの間において近距離通信技術を介して通信が行われる。そうすると、被検者用タブレット100と待合端末300fとの間において、通信が開始される(ステップS25)。第2動作例における待合端末300fは、本発明の「第1待合端末」の一例である。
【0093】
被検者用タブレット100と待合端末300fとの間の通信が開始されると、ステップS26において、被検者用タブレット100は、患者Xに割り当てられた識別情報(被検者ID)と、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データと、を待合端末300fに送信する。これにより、待合端末300fは、患者Xに割り当てられた識別情報(被検者ID)を患者X情報送受信部305により受信し、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データを位置情報送受信部306により受信する。
【0094】
続いて、ステップS27において、待合端末300fは、被検者用タブレット100と待合端末300fとの間において近距離通信技術を介して通信が行われた時刻を示す第1時刻データを時刻データ生成部308により生成する。そして、ステップS28において、待合端末300fは、時刻データ生成部308により生成された第1時刻データを待合端末通信部302を介して監視端末50に送信する。
【0095】
なお、第1時刻データは、待合端末300a等により生成されることには限定されず、監視端末50や管理サーバ40により生成されてもよい。すなわち、監視端末50および管理サーバ40は、被検者用タブレット100と待合端末300a等との間において近距離通信技術を介して通信が行われた時刻を被検者用タブレット100および待合端末300a等の少なくともいずれかから受信し、その時刻に基づいて第1時刻データを生成してもよい。本実施形態では、待合端末300a等が第1時刻データを生成する場合を例に挙げる。
【0096】
続いて、被検者が診察室1に入室し、検査や検診が開始されると、ステップS29において、スリットランプ21aは、検査が行われた時刻を示す第2時刻データを時刻データ生成部36により生成する。例えば、スリットランプ21aは、被検者および検者の少なくともいずれかが被検者用タブレット100をスリットランプ21aに近づけて通信を行ったときの時刻を第2時刻データとして時刻データ生成部36により生成する。そして、ステップS30において、スリットランプ21aは、時刻データ生成部36により生成された第2時刻データを眼科装置通信部34を介して監視端末50に送信する。
【0097】
なお、第2時刻データは、スリットランプ21a等の眼科装置により生成されることには限定されず、監視端末50や管理サーバ40により生成されてもよい。すなわち、監視端末50および管理サーバ40は、被検者および検者の少なくともいずれかが被検者用タブレット100を眼科装置に近づけて通信を行ったときの時刻を、被検者用タブレット100および眼科装置の少なくともいずれかから受診し、その時刻に基づいて第2時刻データを生成してもよい。本実施形態では、スリットランプ21a等の眼科装置が第2時刻データを生成する場合を例に挙げる。
【0098】
続いて、ステップS31において、監視端末50は、待合端末300fから時刻送受信部509により受信した第1時刻データと、スリットランプ21aから時刻送受信部509により受信した第2時刻データと、に基づいて被検者がスリットランプ21aによる検査(あるいは診察室1における診察)を待機している待ち時間を待ち時間算出部513により算出する。例えば、待ち時間算出部513は、第1時刻データと第2時刻データとの差分を算出し、その差分値を待ち時間とする。そして、ステップS32において、監視端末50は、待ち時間算出部513により算出された待ち時間を、出力制御部512により監視端末ディスプレイ503に表示させる。
【0099】
なお、待ち時間は、監視端末50により生成されることには限定されず、管理サーバ40により生成されてもよい。すなわち、例えば、管理サーバ40は、第1時刻データを待合端末300a等から受信し、第2時刻データをスリットランプ21a等の眼科装置から受信し、第1時刻データおよび第2時刻データに基づいて待ち時間を算出してもよい。そして、管理サーバ40は、待ち時間を監視端末50に送信してもよい。本実施形態では、監視端末50が待ち時間を算出する場合を例に挙げる。
【0100】
続いて、ステップS33において、監視端末50は、待ち時間算出部513により算出された待ち時間を監視端末通信部502を介して検者用タブレット200a等に送信する。そして、ステップS34において、検者用タブレット200a等は、監視端末50からタブレット側通信装置104を介して待ち時間を受信し、タブレット側ディスプレイ101に表示させる。
【0101】
続いて、ステップS35において、監視端末50は、待ち時間算出部513により算出された待ち時間に基づいて、被検者がスリットランプ21aによる検査(あるいは診察室1における診察)を待機している待ち時間が長いか否か、すなわちスリットランプ21aによる検査(診察室1における診療)が混雑しているか否かを判断する。具体的には、監視端末50は、待ち時間算出部513により算出された待ち時間が所定の時間よりも長いか否かを判断する。
【0102】
被検者がスリットランプ21aによる検査(あるいは診察室1における診察)を待機している待ち時間が長い場合には(ステップS35:YES)、ステップS36において、監視端末50は、誘導情報生成部510により誘導情報を生成する。例えば、監視端末50は、患者Xが待機しているスリットランプ21a以外の他の眼科装置(例えば眼圧計11)が設置された検査室(例えば他覚測定室(1))に割り当てられた待合端末300a(第2待合端末)に患者Xを誘導する。第2動作例における待合端末300aは、本発明の「第2待合端末」の一例である。つまり、監視端末50の誘導情報生成部510により生成される誘導情報は、第1待合端末に紐付けられた眼科装置以外の他の眼科装置が設置された検査室に割り当てられた第2待合端末に被検者を誘導するための情報である。
【0103】
なお、誘導情報は、監視端末50により生成されることには限定されず、管理サーバ40により生成されてもよい。すなわち、例えば、管理サーバ40は、待ち時間が所定の時間よりも長いか否かを判断し、待ち時間が長い場合には誘導情報を生成してもよい。本実施形態では、監視端末50が誘導情報を生成する場合を例に挙げる。
【0104】
続いて、ステップS37において、監視端末50は、ステップS36において生成した誘導情報を監視端末通信部502を介して被検者用タブレット100に送信する。続いて、ステップS38において、被検者用タブレット100は、被検者用タブレット100の位置データと、第2待合端末(例えば待合端末300f以外の待合端末300a)に割り当てられた識別情報と、に基づいて、被検者用タブレット100の現在位置と、第2待合端末(例えば待合端末300a)と、の位置関係をタブレット側ディスプレイ101に表示する。また、被検者用タブレット100は、被検者用タブレット100の現在位置から第2待合端末(例えば待合端末300a)までの順路をタブレット側ディスプレイ101に表示する。
【0105】
ステップS32に続くステップS35において、被検者がスリットランプ21aによる検査(あるいは診察室1における診察)を待機している待ち時間が短い場合には(ステップS35:NO)、監視端末50は、誘導情報を生成せずに動作を終了する。
【0106】
本実施形態の第2動作例によれば、監視端末50は、被検者がスリットランプ21a(眼科装置)による検査(あるいは診察室1における診察)を待機している待ち時間を算出し、監視端末ディスプレイ503に表示する。これにより、例えば受付担当者は、監視端末50の監視端末ディスプレイ503を確認することにより、眼科装置等による検査を待機している被検者の待機状態(混雑状況)を把握することができる。
【0107】
また、被検者がスリットランプ21aによる検査(あるいは診察室1における診察)を待機している待ち時間が長い場合には、監視端末50は、誘導情報を生成し、被検者用タブレット100に送信する。これにより、待合端末300f(第1待合端末)が設置された診察室1のスリットランプ21a(眼科装置)による検査を待機している被検者の待ち時間が長い場合には、監視端末50は、待合端末300f(第1待合端末)が設置された診察室1よりも空いている他覚測定室(1)等の待合端末300a等(第2待合端末)に被検者を誘導することができる。そのため、眼科診療のさらなる効率化を図ることができる。
【0108】
また、被検者用タブレット100は、被検者用タブレット100の位置データと、待合端末300a(第2待合端末)に割り当てられた識別情報と、に基づいて、被検者用タブレット100の現在位置と、待合端末300a(第2待合端末)と、の位置関係をタブレット側ディスプレイ101に表示するとともに、被検者用タブレット100の現在位置から待合端末300a(第2待合端末)までの順路をタブレット側ディスプレイ101に表示する。これにより、被検者は、待合端末300f(第1待合端末)とは異なる待合端末300a(第2待合端末)に誘導される場合であっても、眼科病院内で迷うことなく、比較的短時間で待合端末300f(第1待合端末)から待合端末300a(第2待合端末)に移動することができる。
【0109】
また、監視端末50は、被検者がスリットランプ21a(眼科装置)による検査(あるいは診察室1における診察)を待機している待ち時間を検者用タブレット200a等に送信する。これにより、検者は、検者用タブレット200a等を確認することにより、スリットランプ21a(眼科装置)による検査(あるいは診察室1における診察)を待機している被検者の待機状態(混雑状況)を把握することができる。
【0110】
なお、検査室が混雑している例としては、次のような事例が挙げられる。すなわち、例えば、現在、他の被検者が白内障のため、図1の「他覚測定室(1)」の「レフラクトメータ、ケラトメータ10」の測定が困難で測定に時間が掛かっており、同装置のエラーが頻発し、「混雑」している場合がある。また、現在、「撮像検査室(3)」の「眼底カメラ16」のキセノンランプが発光しないエラーが発生し、例えば、2台の「眼底カメラ16」のうち、1台が使用不可となり、「混雑」している場合がある。例えば、このような場合において、監視端末50は、第1待合端末が設置された検査室よりも空いている検査室の第2待合端末に患者Xを誘導することができる。そのため、眼科診療のさらなる効率化を図ることができる。
【0111】
図10は、本実施形態に係る眼科検査システムの第3動作例を表すシーケンスチャートである。
図10に表したステップS41~S44は、図8に関して前述したステップS11~S14の動作と同様である。
【0112】
なお、図8に関して前述したように、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データは、被検者用タブレット100により作成されることには限定されず、監視端末50や、管理サーバ407、待合端末300a等により作成されてもよい。本実施形態では、被検者用タブレット100が被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データを生成する場合を例に挙げる。また、図8に関して前述したように、検査状況情報は、眼科装置により生成されることには限定されず、監視端末50や管理サーバ40により生成されてもよい。本実施形態では、眼科装置(スリットランプ21a)が検査状況情報を生成する場合を例に挙げる。
【0113】
ステップS44に続くステップS45において、監視端末50は、患者Xに割り当てられた識別情報(被検者ID)と、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データと、を監視端末通信部502を介して検者用タブレット200a等に送信する。そして、ステップS46において、検者用タブレット200a等は、監視端末50からタブレット側通信装置104を介して、患者Xに割り当てられた識別情報(被検者ID)と、被検者用タブレット100の現在位置を示す位置データと、を受信し、タブレット側ディスプレイ101に表示させる。
【0114】
続いて、ステップS47において、検者用タブレット200a等は、スリットランプ21aに対して検査状況情報の要求データを送信する。例えば、検者がタブレット側ディスプレイ101により患者Xを確認し、タブレット側各種情報入力部105により患者Xを選択すると、検査状況情報の要求データが検者用タブレット200a等からスリットランプ21aに送信される。なお、タブレット側ディスプレイ101は、タブレット側各種情報入力部105と一体化されたタッチパネル等のデバイスや、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)であってもよい。
【0115】
続いて、ステップS48において、スリットランプ21aは、検者用タブレット200a等から眼科装置通信部34を介して検査状況情報の要求データを受信すると、検査状況情報生成部35により生成された検査状況情報を眼科装置通信部34を介して検者用タブレット200a等に送信する。そして、ステップS49において、検者用タブレット200a等は、スリットランプ21aからタブレット側通信装置104を介して検査状況情報を受信し、タブレット側ディスプレイ101に表示させる。
【0116】
続いて、図10に表したステップS50は、図8に関して前述したステップS18の動作と同様である。続いて、ステップS51において、監視端末50は、監視端末記憶部511に記録された検査情報のうちで前回記録された検査情報と、今回記録された検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を監視端末通信部502を介して検者用タブレット200a等に送信する。そして、ステップS52において、検者用タブレット200a等は、監視端末50からタブレット側通信装置104を介して比較情報を受信し、タブレット側ディスプレイ101に表示させる。
【0117】
なお、図8に関して前述したように、比較情報は、監視端末50により生成されることには限定されず、管理サーバ40により生成されてもよい。すなわち、管理サーバ40は、スリットランプ21a等の眼科装置と被検者用タブレット100との間でやり取りされた検査情報を受信し、比較情報を生成してもよい。本実施形態では、監視端末50が比較情報を生成する場合を例に挙げる。
【0118】
本実施形態の第3動作例によれば、検者は、検者用タブレット200a等のタブレット
側ディスプレイ101を確認することにより、被検者の位置や被検者用タブレット100の位置を把握することができる。そのため、検者は、被検者に対して指示を出したり、検者用タブレット200a等を操作することにより被検者用タブレット100に対して指示や情報などを送信したりすることができる。これにより、眼科診療の効率化を図ることができる。
【0119】
また、監視端末50は、検査状況情報を検者用タブレット200a等に送信し、タブレット側ディスプレイ101に表示させる。検査状況情報は被検者(被検眼)の検査の状況を表しているため、検者は、タブレット側ディスプレイ101を確認することにより、被検者(被検眼)の検査の状況を把握することができる。
【0120】
また、監視端末50は、前回記録された検査情報と、今回記録された検査情報と、の間の比較関係を示す比較情報を検者用タブレット200a等に送信し、タブレット側ディスプレイ101に表示させる。これにより、検者は、タブレット側ディスプレイ101を確認することにより、検査情報、検査状況および眼科装置等の少なくともいずれかに異常が生じているか否かを把握することができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
本実施の形態では、眼科病院の検査室等を例に説明したが、本発明は、これに限らず、他の施設、例えば、さまざまな手続きを行う窓口の会計、入院事務、院内調剤等にも適用される。
【符号の説明】
【0122】
1・・・眼科検査システム、 2・・・通信回線、 10・・・レフラクトメータ、ケラトメータ、 11・・・眼圧計、 12・・・スペキュラーマイクロスコープ、 13・・・視力検査装置、 14・・・フォロプター、 15・・・検眼システム、 16・・・眼底カメラ、 17・・・OCT装置、 18・・・視機能検査装置、 19・・・マイクロペリメータ、 20・・・視野計、 21a~21d・・・スリットランプ、 31・・・眼科装置制御部、 32・・・検査部、 33・・・ユーザインターフェイス部、 34・・・眼科装置通信部、 35・・・検査状況情報生成部、 36・・・時刻データ生成部、 40・・・管理サーバ、 41・・・サーバ制御部、 42・・・サーバ側通信装置、 43・・・サーバ側ディスプレイ、 44・・・サーバ側各種情報入力部、 45・・・患者X情報記憶部、 47・・・病院配置図情報記憶部、 50・・・監視端末、 100・・・被検者用タブレット、 101・・・タブレット側ディスプレイ、 102・・・位置情報取得装置、 103・・・タブレット制御部、 104・・・タブレット側通信装置、 105・・・タブレット側各種情報入力部、 106・・・タブレット側各種情報記憶部、 200a~200f・・・検者用タブレット、 300a~300i・・・待合端末、 301・・・待合端末制御部、 302・・・待合端末通信部、 303・・・待合端末ディスプレイ、 304・・・待合端末入力部、 305・・・患者X情報送受信部、 306・・・位置情報送受信部、 307・・・待合端末記憶部、 308・・・時刻データ生成部、 501・・・監視端末制御部、 502・・・監視端末通信部、 503・・・監視端末ディスプレイ、 504・・・監視端末入力部、 505・・・患者X情報送受信部、 506・・・位置情報送受信部、 507・・・検査状況情報送受信部、 508・・・検査情報送受信部、 509・・・時刻送受信部、 510・・・誘導情報生成部、 511・・・監視端末記憶部、 512・・・出力制御部、 513・・・待ち時間算出部、 E・・・被検眼、 X・・・患者



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10