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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A47J27/00 105A
A47J27/00 103B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017219182
(22)【出願日】2017-11-14
(65)【公開番号】P2018089363
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2016235050
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 富和
(72)【発明者】
【氏名】牧野 充昌
(72)【発明者】
【氏名】十河 桜子
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-213546(JP,A)
【文献】登録実用新案第3175528(JP,U)
【文献】特開2004-350900(JP,A)
【文献】特開2001-309854(JP,A)
【文献】特開2013-215395(JP,A)
【文献】特開2001-224499(JP,A)
【文献】特開2005-058580(JP,A)
【文献】特開2005-185438(JP,A)
【文献】特開2007-333368(JP,A)
【文献】特開2013-188425(JP,A)
【文献】特開2003-304977(JP,A)
【文献】特開2008-228983(JP,A)
【文献】特開2010-187914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱容器が収納される加熱室を有する加熱室体と、
前記加熱室に収納された被加熱容器を加熱する加熱手段と、
この加熱手段が設けられた装置本体とを備え、
前記加熱室体は、前記装置本体に対して着脱可能になっている加熱調理装置であって、
前記加熱室体は、
前記加熱室の周囲に位置し、断熱材によって構成された周壁と、
前記周壁の外周面を覆う保護カバーと、
前記保護カバーの上端部に設けられ、前記周壁の上面を覆う上板とを有し、
加熱調理の際には前記加熱室体が前記装置本体内に挿入されて設置され、清掃の際には前記加熱室体が前記装置本体内から取り出される
ことを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
加熱室体の上板は、被加熱容器を支える
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項3】
加熱室体の上板は、
環状の平板部と、
前記平板部の上面に突設され、被加熱容器を支持する支持突部と、
前記平板部の内周端に突設され、被加熱容器を位置決めする位置決め突部とを有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理装置。
【請求項4】
加熱室体は、前記保護カバーおよび前記上板からなるカバー体を有し、
前記加熱室体の周壁が前記カバー体内に嵌合されることによって、前記加熱室体が構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の加熱調理装置。
【請求項5】
鍔部を有する被加熱容器が加熱室体に対してセットされた状態で、前記鍔部と前記加熱室体の上板との間に排気用の隙間が存在する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の加熱調理装置。
【請求項6】
排気用の隙間から排出される排気の流れを上向きに変更する流れ変更手段を備える
ことを特徴とする請求項5記載の加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱容器を加熱する加熱調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された加熱調理装置が知られている。
【0003】
この従来の加熱調理装置は、例えば炊飯用釜等の被加熱容器が収納される加熱室を有する加熱室体と、この加熱室体の加熱室に収納された被加熱容器を加熱する面燃焼バーナ等の加熱手段と、この加熱手段が設けられた装置本体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-350900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の加熱調理装置では、例えば被加熱容器からの噴きこぼれ等によって加熱室体に汚れが付着した場合に、その付着した汚れを除去しにくいという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、汚れを容易に除去することができる加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の加熱調理装置は、被加熱容器が収納される加熱室を有する加熱室体と、前記加熱室に収納された被加熱容器を加熱する加熱手段と、この加熱手段が設けられた装置本体とを備え、前記加熱室体は、前記装置本体に対して着脱可能になっているものである。
【0008】
請求項2記載の加熱調理装置は、請求項1記載の加熱調理装置において、加熱室体は、加熱室の周囲に位置する周壁と、この周壁の外周面を覆う保護カバーとを有するものである。
【0009】
請求項3記載の加熱調理装置は、請求項2記載の加熱調理装置において、加熱室体の周壁は、蓄熱性を有する断熱材によって構成されているものである。
【0010】
請求項4記載の加熱調理装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載の加熱調理装置において、装置本体は、被加熱容器の底面と対向する底壁を有し、前記底壁は、蓄熱性を有する断熱材によって構成されているものである。
【0011】
請求項5記載の加熱調理装置は、請求項4記載の加熱調理装置において、底壁は、加熱手段の環状加熱部の内周側に配設されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、汚れを容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理装置の概略断面図である。
図2】同上加熱調理装置の正面図である。
図3】同上加熱調理装置の平面図である。
図4】同上加熱調理装置の加熱室体を取り外す際の説明図である。
図5】同上加熱室体の斜視図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る加熱調理装置の概略断面図である。
図7】同上加熱調理装置の部分断面図である。
図8】同上加熱調理装置の排気リング(誘導体)の斜視図である。
図9】本発明の第3の実施の形態に係る加熱調理装置の概略断面図である。
図10】同上加熱調理装置の部分断面図である。
図11】同上加熱調理装置の排気リング(誘導体)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図5を参照して説明する。
【0015】
図中の1は加熱調理装置で、この加熱調理装置1は、例えば1個の被加熱容器である羽釜2を加熱して炊飯(加熱調理)を行う炊飯装置(炊飯器)である。
【0016】
炊飯釜である羽釜2は、鍔部5を有する金属製の釜本体3と、この釜本体3の上面開口6を開閉する木製の蓋体4とを備えている。
【0017】
釜本体3は、中央に向けて下り傾斜した円板状の底板部7と、この底板部7に立設された円筒状の側板部8と、この側板部8の上下方向中央部に外方に向かって突設された円環状の鍔部5とを有している。側板部8は、截頭円錐状をなす上側部分8aと、逆截頭円錐状をなす下側部分8bとにて構成されており、これら上側部分8aと下側部分8bとの連結部に鍔部5が一体に設けられている。
【0018】
蓋体4は、釜本体3の側板部8の上端に載置されて上面開口6を閉じる円板状の蓋部9と、この蓋部9の上面に上方に向かって突設された取手部10とを有している。
【0019】
加熱調理装置1は、羽釜2の少なくとも一部、すなわち例えば羽釜2のうち鍔部5よりも下方に位置する部分が収納される加熱室(空間部)11を内部に有する上下面開口状で円筒状(略円筒状を含む)の加熱室体12と、この加熱室体12の加熱室11に収納された羽釜2を加熱するガスバーナ式の加熱手段13とを備えている。また、加熱調理装置1は、加熱手段13が固定的に設けられた装置本体14と、加熱手段13を制御する制御手段15とを備えている。
【0020】
そして、加熱室体12は、羽釜2からの噴きこぼれ等の汚れを容易に除去できるように、装置本体14に対して着脱可能になっている。つまり、加熱室体12は、装置本体14内へ上方から挿入して加熱手段13の上部を覆うように設置し、また上方へ持ち上げて装置本体14内から取外しができるように着脱可能に設けられている。
【0021】
加熱室体12は、加熱室11の周囲に位置する円筒状の周壁(かまど周壁部)21と、この周壁21の外周面を覆う円筒状の保護カバー22と、この保護カバー22の上端部に固設された円環状の上板23とを有している。
【0022】
そして、周壁21の内周面における上下方向中間部(例えば上下方向中央よりも若干上方の部分)には、加熱室11において加熱手段13側からの熱、つまり熱気(混合ガスの燃焼により生じた燃焼ガス)が上方へ移動するのを抑制する円環状の熱移動抑制部である突出部25が突出形成されている。つまり、周壁21は、加熱室11に収納された羽釜2内の水面(すなわち炊飯を行うために羽釜2内に米と炊飯用水を入れたときの水面)と同じ高さ(略同じ高さを含む)に位置する内方突出状の熱移動抑制用の突出部25を有している。また、周壁21の内周面における下部には、燃焼ガスの流れを遮らない形状であって、周壁21の上部側の厚さより厚くした円筒面27および傾斜面28を有する突出壁部26が突出形成されている。
【0023】
このように、周壁21は、外周面全体が保護カバー22で覆われた円筒状の周壁部24と、この周壁部24の内周面上部に一体に突設された熱移動抑制用の突出部25と、周壁部の内周面下部に一体に突設された突出壁部26とを有している。なお、熱移動抑制用の突出部25は、水平面状の上面25aと、水平面状の下面25bと、これら上下面25a,25bの内周端間に位置して羽釜2の側板部8と離間対向する鉛直面状の対向面25cとを有している。そして、突出部25の上面25aは、加熱室11に収納された羽釜2内の水面と同じ高さに位置する。
【0024】
また、上板23は、円環状の平板部31と、この平板部31の上面に突設され羽釜2の鍔部5を支持する複数、例えば3つの支持突部(排熱用突部)32と、平板部31の内周端に突設され羽釜2を所定位置(羽釜2の中央と加熱室11の中央とが一致する位置)に位置決めする複数、例えば3つの位置決め突部33とを有している。なお、支持突部32の突出高さは、加熱室11内で熱気を停滞させるため、必要最小限の高さとなるように調節されている。
【0025】
なお、周壁21は、蓄熱性を有する断熱材によって構成されている。つまり、ここでの断熱材は、加熱手段13からの熱を加熱室11外へ伝え難くするとともに、一旦吸収してしまった熱を徐々に放熱しながら冷めていくものである。また、保護カバー22および上板23からなるカバー体20は、例えば外部からの圧力などにより周壁21が損傷を生じないように所定以上の強度を有する金属で構成されており、このカバー体20によって周壁21が保護されている。そして、断熱材からなる周壁21がカバー体20内に嵌合されることによって加熱室体12が構成されており、この加熱室体12は、加熱室11の上面に位置する釜挿入用の上面開口部36および加熱室11の下面に位置するバーナ挿入用の下面開口部37を有している(図4参照)。
【0026】
加熱手段13は、加熱室11で混合ガスの燃焼により燃焼ガス(熱気)を生じさせて羽釜2を加熱する円環状のガスバーナ(リングバーナ)41を有している。このガスバーナ41は、下面開口部37に挿入されて加熱室11の底部に位置するように、装置本体14のバーナ支持部46に固設されている。
【0027】
また、バーナ支持部46には、周壁21と同様の蓄熱性を有する断熱材からなる円形状の底壁47が固設されている。この底壁47は、環状加熱部であるガスバーナ41の内周側でかつ加熱室11の底部に位置し、羽釜2の底板部7の中央部(底面の中央部)と離間対向する。このため、羽釜2の底板部7の中央部は、加熱終了後において底壁47からの放熱もあってその温度が急激に低下することがない。
【0028】
なお、底壁47の上下方向寸法(厚さ寸法)は、蓄熱作用の効果が十分得られる程度の大きさであり、例えばガスバーナ41の上下方向寸法よりも大きい。つまり、底壁47の上面47aは、ガスバーナ41の上面41aよりも上方に位置している。また、底壁47は、ガスバーナ41の炎孔から立ち上がる炎を遮らない形状であって、例えば水平な上面47aおよび傾斜面47bを有した略截頭円錐形状に形成されている。
【0029】
さらに、底壁47とガスバーナ41との間には円環状の第1隙間48が存在し、ガスバーナ41と支持板(二次空気調整板)50との間には円環状の第2隙間49が存在している。そして、加熱時においては、ガスバーナ41へガス供給管(図示せず)から混合ガスが供給されるが、この混合ガスの燃焼に必要な二次空気(外気)は、第1隙間48および第2隙間49を通って加熱室11に供給される(図1参照)。なお、第1隙間48および第2隙間49は、いずれも必要最低限の大きさであり、余分な外気が加熱室11に入り込んで、加熱室11内に停滞している熱気の温度を低下させないようになっている。
【0030】
装置本体14は、羽釜2を用いて炊飯を行う炊飯装置としていることから、例えば土や石等で作られる昔風のかまどの外観となるように、上面化粧板51および側面化粧板52を有して羽釜2による実際の炊き上がり状態までも展示可能としている。上面化粧板51には、加熱室体挿入用の孔部53が円形状に形成されている。また、上面化粧板51は、側面化粧板52の上端部に着脱可能に取り付けられている。
【0031】
そして、加熱室体12は、上面化粧板51の孔部53への挿入により上板23が上面化粧板51と近接した状態(上板23の下面と上面化粧板51の上面との間に若干の間隙が存在する状態でもよく、当該間隙がなく上板23の下面と上面化粧板51の上面が互いに接触した状態でもよい)で、周壁21の下面が装置本体14の支持板50上に当接して載置されることで、装置本体14に取り付けられる。なお、清掃の際には、加熱室体12を持ち上げるようにして装置本体14から取り外すこと、つまり装置本体14内から取り出すことが可能である。
【0032】
次に、加熱調理装置1の作用等について説明する。
【0033】
図1に示すように、例えば3キロの米と炊飯用水とを釜本体3内に投入した羽釜2を位置決め突部33によって誘導させながら加熱室体12の支持突部32上に載置することで、羽釜2のうち鍔部5よりも下方に位置する部分を加熱室11に収納する。つまり、米および水が入った1個の羽釜2を加熱室体12に対してセットする。
【0034】
この状態では、羽釜2の鍔部5と加熱室体12の上板23との間には、排気用の隙間55が存在している。また、羽釜2内の炊飯用水の水面は加熱室体12の周壁21の突出部25と同じ高さに位置しており、この突出部25と羽釜2の側板部8との間には隙間56が存在している。
【0035】
そして、加熱手段13のガスバーナ41に混合ガスが供給され、この混合ガスの燃焼により高温の燃焼ガスである熱気が発生すると、この発生した熱気によって羽釜2が加熱される。
【0036】
このとき、周壁21の突出部25が熱気の上方への移動を抑制するため、熱気は、羽釜2の底板部7から側板部8に向けて流れ、また、周壁21の内周面に沿って上昇し、突出部25の下面25bに当って羽釜2の側板部8に向けて流れるなどして、底板部7および側板部8を加熱した後においても、加熱室11のうち突出部25よりも下方に位置する空間部分に停滞して充満する。また、支持突部32の高さを調節しているため、熱気が必要以上に加熱室11から排出していくことを防ぐ。このため、その停滞した熱気によって羽釜2内の米および水が効率的に加熱される。
【0037】
なお、羽釜2を加熱した後の熱気は、羽釜2の側板部8と突出部25との間の隙間56と、加熱室11のうち突出部25よりも上方に位置する空間部分と、排気用の隙間55とを順次通って、加熱室11外へ排気として排出される。
【0038】
そして、加熱されていった羽釜2では、米飯へと炊き上げられて沸騰状態となったとき、煮汁が羽釜2から噴きこぼれる場合がある。この噴きこぼれた煮汁は、羽釜2の鍔部5を伝って落下し、加熱室体12の上板23や上面化粧板51の周辺に付着し、ときには、羽釜2の側板部8や加熱室体12の保護カバー22を伝って装置本体14内にまで落下してその周辺に付着することとなる。
【0039】
また、予め設定された時間の加熱が終了すると、ガスバーナ41によるガス燃焼が停止するが、熱移動抑制用の突出部25を有していることで、突出部25よりも下方に位置する空間部分には、熱気をできる限り残留させるとともに、蓄熱性を有する断熱材からなる周壁21および底壁47に蓄熱された熱を放熱することとなり、加熱室11内の温度が急激に低下することなく、高温の蒸らしが行われる。こうして、羽釜2内の米が炊き上がって米飯となる。
【0040】
そして、加熱調理装置1によれば、加熱室体12の周壁21は、加熱手段13側からの熱が上方へ移動するのを抑制して熱を停滞させる突出部25を有するため、羽釜2の鍔部5付近まで無駄に加熱されることを防止でき、よって加熱効率よく加熱調理することができる。
【0041】
また、加熱室体12の周壁21および装置本体14の底壁47は、蓄熱性を有する断熱材によって構成されているため、加熱手段13による加熱終了後、羽釜2の温度が急激に低下するのを防止でき、よって周壁21および底壁47に蓄熱された熱で蒸らしを行うことができる。
【0042】
また、特に周壁21の下部に位置する突出壁部26および底壁47の厚さを周壁21の上部側より厚くすることで、ガスの燃焼に必要な二次空気を供給している第1隙間48および第2隙間49から、加熱終了後も進入してくる外気によって、加熱室11内の温度を低下させてしまうことに対し、蓄熱される熱が多く、また長い時間放熱できるようにして、加熱室11内の温度が急激に低下することを防ぐとともに、第1隙間48および第2隙間49に近い羽釜2の底板部7(特に中央部)が冷やされていくことを防いで高温の蒸らしを行うことができる。
【0043】
さらに、加熱調理時に羽釜2からの噴きこぼれ等によって加熱室体12や上面化粧板51に汚れが付着した場合であっても、清掃の際に加熱室体12を装置本体14から取り外すことができるため、加熱室体12や上面化粧板51に付着した汚れを容易に除去することができる。
【0044】
つまり、加熱調理が終了した後、釜本体3や蓋体4を洗うことはもちろん、加熱室体12や装置本体14までも炊飯加熱時に噴きこぼれた煮汁などが付着して、汚れが生じていれば、その付着物などの汚れを取り除くこととなる。
【0045】
このとき、加熱室体12を装置本体14から持ち上げて取り外すことによって、加熱室体12の円筒状からなる保護カバー22の表面や円環状の上板23の裏表面(上下面)の隅々まで、目視しながら、噴きこぼれた煮汁などの汚れを容易に取り除くことができる。
【0046】
また加熱室体12を取り外すことで、上面化粧板51の表面である上面、特に上板23が重なっていた部分や、ガスバーナの表面および加熱室体12が載置されていた支持板50など、加熱室体12の影となって、噴きこぼれた煮汁などの付着物を取り除くことが難しい部分であっても、容易に清掃ができ、当該部分から汚れを容易に除去できる。
【0047】
さらに、上面化粧板51も側面化粧板52から取り外すことができることから、上面化粧板51に付着した汚れはもちろん、装置本体14の内部全体までも容易に清掃を行うことができる。
【0048】
また、加熱室体12は、周壁21の外周面全体を覆う保護カバー22を有するため、加熱室体12を取り外した際に保護カバー22で周壁21を適切に保護でき、よって断熱材からなる周壁21の損傷を防止できる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について図6ないし図8を参照して説明する。
【0050】
第2の実施の形態に係る加熱調理装置1は、上記第1の実施の形態において、羽釜2の鍔部5と加熱室体12の上板23とにより水平方向に向かって外方へ開口した排気用の隙間55から自由に排出される熱気(排気)の流れを水平向き(横向き)から強制的に上向きへと変更する流れ変更手段である排気リング61を付加したものである。
【0051】
つまり、この加熱調理装置1は、上記第1の実施の形態とは異なり、加熱室体12の上板23の上面上に着脱可能に載置され、加熱室11側からの熱気(排気用の隙間55を通過した後の水平方向に流れる排気)が水平方向の流れのまま装置本体14の周囲に向かって排出されないように当該熱気を上方へ誘導する円環状の誘導体である排気リング61を備えている。
【0052】
ここで、断面L字状の排気リング61は、図8に示すように、上板23の平板部31の上面上に着脱可能に水平状(略水平状も含む)に載置される円環状の載置板部(水平面部)62と、この載置板部62の外周端部に当該載置板部62に対して垂直状(垂直状を含む)に立設され、熱気を上方へ誘導する誘導板部(垂直面部)63とを有している。
【0053】
載置板部62は、その内周端部における複数箇所、すなわち例えば120度間隔をおいた3箇所には、上板23の支持突部32と嵌脱可能に嵌合(係合)する位置決め用の係合凹部である凹状部分65が形成されている。
【0054】
また、流れ変更用の誘導板部63は、周方向の一部に切欠部分(前方に向かって開口する開口部分)66を有したC字状に形成されている。つまり、加熱調理装置1を展示する場合、昔風のかまどの外観としたかまどと、そのかまどに載置した状態の羽釜2がそのまま見えることを必要として、この誘導板部63は、載置板部62の外周端部の全周ではなくその一部(例えば略3分の2の部分)のみに立設されている。なお、例えば誘導板部63の切欠部分66は用途に応じてどの位置でもよく、また例えば円環状の誘導板部を載置板部62の外周端部の全周にわたって立設した構成でもよい。
【0055】
そして、排気リング61の載置板部62の3つの凹状部分65と加熱室体12の上板23の3つの支持突部32とを互いに嵌合させて、排気リング61を上板23上に載置すると、その排気リング61は、上板23に対して所定位置に位置決めされた状態となる。
【0056】
この際、排気リング61は、誘導板部63の切欠部分66が加熱調理装置1の前方に向かって開口するように上板23上に載置される。また、誘導板部63の立設高さが支持突部32の突出高さよりも高いため、誘導板部63の上端部63aは、支持突部32によって下方から支持された鍔部5よりも上方に位置する(図7参照)。さらに、支持突部32と凹状部分65との嵌合により、排気リング61が上板23に対して回り止めされている。
【0057】
そして、この第2の実施の形態に係る加熱調理装置1によれば、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができるばかりでなく、加熱室体12のカバー体20上に着脱可能に載置されて加熱室11側からの熱気(排気)を上方へ誘導する排気リング61を備えるため、例えば排気用の隙間55から排出された熱気が上面化粧板51の上面に沿って水平方向に流れていくことで、その熱気が加熱調理装置1の周囲に設置された他の機器等に当たって悪影響を与えてしまう等の不具合を防止できる。
【0058】
また、加熱調理時に羽釜2から噴きこぼれたおねばを排気リング61が受け止めるため、おねばが周囲に拡散するのを抑制でき、加熱室体12を装置本体14から取り外して清掃を行う際も、汚れの範囲が狭く作業者への負担を軽減できる。
【0059】
さらに、排気リング61は上板23とは別体で着脱可能なものであるから、清掃の際には排気リング61を持ち上げて取り外すことができ、その排気リング61に付着した汚れを容易に除去でき、また汚れが少ないときは排気リング61だけを取り外して清掃を容易に行うことができる。
【0060】
次に、本発明の第3の実施の形態について図9ないし図11を参照して説明する。
【0061】
第3の実施の形態に係る加熱調理装置1は、上記第2の実施の形態と同様、上記第1の実施の形態において、羽釜2の鍔部5と加熱室体12の上板23とにより水平方向に向かって外方へ開口した排気用の隙間55から自由に排出される熱気(排気)の流れを水平向き(横向き)から強制的に上向きへと変更する流れ変更手段である排気リング71を付加したものである。
【0062】
つまり、この加熱調理装置1は、上記第1の実施の形態とは異なり、装置本体14の上面化粧板51の上面上に着脱可能に載置され、加熱室11側からの熱気(排気用の隙間55を通過した後の水平方向に流れる排気)が水平方向の流れのまま装置本体14の周囲に向かって排出されないように当該熱気を上方へ誘導する円環状の誘導体である排気リング71を備えている。
【0063】
ここで、断面L字状の排気リング71は、図11に示すように、上面化粧板51の平板部51aの上面上に着脱可能に水平状(略水平状も含む)に載置される円環状の載置板部(水平面部)72と、この載置板部72の外周端部に当該載置板部72に対して垂直状(垂直状を含む)に立設され、熱気を上方へ誘導する誘導板部(垂直面部)73とを有している。
【0064】
載置板部72は、その内周端部が円形状に形成され、この載置板部72の内径寸法は、上板23の平板部31の外径寸法よりも若干大きく設定されている。このため、この載置板部72は、上板23の平板部31の外周側に嵌合された状態となる。
【0065】
また、流れ変更用の誘導板部73は、周方向の一部に切欠部分(前方に向かって開口する開口部分)76を有したC字状に形成されている。つまり、加熱調理装置1を展示する場合、昔風のかまどの外観としたかまどと、そのかまどに載置した状態の羽釜2がそのまま見えることを必要として、この誘導板部73は、載置板部72の外周端部の全周ではなくその一部(例えば略3分の2の部分)のみに立設されている。なお、例えば誘導板部73の切欠部分76は用途に応じてどの位置でもよく、また例えば円環状の誘導板部を載置板部72の外周端部の全周にわたって立設した構成でもよい。
【0066】
そして、排気リング71の載置板部72の内周端部と上板23の平板部31の外周端部とを互いに嵌合させて、排気リング71を上面化粧板51上に載置すると、その排気リング71は、上面化粧板51に対して所定位置に位置決めされた状態となる。
【0067】
この際、排気リング71は、誘導板部73の切欠部分76が加熱調理装置1の前方に向かって開口するように上面化粧板51上に載置される。また、誘導板部73の立設高さが支持突部32の突出高さよりも高いため、誘導板部73の上端部73aは、支持突部32によって下方から支持された鍔部5よりも上方に位置する(図10参照)。
【0068】
そして、この第3の実施の形態に係る加熱調理装置1でも、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0069】
なお、加熱室11側からの熱気を上方へ誘導する誘導体は、上述した別部材からなる排気リング61,71には限定されず、例えば図示しないが、加熱室体の上板の外周端部に上方への折曲げにより一体に立設された誘導板部のみからなるものでもよい。また、例えば上面化粧板の上面の所定位置に固定的に立設された誘導板部のみからなるものや、さらに、装置本体の外形形状等によっては、上面化粧板の外周端部に上方への折曲げにより一体に立設された誘導板部のみからなるもの、或いは、側面化粧板の上端側を上面化粧板よりも上方へ延長した延長板部からなるもの等でもよい。
【0070】
また、上述したいずれの実施の形態においても、被加熱容器は、炊飯を行う羽釜2には限定されず、米以外の食材を加熱調理するために用いる鍋等でもよい。すなわち、加熱調理装置1は、炊飯釜を用いる炊飯器には限定されず、例えば料理鍋を用いる加熱器等でもよい。
【0071】
また、加熱調理装置1は、1つの加熱室体12を有する構成には限定されず、例えば複数個の羽釜2を同時に炊飯できるように、複数の加熱室体12を有する構成でもよい。
【0072】
さらに、加熱手段13は、例えば表面燃焼バーナを用いたもの等でもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 加熱調理装置
2 被加熱容器である羽釜
11 加熱室
12 加熱室体
13 加熱手段
14 装置本体
21 周壁
22 保護カバー
47 底壁
図1
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図11