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特許7092499電気加熱式の喫煙システムにおけるスイッチ不良の監視
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電気加熱式の喫煙システムにおけるスイッチ不良の監視
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20220621BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20220621BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A24F47/00
A61M15/06 A
A61M15/06 C
H05B3/00 310C
H05B3/00 330Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017513497
(86)(22)【出願日】2015-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2015073288
(87)【国際公開番号】W WO2016058904
(87)【国際公開日】2016-04-21
【審査請求日】2018-09-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】14188685.3
(32)【優先日】2014-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ベルナウアー ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド フェリクス
【合議体】
【審判長】林 茂樹
【審判官】槙原 進
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-277265(JP,A)
【文献】特表2011-515080(JP,A)
【文献】特開2004-304866(JP,A)
【文献】国際公開第2014/040988(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0214806(US,A1)
【文献】Dr.Andrew Greensted,The Lab Book Pages/Electronics/Switch Debouncing,[ONLINE],2010年 6月17日、[2021年7月05日検索],URL,http://www.labbookpages.co.uk/electronics/debounce.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 15/06
H05B 1/00 - 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱式の喫煙システムにおいて、電流供給スイッチをオンの構成になったままにする前記電流供給スイッチの不良事象において過剰なヒーター温度を防止するために、電気ヒーターを制御する方法であって、前記方法が、
作動期間中に電力が前記ヒーターに供給され、非作動期間中に電力が前記ヒーターに供給されないように、前記ヒーターに電力をパルスで供給する工程と、
非作動期間中にRC回路内のコンデンサを充電し、また作動期間中に前記コンデンサの放電を許容する工程と、
前記コンデンサの放電電圧を監視して、前記コンデンサの前記放電電圧が閾値電圧レベルよりも低く下がった場合に前記ヒーターへのさらなる電力供給を停止する工程とを含み、
前記電流供給スイッチを規則的に切り替えることにより電力が前記ヒーターに供給され、また前記ヒーターにさらなる電力供給を停止する工程が第二のスイッチの状態の切り替えを含む、方法。
【請求項2】
前記RC回路の時定数が、前記ヒーターに供給される電力の前記パルスの時間幅の2倍よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気加熱式の喫煙システムであって、
電源と、
電気ヒーターと、
前記電気ヒーターと電気接地の間に接続された第一のスイッチと、
前記電源と前記電気ヒーターの間に接続された第二のスイッチと、
コンデンサを備え、かつ前記電源に接続されたRC回路であって、前記コンデンサが、前記第一のスイッチが開のときに充電し、前記第一のスイッチが閉のときに放電する、RC回路と、
前記RC回路に接続され、かつ前記RC回路の放電電圧を監視し、前記RC回路の前記放電電圧が閾値よりも低く下がったときに前記第二のスイッチを開くように構成されている、制御回路とを備える、電気加熱式の喫煙システム。
【請求項4】
前記制御回路が、前記RC回路と前記第二のスイッチの間に接続されたシュミットトリガーを備え、前記シュミットトリガーが、前記RC回路の前記放電電圧が閾値よりも低く下がった時に前記第二のスイッチを開くように構成されている、請求項3に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項5】
前記第一のスイッチがMOSFETである、請求項3または4に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項6】
前記第二のスイッチがMOSFETである、請求項3、4または5に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項7】
前記第一のスイッチが閉の時に、前記第一のスイッチを通した前記RC回路の放電を阻止するように構成されたダイオードをさらに備える、請求項3~6のいずれか1項に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項8】
前記システムの正常な作動中に、前記RC回路が、前記第一のスイッチが閉じている最長期間の2倍よりも大きな時定数を持つ、請求項3~7のいずれか1項に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項9】
前記RC回路と前記第二のスイッチの間に接続されたインバータをさらに備える、請求項3~8のいずれか1項に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項10】
前記電気ヒーターを目標温度に維持するよう前記第一のスイッチの作動を制御するように構成されたコントローラを備える、請求項3~9のいずれか1項に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項11】
前記電源が電池である、請求項3~10のいずれか1項に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項12】
前記システムが手持ち式電気加熱式の喫煙システムである、請求項3~11のいずれか1項に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【請求項13】
前記システムが加熱式たばこ喫煙システムである、請求項3~12のいずれか1項に記載の電気加熱式の喫煙システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱システムにおけるスイッチの作動を監視するための方法およびシステムに関連する。特に、本発明は、スイッチを規則正しく作動させることによって電力がヒーターにパルスで供給され、スイッチの作動が監視され、またスイッチ不良が発生した場合にヒーターへの電源が停止される、方法およびシステムに関連する。
【背景技術】
【0002】
電気加熱システムの一例は、電気加熱式の喫煙システムである。電気加熱式の喫煙システムでは、電気ヒーターはエアロゾル形成基体を加熱するために使用されるが、これはキャストリーフたばこなどの固体の基体でも液体の基体でもよい。基体を加熱すると、通常はグリセリンなどの1つ以上のエアロゾル形成体の化合物と共に、望ましい風味化合物が気化する。望ましい風味化合物を含み、かつ望ましい物理的特性を持つエアロゾルを発生させるには、基体が十分な温度に加熱されることが必要である。ただし、システムは、エアロゾル内での望ましくない化合物の発生、および基体の燃焼にさえもつながりうる過剰な温度に達するのを防止するよう制御されることも望ましい。
【0003】
電気ヒーターの温度は通常、ヒーターへの電力供給を調節することによって調節される。電力はヒーターに電流パルスの形態で供給されうるが、電流の負荷サイクル(電流がヒーターに供給される時間の、電流がヒーターに供給されない時間に対する比)を変化させることにより、発熱体の温度を変化させたり維持したりできる。
【0004】
過剰なヒーター温度が発生しうる一つのシナリオは、ヒーターへの電流供給をオンおよびオフするように構成されている電流制御スイッチが不良となり、オンの構成になったままの時である。電流供給をオンおよびオフに切り替えるために使用される電流供給スイッチの不良が発生した場合に、過剰なヒーター温度を防止することができることが望ましい。過剰なヒーター温度を防止するために使用される機構は、小型でありかつ最小限の電力を消費することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第一の態様では、電気加熱式の喫煙システムで電気ヒーターを制御する方法が提供されており、この方法は、作動期間中に電力がヒーターに供給され、非作動期間には電力がヒーターに供給されないように、電力をヒーターにパルスで供給する工程と、非作動期間中にRC回路内のコンデンサを充電し、作動期間中にコンデンサの放電を許容する工程と、コンデンサの放電電圧を監視して、コンデンサの放電電圧が閾値電圧レベルよりも低く下がった場合にはヒーターへのさらなる電力供給を停止する工程とを含む。
【0006】
この方法により、小型でありかつ低電力の構成要素を使用して、一貫性があり信頼できるスイッチ不良の検出が許容される。
【0007】
電力は第一のスイッチを規則的に切り替えることによりヒーターに供給してもよく、ヒーターへのさらなる電力供給を停止する工程は、第二のスイッチの切り替えを含んでもよい。
【0008】
RC回路の時定数は、ヒーターに供給される電力のパルスの持続時間の2倍よりも大きくてもよい。これにより、スイッチの正常な動作がヒーターへのさらなる電力の停止につながらないように確保される。
【0009】
第二の態様では、電気加熱式の喫煙システムが提供されており、このシステムは、
【0010】
電源と、電気ヒーターと、電気ヒーターと電気接地の間に接続された第一のスイッチと、電源と電気ヒーターの間に接続された第二のスイッチと、コンデンサを備え、かつ電源に接続されたRC回路であって、こうしたコンデンサが第一のスイッチが開の時に充電し、第一のスイッチが閉の時に放電するものと、RC回路に接続され、かつRC回路の放電電圧を監視し、RC回路の放電電圧が閾値よりも低く下がった時に第二のスイッチを開くように構成されている、制御回路とを備える。
【0011】
第一のスイッチは、電流パルスとして発熱体に電力を供給するための制御回路によって作動されうる。次に、発熱体に供給される電力は、電流の負荷サイクルを調節することにより調節されうる。負荷サイクルは、パルス幅またはパルスの周波数またはその両方を変化させることにより調節されうる。
【0012】
RC回路および制御回路は、非常に少ない電力を消費する小さなパッケージ内に実装されうる。制御回路は、RC回路と第二のスイッチの間に接続されたシュミットトリガーを備えうるが、シュミットトリガーは、RC回路の放電電圧が閾値よりも低く下がった時に第二のスイッチを開くように構成されている。
【0013】
システムはさらに、第一のスイッチが閉じた時に、第一のスイッチを通してRC回路の放電を防止するように構成されたダイオードをさらに備えうる。この文脈での「開」は、電流の流れが許容されることを意味する。第一および第二のスイッチに関連した「オン」という用語も、電流の流れが許容されることを意味するために使用される。この文脈での「閉」は、電流の流れが許容されないことを意味し、「オフ」という用語も同一の事柄を意味するために使用される。
【0014】
RC回路は、システムの正常な動作中に第一のスイッチが閉じている最長期間の2倍よりも大きい時定数を持ちうる。
【0015】
システムは、電気ヒーターを目標温度に維持するために第一のスイッチの動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備えうる。
【0016】
システムはさらに、RC回路と第二のスイッチの間に接続されたインバータを備えうる。インバータの使用により、コントローラの不良が発生した場合でさえも、システムの安全な作動が許容される。
【0017】
本発明の第一および第二の両方の態様で、第一のスイッチはMOSFETでもよく、これはn-チャネルMOSFETであることが有利である。
【0018】
本発明の第一および第二の両方の態様で、第二のスイッチはMOSFETでもよく、これはp-チャネルMOSFETであることが有利である。
【0019】
本発明の第一および第二の両方の態様で、システムはさらに、電力を発熱体に供給するための電源を備えうる。電力供給源は、任意の適切な電力供給源、例えば電池などの直流電圧供与源でもよい。一つの実施形態において、電力供給源はリチウムイオン電池である。あるいは、電力供給源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リチウム鉄リン酸、リチウムチタン酸またはリチウムポリマー電池でもよい。
【0020】
本発明の第一および第二の両方の態様で、電気ヒーターは電気抵抗性材料を備えうる発熱体を備えうる。適切な電気抵抗性の材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含む場合がある。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例は、チタン、ジルコニウム、タンタルプラチナ、金および銀を含む。適切な合金の例は、ステンレス鋼、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-、金-および鉄を含有する合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、および鉄-マンガン-アルミニウム系の合金を含む。複合材料では、電気抵抗性の材料は、必要なエネルギー移動の動態学および外部の物理化学的性質に応じて、随意に断熱材料へ埋込、封入、または塗布されてもよく、あるいはその逆であってもよい。
【0021】
本発明の第一および第二の両方の態様で、システムは電気加熱式エアロゾル発生装置を備えうる。本明細書に使用される場合、「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを生成する装置に関連する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部としうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの肺にユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置としうる。エアロゾル発生装置はホルダーでもよい。
【0022】
「エアロゾル形成基体」という用語は本明細書で使用される時、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体に関連する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体の加熱により放出されうる。エアロゾル形成基体は、好都合なことにエアロゾル発生物品または喫煙物品の一部でありうる。
【0023】
「エアロゾル発生物品」および「喫煙物品」という用語は本明細書で使用される時、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つエアロゾル形成基体を含む物品を意味する。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを生成する喫煙物品としうる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとしうる。「喫煙物品」という用語がこれ以降一般的に使用される。喫煙物品は、たばこスティックとしうるか、またはそれを備えうる。
【0024】
本発明の第一および第二の両方の態様において、エアロゾル発生装置は、内部発熱体または外部発熱体、または内部および外部の両方の発熱体を含みうるが、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体についてである。内部発熱体は、任意の適切な形態をとりうる。例えば、内部発熱体は、加熱用ブレードの形態をとりうる。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態をとりうる。別の方法として、内部発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を貫通する1つ以上の加熱用の針または棒としうる。その他の代替物は、加熱用のワイヤまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケル・クロム)、プラチナ、タングステンまたは金属製のワイヤまたは加熱板を含む。随意に、内部発熱体は、固い担体材料内またはその上に配置しうる。こうした一つの実施形態で、電気抵抗性のある発熱体は、温度と比抵抗の間で明確な関係を持つ金属を使用して形成しうる。こうした模範的装置で、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成した後、ガラスなどの別の断熱材料内にはさむことができる。このように形成されたヒーターは、動作中の発熱体の加熱と、その温度の監視の両方に使用しうる。
【0025】
外部発熱体は、任意の適切な形態をとりうる。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の柔軟性のある加熱ホイルの形態をとりうる。柔軟性のある加熱ホイルは、基体を受けるくぼみの周辺に適合するような形状としうる。別の方法として、外部発熱体は、金属グリッド(単一または複数)、柔軟性のあるプリント基板、成形相互接続装置(MID)、セラミックヒーター、柔軟性のある炭素繊維ヒーターの形態をとりうるほか、適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などのコーティング技術を利用して形成しうる。外部発熱体はまた、温度と比抵抗との間に明確な関係を持つ金属を使用して形成される。こうした模範的装置で、金属は2層の適切な断熱材料の間のトラックとして形成しうる。このように形成された外部発熱体は、動作時の外部発熱体の加熱およびその温度の監視の両方に使用しうる。
【0026】
内部または外部の発熱体は、熱を吸収・貯蔵して、その後、ある期間にわたりエアロゾル形成基体に熱を放出する能力を持つ材料を含む、ヒートシンク、または蓄熱体を含みうる。ヒートシンクは、適切な金属またはセラミック材料など、任意の適切な材料で形成しうる。一つの実施形態で、材料は、高い熱容量(目的に適った熱貯蔵材料)を持つか、または熱を吸収しその後で可逆的な過程(高温相変化など)を経て放出する能力を持つ材料である。目的に適った適切な熱貯蔵材料は、シリカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、鉱物、金属または合金(アルミニウム、銀または鉛)、およびセルロース系材料(紙など)を含む。可逆的な相変化により熱を放出するその他の適切な材料は、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタリン、ろう、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物または合金を含む。ヒートシンクまたは蓄熱体は、エアロゾル形成基体と直に接するよう、かつ貯蔵した熱を基体に直かに伝達できるように配置されうる。別の方法として、ヒートシンクまたは蓄熱体に貯蔵された熱は、金属チューブなどの熱導体の手段によってエアロゾル形成基体に伝達されうる。
【0027】
発熱体は、有利なことに、伝導の手段によってエアロゾル形成基体を加熱する。発熱体は基体と、または基体が付着している担体と、少なくとも部分的に接触する場合がある。別の方法として、内部または外部のいずれかの発熱体からの熱は、熱伝導性要素の手段によって基体に伝導しうる。
【0028】
本発明の第一および第二の両方の態様で、作動時に、エアロゾル形成基体はエアロゾル発生装置内に完全に含まれうる。その場合に、使用者は、エアロゾル発生装置のマウスピースで喫煙しうる。別の方法として、動作中、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に収容されうる。その場合に、使用者は直に喫煙物品で喫煙しうる。発熱体は装置内にあるくぼみ内に位置しうるが、ここでくぼみは、使用時に発熱体がエアロゾル形成基体内にあるように、エアロゾル形成基体を受けるように構成されうる。
【0029】
喫煙物品は、実質的に円筒形の形状としうる。喫煙物品は、実質的に細長くてもよい。喫煙物品はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を持ちうる。エアロゾル形成基体は、実質的に円筒形の形状としうる。エアロゾル形成基体は、実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと実質的に直交する長さと円周を持ちうる。
【0030】
喫煙物品の全長は、およそ30mm~およそ100mmとしうる。喫煙物品の外径は、およそ5mm~およそ12mmとしうる。喫煙物品は、フィルタープラグを含みうる。フィルタープラグは、喫煙物品の下流端に位置しうる。フィルタープラグは、酢酸セルロースフィルタープラグとしうる。フィルタープラグは、一つの実施形態で長さおよそ7mmとしうるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを持ちうる。
【0031】
一つの実施形態で、喫煙物品の全長は、およそ45mmである。喫煙物品の外径は、およそ7.2mmとしうる。さらに、エアロゾル形成基体の長さは、およそ10mmとしうる。別の方法として、エアロゾル形成基体の長さは、およそ12mmとしうる。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmとしうる。喫煙物品は、外側の紙ラッパーを含みうる。さらに、喫煙物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間の分離部を含みうる。分離部は、およそ18mmとしうるが、およそ5mm~およそ25mmの範囲としうる。分離部は、喫煙物品が基体からフィルタープラグに通過する際にエアロゾルを冷却する熱交換器によって喫煙物品内で充填されることが好ましい。熱交換器は、例えば、ポリマー系のフィルター、例えば捲縮したPLA材料としうる。
【0032】
本発明の第一および第二の両方の態様で、エアロゾル形成基体は、固体のエアロゾル形成基体としうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、固体および液体の両方の構成要素を含みうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含みうる。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0033】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、例えば、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち1つ以上を含みうる。固体エアロゾル形成基体は、容器に入っていない形態にすることも、または適切な容器またはカートリッジを提供することもできる。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルを含みうるが、こうしたカプセルは、固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶ける。
【0034】
本明細書で使用される時、「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成される材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態としうる。均質化したたばこ材料は、乾燥質量で5%より多いエアロゾル形成体含有量を持ちうる。別の方法では、均質化したたばこ材料は、乾燥質量で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を持ちうる。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉柄の一方または両方を粉砕またはその他の方法で細分することによって得られた粒子状たばこを結合することにより形成されうる。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えば、たばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうち1つ以上を含みうる。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、1つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、1つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水系の溶剤およびその組み合わせを含むが限定されないその他の添加物を含みうる。
【0035】
随意に、固体のエアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体としうる。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成しうる。
【0036】
固体エアロゾル形成基体は、例えば、シート、発泡体、ゲルまたはスラリーの形態の担体の表面上に配置されうる。固体のエアロゾル形成基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用中、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。
【0037】
上記では、固体エアロゾル形成基体を参照したが、当業者には、その他の実施形態でその他の形態のエアロゾル形成基体を使用しうることが明らかであろう。例えば、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体としうる。液体エアロゾル形成基体が提供される場合、エアロゾル発生装置は、液体を保持する手段を含むことが好ましい。例えば、液体エアロゾル形成基体は、容器内に保持されうる。代替的または追加的に、液体エアロゾル形成基体は、多孔性担体材料に吸収されうる。多孔性担体材料は、適切な任意の吸収性のプラグまたは本体、例えば、発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成しうる。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置を使用する前に、多孔性担体材料内に保持されてもよく、あるいは別の方法として、液体エアロゾル形成基体材料は、使用中またはその直前に多孔性担体材料内に放出されてもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体は、カプセル内に提供しうる。カプセルのシェルは、加熱に伴い溶けて、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料に放出することが好ましい。カプセルは液体と組み合わされて、任意選択的に固体を含む場合がある。
【0038】
別の方法として、担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維の束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0039】
本発明の第一および第二の両方の態様で、システムは手持ち式の電気加熱式の喫煙システムとしうる。
【0040】
開示について異なる態様を参照することによって説明してきたが、開示の一つの態様に関連して説明した特徴が、開示のその他の態様に適用されうることは明らかである。
【0041】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、電気加熱式の喫煙システムの概略図である。
図2図2は、図1に示したタイプの装置の第一の実施形態の前方端の概略断面図である。
図3図3は、本発明によるスイッチ不良監視回路の概略図である。
図4図4は、図2に示したタイプの回路の実施形態であり、回路構成要素がより詳細に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1で、電気加熱式エアロゾル発生装置100の実施形態の構成要素を簡略化された方法で示す。特に、電気加熱式エアロゾル発生装置100の要素は、図1では等尺度では表示されていない。本実施形態の理解に関連性のない要素は、簡略された図1では省略されている。
【0044】
電気加熱式エアロゾル発生装置100は、ハウジング10と、例えば、紙巻たばこといったエアロゾル形成基体12とを含む。エアロゾル形成基体12は、ハウジング10内に押し込まれ、発熱体14と熱的に近接するようになる。エアロゾル形成基体12は、多様な揮発性化合物を異なる温度で放出する。電気加熱式エアロゾル発生装置100の使用温度を一部の揮発性化合物の放出温度よりも低く制御することにより、これらの煙成分の放出または形成を回避できる。
【0045】
ハウジング10内には、電気エネルギー供給源16、例えば再充電可能リチウムイオン電池がある。コントローラ18は、発熱体14、電気エネルギー供給源16、およびユーザーインターフェース20(例えばボタンまたはディスプレイ)に接続されている。コントローラ18は、その温度を調節するために発熱体14に供給される電力を制御する。一般に、エアロゾル形成基体は、摂氏250~450度の温度に加熱される。
【0046】
説明した実施形態で、発熱体14は、セラミック基体上に配置した電気抵抗性のあるトラック(単一または複数)である。セラミック基体は、ブレードの形態であり、使用時にエアロゾル形成基体12に挿入される。図2は、装置の前方端の概略的表現であり、装置を通した空気の流れを図示している。図2は、装置の要素の相対的な大きさを正確には描写されていないことが注記される。エアロゾル形成基体12を含めた喫煙物品102が、装置100のくぼみ22内に受けられる。空気は、喫煙物品102のマウスピース24を吸うユーザーの作用によって装置内に引き込まれる。空気は、ハウジング10の近位面内に形成される入口26を通して引き込まれる。装置内に引き込まれた空気は、くぼみ22の外側にある空気チャネル28を通過する。引き込まれた空気は、くぼみ22内に提供されているブレード形の発熱体14の近位端に隣接した、喫煙物品102の遠位端でエアロゾル形成基体12に入る。引き込まれた空気は、エアロゾル形成基体12を通って、エアロゾルを混入してから、喫煙物品102の口側の端へと進む。エアロゾル形成基体12は、たばこベースの材料の円筒形のプラグである。
【0047】
図3は、本発明によるスイッチ不良監視回路の概略図である。図3に示す通り、ヒーター14は、本明細書で第一のスイッチと呼ばれるローサイドスイッチ32を通して電気接地に接続されている。ヒーター14は、本明細書で第二のスイッチと呼ばれるハイサイドスイッチ34を通して電池の電圧に接続されている。
【0048】
第一のスイッチ32は、nチャネルMOSFETである。第二のスイッチは、pチャネルMOSFETである。システムの正常な作動中、第二のMOSFET 34は、第二のスイッチが閉位置の状態であることに対応してオンのままとなり、電池からヒーターへの電流の流れが許容される。第一のMOSFET 32は、特定の負荷サイクルに従いコントローラ18によってオンおよびオフに切り替わり、ヒーター14の温度を制御する。第一のMOSFET 32がスイッチが閉の状態に対応してオンの時、ヒーターから接地への電流の流れが許容され、MOSFET 32は非常に低い電気抵抗を持つ。次に、ヒーターで電池の電圧のほとんどすべてが降下し、ジュール効果の結果としてヒーターが加熱される。第一のMOSFETがオフの時、非常に高い電気抵抗を呈する。この場合には、非常に少ない電圧がヒーターで降下し、ジュール効果の結果としてのヒーターの加熱はほとんどない。
【0049】
第一のスイッチで不良が発生し、かつオンのままになって、ヒーターを通して連続的な電流の流れが許容される場合、ヒーターの温度は制御されない様式で上昇する。第一のスイッチの不良を検出するために、監視システムが提供されている。監視システムは、ダイオード40を通してヒーターに接続されたRC回路36と、RC回路と第二のスイッチ34の制御入力との間に接続されたトリガー構成要素38とを備える。
【0050】
第一のスイッチ32がオフであり、そのため非常に高い抵抗を持つ時、RC回路36は電池の電圧の結果として素早い充電が許容される。第一のスイッチ32がオンの時、ローサイドスイッチでの電圧は接地に非常に近く、RC回路は放電される。ダイオード40は、ヒーターを通したRC回路の放電を阻止する。トリガー構成要素38はRC回路の放電電圧を受け、放電電圧が所定の閾値より低く下がった時に、第二のスイッチをオフに切り替えるように構成されている。
【0051】
正常な作動中、一貫した期間、例えば1ミリ秒の間、第一のスイッチはオン(作動期)であり、その間の期間はオフ(非作動期)である。放電経路に充電経路よりも高い抵抗を持たせることにより、非作動期中にはRC回路を素早く充電し、作動期中には徐々にのみ放電することが可能である。よって、第一のスイッチが99%の時間でオンでありわずか1%の時間でオフであるといった最大負荷サイクルでも、ヒーター温度を高めるために、作動期が期待された1ミリ秒よりも著しくより長く続く場合にトリガーによって確実に第二のスイッチのみが作動されるようになる。
【0052】
RC回路の放電電圧がトリガー構成要素のトリガリング閾値より低く下がった場合に、第二のスイッチはオフ状態に切り替えられ、ヒーターへの電力が停止される。同時に、トリガー構成要素は、コントローラがその後に第一のスイッチをオフ状態にリセットしてRC回路を再充電できるようにし、次に、トリガー構成要素38をオフに切り替えて、第二のスイッチ34をオン状態にリセットできるように、コントローラ18にリセット信号を供給するように構成される。
【0053】
予想可能なRC回路の放電のタイミングを使用し、構成要素の抵抗およびキャパシタンスの値を注意深く選択することにより、ヒーターが危険な温度またはさらには望ましくない温度に到達できるようになる前に、第二のスイッチが常にオフになるよう確保するためにこの配置を使用できる。監視システムは、非常に小さな電力を消費する小型のパッケージ内に実装されうる。
【0054】
図4は、図2に示したタイプの回路の実施形態であり、回路構成要素がより詳細に示されている。図4では、第一のスイッチ32は、ソースが接地に接続され、ドレインがヒーターに接続されているn-チャネルMOSFETであることがわかる。ゲートは、接続G1を通してコントローラに接続されている。ゲートシリーズレジスタ62は、コントローラがゲートを切り替えた時にゲートへの電流を制限するために使用される。プルダウンレジスタ64は、コントローラがリセット中であり、かつG1入力がまだ駆動されていない時に、ゲートをソース電圧付近に保持するために提供されている。
【0055】
ダイオード40は、非作動期中にRC回路の充電を許容し、その一方で作動期には第一のスイッチを通した放電を許容しない、ショットキーダイオードである。ダイオードシリーズレジスタ42は、RC回路の充電時、特に始動時に、ダイオード40を通したピーク電流を制限するために提供されている。
【0056】
RC回路36は、タイミングネットワークレジスタ54およびタイミングネットワークコンデンサ52を備え、それぞれ接地に接続されている。
【0057】
トリガー構成要素38は、RCネットワークからの入力電圧について、閾値以下であるとインバータ56への切り替え出力を供給するマイナス方向の閾値を持つ、シュミットトリガーである。電池の電圧を動力源とするインバータ56は次に、第二のスイッチ(これはp-チャネルMOSFET)のゲートへの入力をソース電圧に引き上げるために使用され、第二のスイッチがブロックされる。正常な作動では、インバータは、ゲートに反転した電池の電圧(-Vbatt)が供給され、そのため第二のスイッチがオンであることを確保する。
【0058】
コントローラは、「Pwr ok」ライン70に接続されている。これにより、コントローラがシュミットトリガー38の出力を監視できるようになり、またインバータへの入力をダイオード72を通して低くすることによりコントローラが第二のスイッチを無効化できるようになる。レジスタ60は、この目的で提供される。レジスタ58は、論理電源不良が発生した場合にインバータ56への入力が低いことを確保する、プルダウンレジスタである。
【0059】
レジスタ68は、インバータ56が不良の場合に、第二のスイッチのゲートがソース電圧まで高められ、スイッチが遮断された状態に保たれるように確保する、プルアップレジスタである。レジスタ66は、インバータ56からの出力電流を制限する、ゲートシリーズレジスタである。
【0060】
当然ながら、上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
図1
図2
図3
図4