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特許7092547航空機部品の断熱構造、ならびにその組立方法及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】航空機部品の断熱構造、ならびにその組立方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/40 20060101AFI20220621BHJP
   B64C 3/36 20060101ALI20220621BHJP
   B64C 30/00 20060101ALI20220621BHJP
   F16L 59/06 20060101ALI20220621BHJP
   F16L 59/065 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B64C1/40
B64C3/36
B64C30/00
F16L59/06
F16L59/065
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018085038
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2018197103
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】15/590,693
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジョセフ クレメン ジュニア.
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー リー ウェート
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-278099(JP,A)
【文献】特開平02-097796(JP,A)
【文献】国際公開第2000/073624(WO,A1)
【文献】特開平03-066997(JP,A)
【文献】特開平05-060425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/40
B64C 3/36
B64C 30/00
F16L 59/06
F16L 59/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温部品及び温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムを組み立てる方法であって、
第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石をキャリヤーの内面に接合することと、
前記高温部品を前記キャリヤーの外面に熱的に接続することと、
前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を容器の外面に接合することと、
前記温度感受性部品を前記容器の内面に熱的に接続することと、
前記キャリヤーの前記内面によって規定されている前記キャリヤーの内部空間内に、前記容器を配置することと、を含み、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石の相互作用により、前記キャリヤーの内面と前記容器の外面との間に間隙が形成されるようにし、
前記複数の第1磁石は、前記第1磁場を形成するために励磁電流を印加するように構成された電流源に電気的に接続された複数の第1電磁石であり、
前記キャリヤーの内面と前記容器の外面との間の前記間隙を監視して、当該間隙が変化するのを抑制するように、前記複数の第1電磁石への励磁電流を制御することをさらに含む、方法。
【請求項2】
高温部品及び温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムを組み立てる方法であって、
第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石をキャリヤーの内面に接合することと、
前記高温部品を前記キャリヤーの外面に熱的に接続することと、
前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を容器の外面に接合することと、
前記温度感受性部品を前記容器の内面に熱的に接続することと、
前記キャリヤーの前記内面によって規定されている前記キャリヤーの内部空間内に、前記容器を配置することと、を含み、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石の相互作用により、前記キャリヤーの内面と前記容器の外面との間に間隙が形成されるようにし、
前記複数の第2磁石は、前記第2磁場を形成するために励磁電流を印加するように構成された電流源に電気的に接続された複数の第2電磁石であり、
前記キャリヤーの内面と前記容器の外面との間の前記間隙を監視して、当該間隙が変化するのを抑制するように、前記複数の第2電磁石への励磁電流を制御することをさらに含む、方法。
【請求項3】
高温部品及び温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムを組み立てる方法であって、
第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石をキャリヤーの内面に接合することと、
前記高温部品を前記キャリヤーの外面に熱的に接続することと、
前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を容器の外面に接合することと、
前記温度感受性部品を前記容器の内面に熱的に接続することと、
前記キャリヤーの前記内面によって規定されている前記キャリヤーの内部空間内に、前記容器を配置することと、を含み、前記複数の第1磁石と前記複数の第2磁石の相互作用により、前記キャリヤーの内面と前記容器の外面との間に間隙が形成されるようにし、
前記複数の第1磁石は、前記第1磁場を形成するために励磁電流を印加するように構成された第1電流源に電気的に接続された複数の第1電磁石であり、
前記複数の第2磁石は、前記第2磁場を形成するために励磁電流を印加するように構成された第2電流源に電気的に接続された複数の第2電磁石であり、
前記キャリヤーの内面と前記容器の外面との間の前記間隙を監視して、当該間隙が変化するのを抑制するように、前記複数の第1電磁石及び前記複数の第2電磁石への励磁電流を制御することをさらに含む、方法。
【請求項4】
前記容器の前記外面又は前記キャリヤーの前記内面又はその両方に赤外線反射コーティングを施すことをさらに含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記容器の前記外面又は前記キャリヤーの前記内面又はその両方に緩衝ストッパを配置することをさらに含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記高温部品を前記キャリヤーの前記外面に熱的に接続することは、前記航空機の先行面を前記キャリヤーの前記外面に熱的に接続することをさらに含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記温度感受性部品を前記容器の前記内面に熱的に接続することは、前記航空機の飛行用電子機器を前記容器の前記内面に熱的に接続することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記キャリヤーの前記内部空間に真空ラインを連結することと、
前記真空ラインに真空源を連結することと、をさらに含む、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記キャリヤーの前記内部空間に冷却剤ラインを連結することと、
前記冷却剤ラインに冷却剤源を連結することと、をさらに含む、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記冷却剤源を連結することは、前記航空機の燃料源を前記冷却剤ラインに連結することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、航空機の分野に関し、特に、航空機に搭載されている電子機器に対する飛行の熱影響を緩和することに関する。
【背景技術】
【0002】
極超音速飛行は、マッハ5を超える速度での大気中の飛行として、しばしば特徴付けられる。このような速度では、航空機の先行面の空力加熱が問題となる。空力加熱とは、物体上を流体(例えば空気)が流れることによる、物体の加熱である。
【0003】
極超音速飛行では、航空機に衝突する空気分子の速度は、航空機の先行面付近で急速にゼロまで低下する。先行面の加熱は、空気分子の運動エネルギーが熱エネルギーに変換される際に起こる。熱エネルギーが先行面を加熱し、これにより、熱が航空機の他の部分(例えば航空機に搭載された電子機器)に伝わる可能性がある。極超音速では、先行面の温度は、摂氏1000度を超える可能性がある。極超音速ビークルの空力加熱に関連する問題の解決を試みて、過去数十年間、かなりの努力がなされてきた。
【発明の概要】
【0004】
一態様は、少なくとも1つの高温部品及び少なくとも1つの温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムを含む。当該断熱システムは、第1磁場を形成する複数の第1磁石を含む内面、及び、前記少なくとも1つの高温部品に熱的に接続された外面を有するキャリヤーを含む。当該断熱システムは、前記キャリヤーの前記内面によって囲まれた容器であって、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成する複数の第2磁石を含む外面、及び、前記少なくとも1つの温度感受性部品に熱的に接続された内面を有する容器をさらに含む。前記第1磁場及び前記第2磁場は、前記少なくとも1つの高温部品から前記少なくとも1つの温度感受性部品への熱伝達を低減するために、前記キャリヤーの前記内面と前記容器の前記外面との間に間隙を形成する。
【0005】
別の態様は、航空機の高温部品を前記航空機の温度感受性部品から前記航空機の動作中に断熱する方法を含む。当該方法は、前記航空機に搭載されたキャリヤーの内面に隣接する複数の第1磁石を用いて第1磁場を形成することを含み、前記キャリヤーは、前記高温部品に熱的に接続された外面を含む。当該方法は、前記キャリヤーの前記内面によって囲まれた容器の外面に隣接する複数の第2磁石を用いて、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成することをさらに含み、前記容器は、前記温度感受性部品に熱的に接続された内面を含む。当該方法は、前記第1磁場及び前記第2磁場を用いて前記キャリヤーの前記内面と前記容器の前記外面との間に間隙を形成することにより、前記航空機の動作中における前記高温部品から前記温度感受性部品への熱伝達を低減することをさらに含む。
【0006】
別の態様は、高温部品及び温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムを組み立てる方法を含む。当該方法は、複数の第1磁石をキャリヤーの内面に接合することを含み、前記複数の第1磁石は第1磁場を形成する。当該方法は、前記高温部品を前記キャリヤーの外面に熱的に接続することをさらに含む。当該方法は、複数の第2磁石を容器の外面に接合することをさらに含み、前記複数の第2磁石は、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成する。当該方法は、前記温度感受性部品を前記容器の内面に熱的に接続することをさらに含む。当該方法は、前記キャリヤーの内部空間内に、前記容器を配置することをさらに含み、前記内部空間は、前記キャリヤーの前記内面によって規定されている。
【0007】
上述の概要は、本明細書のいくつかの態様への理解を与えるものである。本概要は、本明細書の広範な全体像ではない。また、本明細書の主要又は重要な要素を特定することを意図するものでも、本明細書の特定の実施形態の範囲や特許請求の範囲を規定することを意図するものでもない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本明細書に開示されるいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
次に、いくつかの態様を、単なる例示として、添付図面を参照しつつ説明する。すべての図面において、同じ参照符号は、同じ要素又は同じ種類の要素を示している。
【0009】
図1】例示的な一実施形態における航空機を示す図である。
図2】例示的な一実施形態における断熱システムを示す図である。
図3】例示的な一実施形態における、図2の断熱システムの別の構成を示す図である。
図4】例示的な一実施形態における、図2の断熱システムの別の構成を示す図である。
図5】例示的な一実施形態における、図2の断熱システムの別の構成を示す図である。
図6】例示的な一実施形態における別の航空機を示す図である。
図7】例示的な一実施形態における、図6の航空機の円筒部を示す図である。
図8】例示的な一実施形態における、カラーの一部及び図7の円筒部の一部を示す図である。
図9】例示的な一実施形態における、航空機の動作中に、航空機の温度感受性部品から航空機の高温部品を断熱する方法のフローチャートである。
図10】例示的な一実施形態における、高温部品及び温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムを組み立てる方法のフローチャートである。
図11】例示的な一実施形態における、磁石が内面に連結されたキャリヤーを示す図である。
図12】例示的な一実施形態における、高温部品に熱的に接続されたキャリヤーの外面を示す図である。
図13】例示的な一実施形態における、磁石が容器の外面に連結された容器を示す図である。
図14】例示的な一実施形態における、キャリヤーの内部空間内に配置された容器を示す図である。
図15】例示的な一実施形態における、緩衝ストッパを含む断熱システムを示す図である。
図16】例示的な一実施形態における、片持ち容器を用いた断熱システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面及び以下の記載は、特定の例示的な実施形態を説明するものである。なお、当業者であれば、本明細書に明確に記載あるいは図示していないものの、本開示の原理を具体化するとともに本開示の範囲内に含まれる様々な変形を、創出することができるであろう。更に、本明細書で説明されている例は、本開示の原理に対する理解を助けることを意図するものであり、このような具体的に説明された例又は条件に限定されるものではない。したがって、発明の概念は、以下に説明する特定の実施形態又は実施例に限定されるものではなく、請求の範囲及びその均等範囲によって限定される。
【0011】
本明細書に記載の実施形態は、例えば極超音速での飛行などの飛行中に、磁場を用いて、高温部品(例えば航空機の先行面)と温度感受性部品(例えば航空機に搭載の電子機器)との間に間隙を形成することによって、航空機部品に断熱をもたらす。この間隙によって、高温部品から温度感受性部品への熱伝達を減らすことができる。
【0012】
図1は、例示的な実施形態における航空機100を示している。航空機100は、所望に応じて、有人又は無人で運転されうる。航空機100は、極超音速での飛行が可能な航空機の単なる1つの形態であり、図示していない他の形態も、所望に応じて実施可能である。例えば、航空機100は、所望に応じて、異なる形状、サイズ、アスペクト比などを有しうる。従って、航空機100は、単に説明を目的として、1つの特定の形態で示しているだけである。
【0013】
本実施形態において、航空機100は、少なくとも1つの高温部品106(例えば、先行面、ジェットエンジン部品、ロケット部品、熱電池部品など)を含む。例えば、先行面のうち、いくつかは、航空機100の主翼108に位置しており、いくつかは、航空機100の尾翼110に位置している。航空機100が極超音速飛行で動作(例えば航空機100がマッハ5以上の極超音速で移動)している間、先行面には、高速で移動する空気分子が衝突し、これによって先行面が加熱される。従って、高速のせいで加熱された先行面は、高温部品106と考えることができる。先行面の温度は、摂氏1000°を超える可能性があり、これが、航空機100内の高温による影響を受けやすい部品を加熱してしまう可能性がある。例えば、そのような高温では、熱が先行面から航空機100の内部に急速に伝達されて、航空機100内の電子システム(例えば、飛行用電子機器(flight electronics)、制御システムなど)に悪影響を与える場合がある。
【0014】
図2は、例示的な一実施形態における、航空機100で使用するための断熱システム200を示している。断熱システム200を用いて、少なくとも1つの高温部品106と、少なくとも1つの温度感受性部品206(例えば航空機100の電子機器)との間に断熱をもたらすことができる。断熱システム200は、容器204を囲むキャリヤー201を含む。キャリヤー201及び/又は容器204は、いくつかの実施形態において、透磁性材料によって形成してもよいし、透磁性のクラッディングを備えた鋼を含んでいてもよい。透磁性材料の一例としては、ミューメタル(MuMETAL(登録商標))などの、ニッケル‐鉄軟磁性合金がある。キャリヤー201の外面222は、高温部品106に熱的に接続される。キャリヤー201は、キャリヤー201の内面202によって規定される内部空間214を有する。容器204は、容器204の内面220に熱的に接続された、航空機100の温度感受性部品206(例えば電子機器)を含む。航空機100の温度感受性部品206の例としては、電源、プロセッサ、メモリデバイス、加速度計、無線周波数(RF)送信機、RF受信機、慣性センサ等が挙げられる。
【0015】
例示的な本実施形態において、複数の第1磁石208が、内面202に埋設及び/又は表面設置されている。磁石208は、矢印で示した、容器204に向かう方向の第1磁場216を生成する。
【0016】
また、例示的な本実施形態において、複数の第2磁石209が、容器204の外面210に埋設及び/又は表面設置されている。磁石209は、矢印で示した、キャリヤー201の内面202に向かう方向の第2磁場218を生成する。
【0017】
磁石208~209の磁場は、互いに反対となるように構成されている。例えば、磁石208の磁場の向きは、磁石209の磁場の向きとは反対となるように構成されている。この反対の磁場によって、容器204は、キャリヤー201の内面202から離間し、キャリヤー201の内部空間214内の中心に位置しうる。この離間によって、キャリヤーの内面202と容器204の外面210との間に、間隙212が形成される。磁石208~209は、所望に応じて、永久磁石または電磁石、あるいは、永久磁石と電磁石の適当な組み合わせを含みうる。磁石208~209を形成するのに用いることができる材料の例としては、Co、Fe、Cu、Zrによって形成されたホイスラー合金、Co、Fe、Cu、Zrの焼結合金、NdFeB、SmCo、アルニコ等が挙げられる。磁界強度が相対的に高い場合には、磁石208~209は磁束密度(B field)が極端に大きくなるのを避けるために、角部に丸み付けを行ってもよい。
【0018】
キャリヤー201及び/又は容器204の壁材は、鋼などの、相対的に透磁性の低い材料によって形成することができる。壁は、鉄、ニッケル、コバルト、及び、合金などの、相対的に透磁性の高い材料によって形成することもできる。
【0019】
極超音速飛行などの飛行中は、航空機100(図1参照)の高温部品の温度が上昇し、キャリヤー201に熱を伝達しうる。磁石208~209間の磁気反発によって形成された間隙212によって、容器204がキャリヤー201に直接接触することが防止される。従って、間隙212によって、キャリヤー201と容器204との間の熱伝達が低減され、ひいては、キャリヤー201と温度感受性部品206との間の熱伝達が低減される。いくつかの実施形態において、容器204の外面210は、キャリヤー201から容器204への放射熱伝達による熱伝達を低減するように構成された赤外線(IR)反射コーティング及び/又は低放射性塗料を含んでいてもよい。他の実施形態において、キャリヤー201と容器204との間の対流による熱伝達を低減するために、間隙212を真空状態としてもよい。従って、キャリヤー201の内部空間214に真空ラインを連結して、当該真空ラインに真空源を連結してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、間隙212内に冷却剤を流通させて、冷却剤が容器204から熱を除去するようにしてもよい。冷却剤は、所望に応じて、気体又は液体とすることができる。例えば、冷却剤は、間隙212を通って容器204を通過する、航空機100の燃料であってもよい。従って、キャリヤー201の内部空間214に冷却剤ラインを連結して、当該冷却剤ラインに冷却剤源を連結してもよい。いくつかの実施形態において、航空機100の燃料源が、冷却剤ラインに連結されうる。
【0021】
図3は、例示的な一実施形態における、断熱システム200の別の構成を示している。本実施形態において、容器204の外面210に沿って設けられた磁石209は、電磁石である。容器204内のコントローラ302は、磁石209の磁場強度を生成及び/又は変更するために用いられる励磁電流308を生成することができる。飛行中に、コントローラ302は、キャリヤー201の内面202と容器204の外面210との間に間隙212を形成するために、磁石209に励磁電流308を供給することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、コントローラ302は、間隙212を監視し、励磁電流308を調節することにより間隙212を調節する。航空機100の飛行中において、乱気流が起こると、キャリヤー201と容器204との間に動きが生じて、間隙212の大きさが変化しうる。時間が経つにつれて、このような動き又は間隙212の変化は、経時的に変化する磁場を容器204に誘起して、容器204の加熱を生じさせうる。コントローラ302は、間隙212の変化を監視するとともに、励磁電流308を変化させて、間隙212の変化を抑制又は低減することができ、ひいては、磁気渦電流によって容器204にもたらされうる加熱を抑制することができる。
【0023】
コントローラ302の具体的なハードウェアの実施態様は、設計上の選択によるが、1つの特定の実施形態は、電流ドライバ306に接続された1つ又は複数のプロセッサ304を含む。プロセッサ304は、本明細書に記載の機能を実行することができる任意の電子回路及び/又は光回路を含む。例えば、プロセッサ304は、本明細書に記載したコントローラ302の任意の機能を実行しうる。プロセッサ304は、1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、制御回路、等を含みうる。プロセッサの例としては、Intel(登録商標)Core(商標)プロセッサや、新型縮小命令セット演算(RISC:Advanced Reduced Instruction Set Computing)マシン(ARM(登録商標))プロセッサ等が挙げられる。
【0024】
電流ドライバ306は、励磁電流308を生成及び/又は変更することができる任意の電子回路、及び/又は光回路、及び/又はパワー電子回路を含む。例えば、電流ドライバ306は、励磁電流308を生成及び/又は変更するために用いられるソリッドステートパワーリレー、接点切換パワーリレー(switched-contact power relays)、トランジスタ、金属酸化物電界効果トランジスタ(MOSFET)、電界効果トランジスタ(FET)等を含みうる。
【0025】
図4は、例示的な一実施形態における、断熱システム200の別の構成を示している。図4に示すように、温度感受性部品206は、1つ以上の送受信装置404を用いて、外部システム402(例えば容器204の外部の電子システム)と通信することができる。送受信装置404は、温度感受性部品206と外部システム402との非接触又は非熱伝導性通信を可能にする、RF送信機/受信機ペア、光送信機/受信機ペア、光ファイバーバンドル、小ゲージ銅線、石英ファイバー等を含みうる。非接触又は非熱伝導性通信は、キャリヤー201から容器204への熱伝達を低減し、結果的にはキャリヤー201から温度感受性部品206への熱伝達を低減するために、望ましい。
【0026】
図5は、例示的な一実施形態における、断熱システム200の別の構成を示している。図5に示すように、キャリヤー201の内面202に沿って設けられた磁石208は、電磁石である。コントローラ502は、磁石208の磁場強度を生成及び/又は変更するために用いられる励磁電流508を生成することができる。飛行中に、コントローラ502は、キャリヤー201の内面202と容器204の外面210との間に間隙212を形成するために、磁石209に励磁電流508を供給することができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、コントローラ502は、コントローラ302について前述したように、間隙212を監視し、励磁電流508を調節することにより間隙212を調節する。コントローラ302とコントローラ502の両方が断熱システム200に含まれる実施形態では、コントローラ302とコントローラ502との間で調整を行うことにより、飛行中の間隙212の生成及び/又は間隙212の変更が行われうる。この調整は、図4について図示及び前述した送受信装置404を用いて行うことができる。コントローラ302のみが存在する実施形態では、例えば、磁石208は永久磁石を含み、磁石209は電磁石を含む。コントローラ502のみが存在する実施形態では、例えば、磁石209は永久磁石を含み、磁石208は電磁石を含む。
【0028】
コントローラ502の具体的なハードウェアの実施態様は、設計上の選択によるが、1つの特定の実施形態は、電流ドライバ506に接続された1つ又は複数のプロセッサ504を含む。プロセッサ504は、プロセッサ304について前述したハードウェアの実施形態を含みうる。電流ドライバ506は、電流ドライバ306について前述したハードウェアの実施形態を含みうる。
【0029】
図6は、例示的な実施形態における別の航空機600を示している。いくつかの実施形態において、航空機600は、極超音速飛行用に構成されうる。(例えば、航空機600は、マッハ5以上の極超音速で飛行するように構成されうる。)航空機600は、航空機の単なる1つの形態であり、図示していない他の形態も、所望に応じて実施可能である。例えば、航空機600は、所望に応じて、異なる形状、サイズ、アスペクト比などを有しうる。従って、航空機600は、単に説明を目的として、1つの特定の形態で示しているだけである。本実施形態において、航空機600は、高温部品602(例えば先行面)を含み、これらは、カラー(collar)604の外面603に配置されている。
【0030】
図7は、円筒部702を含む航空機600の部分を示している。同図において、磁石209は、円筒部702の外面704に配置されている。図7は、円錐部706~707も示しており、これらは、円筒部702に連結されている。円錐部706は、円筒部702の端部708に連結されており、円錐部707は、円筒部702の端部709に連結されている。円錐部706~707と端部708~709とが合わさる位置には、カラー604が円筒部702の長軸710に沿って端部708~709間で軸方向に並進するのを防止するための機構が形成されている。本実施形態において、カラー604は、円筒部702に対して回転自在である。
【0031】
本実施形態において、カラー604は、航空機600の円筒部702を取り囲んでいる。いくつかの実施形態において、円筒部702の外面704は、カラー604から円筒部702への放射熱伝達による熱伝達を低減するように構成された赤外線(IR)反射コーティングを含んでいてもよい。
【0032】
図8は、航空機600のカラー604の一部及び円筒部702の一部を示している。同図において、カラー604は、円筒部702を取り囲んでいる。特に、カラー604の内面802は、円筒部702の外面704に面している。カラー604は、複数及び/又はアレイ状の磁石208を含む。円筒部702も、複数及び/又はアレイ状の磁石209を含む。磁石208~209は、カラー604と円筒部702との間に間隙804を形成するように、反対の磁場を有している。
【0033】
飛行中は、航空機600(図6参照)の高温部品602(例えば先行面)の温度が上昇し、高温部品が、カラー604に熱を伝達しうる。仮に、カラー604が円筒部702と熱的に接触していれば、カラー604を介して、高温部品602から円筒部702内への熱伝達が起こるであろう。しかしながら、磁石208~209間の磁気反発により形成された間隙804によって、カラー604が航空機600の円筒部702に接触することが防止される。従って、間隙804によって、カラー604と円筒部702との間の熱伝達が低減され、ひいては、カラー604と円筒部702内に収容されている温度感受性部品206との間の熱伝達が低減される。いくつかの実施形態において、コントローラ302及び/又はコントローラ502は、図3及び図5について前述したように、間隙804を監視することができる。例えば、コントローラ302が、磁石209に印加される励磁電流308を修正し、及び/又は、コントローラ502が、磁石208に印加される励磁電流508を修正する。従って、コントローラ302及び/又はコントローラ502について前述したいずれの機能も、航空機600における間隙804の制御に適用することができる。
【0034】
高温部品と航空機に搭載された温度感受性部品との間に形成される磁気間隙を利用して、特に航空機の極超音速飛行中に、空力加熱を低減又は排除することができる。
【0035】
図9は、例示的な一実施形態における、航空機の動作中に、航空機の温度感受性部品から航空機の高温部品を断熱する方法900のフローチャートである。方法900を、断熱システム200に関して説明するが、方法900は、図示しない他のシステムによっても実行することができる。本明細書に記載の方法の工程は、図示しない他の工程も含みうる。また、工程は、別の順番で行ってもよい。
【0036】
図2を参照すると、キャリヤー201の内面202に隣接する磁石208が、磁場216を形成する(工程902参照)。容器204に設けられた磁石209も、磁場218を形成する。磁場218は、磁場216とは反対向きである(工程904参照)。磁石208~209は、永久磁石、電磁石、又は、永久磁石と電磁石の組み合わせを含みうる。磁場216と磁場218とは互いに反対であるため、キャリヤー201と容器204との間に斥力が生成され、これが、間隙212を形成する(工程906参照)。間隙212は、キャリヤー201から容器204を離間させるとともに、容器204とキャリヤー201との間に熱バリアを形成する。高温部品106は、キャリヤー201の外面222に熱的に接続されており、温度感受性部品206は、容器204の内面220に熱的に接続されているが、高温部品106から温度感受性部品206への熱伝達は、間隙212によって低減される。
【0037】
図10は、例示的な一実施形態における、高温部品及び温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムの組立方法1000のフローチャートである。方法1000を、断熱システム200に関して説明するが、方法1000は、図示しない他の断熱システムにも適用することができる。
【0038】
断熱システム200の組立プロセス中において、キャリヤー201の内面202に磁石208が接合される(工程1002参照)。磁石208は、同じ磁場の向き(例えば、キャリヤー201の内部空間214内を指すN極を有する磁場216)を呈するように接合される。磁石208は、内面202に(例えば接着剤を用いて)接合してもよいし、留め具を用いて固定してもよいし、これらに加えて又は代えて、一部又は全体をキャリヤー201の内面202に入り込むように形成してもよい。図11は、例示的な一実施形態における、磁石208が内面202に接合されたキャリヤー201を示している。
【0039】
キャリヤー201の外面222が、高温部品106に熱的に接続される(工程1004参照)。例えば、外面222は、機体102の先行面、エンジンのハウジング、又は、航空機100のその他の高温部分に、所望に応じて任意の数の熱伝導性材料を用いて、熱的に接続される。図12は、例示的な一実施形態における、高温部品106に熱的に接続されたキャリヤー201の外面222を示している。
【0040】
磁石209が、容器204の外面210に接合される(工程1006参照)。磁石209は、同じ磁場の向き(例えば磁場218)を呈するように接合される。磁石209は、外面210に(例えば接着剤を用いて)接合してもよいし、留め具を用いて固定してもよいし、これらに加えて又は代えて、一部又は全体を容器204の外面210に入り込むように形成してもよい。図13は、例示的な一実施形態における、磁石209が容器204の外面210に接合された容器204を示している。
【0041】
容器204の内面220が、温度感受性部品206に熱的に接続される(工程1008参照)。例えば、容器204の内面220は、電子機器、センサ、電源、又は、航空機100のその他の温度感受性部分に、所望に応じて任意の数の熱伝導性材料を用いて、熱的に接続される。図13は、例示的な一実施形態における、温度感受性部品206に熱的に接続された容器204の内面220を示している。
【0042】
容器204が、キャリヤー201の内部空間214内に配置される。ここで、内部空間214は、キャリヤー201の内面202によって規定されている(工程1010参照)。図14は、例示的な一実施形態における、キャリヤー201の内部空間214内に配置された容器204を示している。
【0043】
図15は、例示的な一実施形態における、緩衝ストッパ1502を含む断熱システム200を示している。緩衝ストッパ1502は、キャリヤー201の内面202に配置されたものとして図示しているが、これに代えて又はこれに加えて、緩衝ストッパ1502を、容器204の外面210に配置してもよい。本実施形態において、緩衝ストッパ1502は、磁石208~209によって生成された斥力が一時的に(例えば高加速度事象によって)負けた際に、キャリヤー201が容器204に接触するのを防止するために用いられる。緩衝ストッパ1502を用いることによって、このような極限状況下で、断熱システム200に起こりうる損傷を防止することができる。緩衝ストッパ1502は、耐高温性衝撃吸収材料によって形成することができる。耐高温性衝撃吸収材料の例としては、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロカーボン、高密度ポリエチレン、パーフルオロエラストマー化合物等が挙げられる。いくつかの実施形態において、キャリヤー201の内面202及び/又は容器204の外面210は、キャリヤー201と容器204との相対移動を、(例えばキャリヤー201及び/又は容器204内に埋設された導線のループを用いて)電流に変換するように構成されていてもよい。この相対移動から採取された電流を用いて、小型のセンサ又は電子部品(例えば温度感受性部品206の小電力負荷)に電力を供給することができる。電流の生成に加えて、ループによって、振動減衰を実現することもできる。
【0044】
キャリヤー201及び/又は容器204は、いくつかの実施形態において、熱電冷却器を含みうる。例えば、容器204の外面210が、熱電冷却器の高温面を含み、低温面が容器204の内面220に沿って設けられるようにすることができる。電流(例えば採取された電流)を熱電冷却器によって用いることにより、キャリヤー201の内部空間214に熱を放射しつつ、容器204の内部を冷却することができる。
【0045】
図16は、例示的な一実施形態における、片持ち容器204を用いた断熱システム200を示している。場合によっては、キャリヤー201から容器204内への高電力接続を確保しつつ、容器204が燃料に直接接触するのを可能にすることによって容器204を冷却することが望ましいかもしれない。例えば、キャリヤー201は、航空機100の燃料タンクを含み、温度感受性部品206は、レーダー(RAdio Detection and Ranging:RADAR)システム用の高出力マイクロ波増幅器を含む。容器204を燃料タンク内に片持ち梁のように設けることによって、容器204が燃料で囲まれる状態とすることができ、燃料が容器204を冷却する。この場合でも、容器204の動きは、前述したように、磁場216及び磁場218を用いて制御することができる。いくつかの実施形態において、容器204は、熱交換器を含みうる。熱交換器を燃料タンク内に配置して燃料を冷却剤として用いる場合、典型的には、熱交換器は、燃料タンクの底部に配置される。容器204が熱交換器を含む場合、燃料タンク内における熱交換器の配置については、他の選択肢(例えば燃料タンクの側面又は上面)も採用可能である。
【0046】
図示あるいは本明細書に記載した様々な要素は、いずれも、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの適当な組み合わせとして、実現することができる。例えば、ある要素は、専用ハードウェアとして実現することができる。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は、他の同様の用語で称されうる。プロセッサによって実現される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は、共有可能なものを一部に含む複数の個別プロセッサによって、実現することができる。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、限定することなくデジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアの保存用の読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理回路、又は、他の物理的なハードウェア部品若しくはモジュールを暗黙的に含みうる。
【0047】
また、要素は、当該要素の機能を果たすための、プロセッサ又はコンピュータにより実行可能な命令として実現することもできる。命令の例をいくつか挙げると、ソフトウェア、プログラムコード、及び、ファームウェアがある。命令は、プロセッサにより実行されると稼働して、当該プロセッサに対して要素の機能を果たすように指示する。命令は、プロセッサによる読み取りが可能な記憶装置に保存することができる。記憶装置の例としては、デジタル若しくはソリッドステートメモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は、光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体などが挙げられる。
【0048】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0049】
付記1. 少なくとも1つの高温部品及び少なくとも1つの温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムであって、第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石を含む内面、及び、前記少なくとも1つの高温部品に熱的に接続された外面を有するキャリヤーと、前記キャリヤーの前記内面によって囲まれた容器であって、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を含む外面、及び、前記少なくとも1つの温度感受性部品に熱的に接続された内面を有する容器と、を含み、前記第1磁場及び前記第2磁場は、前記航空機の動作中における、前記少なくとも1つの高温部品から前記少なくとも1つの温度感受性部品への熱伝達を低減するために、前記キャリヤーの前記内面と前記容器の前記外面との間に間隙を形成するように構成されている、断熱システム。
【0050】
付記2. 前記複数の第1磁石は電磁石を含み、前記断熱システムは、前記第1磁場を形成するために前記複数の第1磁石に励磁電流を印加するように構成されたコントローラをさらに含む、付記1に記載の断熱システム。
【0051】
付記3. 前記コントローラは、前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙の変化を監視するとともに、前記間隙の前記変化を低減するために前記複数の第1磁石に印加される前記励磁電流を変化させるように、構成されている、付記2に記載の断熱システム。
【0052】
付記4. 前記複数の第2磁石は電磁石を含み、前記断熱システムは、前記第2磁場を形成するために前記複数の第2磁石に励磁電流を印加するように構成されたコントローラをさらに含む、付記1~3に記載の断熱システム。
【0053】
付記5. 前記コントローラは、前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙の変化を監視するとともに、前記間隙の前記変化を低減するために前記複数の第2磁石に印加される前記励磁電流を変化させるように、構成されている、付記4に記載の断熱システム。
【0054】
付記6. 航空機の高温部品を前記航空機の温度感受性部品から前記航空機の動作中に断熱する方法であって、前記航空機に搭載されたキャリヤーの内面に隣接する複数の第1磁石を用いて第1磁場を形成し、前記キャリヤーは、前記高温部品に熱的に接続された外面を含んでおり、前記キャリヤーの前記内面によって囲まれた容器の外面に隣接する複数の第2磁石を用いて、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成し、前記容器は、前記温度感受性部品に熱的に接続された内面を含んでおり、前記第1磁場及び前記第2磁場を用いて前記キャリヤーの前記内面と前記容器の前記外面との間に間隙を形成することにより、前記航空機の動作中における前記高温部品から前記温度感受性部品への熱伝達を低減する、方法。
【0055】
付記7. 前記複数の第1磁石は電磁石を含み、前記第1磁場を形成するに際し、前記複数の第1磁石に励磁電流を印加する、付記6に記載の方法。
【0056】
付記8. さらに、前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙の変化を監視し、前記間隙の前記変化を低減するために前記複数の第1磁石に印加される前記励磁電流を変化させる、付記7に記載の方法。
【0057】
付記9. 前記複数の第2磁石は電磁石を含み、前記第2磁場を形成するに際し、前記複数の第2磁石に励磁電流を印加する、付記6~8のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
付記10. さらに、前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙の変化を監視し、前記間隙の前記変化を低減するために前記複数の第2磁石に印加される前記励磁電流を変化させる、付記9に記載の方法。
【0059】
付記11. 高温部品及び温度感受性部品を含む航空機のための断熱システムを組み立てる方法であって、第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石をキャリヤーの内面に接合することと、前記高温部品を前記キャリヤーの外面に熱的に接続することと、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を容器の外面に接合することと、前記温度感受性部品を前記容器の内面に熱的に接続することと、前記キャリヤーの前記内面によって規定されている前記キャリヤーの内部空間内に、前記容器を配置することと、を含む方法。
【0060】
付記12. 前記複数の第1磁石を接合することは、前記キャリヤーの前記内面に複数の第1電磁石を接合することと、前記複数の第1電磁石を、前記第1磁場を形成するために励磁電流を印加するように構成された電流源に電気的に接続することと、を含む、付記11に記載の方法。
【0061】
付記13. 前記複数の第2磁石を接合することは、前記容器の前記外面に複数の第2電磁石を接合することと、前記複数の第2電磁石を、前記第2磁場を形成するために励磁電流を印加するように構成された電流源に電気的に接続することと、を含む、付記11又は12に記載の方法。
【0062】
付記14. 前記容器の前記外面に赤外線反射コーティングを施すことをさらに含む、付記11~13のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
付記15. 前記キャリヤーの前記内面に赤外線反射コーティングを施すことをさらに含む、付記11~14のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
付記16. 前記高温部品を前記キャリヤーの前記外面に熱的に接続することは、前記航空機の先行面を前記キャリヤーの前記外面に熱的に接続することを含む、付記11~15のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
付記17. 前記温度感受性部品を前記容器の前記内面に熱的に接続することは、前記航空機の飛行用電子機器を前記容器の前記内面に熱的に接続することを含む、付記11~16のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
付記18. 前記キャリヤーの前記内部空間に真空ラインを連結することと、前記真空ラインに真空源を連結することと、をさらに含む、付記11~17のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
付記19. 前記キャリヤーの前記内部空間に冷却剤ラインを連結することと、前記冷却剤ラインに冷却剤源を連結することと、をさらに含む、付記11~18のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
付記20. 前記冷却剤源を連結することは、前記航空機の燃料源を前記冷却剤ラインに連結することを含む、付記19に記載の方法。
【0069】
付記21. 先行面を含む航空機のための断熱システムであって、第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石を含む内面、及び、前記航空機の前記先行面に熱的に接続された外面を有するキャリヤーと、前記キャリヤーの前記内面によって囲まれた容器であって、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を含む外面、及び、電子機器を含む内部を有する容器と、を含み、前記第1磁場及び前記第2磁場は、前記航空機の動作中における、前記先行面から前記電子機器への熱伝達を低減するために、前記キャリヤーの前記内面と前記容器の前記外面との間に間隙を形成するように構成されている、断熱システム。
【0070】
付記22. 前記複数の第1磁石は電磁石を含み、前記断熱システムは、前記第1磁場を形成するために前記複数の第1磁石に励磁電流を印加するように構成されたコントローラをさらに含む、付記21に記載の断熱システム。
【0071】
付記23. 前記コントローラは、前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙の変化を監視するとともに、前記間隙の前記変化を低減するために前記複数の第1磁石に印加される前記励磁電流を変化させるように、構成されている、付記22に記載の断熱システム。
【0072】
付記24. 前記複数の第2磁石は電磁石を含み、前記コントローラは、前記第2磁場を形成するために前記複数の第2磁石に励磁電流を印加するように構成されている、付記22又は23に記載の断熱システム。
【0073】
付記25. 前記コントローラは、前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙の変化を監視するとともに、前記間隙の前記変化を低減するために前記複数の第2磁石に印加される前記励磁電流を変化させるように、構成されている、付記24に記載の断熱システム。
【0074】
付記26. 前記電子機器は、前記航空機の飛行用電子機器を含む、付記21~25のいずれか1つに記載の断熱システム。
【0075】
付記27. 前記航空機の動作は、極超音速飛行を含む、付記26に記載の断熱システム。
【0076】
付記28. 前記容器の前記外面は、赤外線反射コーティングを含む、付記21~27のいずれか1つに記載の断熱システム。
【0077】
付記29. 前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙は、真空状態にある、付記21~28のいずれか1つに記載の断熱システム。
【0078】
付記30. 前記容器の前記外面と前記キャリヤーの前記内面との間の前記間隙は、前記容器から熱が伝熱される冷却剤を含む、付記21~29のいずれか1つに記載の断熱システム。
【0079】
付記31. 前記冷却剤は、前記航空機の燃料である、付記30に記載の断熱システム。
【0080】
付記32. 先行面を含む機体と、第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石を含む内面、及び、前記機体の前記先行面に熱的に接続された外面を有するキャリヤーと、前記キャリヤーの前記内面によって囲まれた容器であって、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を含む外面、及び、電子機器を含む内部を有する容器と、を含む航空機であって、前記第1磁場及び前記第2磁場は、前記航空機の動作中における、前記機体の前記先行面から前記電子機器への熱伝達を低減するために、前記キャリヤーの前記内面と前記容器の前記外面との間に間隙を形成するように構成されている、航空機。
【0081】
付記33. 前記先行面は、前記機体の翼に位置している、付記32に記載の航空機。
【0082】
付記34. 前記航空機の動作は、極超音速飛行を含む、付記32又は33に記載の航空機。
【0083】
付記35. 前記航空機の動作は、有人飛行を含む、付記32~34のいずれか1つに記載の航空機。
【0084】
付記36. 第1磁場を形成するように構成された複数の第1磁石を含む外面、及び、ビークルの電子機器を囲む内面を有する円筒部と、前記円筒部を取り囲むとともに、前記第1磁場とは反対向きの第2磁場を形成するように構成された複数の第2磁石を含む内面、及び、先行面を含む外面を有するカラーと、を含むビークルであって、前記第1磁場及び前記第2磁場は、前記ビークルの動作中における、前記先行面から前記電子機器への熱伝達を低減するために、前記円筒部の前記外面と前記カラーの前記内面との間に間隙を形成するように構成されている、ビークル。
【0085】
付記37. 前記ビークルは、極超音速で移動するように構成されている、付記36に記載のビークル。
【0086】
付記38. 前記航空機の電子機器は、飛行用電子機器を含む、付記36又は37に記載のビークル。
【0087】
付記39. 前記カラーの前記外面は、前記先行面の少なくとも1つを含む翼に連結されている、付記36~38のいずれか1つに記載のビークル。
【0088】
付記40. 前記円筒部の前記外面は、赤外線反射コーティングを含む、付記36~39のいずれか1つに記載のビークル。
【0089】
本明細書において特定の実施形態を説明したが、本開示の範囲は、これらの特定の実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、以下の請求の範囲及びその均等範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16