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特許7092551取り外し可能な電流スイッチング要素および電気スイッチング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】取り外し可能な電流スイッチング要素および電気スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/02 20060101AFI20220621BHJP
   H02B 1/04 20060101ALI20220621BHJP
   H02B 1/048 20060101ALI20220621BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20220621BHJP
   H02B 1/32 20060101ALI20220621BHJP
   H01H 50/00 20060101ALI20220621BHJP
   H01H 50/06 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H01H50/02 D
H02B1/04 A
H02B1/048
H02B1/30 D
H02B1/32 C
H01H50/00 N
H01H50/06 A
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018094744
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2018195580
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】1754349
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、ラルシェ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、コントワ
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-502249(JP,A)
【文献】特開2004-103357(JP,A)
【文献】実開平4-85617(JP,U)
【文献】実開昭61-193656(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/00 - 50/06
H01H 50/54 - 50/62
H01H 73/00 - 73/20
H02B 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り外し可能な電流スイッチング要素(6)であって、
互いに嵌合可能であり、組立形態と部分分解形態との間で互いに対して可逆的に移動可能な第1のハウジング部分(20)および第2のハウジング部分(22)と、
前記第1のハウジング部分(20)に固く接続された複数の固定電気接点(34)と、
前記固定電気接点(34)に対して移動可能であり、前記第2のハウジング部分(22)内に収容され、前記第2のハウジング部分(22)に対して移動可能な複数の可動電気接点(36)と、を備え、
前記第1のハウジング部分(20)は、貫通検査窓(60)が設けられた側壁(38)を含み、
前記第2のハウジング部分(22)は、各々が対応する前記可動電気接点(36)の周囲において前記第2のハウジング部分(22)内で容積を画定する複数の絶縁壁(80)を含み、
前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)は、前記組立形態においては、前記絶縁壁(80)が前記貫通検査窓(60)を隠すように、前記部分分解形態においては、前記貫通検査窓(60)へのアクセスを自由にするために前記絶縁壁(80)が前記貫通検査窓(60)から離間するように、互いに関連して配置されている、ことを特徴とする取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項2】
前記絶縁壁(80)は、前記第1のハウジング部分(20)と協働して前記組立形態から前記部分分解形態への前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)の移動を制限する保持部材(88)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項3】
前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)は、前記部分分解形態から、前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)が互いに分離した解体形態へ更に移動可能である、ことを特徴とする請求項に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項4】
前記保持部材(88)は、前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)が前記部分分解形態から前記解体形態へ移行することを可能にするために前記第1のハウジング部分(20)から可逆的に分離可能である、ことを特徴とする請求項に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項5】
前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)は、前記組立形態において前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)を互いに固く接続するために互いに相補的であるアタッチメント部材(44、56)を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項6】
前記第2のハウジング部分(22)に、前記第2のハウジング部分(22)内の前記絶縁壁(80)によって画定された容積と連通した入口開口を、前記第2のハウジング部分(22)の外部と連通した出口開口に流体的に接続する遮断ガスを取り除くための少なくとも1つのチャネル(76)を含む底板(46)が設けられている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項7】
前記絶縁壁(80)と前記側壁(38)は、全く同一の方向(X、X’)に平行に延在し、前記第1のハウジング部分(20)および前記第2のハウジング部分(22)は、当該方向(X、X’)に沿って並進移動する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項8】
前記貫通検査窓(60)は、自由であるときに前記貫通検査窓(60)を介した前記固定電気接点(34)の観察が可能になるように前記固定電気接点と同じ高さで作製されている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項9】
前記貫通検査窓(60)は、前記可動電気接点(36)の移動の方向に平行に配向された長方形の形状である、ことを特徴とする請求項8に記載の取り外し可能な電流スイッチング要素(6)。
【請求項10】
電流をスイッチングするための電気スイッチング装置(2)であって、
1つ以上のハウジング(8、8’、8’’)を含むベースプレート(4)と、
前記ベースプレートの前記ハウジング(8、8’、8’’)の1つに収納されるようになっている取り外し可能な電流スイッチング要素(6)であって、前記取り外し可能な電流スイッチング要素(6)の前記固定電気接点(34)が前記電気スイッチング装置の接続ランドに電気的に接続される、取り外し可能な電流スイッチング要素(6)と、を備え、
前記取り外し可能な電流スイッチング要素(6)は、請求項1~9のいずれか一項に記載されている、ことを特徴とする電気スイッチング装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気スイッチング装置のための取り外し可能な電気スイッチング要素に関する。また本発明は、当該取り外し可能なスイッチング要素を備えた電流をスイッチングするための電気スイッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接触器のような電流をスイッチングするための電気装置が知られており、これらの装置は、装置のベースプレート内のハウジングに挿入される1つ以上の取り外し可能なスイッチング要素を含む。これらの取り外し可能な要素は、時にスイッチングバルブとして知られている。このような取り外し可能な要素は、例えば、文献FR2,999,790に記載されている。
【0003】
一般に、各取り外し可能な要素は、電気装置の接続ランドに接続され、これらのランド間の電流の流れを選択的に遮断するために動作する。こうするため、各取り外し可能な要素は、分離可能な電気導体を含む。電気導体の移動は、専用のアクチュエータによって制御される。専用のアクチュエータは、電流の流れを遮断または許可するために固定電気接点に対する開位置と閉位置との間で電気導体を移動させる。
【0004】
このような取り外し可能な要素の1つの利点は、これらは交換可能であり、それゆえメンテナンス作業の間や故障の場合に取り替えることが容易なことである。
【0005】
しかしながら、例えば取り外し可能な要素を破損させる必要なく予防的なメンテナンス作業の間にその電気接点の損耗の状態を視覚的に評価するために、作業者に取り外し可能な要素の内部を検査することを可能にしたいという要求がある。知られている取り外し可能な要素は、この要求を満たすことを可能にしていない。特に、取り外し可能な要素は、その役割が遮断ガスが取り外し可能な要素から自由に解放されることを防止することである密閉されたハウジングを含むためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特にこれらの欠点を、遮断ガスに対して良い水準の気密性を確保しながら非破壊の視覚的検査を可能にする取り外し可能な電流スイッチング要素を提供することによって、克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明は、
互いに嵌合可能であり、組立形態と部分分解形態との間で互いに対して可逆的に移動可能な第1のハウジング部分および第2のハウジング部分と、
前記第1のハウジング部分に固く接続された複数の固定電気接点と、
前記固定電気接点に対して移動可能であり、前記第2のハウジング部分内に収容され、前記第2のハウジング部分に対して移動可能な複数の可動電気接点と、を備え、
前記第1のハウジング部分は、貫通検査窓が設けられた側壁を含み、
前記第2のハウジング部分は、各々が対応する可動導体の周囲において前記第2のハウジング部分内で容積を画定する複数の絶縁壁を含み、
前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分は、前記組立形態においては、前記絶縁壁が前記検査窓を隠すように、前記中間形態においては、前記検査窓へのアクセスを自由にするために前記絶縁壁が前記検査窓から離間するように、互いに関連して配置されている、
取り外し可能な電流スイッチング要素に関する。
【0008】
本発明によれば、取り外し可能な要素は、遮断ガスに対して良い水準の気密性を保ちながら、絶縁壁が存在するにも関わらず、視覚的検査のために固定電気接点および可動電気接点への視覚的アクセスを可能にする。より具体的には、側壁に対する絶縁壁の配置だけでなく、第1および第2の可動部分に分離されたハウジングの構造が、絶縁窓を選択的に開いて、それらを介して見てハウジングの内部を検査することを可能にし、また、取り外し可能な要素が作動中のときにはこれらの検査窓を閉めて、遮断ガスがこれらの絶縁窓を介して漏れることを防止することを可能にする。他にも、窓の存在はアセンブリの気密性に悪影響を与えない。
【0009】
本発明のいくつかの有利ではあるが必須ではない態様によれば、このような取り外し可能な要素は、以下の特徴を、単独でもまたは技術的に許容される組合せでも、1つ以上組み込んでもよい。
【0010】
‐前記絶縁壁は、前記第1のハウジング部分と協働して前記組立形態から前記部分分解形態への前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分の移動を制限する保持部材を含む。
【0011】
‐前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分は、前記部分分解位置から、前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分が互いに分離した解体位置へ更に移動可能である。
【0012】
‐前記保持部材は、前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分が前記部分分解形態から前記解体形態へ移行することを可能にするために前記第1のハウジング部分から可逆的に分離可能である。
【0013】
‐前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分は、前記組立形態において前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分を互いに固く接続するために互いに相補的であるアタッチメント部材を含む。
【0014】
‐前記第2のハウジング部分に、前記ハウジング内の前記絶縁壁によって画定された容積と連通した入口開口を、前記ハウジングの外部と連通した出口開口に流体的に接続する遮断ガスを取り除くための少なくとも1つのチャネルを含む底板が設けられている。
【0015】
‐前記絶縁壁と前記側壁は、全く同一の方向に平行に延在し、前記第1のハウジング部分および前記第2のハウジング部分は、当該方向に沿って並進移動する。
【0016】
‐前記検査窓は、自由であるときに前記検査窓を介した前記固定電気接点の観察が可能になるように前記固定電気接点と同じ高さで作製されている。
【0017】
‐前記検査窓は、前記可動電気接点の移動の方向に平行に配向された長方形(oblong)の形状である。
【0018】
他の態様によれば、本発明は、1つ以上のハウジングを含むベースプレートと、前記ベースプレートの前記ハウジングの1つに収納されるようになっている取り外し可能な電流スイッチング要素であって、前記取り外し可能なスイッチング要素の前記固定電気接点が前記スイッチング装置の接続ランドに電気的に接続される、取り外し可能な電流スイッチング要素と、を備えた電流をスイッチングするための電気スイッチング装置に関する。本発明によれば、前記取り外し可能なスイッチング要素は上述したようなものである。
【0019】
添付図面を参照しながら単に例として提供される取り外し可能なスイッチング要素の一実施形態の以下の説明を踏まえると、本発明はより良く理解され、本発明の他の利点はより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明による取り外し可能なスイッチング要素を含む電気スイッチング装置の概略斜視図である。
図2図2は、図1の取り外し可能なスイッチング要素の第1の部分および第2の部分の縦断面に沿った概略分解図である。
図3図3は、第1の形態における、図1および図2の取り外し可能なスイッチング要素の概略側面図である。
図4図4は、平面断面IV-IVで図示された、図3の取り外し可能なスイッチング要素の一部分の概略図である。
図5図5は、第2の形態における、図3の取り外し可能なスイッチング要素の概略側面図である。
図6図6は、平面断面VI-VIで図示された、図5の取り外し可能なスイッチング要素の一部分の概略図である。
図7図7は、図5の取り外し可能なスイッチング要素の概略斜視図である。
図8図8は、図9の取り外し可能なスイッチング要素の部位VIIIの概略破断図である。
図9図9は、図2の取り外し可能なスイッチング要素の第2の部分の概略平面図である。
図10図10は、図9の取り外し可能なスイッチング要素の第2の部分の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、産業用接触器のような電流をスイッチングするための電気スイッチング装置2を示す。電気スイッチング装置2は、例えば、電気モータに電力を供給するための電力供給ラインに接続されるようになっている。
【0022】
電気装置2の機能は、例えば多相AC電流のような、1つ以上の電流導体を介して流れる電流を選択的に遮断することである。
【0023】
ここで電気装置2は、例えば電気スイッチボードに備え付けられるようになっている、ベースプレート4と、ここでは“スイッチングバルブ”と称される、1つ以上の取り外し可能な電流スイッチング要素6とを含む。各取り外し可能な要素6は、電流、例えば多相電流の一の電気位相、を遮断することに適している。
【0024】
また電気装置2は、取り外し可能な要素6を制御するためにベースプレート4の前面に収納されるようになっている制御アクチュエータ(不図示)を含む。
【0025】
図示の本実施例では、電気装置2は、3つの電気位相を含む三相交流を遮断することに適している。それゆえ電気装置2は、3つの取り外し可能な要素6を収納することに適しており、各取り外し可能な要素6がこれらの電気位相の1つと関連付けられている。
【0026】
ここでベースプレート4は、3つの符号が付けられた、互いに同一のハウジング8、8’、8’’を含む。各ハウジング8、8’、8’’は、取り外し可能な要素6を収容することに適している。それゆえ、ハウジング8、8’、8’’は、取り外し可能な要素6に対して相補的な形状になっている。
【0027】
ここでハウジング8、8’、8’’は、好ましくは、樹脂材料のような電気絶縁材料で作製された分離壁10によって対になるように分離されている。ここで分離壁10は、取り外し可能な要素6の挿入を案内するための溝12を含む。
【0028】
変形例として、取り外し可能な要素6の数は異なっていてもよい。そのときベースプレート4は、それに応じて適応される。
【0029】
図1を簡略化するため、取り外し可能な要素6の1つの例のみが図示されている。本実施例では、取り外し可能な要素6は、互いに同一である。取り外し可能な要素6は、ハウジング8内に収納されて図示されている。
【0030】
図2に図示されるように、取り外し可能な要素6は、第1のハウジング部分20と第2のハウジング部分22とによって形成されるハウジングを含む。第1のハウジング部分20と第2のハウジング部分22は、取り外し可能な要素6を形成するために互いに嵌合可能である。
【0031】
ここで第1のハウジング部分20と第2のハウジング部分22は区別されており、複数の区別された形態の間で互いに対して選択的にかつ可逆的に移動可能である。本実施例では、後に詳細に説明されるように、部分20と部分22は以下の間で移動可能である。
【0032】
‐部分20と部分22が互いに完全に嵌合した組立形態と、
‐第2の部分22が第1の部分20に部分的に嵌合した、“観察形態”または“部分分解形態”とも称される、中間形態。
【0033】
任意に、部分20と部分22は解体形態にも移動可能であり、解体形態では部分20と部分22は互いに完全に分離している。
【0034】
組立形態は、取り外し可能な要素6の作動形態に対応しており、取り外し可能な要素6がベースプレート4に収納されることを可能にする。図示のため、図2は解体形態における部分20と部分22を示している。
【0035】
前側部分とも称される第1の部分20は、第1の底板24を含む。第1の底板24は、取り外し可能な要素6の実質的に平坦な前面26を形成する。前面26には、貫通窓28が設けられている。
【0036】
前側部分20は、接続端子30を更に含む。接続端子30は、底板24に取り付けられており、取り外し可能な要素6を電気回路に接続するように、装置2の電気接続ランドに接続されるようになっている。ここで、これらの端子30は2つを数え、互いに電気的に絶縁されている。
【0037】
例えば、端子30は前側部分20の内部からその外部まで延在し、留めねじ32によって接続ランドに固定保持されている。これらの端子30は、固定電気接点34を含む。固定電気接点34は、取り外し可能な要素6の可動電気接点36と協働するようになっている。ここで、これらの固定接点34は、前側部分20内に収納されている。
【0038】
本実施例では、前側部分20は、長軸Zに沿って延在した長方形の形状をしている。ここでZ軸は、取り外し可能な要素6がベースプレート4内に収納されたときの垂直方向に対応する。例えば、2つの端子30はZ軸に平行に延在する。
【0039】
“X”は、前面26と前側部分20の長軸Zとに直交する軸を示す。“Y”は、前側部分20の横軸を示しており、この横軸Yは、X軸とZ軸とに直交する。
【0040】
ここで前側部分20は、Y軸に直交した、前側部分20の長手中央平面のいずれかの側に平行に延在する側壁38を含む。ここで、これらの側壁38は、組立形態において後側部分22に収容されるようになっている内部容積を規定する。
【0041】
ここで側壁38には、側部空間46が設けられており、その側部空間46の役割は、後に説明される。
【0042】
任意で、前側部分20はアタッチメント部材44を含んでおり、そのアタッチメント部材44の役割は後に詳細に記載される。ここで、これらのアタッチメント部材44は、上部壁40と下部壁42とによって支持されており、上部壁40と下部壁42は、X軸とY軸とに平行な横中央平面に平行に延在する。
【0043】
ハウジングの後側部分22は、第2の底板46を含む。ここで第2の底板46は、取り外し可能な要素6の実質的に平坦な背面47を形成する。後側部分22は、長軸Zに沿って延在する。“X’”は、“Z’”軸と背面52とに直交する軸を示す。更に、“Y’”は、X’軸とZ’軸とに直交して延在する横軸を示す。
【0044】
取り外し可能な要素6の組立形態において、底板24と底板46は、反対側で互いに対向している。そのときZ軸とZ’軸は、互いに統合される。X軸とX’軸、Y軸とY’軸についても同様である。
【0045】
後側部分22は、可動接点36を含む。ここで、これらの可動接点36は2つを数え、互いに電気的に接続されている。
【0046】
取り外し可能な要素6の組立形態において、可動接点36は、対応する固定接点34に対向して位置している。
【0047】
可動接点36は、互いに区別される開位置と閉位置との間で、固定接点34に対して選択的かつ可逆的に移動可能である。ここで、この移動は、ここではX‘軸に平行な移動の方向に沿って並進して行われる。
【0048】
開位置において、電気接点34と電気接点36は、互いに離間しており、それゆえ周囲空気によって互いに電気的に絶縁されている。閉位置において、電気接点34の各々は対応する可動接点36と接触し、電流が2つの端子30の間を流れることを許可する。この接触は、電気接点34と電気接点36によって支持されている接触パッドによって有利になされる。
【0049】
この移動を可能にするために、ここでは後側部分22は、底板46に対してX’軸に沿って並進移動可能な可動接点ホルダ48を含む。この可動接点ホルダ48は、把持部材50と電気導体要素52とを含み、これらは合わせて可動ブリッジと称され、ここでは平板の形状をしており、可動接点36を互いに接続する。
【0050】
把持部材50は、開位置と閉位置との間で可動接点36の移動を駆動するために、スイッチング装置2のアクチュエータに機械的に結合するようになっている。取り外し可能な要素6の組立形態において、窓28は把持部材50に設けられた接点ホルダの通過を可能にしている。
【0051】
例えば、可動接点ホルダ48は、要素52に固く接続されて把持部材50が取り付けられた電気的絶縁材料で作製された胴体を含む。ここで把持部材50はねじ頭である。
【0052】
また可動接点ホルダ48は、螺旋ばねのような弾性復帰部材54を含む。弾性復帰部材54は、装置2のアクチュエータによって力が与えられていないときに可動接点36を開位置に復帰するように、移動の方向X’に沿って、可動ブリッジ52に復帰力を与えるために配置されている。
【0053】
図示の本実施例によれば、ここでは可動接点36は、Z’軸に沿って可動ブリッジ52のいずれかの側に位置しており、この可動ブリッジ52は、後側部分22内の中央位置を占めている。
【0054】
本実施形態では、また後側部分22は、アタッチメント部材56を含む。アタッチメント部材56は、前側部分20に支持されたアタッチメント部材44と協働するようになっている。これらのアタッチメント部材44、56は、部分20と部分22が組立形態において、互いに可逆的に固く接続されることを可能にしている。
【0055】
それゆえ、部分20と部分22は、例えば取り外し可能な要素6の内部を視覚的に検査するために、作業者によって容易に互いに分離することができ、そして、それらは同じように容易に共に組み立て直すことができる。これは取り外し可能な要素6と電気装置2のメンテナンスを容易にする。
【0056】
例えば、部材44と部材56は、スナップ留めによって取り付け可能である。ここで部材44は、開口のような雌部材である。一方、部材56は、ここでは底板46に一部品として形成された、変形可能なフックのような雄部材である。変形例として、部材44と部材56は、それぞれ雄部材と雌部材であってもよい。
【0057】
ここで、後側部分22の残りの部分に対しての可動接点36の移動は、これらの様々な形態の間での部分20と部分22の移動とは独立している。
【0058】
図3および図4は、組立形態における部分20と部分22を図示し、図5および図6は、中間形態における部分20と部分22を図示している。
【0059】
前側部分20は、側壁38において空間によって作製された貫通検査窓60を更に含む。検査窓60は、固定接点34と同じ高さに置かれている。
【0060】
好ましくは、検査窓60は、可動接点36の移動の方向に平行に配向された長方形の形状をしている。ここで、これらは特にX軸に平行に延在した矩形の形状をしている。
【0061】
それゆえ、これらの検査窓60は、中間形態と解体形態において接点34と接点36が観察されることを可能にしている。しかしながら、組立形態においては、検査窓60は、後に説明されるように、後側部分22の壁80によって閉じられている。
【0062】
本実施例では、前側部分20は、そのような検査窓60を4つ含んでいる。2つの窓60は、両側の壁38に、各固定接点34のそれぞれの側に位置している。
【0063】
全く同一の電気接点34と関連付けられた検査窓60は、好ましくは互いに対向して置かれている。それによって観察が容易になる。
【0064】
また側壁38は、側部空間62を含む。ここで、これらの空間62は2つを数え、各々が側壁38の1つに作製されており、X軸に平行に延在した矩形の形状をしている。
【0065】
また前側部分20は、ブロッキング(blocking)壁64を含む。ブロッキング壁64の役割は、後に説明されるように、組立形態から中間形態に移動するときに、後側部分22を当接した状態に保持することである。
【0066】
本実施例では、後側部分22は、案内部66を更に含む。案内部66は、可動接点ホルダアセンブリ52が移動の方向X’に沿って並進移動することを可能にする。ここで案内部66は、X’軸とZ’軸とに平行な方向に沿って接点ホルダ48のいずれかの側に延在した後側部分22の側壁68と同じ高さで形成されている。
【0067】
組立形態において、側壁68は、側部空間62に収納されている。それゆえ、側壁68と側部空間62の各々の形状が相補的になるように選択されていると理解される。
【0068】
ここで側面壁68は、平坦な形状であり、X’軸に沿って延在しガイドレールを形成する長方形開口70を含む。開口70は、所定の行程でX’軸に沿った接点ホルダ48の移動を制限する停止端を形成するエッジ72によって画定される。
【0069】
相補的に、接点ホルダ48は、開口70内に収納されたフック74を含む。これらのフック74は、例えば開口70への挿入を容易にするようになっている傾斜エッジを含む。
【0070】
また底板46は、遮断ガスを取り除くためのチャネル76を含む。チャネル76の機能は、遮断ガスが冷却されることを可能にするとともに、それらが取り外し可能な要素6の外へ搬送されることを可能にすることである。
【0071】
知られた態様では、電気接点34と電気接点36が電流の存在下で分離されたとき、周囲空気をイオン化する電気アークが現れ、遮断ガスを生じさせる。遮断ガスの温度は高く、好ましくは、取り外し可能なアセンブリ6から吐き出される前に冷却されるべきである。具体的には、この遮断ガスは熱いときに導電性がある。十分に冷却されずに取り外し可能な要素6から吐き出されると、装置2の接続ランド間で電流のループバック(loopback)、すなわち短絡のおそれがある。それは危険であり明らかに望ましくない。
【0072】
それゆえ、第2の底板46は、有利には、遮断ガスを取り除くための少なくとも1つのチャネル76を含む。チャネル76は、前側部分20の内部と連通する入口開口を、ハウジングの外部と連通する出口開口に流体的に接続する。ここで前側部分20の内部は、背面47に背を向けた底板46の表面に対応する。すなわち、それらの表面は、アセンブリ6が組立形態のときに前側部分20に対向している。
【0073】
この除去チャネル76は、冷却を促すために遮断ガスの経路を延長するようになっているバフリング(baffling、不図示)を含んでいてもよい。
【0074】
例えば、チャネル76は、底板46の外面と連通している。底板46は、後に説明されるように、このチャネル76の1つ以上の入口開口を含む。
【0075】
後側部分22は、ここでは方向X’に、底板46から延在した側面絶縁壁80を含む。これらの絶縁壁80は、電気接点36を少なくとも部分的に囲む。本実施例では、絶縁壁80は2つを数え、各々が可動接点36のうちの1つを囲む。ここで絶縁壁80は、可動ブリッジ52のいずれかの側に位置している。本実施例では、壁80は同一であり、可動ブリッジ52に対して対称的に位置している。
【0076】
各絶縁壁80は、対応する可動接点36の周囲に消弧室を形成する容積を画定する。ここで除去チャネル76は、これらの消弧室の各々における入口開口を含む。変形例として、底板46は、複数のチャネル76を有していてもよく、各々が消弧室の1つのみと関連付けられた1つの入口開口を有していてもよい。
【0077】
好ましくは、X’軸に平行に測定される絶縁壁80の高さは、X’軸に沿った接点ホルダ48の行程以上である。
【0078】
これらの絶縁壁80は、こうして、X軸とX’軸とに平行に、側壁38に平行に対向して位置する。
【0079】
こうして、部分20と部分22は、X軸に沿って様々な形態の間で並進移動する。例えば、壁38と壁80は、互いに隣接して短い距離、例えば0.5mm以下、だけ離れている。この距離は、Y軸に平行に測定される。短い距離により、アセンブリの気密性に悪影響を与えることなく、壁38と壁80が互いに対してスライドすることが可能になる。実際、壁38と壁80との間のクリアランスは、部品が組み立てられることを可能にするとともに、部分20と部分22とが、組立形態と中間形態との間で移動可能にスライドすることが可能になるように選択され、特に取り外し可能な要素6のサイズに依存する。本図示例によれば、その距離は、ここでは[0.4mm-0.5mm]の範囲内で構成される。
【0080】
こうして側壁38は、部分20に対する部分22の移動の間に、壁80が案内されることを可能にする。
【0081】
更に、組立形態においては、壁80は、これらの検査窓60を閉じるように検査窓60の前に設置されている。この方法で、遮断ガスがチャネル76を介する以外に取り外し可能な要素6から漏れ出るおそれを制限している。
【0082】
しかしながら、中間形態においては、壁80は、これらの検査窓60を自由にするように、検査窓60から離れて設置されている。言い換えれば、検査窓60は、中間形態においては開いている。解体形態でも同様である。
【0083】
図示の本実施例によれば、組立形態において、壁80は、部分20内においてそれらの高さの少なくとも80%以上が収納される。すなわち、それらの高さの80%以上、壁80が側壁38とオーバーラップする。同様に、中間形態において、壁80は、部分20内においてそれらの高さの少なくとも10%以上が収納される。
【0084】
有利には、壁80は、保持部材88を含む。保持部材88は、組立形態から中間形態に移動するときに、部分20に対して部分22を保持するために、第1の部分20、ここではブロッキング壁64、と協働するようになっている。より具体的には、部分22が部分20から取り外されるときに保持部材88は壁64に当接する。部材88は、ここでは、Y’軸に平行に、壁80に垂直に突出したフックの形状をしている。こうして、部分20に対する部分22の行程は規定値を有している。
【0085】
本発明によれば、要素6を中間形態に切り替えることによって、例えば要素6をメンテナンスの間にベースプレートから取り外すときに、ハウジングの内部を検査するために検査窓60は選択的に開かれる。次に、要素6を作動に戻す目的で組立形態に戻したときに、これらの窓はまた閉められる。それによって、ガスがこれらの窓60を介して漏れ出ることを防止する。この気密性のおかげで、遮断ガスは除去チャネル76を通って優先的に取り除かれ、それゆえより冷却される。これは、取り外し可能な要素6の外部への電流のループバック(loopback)のおそれを制限する。装置2の安全性と信頼性は、それゆえ改善される。
【0086】
こうして、要素6は、これらの窓60の存在がアセンブリ6の気密性に悪影響を与えることなく、窓60のおかげで電気接点34、36が視覚的に検査されることを可能にする。また、その分解が可逆的であるため、その内部を検査するためにハウジングを損傷させる必要もない。
【0087】
更に、特にアタッチメント部材44とアタッチメント部材62のおかげで、組立形態と中間形態との間の切り替えが素早く簡単であり、特別な道具を必要としない。
【0088】
有利には、解体形態は作業者がアセンブリ6の内部にアクセスすることを可能にする。例えば、電気接点34と電気接点36を清掃すること及び/または予想外の溶着の場合にそれらを互いに分離することを可能にする。特に、壁64から保持部材88を分離させることによって、例えば壁80を変形させることによって、中間形態からのこの移動が行われ得る。次に、部分20と部分22は、共にハウジングを組み立て直すことを目的として、中間形態に戻すことができる。
【0089】
好ましくは、壁80はガスに対して不浸透性の材料で作製される。
【0090】
本実施形態では、図7図10に図示されるように、絶縁壁80は各々が、底板46に取り付けられた“ブロー部品(blow piece)”とも称される、部品82を含む。ブロー部品82は、例えば強磁性体のような磁性体で作製されており、その機能は、対応する可動接点36と同じ高さを形成する電気アークのブロー、すなわち消滅を促進することである。部品82は、消弧室の特定の領域に向けて電気アークを案内する磁場を発生する。
【0091】
ここで各ブロー部品82は、U字の形状をしている。より具体的には、ここでこの部品82のベースがU字の形状をしており、部品82は、X’軸に平行にこのベースから並進して延在している。部品82は、対応する可動接点36のいずれかの側に置かれた2つの両側の同一の側面隔壁を含む。側面隔壁は、Y’軸に直交しかつX’軸とZ’軸とに平行に、それゆえ底板46に直交して延在する。これらの側面隔壁は、X’軸に平行に立ち上り、部品82のU字形状の底83を形成する湾曲した隔壁によって互いに接続されている。また側面隔壁は、末端エッジを含んでおり、末端エッジは、湾曲した隔壁とは反対側に設置され、X’軸に平行に延在する。
【0092】
また各壁80は、ここでは保護プレート84を含んでおり、保護プレート84は、少なくとも部分的に部品82の内面を覆い、電気アークによって引き起こされる損傷から防御する。“内面”という用語は、対応する可動接点36に対向した面を称している。
【0093】
任意に、保護プレート84は、ここでは高さ全体に渡って、部品82の末端エッジを覆い囲む折り重ねエッジ86を含む。より具体的には、各エッジ86は、対応するプレート84と共に単一部品として形成され、この部品82の外面の一部を覆うように、そのプレート84に対して折り返された延長部分として延在する。折り重ねエッジ86は、保護プレート84の有効性を改善する。特に、それらは遮断ガスに対する気密性を更に改善する。
【0094】
本実施例では、部材88はプレート84に形成されている。変形例として、それらは異なって形成されていてもよい。
【0095】
上記で検討された実施形態と変形例は、新しい実施形態を創作するように互いに組み合わされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10