IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特許-シールド掘進機のテールシール構造 図1
  • 特許-シールド掘進機のテールシール構造 図2
  • 特許-シールド掘進機のテールシール構造 図3
  • 特許-シールド掘進機のテールシール構造 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】シールド掘進機のテールシール構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/00 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
E21D11/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018116779
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019218754
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】春田 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】片岡 希誉司
(72)【発明者】
【氏名】北山 圭造
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 廉樹
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 智史
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-115495(JP,A)
【文献】特開平09-004384(JP,A)
【文献】特開2009-138442(JP,A)
【文献】特開平02-200998(JP,A)
【文献】特開平02-108795(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106907155(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山を掘削するカッターがその前端に設けられた前胴部と、前記前胴部の後端に屈曲可能に結合された後胴部とを有する胴部を備え、
前記後胴部の後端内周面に前記後胴部の軸心方向に間隔をおいて複数のテールシールが設けられ、
前記胴部の内側で組み立てられたセグメントリングの外周面と前記後端内周面との間の環状の隙間を前記テールシールで閉塞するようにしたシールド掘進機であって、
前記後胴部の軸心方向において隣り合う前記テールシールの間に、弾性材料で形成され前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面とに弾接しつつそれらの周方向全周に延在し非圧縮性の流体が充填された環状で中空状の弾性体が設けられ、
前記テールシールは、前記後端内周面から前記胴部の軸心と交差する方向に延在しその先部が前記セグメントリングの外周面に接触し前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面との間の隙間の拡縮に対応して傾動可能なブラシ部を有し、
前記弾性体の、前記セグメントリングの径方向の形状は、前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面とにより拘束され、前記セグメントリングの軸心方向に沿った形状は、前記後胴部の軸心方向において隣り合う前記テールシールの前記ブラシ部により拘束され、前記シールド掘進機の掘進方向が湾曲状で前記前胴部と前記後胴部の軸心がずれ前記後端内周面と前記セグメントリングの外周面との間の隙間の大きさが前記セグメントリングの半径方向の一方側で拡大し、その反対側の部分で縮小した場合であっても、前記弾性体は前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面と前記隣り合う前記テールシールの前記ブラシ部に常時接触する、
ことを特徴とするシールド掘進機のテールシール構造。
【請求項2】
前記非圧縮性の流体は水である、
ことを特徴とする請求項記載のシールド掘進機のテールシール構造。
【請求項3】
前記弾性体が、前記後端内周面に弾接する箇所の近傍の箇所は、前記後端内周面に取着されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のシールド掘進機のテールシール構造。
【請求項4】
前記弾性体が前記後端内周面に取着される箇所の近傍の前記弾性体の箇所に、前記流体の前記弾性体内部への充填を可能とした一方向弁を備える流体供給口が設けられている、
ことを特徴とする請求項記載のシールド掘進機のテールシール構造。
【請求項5】
前記流体を供給する流通路が前記後端内周面に開口し、
前記流体供給口は、前記開口に結合されている、
ことを特徴とする請求項記載のシールド掘進機のテールシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールド掘進機のテールシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
胴部の内側でセグメントを円筒壁状に組み立てつつ掘進することでセグメントリングを組み立てるシールド掘進機がある。
シールド掘進機の胴部のスキンプレートの内周面とセグメントの外周面との間の環状の隙間から地山の土砂や水、あるいは、セグメントの外周面と地山との間に充填される裏込め材が胴部の内部に侵入することを防止するため、隙間を塞ぐテールシールがスキンプレートの内周面に設けられている。
従来、テールシールは、多数のワイヤからなるワイヤブラシと、多数のワイヤ間に充填されたグリス(シールドパテグリス)とで構成されている。
しかしながら、このようなグリスは、流動性を有していることから、シールド掘進機の掘進に伴って徐々にワイヤブラシから流出してしまうため、シール性が低下したり、グリスが流出することで生じたワイヤブラシの隙間に裏込め材が侵入して固化することでさらにシール性が低下するといった不利があった。
【0003】
そこで、特許文献1には、グリスに代えて発泡ウレタンなどの発泡樹脂を多数のワイヤ間に充填する技術が開示されている。
この技術によれば、発泡樹脂はグリスのように流出しないため、シール性を維持する上で有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3158019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、発泡樹脂は破損しやすく、使用に伴って体積が減少する。
また、応力が加わることで発泡樹脂内の気体(空気)が抜けるため、使用に伴って元の形状に復元しにくくなる。
そのため、テールシールの耐久性が低く、長期間にわたってシール性を維持する上で改善の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、長期間にわたってシール性を維持する上で有利なシールド掘進機のテールシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、地山を掘削するカッターがその前端に設けられた前胴部と、前記前胴部の後端に屈曲可能に結合された後胴部とを有する胴部を備え、前記後胴部の後端内周面に前記胴部の軸心方向に間隔をおいて複数のテールシールが設けられ、前記胴部の内側で組み立てられたセグメントリングの外周面と前記後端内周面との間の環状の隙間を前記テールシールで閉塞するようにしたシールド掘進機であって、前記胴部の軸心方向において隣り合う前記テールシールの間に、弾性材料で形成され前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面とに弾接しつつそれらの周方向全周に延在し非圧縮性の流体が充填された環状で中空状の弾性体が設けられ、前記テールシールは、前記後端内周面から前記胴部の軸心と交差する方向に延在しその先部が前記セグメントリングの外周面に接触し前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面との間の隙間の拡縮に対応して傾動可能なブラシ部を有し、前記弾性体の、前記セグメントリングの径方向の形状は、前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面とにより拘束され、前記セグメントリングの軸心方向に沿った形状は、前記後胴部の軸心方向において隣り合う前記テールシールの前記ブラシ部により拘束され、前記シールド掘進機の掘進方向が湾曲状で前記前胴部と前記後胴部の軸心がずれ前記後端内周面と前記セグメントリングの外周面との間の隙間の大きさが前記セグメントリングの半径方向の一方側で拡大し、その反対側の部分で縮小した場合であっても、前記弾性体は前記セグメントリングの外周面と前記後端内周面と前記隣り合う前記テールシールの前記ブラシ部に常時接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、胴部の軸心方向において隣り合うテールシールの間に、弾性材料で形成されセグメントリングの外周面と後端内周面とに弾接しつつそれらの周方向全周に延在する環状で中空状の弾性体が設けられている。
したがって、従来のようにテールシールのワイヤ部にグリスや発泡樹脂を充填する必要がなくなり、グリスの流出によるシール性の低下もなくなり、長期間にわたって胴部の後端内周面とセグメントの外周面との間のシール性を維持する上で有利となり、土砂や水、あるいは、裏込め材の胴部の内部への侵入を防止する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係るシールド掘進機の説明図である。
図2】実施の形態に係るシールド掘進機のテールシール構造の弾性体の断面図である。
図3】実施の形態に係るシールド掘進機のテールシール構造を示す断面図であり、前胴部の軸心と後胴部の軸心とが一致した状態を示す。
図4】実施の形態に係るシールド掘進機のテールシール構造を示す断面図であり、前胴部の軸心と後胴部の軸心とがずれた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、シールド掘進機について説明する。
図1に示すように、シールド掘進機10の胴部は、前胴部12と、前胴部12の後端に屈曲可能に結合された後胴部(テール部)14と、不図示の後方台車などを含んで構成され、前胴部12は、掘削部16と、その後方に設けられた後部室18とを有している。
【0010】
前胴部12は円筒状の前スキンプレート1202を含んで構成され、掘削部16は前スキンプレート1202の前部に設けられた円盤状のカッター1602を含んで構成されている。
カッター1602は、掘進方向と平行な軸線回りに回転することで地山を掘削するように構成されている。
前スキンプレート1202の内側でカッター1602の後方の後部室18には、不図示のコンベア装置(排土装置)、ジャッキ装置などが配置されている。
コンベア装置は、カッター1602による地山の掘削で排出された土砂を後方に運搬するように構成されている。
ジャッキ装置は、カッター1602によって掘削された掘削孔20に円筒壁状に組み付けられるセグメント22の端面箇所を上記掘進方向の後方に向けて押圧することでカッター1602とコンベア装置を掘進方向に推進させるように構成されている。
【0011】
後胴部14は円筒状の後スキンプレート1402を含んで構成され、後スキンプレート1402は円筒状を呈し、掘削孔20の内壁2002に臨む外周面1404と該外周面1404と対向し後述するセグメントリング21の外周面2102に臨む内周面1406を有している。
後スキンプレート1402の内周面1406の後部には、他の箇所に比べて内径が大きい後端内周面1406Aが設けられ、この後端内周面1406Aにテールシール24が設けられている。
複数のセグメント22は、後胴部14内で円筒壁状のセグメントリング21に組み立てられる。
円筒壁状に組み立てられたセグメントリング21は、掘削孔20の内壁2002に対向する円筒面状の外周面2102と、セグメントリング21の内側に位置する円筒面状の内周面2104とを有している。
【0012】
次に、テールシール24について説明する。
テールシール24は、後胴部14の後端内周面1406Aに後胴部14の軸心方向に間隔をおいて複数設けられ、本実施の形態では2つ設けられている。
テールシール24は、後胴部14の内側で組み立てられたセグメントリング21の外周面2202と後端内周面1406Aとの間の環状の隙間を閉塞するものである。
テールシール24は、多数のワイヤから構成され、テールシール24は取り付け部2402と、ブラシ部2404とを備えている。
取り付け部2402は、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aにボルトナットを介して多数のワイヤが取着される箇所であり、後端内周面1406Aの周方向全周に円筒状に延在している。
ブラシ部2404は、後端内周面1406Aに取り付けられた取り付け部2402から多数のワイヤがセグメントリング21の軸心と交差する方向に延在しその先部がセグメントリング21の外周面2102全周に接触する。
【0013】
後胴部14の軸心方向において隣り合うテールシール24の間に、弾性材料で形成されセグメントリング21の外周面2102と後端内周面1406Aとに弾接しつつそれらの周方向全周に延在する環状で中空状の弾性体26が設けられている。
このような弾性体26を構成する弾性材料として、ゴム、シリコンなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
本実施の形態では、弾性体26の内部に、非圧縮性の流体28が充填されている。
非圧縮性の流体28として水や油、グリスなど従来公知の様々な非圧縮性の流体が使用可能である。
本実施の形態では、非圧縮性の流体28として水28を用いており、非圧縮性の流体28として水28を用いると弾性体26を耐油性を有する高価な材料で形成する必要がないことから、コストを低減する上で有利となる。
弾性体26は、例えば、断面が円筒状を呈している。
本実施の形態では、図2に示すように、弾性体26は、一定幅の細長の一枚の弾性板がその幅方向に円形に巻かれ、弾性板の幅方向の両端がフランジ2602として重ね合わされ接合されて構成されている。
そして、重ね合わされたフランジ2602の全周にわたって周方向に間隔をおいた複数箇所に挿通したボルトBを後端内周面1406Aの複数の雌ねじに螺合することで弾性体26の全周が後端内周面1406Aに胴部の軸心方向に移動不能に取り付けられている。
流体供給口27はフランジ2602近傍の弾性体26の箇所、すなわち、弾性体26が後端内周面1406Aに取り付けられた箇所の近傍の箇所に設けられ、流体供給口27には水28の弾性体26内部への充填を可能とした一方向弁2702が設けられている。
【0014】
図1に示すように、弾性体26の内部に水28を充填する流体供給路30が設けられている。
流体供給路30は、後胴部14の内部に配置された水タンク32、ポンプ34、流路36を含んで構成されている。
流路36は、後胴部14を構成する後スキンプレート1402の壁部の内部に設けられた流通路3602と、この流通路3602の一端とポンプ34とを接続する配管3604とを含んで構成されている。
流通路3602の他端は、後端内周面1406Aに開口され、この開口に弾性体26の流体供給口27が接続されている。
したがって、ポンプ34の駆動により水タンク32内の水28が流路36を介して後胴部14の内側から流体供給口27に供給され、弾性体26の内部に充填される。
【0015】
弾性体26の、セグメントリング21の径方向の形状は、セグメントリング21の外周面2102と後端内周面1406Aとにより拘束され、セグメントリング21の軸心方向に沿った形状は、後胴部14の軸心方向において隣り合うテールシール24のブラシ部2404により拘束される。
【0016】
次に、シールド掘進機10のテールシール構造の作用効果について説明する。
予め、複数のテールシール24が後スキンプレート1402の後端内周面1406Aの周方向の全周にわたってかつ後胴部14の軸心方向において間隔をおいて設けられている。
弾性体26は、隣り合うテールシール24の間に取り付けられているが、まだ、弾性体26の内部に水28は充填されていない。
【0017】
シールド掘進機10による地山の掘進がなされ、幾つかのセグメントリング21の組み立てが行なわれ、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間に弾性体26が位置した状態となったならば、流体供給路30を介して水28を弾性体26に充填し、圧力計38により弾性体26の内部に充填される水28の圧力(水圧)を計測する。
弾性体26に充填する水28の圧力は、例えば、0.05~0.1MPa程度であり、地山の土砂や水、あるいは、セグメントリング21の外周面2102と地山との間に充填される裏込め材に対して十分に対抗できる圧力とすることが好ましい。
このように弾性体26に水28を充填することで、隣り合うテールシール24の間で後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との双方に対して弾性体26が密着して隙間を閉塞することで、地山の土砂や水、あるいは、裏込め材が後胴部14の内部に侵入することが防止される。
また、シールド掘進機10の掘進作業の過程において、掘進方向が直線状である場合は、前胴部12と後胴部14との軸心がほぼ合致するため、図3に示すように、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間の隙間の大きさは、周方向にわたってほぼ均一となる。
一方、掘進方向が湾曲状である場合は、前胴部12と後胴部14との軸心がずれるため、図4に示すように、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間の隙間の大きさは、周方向にわたって均一とはならず、半径方向の一方側で隙間が拡大し、その反対側の部分で隙間が縮小する。
この場合、弾性体26の半径方向の一方側が圧縮されるため、水28は弾性体26の半径方向の反対側に向かって瞬時に移動する。すなわち、水28は、非圧縮性の流体であるため、体積変化することなく速やかに移動する。
したがって、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間の隙間の変動に拘わらず、隙間は、その全周にわたって常時弾性体26によって閉塞される。
そのため、地山の土砂や水、あるいは、裏込め材が後胴部14の内部に侵入することが防止される。
【0018】
本実施の形態によれば、弾性体26は、隣り合うテールシール24の間で後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間の隙間の変動に追従して弾性変形するものの、弾性体26は、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との双方に対して常に密着する。
そのため、従来のようにテールシール24のワイヤ部2404にグリスや発泡樹脂を充填する必要がなくなり、グリスの流出によるシール性の低下もなくなり、長期間にわたって後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間のシール性を維持する上で有利となり、地山の土砂や水、あるいは、裏込め材が後胴部14の内部に侵入することが防止される。
【0019】
本実施の形態では、弾性体26に充填する流体28として非圧縮性の水28を用いた場合について説明したが、流体28として空気などの気体を用いてもよい。
しかしながら、気体は圧力に応じて体積が変化するため、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102に対する密着性を確保する効果が非圧縮性の流体28を用いた場合に比べて低下する。
そのため、気体を用いる場合は、弾性体26に充填した気体の圧力を0.3MPa程度として、気体の圧力により弾性体26を後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102に強く密着させることが好ましい。
【0020】
また、本実施の形態では、弾性体26の、セグメントリング21の径方向の形状は、セグメントリング21の外周面2102と後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとにより拘束され、セグメントリング21の軸心方向に沿った形状は、後胴部14の軸心方向において隣り合うテールシール24のブラシ部2404により拘束される。
したがって、弾性体26は、後スキンプレート1402の後端内周面1406Aと、セグメントリング21の外周面2102と、隣り合うテールシール24のブラシ部2404との間の空間に確実に保持され、シールド掘進機10の掘進に伴い、弾性体26がシールド掘進機10から抜落せず、長期間にわたって後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間のシール性を維持する上で有利となる。
【0021】
また、本実施の形態では、弾性体26の、後端内周面1406Aに弾接する箇所の近傍の箇所が後端内周面1406Aに取着されているので、長期間にわたって後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間のシール性を維持する上で有利となる。
【0022】
また、本実施の形態では、弾性体26が後端内周面1406Aに取着される箇所の近傍の弾性体26の箇所に、水28の弾性体26内部への充填を可能とした一方向弁2702を備える流体供給口27が設けられているので、掘進時に弾性体26に加わる力が流体供給口27に作用することを抑制でき、水28の弾性体26からの漏れを阻止し、長期間にわたって後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間のシール性を維持する上で有利となる。
【0023】
また、流通路の後端内周面1406Aの開口と流体供給口27とをゴムホースで接続してもよいが、本実施の形態のように、流体供給口27を後端内周面1406Aの流通路3602の開口に直接結合させると、部品点数の削減化を図る上で有利となり、水28の弾性体26からの漏れを阻止し、長期間にわたって後スキンプレート1402の後端内周面1406Aとセグメントリング21の外周面2102との間のシール性を維持する上で有利となる。
【0024】
なお、本実施の形態では、流路36を構成する流通路3602を、後胴部14を構成する後スキンプレート1402の壁部の内部に設けた場合について説明したが、流通路3602は、後胴部14の外周面1404やあるいは内周面1406に設けてもよい。
また、テールシール24が後胴部14の軸心方向に間隔をおいて3つ以上設けられる場合には、弾性体26は隣り合うテールシール24の間にそれぞれ設けてもよく、あるいは、任意の隣り合うテールシール24の間に1つ設けるなど任意である。
【符号の説明】
【0025】
10 シールド掘進機
12 前胴部(胴部)
14 後胴部(胴部)
1406A 後端内周面
21 セグメントリング
2102 外周面
24 テールシール
26 弾性体
27 流体供給口
2702 一方向弁
28 水(流体)
3602 流通路
図1
図2
図3
図4