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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】古紙パルプ原料の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   D21B 1/00 20060101AFI20220621BHJP
   B02C 23/10 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
D21B1/00
B02C23/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018151746
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020026590
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592094519
【氏名又は名称】ダイオーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松樹 伸明
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-104633(JP,A)
【文献】特開2007-319754(JP,A)
【文献】特開2000-168924(JP,A)
【文献】特開2003-164807(JP,A)
【文献】特表2005-515068(JP,A)
【文献】特開2020-002502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00-D21J7/00
B02C1/00-25/00
B07B1/00-15/00
B07C1/00-99/00
B65G13/00-13/12,39/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
禁忌品を含む古紙梱包品を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給する原料とする製造方法であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
回転軸にその長手方向に沿って搬送ディスクが離間して多数設けられて搬送軸を形成し、
前記搬送軸が平行に搬送方向に離間して多数設けられて搬送面が形成され、かつ、この搬送面に間隙が形成され、
前記搬送ディスクは、その外周面がなす軌跡の各点と前記回転軸芯との離間距離が段階的に、大から小に変化し、その後小から大に変化する外周面を有し、
前記搬送面が水平面に対して上方に傾斜しており、
分離対象物を前記搬送面に沿って搬送する過程で、分離対象物の一部を、前記搬送面の間隙を重力で透過させ、透過しないものを前記残分とする、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項2】
前記搬送面の下流側が水平面に対して10度~30度上方に傾斜している請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項3】
前記搬送ディスクの外周がなす形状が三角形、四角形、五角形及び六角形から選ばれる多角形である請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項4】
前記搬送ディスク各々は、最大径が異なるディスクを複数重ねて一体化して形成されたものであり、
前記最大径が異なるディスク各々の外周がなす形状が三角形、四角形、五角形及び六角形から選ばれる多角形である請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項5】
前記分離装置は、上下に揺動する請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項6】
前記残分を測色し、かつ、前記残分の吸光度スペクトルを測光して弁別し、弁別した弁別物を前記古紙パルプ製造工程に供給する請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項7】
前記分離装置は、第1の分離装置と第2の分離装置の2台からなり、
前記第1の分離装置の搬送面の前記傾斜角度は、前記第2の分離装置の搬送面の前記傾斜角度よりも小さく、
前記第1の分離装置の搬送面の下流端に達した第1の残分は、前記第2の分離装置の搬送面の上流端に投入され、
前記第2の分離装置の搬送面の下流端に達した第2の残分は、古紙パルプ製造工程に供給される請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項8】
禁忌品を含む古紙梱包品を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給するのに使用する原料の製造装置であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
回転軸にその長手方向に沿って搬送ディスクが離間して多数設けられて搬送軸を形成し、
前記搬送軸が平行に搬送方向に離間して多数設けられて搬送面が形成され、かつ、この搬送面に間隙が形成され、
前記搬送ディスクは、その外周面がなす軌跡の各点と前記回転軸芯との離間距離が段階的に、大から小に変化し、その後小から大に変化する外周面を有し、
前記搬送面が水平面に対して上方に傾斜しており、
分離対象物を前記搬送面に沿って搬送する過程で、分離対象物の一部を、前記搬送面の間隙を重力で透過させ、透過しないものを前記残分とする、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、禁忌品を含む古紙梱包品から古紙パルプ原料を製造する製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の多様化に伴って、例えばラミネート紙などの禁忌品が混在する傾向が高まり、市中で回収する古紙の中には、禁忌品と評価されるいわゆる難処理性古紙が混入する。
古紙の回収企業では、古紙の中から禁忌品を含む難処理性古紙を分離し、例えば新聞用紙に再生できる第1の古紙と、例えば段ボール原紙に再生できる第2の古紙とに分別し、それぞれ古紙の種別ごとに(圧縮)梱包し、古紙ベールの状態で製紙工場に納入している。
【0003】
製紙工場では、市中から回収された古紙が、再生処理設備で古紙パルプ化された後、再び抄紙され新聞用紙に代表されるリサイクル再生紙として利用されている。しかしながら、難処理性古紙は製紙過程での種々の品質低下要因となるので、その受け入れをすることができないでいた。
また、古紙の回収企業にとっては、古紙の回収後に古紙の分別を行うことなく、混在状態で製紙工場に販売できることが望ましいが、製紙工場では、前述のように、難処理性古紙は製紙過程での種々の品質低下要因となるので、混在古紙の受け入れはできない。
もちろん、混在古紙を受け入れて焼却処分する方法も考えられるが、焼却によるエネルギー回収量は高くなく、古紙を有用資源として考えた場合には、焼却は避けるべきである。
【0004】
古紙の回収業者は禁忌品を含む難処理性古紙の分離を主に人手により行っているが、人件費に係るコストが嵩み、古紙回収の費用対効果は低いものであった。具体的には、古紙の回収段階で、禁忌品を選別除去する手間、前述の第1の古紙と第2の古紙とに分別する手間が大きく、人手に頼る部分が大きい。この古紙の回収に係る人件費コストが、製紙工場にとっては受け入れ古紙のコストの高騰につながっている。また、作業環境からも見直す必要性が高い。
【0005】
一方で、古紙の回収業者は、コストの低減化のため人件費の安価な海外市場にこの禁忌品を含む難処理性古紙の輸出販売を行っていた。
ところが、海外では昨今この禁忌品を含む難処理性古紙に対して輸入制限を課す動きがあり、この動きにより日本国内において輸出販売量の減少を招くに至った。これにより、国内では、この難処理性古紙は消費量が低減し、供給過多の状態となっている。
このような現状の下、国内においてこの難処理性古紙の有効利用、安価な古紙の回収技術の確立が望まれている。
【0006】
現在、禁忌品の選別分離には多くの技術的課題が残されており、結局、古紙の回収業者はやむなく人海戦術による分離を行っている状況にある。
【0007】
古紙の選別手段としては、風力、比重、磁力、対象物の大きさ等を選別基準とすることが知られている。
しかし、この種の選別は異物除去には有効であるが、禁忌品の禁忌物質が紙と一体している難処理性古紙の分離除去には有効ではない。
【0008】
古紙の回収に関する従来技術として下記の先行技術がある。
特許文献1は、雑誌古紙を含む古紙原料から古紙パルプを回収するものである。
古紙パルプ化の困難な雑誌古紙からの古紙パルプの回収を目的としたものであり、雑誌古紙の粘着異物を除去する技術に関するものである。適当な離解温度下での中濃度パルパーの利用、フラクショネーターによる繊維の分級、クリーナーによる異物除去、粗選スクリーン・精選スクリーンによる異物の分離を行い古紙パルプを回収するものである。
しかしながら、この技術は禁忌品、例えば、金銀ラミネートや石膏ボード、剥離紙等を含む難処理性古紙から古紙パルプを回収するという発想はない。
特許文献2は、家庭等から排出される各種混合廃棄物等を選別する揺動選別機に関するものである。各種混合廃棄物等の大きさ及び重量の異なる被選別物を揺動可能な篩孔を通過する細粒物(小径物)と篩上に残留して分けられる重量物と軽量物とに選別する揺動選別機である。
しかしながら、本願発明で分離されるべき軟らかい紙や細切れの紙(アンダーサイズ)は、所定の長さや面積があり同篩孔より大きいサイズのものもある。そのため、アンダーサイズが同篩孔から落下し難い場合があり、さらには、当該篩孔に詰まるなどして、比較的面積の大きな紙や硬めの紙(オーバーサイズPO(請求項における「残分」をいう。))とアンダーサイズの確実な分離を行えない。
また、特許文献2に係る技術では、揺動選別機の上流側から下流側に向けて空気流を発生させて各種混合廃棄物等を選別しているが、禁忌品を含む難処理性古紙の分離には適さない。この向きに空気流を発生させると、アンダーサイズとオーバーサイズPO(請求項における「残分」をいう。)が共に混在した状態で空気流により運ばれてしまい、アンダーサイズとオーバーサイズPO(請求項における「残分」をいう。)の確実な分離を行えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-9263号公報
【文献】特開2014-155928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする主たる課題は、禁忌品を含む古紙梱包品(例えば圧縮梱包したいわゆる古紙ベール)を解砕し、解砕物を人手に頼ることなく大きさ基準で分離して、残分から古紙を回収して資源の有効利用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決した本発明は、
禁忌品を含む古紙梱包品を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給する原料とする製造方法であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
回転軸にその長手方向に沿って搬送ディスクが離間して多数設けられて搬送軸を形成し、
前記搬送軸が平行に搬送方向に離間して多数設けられて搬送面が形成され、かつ、この搬送面に間隙が形成され、
前記搬送ディスクは、その外周面がなす軌跡の各点と前記回転軸芯との離間距離が段階的に、大から小に変化し、その後小から大に変化する外周面を有し、
前記搬送面が水平面に対して上方に傾斜しており、
分離対象物を前記搬送面に沿って搬送する過程で、分離対象物の一部を、前記搬送面の間隙を重力で透過させ、透過しないものを前記残分とする、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造方法、
である。
【0012】
本発明の構成要素の一つである分離装置には、回転軸が備わり、その回転軸にはその長手方向に搬送ディスクが多数設けられている。これを搬送軸という。搬送軸は、平行に搬送方向に離間して多数設けられている。この搬送軸が平行に複数設けられて搬送面が形成される。搬送軸相互は離間して設けられているので、搬送面上の、離間して設けられた多数の搬送軸で囲まれた部分には間隙が多数存在する。
【0013】
搬送ディスクは、その外周面がなす軌跡の各点と回転軸芯との離間距離が段階的に、大から小に変化し、その後小から大に変化する外周面を有する。解砕物(搬送材料)は、分離装置の搬送面の上流端に投入される。搬送ディスクの外周面に存在する搬送材料は搬送ディスクの回転力により回転方向に勢いを得て、前方上方(下流上方)に跳ね上がり、バウンドしつつ、下流に搬送される。解砕された解砕物(搬送材料)の中には、相互にくっつき塊状になっているものもある。この塊状物は搬送ディスクによって跳ね上げられ、バウンドを繰り返されることで、塊状状態が解け、個々の搬送材料に分散される。
【0014】
搬送材料のうち、間隙よりも径が小さいものは、間隙から重力により透過する。具体的には、分離対象物を搬送面に沿って搬送する過程で、分離対象物の一部を搬送面の間隙から重力により透過させる。一方搬送材料のうち、間隙よりも径が大きいもの(分離対象物の一部)は、間隙から透過することなく、下流側に搬送される。このように搬送材料は間隙の大きさを基準に分離されることになる。
解砕物(搬送材料)のうち重量物は、跳ね上がらない又は跳ね上がりが弱いので、傾斜を有する分離装置の上流端から下方に転がり落ちる。
以上の作用機序を伴う分離装置によれば、解砕された古紙梱包品の解砕物の分離に最適であることが判明している。
搬送材料の分離が適確になされれば、分離装置における残分をそのまま、あるいは残分を選別手段により選別し、その選別物を、古紙パルプ製造工程に供給する、例えば白色古紙パルプ製造工程に供給して新聞用紙製造工程に、あるいは有色古紙パルプ製造工程に供給し段ボール用紙製造工程に供給し、新聞用紙又は段ボール用紙を製造できる。
【0015】
また別発明として、
禁忌品を含む古紙梱包品を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給するのに使用する原料の製造装置であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
回転軸にその長手方向に沿って搬送ディスクが離間して多数設けられて搬送軸を形成し、
前記搬送軸が平行に搬送方向に離間して多数設けられて搬送面が形成され、かつ、この搬送面に間隙が形成され、
前記搬送ディスクは、その外周面がなす軌跡の各点と前記回転軸芯との離間距離が段階的に、大から小に変化し、その後小から大に変化する外周面を有し、
前記搬送面が水平面に対して上方に傾斜しており、
分離対象物を前記搬送面に沿って搬送する過程で、分離対象物の一部を、前記搬送面の間隙を重力で透過させ、透過しないものを前記残分とする、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、禁忌品を含む古紙梱包品(例えば圧縮梱包したいわゆる古紙ベール)を解砕し、解砕物を人手に頼ることなく大きさ基準で分離して、残分から古紙を回収して資源の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】古紙梱包品の処理の概要フロー図である。
図2】解砕装置の正面図である。
図3】解砕装置の平面図である。
図4】解砕装置の解砕刃の斜視図である。
図5】分離装置の平面図である。
図6】分離装置の要部斜視図である。
図7】分離装置の要部平面図である。
図8】分離装置から仕分け装置までの全体を示す正面図である。
図9】弁別装置例の概要斜視図である。
図10】弁別装置例の概要説明図である。
図11】古紙パルプ製造設備例の概要フロー図である。
図12】他の古紙パルプ製造設備例の概要フロー図である。
図13】解砕装置のA-A断面図である。
図14】(a)(b)解砕刃の別の実施形態の側面図である。
図15】圧縮梱包品のままの解砕工程の説明図である。
図16】搬送ディスクの他の実施形態を示す図である。
図17】搬送ディスクの他の実施形態を示す図である。
図18】(a)(b)搬送ディスクの位相のずれの説明図である。
図19】紙の近赤外線反射波の波長強度分布図である。
図20】PEの近赤外線反射波の波長強度分布図である。
図21】PPの近赤外線反射波の波長強度分布図である。
図22】PSの近赤外線反射波の波長強度分布図である。
図23】PETの近赤外線反射波の波長強度分布図である。
図24】PVCの近赤外線反射波の波長強度分布図である。
図25】分離装置の設置角度の説明図である。
図26】分離装置の別の形態を示す図である。
図27】揺動機構の説明図である。
図28】他の搬送ディスクの他の実施形態を示す図である。
図29】他の搬送ディスクの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例に過ぎない。
【0019】
本発明の禁忌品を含む古紙梱包品の処理例を図1に示してある。この図1に従って処理の概要を予め説明する。
禁忌品との混在物からなる古紙梱包品、一般的にはいわゆる古紙ベールと称せられる圧縮梱包品1は、例えばフォークリスト2によって、投入コンベア3に搬送され、投入コンベア3からホッパー4を介して搬送コンベア5により、解砕装置10に投入される。
圧縮梱包品1は、例えば番線で結束されているので、解砕装置10に至る前の適宜の時点で、あるいは解砕装置10内で番線6などの結束具を除去できる。後に説明する実施の形態の解砕装置10では番線6を破断しながら解砕を行うことができる。
【0020】
(圧縮梱包品)
圧縮梱包品1 は、禁忌品を含む所定量の古紙をベーラー(圧縮梱包機)により120~150kg/cm3程度の圧力で加圧、固形化されて番線6等で梱包して形成される。重量は約1000~1500Kgであり、体積は高さ1~2m×幅1~2 m×縦1~2 m程度である。
【0021】
(解砕装置)
解砕装置は、軸芯回りに回転する実質的に平行な少なくとも2本の第1支持軸及び第2支持軸を有し、各支持軸に、径方向外側に突出する解砕刃が前記軸芯方向に間隔を空けて複数設けられ、解砕刃は、少なくとも外周部に鉤状部を有し、かつ、軸芯方向に沿う解砕刃群の鉤状部の位置が軸芯回り方向に相違しており、解砕刃を有する前記支持軸がケーシング内に配置されている。
【0022】
支持軸10Aの回転により解砕刃10Bも回転する。解砕刃10Bの少なくとも外周部に鉤状部10Cを有しているので、他方の支持軸10A又は解砕刃10Bとの間で留まっている被解砕物に対し、鉤状部10Cが引っかかり、続く回転により、当該解砕刃10Bと対向する支持軸10Aの隣接する解砕刃10Bとの間で剪断力が作用し、紙類を中心とした破断がなされる。かかる破断又は切り裂きがなされあるいは繰り返される結果、細分化がなされる。
一方で、両支持軸10A間又は解砕刃10B間に被解砕物が長く留まるのは解砕効率の点 で避けるべきである。しかし、本発明の形態においては、軸芯方向に沿う解砕刃群の鉤状部10Cの位置が軸芯回り方向に相違している結果、支持軸10Aの回転に伴う解砕部位が軸芯方向に経時的に異なる(変化する)ので、被解砕物の破断又は切り裂きが軸芯方向に経時的に異なる(変化する)ようになり、かつ、被解砕物の滞留がなくなる。
他方で、解砕刃10Bを有する前記支持軸10Aがケーシング本体101内に配置されている、したがって、被解砕物及び解砕物の飛び散りが防止される。
上記の作用機序を伴う解砕装置10によれば、古紙梱包品の解砕に最適であることが判明している。
【0023】
第1支持軸10Aの鉤状部10Cの内側が向いている方向と、第2支持軸10Aの鉤状部10Cの内側が向いている方向とが、反対方向で相違していることが望ましい。
ここで、第1支持軸10A及び第2支持軸10Aの回転方向が同じ場合と、反対方向の場合とがあるが、いずれの場合においても、第1支持軸10Aの鉤状部10Cの内側が向いている方向と、第2支持軸10Aの鉤状部10Cの内側が向いている方向とが、反対方向で相違していると滞留が少なく破砕効率が高いことを知見している。
【0024】
本実施形態に係る解砕装置10を図2図4に示す。解砕装置10は、圧縮梱包品1を解砕(破砕)し、紙束を分離、破断するものである。解砕装置10のケーシング本体101内は解砕部103となっており、ケーシング本体101の上部にはホッパー102が備わる。ケーシング本体101下部は開放されている。
【0025】
解砕部103には、複数の解砕刃10Bを有する支持軸10A,10Aが、解砕部103の一方の内壁(ケーシング本体101の内壁)から対向するもう一方の内壁まで配されている。支持軸10Aの向きは、後の工程に備わる搬送コンベア11の搬送方向としてもよいし、幅方向としてもよい。
実施の形態では、支持軸は2本備わり、第1支持軸10A及び第2支持軸10A相互は、例えば、水平方向に離間している。しかしながら、支持軸の本数は3本以上の複数であってもよい。
【0026】
第1支持軸10A及び第2支持軸10Aのそれぞれは、それらの支持軸の軸芯を中心に独立して回転可能である。同支持軸10Aの回転速度は適宜調節することができる。そのため、最終的に製造される古紙パルプの単位時間当たりの製造量に合わせて支持軸10Aの回転速度を調節し、圧縮梱包品1の解砕装置10への時間当たりの投入量を調節することができる。
なお、支持軸の本数を2本とすると、解砕装置は必要以上に大型化せず、設置に場所を採らない。また、解砕装置の大きさがコンパクトとなる。
また、支持軸10Aそれぞれの回転方向については、独立して、選択できる。そして、支持軸10Aの下部には、支持軸10Aに直交して水平方向に支持部材104が、支持軸10Aに離間して複数配されている。
支持軸10Aの回転方向を独立して選択できるようにすると、すなわち第1支持軸10A及び第2支持軸10Aを同方向に回転させる、逆方向に回転する操作を加えることによって、圧縮梱包品1又は解砕物を詰まらせないようにできる。また支持部材104が備わるので、解砕途中の紙類が適度なサイズに解砕されるまで同支持部材104に留まる傾向を示す。そのため適度な大きさに解砕されない紙類が塊のまま搬送コンベア11に落下するのを防止できる。
【0027】
支持部材104は、支持軸10Aの長手方向に離間する解砕刃10B,10Bとの中間に設けてもよいが、図示するように、一方の解砕刃10B寄りに接近させると、解砕刃10Bと支持部材との離間距離が短い、長いが支持軸10Aの長手方向に交互にあらわれ、多様な解砕を行わせることができ望ましい。
【0028】
(解砕刃)
図4に示すように支持軸10Aに対して直角に解砕刃10Bが複数備わり、解砕刃10Bは支持軸10A方向に離間して配設されている。解砕刃10Bには鉤状部(フック部)10Cが解砕刃10Bの外方に突出して形成されている。
解砕刃10Bの鉤状部(フック部)10Cの数は適宜でよく、図13の例では6つ、図14の例では2つである。図14の例で示すように、鉤状部(フック部)10Cは解砕刃10Bの円周上の離れた位置に1つずつ合計2つ設けてもよく(図14(a))、また、いわゆる、錨型のように、2つの鉤状部(フック部)10C相互の向きを円周方向の反対側に向かうように設けてもよい(図14(b))。さらに解砕刃10Bの鉤状部(フック部)10Cの向きは全てが同方向のほか、あえて図13に変形例として示すように、鉤状部(フック部)10Cの向きが対向する形態を有していてもよい。
【0029】
解砕刃10Bの鉤状部(フック部)10Cにおける、中心10Qからの半径方向に沿う突出長hは解砕特性との関係で適宜選定できるが、圧縮梱包品1を対象とする実施の形態においては、15cm~80cm、特に25cm~60cmが好ましい。
【0030】
また、鉤状部(フック部)10Cの向き(鉤状部(フック部)10C先端と支持軸10Aの軸芯を結ぶ線に対し、凹陥している内側面(内側線)が回転に伴って移動する方向が、図4に示す、FR方向であってもよいし、BA方向であってもよい。
図示例では、解砕刃(10B1、10B2、10B3、10B4)はFR方向であり、解砕刃(10B5、10B6、10B7)はBA方向である。また、解砕刃(10B2´、10B3´、10B4´)はBA方向であり、解砕刃(10B5´、10B6´)はFR方向である。このように配置しておくと、支持軸10Aをどちら側に回転させても、圧縮梱包品1に鉤状部10Cが接触するので、解砕がスムーズに行われる。ここで、FR方向とは同図で支持軸10Aを左側から右側に見た場合に時計回りとなる方向であり、BA方向とは反時計回りとなる方向である。
【0031】
軸芯方向に沿う解砕刃10B,10B…群の鉤状部10Cの位置が軸芯回り方向に相違している。換言すると支持軸10Aを回転させたとき、隣り合う解砕刃10B,10B…それぞれの位相が異なるように配置されている。具体的には、支持軸10Aの軸芯方向の視線で(図4のA-A矢視)について、図13に示すように、隣接する解砕刃10B1及び解砕刃10B2の関係において、解砕刃10B1と中心10Qと解砕刃10B2のなす角度を所定の角度αとなるよう形成することができる。この角度αとしては、特に限定されないが、例えば10度~80度以内で適宜選択できる。
【0032】
別の実施形態として、支持軸10Aを3本以上並列させることもできる。その場合でも、隣り合う支持軸10Aそれぞれの解砕刃10B相互を最接近させたときに、その最接近する解砕刃10B相互の距離が離間するように、隣り合う支持軸10Aを並列させるようにする。
【0033】
圧縮梱包品1は搬送コンベア5により搬送され、解砕装置10に投入される。解砕部103に導かれた圧縮梱包品1は、位相の異なる解砕刃10Bそれぞれの回転により力を受け、x方向及びy方向(図3参照)に転がりながら徐々に解砕される。そして、紙束の分離と解砕・破断がなされる。
【0034】
解砕後の紙類のサイズは一様ではなく、大きいサイズのものや小さいサイズのものが混在した状態となる。具体的には、例えば解砕物の少なくとも50%以上のものが、最大幅500mm、最大面積25~10000cm2程度に解砕されているのが望ましい。解砕後の紙類のサイズが小さすぎると、最終的に製造される古紙パルプの強度が小さいものとなり、品質の低下を招く原因となる。
適度なサイズに解砕された紙類は、解砕装置10の開放された下部から搬送コンベア11に落下する。
【0035】
(分離装置)
解砕装置10により解砕され細分化された紙類(解砕物)は搬送コンベア11により、直接に弁別手段に供給する、あるいは古紙パルプ製造工程に供給するのではなく、好ましくは前記解砕物を大きさ基準で分離し、分離した残分を得て、この残分を弁別手段に供給する、あるいは古紙パルプ製造工程に供給する。
【0036】
この分離装置20としては、回転軸20Aにその長手方向に沿って搬送ディスクが多数設けられた搬送軸が、平行に搬送方向に離間して多数設けられ、搬送ディスクは、その外周面がなす軌跡の各点と前記回転20Aの軸芯との離間距離が段階的に、大から小に変化し、その後小から大に変化する外周面を有するものである、形態が好適である。
また、搬送軸は、回転軸にその長手方向に沿って搬送ディスクが多数、等間隔で設けられている形態とすることもできる。
【0037】
搬送ディスクは、具体的に、その外周がなす形状が三角形、四角形、五角形及び六角形から選ばれる多角形その他の多角形の形態とすることができる。また、同多角形の各辺に膨らみを持たせた略多角形の形態とすることもできる。
図5及び図6の膨らみをもつ略三角形の形態を例にとると、その一つの外周面においては、その外周面がなす軌跡の各点と回転10Aの軸芯との離間距離が段階的に、角部から中央にかけて大から小に変化し、その後小から大に変化して他方の角部に至る。
【0038】
実施の形態における分離装置20は、搬送コンベア11により搬送された紙類の分別を行うものである。搬送された紙類を、重量物PW、アンダーサイズPU、及びオーバーサイズPOに分別する。例えば、重量物PWには金具、プラスチック等の破片が含まれる。アンダーサイズPUには軟らかめの紙や細切れの紙が含まれる。オーバーサイズPOには比較的面積の大きな紙や硬めの紙が含まれることになる。分離装置20は全体が下流側を上に向けた傾斜状態に設置されたものである。
【0039】
図5に示すように分離装置20は、搬送方向(x方向)に多数の回転軸20Aを有する。そして、多数の回転軸20Aそれぞれは直交するy方向に離間しつつ延在している。
図6及び図7に示すように各回転軸20Aには多数の搬送ディスクが所定の間隔を空けて設けられ、搬送軸を構成している。搬送ディスクは一方のディスク面から突出部が形成されている。
図示の形態では、突出部は、搬送大ディスク20Cのディスク面に搬送小ディスク20Bが突出した形状をなし、一体化した形態、搬送ディスク(20B、20C)となっている。搬送大ディスク20Cと搬送小ディスク20B相互は、それぞれの中心(中点)を回転軸20Aの軸芯と一致させた形態となっている。。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、搬送大ディスク20Cの中心(中点)と回転軸20Aの軸芯がずれており、かつ、搬送小ディスク20Bの中心(中点)と回転軸20Aの軸芯がずれている形態とすることもできる。
第1の回転軸20A1と第2の回転軸20A2は、x方向に並列させることができる。第1の回転軸20A1に設けられる搬送ディスク(20B、20C)は、左側に搬送小ディスク20Bが、右側に搬送大ディスク20Cが向くように形成され、これに対し、次の第2の回転軸20A2に設けられる搬送ディスク(20B、20C)は、右側に搬送小ディスク20Bが、左側に搬送大ディスク20Cが向くように形成され、x方向に隣接する搬送ディスク間で、図7に示すように、搬送小ディスク20Bと搬送大ディスク20Cとが対向するように配置されている。
搬送軸は、回転軸20Aにその長手方向に沿って搬送ディスク(20B、20C)が多数、等間隔で設けられている形態とすることもできる。しかしながら、これに限るものではない。
この態様では、第1の回転軸20Aと第2の回転軸20A、及び相互に近接する4体の搬送ディスク(20B、20C)間で挟まれた領域が間隙20D(図7参照)となる。
また、別の実施の形態として、搬送ディスク各々は、最大径が異なるディスクを複数重ねて一体化して形成されたものであり、最大径が異なるディスク各々の外周がなす形状が三角形、四角形、五角形及び六角形から選ばれる多角形である形態とすることもできる。
【0040】
図17図18に一例を示すように搬送小ディスク20B及び搬送大ディスク20Cは、外周の各辺に膨らみを持たせたほぼ多角形状とすることができる。例えば、三角形~六角形等、多角形とすることができ、これら多角形の各辺に膨らみを持たせるとより好ましい。膨らみを持たせると、隣り合う回転軸を回転させたとき、搬送ディスクの外周の角部から中央にかけて大から小への変化が膨らみを持たせない搬送ディスクよりも緩やかなものとなる。
【0041】
また、搬送大ディスク20Cを四角形、搬送小ディスク20Bを三角形とすることもできる。しかしながら、回転させたときにx方向に隣接する搬送ディスク(20B、20C)相互を接触しないように離間させて配置することは言うまでもない。
【0042】
搬送大ディスク20Cの方が搬送小ディスク20Bより大形であり、回転軸芯から搬送大ディスク20Cの外周面までの距離は、回転軸芯から搬送小ディスク20Bの外周面までの距離よりも長い。搬送ディスクの外周面に働く回転力は、この距離が長いほど大きい。紙類(搬送材料110)が搬送小ディスク20Bの外周面にある場合と、搬送大ディスク20Cの外周面にある場合では、搬送材料110が跳ね上がる力が異なることになる。よって、分離装置20に投入された搬送材料110の各々は、分散装置20において適宜分散化される。
【0043】
図16(a)に示すように搬送ディスクの別の実施形態として、搬送ディスク全体形態が凸型ではない多角形状、例えば、三角形や四角形などであってもよい。第1の回転軸20A1に設けられた多数の搬送ディスク20Eと第2の回転軸20A2に設けられた多数の搬送ディスク20E相互が搬送方向に対向して配されてもよい。なお、これら多数の搬送ディスク20Eの配列は第3の回転軸20A、第4の回転軸20A、・・・、第nの回転軸20Aについても同様に配されてもよい。
また、同図(b)に示すように第1の回転軸20A1に多数設けられた搬送ディスク20E1各々と、第2の回転軸20A2に多数設けられた搬送ディスク20E2各々とは相互に対向して配されていない形態であってもよい。例えば、第1の回転軸20A1に間隔を空けて設けられた搬送ディスク20E1各々に対して、その間隔に搬送ディスク20E2各々が配置されるようにしてもよい。
なお、これら多数の搬送ディスク20Eの配列は第3の回転軸20A、第4の回転軸20A、・・・、第nの回転軸20Aについても同様に配されてもよい。
【0044】
図28に示すように搬送ディスクの外周面に突起部26を複数突設させた態様とすることができる。突起部26を有することで、搬送材料110は搬送ディスクの角部のみならず突起部26においても、搬送ディスクの回転力により上方への跳ね上がり及びバウンドが効率よく起こり、搬送材料110の塊が解れ、密着された紙の分散化が促進される。また、図29(a)に示すように搬送ディスクの態様を一例として、膨らみのある三角形の各角部を切り欠いた形態とすることができる。搬送ディスクの他の形態として膨らみのある四角形、五角形、六角形の各々について各角部を切り欠いた形態とすることができる。さらに、図29(b)に示すように回転軸20Aが搬送ディスクの中心(中点)からずれており、搬送ディスクが偏心回転する形態とすることができる。この場合の、搬送ディスクの外周がなす形状は、三角形、四角形、五角形、六角形等の角形でもよいし、円形、楕円形でもよい。これらの形状の搬送ディスクを回転軸20Aを中心に回転させると、これら搬送ディスクと回転軸20Aとの離間距離が最も長い外周部において、大きい回転力により搬送材料110を勢いよく跳ね上げることができる。
【0045】
(投入及び選別)
分離装置20を稼働させると、多数の回転軸20Aは、図6に示す曲線矢印の向きに回転を継続する。回転速度については可変に調節することができる。搬送コンベア11により搬送された紙類が、分離装置20の上流側に導かれると、紙類(搬送材料110)は搬送ディスク(20B、20C)の形状及び回転力により下流側上方へ跳ね上がり、バウンドしながら下流側に順次移動する。また、バウンドを繰り返すことで、紙類(搬送材料110)は分散化され、分離装置20の一部にのみ紙類(搬送材料110)による負荷がかかるのを防止できる。すなわち、例えば図5図7に示す例では、ほぼ三角形の搬送ディスクが回転すると、外周面と回転軸芯との離間距離が変化するので、紙類を跳ね上げながら分離装置20の下流側に送り込む。
【0046】
(重量物PW)
本実施形態では搬送面27を下流側を上に向けた傾斜状態に設置している。重量物PWは跳ね上がらない又は跳ね上がりが弱いので、搬送面27の上流端から下方に転がり落ち、下流端から下方に集められる。この重量物PWは、例えばフォークリフト2を用いて、スクラップヤードへと排出される。
【0047】
(アンダーサイズPU)
重量物PWが除かれた搬送材料110のうち比較的、軟らかめの紙や細切れの紙等(アンダーサイズPU)は、搬送過程で間隙20Dから重力により透過する。当該アンダーサイズPUは集められて例えば燃料として活用される。
【0048】
(オーバーサイズ)
さらにアンダーサイズPUが除かれた搬送材料110は、搬送面27の下流端に順次移動される。下流端から落下したこの搬送材料(オーバーサイズPO)は主に比較的面積の大きな紙や硬めの紙からなり、次に続く弁別工程に導かれる。
オーバーサイズPOの分画は、適宜選択することができるが、例えば、25cm2分画基準とすることができる。
【0049】
禁忌品を含む古紙梱包品から白色古紙、有色古紙を製造する工程では、白色古紙又は有色古紙の原料とそれ以外のものの選別が必要である。当該古紙梱包品から禁忌品を取り除いたものであっても、選別価値のないスクラップや軟らかめの紙、細切れの紙等(例えば、数センチ四方の古紙)が依然として解砕された紙類に混在する。これらアンダーサイズPUは、優良な白色古紙や有色古紙を製造する工程の妨げとなる。
【0050】
従来は、人の手によりアンダーサイズPUを取り除いていたが、費用対効果の面で低いものであった。本実施形態に係る分離装置20を用いることで、重量物PWはもちろん、アンダーサイズPUも排除される。そうすると、オーバーサイズPOに含まれるアンダーサイズPUを極力少なくすることができる。よって、次工程である弁別工程において質の高い白色古紙及び有色古紙の原料を用いることができ、製造製品の品質向上につながる。
【0051】
また、解砕装置10により適度なサイズに解砕された紙類の中には、一部塊のままの状態や複数の紙が一体化したままの状態のものも混在する場合がある。このような状態の紙類でも分離装置20により跳ね上がったりバウンドしたりすることで、紙の塊が解れ、密着された紙が分散化される。そうして、重量物PW、アンダーサイズPU、オーバーサイズPOに分離される。
【0052】
ここで、搬送面27は水平に設置することもできるが、下流側をリフトアップさせ、傾斜させて配置することもできる。このとき、図25に示すように、傾斜角度θ2は10度~30度、好ましくは15度~25度とするとよい。搬送材料110は搬送ディスクの回転により下流側上方へ跳ね上がる(この場合の跳ね上がり角度を、図25(a)のθ1とする)。しかしながら、搬送面27を傾斜させると、搬送材料110の前方への跳ね上がりは鈍化し、搬送材料110は上方へより跳ね上がる。例えば、搬送面27を角度θ2だけ傾斜させた場合、跳ね上がり角度は、図25(b)のθ1+θ2となる。そうすると、紙類の下流側(前方)への移動速度は小さくなるので、搬送材料110が搬送面27を通過する時間は長くなる。個々の搬送材料110は分離装置20内に、より長い時間滞留して分離されることになる。
また、重量物PWは古紙パルプの原料とならないので排除する必要がある。重量物PWは跳ね上がらない又は跳ね上がりが弱いので、搬送面27を傾斜させることで上流側から下方に転がり落ち、他の搬送材料110と分離される。結果として、搬送材料110は重量物PW、アンダーサイズPU、及びオーバーサイズPOに確実に分離される。
【0053】
搬送ディスク(の回転速度及び、上記傾斜角度はそれぞれ独立に可変に調節可能である。同回転速度を調節することで搬送材料110の跳ね上がり具合が変わり、また同傾斜角度を調節することで搬送材料110が分離装置20に滞留する時間が変わる。これら回転速度と傾斜角度を調節することで、分離装置20の分離性能を調整できる。よって、本パルプ原料となる禁忌品を含む古紙梱包品の分類(種類)に応じて、最適な分離が可能となる。ここで、古紙梱包品の分類(種類)とは、禁忌品の混入割合に基づく古紙梱包品の分類、産業系上質紙の混入割合に基づく古紙梱包品の分類、黒紙の混入割合に基づく梱包品の分類等をいう。しかしながら、古紙梱包品の分類(種類)はこれらの割合に基づく基準のみによって分類されるものではなく、種々の分類基準がある。なお、搬送ディスクは図6に示す曲線矢印方向に回転(順回転)でき、また逆方向にも回転(逆回転)できる。
【0054】
搬送ディスクの最大径は、9~70cmとするとよい。より好ましくは20~50cmがよく、9cmを下回ると、搬送方向に対向する搬送ディスク相互の間隔が密になり間隙20Dの大きさが小さくなるので、アンダーサイズPUの一部が間隙20Dから重力により透過しにくくなり、アンダーサイズPUとオーバーサイズPOが確実に分離されない。また、70cmを超えると、搬送方向に対向する搬送ディスク相互の間隔が疎になり間隙20Dの大きさが大きくなり過ぎ、オーバーサイズPOの一部も間隙20Dから落下してしまう。よって、所望の分離を行えない。
また、図16(a)において、回転軸20A相互の離間間隔28x、回転軸20Aに設けられた搬送ディスク相互の離間間隔28yは、分離対象物と所望の大きさ基準で分離できるよう適宜調節することができる。一例として、回転軸20A相互の離間間隔28xを45cm~65cm、回転軸20Aに設けられた搬送ディスク相互の離間間隔28yを40cm~60cmとしてもよい。しかしながら、この範囲に限るものではない。
搬送ディスク(20B、20C)の回転速度は、100min-1~200min-1であることが好ましい。また、120min-1~180min-1であることがより好ましい。100min-1を下回ると搬送材料110が搬送ディスク(20B、20C)間に多量に挟まれる原因となり、搬送材料110の確実な分離が行われなくなる。200min-1を上回ると搬送ディスク(20B、20C)の回転力が大き過ぎ、搬送材料110の跳ね上がり及びバウンドが乱雑になり、確実な分離が行われなくなる。
搬送ディスクの回転速度については、分離装置20の上流部、下流部で異なる回転速度にすることができる。例えば、分離装置20の搬送方向の、中点より上流部に位置する搬送ディスクの回転速度を、中点より下流部に位置する搬送ディスクの回転速度よりも小さいものとするとよい。このようにすると、上流部においては回転速度が比較的小さいので、重量物PWとそれ以外(アンダーサイズPUとオーバーサイズPO(請求項における「残分」をいう。))を確実に分離できる。下流部においては回転速度が比較的大きいので分離装置20に搬送材料110が留まる時間を短縮でき、効率的な処理速度を達成できる。
【0055】
なお、分離装置20を稼働して、搬送材料110を分離する際に発生する粉塵等の飛散防止のために、分離装置20に粉塵飛散防止手段を設けてもよい。粉塵飛散防止手段の例として、分離装置20の上方に換気用フードを設け、搬送材料110が分離される過程で発生する粉塵等を換気手段により吸引することで粉塵の飛散を防止できる。換気手段としては、具体的に、分離装置20の上方全体を覆うフードとフードに連結されたダクト、そしてダクトの先にフィルターを介して換気装置を設置するとよい。換気装置を起動させることで、搬送材料110から発生する粉塵等はフードに吸い込まれ、フィルターに集塵される。なおフィルターを備える位置はフートとダクトの連結部に設けることもできる。
【0056】
分離装置20の幅方向の両端縁をケーシングで覆うことができる。ケーシングにより搬送材料110が幅方向の端縁から脱落するのを防止する効果がある。
また、別の実施形態として分離装置20の幅方向の両端縁と上方を覆うケーシングを設けてもよい。搬送材料110が幅方向の端縁から脱落することを防止でき、搬送材料110から発生する粉塵等の分離装置20外部への飛散を防止できる。
【0057】
さらに、別の実施の形態として、複数台の分離装置20を直列に配置させた形態を提供できる。例えば、第1の分離装置20は、搬送ディスクの回転速度を相対的に大きく設定し、第1の分離装置20の搬送面27の傾斜角度を相対的に小さく設定する。第2の分離装置は、第1の分離装置の搬送面27の下流端に達した搬送材料110の投入を受けるものである。第2の分離装置20は、同回転速度を相対的に小さく設定し、第2の分離装置20の搬送面27の傾斜角度を相対的に大きく設定する。
第1の分離装置20では搬送材料110の下流端までの到達時間が相対的に短い。第1の分離装置20の搬送面27は傾斜しているので、重量物PWは跳ね上がらない又は跳ね上がりが弱く下流側に進まず、第1の分離装置の上流から下方に転がり落ち、下流端から下方に集められる。一方、第1の分離装置の回転速度は相対的に大きく搬送材料110は前方上方へ跳ね上げられ、下流端までの到達時間が短いため、アンダーサイズPUの一部は、間隙20Dから重力により透過される。しかしながら、残りのアンダーサイズPUは透過されずに第1の分離装置20の下流端に達してしまう。結果としてアンダーサイズPUの一部とオーバーサイズPOが下流端に達する。この下流端に達したものを、請求項7における「第1の残分」という。その後、これらオーバーサイズPOと一部のアンダーサイズPU(第1の残分)は第2の分離装置20に投入される。
第2の分離装置20では搬送材料110の滞留時間が相対的に長い。搬送材料110(主にオーバーサイズPOと一部のアンダーサイズPU)は第1の分離装置20よりも時間をかけて分離されるので、この一部のアンダーサイズPUを確実に間隙20Dから重力により透過させることになる。第2の分離装置の搬送面27の下流端に達したオーバーサイズPO(請求項7における「第2の残分」という。)は、次の工程に投入される。
【0058】
他の実施の形態として、分離装置20を揺動させる形態を提供できる。揺動させることで、搬送材料110は搬送ディスクの回転力と揺動による力を受け、より一層分離されやすくなる。分離装置20の揺動については搬送方向(すなわち、前後方向)、上下方向、幅方向に揺動させてもよいし、回転の動作により揺動させてもよい。またこれらの動作を組み合わせた動作等種々の動作で揺動させることもできるが、これらの動作に限るものではない。
図27に示すように揺動機構として次の形態を一例として示すことができる。分離装置20を揺動させるための揺動軸25が分離装置20の下流部の幅方向の両側端から、それぞれ幅方向の外方に突出して備わる。同じく、揺動軸25が分離装置20の上流部の幅方向の両側端から、それぞれ幅方向の外方に突出して備わる。これら4本の揺動軸を前後方向26(すなわち、図27に示す矢印26(x方向及び-x方向)に所定の振幅で動作させることにより分離装置20を揺動させることができる。同様に、幅方向(y方向及び-y方向)に所定の振幅で動作させてもよい。さらに、分離装置20を上下方向(z方向及び-z方向)に所定の振幅で揺動や上下動をさせてもよい。また、これら4本の揺動軸をxz平面上で円弧を描くように回転動作させることにより分離装置20を揺動させることができる。別の揺動機構の形態として、分離装置20全体を支持する支持部材を設け、この支持部材が揺動機構を有する形態とすることもできる。
【0059】
オーバーサイズPOは、例えば搬送コンベア12を介して投入フィーダー30に投入される。投入フィーダー30は分散化手段を、又は分散化手段の一部を構成することができる。
投入フィーダー30の一例は、下流側が下り傾斜の振動フィーダーである。この投入フィーダー30では下流側に落下する過程で、幅方向に分散されるとともに、オーバーサイズPOの重なりを解除して分散化(個別化)が図られる。
なお、搬送コンベア12及び投入フィーダー30を設けない態様とすることもできる。この場合、分離装置20により分離されたオーバーサイズPOは、直接、弁別(分別)装置40に投入される。
【0060】
(弁別手段)
投入フィーダー30により分散されたオーバーサイズPOは、弁別(分別)装置40に投入される。
弁別(分別)装置40は、例えば、搬送コンベア41と、測色カメラ42を使用して測色する測色手段と、ハイパースペクトルカメラ43により材料を測定する材料測定手段とを有するのが望ましい。
また、個々の搬送物について、測色手段による測色値の白色度が高いか否かを判断する第1の弁別手段44と、個々の搬送物について、材料測定手段により測光した吸光度スペクトルに基づきセルロース成分が支配的であるか否かを判断する第2の弁別手段45とを有するのが望ましい。
測色カメラ42とハイパースペクトルカメラ43は、搬送コンベア41の幅方向に並列して設けても、搬送コンベア41の流れ方向に並べて設けても良いが、好ましくは、後工程におけるエアーによる吹き飛ばし仕分けとの連携動作精度を高め得る効果から、搬送コンベア41の幅方向に並列して設けることが好ましい。
【0061】
かかる第1の弁別手段44及び第2の弁別手段45による弁別により、測色値の白色度が高く、かつ、セルロース成分が支配的である場合には、白色古紙である、他方で、測色値の白色度が低く、かつ、セルロース成分が支配的である場合には、有色古紙であるとして弁別し、その弁別信号に基づいて仕分けを行うことができる。
【0062】
仕分け工程において、さらに、セルロース成分が支配的でない場合には、古紙処理品以外のものとして処理することができる。
公益社団法人古紙再生促進センターでは、「禁忌品」とは、「製紙原料にならない異物」と定義している。
その紙類例として、粘着物の付いた封筒、裏カーボン紙、ノーカーボン紙(宅配便の複写伝票など)、防水加工された紙(紙コップ、紙皿、紙製のカップ麺容器、紙製のヨーグルト容器、油紙、ロウ紙など)、圧着はがき(親展はがき)、感熱紙(ファックス用紙、レシートなど)、印画紙の写真、インクジェット写真プリント用紙、感光紙(青焼きコピー紙)、プラスチックフィルムやアルミ箔などを貼り合わせた複合素材の紙、金・銀などの金属が箔押しされた紙、においの付いた紙(石鹸の個別包装紙、紙製の洗剤容器、線香の紙箱など)、捺染紙(昇華転写紙、おもに絵柄などを布地に加熱してプリントする際に使われる紙、感熱性発泡紙(おもに点字関係で使用されているもので、熱を加えたところが盛り上がる紙)がある。
また、「紙類以外」のものとして、粘着テープ類、ワッペン類、ファイルの金具、金属クリップ類、フィルム類、セロハン、発泡スチロールがある。
この禁忌品の例示のように、「紙類以外」のものは禁忌品であり、古紙に分類できないので古紙処理系から除外する必要がある。
他方で、「紙類」の中でも例えばプラスチックフィルムやアルミ箔などの貼り合わせ程度が高いものなども、古紙処理系から除外することができる。
【0063】
例えばラミネート紙などを分別するためには、材料(材質)測定が必要となる。そこで、ハイパースペクトルカメラ43により材料(材質)を測定する。
ハイパースペクトルカメラ43は、可視光から短波赤外領域(SWIR)までの広い波長領域を細かい波長域で区分けし、それぞれの波長域での光強度(波長スペクトル)を取得することができる。例えば、近赤外線(750~1700nm近傍)領域も撮影可能である。符号46は可視光から近赤外領域までの波長をもつ光源である。
物質を構成している分子は、様々な運動をしており、運動している分子に光をあてると、運動状態に合わせて特定の波長の光のみが吸収される。吸収される赤外線領域の波長は、分子を構成する原子間距離と振動方向によって決まった値になり、分子の種類を的確に表す特徴的な波長分布になる。反射・吸収された波長分布(吸収スペクトル)を調べることによって、測定対象物がどのような分子を含んでいるかを知ることが可能である。かかる原理によって、材料(材質)を測定することができる。
【0064】
図19図24に吸収スペクトル分布例を示す。セルロースとプラスチック類とは吸収スペクトル波長分布が明確に異なるので、禁忌品と例えば新聞古紙パルプ用の古紙とに弁別が容易となる。
ちなみに、セルロース成分が支配的である、すなわち新聞古紙パルプ用の古紙である蓋然性が高い場合、近遠赤外線の反射波の強度波形が1440~1490nmの範囲に深い谷を有する波形として明確に現れる。
これに対し、他のプラスチックでは、波形谷が1670nm近辺、1730nm近辺に現れ、しかも、谷部の波形も材質特有なものを示す。したがって、プラスチック間でも材料(材質)の弁別が可能である。
【0065】
他方で、測色カメラ42を使用した測色手段により測色する。測色カメラとしては、一般のCCDカメラを使用できる。可視光領域をカラーフィルター等で、赤・緑・青に分光し、それぞれを取得することで、画像を得る。
この場合、測色手段による測色値について白色度が高いか否かを基準として判断する。
そして、白色度が高い場合には白色古紙であると判断し、新聞古紙パルプ用として弁別し、白色度が高くない場合には、有色古紙であり、新聞古紙パルプ用としては使用できないものとして分別できる。
【0066】
CCDカメラでは、撮像範囲の所定面積範囲を搬送方向の幅方向に走査し、測色情報を得る。測色値の白色度が高いか否かを判断するに際し、HSV色空間で判断するのが望ましい。HSV色空間で判断することは人間の視感との対応関係が高いからである。
なお、本発明は、他のRGB色空間などの使用を排除するものではない。
【0067】
HSV色空間としては、次記表1のような設定範囲とすることができる。この設定範囲は、変えることができる。設定範囲の理由としては白色は、色相の偏りが無いので、Hは全領域を指定、色味(再度)が無いので、Sは小さい値(0~20)を指定、明るいので、Vは大きい値を指定したものである。
【表1】
【表2】
表1の設定範囲の下で、各色要素が表2の範囲(最小値と最大値との間の範囲)内である条件がアンドで成立する場合に、「白色」であると判断し、それ以外のものは、「有色」と判断することができる。
さらに具体的には、搬送物全体のピクセルのうち、白のピクセル数の方が多い、例えば50%超である場合には、対象物が白いと判定し、それ以外の場合を有色と判定することができる。この例では50%を分岐基準としたが、他の割合での基準設定も可能である。
【0068】
弁別(分別)装置40により弁別(分別)を行った搬送物について、搬送コンベア41の搬送速度との関係で、当該搬送物が、例えば搬送コンベア41から落下する過程で仕分け装置50を作動させる。
仕分けには人手により行うこともできるが、自動化手段を使用するのが望ましい。
実施の形態では、エアコンプレッサー(図示せず)からのエアーによる吹き飛ばし仕分けを行うようにしてある。
【0069】
すなわち、白色古紙が搬送コンベア41の下流端に到達した場合には、第1エアノズル51を作動させ、第1回収容器53に回収し、有色古紙が搬送コンベア41の下流端に到達した場合には、第2エアノズル52を作動させ、第2回収容器54に回収する。白色古紙でなく、有色古紙でもないものは、例えばエアノズルを作動させることなくそのまま搬送コンベア41の下流端から落下させ第3回収容器55に回収できる。
【0070】
ここで、搬送コンベア41の幅が広い場合には、幅方向に複数の搬送物が搬送されることになるので、上記エアノズルは幅方向に複数配置することができる。
また、回収の方向を図示例のように搬送方向に区分するほか、搬送コンベア41の下流部で幅方向外側に向けてエアーによる吹き飛ばしを行い仕分け及び回収を行うこともできる。また、エアーによる吹き飛ばしを搬送コンベア41上で行うようにしてもよい。
【0071】
白色古紙は、新聞古紙パルプ用等の材料とし、有色古紙は段ボール古紙パルプ用等の材料とすることができる。図1に白色古紙7及び有色古紙8をベーラー9により梱包し、後に利用に供する形態を図示してある。
【0072】
上記のように回収された白色古紙は、新聞古紙パルプ(NDIP)用材料とするか雑誌古紙パルプ(MDIP)用材料とし、新聞用紙や再生PPC用紙等として再生できる。有色古紙については、段ボール古紙パルプ(WP)用材料とすることができる。
雑誌古紙パルプ(MDIP)は、新聞古紙パルプ(NDIP)と同じパルプ製造設備(フロー)で製造できる。各種古紙パルプを製造する場合、既存の又は公知のパルプ製造設備で製造できるが、以下の実施の形態で製造するのが最適である。
【0073】
回収された有色古紙により段ボール古紙パルプ(WP)を製造する一例を図11に示した。
この実施の形態を要すれば次のとおりである。
(1)回収された有色古紙の乾式の解砕工程
(2)高濃度パルパーによる離解工程
(3)リフラー型スクリーンによるスラッシング工程を含む粗選工程
(4)前段クリーナー、ホールスクリーン、スリットスクリーン、後段クリーナーの順の第2粗選工程
(5)脱水工程
(6)精選工程でのホールスクリーンリジェクトは、ローターと丸穴円筒バスケットからなる離解分散と、スリットスクリーン及び又はドラムスクリーンの精選リジェクト回収工程
を有するものである。
【0074】
具体例を説明すると、回収された有色古紙(ベール)7は必要に応じ乾式で解砕機61により解砕される。
例えば35mm幅に裁断された解砕物は、高濃度パルパー62により好ましくは連続高濃度パルパー、より好ましくは蒸気を得ながら離解される。
重量異物は、分離機78により分離される一方で、タンク63に一旦貯蔵される。続いて、第1粗選工程を実施ためのフラッシュソーター(リフラー型スクリーン)からなる分別機64により異物分離を行い、タンク65に貯蔵される。その後、タンク67に送る。
続いて、前段クリーナー68により重量異物を除去し、ホールスクリーン69に送り、ラミネートなどの大きなゴミ、金銀ラミネートを分離し、タンク72に貯蔵する。
その後、スリットスクリーン73により細かな異物除去を行ない、タンク74に貯蔵する。
続いて、後段クリーナー75により、細かな異物除去を行い、フィルター76、例えばドラム式パルプレスフィルターにより脱水を図り、古紙パルプとしてタンク77に仮貯蔵する。
他方で、第1粗選工程でのホールスクリーン69のリジェクト分は、ローターと丸穴円筒バスケットからなる、離解と分別の両方の機能を有する離解分散機(コンビソーター)71に供給し、金銀ラミネート中の繊維分を回収する。
【0075】
回収された白色古紙により新聞古紙パルプ(NDIP)を製造する一例を図12に示した。
白色古紙7は、パルパー80により離解され、ターボセパレーター81、高濃度クリーナー82及び粗選スクリーン83により粗選される、続いて、プレフローテーター84により脱墨された後、クリーナー85、スクリーン86により精選され、脱水機87により脱水される。その後、ホットディスパーザー88により異物分散を行い、過酸化水素タワー89にて漂白処理され、ポストフローテーター90により脱墨された後、脱水機91により脱水され、高濃度ポンプ92により高濃度タワー93から抄紙機(図示せず)へ送給される。
また、回収された白色古紙により新聞古紙パルプ(NDIP)を製造する製造方法としては、前記段ボール古紙パルプの製造例に加え、浮遊選別工程(フローテーター)等の脱墨処理工程を組み合わせて新聞古紙パルプを製造することができる。
【0076】
(分離装置の別の実施形態)
分離装置20の別の実施の形態として、
前記搬送面の下流側が水平面に対して10度~30度上方に傾斜している、
形態を提供できる。
【0077】
別の実施の形態として、
前記搬送ディスクの外周がなす形状が三角形、四角形、五角形及び六角形から選ばれる多角形である、
形態を提供できる。
【0078】
別の実施の形態として、
前記搬送ディスク各々は、最大径が異なるディスクを複数重ねて一体化して形成されたものであり、
前記最大径が異なるディスク各々の外周がなす形状が三角形、四角形、五角形及び六角形から選ばれる多角形である、
形態を提供できる。
【0079】
別の実施の形態として、
前記分離装置は、上下に揺動する、
形態を提供できる。
【0080】
別の実施の形態として、
前記残分を測色し、かつ、前記残分の吸光度スペクトルを測光して弁別し、弁別した弁別物を前記古紙パルプ製造工程に供給する、
形態を提供できる。
【0081】
別の実施の形態として、
前記分離装置は、第1の分離装置と第2の分離装置の2台からなり、
前記第1の分離装置の搬送面の前記傾斜角度は、前記第2の分離装置の搬送面の前記傾斜角度よりも小さく、
前記第1の分離装置の搬送面の下流端に達した第1の残分は、前記第2の分離装置の搬送面の上流端に投入され、
前記第2の分離装置の搬送面の下流端に達した第2の残分は、古紙パルプ製造工程に供給される
形態を提供できる。
【0082】
禁忌品の定義は、時代によって変遷する。それに応じて選別基準を変更できる。本発明の禁忌品を含む古紙梱包品の処理方法の実施にあたり、上記の装置を使用することに限定されず、また、一部の工程を人力又は機器の併用による半自動で行うことができる。古紙梱包品は圧縮梱包品に限定されない。さらに回収古紙の利用先、及び廃棄先は適宜選定でき、上記例に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
各種古紙を回収して資源の有効利用及び環境保全に役立たせることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 圧縮梱包品
7 白色古紙
8 有色古紙
10 解砕装置
10A 支持軸
10B 解砕刃
10C 鉤状部
20 分離装置
20A 回転軸
20B 搬送小ディスク
20C 搬送大ディスク
20D 間隙
20A 回転軸
27 搬送面
30 投入フィーダー
40 弁別(分別)装置
50 仕分け装置
102 ホッパー
103 解砕部
104 支持部材
110 搬送材料
図1
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