(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】バイオトイレシステム
(51)【国際特許分類】
E03D 9/10 20060101AFI20220621BHJP
E03D 5/016 20060101ALI20220621BHJP
E03D 11/11 20060101ALI20220621BHJP
C02F 3/00 20060101ALI20220621BHJP
C02F 3/20 20060101ALI20220621BHJP
C02F 3/06 20060101ALI20220621BHJP
C02F 3/30 20060101ALI20220621BHJP
C02F 11/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
E03D9/10 ZAB
E03D5/016
E03D11/11
C02F3/00 E
C02F3/20 D
C02F3/06
C02F3/30 A
C02F3/30 B
C02F11/02
(21)【出願番号】P 2018165977
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000110778
【氏名又は名称】ニシム電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】倉山 功治
(72)【発明者】
【氏名】天本 遼介
(72)【発明者】
【氏名】原田 力
(72)【発明者】
【氏名】東 孝彦
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-184988(JP,A)
【文献】特開平8-266445(JP,A)
【文献】特開2015-31092(JP,A)
【文献】特開2010-222869(JP,A)
【文献】特開平10-159151(JP,A)
【文献】特開2002-356893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/10
E03D 5/016
E03D 11/11
C02F 3/00
C02F 3/20
C02F 3/06
C02F 3/30
C02F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムにおいて、
便器から排出される汚物を含む被処理水を微生物処理する処理槽と、
前記処理槽に対して空気を送り込むブロアと、
前記バイオトイレシステム全体を制御する制御装置とを備え、
前記ブロアと前記制御装置とが共通の空間内に配設されており、前記ブロアが前記制御装置により暖められた空気を吸引し、当該空気を前記処理槽に配設された散気管から排出することを特徴とするバイオトイレシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記処理槽の前段に配設され、前記ブロアの曝気による好気性処理を行いながら前記被処理水を貯留し、貯留された被処理水をポンプで排出して前記処理槽に送出する調整槽を備えるバイオトイレシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記ブロアと前記制御装置とが同一の筐体内に配設されており、当該筐体に設けられた通気孔から外気が流入されるバイオトイレシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のバイオトイレシステムにおいて、
浄化処理がなされた被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽を備え、
前記筐体に設けられた通気孔から流入される外気が、前記洗浄水槽で熱交換により冷却されているバイオトイレシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記外気が流通する流通路が、少なくとも前記洗浄水槽の底面に沿って配設されているバイオトイレシステム。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれかに記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記筐体内で前記ブロアが前記制御装置の上段に配設されるバイオトイレシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記ブロアの散気管から排出される空気がマイクロバブルであるバイオトイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオトイレに関する技術として、例えば特許文献1に示す技術が開示されている。特許文献1に示す技術は、洗浄水によりトイレを洗浄した際の汚物を含む被処理液を複数の槽を介して前記洗浄水に循環するバイオトイレシステムにおいて、前記被処理液を貯留する受入槽と、前記受入槽に貯留された前記被処理液を次の生物処理槽に移送する移送ポンプと、前記被処理液を前記洗浄液に処理する複数の処理槽と、処理された前記洗浄水を貯留する洗浄水槽とを備え、前記移送ポンプが、一定の流量で前記被処理液を次の生物処理槽に移送するものである。
【0003】
また、電力消費を抑えつつ加熱による微生物の活性化及び水量調整を行う技術として、例えば特許文献2に示す技術が開示されている。特許文献2に示す技術は、便器と、この便器の下部に設けられ発酵床および糞尿が収容される発酵処理槽と、この発酵処理槽を包囲し、内部に貯められた潜熱蓄熱材を温水パイプとの熱交換で加熱することで上記発酵処理槽内部を加熱する貯液槽と、この貯液槽内の潜熱蓄熱材を温める温水を貯める貯液タンクと、この貯液タンクに貯める温水を加熱する太陽熱温水器と、この太陽熱温水器から上記貯液タンク内および上記貯液槽内の温水パイプへ温水を送り込むポンプとを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-89538号公報
【文献】特開2006-263418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や2に示す技術は、トイレシステムを制御するための制御装置が必要であり、この制御装置は夏季の高温環境や装置の収納環境により損傷してしまう恐れがある。そのため、トイレシステムの正常稼働を維持するためには、制御装置の廃熱や冷却を正確に行うことが必要になるという課題を有する。また、特に冬場においては、気温の低下により微生物が不活性となってしまうため、処理槽の温度を上げて微生物を活性化するように温度制御する必要があるという課題を有する。
【0006】
特許文献1に示す技術は、上記のように制御装置の廃熱や冷却、微生物の活性化や温度制御について考慮された技術ではない。特許文献2に示す技術は、微生物を活性化したり水量調整を行うために太陽熱温水器を利用するものであるが、設備として太陽熱温水器が必要となり、太陽熱温水器を設置している領域では太陽光発電等でエネルギーを作る機会が奪われてしまう。また、制御装置の温度管理について考慮された技術ではない。
【0007】
本発明は、制御装置で発生する熱や外気による吸熱を活用することで省エネルギーで極めて効率が良いバイオトイレシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバイオトイレシステムは、汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムにおいて、便器から排出される汚物を含む被処理水を微生物処理する処理槽と、前記処理槽に対して空気を送り込むブロアと、前記バイオトイレシステム全体を制御する制御装置とを備え、前記ブロアと前記制御装置とが共通の空間内に配設されており、前記ブロアが前記制御装置により暖められた空気を吸引し、当該空気を前記処理槽に配設された散気管から排出するものである。
【0009】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、便器から排出される汚物を含む被処理水を微生物処理する処理槽と、当該処理槽に対して空気を送り込むブロアと、バイオトイレシステム全体を制御する制御装置とを備え、ブロアと制御装置とが共通の空間内に配設されており、ブロアが制御装置により暖められた空気を吸引し、当該空気を処理槽に配設された散気管から排出するため、制御装置で発生した熱がブロアを通して処理槽に移動され、制御装置を冷却(制御装置の熱を廃熱)しつつ処理槽の微生物を活性化することができ、省エネルギーで効率よくバイオトイレシステムを駆動させることができるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記処理槽の前段に配設され、前記ブロアの曝気による好気性処理を行いながら前記被処理水を貯留し、貯留された被処理水をポンプで排出して前記処理槽に送出する調整槽を備えるものである。
【0011】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、前記処理槽の前段に配設され、前記ブロアの曝気による好気性処理を行いながら前記被処理水を貯留し、貯留された被処理水をポンプで排出して前記処理槽に送出する調整槽を備えるため、調整槽で浄化処理を行う微生物に対しても制御装置で発生した熱を移動させて活性化することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記ブロアと前記制御装置とが同一の筐体内に配設されており、当該筐体に設けられた通気孔から外気が流入されるものである。
【0013】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、ブロアと制御装置とが同一の筐体内に配設されており、当該筐体に設けられた通気孔から外気が流入されるため、制御装置で発生する熱が筐体内に籠り、その熱を効率よく処理槽や調整槽などに移動させることができるという効果を奏する。また、筐体内には通気口から外気が流入するため、この外気により制御装置を効率よく冷却すると共に、筐体内で大きな熱落差を生じさせてエネルギーを効果的に利用することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係るバイオトイレシステムは、浄化処理がなされた被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽を備え、前記筐体に設けられた通気孔から流入される外気が、前記洗浄水槽で熱交換により冷却されているものである。
【0015】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、浄化処理がなされた被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽を備え、筐体に設けられた通気孔から流入される外気が、洗浄水槽で熱交換により冷却されているため、流入される外気を洗浄水槽でより低い温度に冷却し、この冷却された外気により制御装置を効率よく冷却すると共に、筐体内でより大きな熱落差を生じさせてエネルギーを効果的に利用することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記外気が流通する流通路が、少なくとも前記洗浄水槽の底面に沿って配設されているものである。
【0017】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、外気が流通する流通路が、少なくとも洗浄水槽の底面に沿って配設されているため、洗浄水槽の水量が減った場合であっても熱交換の効率低下を最小限に抑えることができると共に、外気が洗浄水槽内の水に配管を通して長い距離で熱交換することが可能となり、効率よく外気を冷却することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記筐体内で前記ブロアが前記制御装置の上段に配設されるものである。
【0019】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、筐体内でブロアが制御装置の上段に配設されるため、制御装置が発生する熱で暖められた空気が筐体内の上方に移動し、その移動した空気をブロアが効率よく吸引して熱を処理槽や調整槽等に移動することが可能になるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記ブロアの散気管から排出される空気をマイクロバブルとするものである。
【0021】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、ブロアの散気管から排出される空気をマイクロバブルとするため、処理槽や調整槽において細かい泡で空気が送出され、処理槽や調整槽内の被処理水と送出される空気との接触面積が大きくなり、効率よく熱を移動することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係るバイオトイレシステムの構成を示す模式図である。
【
図4】筐体内に流通させる空気を冷却する場合の配管の構成を示す図である。
【
図5】ブロアから送出された空気が第1調整槽で曝気される状態を示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係るバイオトイレシステムにおける筐体内に流通させる空気の配管の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係るバイオトイレシステムについて、
図1ないし
図5を用いて説明する。本実施形態に係るバイオトイレシステムは、トイレの洗浄に使用した水を微生物処理することで再び洗浄水として再利用可能とする循環式のバイオトイレシステムである。なお、必要なエネルギーは、太陽光などの自然エネルギーを利用することで、独立して機能することができる完全独立型の循環式バイオトイレシステムとしてもよい。
【0025】
図1は、本実施形態に係るバイオトイレシステムの構成を示す模式図である。バイオトイレシステム1は、トイレ2から水洗された汚物を物理的に細かく分解する原水槽3と、細かくなった汚物を含む処理対象となる被処理水31を貯留しながら好気性菌による第1の好気処理を行う第1調整槽4と、嫌気性菌による第1の嫌気処理、及び好気性菌による第2の好気処理を行う浄化槽5と、浄化槽5で処理された被処理水を貯留しながら嫌気性菌による嫌気処理を行う第2調整槽6と、被処理水に含まれる有機物を二酸化炭素と水に分解する反応槽7と、再生水として浄化された処理水を貯留する洗浄槽8と、システム全体を監視・制御する制御装置101や各槽内に配設されている散気管に空気を送出するブロア102等を有する制御部100とを備える。
【0026】
なお、バイオトイレシステム1は、太陽光から得られるエネルギーを電気に変換する太陽光パネルや、発電した電気を充電する二次電池を備えるようにしてもよい。
【0027】
まず、トイレ2で洗浄に使用された洗浄水と排泄物等の汚物とが混合された被処理水31が原水槽3に投入される。原水槽3では、この投入された被処理水31に含まれる固形物が、ブロア102から送出される空気による散気管38を通じた曝気処理により細かく分解され、次の槽にポンプ33で送り出される。このときのポンプ33の駆動制御は、制御部100により行われる。
【0028】
なお、この原水槽3においては、被処理水31中の固形物をブロア102からの散気管38を通じた曝気処理と共に撹拌羽根(図示しない)の回転で細かく分解するようにしてもよい。このとき、撹拌羽根の回転制御は制御部100により行われるようにしてもよい。
【0029】
図2は、原水槽の構造を示す図である。原水槽3は、被処理水31が投入される投入領域32と、固形物が細かく分解された被処理水31を次の槽に送出する送出領域34と、散気管38によりブロア102から送出される空気で曝気処理を行うバッファ領域35を有している。
【0030】
投入領域32とバッファ領域35との間には、トイレ2から投入された被処理水31に含まれる固形物を投入領域32内に止めて保持するための仕切板39aが配設されている。仕切板39aは、投入領域32の端面から原水槽3の中心部分に向かって階段状に形成されている。すなわち、
図2に示すように、仕切板39aは、投入領域32の端面391aの中心より低い位置から水平方向に延びる第1部材392aと、この第1部材392aから原水槽3の中心方向に向かって斜め上方向に延びる第2部材393aと、第2部材393aから水平方向に延びる第3部材394aと、第3部材394aから垂直方向に延びる第4部材395aとからなる。第1部材392aの上方部分は比較的大きな容積が確保されており、主にバッファ領域35の散気管38からの曝気処理により固形物を細かく分解する処理が行われる。
【0031】
仕切板39aの第1部材392aには小さな孔が開けられており、投入領域32で小さく破砕された固形物と被処理水31は、その孔を通じてバッファ領域35に流通される。破砕が十分ではない固形物は、孔に引っ掛かってバッファ領域35側に移動することができない。つまり、仕切板39がフィルタの役割をしており、破砕が十分でない固形物が投入領域32から出ないようにすることで、ポンプ33や配管の詰まりを防止している。
【0032】
バッファ領域35と送出領域34との間は仕切板39bで仕切られている。仕切板39bは原水槽3の底面に対して垂直に配設されており、仕切板39aの第4部材395aから所定の距離を空けて配設される。第4部材395aから所定の距離を空けて配設する理由は、仮に第1部材392aの孔が塞がって投入領域32における被処理水31がオーバーフローした場合であっても、被処理水31に含まれる固形物が送出領域34にまで流動することを防止するためである。すなわち、万が一第1部材392aの孔が塞がった場合であっても、被処理水31に含まれる固形物は散気管38からの曝気処理が及ぶバッファ領域35に止めることができ、ポンプ33や配管の固形物による詰まりを確実に防止することが可能となる。
【0033】
なお、上記処理において、第1部材392aの孔に対して投入方向とは逆となるバッファ領域35側から曝気処理が行われるため、第1部材392aの孔が全て塞がる可能性は極めて低いと考えられるが、万が一の場合に備えて投入領域32のオーバーフローに対応できる構造としているものである。
【0034】
仕切板39b高さは、第4部材395aの最高位置よりも低くなっており、バッファ領域35でオーバーフローした分の被処理水31が送出領域34に流通する構造となっている。つまり、トイレ2から流れてきた被処理水31は投入領域32に投入され、それにより増加した被処理水31の容量分が、バッファ領域35から送出領域34に仕切板39bを超えてオーバーフローするようになっている。このとき、被処理水31に含まれる固形物は投入領域32にて細かく破砕されており、仮に第1部材392aの孔が塞がってしまっているような場合であっても、バッファ領域35にて固形物が細かく破砕されるため、仕切板39bを超えて送出領域34にオーバーフローする被処理水31には、細かく破砕された固形物のみが含まれる状態となる。これにより、ポンプ33や配管の詰まりが確実に防止される。
【0035】
また、上述したように、ブロア102から送出される空気を吐き出す散気管38は、仕切板39aを挟んでバッファ領域35側に設置されており、仕切板39の孔を介して投入領域32側に向かって曝気処理を行う構造となっている。こうすることで、孔に引っ掛かった大き目の固形物を仕切板39から乖離させて、孔の詰まりを防止しつつ、大き目の固形物を投入領域32内に拡散させ、再度粉砕処理を行うことが可能となる。
【0036】
ポンプ33の駆動は、制御部100の制御装置101により行われるが、制御装置101は、後段の第1調整槽4の水位に余裕がある場合は、随時原水槽3の被処理水31を第1調整槽4にポンプアップする。第1調整槽4の水位に余裕がない場合は、ポンプ33を駆動せずに送出領域34に被処理水31を貯留するが、送出領域34にはフロート302が設置されており、予め設定されている水位を超える場合は、第1調整槽4の水位に関係なく、ポンプアップして被処理水31を送出する。
【0037】
原水槽3の送出領域34からポンプ33で送出された被処理水31は、第1調整槽4に貯留される。この第1調整槽4では、次段の浄化槽5の処理の進行具合に応じて被処理水31が貯留される。これは、制御装置101において、浄化槽5の浄化処理が遅れていると判断された場合、すなわち、第2調整槽6の水位が高くなり浄化槽5から排出される被処理水31が増加していると判断される場合には、浄化槽5の浄化処理をスローペースにするために、被処理水31を第1調整槽4に貯留する。また、浄化槽5の浄化処理が順調に進行していると判断された場合、すなわち、第2調整槽6の水位が低く浄化槽5から排出される被処理水31がそれほど多くないと判断される場合には、浄化槽5の浄化処理を進めるために、直ちに被処理水31を浄化槽5に投入する。
【0038】
そして、この第1調整槽4には好気性菌が存在しており、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理により好気処理が行われる。また、同時に、散気管42から吐き出される空気の曝気処理により被処理水31の溶存酸素が増加され、以降の処理における菌の活動を活性化させる。つまり、第1調整槽4に被処理水31が貯留される間は、浄化槽5の前処理として事前に好気処理を行うことが可能となり、後段の浄化槽5の浄化処理の負担を軽減することが可能となる。
【0039】
なお、この第1調整槽4においては、好気性菌の菌床となる第1の菌床領域41を設け、この菌床で活性化した菌が第1調整槽4の内壁にバイオフィルムを形成し、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理により好気処理を行うようにしてもよい。
【0040】
また、第1調整槽4から浄化槽5への被処理水31の送出は、ポンプ43によるポンプアップで行われ、ポンプ43の駆動制御は、第2調整槽6の水位に基づいて制御装置101の制御により行われる。
【0041】
さらに、
図1に示すように、第1調整槽4の上部には、撹拌羽根(図示しない)や当該撹拌羽根を回転駆動するモータ(図示しない)を配設するようにしてもよい。第1調整槽4の上部に固形物が堆積される(原水槽3で細かく粉砕された固形物が浮いて堆積される)可能性があり、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理だけでは、堆積した固形物の拡散が困難な場合に、撹拌羽根を駆動することで、堆積した固形物を再び粉砕して、後段の処理槽5に送出することが可能となる。このときのモータの駆動制御は、制御装置101により行われる。駆動のタイミングは、例えば、モータを定期的に駆動してもよいし、定期的に駆動してみて、その摩擦力を測定し、摩擦が大きい場合には固形物が堆積していると推定してモータを本格的に駆動してもよい。
【0042】
さらにまた、ポンプ43は、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理を直接受ける位置に設置されてもよい。そうすることで、曝気処理によりポンプ43の詰まりを防止することが可能となる。
【0043】
さらにまた、第2調整槽6に水質センサを設置し(図示しない)、制御装置101は、この水質センサの情報に基づいて、第1調整部4のポンプ43の駆動を制御してもよい。すなわち、第2調整槽6の水質が良好な場合は、浄化処理が十分行われているとして、浄化槽5に被処理水31を送出し、水質が不良である場合は、浄化槽5での浄化処理が十分であるとして、できるだけ第1調整槽4に被処理水31を貯留し、浄化処理をスローペースにしてもよい。また、このとき、詳細は後述するが、第2調整槽6から原水槽3への返送をペースアップするように制御してもよい。そうすることで、浄化処理が不十分な被処理水31を再度浄化処理して、水質を上げることができる。
【0044】
第1調整槽4から送出された被処理水31は、浄化槽5において、本格的に微生物処理がなされる。浄化槽5は、第1の嫌気処理を行う嫌気処理領域51と、第2の好気処理を行う好気処理領域52と、被処理水31を後段の反応槽6に送出する送出領域53とを有する。
【0045】
第1調整槽4から投入された被処理水31は、まず、嫌気処理領域51で第1の嫌気処理が行われる。この第1の嫌気処理は、ある程度時間を掛けて行うために、嫌気処理領域51を2つに区切り、それぞれの区画で順次嫌気処理が行われる構造となっている。それぞれの区画は、連通するパイプで接続されており、被処理水31は自然流下により区画間を流通する。嫌気処理領域51と好気処理領域52とは、それぞれの領域の上方で被処理水31が流通可能に連通しており、第1の嫌気処理がなされた被処理水31は、その連通路を通して好気処理領域52に送出される。好気処理領域52では、網目状の枠体55に収納され、好気性菌が常駐する接触材56に対してブロア102から散気管57を通じて空気が送られ、好気処理が行われる。好気処理領域52と送出領域53とは、それぞれの領域の下方で連通しており、好気処理された被処理水31は、次の第2調整槽6に送出される。この浄化槽5の処理は、ポンプ等を用いずに、全て自然流下により行われる。そのため、被処理水31が投入された分、同時に同量の被処理水が第2調整槽6に送出されることとなる。
【0046】
また、好気処理領域52で好気処理が行われた被処理水31の一部は、再度十分な微生物処理を行うために、ポンプや曝気処理を利用してパイプを通して嫌気処理領域51に返送され、より綺麗な被処理水31となるように繰り返して処理される。なお、ブロア102やポンプの駆動制御は、制御装置101により行われる。
【0047】
浄化槽5で処理された被処理水31は、第2調整槽6に貯留される。第2調整槽6は、後述する洗浄水の残量や浄化槽5の処理の進行度合い、すなわち、第2調整槽6の水位、後述する反応槽7におけるパーキング領域73の水位、必要に応じて洗浄槽8の水位等に基づいて制御装置101が浄化処理の進行度合いを判断し、その制御装置101の判断に応じて、被処理水31が貯留されたり、次段の反応槽7に送出されたりする。つまり、洗浄槽8や反応槽7のパーキング領域73の水位が下がっているときは、洗浄水が不足しがちであると判断し、被処理水31を反応槽7へ送出する。洗浄槽8や反応槽7のパーキング領域73の水位が上がっているときは、洗浄水が十分に確保されていると判断し、被処理水31を第2調整槽6内に貯留する。この第2調整槽6の水位も上がった場合は、前述したように、被処理水31を第1調整槽4に貯留することで、処理の進行度合いを調整する。なお、第2調整槽6から反応槽7への被処理水31の送出は、ポンプ62により行われ、ポンプ62の駆動制御は、上述したように制御装置101の判断に基づいて行われる。
【0048】
被処理水31が浄化槽5における浄化処理が不十分な状態でこの第2調整槽6に送出された場合は、第2調整槽6の下方に汚泥が沈殿してしまう場合がある。そこで、第2調整槽6の被処理水31が貯留される底面部分を傾斜させ、その先端部分61に汚泥が沈殿する構造としている。この傾斜の先端部分61は、高さが原水槽3の上面位置に対応しており、沈殿した汚泥を引き抜いて原水槽3に返送する構造となっている。具体的には、先端部分61と原水槽5の上面部分が配管で接続されており、その配管には電磁弁が設置されている。この電磁弁は、制御装置101の制御により、定期又は不定期に開放される構造となっており、電磁弁が開放されることで、先端部分61に溜まった汚泥を引き抜いて原水槽3に返送することができる。原水槽3と第2調整槽6とは、隣接又は上下に配設されており、配管の長さを最小限に抑えることで、第2調整槽6に沈殿した汚泥を容易に原水槽3に返送すると共に、メンテナンスの手間を低減することが可能となっている。
【0049】
なお、この第2調整槽6にも第1調整槽4と同様の菌床領域63を設け、そこで活性化した菌が第2調整槽6の内壁にバイオフィルムを形成するようにしてもよい。そうすることで、第2調整槽6に貯留された被処理水31に対して再び嫌気処理を行うことが可能になると共に、接触材が槽内に散在することを防止しつつ、接触材による配管の詰まり等を防止することができる。
【0050】
また、上述したように、第2調整槽6に水質センサを設置し(図示しない)、水質センサからの情報に基づいて、原水槽3への返送のペースを制御装置101が制御してもよい。すなわち、水質が悪い場合には、原水槽3への返送のペース(又は返送の量)を増大させ、水質が良い場合には、原水槽3への返送のペース(又は返送の量)を減少させるようにしてもよい。
【0051】
第2調整槽6から送出された被処理水31は、反応槽7の上方に設置された散布部71から散布されて反応槽7に投入される。反応槽7は、被処理水31に含まれる有機物を二酸化炭素と水に分解して除去する分解領域72(上側の領域)と、有機物が除去された被処理水31を貯留するパーキング領域73(下側の領域)とを有する。分解領域72には、有機物を二酸化炭素と水に分解する菌を着床したバイオチップ74(例えば、杉チップ等)が充填されており、散布部71から散布された被処理水31は、このバイオチップ74を通過しながら、有機物が除去される。バイオチップ74を通過した被処理水31は、下方に配設されているパーキング領域73に貯留される。
【0052】
パーキング領域73に貯留された被処理水31は、洗浄水として利用可能なレベルまで浄水されている。しかしながら、パーキング領域73に貯留された被処理水31は、分解領域72においてバイオチップ74に接触しながら通過しているため、茶色に着色されてしまう。浄化レベルとしては十分であっても、茶色い水が洗浄水として出てきた場合に、使用者にとって心地がいいものではない。このような場合、この茶色い着色を除去するために、着色除去フィルタを使用したり、また同時に、次段の洗浄槽8への菌の流出をなくすために、菌除去フィルタを用いることもできる。
【0053】
なお、このパーキング領域73にも第1調整槽4や第2調整槽6と同様の菌床領域77を設け、そこで活性化した菌がパーキング領域73の内壁にバイオフィルムを形成するようにしてもよい。そうすることで、パーキング領域73に貯留された被処理水31に対して再び嫌気処理を行うことが可能となる。
【0054】
上述したフィルタ処理を行うことで透明化された綺麗な被処理水31(この時点で洗浄用に再利用する処理水となっている)は、制御装置101の制御に基づいて、パーキング領域73からポンプアップにより洗浄槽8に送出される。トイレ2で用を足した後に水を流すと、この洗浄槽8の処理水がポンプ81で送出され、トイレ2が洗浄され、再びシステム内を循環する。
【0055】
以上のような一連の処理により、洗浄水を循環させることができる。本実施形態においては、各処理において必要なポンプアップや制御部100の駆動のための電力は、太陽光パネル12で発電した電力を利用することができる。太陽光パネル12で発電した電力は、二次電池13に蓄電され、必要に応じて各ポンプや制御部100が電力を消費しながら処理を行う。太陽光パネル12は、屋根の上に設置されてもよいし、シート型をバイオトイレシステム1の側壁に付設するようにしてもよい。
【0056】
図3は、
図1における制御部100の構成を示す図である。上述したように、制御部100は、バイオトイレシステム1の全体の監視・制御を行う制御装置101と、原水槽3に配設される散気管38、第1調整槽4に配設される散気管42、及び浄化槽5に配設される散気管57に空気を送出するブロア102と少なくとも備える。なお、その他に、交流/直流を変換する電力変換装置や、太陽光パネル12で発電した電力を貯蔵する二次電池等を備えるようにしてもよい。
【0057】
これらの各装置は1つの共通の筐体110内に収められている。制御装置101や電力変換装置や二次電池は、使用に応じて発熱し、最悪の場合にはその熱により装置が停止してしまう場合がある。一般的には、装置を冷却するために冷却シートを利用したりファンを取り付けるケースが多い。冷却シートを用いる場合は、冷却シートの取り換え等のメンテナンス作業が生じてしまい効率的ではない。そのため、本実施形態においては、ファンにより筐体110内に外気を取り込むことで制御装置101を冷却する。
【0058】
また、一方で、特に冬場などは微生物が不活性となり処理の効率が落ちることがあるため、微生物を活性化するためにある程度温度を上げる必要がある。そのためにヒーターなどを利用すると電力消費の増大につながってしまう。上述した特許文献2に示すような太陽熱温水器を使うことで電力を消費することなく温度を上げることが可能であるが、太陽熱温水器を設置することでシステムが大型化してしまうと共に、定期的なメンテナンスも発生してしまう。また、太陽熱温水器を設置している領域では太陽光発電等でエネルギーを作る機会が奪われてしまう。
【0059】
そこで、本実施形態においては、制御部100で発生した余分な熱をブロア102により各槽に移動させることで、制御部100の温度を下げつつ、各槽内の温度をできるだけ高く保つことを可能とする。
図3において、筐体110の下段には発熱性が高い制御装置101、電力変換装置103、二次電池104等(以下、制御装置101等という)が配設されており、その上段にブロア102が配設されている。制御装置101等とブロア102との間は空気が流通可能になっており、制御装置101等で暖められた空気がブロア102側に上昇する。
【0060】
ブロア102は、筐体110内の空気を吸引し、その空気を高圧の状態で各散気管(散気管38,42,57)に送出する。ブロア102で送出される空気は、制御装置101等により暖められた空気であり、それが各散気管を通じて各槽に送出されることで、制御装置101等で生じた熱も各散気管を通じて各槽に移動することとなる。
【0061】
なお、
図3においては、ブロア102を一つの構成として記載しているが、この図の通りに1つのブロア102が、配管の分岐により各散気管38,42,57のそれぞれに空気を送出するようにしてもよいし、各散気管38,42,57ごとに、個別にブロア102(例えば、散気管38に空気を送出するブロア102a、散気管42に空気を送出するブロア102b、散気管57に空気を送出するブロア102c)を備えるようにしてもよい。この場合、原水槽3では好気処理が行われないため(原水槽3に存在する微生物を活性化する必要性がないため)、この原水槽3に配設されている散気管38にはブロア102aから必ずしても熱を移動させる必要がない。したがって、ブロア102aについては、制御装置101等の上段部分以外にも、筐体110内のいずれの箇所に配設されてもよい。また、第1調整槽4に配設される散気管42に空気を送出するブロア102bと、処理槽5に配設される散気管57に空気を送出するブロア102cとは、いずれも好気処理を行う微生物を活性化するために均等に熱が伝達されるのが望ましいため、ブロア102bとブロア102cとは水平方向に並列して配設されるようにしてもよい。
【0062】
図3に示すように、筐体110には外部からの空気を流通させるための流通口111a,111bが形成されており、筐体110内の温度よりも低い外気が流通できる構成となっている。このような流通口111a,111bを設けることで、制御装置101等をより効果的に冷却して装置を保護することが可能となる。また、流通口111a,111bを通して外気が流通することで、ブロア102自体を冷却することが可能になる。
【0063】
なお、このとき、制御装置101等をできるだけ効果的に冷却しつつ、発生した熱をブロア102が各散気管を通して各槽に効果的に移動させるために、流通口111a,111bは制御装置101等の下方を流通させることが望ましい。そうすることで、制御装置101等が発生した熱は筐体110内の上方に集まり、外部から流入した低温の空気は筐体110内の下方に集まるため、制御装置101等を下方から冷却しつつ、制御装置101等により暖められて上昇する筐体110内の空気をブロア102が効率よく吸引することが可能となる。
【0064】
図3において、筐体110の流通口111a,111bを流通する空気をより低温にするために、バイオトイレシステム1内に貯留されている水を利用して空気を冷やすようにしてもよい。
図4は、筐体内に流通させる空気を冷却する場合の配管の構成を示す図である。本実施形態に係るバイオトイレシステム1においては、比較的安定的に水が貯留されるのが洗浄槽8である。洗浄槽8に貯留される水は既に処理された水であり、トイレの使用で減少すると共に、浄化処理により常時増加されるため、比較的多くの水が安定的に貯留された状態となる。ここで、
図4に示すように、本実施形態においては洗浄槽8に貯留された水を利用することで、筐体110の流通口111a,111bを流通する空気を熱交換して冷却する。
【0065】
図4において、筐体110内に外気を流入するための配管82が、洗浄槽8内を通して筐体110の流入口111aに接続されている。配管82の流入口82aにはファン83が配設されており、外部の空気を取り込むようになっている。配管82に取り込まれた外気は、配管82を通って筐体110に流入されるまでの間に洗浄槽8内に貯留されている処理水との間で熱交換がされ冷やされる。冷やされた空気は、そのまま筐体110の流通口111aから筐体110内に流入し、制御装置101等を効率よく冷却する。
【0066】
配管82は、処理水との熱交換を効率よく行うために、熱伝導率が高い素材で形成されている。また、処理水の水位が下がった場合であっても処理水との接触面積をできるだけ大きくするために、少なくとも洗浄槽8の底面部分84に沿うように配設される。このとき、
図4に示すように、底面部分84の配管82の構造を蛇腹状にして接触面積を増大させるようにしてもよい。その他、例えば、配管82の表面にフィン(図示しない)を配設したり、洗浄槽8の底面に沿って配管82を渦巻状に形成(図示しない)することで処理水との接触面積を増やすようにしてもよい。
【0067】
このように、洗浄槽8に貯留されている処理水により外部の空気を冷却し、その冷却された空気を筐体110に送出することで、制御装置101等の温度上昇を抑え、機器の故障等を最小限に抑えることが可能になる。
【0068】
図5は、ブロア102から送出された空気が第1調整槽4で曝気される状態を示す図である。ここでは、散気管42から放出される泡がマイクロバブルになっている。散気管42から放出される泡をマイクロバブルにすることで、泡と被処理水31との接触面積が大きくなり、ブロア102で吸引された空気に含まれる制御装置101等の熱を被処理水31に効率よく移動することが可能になる。そうすることで、第1調整槽4内の微生物が活性化し、好気処理を効率よく行うことができる。
【0069】
なお、第1調整槽4と同様に、処理槽5に配設される散気管57についても、被処理水31中にマイクロバブルが放出されることが望ましい。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおいては、ブロア102と制御装置101等とが共通の空間内に配設されており、ブロア102が制御装置101等により暖められた空気を吸引し、当該空気を第1調整槽4や処理槽5に配設された散気管42,57から排出するため、制御装置101等で発生した熱がブロア102を通して第1調整槽4や処理槽5に移動され、制御装置101等を冷却(制御装置101等の熱を廃熱)しつつ第1調整槽4や処理槽5の微生物を活性化することができ、省エネルギーで効率よくバイオトイレシステム1を駆動させることができる。
【0071】
また、ブロア102と制御装置101等とが同一の筐体110内に配設されており、当該筐体110に設けられた流通口111aから外気が流入されるため、制御装置101等で発生する熱が筐体110内に籠り、その熱を効率よく処理槽5や第1調整槽4などに移動させることができる。さらに、筐体110内には流通口111aから外気が流入するため、この外気により制御装置101等を効率よく冷却すると共に、筐体110内で大きな熱落差を生じさせてエネルギーを効果的に利用することができる。
【0072】
さらにまた、筐体110に設けられた流入口111aから流入される外気が、洗浄槽8で熱交換により冷却されているため、流入される外気を処理水でより低い温度に冷却し、この冷却された外気により制御装置101等を効率よく冷却すると共に、筐体110内でより大きな熱落差を生じさせてエネルギーを効果的に利用することができる。
【0073】
さらにまた、外気が流通する配管82が、少なくとも洗浄槽8の底面部分84に沿って配設されているため、洗浄槽8の水量が減った場合であっても熱交換の効率低下を最小限に抑えることができると共に、外気が洗浄槽8内の水に配管82を通して長い距離で熱交換することが可能となり、効率よく外気を冷却することができる。
【0074】
さらにまた、筐体110内でブロア102が制御装置101等の上段に配設されるため、制御装置101等が発生する熱で暖められた空気が筐体110内の上方に移動し、その移動した空気をブロア102が効率よく吸引して熱を処理槽5や第1調整槽4に移動することが可能になる。
【0075】
さらにまた、ブロア102の散気管42,57から排出される空気をマイクロバブルとするため、処理槽5や第1調整槽4において細かい泡で空気が送出され、処理槽5や第1調整槽4内の被処理水と送出される空気との接触面積が大きくなり、効率よく熱を移動することが可能になる。
【0076】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係るバイオトイレシステムについて、
図6を用いて説明する。本実施形態に係るバイオトイレシステムは、前記第1の実施形態に係るバイオトイレシステムを応用したものであり、ブロア102や制御装置101等が収納されている筐体110に流入する空気を外気の温度に応じて切り替えるものである。
【0077】
図6は、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおける筐体内に流通させる空気の配管の構成を示す図である。
図6において、筐体110に流入される空気の流通路が二つ存在する。一方が
図4に示した場合と同様に、外気が洗浄槽8の中を通って熱交換しながら流入口111aから流入する第1ルートで、他方がトイレの室内から取り込んで流入する第2ルートである。それぞれのルートの分岐点には電磁弁112が配設されており、制御装置101により弁の開閉が制御される。
【0078】
具体的には、バイオトイレシステム1の外部に設置された温度計(図示しない)からの温度情報を制御装置101が受信し、外部の気温が氷点下以上であれば、第1ルートから外気を取り込むように制御装置101が電磁弁112を制御し、外気の気温が氷点下である場合には、外気温よりも温度が高くなっているトイレ室内からの第2ルートで空気を取り込むように制御装置101が電磁弁112を制御する。これは、氷点下の空気で制御装置101等を冷却した場合に、空気の温度が低すぎて制御装置101の一部が凍結により損傷してしまうことを防止するためである。
【0079】
なお、
図6において、配管82の分岐点が洗浄槽8の後段で筐体110の流入口111aの直前に設けられているが、洗浄槽8の前段部分で分岐するようにしてもよい。
【0080】
このように、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおいては、筐体110に流入する空気を外気温に応じて切り替えることで、制御装置101等の損傷を確実に防止し、メンテナンス作業の手間を低減することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 バイオトイレシステム
2 トイレ
3 原水槽
4 第1調整槽
5 浄化槽
6 第2調整槽
7 反応槽
8 洗浄槽
12 太陽光パネル
31 被処理水
32 投入領域
33 ポンプ
34 送出領域
35 バッファ領域
38 散気管
39(39a,39b) 仕切板
41 菌床領域
42 散気管
43 ポンプ
51 嫌気処理領域
52 好気処理領域
53 送出領域
55 枠体
56 接触材
57 散気管
61 先端部分
62 ポンプ
63 菌床領域
71 散布部
72 分解領域
73 パーキング領域
74 バイオチップ
82 配管
82a 流入口
83 ファン
84 底面部分
100 制御部
101 制御装置
102(102a,102b,102c) ブロア
103 電力変換装置
104 二次電池
110 筐体
111a,111b 流通口
112 電磁弁
302 フロート
391a 端面
392a 第1部材
393a 第2部材
394a 第3部材
395a 第4部材