(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】化粧パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220621BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220621BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
E04F13/08 H
B32B27/00 E
H04B5/02
E04F13/08 B
(21)【出願番号】P 2018533224
(86)(22)【出願日】2016-12-22
(86)【国際出願番号】 NL2016050907
(87)【国際公開番号】W WO2017111590
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-11-11
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】508212602
【氏名又は名称】トレスパ・インターナショナル・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Trespa International B.V.
【住所又は居所原語表記】Wetering 20, 6002 SM Weert, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ケランデール、ビルギッタ カタリーナ シャルロッテ
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン-ストックス、マルセル
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0224135(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0095925(US,A1)
【文献】特表2012-522483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0024290(US,A1)
【文献】特開平07-091011(JP,A)
【文献】特開2005-335370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0030946(US,A1)
【文献】特開昭62-099147(JP,A)
【文献】特開2011-219997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0164132(US,A1)
【文献】国際公開第2011/064425(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
B32B 27/00
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾層が設けられたコア層を備える化粧パネルであって、前記装飾層は、少なくとも1つのコーティングが設けられた基材層を備え、無線認識(RFID)タイプの少なくとも1つのパッシブセンサが前記化粧パネル内に配置され、前記少なくとも1つのパッシブセンサは前記コア層内に配置され、前記パッシブセンサは、集積チップとRFIDアンテナとを備え、
前記コア層は、樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体を備え、
前記少なくとも1つのパッシブセンサは、樹脂含浸紙の層の間に配置され、
前記少なくとも1つのパッシブセンサは支持層上に設けられ、前記支持層は、前記コア層の前記樹脂含浸紙の隣接する層からの樹脂で含浸されていることを特徴とする、化粧パネル。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパッシブセンサは前記コア層の中心内に配置され、前記中心は前記コア層の厚さの半分に位置することを特徴とする、請求項1に記載の化粧パネル。
【請求項3】
前記コア層は、樹脂含浸紙、木材繊維、ガラス繊維、織物繊維、合成繊維および炭素繊維、または、それらの混合物の不織布ならびに織布の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の化粧パネル。
【請求項4】
前記樹脂含浸紙の前記積層体に1つ以上の凹部が設けられ、その1つ以上の凹部に前記少なくとも1つのパッシブセンサが配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパッシブセンサは、近距離通信(NFC)タイプのものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項6】
前記装飾層と前記コア層との間にある位置、前記装飾層内にある位置、前記基材層と前記少なくとも1つのコーティングとの間にある位置、および、前記少なくとも1つのコーティング内にある位置の群から選択される1つ以上の位置に配置された、少なくとも1つのパッシブセンサをさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項7】
前記コア層は、少なくとも1つの熱成形可能シートを備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項8】
前記コア層が樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体を含む場合、前記少なくとも1つの熱成形可能シートは、前記装飾層と前記樹脂含浸紙の積層体との間に配置されることを特徴とする、請求項
7に記載の化粧パネル。
【請求項9】
前記装飾層と前記
少なくとも1つの熱成形可能シートとの間に、熱硬化性層、好ましくは樹脂含浸紙が配置されることを特徴とする、請求項8に記載の化粧パネル。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサは、前記化粧パネルを破壊することなく取り外すことができないことを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項11】
前記少なくとも1つのパッシブセンサは、前記化粧パネル内の最小0.5mmの深さに配置され、前記深さは、前記装飾層が配置される前記化粧パネルの外面から計算されることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の化粧パネル。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかまたは複数に記載の化粧パネルの製造方法であって、
i)無線認識(RFID)タイプの少なくとも1つのパッシブセンサを設けるステップであって、前記パッシブセンサは、集積RFIDチップおよびRFIDアンテナを備える、ステップと、
ii)コア層を設けるステップと、
iii)少なくとも1つのコーティングが設けられた基材層を備える装飾層を設けるステップと、
iv)ステップii)の前記コア層に、ステップi)の前記少なくとも1つのパッシブセンサを配置するステップと、
v)前記装飾層とステップiv)の構成を接触させるステップと、
vi)前記コア層に無線認識(RFID)タイプの前記少なくとも1つのパッシブセンサが設けられた化粧パネルを得るために、ステップv)の複合体に圧力および温度条件を適用するステップと、
を備え、
前記少なくとも1つのパッシブセンサは、支持層が設けられたパッシブセンサである、化粧パネルの製造方法。
【請求項13】
ステップiv)において、前記少なくとも1つのパッシブセンサは前記コア層の中心内に配置され、前記中心は前記コア層の厚さの半分に位置する、請求項12に記載の化粧パネルの製造方法。
【請求項14】
ステップii)の前記コア層は樹脂含浸紙の個々の層を備え、前記ステップiv)は、第1の量の樹脂含浸紙の個々の層を、互いの上に適用するステップと、このようにして得られた樹脂含浸紙の第1の積層体上にステップi)の前記少なくとも1つのパッシブセンサを配置するステップと、第2の量の樹脂含浸紙の個々の層を、前記少なくとも1つのパッシブセンサが設けられた樹脂含浸紙の前記第1の積層体上にさらに適用するステップと、をさらに備え、前記第1の量と前記第2の量は、前記少なくとも1つのパッシブセンサが前記コア層の中心内に配置されるような量であり、前記中心は前記コア層の厚さの半分に位置する、請求項12から13のいずれかまたは複数に記載の化粧パネルの製造方法。
【請求項15】
ステップiv)を実施する前に、支持層上に設けられた前記少なくとも1つのパッシブセンサは樹脂でプリウェットされる、請求項12から14のいずれかに記載の化粧パネルの製造方法。
【請求項16】
家具における請求項1から15のいずれかに記載の化粧パネルの使用。
【請求項17】
外壁およびファサードにおける請求項1から15のいずれかに記載の化粧パネルの使用。
【請求項18】
内装装飾品における請求項1から15のいずれかに記載の化粧パネルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾層を備えるコア層を備える化粧パネルに関し、装飾層は、少なくとも1つのコーティングを備える基材層を含む。さらに、本発明は、このようなパネルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人によって製造された装飾高圧コンパクトラミネート(積層体)は、屋外用途で知られている。このようなラミネートは、熱硬化性樹脂を含浸させた木質繊維(紙および/または木材)の層と、装飾的な色またはデザインを有する片面または両面の表面層とから構成される。透明なトップコートが表面層に加えられ、硬化され、天候および光の保護性能を強化する。これらの構成要素は、熱および高い面圧を同時に加えて結合され、密度が高く一体化した装飾表面を有する均質な非多孔質材料を得る。これらのパネルは、特に、米国特許第4,801,495号、米国特許第4,789,604号、米国特許出願第2013/0078437号に開示されている。
【0003】
このようなパネルは、非インテリジェントなパネルである。これは、これらのパネルの機能が建物用であり、審美的な目的のみのためであることを意味する。しかし、インタラクティブ(対話型)パネルは当該技術分野において公知である。
【0004】
例えば、米国特許出願第2013/063009号は、インタラクティブ家具装置、ならびに、発達、教育、治療および娯楽の利点を提供するためのアプリケーションに関する。このようなインタラクティブ装置は、外部の半透明固体表面、センサ、外部の固体表面内に配置された感覚フィードバック構成要素、および、感覚フィードバック構成要素を制御するプロセッサを備える。この米国の刊行物は、装置自体の構成について全く言及していないが、装置は少なくとも1つのインタラクティブ領域を有することを示している。このようなインタラクティブ領域は、光拡散を提供する高誘電率を有するアクリル、ポリエステル樹脂、顔料、ボーキサイト、もしくは大理石粉、または、組み合わせのような半透明で実質的に剛性の材料である耐久性の高い外部固体表面を含む。センサの例は、人間の存在、動き、またはジェスチャーを追跡するために使用される静電容量センサ、人間の存在、動きまたはジェスチャーを追跡するために使用される赤外線センサ、および、人間の存在、動きまたはジェスチャーを追跡するために使用されるCMOS 3Dセンサである。
【0005】
さらに、米国特許出願第2015/188227号は、トランスポンダ、特に近距離通信(NFC)または無線認識(RFID)装置トランスポンダ用のアンテナ、およびトランスポンダを含むフラットパネルまたはポスターに関する。このようなタグは、目に見え、かつ、気象、風、太陽、化学薬品、傷、意図しない取り外し(盗難)などの環境に耐えるための追加の保護が必要である。トランスポンダを備えるポスターの欠点は、例えば、破壊行為によって非常に簡単にトランスポンダが取り外されることである。さらに、そのようなポスターは外装および建築用途に使用することができない。
【0006】
国際出願は、接着剤によって互いに接合された複数の層から形成された木材ボードに関し、木材ボードは、木材ボードの2つの層の間に配置された少なくとも1つのインテリジェント識別子を備える。このような木材ボードは、ベニヤ層から形成され、インテリジェント識別子は木材ボードのベニヤ層の間に配置され、特にインテリジェント識別子はベニヤ層の間の接着剤ライン上に配置される。RFID認識回路を有するインテリジェント識別子が使用される。
【0007】
DE 102007030829は、第1の層と、第1の層の凹部と、凹部内の少なくとも1つの電子モジュールとを有する表面被覆構造に関する。
【0008】
DE 202013101252は、2つの大面積表面および周辺縁部を有する家具ボードに関し、家具ボードは狭い側面に配置された間隔を空けた穴を有し、穴にはRFIDタグが配置されている。穴は、閉鎖目的のための表面を備える。
【0009】
EP 1 699 002は、パネル、すなわち、車体に取り付けるための窓パネルであって、主表面が互いに対向するように配置された複数の基材、すなわち板ガラスと、複数の基材同士を接合するように複数の基材の間に配置された中間膜部材と、 複数の基材の間に配置された電子タグとを備え、電子タグは、凹凸面を有し、凹凸面の凹凸部がコーティング材に埋め込まれるようにコーティング材で被覆されている、パネルに関する。
【0010】
EP 2 230 626は、無線認識(RFID)タグに記憶された処理情報を読み取る方法に関する。中実のシートコンポーネント、すなわち中実の木材パネルは、シートコンポーネントの処理動作に関するデータを含む処理情報を考慮して処理される。情報はRFIDタグに記憶される。凹部は中実のシートコンポーネントの側面に作られ、RFIDタグは凹部に配置され、コンポーネントは木材、パルプ材、木材複合材またはプラスチックで作られる。
【0011】
US 2007/0193220は、ドア内に埋め込まれた生産データを含むデータ装置を備える防火ドア(fire rated door)に関し、生産データは、ドアが製造された日付、ドアが製造された時間、注文番号、購入番号、製品識別子、購入者識別子、シフト識別子、職員識別子、機械ライン識別子、ドアの1つまたは複数の仕様、ドアのハードウェアのリスト、ドアのサイズ、ドアのスタイル、 ルーティング設計識別子、パーツリスト、オプション識別子、特徴識別子、アセンブリプログラム、または、それらの組み合わせを含む。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、インタラクティブ機能を有する化粧パネルを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、インテリジェントパネル、すなわち他の装置と通信できるパネルである化粧パネルを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、インタラクティブ装置をパネルから容易に取り外すことができないインタラクティブ化粧パネルを提供することである。
【0015】
したがって、本発明は、装飾層が設けられたコア層を備える化粧パネルであって、前記装飾層は、少なくとも1つのコーティングが設けられた基材層を備え、無線認識(RFID)タイプの少なくとも1つのパッシブセンサが前記化粧パネル内に配置され、特に、前記少なくとも1つのパッシブセンサは前記コア層内に配置され、前記パッシブセンサは、集積チップとRFIDアンテナとを備える、化粧パネルに関する。
【0016】
本発明者らは、このようなパネルで、上記の目的の1つ以上が達成されることを見出した。特に、少なくとも1つのセンサの位置は、パネルを破壊することなくセンサを取り除くことができないパネルを提供することを可能にする。これは、鉄道駅、空港、プールなどの公共スペースで本パネルを使用する場合の真の利点である。
【0017】
本発明によれば、無線認識(RFID)タイプの少なくとも1つのパッシブセンサがコア層内に配置され、好ましくは少なくとも1つのパッシブセンサはコア層の中心内に配置され、中心はコア層の厚さの半分に位置する。このような実施形態では、パッシブセンサは、コアの幾分対称的な構成またはビルドアップに埋め込まれ、それによってパネルの反りおよび座屈の悪影響を低減する。加えて、本パネルの製造プロセス中に高圧および高温条件が使用される。本パッシブセンサは、集積チップおよびRFIDアンテナを備えるので、本パッシブセンサの構成要素が加えられた高圧および高温条件に耐えなければならないように、本パネルの製造プロセスが実行されなければならない。本発明者らは、コア層内のパッシブセンサの特定の位置がパッシブセンサにこれらの条件に耐えることを可能にさせることを、驚くべきことに見出した。
【0018】
本発明は、本化粧パネルにおける少なくとも1つのパッシブセンサの特定の1つの位置のみに限定されないことは明らかでなければならない。1つ以上のパッシブセンサが本化粧パネル内に異なる位置に配置される実施形態を有することが可能である。これは、コア層においてパッシブセンサがパネルの円周、中央、特定の幾何学的パターン、または、それらの任意の組み合わせに配置されてもよいことを意味する。
【0019】
本発明において、少なくとも1つのセンサは、好ましくは無線認識(RFID)タイプ、特に近距離通信(NFC)タイプのパッシブセンサである。本発明は、特定の数のセンサに限定されるものではなく、センサの特定の組み合わせにも限定されない。センサは、剛性または可撓性であってもよい。最も一般的なRFIDセンサは、低周波(LF)、高周波(HF)、超高周波(UHF)の3つの周波数範囲で動作する。周波数が高いほど、通信距離は長くなる。パッシブ無線認識(RFID)タグ、いわゆるトランスポンダは、そのエネルギーを特定の電磁信号から取り込む。取り込みは誘導に基づいており、電磁放射はRFIDタグ内のアンテナによって電流に変換される。取り込まれたエネルギーは、RFIDチップによって使用され、RFIDチップにて記憶された情報を同じRFIDアンテナを介して送信される信号に変換する。送信されたRFID情報の文字列は、その文字列をリーダ装置のコマンドに変換するエンコーダを含むRFIDリーダによって読み取られる。したがって、RFIDアンテナは、RFIDチップを誘導的に充電し、記憶された情報をRFIDチップから送信する、トランスポンダにおける2つの主な機能を有する。LFおよびHF範囲用のタグ上のRFアンテナは、一般にコイルであり、ダイポールおよび/またはループはUHF RFIDに一般的に使用される。周波数が高いほど、リーダとRFIDタグとの間の最大距離が長くなる。UHF RFIDは典型的な動作範囲が10mよりも大きいが、この周波数の無線信号は周囲の材料によって容易に吸収され、偏向され、および/または、離調される。LF波は、吸収、偏向および離調に敏感ではないが、読み取り距離はより短く、通常1m未満である。パッシブRFIDタグは、電子的に記憶された情報をRFIDチップからリーダ装置に送信する。波、特にUHFはリーダとRFIDセンサとの間の材料に敏感であるため、センサは一般に物体の外側に配置される。相当な厚さ(>1mm)を有するパネルは、UHF電波伝搬に悪影響を与える。したがって、1mmより非常に大きい厚さのパネルの裏面にRFIDセンサを設置することは、推奨できないか、または、不可能である。本発明は、パッシブRFIDセンサをパネル内に、したがって表面のより近くに配置することによりこの課題を解決し、それは波長伝播に対する悪影響を制限し、同時に、センサは不可視であり、かつ、パネルにシームレスに一体化される。従って、本センサは、通信センサとして見ることができる。
【0020】
近距離通信(NFC)技術は、HF範囲のRFID技術の特殊なサブセットである。NFCセンサはRFIDと同じ機能を果す。主な違いの1つは、NFCリーダ技術が大部分の携帯電話で今日では利用可能であることであり、他のRFID技術のリーダにとってはそうではない。NFCは、周波数が13.56MHzの短距離無線技術のセットであり、通常、10cm以下の読み取り距離が必要である。NFCタグはパッシブであり、それはNFCリーダによって読み取られ、書き込まれることができる。RFIDと同様に、NFCはリーダ(例えば、スマートフォン)およびターゲット(NFCタグ)を含む。リーダは2つの機能を有し、それは、第1に電磁チャージ、すなわち誘導によってNFCに電力を供給する。パッシブセンサを備えた本パネルは電池を必要としない。NFCタグの第2の機能は、NFCチップの電子的に格納された情報を変換し、この文字列をNFCアンテナを介してリーダに送信することである。リーダは文字列をエンコードし、それは、スマートデバイスのブラウザにウェブサイトアドレスを開くコマンドであってもよい。
【0021】
本発明は、パッシブRFIDセンサを表面により近くパネル内に配置し、これは波長伝播に対する悪影響を制限し、同時に、センサは不可視であり、かつ、パネルにシームレスに一体化される。
【0022】
本化粧パネルでは、コア層は、好ましくは樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体、例えばフェノール樹脂含浸紙の積層体を備える。熱硬化性樹脂の含有量は、特定の層に対して20~250重量%である。そのような実施形態では、少なくとも1つのパッシブセンサは、樹脂含浸紙の層の間に配置される。
【0023】
本発明者らは、パッシブセンサの正確な位置決めが重要であることを見出した。さらに、パッシブセンサ自体は、パネルを製造するプロセス中に樹脂含浸紙の積層体から容易に取り外されないことがある。さらに、パネルの製造プロセス中、パッシブセンサは、プロセスオペレータまたは機械によって配置された正しい位置にとどまることが望ましい。これらの態様に基づいて、少なくとも1つのパッシブセンサが支持層上に設けられ、支持層は、コア層の樹脂含浸紙の隣接層から樹脂で含浸される。この含浸ステップは、パネルの製造プロセス中に行うことができ、またはパッシブセンサの支持層を樹脂でプリウェットすることができ、したがってプリウェットされたパッシブセンサをコア層上の正しい位置に配置することができる。本発明者らは、支持層が樹脂、特にコア層中の樹脂含浸紙に用いられる樹脂で含浸されることが好ましいことを見出した。支持層の例は、紙層である。パッシブセンサと組み合わせて使用される支持層は、変形可能な材料から作られることが好ましい。この変形可能な材料は、パネルの製造プロセス中に、一般的な高圧および高温条件下で変形することができる。このような変形可能な材料は、パネルの構造的寸法を維持すること、すなわち最終のパネルの反りおよび座屈の悪影響の発生の防止に良い影響を有するであろう。
【0024】
一実施形態では、樹脂含浸紙の積層体は1つ以上の凹部を備え、1つ以上の凹部に少なくとも1つのパッシブセンサが配置される。
【0025】
別の実施形態によれば、木材繊維、ガラス繊維、織物繊維、合成繊維、炭素繊維、またはそれらの混合物の不織布および織布を用いて、樹脂含浸積層体中の紙を部分的にまたは完全に置き換えることができる。さらに別の実施形態では、樹脂含浸紙をプリプレグで置き換えることができる。このようなプリプレグは、熱硬化性合成樹脂で被覆された木材またはセルロース繊維からなる繊維含有材料の固化したコアとして考えられ、樹脂は樹脂の熱硬化前に水溶液として繊維に添加されている。プリプレグの厚さは、典型的な紙よりもかなり大きくてもよく、1cmより大きい厚さ、またはそれ以上の厚さを含んでもよい。
【0026】
プリプレグの製造方法は、本出願人の名義で米国特許第4,503,115号および米国特許第6,387,489号に開示されている。例えば、米国特許第6,387,489号によれば、乾燥後、繊維は、貯蔵されるか、または、スプレッダ装置に直接的に送られる。樹脂処理された繊維は、顔料なしでまたは顔料と共にさらに処理されてもよい。樹脂処理された繊維および顔料から製造された混合物は、繊維および顔料をランダムな配向で連続的かつ均一に堆積させるスプレッダ装置に導入され、水平コンベアベルトの全幅にわたって分布したウェブ様マットを生成し、それは個別にまたはこの種の他のウェブ様マットと共にプレス成形され、コア層を形成する。スクレーパー、ブラシ、ベルトまたはローラーを使用してコンベアベルト上のマットを連続的に成形した後、プリプレグはカレンダ装置内で予備プレス成形され、厚さが減少して圧縮される。
【0027】
本発明では、少なくとも1つのセンサは、好ましくは、樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体内に配置される。
【0028】
別の実施形態では、本化粧パネルは、装飾層とコア層との間にある位置、装飾層内にある位置、基材層と少なくとも1つのコーティングとの間にある位置、および、少なくとも1つのコーティング内にある位置の群から選択される1つ以上の位置に配置された、少なくとも1つのパッシブセンサをさらに備える。
【0029】
本パネルの不均一な外面の形成を防止するために、本発明者らは、樹脂含浸紙の積層体に1つ以上の凹部を設けることが可能であることを見出した。これらの凹部を使用して、少なくとも1つのセンサをそれぞれの凹部に配置することができる。このような実施形態では、センサを備えた凹部は、少なくとも1つの熱プレスされた樹脂含浸紙で覆われることが好ましい。1つ以上の凹部の形成は、上述したコア層の各タイプに対して有効である。
【0030】
パネルおよびセンサの本構造は、パネルを破壊することなくセンサを除去することができないようなものである。個々の構成要素、すなわちコア層、センサおよび装飾層を一緒に結合するステップの間に、例えば120℃以上の熱および高い面圧(>7MPa)を同時に加えて、密度が高く一体化した装飾表面を有する均質な非多孔質パネルが得られる。このようにして本パネルに完全に埋め込まれたセンサは、外部から見えない。
【0031】
本発明者らは、熱硬化性樹脂を用いて紙の間でセンサを押す代わりに、少なくとも1つのセンサを、熱成形可能なシート材料で作られたキャビティ内に配置できることを見出した。キャビティの寸法は、センサをシートのキャビティ内に配置した後、シートの表面が完全に平坦になるようにすることが好ましい。センサ付きシートは、装飾の直下で、熱硬化性樹脂を有する装飾および紙の積層体内に、または、シートと装飾の間に熱硬化性樹脂を有する少なくとも1つの紙と共に配置される。特定の実施形態では、センサが配置されるシートの面は、装飾に最も近い。別の実施形態によれば、装飾は、センサと共にシート上に積層され、シートはコア材料として作用する。さらに別の実施形態では、熱成形可能シートは装飾の基材紙に取って代わるか、または、基材の上または下に組み込まれる。そのような実施形態の1つでは、装飾層の基材層は、少なくとも1つの熱成形可能なシートを備える。接着は、積層の前に、シート、装飾またはその両方に接着剤を塗布することによって行うことができる。
【0032】
熱成形可能シートは、1以上の熱可塑性ポリマーを含んでもよく、熱可塑性ポリマーは熱圧力を加えると塑性変形する。熱可塑性シートは、無機物として、充填剤、例えば、ガラス、合成、炭素、または他のタイプの強化繊維を含んでもよい。充填剤の目的は、熱成形可能シートの物理的性質を改質すること、たとえばそれを強化することである。
【0033】
集積されたセンサは、デバイスを環境に対して保護するパネルによって封止されている。このような環境の保護は、風、天候、日光、化学薬品、傷、温度、水分および湿気を含むことができるが、これらに限定されない。封止はまた、意図しないセンサの取り外し(盗難)を防止する。センサはパッシブであり、外部的に更新されることができるので、交換の形で意図的に取り除く必要はない。
【0034】
本発明はまた、コアが少なくとも1つの熱成形可能シートを備える化粧パネルに関する。このような実施形態では、コアは樹脂含浸紙の積層体をさらに備えてもよく、少なくとも1つの熱成形可能シートは、装飾層と樹脂含浸紙の積層体との間に配置される。別の実施形態では、熱硬化性層は、好ましくは、装飾と熱成形可能シートとの間に、熱硬化性層、好ましくは樹脂含浸紙として配置される。
【0035】
少なくとも1つの熱成形可能シートは、好ましくは1つ以上の凹部を備え、その1つ以上の凹部に少なくとも1つのセンサが配置される。
【0036】
本発明は、さらに、上述した化粧パネルの製造方法に関し、この方法は、
i)無線認識(RFID)タイプの少なくとも1つのパッシブセンサを設けるステップであって、前記パッシブセンサは集積RFIDチップおよびRFIDアンテナを備える、ステップと、
ii)コア層を設けるステップと、
iii)少なくとも1つのコーティングが設けられた基材層を備える装飾層を設けるステップと、
iv)ステップii)の前記コア層に、ステップi)の前記少なくとも1つのパッシブセンサを配置するステップと、
v)前記装飾層とステップiv)の構成を接触させるステップと、
vi)前記コア層に無線認識(RFID)タイプの前記少なくとも1つのパッシブセンサが設けられた化粧パネルを得るために、ステップv)の複合体に圧力および温度条件を適用するステップと、
を備える。
【0037】
実施形態では、ステップiv)において、前記少なくとも1つのパッシブセンサは前記コア層の中心内に配置され、前記中心は前記コア層の厚さの半分に位置することが好ましい。
【0038】
実施形態では、ステップii)の前記コア層は樹脂含浸紙の個々の層を備え、前記ステップiv)は、第1の量の樹脂含浸紙の個々の層を、互いの上に適用するステップと、このようにして得られた樹脂含浸紙の第1の積層体上にステップi)の前記少なくとも1つのパッシブセンサを配置するステップと、第2の量の樹脂含浸紙の個々の層を、前記少なくとも1つのパッシブセンサが設けられた樹脂含浸紙の前記第1の積層体上にさらに適用するステップと、をさらに備え、前記第1の量と前記第2の量は、前記少なくとも1つのパッシブセンサが前記コア層の中心内に配置されるような量であり、前記中心は前記コア層の厚さの半分に位置する。
【0039】
このような方法では、前記少なくとも1つのパッシブセンサは、支持層上に設けられ、ステップiv)を実施する前に、それの支持層は樹脂でプリウェットされる。このような支持層は、樹脂による含浸を可能とし、ステップiv)の間、変形可能である。
【0040】
本発明はさらに、本化粧パネルの家具における使用に関する。対話型家具の例は、ベンチ、椅子、またはスツール、および、コーヒーテーブル、ダイニングテーブル、カクテルテーブル、会議テーブル、サイドテーブル、ピクニックテーブル、または屋外テーブルなどのテーブルである。
【0041】
本発明はさらに、外壁およびファサードにおける本化粧パネルの使用に関する。
【0042】
本発明はまた、本化粧パネルの内装装飾品における使用に関する。
【0043】
本パネルの適用例は、レストランおよびバーのテーブルにおける本パネルの使用である。スマートフォンによりパッシブデバイスを読むことで、メニューにアクセスできる。本パネルは、空港、病院、鉄道駅、バスステーション、フェリーターミナルおよび公共エリアでの壁パネルおよび/または床材として使用される。パッシブデバイスは、盲人が携帯する白杖に取り付けられたアクティブデバイスによって読み取ることができる。情報は、例えばセキュリティ情報を「あなたは、あなたの左側のゲート5に近づいています」として含んでもよい。本パネルは、建物またはモニュメントの外装パネルまたは内装パネルとして使用される。パッシブデバイスは、遠隔地の史跡、山小屋、および孤立した気象観測所などの、不規則な電力供給が無いかまたはある地域で電子的に利用できないセキュリティおよび地域観光情報を送信する。別の用途は、公共および民間交通機関用の待合所またはターミナルの家具または壁装飾品に本パネルを組み込むことである。情報は、例えば、タイムテーブルへのリンクおよび現在の交通状況を含むことができる。他の用途は、列車のワゴン、バスのインテリアまたはフェリーのインテリアにおける家具または壁装飾品における一体化である。情報は、目的地、船内レストランおよび店舗の情報を含む。そして、家庭用台所の戸棚のドアにおける本パネルの使用。パッシブデバイスは、あなたの同居人が最近更新した買い物リストにリンクを伝える。あなたの家の正面玄関の外装パネルにおける本パネルの統合。未知の人に見えないパッシブデバイスは、配達会社によって読まれ、あなたが家にいない場合に小包を置くことができる最新の更新を得る。UHF RFIDタグをファサード要素内に配置することは、製造会社、型式、建築家、建設会社などのような高い構造のかなりの高さのパネルに関する情報を提供できる。交換パネルが必要とされる場合、同じタイプの情報が用いられることができ、データがパネルに保存され、かつ、パネルの寿命中にパネルに残る。
【0044】
したがって、本パネルの利点は、不可視、シームレスな一体化、封止、すなわち環境に対する保護として確認することができ、パネルの物理的特性は、本センサなしのパネルと比較して変化しないままである。パッシブデバイスが休止モードにあるとき、放射は放出されない。パッシブRFIDデバイスの動作中、放射はゼロに近い。
【0045】
本発明のさらなる利点は、好ましい実施形態の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
【0047】
表1は、本実験で使用されたステッカー上の4つの市販のNFCタグを示す。
【0048】
実施例1
第1の実験では、タグ(表1参照)は装飾紙の真下に、すなわちコア層の上であって装飾紙に隣接して配置された。パネルの製造中の条件は、圧力(>7MPa)、温度(~160℃)および時間(10~20分、好ましくは20分)であった。これらの条件は、以下に説明する他のすべての実験について維持された。結果を表2に示す。本タグは、アンテナおよび外部装置を介して誘導充電された後、電磁波で通信する。ここで使用されるタグは、支持層上に設けられたタグであり、支持層は樹脂による含浸を可能にする。
【0049】
表2:実施例1による製造後のパネルの結果
【表2】
【0050】
本発明者らは、NFCタグの機能がプレス後でプレス前と同じであることを見出した。パネルの表面は、タグの大きさに従って局所構造を示した。2つのタグは、非常にわずかなレリーフ構造(ultra-lightおよびTopaz)を示す。
【0051】
実施例2
単一のクラフト紙がNFCタグと装飾との間に配置される以外は、実施例1で用いられたのと同じ出発材料が適用された。さらに、クラフトシートからタグの大きさの領域が切り取られ、タグは穴のあいたクラフトシートの空きスペースに配置された。結果を表3に示す。
【0052】
表3:実施例2による製造後のパネルの結果
【表3】
【0053】
同一のプレス設定(材料、圧力、温度および時間)がすべてのNFCタグに使用された。条件は実施例1で記載されたものと同様である。
【0054】
表3は、NFCタグの機能がプレス後でプレス前と同じであったことを示す。表面の外観は、Mifare Ultralightタグにより影響されなかった。しかし、2つの他のタグは表面構造をまだ示しているが、実施例1と比較して明らかではない。
【0055】
実施例3
センサの位置を除いて、実施例2で使用したのと同じ出発材料が適用された。センサは、パネルをプレスする前に、異なる深さで2枚のクラフトシートの間に配置された。これは、2枚のクラフトシートは装飾層の側に存在し、残りの数のクラフトシートはセンサによってこれらの2枚のクラフトシートから分離されていることを意味する。すべてのNFCタグに同一のプレス設定(材料、圧力、温度および時間)を使用した。条件は実施例1に記載したものと同様である。
【0056】
表4:実施例3による製造後のパネルの結果
【表4】
【0057】
表4は、NFCタグの機能がプレス後でプレス前と同じであったことを示す。加えて、表面の外観は、すべての深さ、すなわち少なくとも0.5mmの値でokと識別される。
【0058】
ここに示された実験から、インテリジェントな装飾高圧コンパクトラミネートは、そこに埋め込まれたセンサを破壊することなく製造できることは明らかである。言い換えれば、実験は、70barおよび160℃でHPLパネルをプレスした後、NFCタグが動作可能であることを示す。加えて、特に、深さがパネルの外面から計算され、最小0.5mmの深さでタグをパネル内に一体化する場合、全てのタグはパネル表面では見えない。
【0059】
本発明者らは、実施例3に記載したのと同様の方法で、熱硬化性樹脂を用いて紙の間にパッシブRFIDタグを配置することによっていくつかの実験を行った。RFIDラベルのリストとそれらの特定の動作周波数は、表5にある。RFIDラベルはパッシブであり、ラベル上のアンテナは、特定のRF信号を受信して、ラベルからの電子データの送信に電力を供給する。
【0060】
【0061】
次の実施例では、熱プレスによって熱成形可能シートの表面に空洞を作製した。このようにして得られた空洞のサイズは、センサのサイズと同等である。センサを空洞内に配置した。これらの構成要素は、熱プレス、接着剤を用いたラミネーションによって互いに接着することができる。熱成形可能シートを含むセンサは、パネル内のコア層として、またはコア層の一部として作用することができる。パネルの表面に、装飾層を配置した。
【0062】
実施例4
実施例4によれば、装飾はセンサを含む熱成形可能シートにラミネートされた。この実施形態では、熱成形可能シートはコアとして作用した。センサおよび装飾は、ガラス温度より高くかつ熱成形可能シートの溶融温度よりも低い温度に熱プレスすることによって、コアに接着した。熱成形可能材料は接着剤として作用した。
【0063】
実施例5
実施例5では、センサを含む熱成形可能シート上に、または装飾の裏側に、またはその両方に接着剤を塗布した。その後、装飾を接着剤の上にラミネートした。
【0064】
実施例6
実施例6では、熱成形可能シートの下に熱硬化性樹脂を有する紙からなる材料の積層体を使用した。装飾を上に置き、積層体全体を加熱しながらプレスしてラミネートを形成した。
【0065】
実施例7
実施例7では、少なくとも1枚の熱硬化性紙を、センサを含む熱成形可能シートと装飾との間に配置した。追加の熱硬化性紙を熱成形可能シートの下に配置した。このようにして得られた積層体全体を加熱しながらプレスして熱硬化性樹脂を硬化させ、それによりパネルを形成した。
【0066】
実施例8
実施例8では、少なくとも1枚の熱硬化性紙を、センサを含む熱成形可能シートと装飾との間に配置した。このようにして得られた積層体を加熱しながらプレスして熱硬化性樹脂を硬化させ、それによりパネルを形成した。
【0067】
実施例9
実施例9では、上述の実施例1~8で使用した熱成形可能シートを木材繊維のシートおよび熱硬化性樹脂に置き換えた。空洞は、シートをその溶融温度より低く、好ましくはそのガラス温度よりも低く保ちながら、シートから材料を除去することによって形成された。材料は、ドリル、のこぎりまたは他の手段によって除去することができる。このようにして得られた空洞内にセンサを配置し、上述の実施例1~8と同じ手順に従ってパネルを製造した。本発明者らは、木材繊維を、ガラス繊維、合成繊維、炭素繊維などの他のタイプの繊維または充填材で置き換えることによって、許容可能な機械的性能が得られることを見出した。
【0068】
実施例10
コア層が積み重ねられたプリプレグのアセンブリであったことを除いて、実施例1で述べたものと同じ材料およびプロセス条件を使用した。
【0069】
実施例11
タグのサイズの領域がプリプレグのアセンブリの表面層から切り取られ、タグが穴のあいたプリプレグのアセンブリの空き空間に配置されたことを除いて、実施例10で述べたものと同じ材料およびプロセス条件を使用した。
【0070】
すべての実験、すなわち実施例4~11は、タグとリーダとの間の許容可能な通信を提供した。
【0071】
樹脂含浸紙を、ガラス繊維、木材繊維、合成繊維、炭素繊維の不織布または織布で置き換えることによって同様の実験を行った。
【0072】
本発明者らは、パネル特性に対する接着の影響を調べるための追加の実施例を実施した。本発明者らは、タグとコア材料との接着の影響を調べるために、以下の実験を検討した。
サンプルA:種類シールNTAG213のNFCタグ(接着剤付きプラスチックキャリア)。
サンプルB:紙Mifare Ultralight EV1上のNFCタグ、接着剤なし。
サンプルC:サンプルAおよびBと同じサイズのプラスチックシート、PET。
パネルのビルドアップ層:サンプルA~Cを、53枚の含浸クラフトシートの中央に配置した。装飾層は、下面および上面に対称的に追加された。パネルの製造中の条件は、圧力(>7MPa)、温度(≧160℃)および時間(10分)であった。
【0073】
結果:
サンプルA:パネルが大きく曲がると、へき開面がNFCタグの上側(非接着側)にある。
サンプルB:パネルが大きく曲がると、へき開面がNFCタグを通り、タグの一部が上側に残り、一部が下側に残る。
サンプルC:コアに接着されておらず脱落するプラスチックシートのへき開面。
【0074】
これらの追加の実験に基づいて、本発明者らは以下を結論する。
サンプルA:接着剤とコア材料の間の機械的接着。
サンプルB:紙キャリア中の樹脂浸透による機械的接着。
サンプルC:プラスチックシートの樹脂の浸透または変形がないため、接着(機械的または化学的)がない。