(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】注入カテーテル及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A61B17/22
(21)【出願番号】P 2018554332
(86)(22)【出願日】2017-04-15
(86)【国際出願番号】 US2017027828
(87)【国際公開番号】W WO2017181159
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-02-12
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591135163
【氏名又は名称】テンプル・ユニバーシティ-オブ・ザ・コモンウェルス・システム・オブ・ハイアー・エデュケイション
【氏名又は名称原語表記】TEMPLE UNIVERSITY-OF THE COMMONWEALTH SYSTEM OF HIGHER EDUCATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(73)【特許権者】
【識別番号】521133584
【氏名又は名称】トロンボレックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】リヤズ ベシア
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス エー.グリーン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-192226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0016832(US,A1)
【文献】特表2007-500060(JP,A)
【文献】特表平08-502679(JP,A)
【文献】特表平10-509350(JP,A)
【文献】特表平10-500028(JP,A)
【文献】特開2014-039791(JP,A)
【文献】特表2015-515336(JP,A)
【文献】特表2014-517726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0106135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端との間
の長さ
にわたって延びる壁及び
シャフト管腔を備える
、細長い
可撓性のシャフトと、
近位端と遠位端との間
の長さ
にわたって延びる壁及び
シール部材管腔を備える
、前記シャフト管腔内のシール部材であって、前記シール部材の前記遠位端が前記シャフトの前記遠位端に取り付けられる、前記シール部材と、
前記シャフト
管腔及び
前記シール部材管腔を貫通し、遠位端キャップに接続する摺動可能で伸縮自在な細長い中心軸部材と、
複数の溶出アームであって、各溶出アームが、前記シャフト管腔の前記遠位端に流体連結される
溶出アーム管腔を有し、前記中心軸部材のまわりで径方向に拡張し、前記遠位端キャップに接続する、前記複数の溶出アームと
を備える、
注入カテーテル。
【請求項2】
複数の歯を有するフレームをさらに備え、各歯が各溶出アームの前記
溶出アーム管腔内にある、
請求項1に記載の注入カテーテル。
【請求項3】
前記フレームが形状記憶材料から構築される、
請求項2に記載の注入カテーテル。
【請求項4】
前記形状記憶材料がニチノールである、
請求項3に記載の注入カテーテル。
【請求項5】
前記形状記憶材料が螺旋形状を形成する、
請求項3に記載の注入カテーテル。
【請求項6】
前記形状記憶材料が西洋ナシ形状を形成する、
請求項3に記載の注入カテーテル。
【請求項7】
各溶出アームが、各溶出アームの前記
溶出アーム管腔に流体連結される複数の注入ポートを備える、
請求項1に記載の注入カテーテル。
【請求項8】
前記注入ポートが、0.001~0.01インチの直径を有するレーザードリル穴である、
請求項7に記載の注入カテーテル。
【請求項9】
各溶出アームが多孔性表面を備える、
請求項1に記載の注入カテーテル。
【請求項10】
前記多孔性表面が、各溶出アーム管腔から加圧流体を溶出する、
請求項9に記載の注入カテーテル。
【請求項11】
前記多孔性表面が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、Tyvek、及びKynarポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選択される材料から構築される、
請求項9に記載の注入カテーテル。
【請求項12】
外管管腔、閉近位端、及び閉遠位端に流体連結される複数の注入ポートを備える表面を有する外管内に
、各溶出アームが設置される、
請求項7に記載の注入カテーテル。
【請求項13】
各外管の前記表面が各溶出アーム
よりも多孔性
が低い、
請求項12に記載の注入カテーテル。
【請求項14】
中心軸部材が、前記中心軸部材における移動を可能にし、同時に、近接した隙間を通る流体漏洩を防ぐ前記近接した隙間を有して、前記シール部材管腔内に滑り嵌めされるように、前記シール部材管腔の内径及び前記中心軸部材の外径が寸法決めされる、
請求項1に記載の注入カテーテル。
【請求項15】
前記中心軸部材が、前記シール部材管腔及び前記シャフト管腔を通って摺動可能であり、前記シャフト管腔が、前記近接した隙間を通しての流体漏洩なしに、前記シャフト管腔の外側の流体圧より高い流体圧を有する、
請求項14に記載の注入カテーテル。
【請求項16】
前記遠位端キャップと前記シャフトの前記遠位端との間の距離が、前記シール部材管腔を通して中心軸部材を摺動させることによって可逆的に短くなり、それによって、前記中心軸部材から離れて前記複数の溶出アームを展開させる、
請求項1に記載の注入カテーテル。
【請求項17】
前記中心軸部材がガイドワイヤ管腔を備える、
請求項1に記載の注入カテーテル。
【請求項18】
請求項1に記載の注入カテーテルと、
前記中心軸部材のガイドワイヤ管腔を通しての挿入のために構成されるガイドワイヤと
を備える、
注入システムキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月15日に出願された米国仮特許出願第62/322,881号明細書、及び2016年10月28日に出願された米国仮特許出願第62/414,328号明細書の優先権を主張し、それらの内容はそれぞれ参照することにより本明細書に完全に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
静脈血栓塞栓症(VTE)は、毎年1000人あたり1.4~2.2人を超えて発症していると推定され、深部静脈血栓症(DVT)及び/または肺動脈塞栓症(PE)として発現している。それは、毎年180,000人以上の死因であり、自動車事故、乳癌、及びエイズによる死者の合計よりも多く、米国の入院患者で最も予防可能な死因である。抗凝固療法による治療にもかかわらず、急性VTEの生存者のうちのかなりの割合が、血栓後症候群(PTS)、再発性VTE、または慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)などの障害を引き起こす後遺症に苦しむ可能性がある。
【0003】
PTSは、下肢近位VTEの患者の20~50%で発症する。PTSは、下肢慢性疼痛、腫脹、重苦しい感じ、疲労、そう痒、色素過剰、及び皮膚潰瘍によって特徴づけられる。PTSは、生涯にわたる身体的、社会的、及び心理的障害を引き起こし、生活の質を著しく損ない、骨関節炎、狭心症、及び慢性肺疾患のような他の慢性疾患よりも深刻である。PTS及び慢性静脈疾患は、社会にかなりの経済的負担をもたらし、米国では毎年、2億日を超える労働日数の損失につながっている。
【0004】
急性肺塞栓症の患者の最大16%が続けてCTEPHを発症し、それは非常に衰弱させる息切れ及び右心不全につながる。この状態は生活の質を著しく損ない、唯一の効果的かつ永続的な治療は、肺血栓塞栓切除術(pulmonary thromboembolectomy(PTE))と呼ばれている大がかりな開心術に限定される。この手術及びその術後管理は非常に複雑であり、世界中でも一握りの施設のみが患者にこれを提案する。現在の医薬療法の限界を考慮すると、過去20年にわたって、VTEからの急性及び慢性障害を減らすために、有望な血管内治療法が発展してきた。実際、米国のデータは、これらのカテーテルベースの血栓除去技術の迅速な採用がすでに進行中であることを示唆している。
【0005】
残念ながら、現在の技術の状態は、肺動脈または下大静脈などの侵された大血管において、小血管のために当初開発されたそれらの血管内装置を使用することに限定されている。これが、現在の臨床診療における最適状態に及ばない血栓除去につながっている。大血管専用装置を開発する発想になったのは、この臨床経験であった。
【0006】
血栓溶解用カテーテルの従来の方法は、通常、直径が最大1.5mmの単一管腔注入カテーテルを介して凝塊溶解薬物を注入することを含む。カテーテルは、カテーテルの10~15倍大きく、血管または凝塊内を血液が流れていない、血餅で完全に満たされた血管に配置される。血管内に流れがないので、凝塊溶解薬物は多くの場合、凝塊に全く到達せず、凝塊内部にカテーテルを進めて、低用量の血栓溶解薬物を凝塊に直接導くことが必要になる。しかしながら、この技術は、単数の経路に沿って凝塊を溶解することに限定され、大血管の大量の凝塊を溶解するには、能力は比較的低い。
【0007】
BTG Internationalのグループ企業である、EkoSonic Endovascular Systems (Ekos Corporation)は、血栓溶解剤を血栓に直接送達する標準的な単一管腔カテーテル技術と、血栓溶解工程を加速するために凝塊内にフィブリンストランドを放つ超音波エネルギとの組合せを使用している。市販の他の単一管腔注入カテーテルは、Fountainカテーテル(Merit Medical systems Inc. South Jordan UT)、Unifuseカテーテル(Angiodynamics, Latham, NY)、及びCraig McNamaraカテーテル(Medtronic, Minneapolis MN)を含む。市販のまたは開発中の他の競合製品には、AngioJet(Boston Scientific, Marlborough MA)、Penumbra(Penumbra, Alameda,CA)、AngioVac(濾過付静静脈バイパス)(Angiodynamics Latham NY)、Inari Flow Retriever(Inari Medical Irvine,CA)、及びMegaVac(Capture Vascular Inc.Mountain village,CO)などの、機械式血栓摘出に使用される装置が含まれる。
【0008】
現在、市販のまたは開発中の利用可能な装置には、ベースライン時に問題なく機能している血管に断片の塞栓形成をもたらすことがある血栓の断片化なしに、自己の常在性凝塊溶解物質(内因性のフィブリン溶解現象)を利用するために、血栓内に通路を機械的に開くことが可能であるものはない。たとえば、Ekos Catheterはもともと、より小さい末梢血管系で使用するために設計されたものであり、下大静脈または肺動脈のような大血管のためのものではない。この制限は、現在利用可能な単一管腔注入カテーテルでより深刻である。AngioJet Systemには15年の歴史があり、肺動脈塞栓症に関して、FDAによる黒枠警告を有する。AngioVac装置は、患者が静静脈バイパスポンプ上にいることを必要とし、それは手術室及び灌流技師を必要とする。肺動脈に到達することは技術的に非常に難しく、運転するには複数の専門分野からの人員を必要とし、結果として、この技術は、ほとんどの病院環境ですぐには利用できない。血栓の断片化は、肺の問題なく機能している区域に塞栓形成をもたらす可能性があり、それは患者の具合を非常に悪くする可能性がある。外科的塞栓切除は、これらの患者にはほぼ使用されない(すべての肺動脈塞栓症のケースの0.6%)。
【0009】
当該技術分野において必要なものは、大血管の大量の凝塊を溶解する時に、より効果的である改良された注入カテーテルである。本発明は、この要求に応える。
【発明の概要】
【0010】
1つの実施形態において、注入カテーテルは、近位端と遠位端との間で長さを延長する壁及び管腔を備える細長いフレキシブルシャフトと、近位端と遠位端との間で長さを延長する壁及び管腔を備えるシャフト管腔内のシール部材であって、シール部材の遠位端がシャフトの遠位端に取り付けられる、シール部材と、シャフト及びシール部材管腔を貫通し、遠位端キャップに接続する摺動可能で伸縮自在な細長い中心軸部材と、複数の溶出アームであって、各溶出アームが、シャフト管腔の遠位端に流体連結される管腔を有し、中心軸部材のまわりで径方向に拡張し、遠位端キャップに接続する、複数の溶出アームとを備える。1つの実施形態において、注入カテーテルは、複数の歯を有するフレームをさらに備え、各歯は各溶出アームの管腔内にある。1つの実施形態において、フレームは形状記憶材料から構築される。1つの実施形態において、形状記憶材料はニチノールである。1つの実施形態において、形状記憶材料は螺旋形状を形成する。1つの実施形態において、形状記憶材料は西洋ナシ形状を形成する。1つの実施形態において、各溶出アームは、各溶出アームの管腔に流体連結される複数の注入ポートを備える。1つの実施形態において、注入ポートは、0.001~0.01インチの直径を有するレーザードリル穴である。1つの実施形態において、各溶出アームは多孔性表面を備える。1つの実施形態において、多孔性表面は、各溶出アーム管腔から加圧流体を溶出する。1つの実施形態において、多孔性表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、Tyvek、及びKynarポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選択される材料から構築される。1つの実施形態において、各溶出アームは、管腔、閉近位端、及び閉遠位端に流体連結される複数の注入ポートを備える表面を有する外管内に設置される。1つの実施形態において、各外管の表面は各溶出アームほど多孔性ではない。1つの実施形態において、中心軸部材が、中心軸部材における移動を可能にし、同時に、近接した隙間を通る流体漏洩を防ぐ近接した隙間を有して、シール部材管腔内に滑り嵌めされるように、シール部材管腔の内径及び中心軸部材の外径が寸法決めされる。1つの実施形態において、中心軸部材は、シール部材管腔及びシャフト管腔を通って摺動可能であり、シャフト管腔は、近接した隙間を通しての流体漏洩なしに、シャフト管腔の外側の流体圧より高い流体圧を有する。1つの実施形態において、遠位端キャップとシャフトの遠位端との間の距離は、シール部材管腔を通して中心軸部材を摺動させることによって可逆的に短くなり、それによって、中心軸部材から離れて複数の溶出アームを展開させる。1つの実施形態において、中心軸部材はガイドワイヤ管腔を備える。
【0011】
血管内の血栓を治療するための方法は、血管内の血栓を少なくとも部分的に通してカテーテルを進めることであって、カテーテルが遠位端に設置されるシール管腔を有し、摺動可能な細長い中心軸部材がカテーテル及びシール管腔を貫くと共に遠位端キャップに接続され、複数の溶出アームがカテーテルの遠位端を遠位端キャップと接続する中心軸部材のまわりで径方向に拡張する、進めることと、血栓内で、中心軸部材から離れるようにカテーテルの複数の溶出アームを展開させることと、複数の溶出アームにおける複数の注入ポートを通して治療薬を注入することとを含む。1つの実施形態において、展開させるステップは、カテーテルの遠位端と遠位端キャップとの間の距離が短くなるように中心軸部材を後退させることを含む。1つの実施形態において、複数の溶出アームは螺旋形状に展開する。1つの実施形態において、複数の溶出アームは西洋ナシ形状に展開する。
【0012】
1つの実施形態において、注入カテーテルは、近位端と遠位端との間で延在する壁、管腔、及び長手方向軸を備える細長いフレキシブルシャフトを含み、壁は、長手方向軸の方に向く第1の複数の注入ポートと、長手方向軸から離れる方を向く第2の複数の注入ポートとを備え、細長いフレキシブルシャフトの一部は、弛緩状態において長手方向軸から離れる方に壁を移動させるように構成される形状記憶材料を備える。1つの実施形態において、細長いフレキシブルシャフトの一部に沿った壁は、形状記憶材料を備える。1つの実施形態において、形状記憶材料は形状記憶ポリマーである。1つの実施形態において、細長いフレキシブルシャフトの一部に沿って管腔内に設置される形状記憶構成要素は、形状記憶材料を備える。1つの実施形態において、形状記憶材料は医療グレード金属である。1つの実施形態において、形状記憶材料はニチノールである。1つの実施形態において、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトの一部は、弛緩状態において螺旋形状を形成する。1つの実施形態において、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトの一部は、弛緩状態において円錐状螺旋形状を形成する。1つの実施形態において、円錐状螺旋形状は、長手方向軸の方へ遠位に先細になる。1つの実施形態において、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトの一部は、長手方向軸に沿って第1の点から遠位に長手方向軸から離れて分岐し、弛緩状態において長手方向軸に沿って第2の点に遠位に長手方向軸の方へ収束する複数のブランチをさらに備える。1つの実施形態において、ブランチは、管腔とすべて流体連通する複数のブランチ管腔を備える。1つの実施形態において、ブランチは、第1及び第2の複数の注入ポートを備える。1つの実施形態において、第1の点及び第2の点のうちの一方が中心ワイヤに固定され、第1の点及び第2の点のうちの他方が同軸状に搭載されて、中心ワイヤ上で摺動可能である。1つの実施形態において、近位放射線不透過性マーカが、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトの一部の近位の壁の外面上に含まれ、遠位放射線不透過性マーカが、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトの一部の遠位の壁の外面上に含まれる。1つの実施形態において、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトの一部は、弛緩状態において9~11センチメートルの長さである。1つの実施形態において、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトの一部は、弛緩状態において3~30センチメートルの長さである。1つの実施形態において、壁は、弛緩状態において、長手方向軸から2~10ミリメートル離れるように移動する。1つの実施形態において、壁は、弛緩状態において、長手方向軸から略5ミリメートル離れるように移動する。1つの実施形態において、管腔は、ガイドワイヤ開口の遠位端で終了する。1つの実施形態において、注入システムキットは、本発明の注入カテーテルと、中心軸部材のガイドワイヤ管腔を通しての挿入のために構成されるガイドワイヤとを含む。
【0013】
前述の目的及び特徴、ならびに他の目的及び特徴は、以下の説明及び添付図面を参照して明らかになり、それらは本発明の理解を提供して、本明細書の一部を構成するために含まれ、同様の数字は同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、1つの実施形態による、螺旋形状記憶を有する注入カテーテルを示す。
図1Cは、流体注入の方向の例示的な図である。
【
図2】
図2Aは、1つの実施形態による、先細螺旋形状記憶を有する注入カテーテルを示す。
図2Bは、流体注入の方向の例示的な図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは、1つの実施形態による、展開する分岐アームを有する注入カテーテルを示す。
図3Cは、流体注入の方向の例示的な図である。
【
図4A】1つの実施形態による、ガイドワイヤ上に搭載された注入カテーテルを示す。
【
図4B】1つの実施形態による、ガイドワイヤ上に搭載された注入カテーテルを示す。
【
図4C】1つの実施形態による、ガイドワイヤ上に搭載された注入カテーテルを示す。
【
図5】1つの実施形態による、分岐する歯を有する注入カテーテルの側面図である。
【
図6】1つの実施形態による、螺旋部材及び壁部材を有する注入カテーテルの側面図である。
【
図7】1つの実施形態による、中心軸部材上にシール部材を露出する破断図を有する注入カテーテルの側面図である。
【
図8】1つの実施形態による、注入カテーテルと、溶出アームと、シール部材と、中心軸部材との間の接合部における注入カテーテルの断面図である。
【
図9】1つの実施形態による、溶出アームを通して治療的に溶出する注入カテーテルの側面図である。
【
図10】
図10A及び
図10Bは、それぞれ、1つの実施形態による、二重管設計を有する注入カテーテル溶出アームの側方断面図及び斜視断面図である。
【
図11】
図11Aは、1つの実施形態によるニチノールフレームの側面図である。
図11Bは、1つの実施形態による、フレームに嵌合された溶出アームの側面図である。
【
図12】1つの実施形態による、螺旋形状に設定されたフレームに嵌合された溶出アームを有する注入カテーテルの側面図である。
【
図13】1つの実施形態による、西洋ナシ形状に設定されたフレームに嵌合された溶出アームを有する注入カテーテルの側面図である。
【
図14】1つの実施形態による注入カテーテルハンドルユニットの斜視図である。
【
図15】IVCフィルタへの血栓の付着による、IVCの妨げられた血流を示すブタの下大静脈(IVC)モデルの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の図及び説明は、本発明のより明確な理解のために適した要素を例示するために簡略化され、同時に、明瞭さのために、肺動脈塞栓症及び深部静脈血栓症を治療するシステム及び方法で見られる多くの他の要素を省いていることが理解されるべきである。当業者は、他の要素及び/またはステップが本発明を実装する際に望ましい及び/または必要であることを認識することができる。しかしながら、そのような要素及びステップは当該技術分野においてよく知られているので、そして、それらは本発明のより良好な理解を促進しないので、そのような要素及びステップの議論は本明細書に提供されない。本明細書の開示は、当業者に知られているそのような要素及び方法に対するすべてのそのような変形及び変更を対象とする。
【0016】
別に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的及び科学的な用語は、本発明の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で説明される方法及び材料に類似したまたは同等の任意の方法及び材料を、本発明の実践または試験で使用することができるが、例示的な方法及び材料は説明される。
【0017】
本明細書で使用される場合、以下の用語のそれぞれは、このセクションにおいてそれに関連付けられる意味を有する。
【0018】
冠詞「a」及び「an」は、1つまたは1つより多い(すなわち、少なくとも1つの)冠詞の文法上の対象について言及するために本明細書で使用される。一例として、「an element」は、1つのelementまたは1つより多いelementを意味する。
【0019】
量、持続時間などの測定可能な値に言及するときに本明細書で使用される「About(約)」は、そのような変動が適切であるとき、特定の値から±20%、±10%、±5%、±1%、及び±0.1%の変動を含むことが意図される。
【0020】
範囲:本開示の全体において、本発明のさまざまな態様を、範囲のフォーマットで提示することができる。範囲のフォーマットの説明は単に便宜及び簡潔さのためであり、本発明の範囲における柔軟性がない限定と解釈すべきではないことは理解されるべきである。必要に応じて、範囲の説明は、特に開示したすべての可能な部分範囲、ならびにその範囲内の個別数値を有するように考慮しなければならない。たとえば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの特に開示した部分範囲、ならびに、その範囲内の個別の数、たとえば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を有するように考慮しなければならない。これは範囲の幅に関係なく適用される。
【0021】
ここで図面を詳細に参照すると、いくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の部品または要素を示し、さまざまな実施形態において、注入カテーテル、ならびに肺動脈塞栓症及び深部静脈血栓症を治療するための方法が本明細書に提示される。
【0022】
ここで
図1A及び
図1Bの実施形態を参照すると、注入カテーテル100は、細長いフレキシブルシャフト120を貫通する内腔を形成する壁112を含む細長いフレキシブルシャフト120を有する。カテーテル100が直線化された位置にあるとき(たとえば、
図1B)、長手方向軸122は、管腔の中心を通って、シャフト120の近位端102と遠位端104との間で延在する。シャフト120が弛緩状態にあるとき(たとえば、
図1A)、カテーテル100は、形状記憶材料によって形成される所定形状に戻る。1つの実施形態において、カテーテル100の一部110は、所望の形状を形成するために、ポリマー壁112材料内に形状記憶ポリマーを含む。別の実施形態において、ニチノールなどの形状記憶金属は、所望の形状を形成するために、ポリマー壁の管腔内に挿入される。別の実施形態において、形状記憶金属は、カテーテル壁の張り出しに形作られ、または、カテーテル壁の外部に取り付けられる。
【0023】
弛緩状態において、シャフト120は、長手方向軸122のまわりに径方向に配設される内部コア118を形成する。
図1Cに示されるように、細長いフレキシブルシャフト120が弛緩状態にあるとき、壁112は、長手方向軸122及び内部コア118の方を向く第1の注入ポートの組116と、長手方向軸122から離れる方を向く第2の注入ポートの組114とを有する。ある実施形態において、注入ポートは、常に少なくとも部分的に開いている開口である。ある実施形態において、注入ポートは、スリットなどの圧力作動ポートである。スリットを利用する特定の実施形態において、スリットは、閾値流体圧に管腔内で到達したときのみ開くように構成される。当該技術分野において知られている他の注入ポートも利用できる。細長いフレキシブルシャフト120が、直線化されたまたは応力のかかった状態から弛緩状態に移行するとき、形状記憶材料は、形状記憶材料を有するカテーテル100の一部の中のカテーテル100の壁112を、長手方向軸122から離れるように移動させる。有利なことには、カテーテルは、カテーテルの機械的移動が、凝塊の中央に大きなチャンネルを作成するために凝塊に圧力を加えることを可能にし、したがって、凝塊を通る血流を高める。凝塊の中央における血流の増加は、凝塊への自己の凝塊溶解化学薬品の能力を高め、凝塊溶解薬物の治療効果を著しく高める。さらに、凝塊の三次元塊全体にわたる内向き及び外向き注入ポートが、凝塊溶解薬物を送達するための優れたパターンを提供する。身体の天然薬品を使用して凝塊を楽にするための、凝塊を通る血流経路の機械的な作成と組み合わされる、凝塊全体にわたるこの改良された注入ポート分布は、凝塊の改良された治療のための相乗効果を提供する。
【0024】
さまざまな形状を、形状記憶材料によって形成することができる。1つの実施形態において、
図1A及び
図1Bに示されるように、形状記憶材料を備える細長いフレキシブルシャフトは、弛緩状態において螺旋形状を形成する。別の実施形態において、
図2A及び
図2bに示されるように、注入カテーテル200の形状記憶材料は、弛緩状態において円錐状螺旋形状を形成する。注入カテーテル200は、近位端204と遠位端202とを有し、内向き及び外向き注入ポートなどの、第1の実施形態で説明されたものと類似の特徴が存在する。ある実施形態において、円錐状螺旋形状は、長手方向軸222の方へ遠位に先細になり、カテーテル壁の円錐形状は、円錐形状内部コア218を形成する。有利なことには、遠位に先細になる円錐形状コアは、血管中を遠位にさらに移動することからの凝塊断片の捕捉及び溶解を容易にし、断片が血液を通して下流に運ばれることを防ぎ、潜在的な塞栓の可能性を最小にする。この設計の別の利点は、カテーテルの遠位端のよりきつい曲がりは薄い厚さを有し、それは凝塊を通してのカテーテルのより容易な挿入を容易にすることができることである。これらの実施形態はまた、三次元溶解のために、長手方向軸の方へ及びそれから離れる方への両方に面する注入ポートを特徴とすることができる。
【0025】
ここで
図3A及び
図3Bの実施形態を参照すると、注入カテーテル300は、カテーテル300の一部310に沿って走る複数の分岐アームを有する。長手方向軸322は、カテーテル300が直線化された位置にあるとき、中心アーム321の管腔の中心を通って、カテーテル300の近位端302と遠位端304との間で延在する。カテーテル300が直線化された状態にあるとき(たとえば、
図3B)、アームは、カテーテルは薄く略円形の輪郭を有するように折りたたまれ、シース及び/または血管への容易な挿入を提供する。カテーテル300が弛緩状態にあるとき(たとえば、
図3A)、カテーテル300は、形状記憶材料の使用により、長手方向軸322から離れて展開するブランチの所定形状に戻る。前述の実施形態と同様に、本実施形態のカテーテル300は、所望の形状を形成するために、ポリマー壁312材料内に形状記憶ポリマーを含むことができ、ニチノールなどの形状記憶金属は、所望の形状を形成するために、ポリマー壁の管腔内に挿入される、あるいは、形状記憶金属はカテーテル壁の張り出しに形作られる、または、カテーテル壁の外部に取り付けられる。
【0026】
弛緩状態において、分岐アーム320は、長手方向軸322のまわりに径方向に配設される内部コア318を形成する。
図3Cに示されるように、分岐アーム320が弛緩状態にあるとき、注入ポート316は、長手方向軸322及び内部コア318の方、及び、長手方向軸322から離れる方の両方に面している。ある実施形態において、注入ポートは、常に少なくとも部分的に開いている開口である。または、それらは代わりに、スリットなどの圧力作動ポートである。分岐アーム320の管腔は、カテーテル300の近位端及び遠位端まで、アームを越えて延在するカテーテルの管腔と流体連通することができる。
【0027】
ここで
図4A~
図4Cの実施形態を参照すると、注入カテーテル402を含む注入カテーテルシステム400の実施形態が、ガイドワイヤ404上に搭載されている。カテーテル及びガイドワイヤは、キットにすることができ、カテーテルは、任意選択的にガイドワイヤ上に予め搭載することができる。カテーテル402は、たとえば、上記の実施形態に記載されているような、分岐アームで形状記憶構成要素を利用することができる。
図4A~
図4Cに示される実施形態は、アームを展開及び収縮させるためのプッシュ/プル機構で機能してもよい。(特に
図4Bに示される)1つの実施形態において、カテーテル402の遠位端406は、ガイドワイヤ404に取り付けられて、固定され、ガイドワイヤ404の近位端404’が標的部位でカテーテル402を保持することに対して近位に引き戻されるとき、カテーテル402の分岐アームが外方に展開する。ある実施形態において、ガイドワイヤは、
図4Cに示されるように、カテーテル402の遠位端を過ぎて展開しない。
【0028】
図5に示される注入カテーテル500の実施形態において、複数の注入歯502は、カテーテル500の端部から延在して、まっすぐ進み続ける、または、カテーテルの長手方向軸から離れて分かれることができる。各歯は、1つまたは複数の注入ポートを含むことができる。歯は、均一または変化する直径、及び、たとえば、凝塊の中心を貫通するために中心がより厚い尖頭歯504を有するなどの輪郭形状とすることができる。カテーテル500の近位部分506は、多数の注入ポートを有するカテーテル壁を含むことができる。本明細書で説明されるさまざまな実施形態の注入ポートは、均一なまたは変化するサイズとすることができる。注入ポートはまた、たとえば、中心近くのより高いポート密度(すなわち、より多いポートまたはより大きいポート)などの、さまざまなパターン密度を有することができ、それに対して、溶解剤は凝塊の中心または別の特定の領域の方に集められる。
【0029】
図6に示される注入カテーテル600の実施形態は、中央導管604を囲む複数の螺旋アーム602を有する。カテーテル600の壁付部606は、複数の注入ポートを有する壁を有する。螺旋アーム602及び中央導管604はまた、複数の注入ポートを有することができる。ある実施形態において、螺旋アーム602、中央導管604、及び壁付部606はすべて、互いに、及び溶解剤と流体連通する管腔を有する。1つの実施形態において、壁606は拡張可能であり、それは拡張可能な螺旋アーム602を完全に封入した。そのため、カテーテルは、容易にかつ滑らかに凝塊に挿入することができ、また、必要に応じて凝塊の塊を通して展開する能力を有する。
【0030】
図7に示される注入カテーテル700の実施形態は、近位端702における細長いフレキシブルシャフト720と、遠位端キャップ705とシャフト720との間に設置される遠位端704における溶出部706とを有する。シャフト720は、全体に走る管腔を有する。中心軸部材712は、近位端702から注入カテーテル700のシャフト720を貫通し、溶出部706を通って延在するためにシャフト720を出て、遠位端704で遠位端キャップ705に取り付けられる。溶出部706は、10~40cmの長さとすることができ、中心軸部材712のまわりで径方向に配設される複数の可撓性溶出アーム708を有し、各溶出アーム708は、シャフト720の管腔に流体連結される管腔を有する。弛緩状態において、複数の溶出アーム708は中心軸部材712に対して平らになり、それにより、溶出部706は、遠位端キャップ705及びシャフト720と略同じ外径を有する。応力のかかったまたは展開された状態において、複数の溶出アーム708は中心軸部材712から離れて外へ曲がる。さまざまな実施形態において、展開された複数の溶出アーム708は、血管を傷つけることなく血管の内部形状に従う柔軟性を備える。注入カテーテル700は、中心軸部材712を摺動することによって、弛緩状態から応力のかかったまたは展開された状態まで可逆的に構成することができる。たとえば、中心軸部材712を引くことで、遠位端キャップ705をシャフト720の近くに引き、複数の溶出アーム708を外に曲げる。中心軸部材712を解放または押すことで、遠位端キャップ705をシャフト720から離れるように移動させ、複数の溶出アーム708をまっすぐにし、複数の溶出アーム708を中心軸部材712に対して平らにする。いくつかの実施形態において、中心軸部材712は、剛性または半剛性シャフトである。他の実施形態において、中心軸部材712は、両端で開口し、全体に走り、ガイドワイヤ、圧力センサ、温度センサなどの任意の好適な機器の挿入を可能にする管腔を備える。
【0031】
図7及び
図8に示されるように、中心軸部材712は、シール部材722を通過し、シャフト720の管腔を出る。シール部材722は、シャフト720の遠位区域内に設置される内側スリーブであり、それによって、中心軸部材712が摺動するスリーブ内に内部管腔を形成する。ある実施形態において、シール部材722の遠位端は、シャフト720の遠位端に取り付けられる。シール部材722の管腔の内径及び中心軸部材712の外径は、中心軸部材712が近接した隙間でシール部材管腔内に滑り嵌めされるように寸法決めされ、中心軸部材712がシール部材722の管腔内で摺動することを可能にし、シャフト720の管腔から流体が漏れることを実質的に防ぐ。別の方法で説明されるように、シール部材722の管腔内の中心軸部材712の締りばめは、シャフト720の管腔の高圧と注入カテーテル700の外部の低圧との間で注入カテーテル700が流体を送達しているときさえ、中心軸部材712の漏洩のない移動を可能にする。いくつかの実施形態において、小さい隙間空間が、シール部材722の管腔の内径と中心軸部材712の外径との間に存在する可能性がある。少量の流体が空間に入ることが認められてもよく、少量の流体は小さい隙間空間を効率的に塞ぎ、シャフト720の管腔から加圧流体を含むさらなる流体が漏れることを防ぐ。通常、薬剤送達流体は、近接した隙間または小さい隙間空間を通って容易に流れることができない粘性を備える。本明細書の他の場所で説明されるように、注入カテーテル700は、遠位端キャップ705をシャフト720のより近くに引くために、中心軸部材712を引くことによって展開される。いくつかの実施形態において、シール部材722は、中心軸部材712の移動中、注入カテーテル700の外部とシャフト720の内部との間に少量の液体を通すことなく、近接した隙間または隙間空間に少量の液体を満たすことができる長さを備える。中心軸部材712は、溶出アーム708を展開するために、弛緩した溶出アーム708の長さ以下の距離を引かれることは理解されるべきである。それによって、シール部材722は、中心軸部材712が引かれて解放される間に、注入カテーテル700へのまたは注入カテーテル700からの流体の漏洩を防ぐように寸法決めされる。また、シャフト720の管腔内で漏れる加圧流体に耐えるシール部材722の能力はシール部材722の長さによって制御することができる。たとえば、より長い長さを有するシール部材722は、漏れることなくシャフト720の管腔内のより高い流体圧力に耐えることができる。シール部材722の典型的な長さは、1~100mmとすることができる。いくつかの実施形態において、シール部材722の長さは、弛緩状態における溶出アーム708の長さの比率として説明することができる。たとえば、シール部材722は、溶出アーム708の長さの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%と等しい長さを有してもよい。いくつかの実施形態において、シール部材722の長さは、溶出アーム708の長さより長い。
【0032】
複数の溶出アーム708は、シャフト720から治療流体を送達する。いくつかの実施形態において、各溶出アーム708は、各溶出アーム708の管腔に流体連結される複数の注入ポート710を有する。たとえば、複数の注入ポート710は、0.001~0.01インチの直径を有するレーザードリル穴とすることができ、溶出アーム708ごとに108個ものまたはそれより多いポートを有する。他の実施形態において、各溶出アーム708は多孔性表面を有する、または繊維材料から紡ぎ出され、それにより、各溶出アーム708の管腔内の加圧流体は、各溶出アーム708に浸透する(たとえば、
図9)。溶出アーム708に浸透することによって送達される圧力駆動流体は、より制御され、より安定した流体放出プロファイルを特徴とする。いくつかの実施形態において、複数の溶出アーム708からの流体の出力流量は、典型的な臨床薬剤送達処置のための静脈内(IV)ポンプ設定の入力流量条件と適合され、流体を放出するために複数の溶出アーム708内で最適な背圧を作り出す。
【0033】
いくつかの実施形態において、複数の溶出アーム708は二重管設計を有する。ここで
図10Aを参照すると、例示的な二重管溶出アーム709が示される。二重管溶出アーム709は、外管709bの管腔内に設置される内管709aを備える。内管709aは、近位端702でシャフト720に流体連結されて、遠位端キャップ705に隣接する遠位端704で閉じられる管腔を備える。外管709bは、近位端702及び遠位端704の両方で閉じられる。内管709a及び外管709bはそれぞれ、0.001~0.01インチの直径を有するレーザードリル穴とすることができる複数の注入ポート710を備える。内管709a及び外管709bの複数の注入ポート710は、それらのそれぞれの管の管腔に流体連結され、それにより、シャフト720を通して送達される流体は、内管709aの管腔に流動可能であり、内管709aの複数の注入ポート710を通して外管709bの管腔に流動可能であり、そして、外管709bの複数の注入ポート710を通して二重管溶出アーム709を出る。1つの実施形態において、内管709aは、第1の空隙率を構成する外管709bは第2の空隙率を備え、第1の空隙率は第2の空隙率より大きい。それによって、内管709aは、外管709bのその注入ポート710を横切る流量よりも大きい、その注入ポート710を横切る流量を有する。空隙率の違いは、注入ポート710の数、各注入ポート710のサイズ、またはその組合せによって実現することができる。したがって、シャフト720を通して送達される流体は、より遅い、より均一な速度で、外管709bを出る前に、外管709bの管腔を満たすために内管709aをすばやく出る。
図10Bは、本明細書の他の場所で説明されるように、内管709aに挿入された歯707bによって支持される二重管溶出アーム709の断面を示す。
【0034】
複数の溶出アーム708及び二重管溶出アーム709は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、Tyvek、及びKynarポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むがこれらに限定されない任意の好適な材料から構築することができる。
【0035】
図11A及び
図11Bに示されるように、複数の溶出アーム708は、フレーム707で支持することができる。フレーム707は、複数の歯707bを接続する近位リング707aを有し、各歯707bは、複数の溶出アーム708の外部に取り付けることができる、あるいは、複数の溶出アーム708の管腔または二重管溶出アーム709の内管709a内に嵌合することができる。いくつかの実施形態において、フレーム707は、形状記憶ポリマーまたはニチノールなどの形状記憶金属から構築される。複数の歯707bの強度及び剛性は、複数の歯707bの幅及び厚さを制御することによって変化させることができる。複数の歯707bは、直線状(
図11A)または螺旋状(
図12)などの任意の好適な形状とすることができる。いくつかの実施形態において、フレーム707は、特定の血管または特定の処置に適した形状などの、所定形状を有することができる。所定形状は、注入カテーテル700が、中心軸部材712を摺動することによって、弛緩状態から応力のかかったまたは展開された状態に構成されるときに露出される。たとえば、
図13において、フレーム707は、肺動脈処置において優れた性能を発揮できる所定の西洋ナシ形状を有し、注入カテーテル700を展開した後に、フレーム707の所定形状は、溶出部706の近位端で、複数の溶出アーム708を外側に展開させ、溶出部706の遠位端で、複数の溶出アーム708を内側に細くする。
【0036】
有利なことには、注入カテーテル700のフレーム707は、(上記のように)凝塊を通る血流を高めるために、または、凝塊を機械的に壊すために、カテーテルの機械的移動が、凝塊の中央に大きなチャンネルを作成するために凝塊に圧力を加えることも可能にする。注入カテーテル700を、弛緩状態と応力のかかったまたは展開された状態との間で繰り返し切り換えることによって、複数の溶出アーム708または二重管溶出アーム709の移動は、凝塊を侵軟し、同時に接触時に凝塊を溶解する治療流体を送達する。複数の溶出アーム708または二重管溶出アーム709は、展開時に凝塊を捕捉及び捕獲することもできる。
【0037】
ここで
図14を参照すると、例示的なハンドル800が示される。ハンドル800は、ガイドワイヤ及び治療流体などの構成要素の挿入/除去のためのグリップならびにポートを操作者に提供するために、本発明のカテーテルの任意の近位端に接続する。いくつかの実施形態において、ハンドル800は、ハウジング802と、スライダ804と、第1のポート806と、第2のポート808と、第3のポート810とを備える。ハウジング802は、ハンドル800の構成要素を保持するケーシングであり、トラック803を含む。スライダ804は、トラック803に沿って摺動し、中心軸部材712(
図7)に連結され、それにより、スライダ804は、中心軸部材712を後退させるために、近位位置まで摺動させることができ、中心軸部材712を弛緩させるために、遠位位置まで摺動させることができる。こうして、スライダ804は、溶出部706の展開を制御することができ、注入カテーテル700を弛緩状態と応力のかかったまたは展開された状態との間で切り替えることができる。ある実施形態において、ハウジング802は係止部材をさらに備える。係止部材は、スイッチ、タブ、移動止めなどの、スライダ804の移動を抑制することが可能な任意の好適な機構とすることができる。第1のポート806は、中心軸部材712のガイドワイヤ管腔に流体連結可能な管腔に接続され、それにより、ガイドワイヤは、第1のポート806を介して、中心軸部材712から挿入または除去することができる。第2のポート808は、シャフト720の管腔に流体連結可能な管腔に接続され、それにより、治療流体は、第2のポート808を介して、シャフト720の管腔から挿入または除去されてもよい。第3のポート810は、第1のポート806の管腔と、第2のポート808の管腔と、注入カテーテル700の近位端との間の接続の点である。
図14には描かれていないが、第1のポート806の管腔と第2のポート808の管腔とは、ハウジング802内のYコネクタインタフェースで結合され、それにより、第1のポート806の管腔は、第2のポート808の管腔に入り、シャフト720内を走る中心軸部材712を模倣するように並列に走る。ある実施形態において、Yコネクタインタフェースに、第2のシール部材722が設けられ、それを通して、第1のポート806の管腔は、流体漏洩なく、第2のポート808の管腔に入ることができる。
【0038】
血管内の血栓を治療するための方法は、血管内の血栓を少なくとも部分的に通してカテーテルを進めるステップと、血栓内で、カテーテルの長手方向軸から離れるようにカテーテルの少なくとも一部を展開させるステップと、カテーテルが展開すると同時に、長手方向軸の方に向けられた第1の複数の開口と、長手方向軸から離れる方に向けられた第2の複数の開口とを通して治療薬を注入するステップとを含む。1つの実施形態において、展開させるステップは、カテーテルを応力のかかった状態から弛緩状態に移すことを含む。1つの実施形態において、展開させるステップは、カテーテル上に同軸状に搭載されるシースを戻ることを含む。1つの実施形態において、展開させるステップは、中心ワイヤ上に同軸状に搭載されて摺動可能である展開部分の第2の端部に対して、カテーテルの使用された部分の第1の端部に接続された中心ワイヤを摺動することを含む。1つの実施形態において、カテーテルは螺旋形状に展開する。1つの実施形態において、カテーテルは円錐状螺旋形状に展開する。1つの実施形態において、カテーテルは西洋ナシ形状に展開する。1つの実施形態において、カテーテルは、長手方向軸に沿って第1の点から長手方向軸から離れて分岐し、長手方向軸に沿って第2の点に長手方向軸の方へ収束する複数のブランチを備え、第2の点は第1の点の遠位である。1つの実施形態において、複数のブランチは、カテーテルが展開したとき、長手方向軸全周のまわりで径方向に設置される。1つの実施形態において、複数のブランチは、カテーテルが展開したとき、長手方向軸の270度未満のまわりで径方向に設置される。1つの実施形態において、複数のブランチは、カテーテルが展開したとき、長手方向軸の180度以下のまわりで径方向に設置される。カテーテルは、血栓症または塞栓症に罹患した、下大静脈、上大静脈、腸骨静脈、大動脈、肺動脈、及び肺静脈を含むがこれらに限定されない任意の血管に挿入することができる。
【0039】
実験的な実施例
本発明は、以下の実験例を参照することにより、さらに詳細に説明される。これらの例は、説明のためにのみ提供され、特に明記しない限り、限定を意図しない。そのため、本発明は、いかなる場合も以下の例に限定されるものとして解釈すべきではないが、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明白になるすべての変形例を含むものと解釈しなければならない。
【0040】
さらなる説明なしで、当業者は、上記の説明及び以下の例示的な例を使用して、本発明を作製して利用し、特許請求の範囲の方法を実施することができると信じられる。したがって、以下の実施例は、本発明の例示的な実施形態を特に指し示し、いかなる意味においても、本開示の残りの部分を限定するものとして解釈すべきではない。
【0041】
実施例1:急性大血管静脈血栓塞栓症の治療
【0042】
現在の研究の目標は、急性大血管静脈血栓塞栓症の治療における、新規介入カテーテル(NIC)の安全性及び有効性の前臨床エビデンスを開発することである。NICは、血栓溶解効果を改善するために、機械的及び薬理学的特徴を利用する独自の設計を有する。それは、患者自身の凝塊溶解機構(内因性のフィブリン溶解現象)を、少量の外因性血栓溶解薬とともに利用することによって、これを実現する。本設計は、血餅にゆるやかな持続する圧力を加え、血流を著しく高める血餅を通る大型流路を作成する複数の展開可能な平行注入チャンネルを含む。これは、肺動脈などの閉塞した大静脈を通る流れの回復を促し、肺動脈塞栓症を有する大変な患者を安定させる際に重要である可能性がある。さらに、展開時、ニチノール補強注入肢は、大血管の異なる断面位置での血栓溶解をもたらす。血栓溶解を促進するこの装置の別の特徴は、注入バスケットの展開及び折りたたみの容易さであり、それは血栓の非常に大きな表面領域を、内因性ならびに外因性両方の血栓溶解薬の血栓溶解作用にさらす。
【0043】
動物モデル:Yorkshireブタに基づく新しいブタモデルが、大血管静脈血栓塞栓症のために開発されている。8Fシースが大腿静脈に配置され、下大静脈造影法が実行される。IVCフィルタ(Denali Bard フィルタ)は、腎臓下のIVCで展開され、適切な配置は静脈撮影法を繰り返すことにより記録される。次いで、シースは14Fまで大型化され、分岐の真上のIVCに進められる。シースダイレータ及びワイヤは除去される。次いで、凝塊を含む12Fシースは14Fシースに進められ、凝塊は、圧力下で12Fシースのサイドアームに20mLの生理食塩水を押し込むことによってIVCに注入される。凝塊が大静脈に注入されると、それはフィルタで捕捉されて、IVCを完全に閉塞させ、静脈撮影法を繰り返すことにより記録される。持続的な流れがある場合、別の凝塊が異なるシースから注入される。この工程は、IVCが完全に塞がれるまで、必要に応じて繰り返される。
【0044】
生体外凝塊処理:血液試料(50cc)は、試験動物(ブタ)から得られ、12Fシース(長さ45cm)内に配置され、12時間、室温で凝固させることができる。次いで、シースは、7~10日間、冷蔵庫に4℃で保管される。シースは抗凝固剤を含まないので、完全に収縮した凝塊が形成される。この血餅は、シースのサイドアームに20ccの注射器を接続して、20ccの通常生理食塩溶液をシースに押し込むことによって、動物に注入される。抽出された血餅は、動物の下大静脈に押し込まれる。
【0045】
再構成された組織プラズマアクチベータの処理:再構成された組織プラズマアクチベータ(tPA)溶液は、50mgのtPAを100ccの滅菌水と再構成することによって作られる。40ccのこの再構成された薬剤は、2分の1通常生理食塩溶液の1000mLのバッグに注入される(0.02mgのtPA/mLの最終濃度)。再構成されたtPAは、新規注入カテーテルを介して200mL/時間で注入される。これは、5時間で20mgを注入する。
【0046】
薬力学的血栓溶解:グライドワイヤは、塞がれたIVCを横切るために使用されて、副腎IVCに設置される。次いで、このワイヤは、4F支持カテーテルを使用して、0.18ワイヤに交換される。このワイヤは血栓内に設置されて、NICを進めるために使用される。次いで、NIC注入バスケットは、NIC内軸を後退させることによって展開する。この後、大静脈造影法が、凝塊を通る血流へのこの機械的作用の影響を評価するために繰り返される。10mLの通常生理食塩溶液で希釈された2mgのtPAの動力噴霧、続いて、装置のサイドアームを介した200mL/時間でのtPAの注入が実行される。静脈撮影法は、凝塊溶解及び塞がれたIVCにわたる流れの回復を評価するために、毎時実行される。この間、ヘパリンは、12U/kg(500U/時間の速度)で、シースのサイドアームを介して注入される。凝塊溶解は、血管造影シネラン及び国の静脈レジストリ研究に使用されるプロトコルを使用して評価される。NICの安全性は、7日間、ブリーディング速度についてブタを観察することによって評価される。この7日間、ブタは、1日2回1mg/kgのlovenox注射で治療される。
【0047】
実施例2:急性肺塞栓症及び大血管深部静脈血栓症の治療のためのカテーテル
【0048】
下大静脈(IVC)のブタモデルは、ブタIVCにIVCフィルタを配置することによって作成され、次いで、大量の血栓をIVCに注入し、それはIVCフィルタで捕捉されて、血流の完全な停止したIVC閉塞を発生させた(
図15)。
図16Aは、新規介入カテーテル(NIC)の血栓への挿入を示し、
図16Bは、NICを展開する機械的効果が、血栓にチャンネルを作成し、内因性繊維素溶解剤を血栓に持って行くことによって、血餅融解を著しく高めるために、血栓を通る血流を可能にすることを示す。
図17A~
図17Cは、NICの挿入1時間後(
図17A)、2時間後(
図17B)、及び3時間後(
図17C)の血流の着実な改善を示す。
図18Aは、4時間で著しく改善した流れを示し、それは通常、従来の血栓溶解用カテーテルでは24時間後でも見られないものである。
図18Bにおいて、NICは連続的な血流で除去される。
【0049】
本明細書に引用されるあらゆる特許、特許出願、及び出版物の開示は、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。本発明は特定の実施形態に関して開示されているが、本発明の他の実施形態及び変形例は、本発明の正当な精神及び範囲を逸脱しない範囲で、他の当業者によって考案されてもよいことは明らかである。
なお、本発明の実施形態として以下のものが含まれる。
〔実施形態1〕
近位端と遠位端との間の長さにわたって延びる壁及びシャフト管腔を備える細長い可撓性のシャフトと、
近位端と遠位端との間の長さにわたって延びる壁及びシール部材管腔を備える前記シャフト管腔内のシール部材であって、前記シール部材の前記遠位端が前記シャフトの前記遠位端に取り付けられる、前記シール部材と、
前記シャフト管腔及び前記シール部材管腔を貫通し、遠位端キャップに接続する摺動可能で伸縮自在な細長い中心軸部材と、
複数の溶出アームであって、各溶出アームが、前記シャフト管腔の前記遠位端に流体連結される溶出アーム管腔を有し、前記中心軸部材のまわりで径方向に拡張し、前記遠位端キャップに接続する、前記複数の溶出アームと
を備える、
注入カテーテル。〔実施形態2〕
複数の歯を有するフレームをさらに備え、各歯が各溶出アームの前記溶出アーム管腔内にある、
実施形態1に記載の注入カテーテル。
〔実施形態3〕
前記フレームが形状記憶材料から構築される、
実施形態2に記載の注入カテーテル。
〔実施形態4〕
前記形状記憶材料がニチノールである、
実施形態3に記載の注入カテーテル。
〔実施形態5〕
前記形状記憶材料が螺旋形状を形成する、
実施形態3に記載の注入カテーテル。
〔実施形態6〕
前記形状記憶材料が西洋ナシ形状を形成する、
実施形態3に記載の注入カテーテル。
〔実施形態7〕
各溶出アームが、各溶出アームの前記溶出アーム管腔に流体連結される複数の注入ポートを備える、
実施形態1に記載の注入カテーテル。
〔実施形態8〕
前記注入ポートが、0.001~0.01インチの直径を有するレーザードリル穴である、
実施形態7に記載の注入カテーテル。
〔実施形態9〕
各溶出アームが多孔性表面を備える、
実施形態1に記載の注入カテーテル。
〔実施形態10〕
前記多孔性表面が、各溶出アーム管腔から加圧流体を溶出する、
実施形態9に記載の注入カテーテル。
〔実施形態11〕
前記多孔性表面が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、Tyvek、及びKynarポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選択される材料から構築される、
実施形態9に記載の注入カテーテル。
〔実施形態12〕
外管管腔、閉近位端、及び閉遠位端に流体連結される複数の注入ポートを備える表面を有する外管内に、各溶出アームが設置される、
実施形態7に記載の注入カテーテル。
〔実施形態13〕
各外管の前記表面が各溶出アームよりも多孔性が低い、
実施形態12に記載の注入カテーテル。
〔実施形態14〕
中心軸部材が、前記中心軸部材における移動を可能にし、同時に、近接した隙間を通る流体漏洩を防ぐ前記近接した隙間を有して、前記シール部材管腔内に滑り嵌めされるように、前記シール部材管腔の内径及び前記中心軸部材の外径が寸法決めされる、
実施形態1に記載の注入カテーテル。
〔実施形態15〕
前記中心軸部材が、前記シール部材管腔及び前記シャフト管腔を通って摺動可能であり、前記シャフト管腔が、前記近接した隙間を通しての流体漏洩なしに、前記シャフト管腔の外側の流体圧より高い流体圧を有する、
実施形態14に記載の注入カテーテル。
〔実施形態16〕
前記遠位端キャップと前記シャフトの前記遠位端との間の距離が、前記シール部材管腔を通して中心軸部材を摺動させることによって可逆的に短くなり、それによって、前記中心軸部材から離れて前記複数の溶出アームを展開させる、
実施形態1に記載の注入カテーテル。
〔実施形態17〕
前記中心軸部材がガイドワイヤ管腔を備える、
実施形態1に記載の注入カテーテル。
〔実施形態18〕
血管内の血栓を少なくとも部分的に通してカテーテルを進めることであって、前記カテーテルが遠位端に設置されるシール管腔を有し、摺動可能な細長い中心軸部材が前記カテーテル及び前記シール管腔を貫くと共に遠位端キャップに接続され、複数の溶出アームが前記カテーテルの前記遠位端を前記遠位端キャップと接続する前記中心軸部材のまわりで径方向に拡張する、前記進めることと、
前記血栓内で、前記中心軸部材から離れるように前記カテーテルの前記複数の溶出アームを展開させることと、
前記複数の溶出アームにおける複数の注入ポートを通して治療薬を注入することと
を含む、
血管内の血栓を治療する方法。
〔実施形態19〕
前記展開させるステップが、前記カテーテルの前記遠位端と前記遠位端キャップとの間の距離が短くなるように前記中心軸部材を後退させることを含む、
実施形態18に記載の方法。
〔実施形態20〕
前記複数の溶出アームが螺旋形状に展開する、
実施形態18に記載の方法。
〔実施形態21〕
前記複数の溶出アームが西洋ナシ形状に展開する、
実施形態18に記載の方法。
〔実施形態22〕
近位端と遠位端との間で延在する壁、管腔、及び長手方向軸を備える細長いフレキシブルシャフトを備え、
前記壁が、前記長手方向軸の方に向く第1の複数の注入ポートと、前記長手方向軸から離れる方を向く第2の複数の注入ポートとを備え、
前記細長いフレキシブルシャフトの一部が、弛緩状態において前記長手方向軸から離れる方に壁を移動させるように構成される形状記憶材料を備える、
注入カテーテル。
〔実施形態23〕
前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部に沿った前記壁が、形状記憶材料を備える、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態24〕
前記形状記憶材料が形状記憶ポリマーである、
実施形態23に記載の注入カテーテル。
〔実施形態25〕
前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部に沿って前記管腔内に設置される形状記憶構成要素が、形状記憶材料を備える、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態26〕
前記形状記憶材料が医療グレード金属である、
実施形態25に記載の注入カテーテル。
〔実施形態27〕
前記形状記憶材料がニチノールである、
実施形態25に記載の注入カテーテル。
〔実施形態28〕
前記形状記憶材料を備える前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部が、前記弛緩状態において螺旋形状を形成する、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態29〕
前記形状記憶材料を備える前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部が、前記弛緩状態において円錐状螺旋形状を形成する、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態30〕
前記円錐状螺旋形状が、前記長手方向軸の方へ遠位に先細になる、
実施形態29に記載の注入カテーテル。
〔実施形態31〕
前記形状記憶材料を備える前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部が、前記長手方向軸に沿って第1の点から遠位に前記長手方向軸から離れて分岐し、前記弛緩状態において前記長手方向軸に沿って第2の点に遠位に前記長手方向軸の方へ収束する複数のブランチをさらに備える、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態32〕
前記ブランチが、前記管腔とすべて流体連通する複数のブランチ管腔を備える、
実施形態31に記載の注入カテーテル。
〔実施形態33〕
前記ブランチが、前記第1及び前記第2の複数の注入ポートを備える、
実施形態31に記載の注入カテーテル。
〔実施形態34〕
前記第1の点及び前記第2の点のうちの一方が中心ワイヤに固定され、前記第1の点及び前記第2の点のうちの他方が同軸状に搭載されて、前記中心ワイヤ上で摺動可能である、
実施形態31に記載の注入カテーテル。
〔実施形態35〕
前記形状記憶材料を備える前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部の近位の壁の外面上の近位放射線不透過性マーカと、
前記形状記憶材料を備える前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部の遠位の壁の外面上の遠位放射線不透過性マーカと
をさらに備える、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態36〕
前記形状記憶材料を備える前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部が、前記弛緩状態において9~11センチメートルの長さである、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態37〕
前記形状記憶材料を備える前記細長いフレキシブルシャフトの前記一部が、前記弛緩状態において3~30センチメートルの長さである、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態38〕
前記壁が、前記弛緩状態において、前記長手方向軸から2~10ミリメートル離れるように移動する、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態39〕
前記壁が、前記弛緩状態において、前記長手方向軸から略5ミリメートル離れるように移動する、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態40〕
前記管腔が、ガイドワイヤ開口の遠位端で終了する、
実施形態22に記載の注入カテーテル。
〔実施形態41〕
実施形態1に記載の注入カテーテルと、
前記中心軸部材のガイドワイヤ管腔を通しての挿入のために構成されるガイドワイヤと
を備える、
注入システムキット。