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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】チューブ接合装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/18 20060101AFI20220621BHJP
   A61M 1/28 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A61M39/18
A61M1/28 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019011616
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020116285
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】出水 俊
(72)【発明者】
【氏名】中西 勝
(72)【発明者】
【氏名】國分 友隆
【審査官】黒田 暁子
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/18
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チューブの端部と第2チューブの端部を溶断した後、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を入替えて接合するチューブ接合装置であって、
前記第1チューブと前記第2チューブを保持可能な溝部を設けた台座と、
前記溝部に対して開閉可能に構成され、開いた際に前記溝部を外部に露出し、かつ閉じた際に前記溝部を前記外部から隔離する蓋部と、
前記蓋部及び前記台座に各々回転可能に設けられ、前記蓋部を閉じた際に前記第1チューブ及び前記第2チューブを押圧可能な押付け部と、
前記蓋部を開いた際に前記蓋部に蓋側押付け部を保持する保持部材と、
前記蓋部を開いた際に前記蓋部の台座側の端面から突出する突出部を備え、かつ前記蓋部を閉じた際に前記蓋側押付け部の保持を解除する解除部材と、
前記解除部材に隣接して前記蓋部に取付けられ、前記蓋部を開いた際に前記突出部を保護する保護部を備えた取付部材と、を有する、チューブ接合装置。
【請求項2】
前記蓋部は、前記解除部材を回転可能に収容する内部空間を備え、
前記台座は、
前記蓋部を閉じた際に前記突出部と当接し、前記突出部を前記内部空間に収容可能な当接面と、
前記当接面に隣接して設けられ、前記蓋部を閉じた際に前記保護部を収容可能な収容部と、を備える、請求項1に記載のチューブ接合装置。
【請求項3】
前記溝部は、前記蓋部を開いた際に前記第1チューブ及び前記第2チューブを保持可能に構成され、
前記当接面は、前記溝部よりも凹凸の数が少ない、請求項2に記載のチューブ接合装置。
【請求項4】
前記解除部材は、前記蓋部の開閉に伴って回転し、前記保持部材による前記蓋側押付け部の保持を解除する、請求項1~3のいずれか1項に記載のチューブ接合装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記蓋側押付け部と係合可能な係合部を備え、
前記蓋側押付け部は前記係合部と係合可能な被係合部を備え、
前記保持部材は、前記蓋部を開いた際に前記解除部材の回転に連動して前記係合部が前記被係合部に係合することによって前記蓋側押付け部を保持し、前記蓋部を閉じた際に前記解除部材の回転に連動して前記係合部が前記被係合部から離間することによって前記蓋側押付け部の保持が解除される、請求項4に記載のチューブ接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のチューブ同士等をつなぎ合わせる技術として、各樹脂製のチューブの端部を溶断し、溶断した端部同士を相互に押付けて加圧接合する接合方法が従来から知られている。このような技術は、様々な産業分野において広く用いられており、その一例として、腹膜透析方法等の医療技術への応用が試みられている。
【0003】
腹膜透析方法は、患者の腹腔内に埋込んだチューブ(カテーテル)を使用して所定の透析液を体内に入れた後、腹膜を介して透析液内へ移行させた水や老廃物を体外へ取除く方法である。
【0004】
接合対象となる一方のチューブは患者の腹腔内に埋込まれるため、接合作業時には各チューブが汚染されることのないように作業には細心の注意を払わなければならない。特許文献1には、チューブ接合装置の蓋部を開けて2本のチューブを所定の位置に設置し、蓋部を閉じた状態でボタンを押すと、2本のチューブが溶断され、その後、溶断した端部が入替えられた上で加圧接合を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-146354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように特許文献1に記載された装置では、チューブの溶断後に溶断した端部同士を入替える必要がある。溶断したチューブの端部を入替えるために上記装置では蓋部と筐体とで各々チューブを押付ける部材が設けられている。これらの部材は、蓋部を開いた状態では蓋部や筐体に保持される必要がある一方で、蓋部を閉じた際には回転して上記端部の入替えができるように蓋部や筐体との保持を解除する部材を設ける必要がある。ここで、蓋部に上記解除を行う解除部材が設けられていて、使用者が当該解除部材に触ることができ、かつ使用者が上記解除部材に誤って触れてしまうと、上記押付け部材の保持に影響を与える虞がある。
【0007】
そこで本発明は、押付け部材の蓋部に対する保持を解除する解除部材が蓋部を開いた際に不用意に動くことを抑制可能なチューブ接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明は、第1チューブの端部と第2チューブの端部を溶断した後、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を入替えて接合するチューブ接合装置であって、前記第1チューブと前記第2チューブを保持可能な溝部を設けた台座と、前記溝部に対して開閉可能に構成され、開いた際に前記溝部を外部に露出し、かつ閉じた際に前記溝部を前記外部から隔離する蓋部と、前記蓋部及び前記台座に各々回転可能に設けられ、前記蓋部を閉じた際に前記第1チューブ及び前記第2チューブを押圧可能な押付け部と、前記蓋部を開いた際に前記蓋部に蓋側押付け部を保持する保持部材と、前記蓋部を開いた際に前記蓋部の台座側の端面から突出する突出部を備え、かつ前記蓋部を閉じた際に前記蓋側押付け部の保持を解除する解除部材と、前記解除部材に隣接して前記蓋部に取付けられ、前記蓋部を開いた際に前記突出部を保護する保護部を備えた取付部材と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るチューブ接合装置によれば、蓋部を開いた際に使用者が仮に解除部材の突出部に触れようとしても、保護部が突出部を保護する。そのため、蓋側押付け部の蓋部に対する保持を解除する解除部材が蓋部を開いた際に不用意に動くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るチューブ接合装置において蓋部を開いた状態を示す概略斜視図である。
図2】チューブ接合装置の蓋部が閉じた状態を示す概略斜視図である。
図3】チューブ接合装置の蓋部を閉じた状態において、筐体内に配置される構成部品の配置例を示す概略斜視図である。
図4】チューブ接合装置の蓋部を開いた状態を示す概略平面図である。
図5図4に示すチューブ接合装置に第1チューブ及び第2チューブを配置した状態を示す概略平面図である。
図6】チューブ接合装置の蓋部が開いた状態を示す斜視図である。
図7】蓋部が開いたチューブ接合装置を図6と別の方向から見た斜視図である。
図8】チューブ接合装置を構成する蓋部が開いた状態におけるクランプ部の内部を示す図である。
図9】チューブ接合装置を構成する蓋部を閉じた状態におけるクランプ部の内部を示す図である。
図10図5の10-10線に沿う断面図であって、蓋部が開いた状態のチューブ接合装置を示す図である。
図11図5の10-10線に沿う断面図であって、蓋部が閉じた状態のチューブ接合装置を示す図である。
図12】チューブ接合装置の制御系統を示すブロック図である。
図13】チューブ接合装置によって、溶断-接合される第1チューブ及び第2チューブを模式的に示す図である。
図14】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
図15】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
図16】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
図17】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
図18】チューブ接合装置による接合-取外し作業の各工程を模式的に示す図である。
図19】チューブ接合装置による接合-取外し作業の各工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図1図11は、本発明の一実施形態に係るチューブ接合装置1の全体構成の説明に供する図である。図12は、チューブ接合装置1の制御系統の説明に供する図である。図13は、チューブ接合装置1によって接合されるチューブT1、T2の説明に供する図である。図14図19は、チューブ接合装置1の使用例の説明に供する図である。本明細書においてチューブT1は第1チューブに相当し、チューブT2は第2チューブに相当する。また、以下においてチューブ接合装置1における前後方向を前後方向X、左右方向を左右方向Y、高さ方向を高さ方向Zと称する。
【0012】
本実施形態におけるチューブ接合装置1は、図13に示すように腹膜の透析液バッグT11側のチューブT1の端部及び腹膜透析を行う患者(使用者M)の腹膜カテーテルT26側のチューブT2の端部を溶断して接合する医療装置として構成している。
【0013】
チューブ接合セットSは、図1に示すように、チューブT1、T2を溶断-接合可能なチューブ接合装置1と、溶断に用いられる複数枚のウェハーWFを備えるカセットWCと、を有している。チューブT1、T2の溶断作業では、図14図16に示すように、並置されているチューブT1、T2を互いに押付けて潰した状態で、チューブT1、T2は加熱したウェハーWFによって溶断される。その後、図17、18に示すように、溶断したチューブT1の片側とチューブT2の片側との位置が入替えられ、チューブT1、T2が加圧して接合される。詳細は後述する。
【0014】
チューブ接合装置1は、図1を参照して概説すれば、チューブ接合装置1の各部を収納する筐体10と、溶断に際してチューブT1、T2の押潰しと、溶断後のチューブT1の片側とチューブT2の片側の入替えを行うクランプ部20と、を有する。チューブ接合装置1は、図12に示すように溶断-接合の際にチューブT1、T2をクランプ部20によって挟込んだ状態にロックするインターロック30と、図3に示すように筐体10に挿入されたカセットWCを収納する収納部40と、を有する。
【0015】
チューブ接合装置1は、図12に示すようにウェハーWFを加熱して溶断位置へ送り出す送り部50と、電源のOn-OFFの切替えの指示等を受付可能な操作部60と、使用者Mに必要な情報を報知する報知部70と、を備える。チューブ接合装置1は、各部に電力を供給可能な供給部80と、各部の動作を統括的に制御する制御部90と、を有する。
【0016】
なお、図4及び5に示すように、チューブT1、T2が延在する左右方向Yにおいて、チューブT1、T2の溶断位置X0を境界として、溶断後に位置が入替わる側を「入替側X1」、その反対側を「固定側X2」と称する。以下、詳述する。
【0017】
筐体10は、図1、2に示すように、略六面体の上側面にあたる上部分11と、上部分11の下方に配置され略六面体の上側面以外の側面を構成する下部分12と、を組合わせたケースによって構成している。上部分11は、後方から前方に向かって傾斜するように形成している。
【0018】
上部分11は、図4に示すように傾斜面11g、11hと凹部11jと、凸部11kと、を備える。傾斜面11g、11hは、上部分11において後端側の方が前端側よりも高くなるように傾斜している。傾斜面11hは、凹部11jを挟んで傾斜面11gよりも前端側に配置されている。傾斜面11g、11hは、略同一面となるように構成しているが、これに限定されない。
【0019】
凹部11jは、図4に示すように傾斜面11g、11hに隣接して設けられる。凹部11jは、傾斜面11gと傾斜面11hとを直線的に接続した仮想上の面よりも高さ方向Zにおいて凹むように形成している。凹部11jには、図5に示すようにチューブT1のコネクタT12やチューブT2の一部を配置することができる。
【0020】
凸部11kは、凹部11jよりも高さ方向Zにおいて突出して設けられる。凸部11kには、図5に示すようにチューブT1の一部を配置することができる。図4等に示すように上部分11の上面の前端側には接合の進捗状況を表示する表示部71が設けられている。また、上部分11の前端側にはクランプ部20にセットされるチューブT1、T2の配置を指示するイラスト等を付すことができる。これにより、チューブT1、T2の配置位置を取違えることなく、適正な位置に各チューブT1、T2をセットすることができる。
【0021】
上部分11の後端側には、図4等に示すように後述する報知部70の備える表示部72が設けられている。また、上部分11の上面には、図1に示すように、クランプ部20を嵌込み可能な孔11rが設けられている。また、上部分11の側面には、カセットWCを挿入するための挿入孔11cと、筐体10内に挿入されたカセットWCを取出すためのスイッチ11dと、が設けられている。カセットWCを挿入孔11cから挿入した状態で、使用者Mが指でスイッチ11dを押込めば、カセットWCは、挿入孔11cを通じて筐体10の外部に取出すことができる。また、上部分11には、図3に示すように、筐体10の周囲の環境温度を計測可能なセンサ11eが内蔵されている。センサ11eの計測した環境温度に応じて、ウェハーWFがチューブT1、T2を加熱する加熱時間を調整することができる。
【0022】
下部分12は、図10に示すように、平坦な底面12aと、下部分12においてテーブル等の載置場所と当接する脚部12bと、を備える。
【0023】
クランプ部20は、チューブT1、T2を並置した状態で保持し、溶断に際してチューブT1、T2を互いに押付け、溶断後にチューブT1の片側とチューブT2の片側との位置を入替え、チューブT1、T2の一方を左右方向Yにおいて他方に押付ける。
【0024】
クランプ部20は、図6に示すように、筐体10の底面12aに固定される上部分11から突出している台座21と、台座21に対して相対的に接近-離反することによって開閉可能に構成された蓋部22と、を備える。クランプ部20は、台座21に設けられるとともに、チューブT1、T2を保持する保持部23と、チューブT1、T2がセットされているか否かを検出可能なセンサ24と、を備える。クランプ部20は、図6、12に示すように蓋部22が台座21に相対的に接近する動作に伴ってチューブT1、T2を互いに押付けて潰す押付け部25と、蓋部22の開閉を検出するセンサ26と、を備える。
【0025】
台座21は、図5及び図6に示すようにチューブT1、T2の固定側X2に設けられる第1台座211と、チューブT1、T2の入替側X1に設けられる第2台座212と、を備えている。第1台座211と第2台座212との間には、チューブT1、T2の延在方向に沿って隙間21aが設けられている。隙間21aは、使用前のウェハーWFが溶断位置に移動する際や、使用済みのウェハーWFを筐体10の外部に送り出す際等に、ウェハーWFが通過するため等に設けられる。
【0026】
第2台座212は、図7に示すように当接面212aと、収容部212bと、を備える。当接面212aは、図9に示すように蓋部22を閉じた際に解除部材227の突出部227cと当接し、解除部材227の突出部227cを収容可能に構成している。収容部212bは、当接面212aに隣接して設けられ、蓋部22を閉じた際に取付部材228の保護部228aを収容可能に構成している。第1台座211の上面211a及び第2台座212の当接面212aは、表面に設ける凹凸の数を少なくなるようにしている。具体的には、保持部23の溝部232a、232bが形成する凹凸の数よりも凹凸が少なくなるように構成している。これにより、使用者MがチューブT1、T2を誤って別の場所に取付けることを防止し、組付け作業性を向上させることができる。第1台座211と第2台座212との間には、チューブT1、T2の延在方向に沿って隙間21aが設けられている。隙間21aは、使用前のウェハーWFが溶断位置に移動する際や、使用済みのウェハーWFを筐体10の外部に送出す際等に、ウェハーWFが通過するため等に設けられる。
【0027】
また、第1台座211及び第2台座212のそれぞれには、後述する蓋部22の係合爪225を引掛けて固定するための被係合部213が設けられている。
【0028】
蓋部22は、後述する溝部231a、231b、232a、232bに対して開閉可能に構成される。蓋部22は、開いた際に溝部231a、231b、232a、232bを外部に露出し、閉じた際に溝部231a、231b、232a、232bを外部から隔離する。
【0029】
蓋部22は、第1台座211に対して回動可能に設けられた第1アーム221と、第2台座212に対して回動可能に設けられた第2アーム222と、を備える。蓋部22は、第1アーム221及び第2アーム222を覆うカバー223と、第1アーム221及び第2アーム222に対して回動可能に設けられるとともに使用者Mが把持可能な把持部224と、を備えている。蓋部22は、さらに図7~9に示すように保持部材226と、解除部材227と、取付部材228と、を備える。
【0030】
第1アーム221及び第2アーム222は、回動可能に構成している。
【0031】
カバー223は、第1アーム221及び第2アーム222を一体的に覆う。このため、図2に示すように、蓋部22を閉じた状態では、カバー223は、第1台座211、第2台座212及びその間の溶断-接合が行われる領域を覆う。カバー223は、図8、9に示すように解除部材227を回転可能に収容する内部空間223cを備える。カバー223は、図6に示すようにカバー223の回転軸の根元側に設けられる第1部材223aと、第1部材よりも回転軸に対して先端側に設けられ、蓋部22の開状態で第1部材223aの内部に収容可能な第2部材223bと、を備える。第2部材223bは、第1部材223aに対してスライド移動可能に構成している。ただし、蓋部22の閉状態で溶断-接合が行われる領域を覆うことができれば、カバーの構成は上記に限定されない。カバーは上記以外に一の部材から構成してもよい。
【0032】
把持部224は、図6に示すように、台座21の被係合部213に係合可能な係合爪225を備えている。このため、図10及び図11に示すように、第1アーム221、第2アーム222及びカバー223を閉じた後に、把持部224を第1アーム221及び第2アーム222に対して回転させれば、係合爪225は被係合部213に係合する。これにより、クランプ部20が各チューブT1、T2を挟込んだ状態を好適に維持することができる。
【0033】
保持部材226は、蓋部22を開いた際に押付け部25を構成する蓋側押付け部253が蓋部22から脱落しないように保持する。保持部材226は、図8、9に示すように係合部226aを備える。係合部226aは、押付け部25の蓋側押付け部253の被係合部253aに係合できるように構成している。これにより、保持部材226は、蓋部22を開いた際に解除部材227の回転に連動して係合部226aが被係合部253aに係合することによって蓋側押付け部253を保持する。蓋部22を閉じた際には、解除部材227の回転に連動して係合部226aが被係合部253aから離間することによって蓋部22の保持が解除される。上記のような保持部材226の動作によって、カバー223が開いた際に誤って蓋側押付け部253が蓋部22から脱落することを防止できる。
【0034】
解除部材227は、蓋部22を閉じた際に蓋側押付け部253の保持を解除する。解除部材227は、図8、9に示すように回転軸227aと、長穴227bと、突出部227cと、を備える。
【0035】
回転軸227aは、蓋部22を構成するカバー223の内部空間223cに設けられる。これにより、解除部材227は蓋部22を開閉する際にカバー223の内部空間223cで回転可能に構成される。長穴227bには、カバー223に固定して取付けられる挿通部材229を挿通させることができ、挿通部材229は、保持部材226に取付けられる。これにより、解除部材227は、蓋部22の開閉に伴って回転し、保持部材226による蓋側押付け部253の保持を解除する。また、解除部材227に長穴227bが設けられることによって、解除部材227の回転範囲が制限される。
【0036】
突出部227cは、蓋部22が開いた際に蓋部22を構成するカバー223の台座21側の端面より突出する。
【0037】
取付部材228は、図7に示すように左右方向Yにおいて解除部材227に隣接して蓋部22に取付けられる。取付部材228は、保護部228aを備える。
【0038】
保護部228aは、蓋部22を開いた際に突出部227cを保護する。ここで「突出部227cを保護する」とは、後述する蓋側押付け部253の蓋部22からの脱落につながるような突出部227cへの使用者の手指等の接触を防止又は抑制することを意味する。保護部228aは、本実施形態において左右方向Yにおいて突出部227cの片側に隣接して配置している。保護部228aは、左右方向Yから側面視した際に解除部材227の突出部227cと相似の形状に構成している。これにより、仮にチューブ接合の際に誤って解除部材227に触れそうになっても、左右方向Yにおいて少なくとも解除部材227の特定の方向から使用者Mの手指等が解除部材227に触れることを抑制できる。
【0039】
保持部23は、図5及び図6に示すように、各チューブT1、T2の固定側X2を固定的に保持する第1保持部231と、各チューブT1、T2の入替側X1を可動的に保持する第2保持部232と、を備える。保持部23は、第2保持部232を各チューブT1、T2を保持した保持状態から保持を解除した解除状態へ切替え可能な解除部233と、第2保持部232を解除状態から保持状態へ切替え可能な復元部234と、を備える。
【0040】
第1保持部231は、第1台座211の上面に固定されている。第1保持部231は、図6に示すようにチューブT1を嵌込み可能な凹状の溝部231aと、チューブT2を嵌込み可能な凹状の溝部231bと、を備えている。
【0041】
溝部231a、231bは、図10に示すように、筐体10の載置面FSに対して角度θ傾いた方向(斜め方向)に並ぶように設けられている。このため、チューブT1、T2は、蓋部22を開いた際に保持部23において載置面FSに対して傾斜して並んだ状態で第1保持部231に保持される。なお、チューブT1、T2の並ぶ方向D1の奥側に配置される溝部231aは、溝部231bよりも筐体10の高さ方向Zにおいて高い位置に配置されている。
【0042】
また、各溝部231a、231bは、第1保持部231の上面側において、斜め方向D1と略直交する方向(図11の方向D2参照)に沿って凹状に窪むように設けられている。このため、チューブT1、T2は、チューブT1、T2の並ぶ方向D1と直交する方向D2から挿入するようにセットされる。これにより、使用者Mは、蓋部22を開いた状態において各チューブT1、T2を容易にセットすることができる。
【0043】
第2保持部232は、図6に示すように左右方向Yに略平行な回転軸232cを回転中心として第2台座212の側面に回動可能に取付けられている。第2保持部232は、蓋部22を開いた際に第1保持部231と同じ高さ及び傾きに配置された溝部232a、232bを備える。溝部232a、232bは、蓋部22を開いた際に第1保持部231とともにチューブT1、T2を保持するように構成している。第2保持部232は、蓋部22を閉じた状態において回転軸232cを回転中心として高さ方向Zにおける下方に変位し、溝部232a、232bがチューブT1,T2から離間した状態となる。
【0044】
解除部233は、図6に示すように蓋部22を開いた状態において第2保持部232の基部から第2アーム222の平坦面(図6の高さ方向Z)に向かって突出する突起を備えている。
【0045】
解除部233の突起は、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、蓋部22に設けられた第2アーム222の平坦面に当接する。解除部233の突起は、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、第2保持部232を保持位置から解除位置に退避させるように構成している。本明細書において解除状態とは、蓋部22が閉じた状態においてチューブT1、T2が第2保持部232の溝部232a、232bに配置されていない状態を意味する。
【0046】
復元部234は、図6において破線にて示すように、蓋部22の第2アーム222が筐体10に相対的に離反する動作と連動して第2保持部232を押上げ可能なカムを備えている。復元部234は、第2保持部232と当接可能に構成している。
【0047】
復元部234のカムは、筐体10の左右方向Yからの矢視において略扇形の外形形状を備えている。復元部234のカムは、第2アーム222の回動部付近に固定されている。このため、復元部234のカムは、第2アーム222の回動に連動して回動する。このように、第2保持部232は、解除部233と復元部234によって保持位置と解除位置との間で移動可能に構成している。
【0048】
さらに本実施形態では、解除部233は、後述する押付け部25がチューブT1、T2を挟込んだ後に、第2保持部232を保持位置から解除位置へ退避させる。このため、押付け部25は、チューブT1、T2の入替側X1が第2保持部232によって適切な位置に保持されている状態で、チューブT1、T2を挟込むことができる。
【0049】
センサ24は、図6に示すように溝部231a、231bに設けられ、溝部231a、231bからの突出及び陥没が可能に構成されたピンと、ピンの根元部分に設けられた磁石(図示省略)と、ホール素子(図示省略)と、を備える。ピンは弾性部材(図示省略)によって、溝部231a、231bの底部から突出及び陥没を可能に構成している。ピンは、チューブT1、T2が溝部231a、231bの底部から突出及び陥没を可能に構成している。ピンは、チューブT1、T2が溝部231a、231bに嵌込まれることによって突出位置から陥没位置に位置を変える。磁石は、ピンの溝部231a、231bからの突出又は陥没に合わせて移動する一方で、ホール素子は溝部231a、231bの底部において磁石に隣接して配置している。センサ24は、ホール素子が検出する磁石の磁力の大きさがピンの位置に応じて変化することによって、チューブT1、T2が溝部231a、231bに配置されたか否かを検出する。ただし、溝部231a、231bにチューブT1、T2が配置されたことを検出できれば、具体的な構成は上記に限定されない。
【0050】
押付け部25は、図6に示すように固定側押付け部25aと、可動側押付け部25bと、を備える。
【0051】
固定側押付け部25aは、図10、11に示すようにチューブT1、T2の固定側X2において蓋部22を閉じた際にチューブT1、T2の並ぶ方向D1にチューブT1、T2を接近させ、互いに当接したチューブT1、T2に押圧力を付与する。固定側押付け部25aは、図6及び図16に示すように第1アーム221に設けられる蓋側押付け部251と、第1台座211に設けられる筐体側押付け部252と、を備える。
【0052】
可動側押付け部25bは、図11に示すようにチューブT1,T2の入替側X1において蓋部22を閉じた際に固定側押付け部25aと同様にチューブT1、T2の並ぶ方向D1にチューブT1、T2を接近させ、互いに当接したチューブT1、T2を押圧する。可動側押付け部25bは、図6及び図16に示すように第2アーム222に設けられる蓋側押付け部253と、第2台座212に設けられる筐体側押付け部254と、を備える。蓋側押付け部253は、蓋部22に回転可能に設けられ、筐体側押付け部254は筐体10に回転可能に設けられる。蓋側押付け部253及び筐体側押付け部254は蓋部22を閉じた際にチューブT1、T2に押圧力を付与できるように構成している。蓋側押付け部253は、図8、9に示すように保持部材226の係合部226aと係合可能な被係合部253aを備える。
【0053】
また、可動側押付け部25bは、モータやギヤ等の構成(図示省略)によって、図17に示すように、溶断されたチューブT1、T2の可動側の端部を固定側に対して入替える。また、可動側押付け部25bは、固定側に対して端部を入替えた可動側のチューブT1、T2を左右方向Yにおいて固定側のチューブT1、T2に押付ける。可動側押付け部25bは、回転可能に構成されたカム(図示省略)と、左右方向Yにおいて当該カムに当接可能な当接部材(図示省略)と、を備える。可動側押付け部25bは、カムにおいて当接部材との左右方向Yにおける接触位置がカムの回転に応じて異なることによって、入替側X1のチューブT1、T2の端部を固定側X2のチューブT1、T2の端部に押付ける。
【0054】
センサ26は、台座21に対して蓋部22が閉じたことを検出する。センサ26は、台座21に対して蓋部22が閉じたことを検出してチューブ接合動作を開始できれば、具体的な構成は特に限定されない。一例として、本実施形態では、被係合部213の付近にリミットスイッチ等のセンサを設け、係合爪225が被係合部213に係合した際に上記センサが押込まれることによって、蓋部22が閉じたことを検出している。
【0055】
インターロック30は、溶断-接合の際に、クランプ部20がチューブT1、T2を挟込んだ状態にロックする機能を備えている。インターロック30は、本実施形態において図11に示すように電磁駆動式のソレノイドのロッド31により構成している。
【0056】
収納部40は、図3に示す箇所に位置しており、筐体10に挿入されたカセットWCを収納する機能、及びカセットWC内のウェハーWFの残量を検出する機能を備えている。収納部40は、挿入孔11cから挿入されたカセットWCが装着される装着部と、カセットWC内のウェハーWFの残量を検出可能なウェハーセンサと、を備えている(図示省略)。ウェハーセンサは、例えば、公知のフォトセンサによって構成することができる。
【0057】
送り部50は、図3に示す箇所に位置しており、ウェハーWFを溶断位置まで送り出し、溶断に際してウェハーWFを加熱し、使用後のウェハーWFを冷却し、使用後のウェハーWFを筐体10の外部へ送り出す。
【0058】
送り部50は、ウェハーWFを収納部40内のカセットWCから溶断位置まで送り出し可能に構成している。送り部50は、使用後のウェハーWFを第1台座211と第2台座121の間の隙間21aを介して筐体10の外部へ送り出し可能な駆動部を備える。送り部50は、溶断に際してウェハーWFを加熱可能なヒータと、使用済みのウェハーWFを冷却可能なファンと、を備えている(図示省略)。
【0059】
操作部60は、使用者Mからチューブ接合装置1への指示を受付ける。操作部60は、チューブ接合装置1の電源のON/OFFを切替えるスイッチ等を含む。操作部60は、本実施形態において図2に示すように筐体10の上部分11の後端側に設けているが、具体的な位置はこれに限定されない。
【0060】
報知部70は、使用者Mに必要な情報を報知する。報知部70は、図1、3に示すように、使用者Mに必要な情報を表示する表示部71、72と、音声によって使用者Mに必要な情報を報知するスピーカ73と、を備えている。
【0061】
供給部80は、チューブ接合装置1の各部に電力を供給する機能を備えている。供給部80は、図1に示すように、各部に電力を供給可能なバッテリ81と、バッテリ81を充電するための充電器82と、を備えている。
【0062】
制御部90は、チューブ接合装置1の各部を統括的に制御する。制御部90は、マイクロコンピュータなどのCPUと、CPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMと、ワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMとを備えている。
【0063】
制御部90は、図12に示すように、供給部80に電気的に接続されており、供給部80から電力供給を受けている。また、制御部90は、操作部60に電気的に接続されており、使用者Mからの指示に応じて各部の動作を制御可能に構成している。また、制御部90は、報知部70に電気的に接続されており、使用者Mに必要な情報を報知可能に構成している。
【0064】
また、制御部90は、センサ24、26と、収納部40のウェハーセンサと、インターロック30と、センサ11eと、に電気的に接続されている。制御部90は、センサ24によってチューブT1、T2のセットを検出し、センサ26によって蓋部22の閉状態を検出し、ウェハーセンサによってウェハーがカセットWCに一以上ある場合にウェハーWFによる溶断作業を開始する制御を行う。なお、ウェハーWFによる溶断作業の開始は上記条件を充たす場合に限定されず、使用者がボタンを押下すること等によって溶断作業を開始してもよい。
【0065】
制御部90は、センサ24からチューブT1、T2が適正にセットされていない情報を得た場合、報知部70を介してその旨を報知させる。また、制御部90は、センサ26によって蓋部22が適切に閉じられていない情報を得た場合、報知部70にその旨を報知させる。制御部90は、カセットWCに使用可能なウェハーWFが収容されていない場合、報知部70にその旨を報知させる。制御部90は、インターロック30によって溶断-接合中に蓋部22を閉じた状態を維持させる。また、制御部90は、センサ11eが計測した筐体10の環境温度に基づいて、溶断の際のウェハーWFによるチューブT1、T2の加熱時間を調整する。
【0066】
また、制御部90は、収納部40及び送り部50に電気的に接続されており、これらの動作を制御可能に構成している。また、制御部90は、可動側押付け部25bのモータ(図示省略)に電気的に接続されており、可動側押付け部25bの位置交換作業を制御する。
【0067】
カセットWCは、図1に示すように、複数枚のウェハーWFを収納している。カセットWCは、チューブ接合装置1の挿入孔11cを介して出入れされる。使用されたウェハーWFは、図4に示すように、第1台座211と第2台座212の間の隙間21aから筐体10の外部へ取出される。チューブT1は、本実施形態では腹膜の透析液バッグT11側のチューブによって構成している(図13参照)。具体的には、チューブT1の先端部には所定のコネクタT12を取付けている。チューブT1の反対側は、分岐管T13を介して、透析液バッグT11の透析液チューブT14に接続している。さらにチューブT1は、分岐管T13を介して、排液用バッグT15の排液チューブT16に接続している。
【0068】
チューブT2は、腹膜透析をする際に使用される使用者Mの腹膜カテーテルT26側のチューブによって構成している。具体的には、チューブT2は、延長チューブT21と保護チューブT22を備えている。延長チューブT21は、連結管T23、シリコーンチューブT24、カテーテルジョイントT25を介して、腹膜カテーテルT26に接続している。腹膜カテーテルT26は、その一方の端部側が使用者Mの腹腔内に挿入されている。なお、チューブT1、T2は、本実施形態では、塩化ビニル製のチューブによって構成している。ただし、チューブT1、T2の材質は、溶断及び加圧により相互に接合可能なものであればよく、その限りにおいて限定されない。例えば、チューブT1、T2の材質がそれぞれ異なるものであってもよい。
【0069】
次に、チューブ接合セットSの使用例について説明する。まず、使用者Mは、チューブ接合装置1を使用するに際し、カセットWCをチューブ接合装置1の挿入孔11cに挿入する。次に、使用者Mは、操作部60のボタンを押して、チューブ接合装置1の電源をONにする。
【0070】
次に、使用者Mは、図1に示すように、チューブ接合装置1の蓋部22を開いた状態にする。次に、使用者Mは、図10、11、14、15に示すように、チューブT1、T2を保持部23の溝部231a、231b、232a、232bにセットする。次に、使用者Mは、蓋部22を閉じる操作を行う。蓋部22が閉じられたことにより、チューブT1、T2の溶断部位の外周部分はカバー223によって覆われ、外部から隔離された状態となる。これにより、溶断-接合作業を無菌状態で実施することが可能となる。
【0071】
次に、制御部90は、送り部50にウェハーカセットWCからウェハーWFを取り出させ、溶断準備位置(図16のウェハーWFが破線で示されている位置)に送り出させる。制御部90は、カセットWCにおける溶断に使用可能なウェハーWFの残存、保持部23へのチューブセット、及び蓋部22の閉状態の条件が充たされた際に、溶断作業の制御を開始する。
【0072】
まず、制御部90は、インターロック30を作動させ、蓋部22を閉じた状態にロックさせる。
【0073】
そして、溶断準備位置のウェハーWFを、内蔵したヒーターによって加熱させる。そして、送り部50によって加熱したウェハーWFを溶断位置(図16のウェハーWFが実線で示されている位置)まで移動させ、図16に示すように溶断を行わせる。
【0074】
次に、制御部90は、図17に示すように可動側押付け部25bによってチューブT1の入替側X1とチューブT2の入替側X1の位置を入替えさせる。その後、制御部90は、図18に示すように、可動側押付け部25bによって入替えたチューブT1、T2の固定側と可動側を押付けて、加圧接合を行わせる。
【0075】
次に、制御部90はインターロック30のロックを解除させる。次に、使用者Mは、蓋部22を開く作業を行い、図19に示すように各チューブT1、T2をチューブ接合装置1から取外す。
【0076】
以上説明したように、チューブ接合装置1は、チューブT1の端部とチューブT2の端部を溶断した後、チューブT1の溶断した端部とチューブT2の溶断した端部を入替えて接合する。チューブ接合装置1は、台座21と、蓋部22と、蓋側押付け部253及び筐体側押付け部254と、保持部材226と、解除部材227と、取付部材228と、を有する。台座21は、チューブT1,T2を保持可能な溝部231a、231b、232a、232bを設けている。蓋部22は、溝部231a、231b、232a、232bに対して開閉可能に構成され、開いた際に溝部231a、231b、232a、232bを外部に露出し、かつ閉じた際に溝部231a、231b、232a、232bを外部から隔離する。蓋側押付け部253は、蓋部22に回転可能に設けられ、筐体側押付け部254は台座21に回転可能に設けられる。蓋側押付け部253及び筐体側押付け部254は蓋部22を閉じた際にチューブT1、T2を押圧可能に構成している。保持部材226は、蓋部22を開いた際に蓋部22に蓋側押付け部253を保持する。解除部材227は、蓋部22を開いた際に蓋部22の台座21側の端面から突出する突出部227cを備える。解除部材227は、蓋部22を閉じた際に蓋側押付け部253の保持を解除する。取付部材228は、解除部材227に隣接して取付けられ、蓋部22を開いた際に突出部227cを保護する保護部228aを備える。
【0077】
これにより、蓋部22を開いた際に使用者Mが仮に解除部材227の突出部227cに触れようとしても保護部228aが突出部227cを保護する。そのため、蓋側押付け部253の蓋部22に対する保持を解除する解除部材227が蓋部22を開いた際に不用意に動くことを抑制し、利便性を向上させることができる。
【0078】
また、蓋部22は解除部材227を回転可能に収容する内部空間223cを備える。台座21は、蓋部22を閉じた際に突出部227cと当接し、突出部227cを内部空間223cに収容可能な当接面212aと、当接面212aに隣接して設けられ、蓋部22を閉じた際に保護部228aを収容可能な収容部212bと、を備える。これにより、蓋部22を閉じた際には当接面212aによって解除部材227の突出部227cの位置を変えることができる。そのため、蓋側押付け部253の保持を解除して、溶断した入替側X1と固定側X2のチューブT1、T2の端部を入替えることができる。
【0079】
また、溝部231a、231b、232a、232bは、蓋部22が開いた際にチューブT1、T2を保持可能に構成している。当接面212aは、溝部231a、231b、232a、232bよりも凹凸の数が少なくなるように構成している。これにより、使用者Mが溝部231a、231b、232a、232bと異なる部位に誤ってチューブT1、T2を組付けることを防止又は抑制し、組付け作業性を向上させることができる。
【0080】
また、解除部材227は、蓋部22の開閉に伴って回転し、保持部材226による蓋側押付け部253の保持を解除する。そのため、蓋部22を閉じた際に解除部材227の動作に連動して保持部材226を蓋側押付け部253の保持を行わない位置に移動でき、解除部材227とともに蓋側押付け部253の保持を解除することができる。
【0081】
また、保持部材226は、蓋側押付け部253と係合可能な係合部226aを備え、蓋側押付け部253は係合部226aと係合可能な被係合部253aを備える。保持部材226は、蓋部22を開いた際に解除部材227の回転に連動して係合部226aが被係合部253aに係合することによって、蓋側押付け部253を保持する。保持部材226は、蓋部22を閉じた際に解除部材227の回転に連動して係合部226aが被係合部253aから離間することによって蓋側押付け部253の保持が解除される。これにより、保持部材226と解除部材227の動作によって、蓋部22を開いた際に蓋側押付け部253が蓋部22から脱落することを防止するとともに、チューブT1、T2の入替えを行うことができる。
【0082】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では第2台座212に取付部材228の保護部228aが収容される実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも取付部材の位置によっては第1台座に収容部が設けられていてもよい。また、第2台座212は、収容部212bを備えると説明したが、これに限定されない。第1台座211を含め、チューブT1、T2の誤組付けを防止できれば、収容部212b以外の凹凸形状が台座に設けられていてもよい。また、台座21は第1台座211及び第2台座212の構成に限定されず、一つ又は2つ以外の台座によって構成してもよい。また、取付部材228の保護部228aは解除部材227の突出部227cと相似の形状であると説明したが、これに限定されない。使用者Mの手指等が誤って突出部227cに触れにくくできれば、保護部228aよりも多くの方向から突出部227cの面を包囲する保護部を設けてもよい。
【0083】
また、本願発明は、腹膜透析のみならず、例えば輸血に用いる血液製剤等を収容する容器(バッグ)に接続されたチューブと他のチューブとを無菌的に接合する装置にも用いることができる。この場合、チューブ及びバッグ内の血液成分(製剤)等の無菌性を保持することができる。
【0084】
また、本願発明は、採取・培養した各種細胞を含む細胞培養液を収容する容器(バッグ)に接続されたチューブと他のチューブとを無菌的に接合する装置にも用いることができる。この場合も、チューブ接合時にチューブ及びバッグ内の細胞培養液の無菌性・安全性を保持することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 チューブ接合装置、
21 台座、
212 第2台座、
212a 収容部、
212b 当接面、
22 蓋部、
223c 内部空間、
226 保持部材、
226a 係合部、
227 解除部材、
227c 突出部、
228 取付部材、
228c 保護部、
231a、231b、232a、232b 溝部、
25 押付け部、
253 蓋側押付け部、
253a 被係合部、
254 筐体側押付け部、
T1 (第1)チューブ、
T2 (第2)チューブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19