(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】巻取り装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/28 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
B65H19/28 A
(21)【出願番号】P 2019183266
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390002015
【氏名又は名称】ヒラノ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦士
(72)【発明者】
【氏名】森井 紀雄
(72)【発明者】
【氏名】和田 繁紀
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-510709(JP,A)
【文献】特開2013-227093(JP,A)
【文献】実開平07-031875(JP,U)
【文献】実開昭58-095950(JP,U)
【文献】特開2006-232448(JP,A)
【文献】特開昭58-220038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくるウエブを巻芯に巻き取る巻取り装置において、
支持脚とフレームと、
前記支持脚に設けられた回転軸を中心に180°毎に突出した2組の左右一対の腕部と、
2組の左右一対の前記腕部にそれぞれ設けられ、前記巻芯を挟持しつつ回転させる左右一対のチャック部と、
前記回転軸を中心に2組の左右一対の前記腕部を水平状態になるように回転させて、一方の組の左右一対の前記腕部を前記巻芯でウエブを巻き取る巻取り位置に、他方の組の左右一対の前記腕部を前記巻芯を取り付ける取り付け位置に配する主回転手段と、
前記フレームに設けられ、前記ウエブを、前記巻取り位置にある空の前記巻芯に押圧する押圧ロールと、
前記フレームにおける前記押圧ロールの上方に設けられた上支持軸を介して回転自在に設けられた切断腕と、
前記切断腕の先端に設けられた前記ウエブを切断するためのカッタ装置と、
前記フレームにおける前記押圧ロールの下方に設けられた下支持軸を介して回転自在に設けられた噴霧腕と、
前記噴霧腕の先端に、前記巻芯の幅方向に沿って設けられた複数のノズルと、
複数の前記ノズルを覆い、かつ、前記ノズルの噴霧方向のみ開口している防水カバーと、
前記防水カバーに設けられた排水口と、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記ウエブを、前記押圧ロールで巻取り位置にある空の前記巻芯に押しつけ、
前記ウエブを、前記巻取り位置にある空の前記巻芯の上周面から前記取り付け位置にある前記巻芯の上周面に走行させ、
前記噴霧腕を前記下支持軸を中心に回転させて、前記ノズルと前記防水カバーを下方から空の前記巻芯に接近させ、
回転する空の前記巻芯の下方の外周面に、前記防水カバーで覆われた前記ノズルによって液体を下方から噴霧し、
前記切断腕を前記上支持軸を中心に回転させて、前記カッタ装置を前記ウエブに接近させ、
前記ウエブを、前記巻取り位置にある空の前記巻芯の上周面から前記取り付け位置にある前記巻芯の上周面に向かう途中で、前記カッタ装置によって切断する、
巻取り装置。
【請求項2】
前記ノズルと前記防水カバーとは、前記噴霧腕の先端に回転自在に取り付けられている、
請求項1に記載の巻取り装置。
【請求項3】
前記液体は、水、又は、液体状の糊である、
請求項1に記載の巻取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブの巻取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム、紙などの長尺状のウエブを巻芯に巻き取る場合には、巻取り装置が用いられている。この巻取り装置は左右一対の腕部の先端に設けられた左右一対のチャック部に巻芯を取り付け、チャック部を回転させることにより巻芯も回転して、搬送されてくるウエブを巻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような巻取り装置において、空の巻芯にウエブを巻き始める場合に、ウエブの先端と巻芯の外周面とを固定するために両面接着テープが従来用いられている。
【0005】
両面接着テープが巻芯の外周面に貼られていると、その両面接着テープの部分だけ厚みが増し、均一にウエブを巻き取ることが難しく、また、巻芯の外周面に付ける両面接着テープの位置を正確に貼り付けていないと、ウエブの先端を巻芯に固定できないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、両面接着テープを用いないで空の巻芯にウエブを巻始めることができる巻取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、搬送されてくるウエブを巻芯に巻き取る巻取り装置において、支持脚とフレームと、前記支持脚に設けられた回転軸を中心に180°毎に突出した2組の左右一対の腕部と、2組の左右一対の前記腕部にそれぞれ設けられ、前記巻芯を挟持しつつ回転させる左右一対のチャック部と、前記回転軸を中心に2組の左右一対の前記腕部を水平状態になるように回転させて、一方の組の左右一対の前記腕部を前記巻芯でウエブを巻き取る巻取り位置に、他方の組の左右一対の前記腕部を前記巻芯を取り付ける取り付け位置に配する主回転手段と、前記フレームに設けられ、前記ウエブを、前記巻取り位置にある空の前記巻芯に押圧する押圧ロールと、前記フレームにおける前記押圧ロールの上方に設けられた上支持軸を介して回転自在に設けられた切断腕と、前記切断腕の先端に設けられた前記ウエブを切断するためのカッタ装置と、前記フレームにおける前記押圧ロールの下方に設けられた下支持軸を介して回転自在に設けられた噴霧腕と、前記噴霧腕の先端に、前記巻芯の幅方向に沿って設けられた複数のノズルと、複数の前記ノズルを覆い、かつ、前記ノズルの噴霧方向のみ開口している防水カバーと、前記防水カバーに設けられた排水口と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記ウエブを、前記押圧ロールで巻取り位置にある空の前記巻芯に押しつけ、前記ウエブを、前記巻取り位置にある空の前記巻芯の上周面から前記取り付け位置にある前記巻芯の上周面に走行させ、前記噴霧腕を前記下支持軸を中心に回転させて、前記ノズルと前記防水カバーを下方から空の前記巻芯に接近させ、回転する空の前記巻芯の下方の外周面に、前記防水カバーで覆われた前記ノズルによって液体を下方から噴霧し、前記切断腕を前記上支持軸を中心に回転させて、前記カッタ装置を前記ウエブに接近させ、前記ウエブを、前記巻取り位置にある空の前記巻芯の上周面から前記取り付け位置にある前記巻芯の上周面に向かう途中で、前記カッタ装置によって切断する、巻取り装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、噴射手段によって巻芯に液体が吹き付けられるため、その液体がウエブと巻芯とを貼り付ける役割をして、空の巻芯にウエブを巻き始めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態を示す巻取り装置の側面図である。
【
図16】噴霧腕部と防水カバーの一部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態のウエブWを巻き取る巻取り装置10について
図1~
図18を参照して説明する。
【0011】
(1)巻取り装置10
巻取り装置10の構造について説明する。
図1と
図2に示すように、巻取り装置10は、長尺状のウエブWを巻芯1,2に巻き取る巻取り機構12と、巻き取るウエブWを所定箇所で切断する切断機構14と、空の巻芯1,2に水を噴霧する噴射機構15より構成されている。ウエブWとしては、フィルム、紙などである。なお、ウエブWの幅方向が左右方向、
図1と
図4~
図12において、紙面の右側が前方、紙面の左側が後方として説明する。
【0012】
(2)巻取り機構12
まず、巻取り機構12について
図1と
図2を参照して説明する。巻取り機構12は、水平に設置された基台16の上に設けられている。
【0013】
左右一対の支持脚18,18が、
図1に示すように基台16に立設され、
図2に示すように、これら左右一対の支持脚18,18に、回転軸20が水平に架設されている。
【0014】
回転軸20からは、
図1に示すように、2組の左右一対の腕部22が、180°離れて突出している。
【0015】
左右一対の腕部22の間であって、90°離れた位置には、
図1に示すように、2組の左右一対の補助腕部24が回転軸20から突出している。2組の左右一対の補助腕部24,24の間には、補助ロール26が回転自在にそれぞれ取り付けられている。回転軸20が回転すると、2組の左右一対の腕部22,22と2組の左右一対の補助腕部24,24が一体に回転する。
【0016】
腕部22の先端(回転軸20とは反対側)には、
図2に示すように、円錐台型のチャック部28が内側に向かって水平に設けられている。チャック部28は、腕部22に設けられたチャック駆動部30によって回転すると共に、軸方向に沿って移動する。すなわち、チャック部28は、巻芯1,2を挟持する挟持位置と、巻芯1,2を挟持していない状態の退避位置に移動できる。このチャック駆動部30は、エアシリンダとモータからなり、エアシリンダが、チャック部28を軸方向に移動させて挟持状態を維持し、モータは、ウエブWの巻き取り時にチャック部28を回転させる。
【0017】
左右一対の支持脚18のうち、一方の支持脚18から突出した回転軸20には、
図2に示すように、回転軸20を回転させる主回転装置32が設けられている。この主回転装置32によって回転軸20が回転し、2組の左右一対の腕部22,22と2組の左右一対の補助腕部24,24が一体となって回転する。2組の左右一対の腕部22が回転して、
図1に示すように水平状態をなしたときに、一方の左右一対の腕部22,22が、例えば巻芯1にウエブWを巻き取る巻取り位置にあり、他方の左右一対の腕部22,22が、巻芯2を取り外すための取り付け位置にある。
【0018】
(3)切断機構14
次に、切断機構14について
図1を参照して説明する。切断機構14を有するフレーム50は、基台16に立設され、また、このフレーム50は、左右一対の支持脚18,18の後方に位置している。
【0019】
図1に示すように、フレーム50の上下方向における中央部には、前後方向に移動自在な移動体52が設けられている。この移動体52は、エアシリンダなどの移動体駆動部74によって前後方向に移動する。
【0020】
図1に示すように、移動体52の前端には、軸が水平方向に設けられた押圧ロール54が回転自在に配されている。この押圧ロール54は、移動体52の前方への移動により、巻芯1を押圧する押圧初期位置と、後方に移動して巻芯1から離れた退避位置の間を移動する。押圧ロール54は、押圧初期位置では巻芯1,2の外周面を直接押圧し、巻芯1,2がウエブWを巻き付けると、最も外周面にあるウエブWを押圧する。そのため、押圧ロール54が、常にウエブWの外周面を押圧できるように、巻き付け径の増大と共に、移動体駆動部74は移動体52を後方に移動させる。
【0021】
図1に示すように、移動体52には、押圧ロール54にウエブWを案内する案内ロール56が設けられている。この案内ロール56は、移動体52と共に移動する。
【0022】
図1に示すように、フレーム50には、案内ロール56にウエブWを案内するための複数の案内ロール58,60が設けられている。これら案内ロール58,60の配置位置及び個数は、搬入されるウエブWの種類や速度によって異なるものであり、本実施形態では一例を示したものである。また、この移動体52の案内ロール56に至るまでに、アキューム装置を設けてもよい。アキューム装置は、ウエブWを切断する場合に、ウエブWの搬送を一時的に停止させるため、その間に搬入されるウエブWを貯める装置である。
【0023】
移動体52の上方には、切断装置62が設けられている。切断装置62は、切断腕部64を有し、この切断腕部64は、その下端において上支持軸66を中心に上下方向に回転自在である。この切断腕部64を回転させるのは、エアシリンダよりなる切断腕駆動部76である。
【0024】
図1に示すように、切断腕部64の先端には切断案内ロール68が設けられ、切断案内ロール68よりも上支持軸66側には切断押圧ロール70が設けられている。切断案内ロール68と切断押圧ロール70との間には、カッタ装置72が設けられ、ウエブWの幅方向にカッタで切断する。
【0025】
(4)噴射機構15
次に、ウエブWを空の巻芯1,2に巻き始めるときに、ウエブWの先端を空の巻芯1,2の外周面に貼り付ける噴射機構15について、
図1と
図13~
図18を参照して説明する。
【0026】
まず、
図1に示すように、巻芯1,2は筒状であり、その外周面は吸水性がなく、撥水性がある合成樹脂製である。なお、紙のように吸水性がある巻芯の場合には、その表面に撥水層を形成して用いる。
【0027】
噴射機構15は、
図13に示すように、左右一対の噴霧腕部34,34を有している。噴霧腕部34の基部は、フレーム50において移動体52の下方に設けられた下支持軸33を中心に回転自在に支持され、フレーム50の前方から突出している。
【0028】
図13に示すように、下支持軸33の下方には、エアシリンダよりなる噴霧腕駆動部36が設けられている。噴霧腕駆動部36であるエアシリンダのピストンロッドの先端は、噴霧腕部34の中央部に設けられた動作軸35を介して、噴霧腕部34と回転自在に連結されている。噴霧腕駆動部36が動作することにより、噴霧腕部34の先端は、フレーム50の下方にある退避位置と、巻取り位置にある巻芯1,2の下方に回転する。
【0029】
左右一対の噴霧腕部34,34の間には、
図14と
図15に示すように、ほぼ直方体状の防水カバー37が設けられている。この防水カバー37は、その上面が開口し、噴霧開口部38を形成している。防水カバー37の左右両側部は、
図17と
図18に示すように、上部ほど上方に広がり、噴霧開口部38の左右両側辺は、円弧型に切り欠かれている。防水カバー37の左右方向の寸法は、巻芯1,2の幅方向の寸法より若干小さく形成されている。
【0030】
防水カバー37の底面には、
図13と
図14に示すように、所定間隔毎に水を吹き出すためのノズル40が複数設けられている。このノズル40は、
図16と
図17に示すように、上部から水を吹き出すものであり、上部ほど広がった防水カバー37の下部から噴霧開口部38に向かって水を噴霧する。したがって、これらノズル40は、巻芯1,2の幅方向に沿って所定間隔毎に水を噴霧できる。
図14と
図16に示すように、複数のノズル40の下部は防水カバー37から下方にそれぞれ突出し、1本の給水ホース39に接続されている。
【0031】
防水カバー37の底面であって、
図14に示すように、ノズル40の間には、排水口42が複数開口している。この複数の排水口42の下部であって、
図14と
図16に示すように、防水カバー37の下方には排水管41がそれぞれ突出し、排水ホース43に接続されている。
【0032】
防水カバー37の両側面には、
図14と
図16に示すように、それぞれ側板44が設けられている。左右一対の側板44,44の外側には、上下移動板45,45がそれぞれ設けられている。
図18に示すように、上下移動板45には、上下方向に開口した長孔46が間隔をおいて2個設けられている。これら長孔46にボルト47を通し、側板44に螺合する。また、上下移動板45の外側からは、
図16に示すように、軸体48が水平に突出している。
【0033】
左右一対の噴霧腕部34,34の先端部の内側には、
図16に示すように、軸体48を回転自在に支持する軸受け板49が設けられている。軸体48の回転を固定する場合には、軸受け板49に不図示のボルトを螺合して固定する。
【0034】
図1、
図16に示すように、ノズル40に接続されている給水ホース39は、基台16に設けられているポンプ4に接続されている。ポンプ4は、給水タンク5に接続されている。ポンプ4が作動すると給水タンク5からの水を、給水ホース39を経て複数のノズル40から水を噴霧する。
【0035】
図1、
図16に示すように、排水ホース43は、基台16に設けられている排水タンク6に排水された水を流す。なお、給水タンク5と排水タンク6を兼用してもよい。
【0036】
図16と
図18に示すように、巻芯1,2でウエブWを巻き付ける前に、テスト用の巻芯1を巻取り位置に移動させて、ノズル40の位置調整を行う。
【0037】
噴霧腕駆動部36によって、噴霧腕部34を上方に移動させ、ノズル40を巻芯1の下方に配する。
【0038】
この位置において、防水カバー37の噴霧開口部38の円弧状の両側辺が、巻芯1の外周面に沿うように、防水カバー37の回転角度を、軸受け板49と係合している軸体48を中心に回転させて調整する。
【0039】
また、噴霧開口部38の円弧状の両側辺と、巻芯1との外周面との間の隙間がなるべく無くなるように、ボルト47を緩めて、防水カバー37を長孔46に沿って上下動させ、隙間が無くなった位置で、ボルト47を再び締結して防水カバー37と軸受け板49とを固定する。
【0040】
これにより、ノズル40から噴霧された水が、防水カバー37と巻芯1との隙間から他の場所に漏れることなく巻芯1の外周面に噴霧できる。以下この位置を「噴霧位置」という。
【0041】
そして、噴霧腕駆動部36が、噴霧腕部34を下方に回転させ退避位置に退避させる。
【0042】
(5)巻取り装置10の電気的構成
巻取り装置10の電気的構成について
図3を参照して説明する。コンピュータよりなる巻取り装置10の制御部3は、基台16に設けられている。制御部3には、チャック駆動部30、主回転装置32、移動体駆動部74、切断腕駆動部76、カッタ装置72、ポンプ4、噴霧腕駆動部36が接続されている。
【0043】
(6)巻取り装置10の動作状態
巻取り装置10の動作状態について
図4~
図12を参照して説明する。
【0044】
第1工程において、
図4に示すように、左右一対の腕部22,22を水平状態に維持する。この状態において、取り付け位置にある左右一対の腕部22,22の左右一対のチャック部28,28に空の巻芯1を取り付ける。噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を退避位置に固定している。
【0045】
第2工程として、制御部3は、巻芯1が取り付けられた左右一対の腕部22を、主回転装置32で180°回転させ、取り付け位置から巻取り位置に回転させる。噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を退避位置に固定している。
【0046】
第3工程において、作業員は、案内ロール58、60を経て案内ロール56にウエブWを架け渡す。噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を退避位置に固定している。
【0047】
第4工程において、
図5に示すように、次のように行う。
【0048】
1)移動体駆動部74が、移動体52を押圧初期位置に移動させ、押圧ロール54を、ウエブWを挟んで巻芯1を押圧する。
【0049】
2)噴霧腕駆動部36が、噴霧腕部34を退避位置から噴霧位置に回転させる。
【0050】
3)ポンプ4が、給水タンク5の水をノズル40に送り、ノズル40が巻芯1の下方の外周面に噴霧する。
【0051】
4)チャック駆動部30が、チャック部28で巻芯1を回転させる。すると、水が噴霧された巻芯1の外周面に、押圧ロール54によってウエブWが押圧されて表面張力によって貼り付き、両面接着テープを用いることなくウエブWを巻き始めることができる。
【0052】
第5工程において、
図5に示すように、作業員は、他方の左右一対の腕部22,22にも、巻芯2を取り付ける。
【0053】
第6工程において、
図6に示すように、ウエブWが巻芯1に巻かれていると巻径が大きくなるため、移動体駆動部74は、移動体52を次第に後方に移動させる。これによって、押圧ロール54が、巻かれている最も外側のウエブWを常に押圧し、巻き付けをスムーズに行うことができる。噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を噴霧位置から退避位置に回転させる。
【0054】
第7工程において、
図7に示すように、制御部3は、巻芯1が満回近くになると巻芯2と交換するため、移動体52を後方に退避させ、押圧ロール54を巻芯1に巻かれているウエブWの外周面から離す。噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を退避位置に固定している。
【0055】
第8工程において、
図8に示すように、制御部3は、主回転装置32で回転軸20を回転させ、2組の左右一対腕部22,22と2組の左右一対の補助腕部24,24を一体に回転させる(
図8において反時計回りの方向)。噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を退避位置に固定している。
【0056】
第9工程において、
図9に示すように、巻芯1を支えている左右一対の腕部22,22が、取り付け位置で水平状態になった場合に、巻かれているウエブWは押圧ロール54の下周面、補助ロール26の上面を通って巻かれている。噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を退避位置に固定している。
【0057】
第10工程において、
図10に示すように、制御部3は、切断腕部64を、上支持軸66を中心に下方に回転させる。また、移動体駆動部74は、移動体52を押圧初期位置に移動させ、巻取り位置に移動した回転している巻芯2の外周面にウエブWを押圧する。
【0058】
第11工程において、
図11に示すように、次のように行う。
【0059】
1)噴霧腕駆動部36は、噴霧腕部34を退避位置から噴霧位置に再び回転させる。そして、回転している巻芯2の外周面にノズル40から水を噴霧し、巻芯2の全周に水を噴霧する。
【0060】
2)下方に移動した切断腕部64の切断押圧ロール70は、巻芯2の外周面にあるウエブWを押圧する。また、切断案内ロール68は、補助ロール26と切断押圧ロール70との間でウエブWを下方に押圧する。
【0061】
3)切断押圧ロール70と切断案内ロール68の間にあるウエブWを、カッタ装置72のカッタが切断する。
【0062】
4)切断されたウエブWの先端は、水が噴霧された巻芯2の外周面に表面張力によって貼り付き、両面接着テープを用いることなくウエブWを巻き始めることができる。
【0063】
第12工程において、
図12に示すように、制御部3は、ウエブWの切断後に切断腕部64を、上支持軸66を中心に上方に回転させる。また、チャック駆動部30によって巻芯2の回転を始めて、巻芯2でウエブWを新たに巻き取っていく。切断されたウエブWは巻芯1で完全に巻き取る。噴霧腕駆動部36が、噴霧腕部34を噴霧位置から退避位置に回転させる。
【0064】
第13工程において、ウエブWが満回の巻芯1を取り外し、新たに空の巻芯1を左右一対のチャック部28,28で挟持する。以下、同様の工程を繰り返す。
【0065】
(7)効果
本実施形態によれば、巻芯1,2の外周面に水を噴霧することにより、ウエブWを巻芯1,2に表面張力によって貼り付けることができ、両面接着テープを用いることなくウエブWを巻き始めることができる。
【0066】
また、ノズル40から噴霧された水は、防水カバー37内部のみで噴霧され、噴霧開口部38以外には飛び散らないため、巻芯1,2の外周面にのみ水が噴霧される。
【0067】
また、ノズル40から水を霧状にして巻芯1,2に噴射するため、巻芯1,2の外周面から水が垂れにくい。
【0068】
また、ノズル40から噴霧されて、その後に防水カバー37に飛び散った水は、排水口42から排水管41、排水ホース43を経て排水タンク6に回収できる。
【0069】
また、ノズル40は、巻芯1,2の幅方向に沿って所定間隔毎に設けられているため、巻芯1,2の幅方向に万遍なく水を噴霧できる。
【変更例】
【0070】
上記実施形態では、噴霧する液体は水を用いたが、これに代えて液体状の糊、接着剤であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、噴射機構15として、ノズル40から水を噴霧したが、霧状にせず単に水を吹き付けてもよい。
【0072】
上記実施形態では、左右一対の腕部22,22は180°離れた位置に設けられていたが、これ以外に等間隔の角度毎(例えば、90°)に設けられた複数組の左右一対の腕部22を有する巻取り装置であってもよい。
【0073】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1・・・巻芯、2・・・巻芯、3・・・制御部、4・・・ポンプ、5・・・給水タンク、6・・・排水タンク、10・・・巻取り装置、12・・・巻取り機構、14・・・切断機構、15・・・噴射機構、20・・・回転軸、22・・・腕部、28・・・チャック部、32・・・主回転装置、34・・・噴霧腕部、36・・・噴霧腕駆動部、37・・・防水カバー、40・・・ノズル、42・・・排水口、50・・・フレーム、54・・・押圧ロール、62・・・切断装置、64・・・切断腕部、66・・・上支持軸、68・・・切断案内ロール、70・・・切断押圧ロール、72・・・カッタ装置