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特許7092745画像ベースの放射線治療計画に使用されるように構成される医用製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像ベースの放射線治療計画に使用されるように構成される医用製品
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019506636
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017070515
(87)【国際公開番号】W WO2018029368
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】16191485.8
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】201641027404
(32)【優先日】2016-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハラ エルッキ タパーニ
(72)【発明者】
【氏名】ガッタマネニ クマール ラジャ
【審査官】鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/045163(WO,A1)
【文献】特表2009-507524(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035463(WO,A1)
【文献】特表2007-514499(JP,A)
【文献】特表2019-500099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/00 - 5/10
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における治療標的に関するユーザ入力を受け、治療技術に関するユーザ入力を受けるように構成されるユーザインタフェースを有する、画像ベースの放射線治療計画のために使用されるように構成される医用製品であって、前記医用製品は、
- 患者の医用画像を取得するように構成される医用撮像システムと、
- 一つ又はそれより多くの前記医用画像に基づいて一つ又はそれより多くの輪郭をセグメント化するように構成される輪郭モジュールと、
- 前記一つ又はそれより多くの輪郭に基づいて放射線治療計画を計算するように構成される治療計画システムと
に接続され、
前記医用製品は、前記ユーザ入力を前記医用撮像システムのための関連する命令に変換し、前記治療計画システム、前記輪郭モジュール、及び前記医用撮像システムに読み取り可能なデータオブジェクトを実行するように構成され、前記データオブジェクトはこれらのシステム及びモジュールに対するコンピュータ読み取り可能な前記命令を有し、前記命令は、画像取得パラメータ、輪郭パラメータ、及び治療計画パラメータを有し、前記システム及びモジュールは、前記ユーザ入力に基づいて前記放射線治療計画の作成に寄与するように構成される、
医用製品。
【請求項2】
ユーザが前記輪郭モジュールによって生成される前記一つ又はそれより多くの輪郭をレビュー及び/又は適合させることを可能にし、更なるユーザ対話の必要なしに放射線治療計画を作成するように更に構成される、請求項1に記載の医用製品。
【請求項3】
更なるユーザ対話の必要なしに、前記ユーザ入力に基づいて放射線治療計画を作成するように構成される、請求項1に記載の医用製品。
【請求項4】
前記医用撮像システムは、一つ又はそれより多くの磁気共鳴画像を取得するように構成される磁気共鳴撮像システムであり、前記医用製品は、前記一つ又はそれより多くの磁気共鳴画像に基づいて減衰マップを計算するように構成される減衰マップ生成モジュールに接続されるように更に構成され、 前記治療計画システムは、前記減衰マップ生成モジュールによって提供される前記減衰マップに基づいて放射線治療計画を計算するように構成される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の医用製品。
【請求項5】
前記データオブジェクトは、前記磁気共鳴撮像システムがディクソン画像及びT2w画像を取得するための命令を有し、前記データオブジェクトは、前記輪郭モジュールが同相ディクソン及びT2w画像に基づいて前記一つ又はそれより多くの輪郭をセグメント化するための命令及び前記減衰マップ生成モジュールが前記ディクソン画像に基づいて減衰マップを作成するための命令をさらに有する、請求項4に記載の医用製品。
【請求項6】
前記システム又はモジュールのうちの1つの出力に基づいて前記命令を適合させるように構成される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の医用製品。
【請求項7】
前記医用製品は、前記輪郭モジュールによって提供されるセグメンテーション結果に基づいて、及び/又は前記減衰マップ生成モジュールによって生成される前記減衰マップの品質に基づいて、前記一つ又はそれより多くの医画像を再取得するための命令を提供するように構成される、請求項5に記載の医用製品。
【請求項8】
前記患者の前記一つ又はそれより多くの医用画像に基づいて、前記治療技術を無効にするように構成される、請求項6に記載の医用製品。
【請求項9】
前記データオブジェクトは、前記一つ又はそれより多くの輪郭のセグメント化の前に、前記医用画像を剛体又は非剛体態様でレジストレーションするための命令をさらに有する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の医用製品。
【請求項10】
前記医用撮像システムは、CT及び/又はPETシステムである、請求項1乃至9の何れか一項に記載の医用製品。
【請求項11】
前記ユーザインタフェースは、患者の位置決め、ユーザインタフェースツーリング、及び/又はビューレイアウトの選択もしくはそのテンプレートに関するユーザ入力を受けるように構成される、請求項1乃至10の何れか一項に記載の医用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療システム及び製品の分野に関し、より具体的には本発明は放射線治療の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の放射線治療ワークフローは時間がかかるワークフローである。患者が癌と診断され、放射線療法が最適な治療法であると決定された後、1つ以上の医用画像が患者から取得される。これらの医用画像は、治療標的(腫瘍)及び患者内のリスクのある器官の位置を決定するために使用されるであろう。すべての医用画像が取得されると、治療標的及びリスクのある器官が医用画像内に描かれる。この目的のために最も広く使用されている医用画像はコンピュータ断層撮影(CT)画像である。しかしながら、磁気共鳴画像(MRI)又は陽電子放出断層撮影(PET)画像は、特に治療標的を描写するために付加的な価値がある可能性がある。状況によっては、CT画像を完全にMRI画像で置き換えることが好ましい場合がある。
【0003】
また、患者内で放射線がどのように減衰されるかを決定するために、これらの医用画像のうちの1つ又は複数が使用されることになる。放射線減衰はCT画像から直接決定されることができる。しかしながら、このためにMRI画像を使用する場合、より複雑な画像処理が必要となるだろう。
【0004】
治療標的(例えば、前立腺小胞及び精嚢)及びリスクのある器官が描写され、放射線減衰についての情報が得られた後、治療技術は選択されるであろう。この治療技術は、例えば、どの治療装置が使用されているか、治療標的に対する線量の処方及びリスクのある器官に対する線量の制約、治療標的及び/又はリスクのある器官のための臨床目標、例えば強度変調放射線療法(IMRT)又はボリュメトリック変調アーク療法(VMAT)といった治療に用いられる方法、及びいくつかの治療の割合についての情報を有する。
【0005】
治療技術が選択された後、治療計画を開始することができる。結果として得られる治療計画に基づいて、患者は治療される。この全体のワークフローは、ケースの複雑さにもよるが、4乃至8時間、さらにはそれ以上かかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、放射線治療ワークフローを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、
画像ベースの放射線治療計画に使用されるように構成される医用製品であって、
- 患者の医用画像を取得するように構成される医用撮像システムと、
- 1つ以上の医用画像に基づいて1つ以上の輪郭をセグメント化するように構成される輪郭モジュールと、
- 1つ以上の輪郭に基づいて放射線治療計画を計算するように構成される治療計画システムと
に接続され、
【0008】
前記医用製品は、患者の治療標的に関するユーザ入力を受信し、治療技術に関するユーザ入力を受信するように構成されるユーザインタフェースを含み、前記医用製品は、ユーザ入力に基づいて治療計画システム、輪郭モジュール、及び医用撮像システムに読み取り可能なデータオブジェクトを実行するように構成され、データオブジェクトはこれらのシステム及びモジュールに対してコンピュータ読み取り可能な命令を有し、システム及びモジュールはユーザ入力に基づいて放射線治療計画の作成に寄与するように構成される、
医用製品による製品によって達成される。
【0009】
本発明者らの洞察は、治療技術が医用画像の取得の前に既に選択されている場合、放射線治療のワークフローを大幅に単純化することができるということにある。治療技術のこの選択は、画像取得パラメータから(自動)輪郭パラメータ及び治療計画パラメータまでの後続するすべてのステップに影響を与える。レビューオプションにも影響する可能性がある。これらのレビューオプションは、たとえば、画像又は結果がユーザによってどのように表示され得るかを決定する。これは、ユーザによって使用される輪郭モジュール、ビューイングステーション、又は計画システムにも依存し得る。発明者らのさらなる洞察は、1つのシステムから他のシステムへのデータのみを解析することに加えて、他のロジックも解析されることにある。これはワークフローを単純化するための道を開くかもしれない。現在、このロジックは異なるシステム及びモジュールにハードコード化されている。システムへのロジックの解析は、いわゆる「セラピーカード」を使って行うことができる。また、複合データを運ぶことはセラピーカードによってなされることができる。治療カードは多くの方法で実施することができる。これは、あるネットワークノードから別のネットワークノードに転送されるバイトデータのブロッブであり、各ノード又は一部のノード上のファイルとして示されている。また、中央サーバーに存在するオブジェクトへの参照でもあり、各ノードは(例えば、RESTfulアプリケーションプログラミングインターフェース又はDICOM Q / R、ストア、及び/又はワークリストサービスを使用して)リモートでオブジェクトを操作する。本発明により、長くて時間のかかる既存のワークフローを容易に自動化しかつ単純化することができる。
【0010】
本発明のさらなる実施形態によれば、ユーザの対話は画像取得の開始と放射線治療計画の終了との間に必要とされないか又は許可されない。このようにして、ワークフローに費やす工数を大幅に削減することができる。本発明のさらなる実施形態によれば、放射線腫瘍医は、例えば電子メール、インスタントメッセージアプリケーション、又はDICOMワークリストサービスクラスプロバイダにリンクされているタブレット/デスクトップアプリケーションによって、治療計画の準備ができていて、チェックする必要があるという警告を受け取ることができる。
【0011】
さらなる実施形態によれば、ユーザ、例えば放射線腫瘍医は、情報が不足していると患者の待ち時間が長くなる可能性があるため、特定の情報が欠けているとき警告を受け取る。例えば、特定の画像が取得されておらず、一方、患者は近い将来治療の予定があるときにユーザに警告されてもよい。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、医用製品は、初回の処方時、又はスキャナー時などに、例えば静的構成オプション又は動的なケースバイケースのユーザ選択可能な又は自動的に設定されるオプションの何れかとして、自動的に生成されるレジストレーション、描写又は輪郭のユーザ適応及び/又はレビューを可能にするように構成できる。このようにして、治療の困難さ及び治療計画の生成を支援するために利用可能な自動化のレベルに応じて、ユーザが異なるワークフローの間で切り替えることができるのでこの実施形態は有利である。
【0013】
本発明の実施形態によれば、(自動)輪郭パラメータは自動輪郭形成を操作するパラメータであり得る。それに加えて又はその代わりに、これらのパラメータは描写されるべき構造の名前及び/又はこの描写に使用されるべき色を記述することができる。これにより、標準化が改善され、それによってエラーが発生する可能性が低減される。
【0014】
本発明のさらなる実施形態によれば、治療カードは、レビュー段階及びユーザ適応段階におけるステップを自動化するためにスクリーンレイアウト又は編集ツール設定を運ぶことができる。また、ユーザインターフェースは、患者の位置決め、ユーザインターフェースツーリング、及び/又はビューレイアウトの選択もしくはそのテンプレートに関するユーザ入力を受信するように構成することができる。このようにして、医用製品は異なるビューイングステーション又は計画ソフトウェアと連携するようにカスタマイズできる。医用製品(治療カード)はまた、使用適応/又はレビューに有益な方法でデータを表すために、PET、MRI、及びCTなどの複数のソースからデータを引き出して表示するためのレジストレーション命令の記憶を可能にすることができる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態によれば、医用撮像製品は、1つ又は複数の磁気共鳴画像を取得するように構成される磁気共鳴システムを有し、医療製品は、1つ以上の磁気共鳴画像に基づいて減衰マップを計算するように構成される減衰マップ生成モジュールに接続されるようにさらに構成され、 治療計画システムは、減衰マップ生成モジュールによって提供された減衰マップに基づいて放射線治療計画を計算するように構成される。減衰マップモジュールのための別のオプションは、MRIがより良好な軟組織コントラスト輪郭を有するCTベースの治療を強化するために使用されるワークフローにおいて使用される場合、CT及びMRI画像を(変形可能に)レジストレーションすることである。 CT + PET(+ MRI)もレジストレーションのためにモジュールを必要とするであろう。この実施形態は、それが完全にMRIベースのワークフローをサポートするので有利である。これは、CT及びMRI画像のレジストレーションから生じる画像レジストレーションエラーを回避しながら、治療標的のより正確な描写をもたらし得るので、有利である。また、計画プロセスからCTを排除することで、患者への放射線を減らすことができる。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、データオブジェクト、例えばファイル、揮発性メモリオブジェクト、又は(可能な限り遠隔からアクセス可能な)データベースエンティティは、MRIシステムがディクソン画像及びT2w画像を取得するための命令を有し、データオブジェクトはさらに、輪郭モジュールが同相ディクソン画像及びT2w画像に基づいて1つ又は複数の輪郭をセグメント化するための命令を有し、データオブジェクトはさらに、減衰マップ生成モジュールがディクソン画像に基づいて減衰マップを作成するための命令を有する。減衰マップを作成及び輪郭付け又は輪郭描写するために医用画像のいくつかを使用することによって、画像取得に費やす時間が少なくなり、その結果、動きによる誤差が少なくなるため、この実施形態は有利である。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、データオブジェクト、例えばファイル、揮発性メモリオブジェクト、又は(可能な限り遠隔アクセス可能な)データベースエンティティは、MRIシステムが、MRI技術者に患者を治療位置に配置するように指示する命令、医用撮像システムが医用画像を取得する命令、輪郭モジュールが一つ以上の輪郭をセグメント化する命令、及び随意に減衰マップ生成モジュールが一つ以上の医用画像に基づいて減衰マップを作成する命令を有する。データオブジェクトは、治療計画システムが所与の又は参照される最適化目標を用いて治療計画を作成するための命令をさらに有する。位置決め命令を示し、減衰マップを作成及び輪郭付け又は輪郭描写するために医用画像のいくつかを使用することによって、画像取得及び患者処置に費やす時間が少なくなり、その結果、動きによる誤差が少なくなるため、この実施形態は有利である。例えば、画像内の視野を制限し、治療に適切な、リスクのあるそれらの器官に輪郭を描くことによって、後続する治療計画生成のための撮像の最適化を可能にするため、治療計画の設定及びデータへの生成命令を組み合わせることは有利であり、これにより、画像取得回数が短縮される。本発明のさらなる実施形態によれば、医用製品は、システム又はモジュールのうちの1つの出力に基づいて命令を適合させるように構成される。これは、治療計画の改善又はより効率的なワークフローをもたらし得るので有利である。この例は以下となる。1. 画質が手動輪郭作成に対して十分に広がらない場合、2.(自動)輪郭作成モジュールによって達成される確実性が十分である場合、低分割のための治療計画を作成することができるが、(自動)輪郭作成がより難しいように見える場合、より標準的な治療計画が作成される。3. 例えば拡散強調画像又はPET画像のような機能画像に基づいて、治療計画にブーストボリュームを含めることを決定することができる。本発明のさらなる実施形態によれば、治療計画システムは複数の計画、例えば上述の実施形態によれば、ユーザの指示に従った参照計画及び適合される計画を計算するように命令される。別のオプションは、計画の複数の変形が計算され、そこからユーザが選択することができることであり得る。この実施形態は、複数の計画をレビューして最良のオプションを決定する機会がユーザに与えられるので有利である。これは、信頼できる計画生成を可能にするワークフローの強化でもある。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、医用製品は、輪郭モジュールによって提供されるセグメンテーション結果に基づいて、及び/又は減衰マップ生成モジュールによって生成される減衰マップの品質に基づいて、1つ又は複数の医療画像を再取得するための命令を提供するように構成される。例えば、医用製品は、長いアルゴリズム(例えば、自動輪郭形成アルゴリズム又はMRIデータからの擬似CT生成)の開始の間に撮像モダリティで治療カードロジックを解析するように構成することができる。初期チェック又は前処理アルゴリズムが無効な患者の位置、患者の動き、又は回復可能だがアルゴリズムの欠陥を引き起こす可能性がある他のアーチファクトを検出する場合、ロジックは技術者に早期警告信号を提供することができる。これにより、技術者は撮像セッション内で患者を再スキャンすることができる。この実施形態は、輪郭モジュールを直ちに開始し、十分な品質での輪郭形成が可能であるかをチェックすることによって、患者が再スキャンされる必要があるか、又は準最適な治療を受けることを回避できるので有利である。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになりかつ説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態による医用製品を概略的に示す。
図2】本発明の実施形態において使用することができるユーザインタフェースを概略的に示す。
図3】本発明の実施形態による医用製品を概略的に示す。
図4】本発明の実施形態において使用することができるユーザインタフェースを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態による医用製品を概略的に示す。医用製品は、ユーザインタフェース105を有する。ユーザインタフェースでは、患者を選択することができる。さらに、ユーザインターフェースは、患者の治療標的106に関してユーザ入力を受け取り、治療技術107に関してユーザ入力を受け取るように構成される。この選択は、次のワークフローのための1つ以上のパラメータを自動的に決定し得る。これらのパラメータは、例えば、治療及び/又はリスクのある器官に対してどのような構造を描写するか、どのマージンを使用するか、及び/又はどの線量制限を使用すべきかであり得る。代わりに、これらのパラメータのうちのこれらの1つ又は複数は、ユーザインターフェース108においてユーザによって特定され得る。また、医用製品は、例えば腫瘍の病期、陽性生検コアの数及び/又は位置、腫瘍特異的マーカー、患者の年齢のような患者情報に基づいてこれらのパラメータのうちのいくつかを自動的に推定し得る。治療技術は、例えば、使用されている治療装置(例えば、リニアック(Linac)、陽子線治療など)についての情報、ならびに病院内のどの特定の治療装置が使用されることになっているか(例えば、リニアック番号3)、コンフォーマル、IMRT、又はVMAT治療が使用されるかについての情報を有することができる。医用製品は、患者位置決め、ユーザインターフェースツーリング及び/又はビューレイアウト選択もしくはそのテンプレート108に関するユーザ入力を受け取るようにさらに構成することができる。ユーザインターフェースツーリング及び/又はビューレイアウト選択は、ビューイングステーション上のビューイング設定のレイアウト及び/又は治療計画システムを決定する。
【0022】
製品は、1つ以上の医用撮像システム110に接続されるように構成される。そのような医用撮像システムの例は、CT、MRI、超音波、PET、SPECTであり得る。医療用撮像システムの組み合わせもまた有利であり得る。いくつかの医療用撮像システムは、体輪郭又はリスクのある器官の描写に使用するのに適した画像を取得するために使用できるが、他の医療用撮像システムは、患者の内部の腫瘍を描写又は特徴付けるために使用される(例えば、MRI又はPET)。これは次に、ブーストボリューム及び/又は腫瘍に適用される線量に影響を及ぼし得る。医用製品は、ユーザ入力を医用撮像システムのための関連する命令に変換するように構成される。ユーザはどの画像を取得する必要があるかを特定してもよい。しかしながら、より好ましくは、医用製品は、選択される治療標的及び治療技術に基づいてこれを自動的に導き出す。例えば、前立腺が治療標的として選択される場合、医用製品によって実行されるファイルは、輪郭を描き、減衰マップを生成するためのディクソン画像及びT2w画像を磁気共鳴撮像システムが取得するための命令を有し得る。データオブジェクトは、前立腺内のブーストボリュームを定義するために後で使用され得る拡散重み付け画像を取得するための命令をさらに有し得る。ユーザはまた、治療のための患者位置決め命令を特定し、スキャニングワークフローの正しいタイミングでユーザに表示されるようにファイルに含まれ得る。
【0023】
医用製品は、医用撮像システムから輪郭モジュール120に関連する医用画像を解析するように構成される。輪郭モジュールは、1つ以上の医用画像に基づいて1つ以上の輪郭をセグメント化するように構成される。画像120aは、輪郭モジュール120の出力の一例を示す。画像120aでは、例えば前立腺と直腸がセグメント化されている。医用画像に加えて、関連するユーザ入力が輪郭モジュールに提供される。例えば、前立腺が治療標的として選択される場合、医用製品は前立腺及び描写される必要のある直腸及び膀胱をそれから自動的に推定することができる。選択される治療技術に依存して、精嚢及び/又はリンパ節は標的ボリュームに含まれても含まれなくてもよい。また、選択される治療技術に依存して、ブーストボリュームを定義することができるようにするために、いくつかの追加の医用画像を輪郭モジュールに提供することができる(例えば、DWI又はPET画像を提供することができる)。さらにより具体的には、医用製品によって輪郭モジュールに提供されるファイルは、どの輪郭をどの画像にセグメント化すべきかを決定する輪郭モジュールのための命令を有することができ、例えば同相ディクソン画像及びT2w画像に基づいて1つ又は複数の輪郭がセグメント化される。医用製品は、(潜在的に医用画像の検出される画質に基づいて)ユーザが手動で輪郭を作成又は適合させることを可能にする命令を提供することができる。しかしながら、輪郭形成は自動的に行われることが好ましい。
【0024】
輪郭モジュール120は、患者が依然として医用撮像システム内にいる間に実行することができる。その場合、医用製品は、輪郭モジュールから医用撮像システムにフィードバックを提供するように構成することができる。このフィードバックは、特定の医用画像を再取得するように医用撮像システムに命令するために使用することができる。例えば、医用製品は、長いアルゴリズム(例えば、自動輪郭形成アルゴリズム又はMRIデータからの擬似CT生成)の開始中に撮像モダリティで治療カードロジックを解析するように構成することができる。初期チェック又は前処理アルゴリズムが無効な患者の位置、患者の動き、又は回復可能だがアルゴリズムの欠陥を引き起こす可能性がある他のアーチファクトを検出する場合、ロジックは技術者に早期警告信号を提供することができる。これにより、技術者は撮像セッション内で患者を再スキャンすることができる。
【0025】
医用製品がMRIベースのワークフローで使用される場合、医用製品は、減衰マップ生成モジュール130に命令を提供するように構成され得る。減衰マップ生成モジュールは、1つ以上の磁気共鳴画像に基づいて減衰マップを計算するように構成される。画像130aは、減衰マップ生成モジュール130によって生成される減衰マップの一例を示す。減衰マップを生成するための方法は、ユーザによって選択される治療目標に依存して作られてもよい。
【0026】
医用製品はさらに、医療画像、セグメント化される輪郭、及び減衰マップを治療計画システム140に提供するように構成される。治療計画システムは、1つ又は複数の輪郭に基づいて放射線治療計画を計算するように構成される。画像140aは、治療計画システムによって計画される計画線量分布の一例を示す。さらに、医療システムは、ユーザ入力を治療計画システムのための命令に変換するように構成される。随意に、これらの命令はさらに、医用撮像システム又は他のモジュールの1つ又は複数の出力に依存することができる。例えば、画質、セグメンテーション及び/又は減衰マップにおける不確実性を治療計画システムへの入力として使用することができる。これらの不確実性は、治療計画を作成するときに治療計画システムによって使用される可能性がある。たとえば、余白を追加することでこれを使用できる。例えばブーストボリュームが定義される特定の医用画像の画質が十分でない場合、医用製品は、選択される治療技術から逸脱するように構成されることができ、医用製品は、命令を無効にして治療技術をブーストボリュームを含まない治療に変更するように構成され得る。また、特定の画像に基づいて腫瘍が予想より進行しているように見える場合、治療技術は変更されてもよく、例えば線量の制約が変更されてもよく、又は標的ボリュームが変更され得る。精嚢は標的ボリュームに含まれ得る。随意に、この場合、治療計画システムは、命令される複数の計画、ユーザ入力に基づく1つの治療計画、及び1つの適応される計画になり得る。随意に、治療計画が終了した場合、ユーザ、例えば医師は、彼が治療計画と輪郭を確認できるように警告される。また、随意に、システムは、ユーザ入力又はユーザの好ましいシナリオから逸脱した情報をユーザに提供することができる。医用製品は、ユーザ対話に輪郭描写が許可されるように構成することができる。しかしながら、好ましくは、医用製品は、医用画像の取得開始後にユーザ対話がもはや許可されないように構成される。
【0027】
図2は、本発明の実施形態において使用することができるユーザインタフェースを図式的に示す。ユーザインタフェース105では、患者の人口統計を入力することができ、又は腫瘍学情報もしくはPACSシステムから取得することができる。例えば、患者名201、患者ID202、患者の体重203、及び/又は患者の性別204を入力することができる。また、ユーザインターフェースは、患者がインプラントを有するかについての入力を可能にし得る。インプラントの存在は撮像技術又はシーケンスに影響を与える可能性がある。例えば、金属アーチファクトに対する感度が低い撮像技術又はシーケンスを使用することができる。それに加えて又はその代わりに、放射線ビームは好ましくはインプラントに向けられるべきではないので、インプラントの存在は治療計画アルゴリズムに影響を及ぼし得る。
【0028】
ユーザインターフェースにおいて、ユーザは治療技術206を選択することができる。代わりに、治療技術は患者の人口統計から導き出すことができる。治療技術は、例えば「VMAT前立腺」であり得る。より詳細には、治療技術は、放射線治療技術207(例えば「VMAT」)、総線量208(例えば72Gy)、分割数209(例えば28)、及び治療機械210を有することができる。治療技術は、追加のテキストボックス216にさらに記載され得る。ユーザは、治療計画のレビューを誰に割り当てるのかを(211)特定することができる。レビューする人は、例えば異なる放射線腫瘍医の作業負荷に基づいて自動的に選択されることもできる。スキャンの日付は212で与えられ、また撮像モダリティ213(例えばMRI)も与えられる。また、検査カードを選択することができる(214)。代わりに、医用製品は、患者の人口統計学及び/又は治療技術に基づいて自動的に検査カードを選択することができる。ユーザインターフェースは、オートコンターを生成するべきかを選択するためのオプションをさらに有することができる。代わりに、輪郭の命名及び色のみを提供することができる。患者位置決め命令もまた提供され得る(217)。さらに、ユーザは、どの輪郭モジュールが使用されるべきか、及びどの人物に輪郭が割り当てられるかについての入力を提供し得る。代わりに、医用製品は自動的に一方又は両方を選択してもよい。必要な情報がすべて提供されると、患者はキュー221に追加される。
【0029】
図3は、本発明の実施形態による医用製品を図式的に示す。腫瘍学情報システム303は、情報(例えば、患者の人口統計、腫瘍の病期など)を医用製品302に提供することができる。ユーザ入力及び/又は腫瘍学情報システムからの情報に基づいて、医用製品は撮像命令を医用撮像システム100に送信することができる。医用製品からの命令及びユーザ入力に基づく医用撮像システムによって取得される医用画像に基づいて、医用製品は輪郭付け命令を輪郭モジュール120に送信する。輪郭付けの後、輪郭モジュールは輪郭を医用製品に送り、これらの画像及び医用画像を治療計画命令と共に治療計画システム140に送る。これらの入力に基づいて、治療計画システムは治療計画を作成する。
【0030】
図4は、本発明の実施形態において使用することができるユーザインタフェースを図式的に示す。このユーザインタフェースは、プロセスを監視するために使用することができる。それは、患者ID401、患者名402、全プロセス又は特定のタスクを担当する人403、使用される治療技術404、及びステータス(例えば、「レビュー準備完了」、「輪郭作成保留」、「撮像保留」)を示し得る。ステータスがレビューの準備はできているとき、放射線腫瘍医は患者ファイルを開いて治療計画をレビューすることができる。
【0031】
本発明を図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明してきたが、そのような図示及び説明は例示的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明は開示される実施形態に限定されない。
図1
図2
図3
図4