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  • 特許-安全要素及び安全要素を備えた有価文書 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】安全要素及び安全要素を備えた有価文書
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/387 20140101AFI20220621BHJP
   B42D 25/23 20140101ALI20220621BHJP
   B42D 25/29 20140101ALI20220621BHJP
   B41M 3/14 20060101ALI20220621BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B42D25/387
B42D25/23
B42D25/29
B41M3/14
B32B27/00 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019515936
(86)(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017075264
(87)【国際公開番号】W WO2018065496
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】16192287.7
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511214727
【氏名又は名称】ヒュック・フォーリエン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】519095393
【氏名又は名称】バンク デ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】シャイデッグ,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ランダーツハーマー,ソニア
(72)【発明者】
【氏名】カピーズ,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】マーチン,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ビルコ,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ブランク,ミシェル
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-063611(JP,A)
【文献】実開昭56-000564(JP,U)
【文献】特開2013-184348(JP,A)
【文献】特開2003-121625(JP,A)
【文献】特開2006-192706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0173406(US,A1)
【文献】特開2011-158503(JP,A)
【文献】特開2006-306115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/00
25/00 - 25/485
B32B 27/00 - 27/42
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のポリマー層(1)及び第二のポリマー層(2)を備え、紫外線の下でルミネセンスを発する、視覚的に認識可能な網版印刷画(3)を前記第一の層(1)及び前記第二の層(2)の間に備えたストリップの形の安全要素であって、前記網版印刷画(3)が不透明性を備えており、及び境界輪郭(4)を備えた少なくとも1つの印刷文字面(5)を前記安全要素(100、101)内に形成する安全要素において、
前記2つのポリマー層(1、2)のうちの少なくとも1つが、少なくとも前記印刷文字面(5)の前記境界輪郭(4)の範囲で不透明性を備え、及びその不透明性を前記印刷文字面(5)の不透明性に適合されて形成され、安全要素(100、101)において前記ルミネセンスを発する網版印刷画(3)の前記印刷文字面(5)の前記境界輪郭(4)の視覚的認識可能性が弱められており、
前記網版印刷画(3)と、前記2つのポリマー層(1、2)のうちの少なくとも1つとが、不透明性値で同じであることを特徴とする、安全要素。
【請求項2】
請求項1に記載の安全要素であって、前記2つのポリマー層(1、2)のうちの少なくとも1つが、全体にわたって前記印刷文字面(5)の不透明性に適合されて形成されることを特徴とする、安全要素。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の安全要素であって、光拡散・散乱性の塗膜(6)が、前記第一の層(1)を形成することを特徴とする、安全要素。
【請求項4】
請求項3に記載の安全要素であって、前記光拡散・散乱性の塗膜(6)が、艶消し塗膜(6)であることを特徴とする、安全要素。
【請求項5】
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の安全要素であって、前記第二の層(2)が接着剤層(8)として形成されていることを特徴とする、安全要素。
【請求項6】
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の安全要素であって、前記網版印刷画(3)が異なった色の、特に赤及び/又は緑及び/又は青の、ルミネセンスを発するハーフトーンドット(11、12、13)を備えていることを特徴とする、安全要素。
【請求項7】
請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の安全要素であって、前記網版印刷画(3)がハニカム状の格子構造(14)を備えていることを特徴とする、安全要素。
【請求項8】
請求項7に記載の安全要素であって、前記ハニカム状の格子構造(14)が六角形のハーフトーンセル(15)を備え、前記六角形のハーフトーンセルが隣り合って配置されたハーフトーンドット(11、12、13)から構成されていることを特徴とする、安全要素。
【請求項9】
請求項8に記載の安全要素であって、前記六角形のハーフトーンセルが、三角形の互いに境を接して隣接したハーフトーンドット(11、12、13)から構成されていることを特徴とする、安全要素。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の安全要素であって、各ハーフトーンセル(15)がそれぞれ2つの色の同じルミネセンスを発するハーフトーンドット(11、12、13)を有していることを特徴とする、安全要素。
【請求項11】
請求項10に記載の安全要素であって、前記網版印刷画(3)の色印象が欠けているハーフトーンドット(16)に応じて形成されることを特徴とする、安全要素。
【請求項12】
請求項10又は1に記載の安全要素であって、前記網版印刷画(3)の色印象が、ハーフトーンドット(11、12、13)のサイズに応じて形成されることを特徴とする、安全要素。
【請求項13】
請求項6に記載の安全要素であって、前記網版印刷画(3)の前記ハーフトーンドット(11、12、13)が、サイズが10~500μmであることを特徴とする、安全要素。
【請求項14】
請求項13に記載の安全要素であって、前記網版印刷画(3)の前記ハーフトーンドット(11、12、13)が、サイズが50~200μmであることを特徴とする、安全要素。
【請求項15】
基材(21)を有する有価文書であって、前記基材(21)の上に請求項1~1のうちのいずれか一項に記載の安全要素(100、101)を有する、有価文書。
【請求項16】
請求項1に記載の有価文書であって、前記安全要素(100、101)が前記基材(21)の縁から反対側にある前記基材(21)の縁まで連続して伸びていることを特徴とする、有価文書。
【請求項17】
請求項1又は1に記載の有価文書であって、前記安全要素(100、101)の前記第一の層(1)の表面と、前記基材(21)の上に前記安全要素(100、101)を有しない範囲における前記有価文書(200、201)の表面で、その触覚的な性質及び/又はその視覚的な外観が、同じであることを特徴とする、有価文書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一及び第二のポリマー層を有し、第一と第二の層の間に紫外線の下でルミネセンスを発する視覚的に認識可能な網版印刷画を備えた、ストリップの形の安全要素及び有価文書に関し、網版印刷画が不透明性を有し、及び境界輪郭を備えた少なくとも1つの印刷文字面が安全要素内に形成される。
【背景技術】
【0002】
従来技術(特許文献1)では、第一のポリマー層と第二のポリマー層との間に、紫外線の下でルミネセンスを発する、視覚的に認識可能な印刷文字を備えたストリップの形の安全要素が周知である。しかしこのようなルミネセンスを発する印刷文字は、常にいくらかの不透明性を示しており、そのために安全要素の印刷文字面の境界輪郭は比較的はっきり認識可能である。不都合にはこのような印刷文字は、安全要素での不透明性にばらつきが出てしまう可能性があり、そのために偽造安全性等が損なわれ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第1241022号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、冒頭に挙げた従来技術に基づき、ルミネセンスを発する印刷文字を備えた安全要素の偽造安全性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、2つのポリマー層のうちの少なくとも1つが、少なくとも印刷文字面の境界輪郭の範囲に不透明性を備え、及び安全要素にあるルミネセンスを発する網版印刷画の印刷文字面の境界輪郭の視覚的な認識可能性を弱めるために、その不透明性が印刷文字面の不透明性に適合されて形成されることで解決される。
【0006】
2つのポリマー層のうちの少なくとも1つが、印刷文字面の境界輪郭の範囲に、特に全体にわたって、不透明性を備え、及び安全要素にあるルミネセンスを発する網版印刷画の印刷文字面の境界輪郭の視覚的な認識可能性を弱めるために、その不透明性が印刷文字面の不透明性に適合されて形成される場合、とりわけ製造費用が高くなるために、ことのほか偽造される恐れのない安全特徴が安全要素に形成され得る。さらに、特定の条件下で安全要素の一般的な外観と変わらない、覆い隠された安全特徴を備えた安全要素を提供することが可能になる。本発明により、ルミネセンスを発する印刷文字の境界輪郭、つまり安全要素に関して、印刷文字の視覚的認識可能性を、特に白色光の下ではできないか又はほとんどできないが、例えば紫外線光を照射すると確実に視覚的に認識可能であるように、弱めるか又は覆い隠すことができる。不透明性の適合がされていない従来技術とは異なり、視覚的に容易に認識可能な印刷文字はすでに安全特徴に関してヒントを与えることができることで、特定の条件下で、特に白色光の下では認識できないか困難である安全特徴は、本発明による安全要素により真正性の証明が大幅に向上し、その結果として偽造安全性に寄与できる。
【0007】
一般的には、網版印刷画とは、ラスター点又は印刷点が隣接して又は上下に描かれ得る、印刷ラスターを備えた印刷された画像であると理解できる。加色混合及び/又は強度バリエーションによって画像効果が生じ得る。網版印刷画は、単色又は多色の画像として示され得る。
【0008】
一般には、紫外線の下でルミネセンスを発する印刷文字のために、例えばルミネセンスを発する色素又は顔料を含む印刷用インキを使用できるとされている。このルミネセンスを発する色素及び/又はルミネセンスを発する顔料は、例えば放射の影響下でエネルギーによって励起された状態にされ、その後で自発的に低エネルギー状態に移行し、その際に測定の波長のフォトンが放出され、これが相応する波長で人間の眼に知覚され得る。
【0009】
さらには、一般に、ルミネセンスを発する印刷文字及び/又は網版印刷画は、一般的に行われている、例えば接触式又は非接触式の印刷方法で、例えばグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、石版印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、又はインクジェット印刷などの方法で施すことができるとされている。
【0010】
一般にはさらに、ポリマー層の不透明性とは、可視光の波長域における不透過率であると理解される。
【0011】
網版印刷画と少なくとも1つのポリマー層の不透明性値がほぼ同じである場合、ルミネセンスを発する印刷文字の境界輪郭の視覚的遮蔽が安定して、また、特に簡単で安価に達成され得る。網版印刷画と第二のポリマー層がほぼ同じか、又は特に互いに適合されている場合、本発明による利点が同じく、第二の層の上に網版印刷画が配置されていない範囲で簡単に達成されることが、簡単な方法で確保され得る。
【0012】
安全要素にあるルミネセンスを発する網版印刷画の印刷文字面の境界輪郭の視覚的な認識可能性は、光拡散・散乱性の塗膜が第一の層として形成されている場合、特に確実に弱められ得る。これに関して、特に艶消し塗膜が優れている。このような光拡散・散乱性の塗膜は、安定して安全要素の異なる不透明性を調整でき、それによって所望の、とりわけ均質な、安全要素の外観をもたらし得る。特に偽造される恐れのない安全要素がこのようにして提供できる。
【0013】
加えて、一般に、安全要素は特に有利には、第一の層が印刷可能である場合、有価文書に埋め込まれ得るとされている。別法として、第一の層と有価文書を光学的に及び/又は触覚的に互いに適合することも可能である。全体にわたって印刷可能であることで、安全要素偽造安全性が改善され得る。
【0014】
この第二の層が接着剤層として形成されている場合、安全要素は外部からの影響から保護され得、さらに取り扱いやすく有価文書又は任意のキャリアに備えられ得る。特にルミネセンスを発する印刷文字の蛍光色素の酸化が防止できる。このように、本発明により、特に堅牢で安定した安全要素が作り出され得る。
【0015】
接着剤層は特に、ヒートシール接着剤又はコールドシール接着剤であってよい。しかし第二の層は別法として接着剤付きコーティング、放射硬化式コーティング又は他の同等のコーティングであってもよい。
【0016】
一般的に言うと、第二の層はさらに半透明であってよい。特に取り扱いやすく、さらに安定した安全要素を作り出すことができる。なぜなら第二の層は安全要素の光学的外観、ひいてはその安全特徴を損なわないからである。
【0017】
網版印刷画が色の異なるルミネセンスを発するラスター点を備えている場合、構造的に単純な方法で多色のルミネセンスを発する印刷文字が作り出せる。この多色のルミネセンスを発する印刷文字は、それどころか、赤及び/又は緑及び/又は青のルミネセンスを発するラスター点が使用されている場合、トルーカラーに形成できる。
【0018】
網版印刷画がハニカムラスターを備えている場合、ルミネセンスを発する印刷文字で特に偽造される恐れのない安全特徴を作り出すことができる。
【0019】
ハニカムラスターが、隣り合って配置された三角形のラスター点から構成される六角形のラスターセルを有している場合、特に、ラスター点が互いに互いに境を接して隣接している場合、安全特徴の偽造安全性がさらに改善され得る。
【0020】
ラスターセルがそれぞれ2色の同じルミネセンスを発するラスター点を有している場合、ルミネセンス強度とルミネセンスを発する印刷文字の色再現が特に均一に形成され得る。
【0021】
ラスターセルの色印象がかけているラスター点によって形成される場合、網版印刷画内での色再現とルミネセンス強度のバリエーションは、構造的に簡単な方法で達成され得る。
【0022】
さらに、安全要素は、ラスターセルの色印象がラスター点のサイズに応じて形成される場合、優れている。これによって何よりも、特に均質な網版印刷画を作り出すことが可能であり、やはり安全要素の偽造安全性に役立ち得る。
【0023】
好ましくは網版印刷画のラスター点はサイズが10~500μm、特に50~200μmである。
【0024】
一般的に言うと、安全要素の偽造安全性は、第一と第二の層の間に刻印された屈折構造とこの屈折構造に接続しているメタライゼーションが備えられている場合、さらに改善可能である。刻印された屈折構造は、ここでは、反射ホログラムを形成するために、特に接続しているメタライゼーションと相互作用が可能である。
【0025】
一般に、このような反射ホログラムは、観察する方向から見て、選択的に、ルミネセンスを発する印刷文字の上又は下に配置されてよいことが確認される。反射ホログラムが印刷文字の上に配置されている場合、対応する空白部によって反射ホログラム内で印刷文字の視覚的認識可能性が保証される。
【0026】
また一般に、この機械可読式の安全特徴が、特に磁気性、例えばマグネットストリップを備えている場合、安全要素の偽造安全性はさらに高められ得ることが確認される。このような磁気性がホログラムと組み合わされて備えられることも考えられ得る。
【0027】
一般に、安全要素の厚みが30μm以下、特に25μm以下である場合、特に高い安定性と安全要素の偽造安全性が達成され得ることが確認される。それによって安全要素を基材又は有価文書にほとんど盛り上がりなしで埋め込むことが可能になる。
【0028】
本発明による安全要素は、有価文書の基材上に備えられ、それと結合されている場合、その利点を特に際立たせることができる。有価文書として例えば銀行券、納税印紙、旅券、運転免許証又は身分証明書などが考えられる。
【0029】
特に、これに関して、基材の縁から反対側にある基材の縁まで連続して広がっている、本発明による安全要素を備えた有価文書はより優れている。この場合、安全要素はストリップ形状、糸形状又は帯形状である。
【0030】
有価文書の偽造安全性は、安全要素の第一の層と有価文書の表面で、その触覚的な特性及び/又はその視覚的外観がほぼ同じである場合、さらに改善される。それによって例えば、その結果として、基材とルミネセンスを発する印刷文字との間の、視覚的に認識可能な不透明性の差異を防止でき、そのことによって白色光の下で観察した場合に有価文書に安定して隠すことができる。このような不透明性の差異に関し、安全要素に印刷可能な艶消し塗膜は特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第一の実施様態による安全要素を備えた有価文書の断面図である。
図2】第二の実施様態による安全要素を備えた有価文書の断面図である。
図3図2の安全要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図には、発明対象物の例として、実施態様を挙げて詳しく示している。図1にはキャリア基材10、特にキャリアフィルムに配設された、第一のポリマー層1と第二のポリマー層2を備えた安全要素100が示されている。第一と第二のポリマー層1、2の間に、紫外線の下でルミネセンスを発する不透明性を備えた網版印刷画3が、キャリア基材10の上に配置され、これが少なくとも1つの、境界輪郭4によって区切られた印刷文字面5を、安全特徴として安全要素100に形成している。網版印刷画3は、視覚的に認識可能である。網版印刷画3は、この場合特に、印刷されていない範囲に比べてより高い不透明性を有するか又は不透明であってよい。
【0033】
本発明により、第一のポリマー層1及び/又は第二のポリマー層2は、この場合好ましくは印刷文字面5の境界輪郭4の範囲に、しかし特に全体にわたって、その不透明性が印刷文字面5の不透明性に適合され、それによって印刷文字面5の境界輪郭4の視覚的な認識可能性が弱められる。示された実施例では、ルミネセンスを発する網版印刷画3はそれゆえに安全要素100内で、白色光の下の観察では隠れている。網版印刷画3が隠れるか見えるかの条件は、当然必要に応じて変化させることができる。それによって構造的な費用の増加、ひいては模倣の困難さのほかに、偽造安全性なども、発明による安全要素100によって高められる。
【0034】
第一のポリマー層1が光拡散・散乱性の艶消し塗膜6によって形成される場合、特に優れ得る。これは本発明による利点を、境界輪郭4に関して安定して確実にするが、安全要素100の全体の外観が有価文書200に適合されることによっても優れ得る。その上、第一の層1は、特に艶消し塗膜6の形で、簡単に印刷可能であり、及びそれによって特に偽造される恐れなく有価文書に埋め込まれ得る。安全要素100の第一の層1は、ここでは有価文書200の表面仕上げに、又は有価文書200の基材21に、視覚的に適合され、これによって、触覚的な性質の観点からも考えることが可能である。
【0035】
第二の層2は、図1に示された例では、半透明な熱融着塗膜8として形成されている。熱融着ラッカー8の上にはさらに保護ラッカー7が塗布され、網版印刷画3内に含まれているルミネセンス色素が酸化から保護される。網版印刷画3と第二のポリマー層2の不透明性は、別法として、ほぼ同じであってよく、それによって境界輪郭4の視覚的認識可能性が特に簡単に低減できる。
【0036】
安全要素100の網版印刷画3は、図3の平面図でわかるように、赤、緑及び青のルミネセンスを発するラスター点11、12及び13を備えている。これによってトルーカラーのルミネセンスを発する網版印刷画3がもたらされる。ラスター点11、12、13は、ここでは、ハニカムラスター14の六角形のラスターセル15がそれぞれ6つの互いに隣り合って配置され、互いに境を接して隣接したラスター点11、12、13を備えるように、網版印刷画3のハニカムラスター14に配置されている。各ラスターセル15には、それぞれ2つの赤いルミネセンスを発するラスター点11と、2つの緑のルミネセンスを発するラスター点12と、2つの青いルミネセンスを発するラスター点13が示されている。異なった色のラスター点11、12、13がそれぞれ色を交互に入れ替えられて配置され、及びサイズが10~500μm、特に50~200μmである。
【0037】
ラスターセル15の色印象を変化させるため、又はトルーカラーイメージを作り出すため、ラスターセル15内では個々のラスター点16が抜かれ、図3の詳細図のように示される。同様に、図中には詳細に図示していないが、ラスターセル15の色印象はさまざまにサイズの変化するラスター点11、12、13により形成されることが考えられ得る。
【0038】
図2には安全要素101が示され、ここでは第一の層1と第二の層2との間に刻印塗膜17が備えられており、これは刻印された屈折構造18を備えている。刻印塗膜17にはさらに、部分的なメタライゼーション19が反射層として配設され、刻印された屈折構造18と共に相互作用して反射ホログラム20をもたらす。反射ホログラム20は、ここではストリップ、文字又は模様の形で安全要素101の上に部分的に備えられていてよい。
【0039】
本発明による安全要素100、101は、厚みが30μm以下、特に25μm以下である。
【0040】
図1及び図2は有価文書200、201を示しており、有価文書200、201の基材21上にそれぞれ1つの安全要素100又は101が備えられている。有価文書200、201は、本発明によれば、銀行券、運転免許証、身分証明書、旅券又は同等の文書であってよい。
【0041】
安全要素100、101は、ここでは基材の縁から反対側にある基材21の縁まで連続しており、特に帯又はストリップの形で伸びているが、このことは詳細には図示されていない。
図1
図2
図3