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特許7092785飼料添加物製剤ならびにその製造方法および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】飼料添加物製剤ならびにその製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/75 20160101AFI20220621BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20220621BHJP
   A23K 10/18 20160101ALI20220621BHJP
   A23K 20/147 20160101ALI20220621BHJP
【FI】
A23K50/75
C12N1/20 E
A23K10/18
A23K20/147
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019548305
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018021284
(87)【国際公開番号】W WO2018165252
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】62/467,848
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518379577
【氏名又は名称】バイオリソース インターナショナル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジェン-ジエ
(72)【発明者】
【氏名】シ,ジャイルズ
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507946(JP,A)
【文献】米国特許第04908220(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0143316(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0290254(US,A1)
【文献】国際公開第2008/074884(WO,A2)
【文献】特表2012-511572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 20/00 - 20/28
A23K 10/00 - 10/40
A23K 50/00 - 50/90
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロストリジウム・パーフリンジェンス、アイメリア・アセルブリナおよびアイメリア・マキシマを摂取したブロイラーにおける腸病変スコアを減らす方法であって、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む飼料組成物の有効量を、前記ブロイラーに投与することを含む、方法。
【請求項2】
クロストリジウム・パーフリンジェンス、アイメリア・アセルブリナおよびアイメリア・マキシマを摂取したブロイラーにおける、体重およびFCRの1つ以上を向上させる方法であって、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む飼料組成物の有効量を、前記ブロイラーに投与することを含む、方法。
【請求項3】
ブロイラーにおける体重およびFCRの1つ以上を向上させる方法であって、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物と、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む飼料組成物の有効量を、前記ブロイラーに投与することを含む、方法。
【請求項4】
ブロイラーにおける死亡率を減らす方法であって、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物と、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む飼料組成物の有効量を、前記ブロイラーに投与することを含む、方法。
【請求項5】
ブロイラーにおけるアイメリア属感染に対する中管腸病変スコアを減らす方法であって、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物と、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む飼料組成物の有効量を、前記ブロイラーに投与することを含む、方法。
【請求項6】
前記キシラナーゼがエンド-1,4-β-キシラナーゼである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本出願は2017年3月7日に出願された米国仮特許出願第62/467,848号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本開示の主題は、概して、飼料添加物製剤、ならびに本開示の製剤を製造および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
何十年もの間、動物の健康を維持し生産性を増進するために、動物生産は抗生物質成長促進剤(AGP)に依存してきた。多くの国での動物生産からのAGPの除去に伴い、生産者は、有機酸、酵素、およびプロバイオティクスなどの様々な飼料添加物を、様々なレベルの有効性および一貫しない結果で使用することを試みてきた。特に、現在市場で使用されている多くの酵素およびプロバイオティック製品は費用がかかり、産業飼料および動物生産プロセスで使用される場合に不安定であることが証明されている。したがって、動物飼料に添加した場合に動物の生産能力特性を有意に増進する酵素とプロバイオティクスとの新規な組合せを提供することが有益であろう。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態において、本開示の主題は、単胃動物飼料用の飼料添加物製剤を対象とする。特に、製剤は、単離されたキシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む。いくつかの実施形態においては、製剤がバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、本開示の主題は、単離されたキシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む、単胃動物用の飼料組成物を対象とする。いくつかの実施形態においては、飼料組成物がバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示の主題は、単胃動物の能力を向上させる方法を対象とする。本方法は、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む飼料組成物の有効量を動物に投与することを含む。本方法のいくつかの実施形態においては、飼料組成物はバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、本開示の主題は、単胃動物用の飼料組成物を調製する方法を対象とする。特に、本方法は、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む製剤を飼料組成物に添加することを含む。本方法のいくつかの実施形態においては、製剤がバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1a】リステリア・イノキュアとバチルス・リケニフォルミス株PWD-1との相互作用を示す3つの寒天拡散アッセイの写真である。
図1b】サルモネラ・エンテリカとバチルス・リケニフォルミス株PWD-1との相互作用を示す3つの寒天拡散アッセイの写真である。
図2a】大腸菌とバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1との相互作用を示す3つの寒天拡散アッセイの写真である。
図2b】サルモネラ・エンテリカとバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1との相互作用を示す3つの寒天拡散アッセイの写真である。
図2c】リステリア・イノキュアとバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1との相互作用を示す3つの寒天拡散アッセイの写真である。
図3a】pH3.0で0、1、2、または3時間インキュベートした後の24時間にわたるバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の増殖を示す線グラフである。
図3b】pH3.0で0、1、2、または3時間インキュベートした後の24時間にわたるバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の増殖を示す線グラフである。
図4a】0、1、2、または3時間のLB培地中の雄牛の胆汁への初期暴露での、8時間にわたるバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の増殖を示す線グラフである。
図4b】0、1、2、または3時間のLB培地中の雄牛の胆汁への初期暴露での、8時間にわたるバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の増殖を示す線グラフである。
図5】緩衝液、ウシ血清アルブミンおよび豚粘液の存在下でのバチルス・リケニフォルミス株PWD-1、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1、バチルス・サブチルス株168およびバチルス・サブチルス株C102の増殖を示す棒グラフである。
図6】バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびキシラナーゼの両方を補充した動物飼料を与えた14日齢、21日齢、および42日齢のブロイラー、および対照の病変スコアを示す一連の棒グラフである。
図7a】バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびキシラナーゼの両方を補充した動物飼料を与えた21日齢のブロイラー、および対照の体重を示す棒グラフである。
図7b】バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびキシラナーゼの両方を補充した動物飼料を与えた42日齢のブロイラー、および対照の体重を示す棒グラフである。
図8a】バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびキシラナーゼの両方を補充した動物飼料を与えた21日齢のブロイラー、および対照の飼料転換率(FCR)を示す棒グラフである。
図8b】バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびキシラナーゼの両方を補充した動物飼料を与えた42日齢のブロイラー、および対照の飼料転換率(FCR)を示す棒グラフである。
図9a】バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびキシラナーゼの両方を補充した動物飼料を与えた21日齢のブロイラー、および対照のサルモネラ発生率(%)を示す棒グラフである。
図9b】バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびキシラナーゼの両方を補充した動物飼料を与えた42日齢のブロイラー、および対照のサルモネラ発生率(%)を示す棒グラフである。
図10】抗生物質成長プロモーター(AGP)、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(キシラナーゼ+バチルス・リケニフォルミス株PWD-1+バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を様々な濃度で補充した動物飼料を与えた21日齢のブロイラーの体重、および対照を示す棒グラフである。
図11a】AGP、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(キシラナーゼ+バチルス・リケニフォルミス株PWD-1+バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を様々な濃度で補充した動物飼料を与えた21日齢のブロイラー、および対照の飼料転換率を示す棒グラフである。
図11b】AGP、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(キシラナーゼ+バチルス・リケニフォルミス株PWD-1+バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を様々な濃度で補充した動物飼料を与えた42日齢のブロイラー、および対照の飼料転換率を示す棒グラフである。
図12a】AGP、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(キシラナーゼ+バチルス・リケニフォルミス株PWD-1+バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を様々な濃度で補充した動物飼料を与えた21日齢のブロイラー、および対照の死亡率を示す棒グラフである。
図12b】AGP、キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(キシラナーゼ+バチルス・リケニフォルミス株PWD-1+バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を様々な濃度で補充した動物飼料を与えた42日齢のブロイラー、および対照の死亡率を示す棒グラフである。
図13】キシラナーゼ(10U/g(飼料))、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(1×10CFU/g(飼料))およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(5×10CFU/g(飼料))の組合せ(「Xyl+B+Y」)またはサリノマイシンナトリウム(「コクシジオスタット」)を補充した動物飼料を与えた28日齢のブロイラー、対照ブロイラーおよび未接種ブロイラーと比較した、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マキシマおよびアイメリア・テネラのコクシジオスタット感受性株の強制経口投与による接種後の死亡率を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の主題は、いくつかの(すべてではないが)実施形態が示されている添付の図面を参照して、完全に説明される。本明細書に開示された主題の多くの変形例および他の実施形態は、前述の説明および関連する図面に提示された教示の恩恵を受ける当業者には思い浮かぼう。したがって、現在開示されている主題は開示されている特定の実施形態に限定されず、変更例および他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることが理解される。
【0010】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0011】
長年にわたる特許法の条約に従い、「a」、「an」、および「the」という文言は、特許請求の範囲を含む、本出願で使用される場合、1つまたは複数を指す。したがって、例えば、「タンパク質」への言及は文脈が明らかに逆でない限り、複数のタンパク質を含む。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、「約(about)」という文言は1つまたは複数の数または数値範囲に関連して使用される場合、範囲内のすべての数を含むすべてのそのような数を指すと理解されるべきであり、記載された数値の上および下の境界を拡張することによってその範囲を修正する。終点による数値範囲の記載はその範囲内に包含されるすべての数、例えば、その分数を含む整数を含み(例えば、1~5の記載は1、2、3、4、および5、ならびにその分数、例えば、1.5、2.25、3.75、4.1などを含む)、およびその範囲内の任意の範囲を含む。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲全体にわたって、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含む(comprising)」という文言は、文脈が逆であることを示す場合を除いて、包括的な意味で使用される。同様に、「含む(include)」および「有する(have)」という文言および文法的変形は、リスト内の項目の記載が、リスト項目に置換または追加され得る他の同様の項目を除外するものではないように、非限定的であることが意図される。
【0014】
本開示の主題は、単胃動物飼料と共に使用する飼料添加物製剤に関する。特に、本開示の製剤は、単離されたキシラナーゼ酵素と、少なくとも1つの微生物プロバイオティクス株バチルス・リケニフォルミスPWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体とを含む。本開示の製剤は動物飼料に添加することができ、その結果、以下により詳細に記載されるように、予想外の相乗的に増進された動物特性が得られる。
【0015】
したがって、本開示の飼料添加物製剤は、必須成分として単離されたキシラナーゼ酵素を含む。本明細書で使用される「キシラナーゼ」という文言は、鎖状多糖β-1,4-キシランをキシロースに分解し、したがって植物細胞壁の主要成分の1つヘミセルロースを分解する酵素のクラスを指す。いくつかの実施形態においては、キシラナーゼはエンド-1,4-β-キシラナーゼである。本明細書で使用される「単離された」という文言は実質的に純粋である(すなわち、汚染分子を含まない)酵素を指す。
【0016】
本開示の製剤における使用に適したキシラナーゼ酵素は、当技術分野で周知の方法を使用して製造することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、キシラナーゼは、バッチ、フェドバッチ、および連続フロープロセスを含む、固体培養または浸漬培養によって産生され得る。あるいはまたはさらに、キシラナーゼは任意の市販のキシラナーゼであり得る。キシラナーゼは、液体または乾燥(粉末)調製物として提供され得る。
【0017】
キシラナーゼは、バチルス属、ストレプトマイセス属、クロストリジウム属、サーモノスポラ(Thermonospora)属、トリコデルマ属、サーモマイセス属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、ミクロテトラスポラ属、ルミノコッカス属などから選択される細菌など、当技術分野で公知または使用される任意の好適な供給源から得ることができる。あるいはまたはさらに、キシラナーゼはトリコデルマ属、アスペルギルス属、フミコーラ属、ネオカリマスチクス属などから選択される真菌から得ることができる。
【0018】
いくつかの実施形態においては、キシラナーゼが動物の胃腸管に見出される状態またはそれに近いpHおよび温度で安定かつ活性である。
【0019】
本開示の製剤は、微生物バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含む。バチルス・リケニフォルミス株PWD-1は、米国特許第4,908,220および米国特許第4,959,311に記載されており、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態においては、本開示の製剤がバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含む。バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1は米国特許公開公報第2010/0143316号に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
「生物学的に純粋な培養物」という文言は、異なる特性の微生物から物理的に分離された培養物を指す。本明細書中で使用される場合、「細菌株の生物学的に純粋な培養物」という語句は、細菌株の生物学的に純粋な発酵培養物の胞子、細菌株の生物学的に純粋な発酵培養物の栄養細胞、細菌株の生物学的に純粋な発酵培養物の1つ以上のプロダクト、細菌株の生物学的に純粋な発酵培養物の培養固体、細菌株の生物学的に純粋な発酵培養物の培養上清、細菌株の生物学的に純粋な発酵培養物の抽出物、および細菌株の生物学的に純粋な発酵培養物の1つ以上の代謝物の1つまたは組合せを指す。
【0021】
本明細書で使用される「変異体」という文言は親株(すなわち、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1またはバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)に由来する遺伝子変異体を指す。いくつかの実施形態においては、変異体が親株と同様に、または親株よりも良好に機能する(例えば、親株と同様に、または親株よりも良好に、動物の成長を維持または増進する)。
【0022】
バチルス・リケニフォルミスおよび/またはバチルス・アミロリケファシエンス株は、研究所または培養収集物から得ることができる。生物学的に純粋な培養物は当該分野で周知の方法を使用して(例えば、無菌技術を使用した、そして適切な条件(すなわち、pH、温度、酸素レベルなど)下での培養特異的培地中での培養によって)産生され得る。
【0023】
本開示の実施例1および2は、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1がリステリア・イノキュア(Listeria innocua)、大腸菌(E. coli)およびサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enteric)を含むヒト病原体および動物病原体の増殖を阻害することを示す。図1aおよび1bはそれぞれ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1が、リステリア・イノキュアおよびサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enteria)を過剰増殖させることを示す。図2aおよび2bはそれぞれ、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1が、大腸菌およびサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の増殖を阻害することを示す。図2cは、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1がリステリア・イノキュアよりも増殖することを示す。
【0024】
本開示の実施例3は、腸内を通過する前に動物の腸内に存在する過酷な酸性条件に微生物株が暴露されるため、プロバイオティクス微生物の重要な特徴である、酸性環境への耐性をバチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1が有することを示す。図3aに示すように、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1の酸性環境への暴露は、中性培地と比較して3時間増殖を遅延させた。バチルス・リケニフォルミス株PWD-1を酸性環境に1時間、2時間、および3時間暴露すると回復し、増殖することが観察された。図3bに示すように、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1も酸暴露から回復することができたが、バチルス・リケニフォルミス株で観察されたよりも遅かった。
【0025】
同様に、胃環境におけるプロバイオティクス微生物の生存には、低pH環境だけでなく、胆汁中の胃腸管に分泌される酵素も含まれる。本開示の実施例4は、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1が、胃環境の代表として伝統的に使用されてきた雄牛の胆汁(アルコールと混合された雌牛の胆汁)への暴露後に回復することができたことを示す。図4aおよび4bは、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の両方がLB培地中の雄牛の胆汁への3時間までの暴露後に回復することができたことを示す。
【0026】
腸粘液へのプロバイオティック株の付着は、粘液内層への病原体の接近を制限するので望ましい。本開示の実施例5は、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1が豚粘液に付着する能力を有することを示す。図5は、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1が対照株であるバチルス・サブチルス株C102に匹敵する水準で豚粘液に付着することを示す。
【0027】
本開示の実施例6は、市販のブロイラー家禽の食餌へのキシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の添加の効果を示す研究を説明する。鳥には、10CFU/gのバチルス・リケニフォルミス株PWD-1および15U/gのキシラナーゼを含む飼料組成を与えた(表1)。試験環境は重度のストレスと同様に、作製した同腹仔床敷き(built up litter bedding)による細菌/球菌接種(challenge)などの軽度のストレスを含んでいた。具体的には、1日目、7日目、および10日目(ふ化後)に、10個よりも多い細菌量(鳥1羽あたりの細胞)のクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、鳥1羽あたり細胞10個のアイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina)、および鳥1羽あたり細胞10個のアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)を含む、複数の病原体を鳥に接種した。腸病変スコアを、14、21、および42日齢で測定した。より低いスコアが望ましい。各食餌はトウモロコシ/大豆ベースであったが、標準的なブロイラー食餌と比較して100kcal/kg少ない代謝可能エネルギー(ME)を有した(表2)。様々な期間のBWG(体重増加)群およびFCR(飼料転換率)群を、BW(体重)およびFI(食物摂取)に基づいて計算した(表3)。
【0028】
本研究からの病変スコア分析の結果を、以下の表4および図6に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表4および図6のデータはキシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せが、病原体を接種した鳥における腸病変の低下に対して予想外に有益な作用を有したことを示す。具体的には、それぞれ0.90および0.78のキシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の両方を含む飼料を与えた鳥の21日目および42日目の病変スコアの減少が各成分単独の場合の相加効果(すなわち、それぞれ0.59および0.33)よりも有意に大きかった。42日目の時点で、組合せ飼料による増進は相加的な減少の2倍を超えるところで顕著であった(すなわち、0.78対0.33の減少)。したがって、キシラナーゼとバチルス・リケニフォルミス株PWD-1との組合せは、動物の健康において相乗的な増進を示す。
【0031】
本開示の実施例6はまた、市販のブロイラー家禽の食餌にキシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1を添加した場合の、体重(BW)、飼料転換率(FCR)、およびサルモネラ発生率に対する効果を説明する。図7aおよび7bは、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1が21日齢および42日齢の鳥のBWを有意に増進した(p<0.05)ことを示す。さらに、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せによる増進は、いずれかの成分単独の場合よりも大きいことが示された。
【0032】
結果は、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1が21日齢および42日齢でFCRを有意に(p<0.05)増進したことをさらに示す(図8aおよび8b)。さらに、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せの増進は図8aおよび8bに示されるように、いずれかの成分単独の場合よりも大きかった。
【0033】
図9aおよび9bは、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1が21日齢および42日齢でサルモネラ発生率を有意に(p<0.05)減少させたことを示す。さらに、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せの増進は、いずれかの成分単独の場合よりも大きかった。
【0034】
バチルス・リケニフォルミス株PWD-1と組み合わせたキシラナーゼは、トウモロコシ/大豆食餌に添加した場合、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよび複数のアイメリア種接種下でブロイラー成長能力を有意に増進することができる。
【0035】
本開示の実施例7は、市販のブロイラーの食餌へのキシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の添加の効果を説明する。ブロイラー飼料は15単位/グラム(飼料)の濃度でキシラナーゼを含み、バチルス・リケニフォルミスおよびバチルス・アミロリケファシエンス株の各濃度は、10~10の範囲であった(表5)。
【0036】
図10に示すように、キシラナーゼおよびバチルス株(バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を2×10CFU/g以上で飼料に補充すると、21日齢で体重が有意に増進した(p<0.05)。
【0037】
図11aおよび11bに示すように、2×10CFU/g以上の飼料でキシラナーゼおよびバチルス株(バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を飼料に補充すると、21日齢および42日齢でFCRが有意に増進した(p<0.05)。
【0038】
さらに、図12aおよび12bは、飼料にキシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1を2×10CFU/g以上で供給すると、21日齢および42日齢の鳥の死亡率が有意に低下した(死亡率は42日齢で80%低下した)ことを示す(p<0.05)。対照的に、AGP(抗生物質BMD(バシトラシンメチレンジアリシレート))の含有は、対照の死亡率から有意に増進しなかった。
【0039】
バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1と組み合わせたキシラナーゼは、トウモロコシ/大豆食に添加した場合、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよび複数のアイメリア種接種下でブロイラー成長能力を有意に増進することができる。
【0040】
本開示の実施例8は、キシラナーゼ(10U/g(飼料))、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(1×10CFU/g(飼料))、およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(5×10CFU/g(飼料))の組合せ(「Xyl+B+Y」と称する)について、消化管病変の重篤度を最小限に抑える効力、および通常のトウモロコシ-大豆食を与えられ、重篤なコクシジウムの接種条件下で飼育されたブロイラーの全体的な存率を増進する効力を評価するための研究を説明する。本研究では、ニワトリに、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マキシマおよびアイメリア・テネラ(Eimeria tenella)の高免疫原性コクシジオスタット感受性株の生オーシストを含有する生ワクチンを、強制経口投与によって2回接種し、Xyl+B+Yの組合せを、図13において「コクシジオスタット」と称するサリノマイシンナトリウムと比較した。
【0041】
接種後7日目(14日齢)に、Xyl+B+Yの単独は、接種した対照(challenged control)と比較して、36%上管病変スコアを低下させた(データは図示せず)。接種後14日目に、Xyl+B+Yの単独は、接種した対照と比較して、中管病変スコアを50%低下させた(データ図示せず)。図13に示されるデータは、接種した対照と比較して、Xyl+B+Y処理において、死亡率が87%有意に減少した(P<0.02)ことを実証する。比較して、コクシジオスタット処理は、死亡率を25%減少させただけであった。28日目に、接種した対照に対して、Xyl+B+Y処理において、飼料転換率を7ポイント低下させた(データは図示せず)。
【0042】
キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の組合せは、コクシジオスタット単独の場合よりも、重度のアイメリア感染を患う鳥の死亡率を最小限に抑えるのに有効であり得る。
【0043】
したがって、単胃動物用の飼料組成物に添加するための飼料添加物製剤が本明細書において提供される。飼料添加物製剤は、例えば家禽および豚のような単胃動物の健康および/または能力を増進を目的として飼料組成物に添加するために提供される。能力の向上には、1日平均体重増加量の増加、総体重増加量の増加、飼料転換率の増進、病変スコアの減少、死亡率の減少、疾患の減少、または病原体発生率の減少、のうちの1つまたは組合せが含まれる。病原体にはクロストリジウム・パーフリンジェンス、アイメリア属、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マキシマ、アイメリア・テネラ、サルモネラ属、またはコクシジウム症誘発寄生虫の1つまたは組合せが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態においては、動物は家禽であり、能力の向上はクロストリジウム・パーフリンジェンスまたはアイメリア属の1つまたは組合せに起因する病変スコアの低下を含む。
【0044】
一実施形態においては、単離されたキシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む、単胃動物飼料用の飼料添加物製剤が提供される。飼料添加物製剤は、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)のまたはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含んでもよい。
【0045】
一実施形態においては、本開示の飼料添加物製剤を含む、単胃動物用飼料組成物が提供される。
【0046】
一実施形態においては、キシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有する変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む製剤を飼料組成物に添加することを含む、単胃動物用の飼料組成物を調製する方法が提供される。この方法において、製剤は、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含み得る。
【0047】
一実施形態においては、単胃動物の能力を向上させる方法が提供される。本方法はキシラナーゼ酵素と、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(アクセッション番号53757)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物とを含む飼料組成物の有効量を単胃動物に投与することを含む。飼料組成物は、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(アクセッション番号DSM21836)またはその同定特性をすべて有するその変異体の生物学的に純粋な培養物をさらに含み得る。
【0048】
一実施形態においては、キシラナーゼが約10,000~200,000単位/グラムの範囲の量で本開示の製剤中に存在する。キシラナーゼは、約30,000~200,000単位/グラムの範囲の量で本開示の製剤中に存在し得る。したがって、キシラナーゼは、約10,000;20,000;30,000;40,000;50,000;60,000;70,000;80,000;90,000;100,000;110,000;120,000;130,000;140,000;150,000;160,000;170,000;180,000;190,000;または200,000単位/グラムの量で存在し得る。キシラナーゼ活性の1ユニットは、50mMクエン酸三ナトリウム緩衝液(pH6.0)中、50℃で0.5%キシラン(Sima X4253、Beechwood)から毎秒1ナノモルの還元糖(キシロース当量)を放出するのに必要な酵素の量として定義される。
【0049】
いくつかの実施形態においては、バチルス・リケニフォルミス株が10~1012CFU/g(コロニー形成単位/g)の量で本開示の製剤中に存在する。いくつかの実施形態においては、バチルス・リケニフォルミス株が本開示の製剤中に少なくともグラム10CFU/gの量で存在する。いくつかの実施形態において、バチルス・アミロリケファシエンスおよびバチルス・リケニフォルミス株は、約10~1012CFU/gの量で本開示の製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、バチルス・アミロリケファシエンスおよびバチルス・リケニフォルミス株は、本開示の製剤中に少なくとも約10CFU/gの量で存在する。したがって、株は本開示の製剤中に、少なくとも約10、10、1010、1011、1012、または1013CFU/gの量で存在し得る。
【0050】
キシラナーゼおよび細菌株に加えて、本開示の製剤は、製造、安定性、および/または能力特性を増進するための担体をさらに含んでいてもよい。本明細書で使用される「担体」という文言は、本開示の製剤への成分の均一な組み込みを容易にするために成分が添加される食用材料を指す。適切な担体としては石灰石、マルトロデキストリン、シクロデキストリン、コムギ、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、活性成分対キャリアの比率が約1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、または9:1であり得る。
【0051】
本開示の製剤は固体、粉末、懸濁濃縮物、液体、または顆粒を含む(しかし、これらに限定されない)任意の所望の形態であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、本開示の製剤は、約70℃、80℃、85℃、90℃、または95℃までの加熱処理に対して、約1、5、10、15、30、または60分までの間、熱的に安定であり得る。本明細書で使用される「熱的に安定」という文言は、特定の温度に加熱する前に製剤中に存在する成分の少なくとも75%が室温に冷却した後に依然として存在することを示す。
【0053】
いくつかの実施形態において、本開示の製剤は、30、40、50、60、70、または80週間を超える貯蔵寿命を有していてもよい。所望の長さの時間および通常の貯蔵寿命は、貯蔵温度、加工条件、包装材料、包装装置などによって変化し得ることが理解されるべきである。
【0054】
本開示の製剤は、単胃動物による消費用の飼料組成物に添加してもよい。製剤は動物飼料と直接混合してもよく、および/または飼料添加物(すなわち、ビタミン飼料添加物、ミネラル飼料添加物、アミノ酸飼料添加物など)と混合し、次いで動物飼料と混合してもよい。あるいはまたはそれに加えて、本開示の製剤は動物の飲料水に添加してもよい。
【0055】
本明細書で使用される「動物飼料」または「飼料」は、単胃動物による摂取に適した、またはそれを意図した任意の化合物、調製物、混合物、または組成物を指す。いくつかの実施形態において、飼料は家禽飼料またはブタ飼料組成物を含んでいてもよい。本明細書で使用される「単胃動物」という文言は反芻動物を除いて、単一の胃を有する任意の動物を含み、ほとんどの肉食動物および雑食動物に適用される。したがって、いくつかの実施形態においては、適切な単胃動物は家禽(例えば、ブロイラーヒヨコ、産卵鶏、シチメンチョウ)および/またはブタ(例えば、ブタまたは子ブタ)を含み得る(しかし、これらに限定されない)。
【0056】
いくつかの実施形態においては、本開示の製剤を動物飼料に添加してもよい。したがって、本開示の製剤を動物飼料に添加して、所望の量のキシラナーゼおよび本開示の細菌株を含有する飼料を生成することができる。当業者に理解されるように、希釈量は単胃動物の飼料の必要性、動物の年齢、および意図される用途(例えば、産卵鶏または鶏肉用のブロイラー(layers or broilers for chickens))によって決定され得る。例えば、いくつかの実施形態において、キシラナーゼの濃度は、約5~30単位/グラム(飼料)の範囲である。いくつかの実施形態においては、キシラナーゼの濃度が約7.5~30単位/グラム(飼料)(すなわち、約5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、28.5、29、29.5、または30)の範囲である。いくつかの実施形態においては、飼料組成物中のバチルス・リケニフォルミスの量は少なくとも約5×10CFU/グラム(飼料)の範囲である。いくつかの実施形態においては、飼料組成物中のバチルス・リケニフォルミスの量は少なくとも約10CFU/gの範囲である。いくつかの実施形態においては、飼料組成物中のバチルス・リケニフォルミスの量は少なくとも約10CFU/gの範囲である。いくつかの実施形態においては、飼料組成物は少なくとも約10CFU/グラム(飼料)濃度で、本開示のバチルス・アミロリケファシエンス株をさらに含む。いくつかの実施形態においては、飼料組成物は少なくとも約10CFU/グラム(飼料)の両方の株の総濃度を含む。いくつかの実施形態においては、飼料組成物は少なくとも約2.0×10CFU/gの両方の株の総濃度を含む。
【0057】
単胃動物に投与される場合、本開示の製剤を含む飼料組成物の有効量は、本開示の製剤を欠く飼料組成物と比較して動物の能力を向上させることが示されている。「有効量」という文言は、有意な有害な副作用を生じることなく動物の能力を向上させるのに十分な飼料の量を指す。
【0058】
いくつかの実施形態においては、能力の向上は単胃動物における1日平均体重増加の増加および/または総体重増加の増加を含む。1日平均体重増加とは、ある期間にわたるすべての動物の総体重増加を、動物の総数および期間中の日数で割ったものを指す。総体重増加は、ある期間にわたるすべての動物の全体重増加を指す。
【0059】
いくつかの実施形態においては、向上した能力が単胃動物の増進された飼料転換率(FCR)を含む。飼料転換率は、飼料質量を増加した体重に転換する際の動物の効率を指す。
【0060】
いくつかの実施形態においては、能力の向上が単胃動物における病変スコアの低下を含む。例えば、いくつかの実施形態において、動物は家禽であり、病変はクロストリジウム・パーフリンジェンスまたはアイメリア属(アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・テネラ、および/またはアイメリア・マキシマなどであるが、これらに限定されない)に起因する。
【0061】
いくつかの実施形態においては、能力の向上が単胃動物における死亡率の低下を含む。
【0062】
いくつかの実施形態においては、能力の向上が単胃動物における疾患の減少を含む。病原体には、クロストリジウム・パーフリンジェンス、アイメリア属、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・テネラ、アイメリア・マキシマ、および/またはコクシジウム症誘発性寄生虫が含まれる(しかしこれらに限定されない)。疾患および病変スコアの一方または両方は、クロストリジウム・パーフリンジェンス、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・テネラ、アイメリア・マキシマ、またはコクシジウム症誘発寄生虫の1つまたは組合せの結果であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態においては、能力の向上が病原体発生率の減少を含む。いくつかの実施形態においては、病原体の発生率が動物の生産環境(すなわち、床飼の同腹仔(floor pen litter))および/または動物の腸において低減される。一実施形態においては、動物は家禽であってもよく、能力の向上はクロストリジウム・パーフリンジェンスまたはアイメリア属の1つまたは組合せに起因する病変スコアの低下を含む。別の実施形態において、動物は家禽であり、病原体発生率の減少はサルモネラ発生率の減少である。
【実施例
【0064】
以下の実施例は、本明細書に開示される主題の代表的な実施形態を実施するためのガイダンスを当業者に提供するために含まれている。本発明および当業者の一般的な水準に照らして、当業者は、以下の実施例が単に例示的であることが意図され、現在開示されている主題の範囲から逸脱することなく、多数の変更、修正、および改変が実施され得ることを理解することができる。
【0065】
〔実施例1〕
in vitroにおけるバチルス・リケニフォルミス株PWD-1のプロバイオティクス特性の評価
バチルス・リケニフォルミス株PWD-1を、一連の寒天ウェル拡散アッセイを介して、病原体サロゲート(pathogen surrogate)である大腸菌(E. coli)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、およびカンピロバクター・ハイオインテスティナリス(Campylobacter hyointestinalis)に対して試験した。各アッセイにおいて、病原体サロゲートの1つを3つの寒天プレート上に広げ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1を各プレートのウェル内に入れた。次いで、これらのプレートを37℃で一晩インキュベートした。そして写真撮影を行い、病原体とバチルス・リケニフォルミスとの相互作用を示した。
【0066】
図1aおよび1bは、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1がリステリア・イノキュアおよびサルモネラ・エンテリカそれぞれを過剰増殖させることを示す。
【0067】
〔実施例2〕
in vitroにおけるバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1のプロバイオティクス特性の評価
バチルス・リケニフォルミス株PWD-1の代わりにバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1を用いて、実施例1の実験を繰り返した。
【0068】
図2aおよび2bは、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1が大腸菌およびサルモネラ・エンテリカそれぞれの増殖を阻害することを示す。図2cは、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1がリステリア・イノキュアよりも増殖することを示す。
【0069】
〔実施例3〕
バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の耐酸性試験
酸性環境に対するプロバイオティクス微生物の耐性は、腸内を通過する前に動物の腸内に存在する過酷な酸性条件にプロバイオティックが暴露されるため、重要な特徴である。バチルス・リケニフォルミス株PWD-1を、0、1、2、および3時間の時点で、pH3.0でLB培地に供した。次いで、培地をpH7.0に中和し、そして増殖を600nmでの吸光度において観察した。バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1について実験を繰り返した。
【0070】
図3aに示すように、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1の酸性環境への暴露は、中性培地と比較して3時間増殖を遅延させた。バチルス・リケニフォルミス株PWD-1を酸性環境に1、2、3時間暴露すると回復し、増殖開始することが観察された。図3bに示すように、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1も酸暴露から回復することができたが、バチルス・リケニフォルミス株で観察されたよりも遅かった。
【0071】
〔実施例4〕
バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の胆汁耐性試験
胃環境におけるプロバイオティクス微生物の生存には、低pH環境だけでなく、胃腸管に分泌される酵素も含まれる。伝統的に、雄牛の胆汁(アルコールと混合された雌牛の胆汁)は、胃環境の代表として使用されてきた。バチルス・リケニフォルミス株PWD-1を、LB培地中0.3%雄牛の胆汁に0、1、2、または3時間暴露し、図4aに示すように、600nmでの吸光度において8時間増殖を観察した。図4bに示すように、バチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1について実験を繰り返した。
【0072】
これらの図は、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の両方がLB培地中の雄牛の胆汁への3時間までの暴露後に回復することができたことを示す。
【0073】
〔実施例5〕
バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の腸粘膜への接着
腸粘液へのプロバイオティック株の付着は、粘液内層への病原体の接近を制限するので望ましい。バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1を試験し、豚粘液への付着能を評価した。対照としてATCCからのバチルス・サブチルス株168-aおよびバチルス・サブチルス株C102(Calsporin)も試験した。タンパク質コーティング(緩衝液のみ)およびBSA(ウシ血清アルブミン)は、対照として使用しなかった。図5に示すように、各株の増殖を観察したところ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1は、バチルス・サブチルス株C102に匹敵する水準で豚粘液に付着していることが示された。
【0074】
〔実施例6〕
市販ブロイラーへのキシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の添加の効果の研究
対象:日齢、混合性別、Ross708ブロイラー。
【0075】
統計的設計:無作為化完全ブロックデザイン(RCBD)。
【0076】
処理:以下の表1に示すように、キシラナーゼ(米国ノースカロライナ州のダーラムのBioResource International,Inc.から入手可能なXYLAMAX)およびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1(「ProB」)を2つの因子として用いた2×2要因配置(factorial arrangement)。
【0077】
【表2】
【0078】
持続期間:0~42日。
【0079】
反復:1檻当たり52羽、1処理当たり8檻。
【0080】
食餌:すべての処理は以下の表2に示されるように、3段階の食餌(すなわち、開始剤、成長剤、および仕上げ剤)を含んだ。各食餌はトウモロコシ/大豆ベースであったが、標準的なブロイラー食餌と比較して100kcal/kg少ない代謝可能エネルギー(ME)を有した。
【0081】
【表3】
【0082】
疾患の接種:本研究では、「穏やかな野外様の無症状の接種モデル」を作成するために、作製した同腹仔を使用した。細菌には、クロストリジウム・パーフリンジェンス、アイメリア・アセルブリナ、およびアイメリア・マキシマが含まれた。
【0083】
反応測定(response measure):以下の表3に示す。BW(体重)およびFI(食物摂取量)に基づいて、様々な期間のBWG(体重増加)群およびFCR(飼料転換比)群を計算した。
【0084】
【表4】
【0085】
統計的方法:ANOVA(分散分析)およびLSD(最小有意差)によって分析した。差は、p<0.05の場合に有意であるとみなされた。
【0086】
結果:図6に示すように、キシラナーゼは14日齢、21日齢および42日齢で病変スコアを有意に(p<0.05)減少させ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1は14日齢および21日齢で病変スコアを有意に(p<0.05)減少させた。キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せによる増進は、いずれかの成分の単独の場合よりも大きいことが示された。特に、21日目および42日目において、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1を組み合わせる効果は、いずれかの成分の単独の合計よりも大きく、相乗効果を示した(以下の表4も参照のこと、*は強い相乗効果を示す)。42日目の時点で、組合せ飼料による増進は、各成分の単独の2倍を超えて顕著であった。したがって、キシラナーゼとバチルス・リケニフォルミス株PWD-1との組合せは、動物の健康において相乗的な増進を示す。
【0087】
【表5】
【0088】
図7aおよび7bは、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1が21日齢および42日齢の鳥のBWを有意に増進した(p<0.05)ことを示す。さらに、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せによる増進は、いずれかの成分の単独の場合よりも大きいことが示された。
【0089】
この結果は、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1が21日齢および42日齢でFCRを有意に(p<0.05)増進したことをさらに示す(図8aおよび8b)。さらに、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せの増進は図8aおよび8bに示されるように、いずれかの成分の単独の場合よりも大きかった。
【0090】
図9aおよび9bは、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1が21日齢および42日齢でサルモネラ発生率を有意に(p<0.05)減少させたことを示す。さらに、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せの増進は、いずれかの成分の単独の場合よりも大きかった。
【0091】
結論:キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1は、トウモロコシ/大豆食餌と併用すると、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよび複数のアイメリア種接種下でブロイラー成長能力および腸の健康を有意に増進した。このデータは、キシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1の組合せの効果が動物の健康に対する相乗的な有益な作用を含むという結論を裏付ける。
【0092】
〔実施例7〕
キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1、およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1の市販ブロイラーへの添加の効果の研究
対象:日齢、混合性別、Ross708ブロイラー。
【0093】
統計的設計:無作為化完全ブロックデザイン(RCBD)。
【0094】
処理:表5に示すように、キシラナーゼ(米国ノースカロライナ州のダーラムのBioResource International,Inc.から入手可能なxyl)、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(ProB)、およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(ProY)、および抗生物質BMD(バシトラシンメチレンジシリケート)を変数として用いた6回の処理。
【0095】
【表6】
【0096】
持続期間:0~42日。
【0097】
反復:1檻当たり52羽、1処理当たり10~6檻。
【0098】
食餌:すべての処理は上記の表5に示されるように、3段階の食餌(すなわち、開始剤、成長剤、および仕上げ剤)を含んだ。各食餌はトウモロコシ/大豆ベースであったが、標準的なブロイラー飼料比較して100kcal/kg少ない代謝可能エネルギー(ME)を有した。
【0099】
疾患の接種:本研究では、「穏やかな野外様の無症状の接種モデル」を作成するために、作製した同腹仔を使用した。細菌には、クロストリジウム・パーフリンジェンス、アイメリア・アセルブリナ、およびアイメリア・マキシマ、ならびにアイメリア・テネラが含まれた。
【0100】
反応測定:上記表5に示すように、種々の期間のBWG(体重増加)群およびFCR(飼料転換比)群を、BW(体重)およびFI(食物摂取)に基づいて計算した。
【0101】
統計的方法:データをANOVAおよびLSDによって分析した。差は、p<0.05の場合に有意であるとみなされた。
【0102】
結果:図10に示すように、2×10CFU/g以上のキシラナーゼおよびバチルス株(バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を飼料に補充すると、21日齢で体重が有意に増進した(p<0.05)。
【0103】
図11aおよび11bに示すように、2×10CFU/g以上の飼料でキシラナーゼおよびバチルス株(バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)を飼料に補充すると、21日齢および42日齢でFCRが有意に増進した(p<0.05)。
【0104】
さらに、図12aおよび12bは、飼料にキシラナーゼおよびバチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1を2×10CFU/g以上で供給すると、21日齢および42日齢の鳥の死亡率が有意に低下した(p<0.05)ことを示す(死亡率は42日齢で80%低下した)。対照的に、AGP(BMD)含有物は、対照からの死亡率を有意に増進しなかった。
【0105】
結論:バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1と組み合わせたキシラナーゼは、トウモロコシ/大豆食餌に添加された場合、クロストリジウム・パーフリンジェンスおよび複数のアイメリア種接種下でブロイラー成長能力を有意に増進した。このデータは、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1とバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1をキシラナーゼと組み合わせると、様々な含有レベル(10~10CFU/g(飼料))で効果的であることを裏付ける。
【0106】
〔実施例8〕
重度のコクシジウム症接種条件下での市販ブロイラーの食餌へのキシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミスPWD-1、およびアミロリケファシエンス株Ba-BPD1の添加の効果
本研究の目的は、消化管病変の重症度を最小限に抑え、標準的なトウモロコシ/大豆食餌を与えられかつ重度のコクシジウム症接種条件下で飼育したブロイラーの全生存率を増進するために、キシラナーゼ(10U/g(飼料))、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(1×10CFU/g(飼料))、およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(5×10CFU/g(飼料))の組合せの100g/メートルトン含有の有効性を評価することであった。
【0107】
材料および方法:400匹の雄Ross708ブロイラーヒヨコを、4つの食餌処理のうちの1つに無作為に割り当て、1処理あたり7回のバタリーケージ(ただし、4回のケージを含む未接種陽性対照である処理1を除く)、そして1ケージあたり16羽の鳥を用いた。鳥を28日間飼育し、マッシュ、トウモロコシ-大豆ベースの食餌を自由に与えた。処理2~4の鳥を、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マキシマおよびアイメリア・テネラの高免疫原性コクシジオスタット感受性株の生オーシストを含む生ワクチンで、1mL/鳥の割合(ワクチン製造業者の推奨用量の10倍)で強制経口投与によって2回接種した。処理1の鳥、すなわち、未接種陽性対照を、1mL/鳥の割合の蒸留水で強制経口投与した。すべての処理群において、1日齢および7日齢の両方で強制経口投与を行った。処理3および4では、飼料にキシラナーゼ(10U/g(飼料))、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(1×10CFU/g(飼料))、およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(5×10CFU/g(飼料))(「Xyl+B+Y」と称する)または市販のコクシジオスタット(サリノマイシンナトリウム)(「コクシジオスタット」と称する)のいずれかを補充した。評価した主要パラメータは、上管腸病変スコア、中管腸病変スコア、死亡率/生存率、および飼料転換率(FCR)であった。
【0108】
結果および考察:上腸の球菌関連肉眼病変はアイメリア・アセルブリナ感染と密接に関連しており、最初の感染から7日以内に最も重篤であることが多い。接種後7日目(14日齢)に、Xyl+B+Yの単独では、接種した対照と比較して、36%上管病変スコアを低下させた(データは図示せず)。
【0109】
腸の中央部(回腸ならびに十二指腸および空腸の一部からなる)は、アイメリア・マキシマに最も感染しやすい。接種後14日目に、Xyl+B+Yの単独では、接種した対照と比較して、中管病変スコアを50%低下させた(データ図示せず)。
【0110】
本研究で実施されたアイメリア接種レジメンは、接種された対照群の28日死亡率において、未接種対照と比較して有意な増加(P<0.02)をもたらした。データを図13に示す。しかし、Xyl+B+Y処理では接種した対照と比較して、死亡率が87%有意に減少した(P<0.02)。対して、コクシジオスタット処理は、死亡率を25%減少させただけであった。
【0111】
28日目に、接種した対照に対して、Xyl+B+Y処理において、飼料転換率を7ポイント低下させた。28日目の体重は、処理によって影響されず、一連の処理にわたって平均1226g/鳥であった(データは図示せず)。
【0112】
結論として、重度のコクシジウムの条件下ではキシラナーゼ(10U/g(飼料))、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1(1×10CFU/g(飼料))およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1(5×10CFU/g(飼料))の組合せのみにおいて、腸病変の重症度を低下させることによってブロイラーの腸の健康を効果的に保護し、それによって腸機能を維持し、栄養素の効果的な利用を促進することができる。この組合せ(キシラナーゼ、バチルス・リケニフォルミス株PWD-1およびバチルス・アミロリケファシエンス株Ba-BPD1)は、コクシジオスタット単独の場合よりも、重篤なアイメリア感染を患う鳥の死亡率を最小限に抑えるのに有効であり得る。

図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13