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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】スクリュ機械
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/84 20060101AFI20220621BHJP
   B29B 7/48 20060101ALI20220621BHJP
   B29C 48/76 20190101ALI20220621BHJP
   B29C 48/405 20190101ALI20220621BHJP
【FI】
B29B7/84
B29B7/48
B29C48/76
B29C48/405
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020141257
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036846
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照三
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-71831(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2662196(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
B01F 27/00-27/96
B29B 7/00-7/94
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源によって軸線周りに回転駆動されるスクリュと、
前記スクリュが挿入されるスクリュ孔及び前記スクリュ孔内のエアを排出するためのエア抜き口を有するバレルと、
その一部が前記バレルの前記エア抜き口に臨むフィルタと、
前記フィルタを変位させて、前記フィルタにおいて前記エア抜き口に臨む部分を変更するフィルタ駆動手段と、
前記フィルタを通じて前記エア抜き口から前記スクリュ孔内のエアを吸引する真空ポンプと、
前記フィルタを収容する収容空間を有し前記バレルに取り付けられるフィルタハウジングと、を備え、
前記真空ポンプは、前記収容空間に開口するように前記フィルタハウジングに形成される吸入口を通じて前記スクリュ孔内のエアを吸引し、
前記フィルタ駆動手段は、前記フィルタを回転させ、
前記エア抜き口に臨む前記フィルタの外周面の一部は、前記フィルタ駆動手段によって前記フィルタが回転されるのに伴って、前記収容空間内で変位して再び前記エア抜き口に臨む、
スクリュ機械。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリュ機械であって、
前記エア抜き口は、複数の孔によって構成される、
スクリュ機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスクリュ機械であって、
前記フィルタ駆動手段は、前記フィルタを一定速度で連続回転させる、
スクリュ機械。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のスクリュ機械であって、
前記バレルは、前記スクリュ孔内へ材料を投入するための供給口と、前記スクリュ孔内の材料を前記バレル外に吐出するための吐出口と、を有し、
前記スクリュは、前記バレルの前記スクリュ孔内の材料を混練するための混練部を有し、
前記バレルの前記エア抜き口は、前記スクリュの軸方向において前記スクリュの前記混練部と前記バレルの前記供給口との間に位置して前記スクリュ孔に開口する、
スクリュ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュ機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バルク材料を供給し、かつ、加工するためのスクリュ機械が開示されている。このスクリュ機械は、ケーシングと、ケーシング内に設けられる軸と、軸の外周に設けられるスクリュ要素と、バルク材料のガス抜きのためにケーシングの開口部に取り外し可能に配置されるフィルタと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-223804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように、スクリュ機械では、材料のガス抜き(エア抜き)のためにケーシングに開口部を設けると共に、開口部を通じてケーシング内部の材料が排出されないように開口部にフィルタを設けることがある。
【0005】
このようなフィルタには、表面に材料が付着する目詰まりが生じることがある。このため、スクリュ機械では、フィルタをスクリュ機械から取り外して交換又は洗浄する、といったフィルタのメンテナンス作業を要する。このようなメンテナンス作業は、スクリュ機械の稼働を停止した状態で行う必要があるため、スクリュ機械による生産性の低下の原因となる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、生産性を向上させることが可能なスクリュ機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、スクリュ機械は、駆動源によって軸線周りに回転駆動されるスクリュと、スクリュが挿入されるスクリュ孔及びスクリュ孔内の材料中のエアを排出するための排出口を有するバレルと、その一部がバレルの排出口に臨むフィルタと、フィルタを変位させて、フィルタにおいて排出口に臨む部分を変更するフィルタ駆動手段と、フィルタを通じてエア抜き口からスクリュ孔内のエアを吸引する真空ポンプと、フィルタを収容する収容空間を有しバレルに取り付けられるフィルタハウジングと、を備え、真空ポンプは、収容空間に開口するようにフィルタハウジングに形成される吸入口を通じてスクリュ孔内のエアを吸引し、フィルタ駆動手段は、フィルタを回転させ、エア抜き口に臨むフィルタの外周面の一部は、フィルタ駆動手段によってフィルタが回転されるのに伴って、収容空間内で変位して再びエア抜き口に臨む
【発明の効果】
【0008】
この態様によれば、フィルタ駆動手段によってフィルタを変位させることにより、スクリュ機械の稼働中であってもフィルタのフィルタ面を更新することができる。このため、フィルタにおける目詰まりの発生を抑制できる。したがって、フィルタのメンテナンス作業の発生を抑制でき、スクリュ機械による生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る押出機の全体構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る押出機を示す断面図であり、図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る押出機のカバーの平面図である。
図4】本発明の実施形態の第1変形例に係る押出機を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態の第2変形例に係る押出機を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態の第3変形例に係る押出機のカバーを示す平面図である。
図7】本発明の実施形態の第4変形例に係る押出機のカバーを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るスクリュ機械について説明する。なお、各図面においては、説明の便宜上、各構成の縮尺を適宜変更しており、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、複数の同一の構成については、その一部にのみ符号を付し、その他については符号を省略することがある。
【0011】
本実施形態のスクリュ機械は、バレル20のスクリュ孔21内に供給される粒状または粉体状の材料をスクリュ10a,10bによって搬送しながら混練し、混練された材料をバレル20の吐出口23から押し出して成形する押出機である。以下では、本実施形態のスクリュ機械を「押出機100」として説明する。
【0012】
押出機100は、図1及び図2に示すように、一対のスクリュ10a,10bと、一対のスクリュ10a,10bが挿入されるスクリュ孔21を有するバレル20と、一対のスクリュ10a,10bをスクリュ孔21内で回転させる駆動源としての第1モータ30と、押出機100の作動を制御するコントローラ80と、を備える。このように、押出機100は、一対のスクリュ10a,10bを備える、いわゆる二軸混練押出機である。
【0013】
バレル20は、図1に示すように、一方向に延びるように形成され、その長手方向に沿って一対の挿通孔21a,21b(図2参照)が形成される筒状部材である。一対の挿通孔21a,21bは、互いに連通しており、一対の挿通孔21a,21bによってスクリュ孔21が形成される。
【0014】
バレル20の長手方向の一端には、スクリュ孔21内に材料を供給するための供給口22がスクリュ孔21に開口して形成される。バレル20の長手方向の他端には、溶融及び混練された材料により生成された混練物を吐出するための吐出口23がスクリュ孔21に開口して形成される。以下では、スクリュ孔21において供給口22側(図1中右側)をスクリュ孔21の「上流」、吐出口23側(図1中左側)をスクリュ孔21の「下流」とも称する。供給口22を通じてスクリュ孔21内に供給された材料は、スクリュ10a,10bによって下流に向けて搬送され、吐出口23を通じてバレル20外に吐出される。
【0015】
また、図示は省略するが、バレル20には、バレル20を加熱する加熱装置、バレル20を冷却する冷却装置、脱揮を行うための真空装置、バレル20の温度を検出する温度センサなどが設けられる。
【0016】
一対のスクリュ10a,10bは、図2に示すように、互いに同様の形状を有して平行に延びて設けられており、互いに噛み合った状態でバレル20のスクリュ孔21内に挿入される。一対のスクリュ10a,10bは、第1モータ30(図1参照)によって、それぞれの中心軸(軸線)回りに同一方向に回転される。つまり、一対のスクリュ10a,10bは、互いに同期して回転される。以下では、一対のスクリュ10a,10bを総称して単に「スクリュ10」とし、具体的構成について説明する。
【0017】
スクリュ10は、図1に示すように、第1モータ30に連結される基端から先端に向けて、バレル20の長手方向に沿って設けられる軸部材である。スクリュ10の基端が、スクリュ孔21の上流に位置し、先端がスクリュ孔21の下流に位置する。
【0018】
スクリュ10は、スクリュ孔21内の材料を下流に向けて移送する移送部11と、スクリュ孔21内の材料を溶融・混練する混練部13と、混練されたスクリュ孔21内の材料を吐出口23から吐出する先端部15と、を有する。移送部11、混練部13、及び先端部15は、この順でスクリュ孔21の上流から下流に向けて設けられる。
【0019】
移送部11は、外周に螺旋状のフライト11a(スクリュ羽根)を有する。供給口22からスクリュ孔21に供給された材料は、回転するスクリュ10の移送部11によって下流側の混練部13に向けて移送される。
【0020】
混練部13は、長手方向(スクリュ10の軸方向)に並ぶ複数のニーディングディスク13aによって構成される。混練部13は、移送された材料を溶融させると共に混練する。
【0021】
先端部15は、外周に螺旋状のフライト15aを有する。混練部13によって溶融された材料は、先端部15によって吐出口23から押し出されてバレル20外に吐出される。
【0022】
第1モータ30は、電動モータであり、コントローラ80によって作動が制御される。第1モータ30の回転は、減速機(図示省略)を介して一対のスクリュ10a,10bに伝達される。これにより、一対のスクリュ10a,10bが第1モータ30によって回転駆動される。
【0023】
コントローラ80は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。コントローラ80は、少なくとも、本実施形態や変形例に係る制御を実行するために必要な処理を実行可能にプログラムされている。なお、コントローラ80は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、各制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
【0024】
また、押出機100は、バレル20に設けられるエア抜き口25に臨む円筒状のフィルタ40と、フィルタ40を収容する収容空間50aを有しバレル20に取り付けられるフィルタハウジング50と、フィルタ40を回転させるフィルタ駆動手段としてのフィルタ駆動機構60と、フィルタ40を通じてエア抜き口25からスクリュ孔21内のエアを吸引する真空ポンプ70と、を備える。
【0025】
バレル20には、図2に示すように、スクリュ孔21に連通しバレル20の外部に開口する開口部24と、開口部24を塞ぐカバー27と、が設けられる。
【0026】
カバー27は、ボルト等(図示省略)によってバレル20に取り付けられるフランジ部27aと、開口部24に挿入され開口部24を覆うカバー部27bと、を有する。カバー部27bには、図3に示すように、スクリュ孔21に連通する複数の貫通孔25aが形成される。複数の貫通孔25aによって、エア抜き口25が構成されている。複数の貫通孔25aは、それぞれ円形の孔であり、互いに同一形状で形成されている。なお、図3では、一部の貫通孔25aの符示を省略している。
【0027】
エア抜き口25(バレル20の開口部24)は、図1に示すように、スクリュ10の混練部13よりも上流側でスクリュ孔21に開口するように設けられる。つまり、エア抜き口25は、スクリュ10の軸方向(バレル20の長手方向)におけるスクリュ10の混練部13と供給口22との間であって、移送部11に対向する位置に設けられる。
【0028】
フィルタ40は、図2に示すように、内部空間40aを有する円筒状に形成される。フィルタ40は、エアの通過は許容すると共に、粉体状の材料の通過は規制(阻害)する。フィルタ40は、不織布、多孔質材、パンチングメタル又は金属メッシュなどの金属製の多孔板などにより構成される。また、フィルタ40は、多孔質材、不織布、及び金属製の多孔板などで形成される単一のフィルタ部材によって構成されてもよいし、材質や性質(目の粗さ等)が異なる複数のフィルタ材を組み合わせて構成される組み立て式のフィルタでもよい。フィルタ40は、円筒面状の外周面の一部がカバー27のカバー部27bと接触する、又は、わずかに隙間を空けて沿うようにして配置される。このため、フィルタ40の外周面の一部がエア抜き口25に臨む。
【0029】
フィルタハウジング50は、図2に示すように、一端が開口する箱状に形成され、開口端がバレル20に取り付けられる。フィルタ40は、その全体がフィルタハウジング50に形成される収容空間50aに収容される。フィルタハウジング50には、収容空間50aに開口する吸入口51が形成される。
【0030】
フィルタ駆動機構60は、電動モータである第2モータ61と、第2モータ61の回転軸(図示省略)に連結され回転軸の出力回転が伝達される回転シャフト62と、フィルタ40の端部に取り付けられる一対の取付プレート63a,63bと、を有する。回転シャフト62の基端(図示省略)に、第2モータ61の回転軸が連結される。
【0031】
一対の取付プレート63a,63bは、内部空間40aを閉塞するようにフィルタ40の両端部にそれぞれ取り付けられる。一対の取付プレート63a,63bは、それぞれフィルタ40と略同一の外径を有する円盤状のプレートである。回転シャフト62は、フィルタ40の中心軸を通るように一方の取付プレート63a及びフィルタ40の内部空間40aを挿通し、その先端が他方の取付プレート63bに連結される。つまり、回転シャフト62は、取付プレート63bを介してフィルタ40に連結される。第2モータ61の出力軸の回転が回転シャフト62に伝達されることで、回転シャフト62と共にフィルタ40がその中心軸回りに回転する。回転シャフト62(フィルタ40の中心軸)は、スクリュ10の中心軸に対して垂直であって(図1参照)、一対のスクリュ10が隣接する方向(軸間方向。図2中左右方向)に平行に設けられる。
【0032】
真空ポンプ70は、フィルタハウジング50の吸入口51を通じて収容空間50a内のエアを吸引する。これにより、スクリュ孔21内のエアが、フィルタ40を通じてエア抜き口25から真空ポンプ70に吸引される。真空ポンプ70は、公知の構成を採用できるため、詳細な説明及び図示は省略する。
【0033】
フィルタ駆動機構60の第2モータ61及び真空ポンプ70の作動は、コントローラ80によって制御される。
【0034】
次に、押出機100の作用について説明する。
【0035】
押出機100を稼働させると、第1モータ30は、一対のスクリュ10が同一方向に同一速度で回転するようにコントローラ80によって制御される。
【0036】
供給口22を通じてスクリュ孔21内に供給される粉体状の材料は、スクリュ10の移送部11によって下流に向けて長手方向に移送される。この際、材料と共にエアがスクリュ孔21内に混入することがある。スクリュ孔21内にエアが混入すると、その分材料をスクリュ孔21内に供給できなくなる。つまり、スクリュ孔21内のエアによって材料の供給が阻害される。
【0037】
これに対し、押出機100では、バレル20にエア抜き口25が設けられるため、材料と共にスクリュ孔21内に混入したエアは、エア抜き口25を通じてスクリュ孔21の外部に排出される。具体的には、スクリュ孔21内のエアは、スクリュ10の移送部11によって材料に加えられる圧力と、真空ポンプ70によるエアの吸引力と、によってエア抜き口25からフィルタ40を通じてフィルタハウジング50の収容空間50aに排出される。収容空間50aに排出されたエアは、吸入口51を通じて真空ポンプ70に吸引される。これにより、スクリュ孔21内に混入したエアによってスクリュ孔21内への材料の供給が阻害されることを抑制できる。
【0038】
また、フィルタ40は、第2モータ61によって、一定速度で連続して回転される。このため、フィルタ40の外周面のうちエア抜き口25に臨む部分(以下、この部分を「フィルタ面」とも称する。)は、フィルタ40の回転に伴って順次変更される。つまり、押出機100では、エア抜き口25には、フィルタ40の同じ部分が常時臨むのではなく、フィルタ40の回転に伴ってフィルタ40の異なる部分が新たなフィルタ面として順次臨むように構成される。このように、エア抜き口25(言い換えれば、スクリュ孔21内の材料)に臨むフィルタ面がフィルタ40の回転により更新される構成であるため、フィルタ40の目詰まりが発生しにくくなる。よって、目詰まりによるフィルタ40のメンテナンス作業の発生を抑制でき、押出機100による生産性を向上させることができる。
【0039】
また、押出機100では、フィルタ40は、スクリュ孔21の外側に設けられており、スクリュ孔21はフィルタ40の外側に設けられている。フィルタ40は、円筒状の外周面がフィルタ面としてエア抜き口25に臨み、第2モータ61によって回転される。フィルタ40のフィルタ面は、第2モータ61によって回転されるのに伴い、収容空間50a内で回転シャフト62回りに変位して再びエア抜き口25に臨む。
【0040】
このように、フィルタ40は、円筒状に形成されて収容空間50a内で回転変位される構成である。このため、図2に示すように、エア抜き口25からスクリュ孔21外に排出されるエアの一部は、フィルタ40の外部から内部(内部空間40a)へと導かれ、フィルタ40の内部から外部へ向けて再びフィルタ40を通過して、吸入口51に導かれる(図2中矢印参照)。よって、エア抜き口25に臨むフィルタ面に粉体状の材料が付着しても、フィルタ40の内部から外部に向かうエアの流れによって、フィルタ40の外周面に付着した材料を除去することができる。真空ポンプ70に吸引されるエアの流れによってフィルタ40に付着した材料を除去できるので、フィルタ40の目詰まりをより一層抑制できる。したがって、フィルタ40のメンテナンスのために押出機100を停止させることを抑制でき、押出機100を連続的に稼働させて生産性を向上させることができる。
【0041】
また、押出機100では、バレル20のエア抜き口25は、複数の貫通孔25aによって構成される。エア抜き口25に臨んで設けられるフィルタ40に加えて、エア抜き口25そのものも、エアの通過は許容し材料の通過を規制するフィルタとしての機能を発揮する。言い換えれば、エア抜き口25が設けられるカバー27のカバー部27bが、パンチングメタルのように構成される。これにより、フィルタ40に対する異物除去の負荷を低減することができ、フィルタ40の目詰まりをより一層抑制することができる。
【0042】
なお、エア抜き口25の目の粗さは、フィルタ40の目の粗さよりも粗く構成される。別の観点からいえば、エア抜き口25の透過率はフィルタ40の透過率よりも高く、反対に、エア抜き口25を通過する気体の圧力損失はフィルタ40を通過する気体の圧力損失よりも小さい。これにより、気体と共にスクリュ孔21から排出される材料の除去機能は、主としてフィルタ40が担うように構成することができる。
【0043】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の各構成とを組み合わせたり、以下の変形例同士を組み合わせたりすることも可能である。また、各変形例において、上記実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0044】
上記実施形態では、フィルタ40は、円筒形状に形成され、第2モータ61によって回転変位する。これに対し、フィルタ40は、円筒形状に限定されない。また、フィルタ40は、回転変位する構成に限定されない。
【0045】
図4に示す第1変形例では、フィルタ140は、帯状に形成され両端が連結された無端のベルト状に形成される。第1変形例のフィルタ駆動機構160は、ベルト状のフィルタ140が掛け回される一対のローラ162a,162bと、一対のローラ162a,162bを回転駆動する第3モータ161と、を有する。フィルタ140は、一対のローラ162a,162b間にある一部がバレル20のエア抜き口25に臨むよう設けられる。一対のローラ162a,162bが第3モータ161によって回転駆動されることで、フィルタ140は、一対のローラ162a,162b間で回転変位する。これにより、フィルタ140においてエア抜き口25に臨む部分が更新される。
【0046】
また、図5に示す第2変形例では、フィルタ240は、平板状に形成され、板厚方向に垂直な幅広の平板面240aがエア抜き口25に臨むように配置される。フィルタ駆動機構260は、一対のスクリュ10が隣接する方向(中心軸間方向。図5中左右方向)にフィルタ240を進退させるアクチュエータ261を有する。アクチュエータ261は、例えば、流体圧シリンダ、又は、電動モータとボールねじとを有する直動機構を用いることができる。アクチュエータ261は、フィルタ240の平板面240aのいずれかの一部が常時エア抜き口25に臨むように、フィルタ240を往復動させる。これにより、フィルタ240において、エア抜き口25に臨む部分が更新される。
【0047】
このように、フィルタは、第1変形例のようにベルト状に形成されて回転変位するものでもよいし、第2変形例のように直線的に変位するものでもよい。つまり、押出機100では、フィルタ40,140,240の一部がエア抜き口25に臨み、フィルタ駆動機構60,160,260によってフィルタ40,140,240が変位されることで、フィルタ40,140,240においてエア抜き口25に臨む部分(フィルタ面)が変更される構成である限り、その他の構成は任意の構成とすることができる。上述のような第1変形例及び第2変形例であっても、フィルタ140,240においてエア抜き口25に臨む部分が更新されるため、フィルタ140,240の目詰まりを防止してメンテナンス作業の発生を抑制できる。
【0048】
また、上記実施形態では、エア抜き口25は、円形の複数の貫通孔25aによって構成される。これに対し、エア抜き口25の構成は、上記実施形態における構成に限定されない。例えば、図6に示す第3変形例のように、エア抜き口25は、平面視で略長方形に形成される一対の長穴125a,125bによって構成されてもよい。また、図7に示す第4変形例のように、エア抜き口25は、単一の孔225によって構成されてもよい。また、カバー27を設けず、バレル20に形成される開口部24をエア抜き口25として構成して、開口部24にフィルタ40が直接臨む構成としてもよい。つまり、エア抜き口25がフィルタとして機能する構成は、必須のものではない。
【0049】
また、上記実施形態では、フィルタ駆動機構60の第2モータ61は、フィルタ40を一定速度で同一方向に連続回転する(押出機100の稼働中は常時回転する)ようにコントローラ80によって制御される。これに対し、フィルタ40の目詰まり防止の観点からは、フィルタ40は一定速度で連続回転することが望ましいが、これに限定されるものではない。例えば、第2モータ61は、フィルタ40が回転と停止とを所定の時間間隔で繰り返し行うように、間欠的(断続的)にフィルタ40を回転させるものでもよい。この場合であっても、エア抜き口25に臨むフィルタ40のフィルタ面が更新されるため、フィルタ40の目詰まりを防止してメンテナンス作業の発生を抑制できる。
【0050】
また、上記実施形態では、押出機100は、スクリュ孔21内のエアを吸引する真空ポンプ70を備えるが、真空ポンプ70は必須の構成ではない。また、押出機100は、フィルタ40に付着した材料をフィルタ40から除去するための除去手段を備えていてもよい。除去手段としては、例えば、フィルタ40の内部空間40aに設けられ、フィルタ40の内部から外部に向けてエアを吐出するエアブロー装置を用いることができる。除去手段を設けることで、フィルタ40に付着した材料を積極的に除去できるため、真空ポンプ70を備えていない場合には特に有効である。
【0051】
また、上記実施形態では、フィルタ40は、その中心軸(回転シャフト62)が一対のスクリュ10の隣接方向に平行に設けられるが、この構成に限定されない。例えば、フィルタ40は、その中心軸がバレル20の長手方向(スクリュ10の軸線方向)に平行に設けられてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、一対のスクリュ10a,10b(図2参照)は、互いに同一方向に回転する。これに対し、一対のスクリュ10a,10bは、互いに反対方向に回転するものでもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、押出機100は、一対のスクリュ10a,10bを備える、いわゆる二軸混練押出機である。これに対し、押出機100は、単一のスクリュ10を備える、いわゆる単軸押出機でもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、スクリュ機械は、材料を混練して押し出す押出機100である。これに対し、スクリュ機械は、押出機100に対して材料を供給する材料供給機(サイドフィーダ)であってもよい。材料供給機のスクリュ10は、移送部11のみによって構成されており、材料を混練・溶融せずに移送する。
【0055】
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
【0056】
押出機100は、第1モータ30によって軸線周りに回転駆動されるスクリュ10と、スクリュ10が挿入されるスクリュ孔21及びスクリュ孔21内のエアを排出するためのエア抜き口25を有するバレル20と、その一部がバレル20のエア抜き口25に臨むフィルタ40と、フィルタ40を変位させて、フィルタ40においてエア抜き口25に臨む部分を変更するフィルタ駆動機構60と、を備える。
【0057】
この構成では、フィルタ駆動機構60によってフィルタ40を変位させることにより、押出機100の稼働中であってもフィルタ40のフィルタ面を更新することができる。このため、フィルタ40における目詰まりの発生を抑制できる。したがって、フィルタ40のメンテナンス作業の発生を抑制でき、押出機100による生産性を向上させることができる。
【0058】
また、押出機100は、フィルタ40を通じてエア抜き口25からスクリュ孔21内のエアを吸引する真空ポンプ70をさらに備える。
【0059】
この構成によれば、スクリュ孔21内のエアをスクリュ孔21の外部に効率的に排出することができる。
【0060】
また、押出機100は、フィルタ40を収容する収容空間50aを有しバレル20に取り付けられるフィルタハウジング50をさらに備え、真空ポンプ70は、収容空間50aに開口するようにフィルタハウジング50に形成される吸入口51を通じてスクリュ孔21内のエアを吸引し、フィルタ駆動機構60は、フィルタ40を回転させ、エア抜き口25に臨むフィルタ40の外周面の一部は、フィルタ駆動機構60によってフィルタ40が回転されるのに伴って、収容空間50a内で変位してエア抜き口25に臨む。
【0061】
この構成では、真空ポンプ70によって吸引されてエア抜き口25からスクリュ孔21外に排出されるエアの一部は、フィルタ40の外部から内部へと導かれ、フィルタ40の内部から外部へ向けて再びフィルタ40を通過して、吸入口51に導かれる。よって、エア抜き口25に臨むフィルタ面に粉体状の材料が付着しても、フィルタ40の内部から外部に向かうエアの流れによって、フィルタ40の外周面に付着した材料を除去することができる。このように、真空ポンプ70に吸引するエアの流れによってフィルタ40に付着した材料を除去できるので、フィルタ40の目詰まりをより一層抑制できる。したがって、フィルタ40のメンテナンスのために押出機100を停止させることを抑制でき、押出機100を連続的に稼働させて生産性を向上させることができる。
【0062】
また、押出機100では、エア抜き口25は、複数の貫通孔25a,125a,125bによって構成される。
【0063】
この構成では、エア抜き口25がフィルタ40として機能するため、フィルタ40の負荷を低減することができ、フィルタ40の目詰まりを低減することができる。
【0064】
また、押出機100では、フィルタ駆動機構60は、フィルタ40を一定速度で連続回転させる。
【0065】
この構成では、フィルタ40の目詰まりの発生をより効果的に抑制することができる。
【0066】
また、押出機100では、バレル20は、スクリュ孔21内へ材料を投入するための供給口22と、スクリュ孔21内の材料をバレル20外に吐出するための吐出口23と、を有し、スクリュ10は、バレル20のスクリュ孔21内の材料を混練するための混練部13を有し、バレル20のエア抜き口25は、スクリュ10の軸方向においてスクリュ10の混練部13とバレル20の供給口22との間に位置してスクリュ孔21に開口する。
【0067】
この構成では、エア抜き口25を通じて供給口22により近い位置でスクリュ孔21内のエアを排出できるため、スクリュ孔21内に混入したエアを排出しやすく、エアによってスクリュ孔21内の材料供給が阻害されるおそれを低減することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0069】
100 押出機(スクリュ機械)
10,10a,10b スクリュ
20 バレル
21 スクリュ孔
22 供給口
23 吐出口
25 エア抜き口
25a 貫通孔(孔)
30 第1モータ(駆動源)
40,140,240 フィルタ
50 フィルタハウジング
50a 収容空間
51 吸入口
60,160,260 フィルタ駆動機構(フィルタ駆動手段)
70 真空ポンプ
125a 長穴(孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7