(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】体外診断システムのための装置および作動方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20220621BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G01N35/04 H
G01N35/02 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020160282
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マルティン
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/138533(WO,A1)
【文献】特開2003-083985(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158122(WO,A1)
【文献】特開2018-096981(JP,A)
【文献】特表2019-525169(JP,A)
【文献】特表2019-504994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化トラック(1)と、
前記自動化トラック(1)に沿って、1つまたは複数の試料容器を搬送するように構成される複数のキャリア(2a、2b)であって、前記1つまたは複数の試料容器それぞれにデータキャリア(30)が設けられる、複数のキャリア(2a、2b)と、
前記自動化トラック(1)に沿って配置される制御ステーション(20)と
を備える体外診断システムのための装置であって、
前記制御ステーション(20)は、
前記複数のキャリア(2a、2b)のうちの1つのキャリア(2a)に受容される前記1つまたは複数の試料容器のうちの1つの試料容器(4)の画像を検出するように構成されるカメラ装置(21)であって、前記画像が、前記試料容器(4)に設けられる前記データキャリア(30)を少なくとも部分的に示す、カメラ装置(21)と、
前記キャリア(2a)によって搬送される前記試料容器(4)の前記データキャリア(30)を読み出し窓(40)を通して読み取るように構成されるデータキャリア読取装置(22)であって、前記読み出し窓(40)が、前記キャリア(2a)の構造部材(31、41a、41b)によって少なくとも部分的に包囲される前記キャリア(2a)の開口によって提供される、データキャリア読取装置(22)と、
前記試料容器(4)を制御データに応じて前記キャリア(2a)に再配置するように構成される再配置装置(24)と、
前記カメラ装置(21)および前記再配置装置(24)と通信する制御装置(23)と
を備え、
前記制御装置(23)は、
前記試料容器(4)が
前記キャリア(2a)の複数の受容開口のうちの1つの受容開口の中の開始位置に位置するときの、前記試料容器(4)の前記データキャリア(30)の測定される特徴であって、前記測定される特徴が、前記カメラ装置(21)によって検出される前記画像から判定される、測定される特徴を表す測定データを
用意し、
前記試料容器(4)が前記開始位置に位置する間に前記画像が検出されるときの、前記キャリア(2a)の構造部材(31、41a、41b)による前記データキャリア(30)の一部の遮蔽を示す遮蔽データを
用意し、
前記測定データおよび前記遮蔽データから、前記試料容器(4)における前記データキャリア(30)の位置および前記データキャリア(30)のサイズを含み、前記測定される特徴と異なる前記データキャリア(30)の特徴を判定し、
前記データキャリア(30)の前記特徴に基づいて、前記読み出し窓(40)に対して、前記開始位置から、前記データキャリア読取装置(22)によって前記読み出し窓(40)を通して前記データキャリアを読み取るために、
前記1つの受容開口の内部の読み出し位置であって、前記読み出し位置が最適化された視認性を提供する
、読み出し位置に、前記試料容器(4)を再配置するように構成される前記制御データを
用意する
ように構成される、装置。
【請求項2】
前記データキャリア(30)は、一次元バーコード、二次元バーコード、三次元バーコード、マトリックスコード、およびQRコードのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記制御装置(23)はさらに、前記構造部材のサイズ、前記構造部材の形状、前記キャリアにおける前記構造部材の位置、遮蔽領域のサイズ、および前記遮蔽領域の形状の群から選択される、前記構造部材(31、41a、41b)の少なくとも1つの特徴を示す構造部材データを考慮することによって、前記遮蔽データを判定するように構成される、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記読み出し窓(40)は、前記キャリア(2a)の壁部材、および前記キャリア(2a)の前記試料容器(4)を支持するために設けられる固定部材のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に包囲される、前記キャリア(2a)の開口によって提供される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記カメラ装置(21)によって検出される前記画像から判定される前記データキャリア(30)の前記測定される特徴は、前記データキャリア(30)についての、測定されるサイズおよび前記試料容器(4)における測定される位置のうちの少なくとも1つを示す、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御装置(23)はさらに、前記読み出し窓(40)のサイズ、前記読み出し窓(40)の形状、前記キャリア(2a)における前記読み出し窓(40)の位置、前記データキャリア読取装置(22)に対する前記読み出し窓(40)の位置の群から選択される、前記読み出し窓(40)の少なくとも1つの特徴を示す窓データを提供するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御装置(23)はさらに、前記測定データ、前記遮蔽データ、および前記窓データから、前記データキャリア(30)の特徴を判定するように構成される、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記制御装置(23)はさらに、構造部材の数、前記データキャリア(30)の一部を遮蔽する可能性のある選択された構造部材の識別、および構造部材間の距離の群のうちの、構造部材(41a、41b)の配置の少なくとも1つの特徴を示すデータを考慮することによって、前記遮蔽データを判定するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
自動化トラック(1)を設けることと、
前記自動化トラック(1)に沿って、1つまたは複数の試料容器を搬送する複数のキャリア(2a、2b)であって、前記1つまたは複数の試料容器それぞれにデータキャリア(30)が設けられる、複数のキャリア(2a、2b)を設けることと、
前記自動化トラック(1)に沿って配置される制御ステーション(23)を作動させることと
を含む、体外診断システムにおいて装置を作動させる方法であって、
前記制御ステーション(23)を作動させることは、
カメラ装置(21)によって、前記複数のキャリア(2a
、2b)のうちの1つのキャリア(2a)に受容される前記1つまたは複数の試料容器のうちの1つの試料容器(4)の画像であって、前記画像が、前記試料容器(4)に設けられる前記データキャリア(30)を少なくとも部分的に示す、画像を検出することと、
データキャリア読取装置(22)によって、前記キャリア(2a)によって搬送され
、前記キャリア(2a)の複数の受容開口のうちの1つの受容開口の中に受容される前記試料容器(4)の前記データキャリア(30)を、前記キャリア(2a)の構造部材(31、41a、41b)によって少なくとも部分的に包囲される前記キャリア(2a)の開口によって提供される読み出し窓(40)を通して読み取ることと、
再配置装置(24)によって、前記キャリア(2a)の前記試料容器(4)を制御データに応じて再配置することと、
前記カメラ装置(21)および前記再配置装置(24)と通信する制御装置(23)を設けることと
を含み、
前記制御装置(23)において、
前記試料容器(4)が
前記1つの受容開口の中の開始位置に位置するときの、前記試料容器(4)の前記データキャリア(30)の測定される特徴であって、前記測定される特徴が、前記カメラ装置(21)によって検出される前記画像から判定される、測定される特徴を示す測定データを
用意することと、
前記試料容器(4)が前記開始位置に位置する間に前記画像が検出されるときの、前記キャリア(2a)の構造部材(31、41a、41b)による前記データキャリア(30)の一部の遮蔽を示す遮蔽データを
用意することと、
前記測定データおよび前記遮蔽データから、前記試料容器(4)における前記データキャリア(30)の位置および前記データキャリア(30)のサイズを含み、前記測定される特徴と異なる前記データキャリア(30)の特徴を判定することと、
前記データキャリア(30)の前記特徴に基づいて、前記読み出し窓(40)に対して、前記開始位置から、前記データキャリア読取装置(22)によって前記読み出し窓(40)を通して前記データキャリアを読み取るために、
前記1つの受容開口の内部の読み出し位置であって、前記読み出し位置が最適化された視認性を提供する
、読み出し位置に、前記試料容器(4)を再配置するように構成される前記制御データを
用意することと
をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、体外診断システムのための装置および作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体外診断システムは、人体から得られた血液または組織試料などの試験試料に適用される。体外診断は、病気または他の健康状態を検出することができ、治療、療法の援助、または病気の予防のために、人の全般的な健康を監視するために使用され得る。体外診断はまた、特定の治療または療法から利益を得られそうな患者を特定するために精密医療に適用され得る。いくつかの体外診断試験は、実験室または他の専門の医療環境において使用されている。
【0003】
特許文献1により、体外診断環境における使用のためのシステムおよび方法が知られている。当該システムは、自動化トラック、複数の試料容器を自動化トラックに沿って搬送するように構成される複数のキャリア、および複数の光学装置を含む特徴評価ステーション(characterization station)を備える。特徴評価ステーションと通信するプロセッサは、画像を分析して、各キャリアおよび/または試料容器に関連する物理的属性を自動的に特徴評価するように構成されている。方法は、特徴評価ステーションの複数の光学装置からの複数の画像であって、複数の画像が、キャリアによって移送される試料容器の、複数の視点からの画像を含む、複数の画像を受信することと、複数の画像を自動的に分析することと、プロセッサを使用して試料容器のある特定の特徴を判定することと、および試料容器のその特徴をデータベース内のキャリアと自動的に関連付けすることと、を含む。
【0004】
特許文献1によると、キャリア内における試料容器の配置は、たとえば光学的に検出可能な特徴などの、試料容器の検出可能な特徴の視認性に影響を及ぼし得る。たとえば、試料スロットの視野の一部が、試料容器をスロット内に保持する爪部などの、キャリアの保持要素によって遮蔽され得る。キャリア内の試料容器を保持する爪部は、実質的に、各試料容器の上方に延在し得る。典型的には、バーコードは、試料容器の壁部に手作業で貼付されるステッカーの形態で配置され得る。バーコードは、各試料容器の周囲のかなりの部分の周りに延びることがあり、爪部または別の保持または支持要素は、そのバーコードのかなりの部分を遮蔽することがあり、それによって、ブラインドスポットが提供される。
【0005】
特許文献1によると、ブラインドスポットは、試料容器を、キャリア内の異なる試料スロットへと移動させることによって取り除かれる。試料容器がキャリア内に配置されると、試料ハンドリングロボットが、試料容器上のバーコードの位置を視認および検討し、マルチスロットキャリア内の位置を自動的に選択し、スロットの構成およびバーコードの方位が、特徴評価ステーション内のカメラに対し遮断されない視線を提供する。そのような遮断されない視線は、試料容器をキャリア内で1つのスロットから異なるスロットへと再配置することによって提供される。これには、試料容器を取り出すステップ、試料容器を新しいスロットへと移動させられる間に保持するステップ、および試料容器をキャリア内の新しいスロット内に設置するステップを含め、試料容器の複雑なハンドリングが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2016/0025756号明細書
【発明の概要】
【0007】
体外診断システムのための装置、および自動化トラックのキャリア内に受容される試料容器の確実かつ安全なハンドリングを支援する、作動方法を提供することが、本開示の目的である。
【0008】
この問題を解決するために、請求項1の体外診断システムのための装置が提供される。さらに、請求項9の体外診断システムにおける装置の作動方法が提供される。さらなる実施形態が、従属請求項に開示される。
【0009】
一態様によると、体外診断システムのための装置が提供され、体外診断システムのための装置は、自動化トラックと、自動化トラックに沿って、1つまたは複数の試料容器を搬送するように構成される複数のキャリアであって、1つまたは複数の試料容器それぞれにデータキャリアが設けられる、複数のキャリアと、自動化トラックに沿って設置される制御ステーションとを備える。制御ステーションには、複数のキャリアのうちの1つのキャリアに受容される1つまたは複数の試料容器のうちの1つの試料容器の画像を検出するように構成されるカメラ装置であって、当該画像が、試料容器上に設けられるデータキャリアを少なくとも部分的に示す、カメラ装置と、キャリアによって搬送される試料容器のデータキャリアを読み出し窓を通して読み取るように構成されるデータキャリア読取装置であって、当該読み出し窓が、キャリアの構造部材によって少なくとも部分的に包囲されるキャリアの開口によって提供される、データキャリア読取装置と、試料容器を制御データに応じてキャリアに再配置するように構成される再配置装置と、カメラ装置および再配置装置と通信する制御装置とが設けられる。制御装置は、試料容器が開始位置に位置するときの、試料容器のデータキャリアの測定される特徴であって、当該測定される特徴が、カメラ装置によって検出された画像から判定される、測定される特徴を表す測定データを用意し、試料容器が開始位置に位置する間に画像が検出される場合の、キャリアの構造部材によるデータキャリアの一部の遮蔽を示す遮蔽データを用意し、測定データおよび遮蔽データから、試料容器におけるデータキャリアの位置およびデータキャリアのサイズを含み、測定される特徴と異なるデータキャリアの特徴を判定し、データキャリアの特徴に基づいて、読み出し窓に対して、開始位置から、データキャリア読取装置によって読み出し窓を通してデータキャリアを読み取るために、最適化された視認性を提供する読み出し位置に、試料容器を再配置するように構成される制御データを提供するように、構成される。
【0010】
別の態様によると、体外診断システムにおいて装置を作動させる方法が提供される。方法は、自動化トラックを設けることと、自動化トラックに沿って、1つまたは複数の試料容器を搬送する複数のキャリアであって、当該1つまたは複数の試料容器それぞれにデータキャリアが設けられる、複数のキャリアを設けることと、自動化トラックに沿って配置される制御ステーションを作動させることとを含む。制御ステーションを作動させることは、カメラ装置によって、複数のキャリアのうちの1つのキャリア内に受容される1つまたは複数の試料容器のうちの1つの試料容器の画像であって、当該画像が、試料容器に設けられるデータキャリアを少なくとも部分的に示す、画像を検出することと、データキャリア読取装置によって、キャリアによって搬送される試料容器のデータキャリアを、キャリアの構造部材によって少なくとも部分的に包囲されるキャリアの開口によって提供される読み出し窓を通して読み取ることと、再配置装置によって、キャリアの試料容器を制御データに応じて再配置することと、カメラ装置および再配置装置と通信する制御装置を設けることとを含む。当該方法は、制御装置において、試料容器が開始位置に位置するときの、試料容器のデータキャリアの測定される特徴であって、当該測定される特徴が、カメラ装置によって検出された画像から判定される、測定される特徴を表す測定データを用意することと、試料容器が開始位置に位置する間に画像が検出されるときの、キャリアの構造部材によるデータキャリアの一部の遮蔽を表す遮蔽データを用意することと、測定データおよび遮蔽データから、試料容器におけるデータキャリアの位置およびデータキャリアのサイズを含み、測定される特徴と異なるデータキャリアの特徴を判定することと、データキャリアの特徴に基づいて、読み出し窓に対して、開始位置から、データキャリア読取装置によって読み出し窓を通してデータキャリアを読み取るために、最適化された視認性を提供する読み出し位置に、試料容器を再配置するように構成される制御データを提供することと、をさらに含む。
【0011】
制御装置では、予備段階において、測定データを用意し、測定データは、試料容器に設けられるデータキャリアの測定される特徴をあらわしている示している。しかし、データキャリアの一部は、キャリアの構造部材または要素によって遮蔽され、それによって、1つまたは複数のブラインドスポットが生じる。そのような遮蔽についての情報は、遮蔽データによって提供される。続いて、データキャリアの実際の特徴は、測定データおよび遮蔽データを処理または分析し、それによって、測定される特徴が「修正」される(データキャリアの遮蔽された部分(ブラインドスポット)を含む)ことによって判定される。データキャリアの(修正された)特徴が判定された後、読み出し窓に対して、データキャリア読取装置によって読み出し窓を通してデータキャリアを読み取るための最適化または向上された視認性(視線)が提供される読み出し位置に、試料容器を再配置または移動させるために、制御データが生成され得る。データキャリアの読み取りエラーまたは誤解釈が、回避され得る。試料容器は、体外診断システムのための装置において、より安全にハンドリングされることが可能となる。
【0012】
制御データに応じて、キャリア内の試料容器は、再配置または移動される。再配置は、たとえば、試料容器が開始位置および読み出し位置の両方で受容される受容開口の内部での試料容器の回転によってもたらされてもよい。制御データに応ずる試料容器の再配置または移動は、データキャリア内で搬送される試料容器の読み出し窓に対する相対運動をもたらす。試料容器の再配置は、たとえば、画像がカメラ装置によって撮像される間に、測定(視線)の方向(視野)に沿って、読み出し窓とデータキャリアとの最適化された重なりをもたらしてもよい。
【0013】
読み出し窓は、円形または四角形の開口によって提供されてもよい。スリット開口が設けられてもよい。
【0014】
データキャリアは、一次元バーコード、二次元バーコード、三次元バーコード、マトリックスコード、およびQRコード(登録商標)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。代替的に、データキャリアは、RFIDタグ(RFID:無線周波数識別(Radio Frequency Identification))によって提供されてもよい。データキャリア読取装置は、1つまたは複数の種類のデータキャリアを読み出しするように構成されるスキャナ装置として提供されてもよい。
【0015】
制御装置はさらに、構造部材のサイズ、構造部材の形状、キャリアにおける構造部材の位置、遮蔽領域(ブラインドスポット)のサイズ、および遮蔽領域の形状の群から選択される構造部材の少なくとも1つの特徴を示す構造部材データを考慮することによって、遮蔽データを判定するように構成されていてもよい。遮蔽データは、構造部材の特徴に関する情報を含む。それによって、データキャリアの特徴の判定が、さらに向上し得る。たとえば、データキャリアにおけるブラインドスポットの形状、および構造部材の形状に関するデータが、(ブラインドスポットについて修正された)データキャリアの特徴を判定するために分析され得る。データキャリアの特徴は、より正確に判定され得る。それに応じて、キャリア内の試料容器の再配置または整列が、より高精度に適用され得る。構造部材データは、たとえば、デジタル画像分析によって画像から得られてもよい。代替的または追加的に、構造部材データは、キャリアの1つまたは複数の構造部材および/またはキャリア全体の特徴を示す電子データを含むデータベースから提供されてもよい。
【0016】
読み出し窓は、キャリアの壁部材、およびキャリアの試料容器を固定/支持するために設けられる固定部材のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に包囲される、キャリアの開口によって提供されてもよい。たとえば、固定部材は、キャリアにおいて試料容器を保持または支持する指要素として提供されてもよい。固定部材は、印加されるある程度の力に応じて、柔軟に屈曲し得る柔軟性の固定部材であってもよい。
【0017】
カメラ装置によって検出される画像から判定されるデータキャリアの測定される特徴は、データキャリアについての、測定されるサイズおよび試料容器内における測定される位置のうちの少なくとも1つを示してもよい。測定されるサイズおよび測定される位置のうちの少なくとも1つは、データキャリアの特徴を判定するプロセスにおいて、修正または訂正されてもよく、それによって、試料容器におけるデータキャリアの修正されたサイズおよび/または修正された位置が提供される。
【0018】
制御装置はさらに、読み出し窓のサイズ、読み出し窓の形状、キャリアにおける読み出し窓の位置、データキャリア読取装置に対する読み出し窓の位置の群から選択される、読み出し窓の少なくとも1つの特徴を示す窓データを提供するように構成されていてもよい。たとえば、読み出し窓のサイズ/形状に対して、窓データは、第1の寸法を有する読み出し窓の第1の窓範囲、および第2の寸法を有する読み出し窓の第2の窓範囲を表してもよく、第2の寸法は第1の寸法と異なる。(試料容器が受容されるスロットの内部における)試料容器の再配置のプロセス中、データキャリアの視認性は、第1および第2の窓範囲のうちの1つのために、最適化されてもよい。たとえば、データキャリアは、第1または第2の窓範囲に対して、中央に位置決めされてもよい。
【0019】
たとえば、窓データは、データキャリア読取装置によって読み出しされるデータキャリアと読み出し窓との向上された重なりを判定するために使用されてもよい。一実施形態では、データキャリアは、読み出し位置において読み出し窓に対して中央の位置に設けられてもよい。データキャリアの境界または縁領域は、読み出し位置にあるデータキャリア読取装置によって、読み出し窓を通して(依然として)視認できないこともある。しかし、制御データに応じて、データキャリアを読み出し窓に対して位置決めすることによって、最適化された読み出しの位置決めが、読み出し窓に関してデータキャリアに適用され得る。そのような位置決めは、遮蔽データを考慮することによって最適化され、それによって、データキャリアの不正確な読み取りが回避される。
【0020】
制御装置はさらに、測定データ、遮蔽データ、および窓データから、データキャリアの特徴を判定するように構成されていてもよい。
【0021】
制御装置はさらに、構造部材の数、データキャリアの一部を遮蔽する可能性のある選択された構造部材の識別、および構造部材間の距離の群のうちの、構造部材の配置の少なくとも1つの特徴を示すデータを考慮することによって、遮蔽データを判定するように構成されていてもよい。たとえば、装置の特徴を示すデータは、構造部材からなる装置内隣接する構造部材についての情報を提供してもよい。
【0022】
上記の体外診断システムのための装置に関して開示される実施形態は、装置を作動させる方法に、必要な変更を加えて適用されてもよい。
【0023】
以下の実施形態は、例として、図を参照して説明される。図において、以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】体外診断システムのための装置のための自動化トラックの概略図である。
【
図2】体外診断システム内の制御ステーションのための装置の概略図である。
【
図3】キャリアのスロット内に受容される試料容器の概略図である。
【
図4】キャリアのスロット内に受容される試料容器の別の概略図である。
【
図5】異なる設計の保持指部として提供されるキャリアの複数の異なる構造部材である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、体外診断システムのための装置のための自動化トラック1の概略図を示す。自動化トラック1は、たとえば、人体から得られた血液または組織試料などの試験試料に適用される体外診断システム内に設けられ得る。体外診断試験は、実験室または他の健康専門環境で使用され得る。
【0026】
自動化トラック1には、自動化トラック1に沿って
図1に矢印Aで示される方向に移動可能な複数のキャリア2a、2bが設けられている。キャリア2a、2bを自動化トラック1に沿って移動させることで、キャリア2a、2bは、体外診断システムの異なるハンドリングまたは作動ステーション3a、3bに移動し得る。異なるハンドリングまたは作動ステーション3a、3bでは、複数の適用ステップが、キャリア2a、2bのスロット5に受容される試料容器4に適用され得る。たとえば、光学解析が、作動ステーション3b内の試料容器4のうちの1つに提供された試料に適用され得る。自動化トラックが設けられる体外診断システムのための様々な装置が、そのようなものとして知られている。
【0027】
図2は、制御ステーション20の概略図を示す。制御ステーション20には、キャリア2aに受容される試料容器4の画像を検出するように構成されるカメラ装置21が設けられている。画像は、少なくとも部分的に試料容器4上に設けられるデータキャリアを示している。データキャリア(以下の
図3および
図4参照)は、試料容器4に関する情報、たとえば、生成日、提供元および/または試料の内容物を提供するためのものである。データキャリアには、一次元バーコード、二次元バーコード、三次元バーコード、マトリックスコード、およびQRコードのうちの少なくとも1つが設けられ得る。また、RFIDタグが設けられてもよい。
【0028】
データキャリア上で提供される情報は、データキャリア読取装置22、たとえばスキャナ装置によって読み出され得る。データキャリア読取装置22は、読み出し窓30(
図3および
図4参照)を通して試料容器4上のデータキャリアを読み出すように構成されている。代替例では、データキャリア読取装置22は、カメラ装置21により実装され得る。
【0029】
カメラ装置21およびデータキャリア読取装置22は、制御ステーション20内に設けられる制御装置23と通信する。制御装置23は、制御装置23に接続される再配置装置24に提供される制御データを生成するように構成されている。再配置装置24は、キャリア2a内の試料容器4を再配置するように構成されている。そのような再配置または移動は、たとえば、試料容器4をスロット5内で回転させて、それによって、第1の位置から、データキャリア上の情報をデータキャリア読取装置22によって読み出すために、試料容器4上に受容されるデータキャリアの視認性の向上(視線)を提供する読み出し位置に、試料容器4を再配置することによって適用される。
【0030】
図3および
図4は、キャリア2aのスロット5内に受容された試料容器4の概略図を示す。
図3および
図4の左側では、試料容器4に設けられるデータキャリア30は、キャリア2aの構造要素31によって部分的に遮蔽されている。そのようなブラインドスポットのため、試料容器4が、
図3および
図4の左側に示される第1の位置にあるとき、データキャリア30は、データキャリア読取装置22によって正確に読み出されることができない。
図3では、読み出し窓40は、試料容器4をキャリア2a内に保持または支持するための指部として設けられる構造部材31によって一方側で制限されている。
図4では、読み出し窓40は、構造部材41a、41bによって両側で制限されている。
図4では、データキャリア30は、読み出し窓40に対して中心位置に設けられている。
図3では、読み出し窓は、一方側にて開放されている(なんらかの構造部材によって包囲されていない)。
【0031】
試料容器4は、試料容器4を
図3および
図4の右側に示される第2の位置(読み出し位置)に移動させるために回転させることによって再配置され、それによって、データキャリア読取装置22で読み取るためにデータキャリアの視認性の向上をもたらす読み出し窓40に対する位置に、データキャリア30を位置決めする。
【0032】
読み出し窓40(
図3および
図4に示す)に対するデータキャリア30の相対位置を変更するプロセスは、データキャリア2aが制御ステーション20に移動すると適用される。試料容器4の画像は、カメラ装置21によって収集される。制御ステーション23では、画像は、デジタル画像分析によって加工される。第1または開始位置(
図3および
図4の左側)にある試料容器4上のデータキャリア30の測定される特徴を示す測定データが
用意される。制御装置23では、キャリア2aの構造部材31、41a、41bによる、データキャリア30の部分の遮蔽(ブラインドスポット)を示す遮蔽データが
用意される。たとえば、遮蔽データは、構造部材の側面、構造部材の形状、キャリア2aにおける構造部材の位置、遮蔽領域(ブラインドスポット)の側面、および遮蔽されたキャリアの形状の中から選択される、構造部材31、41a、41bの少なくとも1つの特徴を示す構造部材データを考慮して判定され得る。
【0033】
測定される特徴とは異なり、試料容器4上におけるデータキャリア30の位置およびデータキャリア30のサイズを含む、修正されたデータキャリア30の特徴を判定するために、遮蔽データが考慮され得る。データキャリア30の特徴に基づき、第1の位置(
図3および
図4の左側参照)から、
図3および
図4の右側に示す第2または読み出し位置に、読み出し窓40に対して試料容器4を再配置するために、制御装置23によって制御データが生成される。再配置のプロセスにおいて、試料容器4は、スロット5内に保持されるが、読み出し窓40に対する相対移動のために回転される。
【0034】
キャリア2a、2bの構造部材41a、41bは、構造要素、たとえば、複数の爪部または指部の配置として設けられてもよく、複数の構造部材は、同じまたは異なる設計を有する。
図5は、そのような構造要素の、複数の設計の選択肢を示す。
【0035】
遮蔽データの判定に関して、以下の態様が適用されてもよい。たとえばカメラ装置21の視界を遮蔽する構造部材31、41a、41bの形状が矩形である場合、構造部材31、41a、41bの形状が、認識されてもよい。その際、この矩形形状は、たとえば、ハフ変換またはエッジ検出に基づいて、カメラ装置21により撮像された画像からの特徴抽出により検出され得る。
【0036】
指部または爪部などの構造部材31、41a、41bは、試料容器4に対する色差または輝度差により認識されてもよい。代替的または追加的に、構造部材の外側面の、特定のカラーマーキング、特定の形状、特定のパターンおよび/または特定のシンボルなど、カメラ装置21によって検出され得る構造部材31、41a、41b上の特別なマーキングが、認識されてもよい。
【0037】
代替的または追加的に、キャリア2a、2bの本体またはハウジングの特別なマーキングが、考慮されてもよい。
【0038】
構造部材31、41a、41bの配置として、既知の設計、たとえば
図5に示す設計のうちの1つの態様が、制御ステーション20において適用されるプロセスにおいて認識されてもよい。既知の構造部材の数および構造部材間の距離が、試料容器を遮蔽する構造部材の、最も可能性の高い位置を推定するために適用されてもよい。
【0039】
前述の実施形態の1つまたは複数が、全体的な構造部材の位置検出処理の信頼性を向上させるために適用されてもよい。
【0040】
キャリア2a、2bの構造部材としての識別に関するいくつかの候補が、カメラ装置21により撮像された画像内にて前述の手段のうちの1つによって識別されると、構造部材41a、41b間の距離および構造部材41a、41bの数の情報が、それらの候補のいずれが、実際に指部または爪部のような構造部材である可能性が高いかを判定するために使用されてもよい。たとえば、2つの候補が、実際の構造部材の距離よりも小さい距離を有する場合、そのうちの1つは除外され得る。別の例において、候補の数が構造部材の実際の数よりも大きい場合、そのうちの1つは、実際には構造部材となり得ない。
【0041】
また、等間隔かつ既知の間隔を有する複数の構造部材の形状のパターンが、存在してもよいか、また考慮されてもよく、任意で、構造部材および/またはキャリア2a、2bのハウジング上に特徴部または特別なマーキングからなるパターンを任意に含んでいてもよい。そのような構造部材データは、制御装置23において、カメラ装置21によって撮像される画像内で抽出される一組の特徴に一致し得る。最適な一致が、構造部材に対する最も可能性の高い位置を示す。