(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】地図の作成のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20220621BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20220621BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220621BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G01C21/28
G08G1/09 F
G08G1/0969
(21)【出願番号】P 2020513739
(86)(22)【出願日】2018-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2018072277
(87)【国際公開番号】W WO2019048213
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】102017215868.9
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】アベリング,ペーター・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】パスマン,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ツァウム,ダニエル
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0254651(US,A1)
【文献】特開2014-099055(JP,A)
【文献】特表2017-538915(JP,A)
【文献】米国特許第09612123(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00
G01C 21/00-21/36
G08G 1/09
G08G 1/0969
G01S 17/00-17/95
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地図の作成(340)のための方法(300)であって、以下のステップ、すなわち
- 周囲データ値を受信するステップ(310)であり、
・前記周囲データ値が少なくとも1つの車両(200)の周囲(220)を表し、
・前記周囲(220)が少なくとも1つの周囲特徴(221)を含み、
・前記周囲データ値が前記少なくとも1つの車両(200)の第1の周辺環境センサシステム(201)によって捕捉される、ステップ(310)と;
- 前記第1の周辺環境センサシステム(201)によって捕捉された前記周囲データ値に基づいて前記少なくとも1つの周囲特徴(221)のオブジェクトクラスを決定するステップ(320)と、
- 前記オブジェクトクラスを少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへ割当てるステップ(330)であり、
・前記オブジェクトクラスは、特定の領域内の1つの位置を有するオブジェクトを含み、
・前記少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスは
、少なくとも1つのさらなる周囲特徴のオブジェクトクラスであり、
前記オブジェクトクラスよりも、前記特定の領域内のより正確な位置を有するオブジェクトを含み、
・前記少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の周辺環境センサシステムによって捕捉可能であり、かつ前記第2の周辺環境センサシステムが前記第1の周辺環境センサシステム(201)と同じ構造ではなく、前記少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の地図によって含まれる、ステップ(330)と;
- 前記第1の地図を作成するステップ(340)であり、前記第1の地図および前記第2の地図が、前記割当てるステップ(330)における処理に基づいて組み合わされることで、前記第1の地図が作成される、ステップ(340)と
を有する方法(300)。
【請求項2】
前記第1の地図を作成するステップ(340)が、
・前記第1の地図に依存して、前記第2の地図に依存して、もしくは前記割当てに依存して、自動化された車両が動作されるように、および/または
・前記第1の地図に依存して、前記第2の地図に依存して、もしくは前記割当てに依存して、モバイル端末が動作されるように
行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記オブジェクトクラスが、
・前記少なくとも1つの周囲特徴(221)の幾何学的構造に依存して、および/または
・前記少なくとも1つの周囲特徴(221)の材料特性に依存して
決定される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記オブジェクトクラスの前記少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの前記割当てが、
・前記少なくとも1つの周囲特徴(221)の前記幾何学的構造に依存して、および/または
・前記少なくとも1つのさらなる周囲特徴(221)の幾何学的構造に依存して
作成される
ことを特徴とする請求項3に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記第1の周辺環境センサシステム(221)がレーダセンサを含み、
前記周囲データ値が前記レーダセンサによって捕捉され、前記少なくとも1つの周囲特徴(221)が特徴的なレーダ署名を有し、さらに前記方法において、
前記オブジェクトクラスが前記特徴的なレーダ署名に依存して決定され、
ならびに/または
前記第2の周辺環境センサシステムがビデオセンサおよび/もしくはライダセンサを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(300)。
【請求項6】
第1の地図の作成(340)のための装置(110)であって、以下の手段、すなわち
- 周囲データ値を受信する(310)ための第1の手段(111)であり、
・前記周囲データ値が少なくとも1つの車両(200)の周囲(220)を表し、
・前記周囲(220)が少なくとも1つの周囲特徴(221)を含み、
・前記周囲データ値が前記少なくとも1つの車両(200)の第1の周辺環境センサシステム(201)によって捕捉される、第1の手段(111)と;
- 前記第1の周辺環境センサシステム(201)によって捕捉された前記周囲データ値に基づいて前記少なくとも1つの周囲特徴(221)のオブジェクトクラスを決定する(320)ための第2の手段(112)と、
- 前記オブジェクトクラスを少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへ割当てる(330)ための第3の手段(113)であり、
・前記オブジェクトクラスは、特定の領域内の1つの位置を有するオブジェクトを含み、
・前記少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスは少なくとも1つのさらなる周囲特徴のオブジェクトクラスであり、
前記オブジェクトクラスよりも、前記特定の領域内のより正確な位置を有するオブジェクトを含み、
・前記少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の周辺環境センサシステムによって捕捉可能であり、かつ前記第2の周辺環境センサシステムが前記第1の周辺環境センサシステム(201)と同じ構造ではなく、前記少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の地図によって含まれる、第3の手段(113)と;
- 前記第1の地図を作成する(340)ための第4の手段(114)であり、前記第1の地図および前記第2の地図が、前記第3の手段(113)による前記割当てに基づいて組み合わされることで、前記第1の地図が作成される、第4の手段(114)と
を備えた装置(110)。
【請求項7】
前記第1の手段(111)、前記第2の手段(112)、前記第3の手段(113)、および前記第4の手段(114
)が、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(300)を実行するために形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の装置(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲データ値の受信のステップであり、この周囲データ値が少なくとも1つの車両の周囲を表し、この周囲が少なくとも1つの周囲特徴を含むステップと、少なくとも1つの周囲特徴のオブジェクトクラスの決定のステップと、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当ての作成のステップと、第1の地図の作成のステップであり、周囲データ値に依存し、割当てに基づくステップとを有する、第1の地図の作成のための方法および装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
第1の地図の作成のための本発明による方法は、周囲データ値の受信のステップであり、この周囲データ値が少なくとも1つの車両の周囲を表し、この周囲が少なくとも1つの周囲特徴を含み、周囲データ値が少なくとも1つの車両の第1の周辺環境センサシステムによって捕捉されるステップと、少なくとも1つの周囲特徴のオブジェクトクラスの決定のステップであり、少なくとも1つの車両の第1の周辺環境センサシステムに依存するステップとを含む。この方法は、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当ての作成のステップであり、この少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスが少なくとも1つのさらなる周囲特徴から決定され、この少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の周辺環境センサシステムによって捕捉可能であり、かつ第2の周辺環境センサシステムが第1の周辺環境センサシステムと同じ構造ではないステップと、第1の地図の作成のステップであり、周囲データ値に依存し、割当てに基づくステップとをさらに含む。
【0003】
第1および/または第2の周辺環境センサシステムとは、例えば、少なくとも1つのビデオセンサおよび/または少なくとも1つのレーダセンサおよび/または少なくとも1つのライダセンサおよび/または少なくとも1つの超音波センサおよび/または少なくとも1つの車両の周囲を周囲データ値の形態で捕捉するために形成された少なくとも1つのさらなるセンサのことである。第2の周辺環境センサシステムが第1の周辺環境センサシステムと同じ構造ではないとは、例えば、第1の周辺環境センサシステムが少なくとも1つのレーダセンサを含み、かつ第2の周辺環境センサシステムがレーダセンサを含まないと解釈される。一般的には、第1および第2の周辺環境センサシステムは、場合によっては様々なセンサタイプ(ビデオ、ライダ、レーダなど)を異なる数で含むことで互いに異なっている。
【0004】
周囲データ値をとりわけ少なくとも1つの周囲特徴の形態で捕捉するとは、例えば、少なくとも1つの周囲特徴が捕捉され、かつ例えばナビゲーションシステムによって決定される位置と結びつけられることである。一実施形態では、周囲データ値の受信は、例えば、少なくとも1つの周囲特徴がそれぞれの位置と関連して受信されるように行われる。さらなる一実施形態では、例えば、少なくとも1つの周囲特徴が捕捉され、かつ少なくとも1つの車両によって含まれている(少なくとも1つの車両と接続している例えばナビゲーションシステムおよび/またはスマートフォンの)地図に記入される。この場合、周囲データ値の受信は、記入された少なくとも1つの周囲特徴を有するこの地図が受信されるように行われる。さらなる一実施形態ではそれに加えておよび/またはその代わりに、周囲データ値が、第1の周辺環境センサシステムの説明、例えばセンサタイプについての情報を含むように受信される。
【0005】
位置とは、例えば、設定された座標系内の(2次元または3次元の)座標、例えばGNSS座標のことである。これに関しGNSS座標はGNSSユニットによって決定され、このGNSSユニットは、ナビゲーション衛星および/または擬似衛星の信号を受信することによる、地上および空中の位置決定およびナビゲーションのためのシステムとして形成される。
【0006】
周囲特徴とは、例えば、インフラ特徴(交通標識、ガードレール、縁石、路側帯、路面標示など)および/または建造物(橋、トンネル、建物など)および/または風景特徴(湖、川、木、森など)のことである。少なくとも1つの車両の周囲で、第1の周辺環境センサシステムによってどのオブジェクトが実際に周囲特徴として捕捉されるかまたは捕捉可能であるかは、周辺環境センサシステムの形態および/または第1の周辺環境センサシステムによって含まれるセンサタイプ(ビデオ、ライダ、レーダなど)にも依存する。
【0007】
第1のオブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当ては、本発明の枠内では、少なくとも1つの周囲特徴を少なくとも1つのさらなる周囲特徴に割り当てることと同義に使用され、これ以外は、それが明確に指摘されるか、または使用される概念(オブジェクトクラス、周囲特徴)のコンテクストから明確に判明する。
【0008】
本発明による方法は、とりわけ、少なくとも1つの周囲特徴と少なくとも1つのさらなる周囲特徴が、同じ周辺環境センサシステムおよび/またはセンサタイプに関して同じ構造の周辺環境センサシステムによっては捕捉されない場合に、少なくとも1つの周囲特徴を少なくとも1つのさらなる周囲特徴に、オブジェクトクラスを使って割り当て、かつこの割当てに基づいて、(共通の)地図(ここでは:第1の地図)を作成するという課題を解決することが有利である。これは大きな利点である。なぜなら少なくとも1つの周囲特徴および少なくとも1つのさらなる周囲特徴が必ずしも一緒に捕捉されなくてよく、これは一方では、例えば少なくとも1つの車両内での捕捉された周囲データ値のメモリ要求量を減らし、他方では、少なくとも1つの周囲特徴および少なくとも1つのさらなる周囲特徴を、必要の際に初めて割り当てること、ならびに例えば必要の際に初めて、それぞれ利用される周辺環境センサシステムに関係なく第1の地図を作成することを可能にするからである。
【0009】
好ましいのは、少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の地図によって含まれることであり、ならびに/または第1の地図を提供するステップが、自動化された車両が第1の地図に依存しておよび/もしくは第2の地図に依存しておよび/もしくは割当てに依存して動作されるように、および/もしくはモバイル端末が第1の地図に依存しておよび/もしくは第2の地図に依存しておよび/もしくは割当てに依存して動作されるように行われることである。第1の地図を提供するステップは、とりわけ、運転者支援システムまたは運転者情報システムを備えた車両が第1の地図に依存しておよび/または第2の地図に依存しておよび/または割当てに依存して動作されるように行われ、この車両は、自動化された車両であり得る。
【0010】
自動化された車両とは、部分的にまたは高度にまたは完全に自動化された車両のことである。自動化された車両の動作とは、例えば、第1の地図に依存して軌道が決定され、かつ車両がこの軌道に沿って、横方向制御および/または縦方向制御の自動化された制御部の1つを使って移動することである。その際、第1の地図は、例えば、自動化された車両が自車位置の位置特定または位置決定を実施するように使用される。この位置は、例えば、少なくとも1つの周囲特徴が、自動化された車両の周辺環境センサシステムによって捕捉され、かつこれに対する自動化された車両の相対位置が決定されることによって決定される。これは例えば、少なくとも1つの周囲特徴と自動化された車両との間の方向ベクトルおよび間隔を使って行われる。少なくとも1つの周囲特徴の位置は第1の地図内に格納されているので、この位置および相対位置から、自動化された車両の位置が、例えばベクトル加法を使って決定される。さらなる一実施形態では、動作とは、例えば、自動化された車両および/または自動化された車両の少なくとも一人の乗員の安全性を維持および/または向上するための、安全性にとって重要な機能が、実行されることおよび/または第1の地図に依存して準備されること(エアバッグの「けしかけ」、ベルトの引き締めなど)である。
【0011】
モバイルユニットとは、例えばドローンのことであり、かつ/またはモバイル端末(スマートフォン、タブレットなど)のことである。
第1および/または第2の地図とは、(地図)データ値の形態で、記憶媒体上に存在するデジタル地図のことである。第1および/または第2の地図は、例えば、1つまたは複数の地図層が含まれるように形成されており、1つの地図層は、例えば鳥瞰地図(道路、建物、風景特徴などの延び具合および位置)を示す。これは、例えばナビゲーションシステムの地図に相当する。さらなる1つの地図層は、例えばレーダ地図を含み、このレーダ地図によって含まれる周囲データ値は、レーダ署名と共に格納されている。さらなる1つの地図層は、例えばライダ地図を含み、このライダ地図によって含まれる周囲データ値は、ライダ署名と共に格納されている。さらなる1つの地図層は、例えば周囲特徴(建造物、風景特徴、インフラ特徴など)を周囲特徴データ値の形態で含み、この周囲特徴データ値は、例えば、周囲特徴の位置および/または周囲特徴の長さ情報のようなさらなる大きさおよび/または周囲特徴が永続的に存在しているかもしくは一時的に存在しているかの説明を含む。一実施形態では、第1および/または第2の地図がそれぞれ1つの地図層に相当する。
【0012】
これにおいては、とりわけ、少なくとも1つの周囲特徴が、少なくとも1つのさらなる周囲特徴を含む第2の既存の地図と組み合わされ、それにより例えば第2の既存の地図を(事後的に)少なくとも1つの周囲特徴の分だけ拡張および/または適合もしくは修正することもできるという利点が生じる。
【0013】
オブジェクトクラスは、少なくとも1つの周囲特徴の幾何学的構造に依存して、および/または少なくとも1つの周囲特徴の材料特性に依存して決定されることが好ましい。
オブジェクトクラスとは、個々の周囲特徴の(抽象的な)分類のことであり、様々な抽象化レベルが可能であり、この抽象化レベルはいずれにしても、少なくとも1つの車両の周辺環境センサシステムに依存している。一実施形態では、1つのオブジェクトクラスが例えば「棒状オブジェクト」となっており、個々の周囲特徴がその幾何学的構造を調べられ、例えば交通標識板または街灯の場合、標識板または街灯の棒が「棒状オブジェクト」として認識される。さらなる一実施形態では、1つのオブジェクトクラスが例えば「反射性オブジェクト」となっており、とりわけ第1の周辺環境センサシステムが少なくとも1つのレーダセンサおよび/またはライダセンサを含む場合に、個々の周囲特徴がその材料特性を調べられる。
【0014】
これにおいては、少なくとも1つの周囲特徴の分類が、速くかつ資源節約的に行われるという利点が生じる。
オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当ては、少なくとも1つの周囲特徴の幾何学的構造に依存して、および/または少なくとも1つのさらなる周囲特徴の幾何学的構造に依存して作成されることが好ましい。
【0015】
オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当ては、少なくとも1つの周囲特徴の幾何学的構造に依存して、および少なくとも1つのさらなる周囲特徴の幾何学的構造に依存して、とりわけ道路の延び具合、路面標示の延び具合、ガードレールの延び具合、道路境界線の延び具合の形態での幾何学的構造の利用により、および/またはとりわけポール、視線誘導標、信号、街灯のような点状のオブジェクトの特徴的なパターンから構成された幾何学的構造の利用により、および/またはとりわけそれぞれの周囲特徴の構造の相関、とりわけ点群の相関に依存して作成される。一実施形態では、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当てとは、例えば、このオブジェクトクラスが、オブジェクトとして、ある特定の領域内、例えば約5メートルの道路区間内の1つの位置を有する「棒状オブジェクト」を含み、かつこの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスが、オブジェクトとして、非常に正確な位置を有する交通標識板を含み、この非常に正確な位置がこの区間内にあるということである。この場合、この特定の領域内では「棒状オブジェクト」が「交通標識板」に、したがってこのオブジェクトクラスがこの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスに割り当てられる。
【0016】
非常に正確な位置とは、設定された座標系内、例えばGNSS座標内で、この位置が、最大限許容される不鮮明さ、例えば10~50cmを上回らない程度に正確な位置ということである。
【0017】
これにおいては、とりわけ、例えば少なくとも1つの周囲特徴および/または少なくとも1つのさらなる周囲特徴がそれぞれ、ある程度の、例えば数メートルの不鮮明さを免れない位置と共に捕捉される場合に、この少なくとも1つの周囲特徴を、位置との関連で、少なくとも1つのさらなる周囲特徴に割り当てることを可能にする、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当て方法が提供されるという利点が生じる。
【0018】
好ましいのは、第1の周辺環境センサシステムがレーダセンサを含み、かつ周囲データ値がレーダセンサによって捕捉され、少なくとも1つの周囲特徴が特徴的なレーダ署名を有することである。さらに、オブジェクトクラスが特徴的なレーダ署名に依存して決定され、かつ/または第2の周辺環境センサシステムはビデオセンサおよび/もしくはライダセンサを含む。
【0019】
これにおいては、本方法が、例えばビデオベースの方法に比べて、例えば昼間および夜間に基づく、または車両の周囲の太陽光線もしくはそのほかの光源によるグレアに基づく光条件に関係なく行われるという利点が生じる。
【0020】
好ましいのは、割当てが周囲データ値から、SLAM法を使って、および/または相関法を使って作成されることである。
この場合、割当ては周囲データ値から、SLAM法、とりわけグラフSLAM法を使って、ならびに/または相関法、とりわけICP法および/もしくはとりわけ最小二乗法による誤差最小化および/もしくはとりわけ非線形変換法を使って作成される。
【0021】
グラフSLAM法は、例えば、グラフとしてモデル化された周囲データ値を使って誤差最小化のための大域的最適化が実施されるように利用される。これは、第1の地図と第2の地図の間のグラフのエッジが、両方の地図の相関に基づいて、例えばICP法および非線形変換を用いて決定されるように行われる。
【0022】
これに関しICP法は、空間的に近くに並んでいる異なるオブジェクトクラスの周囲データ値が相互に割り当てられるように使用される。
これに関してはその代わりにまたはそれを補充して非線形変換法が、異なるオブジェクトクラスの周囲データ値がその相対的基準から生じる特徴的な構造に基づいて相互に割り当てられるように適用される。
【0023】
こうして見つけられたグラフにおけるエッジ(第1の地図と第2の地図の相違を表す)がその後、例えば最小二乗法による誤差最小化法の適用により、両方の地図の間の最適なまたは誤差最小の割当てを決定するために利用される。
【0024】
これにおいては、第1および第2の地図内のそれぞれ相互に対応しているノードが、識別され、かつ大域解に関して地図が相互に最適に割り当てられるように変位されるという利点が生じる。このやり方でのみ、第1の地図内で決定された位置(例えば自動化された車両の自車位置)を、第2の地図内でも利用可能にすることができる。
【0025】
第1の地図の作成のための本発明による装置は、周囲データ値の受信のための第1の手段であり、この周囲データ値が少なくとも1つの車両の周囲を表し、この周囲が少なくとも1つの周囲特徴を含み、周囲データ値が少なくとも1つの車両の第1の周辺環境センサシステムによって捕捉される第1の手段と、少なくとも1つの周囲特徴のオブジェクトクラスの決定のための第2の手段であり、少なくとも1つの車両の第1の周辺環境センサシステムに依存する第2の手段とを含む。この装置は、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当ての作成のための第3の手段であり、この少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスが少なくとも1つのさらなる周囲特徴から決定され、この少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の周辺環境センサシステムによって捕捉可能であり、かつ第2の周辺環境センサシステムが第1の周辺環境センサシステムと同じ構造ではない第3の手段と、第1の地図の作成のための第4の手段であり、周囲データ値に依存し、割当てに基づく第4の手段とをさらに含む。
【0026】
第1の手段および/または第2の手段および/または第3の手段および/または第4の手段が、方法請求項の少なくとも1つに基づく方法を実行するために形成されることが好ましい。
【0027】
本発明の有利な変形形態は従属請求項に提示されており、かつ本明細書に記載されている。
本発明の例示的実施形態を図面に示し、かつ以下の説明においてより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による装置の1つの例示的実施形態を示す図である。
【
図2】本発明による方法の1つの例示的実施形態を示す図である。
【
図3】フロー図の形態での本発明による方法の1つの例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、例示的に示された計算ユニット100を示しており、計算ユニット100は、第1の地図の作成340のための装置110を含む。計算ユニット100とは、例えばサーバのことである。さらなる一実施形態では計算ユニット100とはクラウド、つまり例えばインターネットを使ってデータを交換する少なくとも2つの電気的データ処理設備の複合体のことである。さらなる一実施形態では、計算ユニット100が装置110に相当する。
【0030】
装置110は、周囲データ値の受信310のための第1の手段111であり、この周囲データ値が少なくとも1つ車両200の周囲220を表し、この周囲220が少なくとも1つ周囲特徴221を含み、周囲データ値が少なくとも1つ車両200の第1の周辺環境センサシステム221によって捕捉される第1の手段111と、少なくとも1つの周囲特徴221のオブジェクトクラスの決定320のための第2の手段112であり、少なくとも1つ車両200の第1の周辺環境センサシステム201に依存する第2の手段112とを含む。装置110は、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当ての作成330のための第3の手段113であり、この少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスが少なくとも1つのさらなる周囲特徴から決定され、この少なくとも1つのさらなる周囲特徴が第2の周辺環境センサシステムによって捕捉可能であり、かつ第2の周辺環境センサシステムが第1の周辺環境センサシステム201と同じ構造ではない第3の手段113と、第1の地図の作成340のための第4の手段114であり、周囲データ値に依存し、割当てに基づく第4の手段114とをさらに含む。
【0031】
第1の手段111および/または第2の手段112および/または第3の手段113および/または第4の手段114は、計算ユニット100のそれぞれの実施形態に依存して、異なる実施形態でも形成され得る。計算ユニット100がサーバとして形成される場合、第1の手段111および/または第2の手段112および/または第3の手段113および/または第4の手段114は、装置110の地点に対して同じ地点で位置特定される。
【0032】
計算ユニット100がクラウドとして形成される場合、第1の手段111および/または第2の手段112および/または第3の手段113および/または第4の手段114は、異なる地点で、例えば異なる街および/または異なる国で位置特定されてよく、第1の手段111および/または第2の手段112および/または第3の手段113および/または第4の手段114の間の(電子)データの交換のために、例えばインターネットのような接続が形成される。
【0033】
第1の手段111は、少なくとも1つの車両200の周囲220を表す周囲データ値を受信するために形成される。このために第1の手段111は、データを要求および/または受信する受信および/または送信ユニットとして形成される。さらなる一実施形態では、第1の手段111は、装置110から出て外部に配置された送信および/または受信ユニット122と、有線接続および/または無線接続121を使って接続されるように形成される。第1の手段111は、電子的データ処理要素、例えばプロセッサ、メインメモリ、およびハードディスクをさらに含み、この電子的データ処理要素は、周囲データ値を保存および/または処理するために形成され、例えばデータフォーマットの変更および/または適合を実行して、続いて第2の手段112に転送するために形成される。さらなる一実施形態では、第1の手段111は、受信された周囲データ値を、データ処理要素なしで、第2の手段112に転送するように形成される。さらなる一実施形態では、第1の手段111は、第1の地図および/または第2の地図および/または割当てが、自動化された車両によっておよび/またはモバイルユニットによって受信され得るように、第1の地図および/または第2の地図および/または割当てを提供するために形成される。
【0034】
この装置は、少なくとも1つの周囲特徴221のオブジェクトクラスを、少なくとも1つの車両200の第1の周辺環境センサシステム201に依存して決定するために形成された第2の手段112をさらに含む。このために第2の手段112は、例えば計算ユニットとして形成されており、この計算ユニットは、電子的データ処理要素、例えばプロセッサ、メインメモリ、およびハードディスクを含む。第2の手段112は、少なくとも1つの車両200の第1の周辺環境センサシステム201に依存して、少なくとも1つの周囲特徴221のオブジェクトクラスを決定するために形成された相応のソフトウェアをさらに含む。オブジェクトクラスは、例えば、少なくとも1つの周囲特徴221の幾何学的構造に依存して決定され、このために、少なくとも1つの周囲特徴221の個々の点および/または線および/または部分構造が認識されて、例えばハードディスク上で格納された既知の構造との比較により、オブジェクトクラスの抽象化レベルに依存しておよび/または第1の周辺環境センサシステム201に依存して、ある特定のオブジェクトに割り当てられる。さらなる一実施形態では、オブジェクトクラスが、例えば、少なくとも1つの周囲特徴221の材料特性に依存して決定され、このために、捕捉された周囲データ値の色度値および/または輝度値および/または強度値が、少なくとも1つの周囲特徴221に関しておよび/または第1の周辺環境センサシステム201に依存して評価されて、例えばハードディスク上で格納された既知の色度値および/または輝度値および/または強度値との比較によって割り当てられる。
【0035】
装置110は第3の手段113をさらに含み、第3の手段113は、例えば、電子的データ処理要素(プロセッサ、メインメモリ、ハードディスクなど)を備えた計算ユニットとして、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当てを作成するために形成されており、この少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスは少なくとも1つのさらなる周囲特徴から決定され、この少なくとも1つのさらなる周囲特徴は第2の周辺環境センサシステムによって捕捉可能であり、かつ第2の周辺環境センサシステムは第1の周辺環境センサシステム201と同じ構造ではない。
【0036】
装置110は第4の手段114をさらに含み、第4の手段114は、例えば、電子的データ処理要素(プロセッサ、メインメモリ、ハードディスクなど)を備えた計算ユニットとして、第1の地図を、周囲データ値に依存し、割当てに基づいて作成するために形成されている。一実施形態では、第2の地図および少なくとも1つの周囲特徴221が、割当てに依存して第1の地図へとまとめられることにより、第1の地図が作成される。これに関しては例えば、既に第2の地図によって含まれる少なくとも1つのさらなる周囲特徴が、割当てにより、少なくとも1つの周囲特徴221として識別され、したがって第1の周辺環境センサシステムの構造形式に依存して、さらなる署名の分だけ補充される。一実施形態では、第1の地図が第2の地図および/またはさらなる地図とまとめられ得るように、第1の地図が作成される。これに関しては例えば、少なくとも1つの周囲特徴221の位置が、割当てによって決定および/または修正および/または適合され、これにより第1の地図は、必要の際に、第2の地図および/またはさらなる地図とまとめられ得る。
【0037】
一実施形態では、少なくとも1つの周囲特徴221から中間地図が作成され、かつ第2の地図および中間地図が、割当てに依存して第1の地図へとまとめられることにより、第1の地図が作成される。この場合、中間地図は例えば、少なくとも2つの車両によって捕捉される周囲データ値が、前もって中間地図として統合されるように作成され、これらの周囲データ値は、少なくとも部分的には共通の周囲を表し、かつこの少なくとも部分的な共通の周囲が少なくとも1つの周囲特徴221を含んでいる。これはとりわけ、少なくとも1つの車両200の第1の周辺環境センサシステム201に相当する同じ周辺環境センサシステムが使用されることによって行われる。
【0038】
図2は、第1の地図の作成340のための本発明による方法300の1つの例示的実施形態を示している。この場合、周囲データ値が装置110によって受信され、この周囲データ値は少なくとも1つの車両200の周囲220を表し、この周囲220は少なくとも1つの周囲特徴221を含み、周囲データ値は少なくとも1つの車両200の第1の周辺環境センサシステム201によって捕捉される。一実施形態では、少なくとも1つの車両200が、例えば周囲データ値を装置110に伝送するために形成された送信および/または受信ユニットを含む。さらなる一実施形態ではこのために、例えばモバイルの送信および/または受信ユニット、とりわけスマートフォンが使用され、このスマートフォンは、少なくとも1つの車両200によって含まれ、かつ車両200と有線接続および/または無線接続、例えばブルートゥース(登録商標)によって接続される。さらなる一実施形態ではそれに加えておよび/またはその代わりに、少なくとも1つの車両200が、ナビゲーションシステムならびに/またはスマートフォンならびに/または少なくとも1つの車両200の位置を決定するおよび/もしくは少なくとも1つの周囲特徴221に位置を割り当てるために形成されたさらなる機構を含み、位置の精度は、例えば少なくとも1つの車両200の位置に依存して、および第1の周辺環境センサシステム201に依存して決定される。一実施形態では、周囲データ値が、少なくとも1つの周囲特徴221および少なくとも1つの周囲特徴221の位置を含む。続いて第1の地図が、前述の方法300の個々のステップに相応に作成される。
【0039】
図3は、第1の地図の作成340のための方法300の1つの例示的実施形態を示している。
ステップ301では、この方法300がスタートする。
【0040】
ステップ310では、周囲データ値が受信され、この周囲データ値は少なくとも1つの車両200の周囲220を表し、この周囲220は少なくとも1つの周囲特徴221を含み、周囲データ値は少なくとも1つの車両200の第1の周辺環境センサシステム201によって捕捉される。
【0041】
ステップ320では、少なくとも1つの周囲特徴221のオブジェクトクラスが、少なくとも1つの車両200の第1の周辺環境センサシステム201に依存して決定される。
ステップ330では、オブジェクトクラスの少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスへの割当てが作成され、この少なくとも1つのさらなるオブジェクトクラスは少なくとも1つのさらなる周囲特徴から決定され、この少なくとも1つのさらなる周囲特徴は第2の周辺環境センサシステムによって捕捉可能であり、かつ第2の周辺環境センサシステムは第1の周辺環境センサシステム201と同じ構造ではない。
【0042】
ステップ340では、第1の地図が、周囲データ値に依存し、割当てに基づいて作成される。
ステップ350では、方法300が終了する。