(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】選択透過性酸化グラフェン要素
(51)【国際特許分類】
B01D 53/22 20060101AFI20220621BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20220621BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20220621BHJP
B01D 71/38 20060101ALI20220621BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20220621BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20220621BHJP
C01B 32/198 20170101ALI20220621BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D69/02
B01D71/02 500
B01D71/38
B01D69/12
B01D53/26
C01B32/198
(21)【出願番号】P 2020570882
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2019038224
(87)【国際公開番号】W WO2019246390
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-15
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シジュン
(72)【発明者】
【氏名】リン、ウェイピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ポン
(72)【発明者】
【氏名】北原 勇
(72)【発明者】
【氏名】バッゲ、ビタ
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、ジョン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0114294(US,A1)
【文献】国際公開第2018/039715(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/044845(WO,A1)
【文献】特表2014-501614(JP,A)
【文献】特表2016-522737(JP,A)
【文献】特表2018-503541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22、26
B01D 69/00-14
B01D 71/00-82
C01B 32/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを脱水するための膜であって、以下を含む:
多孔質支持体;
酸化グラフェン化合物とアンモニウム塩ポリマーと
ポリビニルアルコールとを含む複合材であって、;
前記
複合材は、多孔質支持体上にコーティングされており
;
前記膜は、
少なくとも1×10
-5
g/m
2
・s・Paの湿気透過性と、1×10
-8
L/m
2
・s・Pa未満のガス透過性を有し;
前記多孔質支持体はコロナ処理されており;及び
酸化グラフェン化合物及びポリビニルアルコールが架橋されている。
【請求項2】
前記アンモニウム塩ポリマーが、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)塩である、
請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記アンモニウム塩ポリマーが、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライドである、
請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
前記多孔質支持体が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、又はポリエーテルスルホンを含む、
請求項1、2又は3に記載の膜。
【請求項5】
ポリビニルアルコールに対する酸化グラフェン化合物の重量比が、約0.1:100~約9:1である、
請求項1、2、3又は4に記載の膜。
【請求項6】
酸化グラフェン化合物が、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、官能化酸化グラフェン、又は官能化及び還元型酸化グラフェンを含む、
請求項1、2、3、4又は5に記載の膜。
【請求項7】
酸化グラフェン化合物が、約0.05μm~約100μmの小板サイズを有する、
請求項1、2、3、4、5又は6に記載の膜。
【請求項8】
アルカリ土類金属をさらに含む、
請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の膜。
【請求項9】
アルカリ土類金属が、塩化カルシウムを含む、
請求項8に記載の膜。
【請求項10】
界面活性剤をさらに含む、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載の膜。
【請求項11】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、
請求項10に記載の膜。
【請求項12】
前記複合材が、約1μm~約200μmの厚さを有する層である、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11に記載の膜。
【請求項13】
保護層をさらに含む、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12に記載の膜。
【請求項14】
ガスを脱水する方法であって、以下を含む:
水蒸気を含有する第1のガスを、
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13に記載の膜の第1の面に導入する;
前記膜の第1の面の水蒸気圧は、膜の第2の面の水蒸気圧よりも高く、第1のガスからの水蒸気は、前記膜を第1の面から第2の面に通過する;
ここで、保持されたガスは、第2のガスを生成するために膜の第1の面に保持される;
及び
ここで、第2のガスは、第1のガスよりも低い水蒸気圧を有する。
【請求項15】
水蒸気を除去するスイープガスを膜の第2の面にさらに含む、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Shijun Zheng、Weiping Lin、Peng Wang、Isamu Kitahara、Bita Bagge、John Ericson
【0002】
(関連出願への相互参照)
本出願は2018年6月21日に出願された米国仮特許出願第62/688,318号の利益を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【0003】
(技術分野)
本実施形態は、空気又は他のガス流から水又は水蒸気を除去すること、及びエネルギー回収換気(ERV)等の用途のためのグラフェン材料を含む膜を含む、ポリマー膜に関する。
【背景技術】
【0004】
空気中に高い水分レベルが存在すると、人々が不快になり、カビ、菌類、及びダストダニの成長を促進することによって深刻な健康問題を引き起こすこともある。製造及び貯蔵施設において、高湿度環境は、生成物の分解、粉末の凝集、種子の発芽、腐食、及び化学、製薬、食品及び電子産業の関心事である他の望ましくない影響を促進し得る。空気を脱水するための従来の方法の1つは、湿った空気を、グリコール、シリカゲル、モレキュラーシーブ、塩化カルシウム、及び五酸化リンなどの吸湿剤に通すことを含む。この方法には多くの欠点があり、例えば、乾燥剤を乾燥空気流中で運ばなければならず、乾燥剤はまた、時間の経過に伴って交換又は再生を必要とし、これは、脱水プロセスを費用がかかり、時間がかかるものにする。空気を脱水する別の従来の方法は湿った空気を圧縮し、冷却して水分を凝縮させ、次いで凝縮した水を除去することによる極低温法であるが、この方法は非常にエネルギーを消費する。
【0005】
上述の従来の脱水又は除湿技術と比較して、膜ベースのガス除湿技術は、明確な技術的及び経済的利点を有する。利点には、設備投資が少ないこと、操作が容易であること、エネルギー効率が高いこと、プロセスコストが低いこと、及び処理能力が高いことが含まれる。この技術は、窒素、酸素及び圧縮空気の脱水にうまく適用されている。建物内部等のエネルギー回収換気装置(ERV)用途では、外部から新鮮な空気を供給することが望ましい。外気がはるかに高温で、建物内部の空気よりも水分の多い高温多湿の気候では、新鮮な空気を冷却し、除湿するためにエネルギーが必要である。ERVシステムを通して、排気と流入する新鮮空気の間で熱と水分を伝達することにより、暖房と冷房に必要なエネルギー量を減らすことができる。ERVシステムは排気空気と流入空気とを物理的に分離するが、熱及び水分交換を可能にする膜を備える。ERV膜の要求される鍵となる特性は(1)水蒸気以外の空気及びガスの低い透過性、(2)他のガスの通過を遮断しながら、流入及び流出空気流の間の水分の効果的な移動のための水蒸気の高い透過性、及び(3)効果的な熱伝達のための高い熱伝導性を含む。
【0006】
ERV用途のために、水蒸気の高い透過性及び空気の低い透過性を有する膜が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、高い水分透過性及び低いガス透過性がガスの脱水をもたらすのに有用であり得るガス分離膜に関する。水膨潤を減少させ、水蒸気/空気透過性の選択性を増加させることができる酸化グラフェン(GO)複合材を含む膜要素を本明細書に記載する。いくつかの実施形態は、アンモニウム塩ポリマーをさらに含み、これは、従来のポリマー(例えば、PVA)膜と比較して改善された脱水膜を提供し得る。本実施形態は、制限されたガス透過性を有すると同時に、流体又は水蒸気の通過を可能にすることが望ましい用途において有用である選択的透過性要素を含む。これらのGO膜エレメントを効率的かつ経済的に製造するための方法も記載される。水は、これらの要素の調製において溶媒として使用することができ、プロセスをより環境にやさしく、より費用効果的にする。
【0008】
いくつかの実施形態は、支持体と、酸化グラフェン化合物及びアンモニウム塩ポリマーを含む複合材とを含む脱水膜を含む。いくつかの実施形態では、アンモニウム塩ポリマーが、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)塩化物を含む。いくつかの実施形態では、複合材は支持体をコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、膜は、高い水分透過性及び低いガス透過性を有することができる。いくつかの実施形態では、膜は、脱水性であり得る。いくつかの実施形態では膜は水蒸気を選択的に通過させることができる。いくつかの実施形態では、膜は、ガス、例えば空気に対して比較的不透過性である。いくつかの実施形態では、支持体は、多孔質である。いくつかの実施形態では、膜は、ポリビニルアルコール(PVA)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン化合物及びポリビニルアルコールは架橋することができる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン化合物が、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、官能化酸化グラフェン、及び官能化還元型酸化グラフェンから選択される。いくつかの実施形態では、複合材が塩化リチウムをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、複合材が塩化カルシウムをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、複合材が界面活性剤をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムであり得る。
【0009】
いくつかの実施形態は、水分透過性及び/又はガスバリア要素を作製するための方法を含む。この方法は、ポリマー溶液、グラフェン溶液、及び架橋剤溶液を混合して水性混合物を生成することと、約1μm~約200μmの薄膜を生成するように基板上に混合物をコーティングすることと、20℃~約120℃の範囲の温度で約15分間~約72時間混合物を乾燥させることと、約40℃~約200℃の範囲の温度で約10時間~約72時間、得られたコーティングをアニールすることとを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法が、ポリマー溶液、グラフェン溶液、架橋剤溶液、及びアルカリハロゲン化物又はアルカリ土類ハロゲン化物を混合して、水性混合物を製造することを含むことができる。いくつかの例では、要素が保護コーティングをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態は、ガスが膜を透過しない間に水蒸気が膜を透過する、本明細書に記載の膜にガスを導入することを含む、ガスを脱水するための方法を含む。
【0011】
これら及び他の実施形態は、以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】分離/脱水用途に使用することができるナノ複合膜デバイスの、取り得る実施形態である。
【
図2】
図2は、分離/脱水要素及び/又は装置を作製するためのプロセスの、取り得る実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
選択的透過性膜は、1つの材料に対して相対的に透過性であり、別の材料に対して相対的に不透過性である膜を含む。例えば、膜は水蒸気に対して比較的透過性であり、酸素及び/又は窒素等のガスに対して比較的不透過性であり得る。異なる材料についての透過性の比は、それらの選択的透過性を記載するのに有用であり得る。
【0014】
本開示は、高い水分透過性及び低いガス透過性がガスの脱水を効果のに有用であり得るガス分離膜に関する。この膜材料は、空気、酸素、窒素、水素、メタン、プロピレン、二酸化炭素、天然ガス、メタノール、エタノール、及び/又はイソプロパノールの除湿に好適であり得る。いくつかの実施形態では、透湿性GO-アンモニウム塩ポリマー膜組成物を含む膜が、高いH2O/空気選択性を有し得る。これらの実施形態は脱水膜及び/又はERVシステムのエネルギー効率を改善し、分離効率を改善することができる。
【0015】
脱水膜
高い水蒸気透過性、低いガス透過性、及び高い機械的及び化学的安定性を有する、高度に選択的な親水性GOベースの複合材料を含む膜が、本明細書に記載される。これらの膜は、乾燥ガス又は低い水蒸気含有量を有するガスが所望される用途において有用であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、膜は脱水膜であってもよい。いくつかの実施形態では、膜は空気脱水膜であってもよい。いくつかの実施形態では、膜はガス分離膜であってもよい。いくつかの実施形態ではグラフェン材料、例えば、酸化グラフェンを含有する水分透過性及び/又はガス不透過性バリア要素は、所望の選択的ガス、流体、及び/又は蒸気透過性抵抗を提供することができる。いくつかの実施形態では選択的透過性要素が複数の層を含むことができ、少なくとも1つの層はグラフェン材料を含有する層である。
【0017】
一般に、脱水膜は、多孔質支持体と、支持体上にコーティングされた複合材とを含む。例えば、
図1に示されるように、選択透過性デバイス100は、少なくとも多孔質支持体120と、グラフェン化合物及びポリマーを含む複合材110とを含む。これらの層の結果として、選択的透過性デバイスは水蒸気に対して選択的に透過性であり、1つ以上のガスに対してそれほど透過性ではない耐久性のある脱水システムを提供し得る。層の結果として、選択的透過性デバイスは、空気又は他の所望のガス又は供給流体を効果的に脱水し得る耐久性のある脱水システムを提供し得る。複合材110のような複合材は、架橋ポリマー、架橋剤、及び分散剤、界面活性剤、結合剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び溶媒を含むがこれらに限定されない添加剤をさらに含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、膜のガス透過性が1×10-5L/m2・s・Pa未満であってもよい。ガス透過性を決定するための適切な方法は、ASTM D-727-58、TAPPI-T-536-88標準法であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、膜の透湿度が500g/m2・日又は1×10-5g/m2 s・Paを超えることができる。いくつかの実施形態では、水分透過性が上述のレベルでの水蒸気透過性/移動速度の尺度であってもよい。水分(水蒸気)透過性を測定するための適切な方法は、ASTM E96、ASTM D-6701標準法である。
【0020】
いくつかの実施形態では、膜の選択的透過性が水蒸気と少なくとも1つの選択されたガス、例えば、酸素及び/又は窒素の透過性との透過性の比に反映されてもよい。いくつかの実施形態では、膜は50を超える、100を超える、200を超える、400を超える、1000を超える、5000を超える、10,000を超える、15,000を超える、又は20,000を超える水蒸気透過性:ガス透過性比を示してもよい。いくつかの実施形態では、選択的透過性が上述のレベルでの水蒸気:ガス透過性/移動速度比の尺度であってもよい。水蒸気透過性及び/又はガス透過性を決定するための適切な方法は、上記に開示されている
【0021】
いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が、支持体と、支持材料をコーティングする複合材料とを含む。いくつかの実施形態では、膜は比較的高い水蒸気透過性を有する。いくつかの実施形態では、膜は低いガス透過性を有し得る。いくつかの実施形態では、支持体は多孔質であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、選択的透過性膜が、流体連通された第1の流体リザーバと第2の流体リザーバとの間に配置されてもよく、又はそれらを分離してもよい。いくつかの実施形態では、第1のリザーバが、選択的透過性要素の上流及び/又は選択的透過性要素のところに供給流体を収容することができる。いくつかの実施形態では、第1のリザーバが、選択的透過性要素の下流及び/又は選択的透過性要素のところに処理済み流体を収容することができる。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が、望ましくない水蒸気を選択的に通過させる一方で、別のガス又は流体材料が通過することを保持又は低減する。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が、本明細書に記載される望ましくない水又は水蒸気を実質的に伴わずに、処理された流体の保持を可能にしながら、供給流体から水蒸気を選択的に除去するためのフィルタ要素を提供してもよい。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が、所望の流量を有する。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が、限外濾過材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が、少なくとも約0.001リットル/分~約0.1リットル/分、約0.005リットル/分~約0.075リットル/分、及び/又は約0.01リットル/分~約0.05リットル/分、例えば、少なくとも約0.005リットル/分、少なくとも約0.01リットル/分、少なくとも約0.02リットル/分、少なくとも約0.05リットル/分、少なくとも約0.1リットル/分、少なくとも約0.5リットル/分、及び/又は少なくとも約1.0リットル/分の流量を示す。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が前述の流量の任意の組合せの流量を示す。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が限外濾過材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が5000~200,000ダルトンの分子量を有する材料の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97% 99%の分子量カットオフ(MWCO)を特徴とするフィルターを含む。いくつかの実施形態では、限外濾過材料又はそのような材料を含む膜が約0.01μm(10nm)~約0.1μm(100nm)、及び/又は約0.01μm(10nm)~約0.05μm(50nm)の平均直径を有する平均孔径又は流体通路を有し得る。いくつかの実施形態では、フィルム表面積が約0.01m2、0.05m2、0.10m2、0.25m2、0.35m2から、約0.50m2、0.60m2、0.70m2、0.75m2、1.00m2、1.50m2ら約2.50m2まで、又は記載された領域の任意の組合せの間である。いくつかの実施態様において、膜表面積は、約50m2である。
【0023】
多孔性支持体
多孔質支持体は、複合材の層等の層を堆積又は配置することができる任意の適切な材料及び任意の適切な形態とすることができる。いくつかの実施形態では、多孔質支持体が中空繊維又は多孔質材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、多孔質支持体がポリマー又は中空繊維等の多孔質材料を含むことができる。いくつかの多孔質支持体は、不織布を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーがポリアミド(ナイロン)、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、延伸PE、ポリプロピレン(延伸ポリプロピレンを含む)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、セルロース、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル(例えば、PA200)、又はそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーはPETを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは延伸ポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリエチレンを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは延伸ポリエチレンを含む。
【0024】
複合材
いくつかの実施形態では、複合材、例えば、複合材110は支持体をコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、複合材料がグラフェン材料及び1つ以上のポリマーを含む。いくつかの実施形態は、追加のポリマー及び/又は添加剤を含む。いくつかの実施形態では、グラフェン材料及びポリマーが互いに共有結合している。いくつかの実施形態では、グラフェン材料がポリマー材料中に分散されてもよい。いくつかの実施形態では、選択的透過性膜が架橋材料をさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、グラフェン含有複合材が、アルカリ金属ハロゲン化物又はアルカリ土類金属ハロゲン化物をさらに含む。いくつかの実施形態では、複合材が界面活性剤、バインダー、又は溶媒をさらに含む。
【0026】
本開示の膜は、支持体と、酸化グラフェン化合物及びアンモニウム塩ポリマーを含む複合材とを含む。いくつかの実施形態において、アンモニウム塩ポリマーは、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(ポリDADMAC、ポリDDA、PDADMA、及び/又はポリクォータニウム-6、以下の構造を参照のこと)であり得る。
【0027】
【0028】
いくつかの実施形態では、グラフェン材料が、剥離ナノコンポジット、挿入ナノコンポジット、又は相分離マイクロコンポジットを生成するようにポリマー材料中に配置されてもよい。相分離されたミクロ複合相は混合されているが、グラフェン材料がポリマーとは別の分離した別個の相として存在する場合であってもよい。インターカレートされたナノコンポジットはポリマー化合物がグラフェン小板間又はグラフェン小板間で混ざり始めるが、グラフェン材料がポリマー全体に分布しない場合であり得る。
【0029】
酸化グラフェン
一般に、グラフェンベースの材料は、非常に高い機械的強度とナノメートルスケールの厚さを有する2次元シート状構造のような多くの魅力的な特性を有する。グラファイトの剥離酸化生成物である酸化グラフェン(GO)は、低コストで大量生産することができる。酸化グラフェンは、酸化度が高いため、透水性が高く、アミンやアルコールなどの多くの官能基によって官能化されて様々な膜構造を形成する汎用性を有する。水が材料の孔を通って輸送される従来の膜とは異なり、酸化グラフェン膜では、水の輸送が中間層空間の間にあり得る。酸化グラフェンの毛管効果は、速い水輸送速度を提供する長い水スリップ長さをもたらすことができる。さらに、膜の選択性及び水透過流束は、グラフェンシートの層間距離を調節することによって、又は異なる架橋部分を利用することによって制御することができる。
【0030】
GO上には多数(~30%)のエポキシ基が存在し得、これらは高温で水酸基と容易に反応し得ると考えられる。また、GOシートは、非常に高いアスペクト比を有すると考えられる。この高いアスペクト比は、ポリマー膜、例えば、アンモニウム塩ポリマー膜中に分散された場合に、利用可能なガス拡散表面を増加させることができる。したがって、GOによって架橋されたアンモニウム塩ポリマーは、膜の水膨潤を減少させるだけでなく、膜ガス分離効率を増加させることもできる。
【0031】
いくつかの実施形態では、酸化グラフェン化合物が酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、官能化酸化グラフェン、及び官能化還元型酸化グラフェンから選択することができる。いくつかの実施形態では、グラフェンは、約0.001μm、0.05μm、0.10μm、0.5μm、又は1.0μmまで、約50μm、約100μm、約200μm、及び/又は約250μm、約0.001~10μm、約10~20μm、約20~30μm、約30~40μm、約40~50μm、約50~60μm、約60~70μm、約70~80μm、約80~90μm、約90~100μm、約100~110μm、約110~120μm、約120~130μm、約130~140μm、約140~150μm、約150~160μm、約160~170μm、約170~180μm、約180~190μm、約190~200μm、約200~210μm、約210~220μm、約220~230μm、約230~240μm、約240~250μm、約0.001~50μm、約50~100μm、約100~150μm、約150~200μm、約200~250μm、約0.001~100μm、約100~200μm、約100~250μm、及び/又はこれらの値の任意の組み合わせまでの小板サイズを有することができる。
【0032】
個々のグラフェン小板は、ポリマー内又はポリマー全体に分布させることができる。剥離されたナノコンポジット相は、当業者に周知のプロセスである改変ハンマー法によってグラフェン材料を化学的に剥離することによって達成することができる。剥離されたナノコンポジット相は、改変ハンマー法(以下の実施例に記載されるプロセス)によってグラフェン材料を化学的に剥離することによって達成され得る。この方法は、この現在記載されている用途に使用するための適切なサイズの酸化グラフェンシートを提供するのに有用であると考えられる。いくつかの実施形態では、酸化グラフェン材料がポリマーを主要な材料相として、又は主要な材料相を超えて、互いに十分に分散させることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、任意選択で置換された酸化グラフェンは、シート、平面、又はフレークの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、グラフェンが、約0.05μm~約300μmの小板サイズを有し得る。いくつかの実施形態では、グラフェンが、約75μm~約175μmの小板サイズを有し得る。いくつかの実施態様において、グラフェン材料は、約1m2/g~約5,000m2/g、1~100m2/g、100~200m2/g、200~300m2/g、300~400m2/g、400~500m2/g、500~600m2/g、600~700m2/g、700~800m2/g、800~900m2/g、900~1,000m2/g、1,000~2,000m2/g、2,000~3,000m2/g、3,000~4,000m2/g、又は4,000~5,000m2/gの表面積を有し得る。いくつかの実施形態では、グラフェン材料が、約150m2/g~約4000m2/gの表面積を有し得る。いくつかの実施態様において、グラフェン材料は、約200m2/g~約1000m2/g、例えば、約400m/g~約500m/gの表面積を有し得る。膜のグラフェン材料構成要素は、所望の水準の第2のガス不透過性を膜に提供すると考えられ、例えば、膜は、0.1L/m2 s Pa未満、0.5L/m2 s Pa未満、又は1.0X10-5L/m2 s Pa未満の第2のガス透過性を有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、グラフェン材料は修飾されていなくてもよく、非官能化グラフェン塩基を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン材料が修飾グラフェンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、修飾グラフェンが官能化グラフェンを含むことができる。いくつかの実施形態では、グラフェンの少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%が官能化されてもよい。他の実施形態では、グラフェン材料の大部分は官能化されていてもよい。さらに他の実施形態では、実質的に全てのグラフェン材料が官能化されてもよい。いくつかの実施形態では、官能化グラフェンがグラフェン塩基及び官能性化合物を含むことができる。グラフェンは「官能化」されてもよく、カルボン酸基中の水酸化物の代わりに、又はグラフェンマトリックス中の1つ以上の水酸化物位置に、1つ以上のタイプの官能性化合物が置換される場合に、官能化グラフェンになる。いくつかの実施形態では、グラフェン塩基が酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、官能化酸化グラフェン及び/又は官能化及び還元型酸化グラフェンから選択されてもよい。
【0035】
複合材は、複合材の総重量の約0.01~20%、例えば、約0.01~0.1%、約0.1~0.2%、約0.2~0.3%、約0.3~0.4%、約0.4~0.5%、約0.5~0.6%、約0.6~0.7%、約0.7~0.8%、0.9%~1%、約1~1.1%、約1.1~1.1.2%、約1.2~1.3%、約1.3~1.4%、約1.4~1.5%、約1.5~1.6%、約1.6~1.7%、約1.7~1.8%、約1.8~1.9%、約1.9~2%、約2~3%、約4~5%、約5~6%、約6~7%、約7~8%、約8~9%、約9~10%、約10~11%、、約11~12%、約12~13%、約13~14%、約14~15%、約15~16%、約16~17%、約17~18%、約18~19%、約19~20%、約0.01~3%、約0.01~5%、約5~10%、約10~15%、約15~20%の適切な酸化グラフェン量を含み得る。
【0036】
架橋剤
いくつかの実施形態では、複合材が酸化グラフェン化合物及びポリマーを含む。場合によっては、ポリマーは架橋ポリマーである。1つの可能な架橋ポリマーは、ポリビニルアルコールである。いくつかの実施形態において、ポリビニルアルコールに対する酸化グラフェンの重量比は、約0.1:100~約1:10であり得る。いくつかの実施形態では、追加の架橋要素を提供することができる。いくつかの実施形態では、追加の架橋要素が四ホウ酸カリウム(KBO)及びリグノ硫酸ナトリウム(LSU)であり得る。いくつかの実施形態では、複合材が塩化リチウムをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、複合材が塩化カルシウムをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、複合材が界面活性剤をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムであり得る。
【0037】
ポリビニルアルコールは、複合材の総重量に基づいて、約1~80%、約0.01~1%、約1~2%、約2~3%、約3~4%、約4~5%、約5~6%、約6~7%、約7~8%、約8~9%、約9~10%、約10~11%、約11~12%、約12~13%、約13~14%、約14~15%、約15~16%、約16~17%、約17~18%、約18~19%、約19~20%、約30~32%、約32~34%、約34~36%、約36~38%、約38~40%、約40~42%、約42~44%、約44~46%、約46~48%、約48~50%、約50~52%、約52~54%、約54~56%、約56~58%、約58~60%、約60~62%、約62~64%、約64~66%、約66~68%、約68~70%、約70~72%、約72~74%、約74~76%、約76~78%、約78~80%、約0.1~10%、約10~20%、約20~30%、約30~40%、約40~50%、約50~60%、約60~70%、又は約70~80%等の任意の適切な量で存在することができる。
【0038】
いくつかの実施形態ではポリマー材料が架橋ポリマー材料であってもよく、ポリマーは同じポリマー内で、及び/又は架橋剤材料/架橋によって異なるポリマーと架橋されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー材料が結晶性ポリマー材料及び/又は非晶質ポリマー材料を含むことができる。グラフェン材料シート間に挿入され得るポリマー結晶及び鎖は、シートの分離、及び/又は侵入する流体及び/又はガスに対する機械的及び化学的障壁を提供して、透過距離を実質的に増加させ、その結果、ガス分離特性を増加させ得ると考えられる。いくつかの実施形態では、ポリマー材料がポリビニルアルコールをさらに含むことができる。膜のポリマー成分は、所望のレベルの水蒸気透過性を提供すると考えられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、アンモニウム塩ポリマーがであり得る
【化2】
【0040】
アンモニウム塩ポリマー(例えば、PDADMA)は、複合材の総重量に基づいて、約10~95%、約20~22%、約22~24%、約24~26%、約26~28%、約28~30%、約30~32%、約32~34%、約34~36%、約36~38%、約38~40%、約40~42%、約42~44%、約44~46%、約46~48%、約48~50%、約50~52%、約52~54%、約54~56%、約56~58%、約58~60%、約60~62%、約62~64%。約64~66%、約66~68%、約68~70%、約70~72%、約72~74%、約74~76%、約76~78%、約78~80%、約80~82%、約82~84%、約84~86%、約86~88%、約88~90%、約90~92%。約92~94%、約10~20%、約20~30%、約30~40%、約40~50%、約50~60%、約60~70%、約70~80%、約80~90%、又は約90~95%等の任意の適切な量で存在することができる。
【0041】
架橋のための調製において、グラフェン化合物はポリマー溶液(例えば、PVA及びアンモニウム塩ポリマー)と混合されて、水性混合物を形成し得る。いくつかの実施形態では、グラフェンは水溶液形態である。いくつかの実施形態では、ポリマーが水溶液中にポリマーを含む。いくつかの実施形態では2つの溶液が混合され、混合比は、ポリマー溶液に対するグラフェン化合物溶液の約0.1:100、約1:10、約1:4、約1:2、約1:1、約2:1、約4:1、約9:1、及び約10:1部の間のであり得る。いくつかの実施形態は、好ましくは約1:30の混合比を使用する。いくつかの実施形態は、好ましくは約1:50の混合比を使用する。いくつかの実施形態は、好ましくは約1:90の混合比を使用する。
【0042】
いくつかの実施形態では、(グラフェン化合物及びポリマー溶液の)2つの溶液に加えて、架橋剤溶液も添加される。いくつかの実施形態では、混合比は、架橋剤溶液に対するグラフェン化合物溶液の約0.1:100、約1:10、約1:4、約1:2、約1:1、約2:1、約4:1、約9:1、及び約10:1部の間であってもよい。いくつかの実施形態は、好ましくは約1:10の混合比を使用する。いくつかの実施形態は、好ましくは約1:50の混合比を使用する。いくつかの実施形態は、好ましくは約1:70の混合比を使用する。
【0043】
いくつかの実施形態では、グラフェン化合物及びポリマー溶液が混合物の主相が剥離ナノ複合材料を含むように混合される。剥離-ナノ複合材料相を必要とする理由は、この相において、グラフェン小板がフィルムを通る可能な分子経路を延長することによって、完成したフィルムにおいて透過性が低下するように整列されることである。いくつかの実施形態では、グラフェン化合物がグラフェン、酸化グラフェン、及び/又は官能化酸化グラフェンの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン組成物が約0.1重量%~約5重量%、約0.1~0.5重量%、約0.5~1重量%、約1~2重量%、約2~3重量%、約3~4重量%、約4~5重量%、約0.9重量%、又は約0.8重量%の酸化グラフェンの水溶液中に懸濁される。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料が約1~5wt%、約5~10wt%、約10~15wt%、約15~20wt%、約20~25wt%、約25~30wt%、約30~35wt%、約35~40wt%、約40~45wt%、約45~50wt%、約50~55wt%、約55~60wt%、約60~65wt%、約65~70wt%、約70~75wt%、約75~80wt%、約80~85wt%、約85~90wt%、約90~95wt%、又は約95~99%のポリマーの水溶液を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、グラフェン材料及びポリマー材料が架橋剤材料を使用して架橋されてもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン材料及びポリマー材料が熱反応及び/又はUV照射によって架橋されてもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン材料及びポリマー材料が材料を熱架橋するのに十分な温度に加熱することによって、追加の架橋剤材料なしで架橋されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ポリマー材料がポリビニルアルコールであってもよい場合、グラフェン材料及びポリマー材料は、約50℃~約125℃の間、5分間~4時間の間、例えば、90℃で約30分間適用することによって架橋されてもよい。いくつかの実施形態では、グラフェン材料及びポリマー材料が紫外線への十分な暴露によって、追加の架橋剤材料なしで架橋されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、同じタイプの架橋剤材料がグラフェン材料、ポリマー材料、又はグラフェン及びポリマー材料の両方を架橋するために使用され、例えば、同じタイプの架橋剤材料がグラフェン材料及びポリマー材料;及び/又はポリマー材料を、それ自体又は他のポリマー材料と共有結合し得る。いくつかの実施態様において、同じ架橋剤材料を用いて、グラフェン材料及びポリマー材料を架橋する。
【0047】
添加剤
添加剤又は添加剤混合物は、場合によっては複合材の性能を改善することができる。いくつかの架橋GOベースの複合材は、添加剤混合物を含むこともできる。いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が分散剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、分散剤がアンモニウム塩、例えば、NH4Cl;フローレン;魚油;長鎖ポリマー;ステアリン酸;酸化メンハデン魚油(MFO);コハク酸、エタン二酸、プロパンジオン酸、ペンタンジオン酸、ヘキサンジオン酸、ヘプタンジオン酸、オクタンジオン酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、o-フタル酸、及びp-フタル酸等のジカルボン酸;ソルビタンモノオレエート;並びにそれらの混合物であってもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態は、好ましくは分散剤として酸化MFOを使用する。
【0048】
いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が界面活性剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、リグノ硫酸ナトリウム(LSU)であり得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)であり得る。いくつかの実施形態では、LSUが、約1~5wt%、約1~2wt%、約2~3wt%、約3~4wt%、約4~5wt%、又は約2wt%の間の量で選択的透過性要素中に存在することができる。いくつかの実施形態では、SLSが、約1~5重量%、約1~2重量%、約2~3重量%、約3~4重量%、約4~5重量%、又は約2重量%の間の量で選択的透過性要素中に存在することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、選択的透過性要素が、バインダーをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、バインダーは、リグニン類似体であってもよい。いくつかの実施形態では、リグニン類似体が、リグノ硫酸ナトリウムを含むことができる。いくつかの実施形態では、バインダーは、類似体であってもよい。いくつかの実施形態において、結合剤は、例えば、四ホウ酸カリウム(K2B4O7)類似体であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、選択透過性要素の複合材が、アルカリ金属ハロゲン化物をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ金属は、リチウムであり得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、塩化物であり得る。いくつかの実施形態において、アルカリ金属ハロゲン化物塩は、LiClであり得る。いくつかの実施形態では、アルカリハライドが、選択透過性要素中に、約1~5wt%、約5~10wt%、約10~15wt%、約15~20wt%、約20~25wt%、約25~30wt%、約30~35wt%、約35~40wt%、約40~45wt%、約45~50wt%、約30wt%、又は約20wt%の間の量で存在することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、選択透過性要素の複合材が、アルカリ土類金属ハロゲン化物をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、アルカリ土類金属は、カルシウムであり得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、塩化物であり得る。いくつかの実施形態において、アルカリ土類金属ハロゲン化物塩は、CaCl2であり得る。いくつかの実施形態では、アルカリ土類ハロゲン化物が、選択透過性要素中に、約1~5重量%、約5~10重量%、約10~15重量%、約15~20重量%、約20~25重量%、約25~30重量%、約30~35重量%、約35~40重量%、約40~45重量%、約45~50重量%、約30重量%、又は約20重量%の間の量で存在することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、溶媒はまた、選択的透過性要素中に存在してもよい。材料層の製造に使用される溶媒としては水、低級アルカノール(例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、及びメチルエチルケトン、並びにこれらの混合物があげられるが、これらに限定されない)があげられる。
【0053】
保護コーティング
いくつかの膜は、保護コーティングをさらに含んでもよい。例えば、保護コーティングは、膜を環境から保護するために、膜の上に配置することができる。保護コーティングは、環境から膜を保護するのに適した任意の組成を有してもよく、多くのポリマーは親水性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリオキシエチレン(POE)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMMA)及びポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(2-オキサゾリン)、ポリエーテルスルホン(PES)、メチルセルロース(MC)、キトサン、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、及びそれらの任意の組み合わせの1つ又は混合物等の、保護コーティングにおける使用に適している。いくつかの実施形態では、保護コーティングは、PVAを含むことができる。いくつかの実施形態では、保護コーティングが、トリメソイルクロリド及びメタフェニレンジアミンを含むポリマーである。
【0054】
脱水膜の製造方法
いくつかの実施形態では、前述の選択的透過性要素を作製するための方法が提供される。いくつかの実施形態は、(a)酸化グラフェン材料、PDADMA等のポリマー、及び添加剤を水性混合物中で混合して複合コーティング混合物を生成することと、(b)コーティング混合物を多孔質支持体上に塗布してコーティング支持体を形成することと、(c)必要に応じてステップ(b)を繰り返してコーティングの所望の厚さを達成することと、(d)コーティングを約60~120℃の温度で約30秒~約3時間硬化させてコーティング混合物内の架橋を促進することとを含む脱水膜を作製する方法を含む。いくつかの実施形態では、この方法が多孔質支持体を前処理することを含む。いくつかの実施形態では、この方法がアセンブリを保護層でコーティングすることをさらに含む。前述の膜を作製する、取り得る方法の実施形態の一例を
図2に示す。
【0055】
いくつかの実施形態では、多孔質支持体が、複合層の多孔質支持体への接着を助けるために前処理することができる。いくつかの実施形態では、多孔質支持体が、より親水性になるように修飾することができる。例えば、改変は、0.5m/分の速度で2~4カウントの70W電力を使用するコロナ処理を含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、混合物が、透過性又は非透過性支持体上にブレードコーティングされて、約1μm~約30μmの間の薄膜を生成し得、例えば、次いで、支持体上にキャストされて、部分要素を形成し得る。いくつかの実施形態では、混合物が支持体スプレーコーティング、浸漬コーティング、スピンコーティング、及び/又は当業者に公知の基板上への混合物の堆積のための他の方法上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、キャスティングが、共押出、フィルム堆積、ブレードコーティング、又は当業者に知られている基板上にフィルムを堆積させるための任意の他の方法によって行うことができる。いくつかの実施形態では、混合物が、ドクターブレードを使用することによってブレードコーティング(又はテープキャスティング)によって基板上にキャストされ、乾燥されて部分要素を形成する。得られたキャストテープの厚さは、ドクターブレードと移動基板との間のギャップを変化させることによって調節することができる。いくつかの実施形態では、ドクターブレードと移動基材との間のギャップが約0.002mm~約1.0mmの範囲である。いくつかの実施形態では、ドクターブレードと移動基板との間のギャップが好ましくは約0.20mm~約0.50mmである。一方、移動する基板の速度は、約30cm/分の範囲の速度を有することができる。約600cm/minに。移動する基板速度及びブレードと移動する基板との間のギャップを調整することによって、得られるグラフェンポリマー層の厚さは、約1μm~約200μmであると予想され得る。いくつかの実施形態では、透明性が維持されるように、層の厚さは約10μmであってもよい。いくつかの実施形態では、コーティングが所望の厚さの複合層が生成されるように行われる。いくつかの実施形態では、層の数が、1~250、約1~100、1~50、1~20、1~15、1~10、又は1~5の範囲であり得る。このプロセスは、完全にコーティングされた基材、又は選択的透過性要素であるコーティングされた支持体をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される膜の全厚が約1μm~約200μmであり得る。膜の全体的な厚さは、効果的な熱伝達のために高い熱伝導率に寄与できると考えられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、多孔質支持体が0.5~15メートル/分、約0.5~5メートル/分、約5~10メートル/分、又は約10~15メートル/分であるコーティング速度でコーティングされる。これらのコーティング速度は、約1~3μm、約1μm、約1~2μm、又は約2~3μmの厚さを有するコーティング層を形成するのに特に適している。いくつかの実施態様において、複合材は、約0.01~1μm、約1~2μm、約2~3μm、約3~4μm、約4~5μm、約5~6μm、約6~7μm、約7~8μm、約8~9μm、又は約9~10μmの厚さを有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、基板上にグラフェン層を堆積させた後、選択的透過性要素を乾燥させて、下にある溶液をグラフェン層から除去することができる。いくつかの実施形態では、乾燥温度が約室温、又は20℃~約120℃であってもよい。いくつかの実施形態では、乾燥時間が温度に応じて約15分~約72時間の範囲であってもよい。目的はあらゆる水を除去し、キャスト形態を沈殿させることである。いくつかの実施形態は、乾燥が約90℃の温度で約30分間達成されることを好む。
【0059】
いくつかの実施形態では、本方法が約20℃~約120℃の範囲の温度で混合物を約15分~約72時間乾燥することを含む。いくつかの実施形態では、乾燥された選択的透過性要素が等温結晶化され、及び/又はアニールされてもよい。いくつかの実施形態では、アニーリングが約40℃~約200℃のアニーリング温度で約10時間~約72時間行うことができる。いくつかの実施形態は、アニーリングが約100℃の温度で約18時間達成されることを好む。他の実施形態は、100℃で16時間行われるアニーリングを好む。
【0060】
いくつかの実施形態では、選択的透過性要素がグラフェン層が基板と保護層との間に挟まれるように、保護コーティング層をさらに含むことができる。層を加える方法は、共押出、フィルム堆積、ブレードコーティング、又は当業者に知られている任意の他の方法によることができる。いくつかの実施形態では、選択的透過性の特性を高めるために、追加の層を加えることができる。いくつかの実施形態では、保護層が選択的透過性素子に接着層を用いてグラフェンに固定され、選択的透過性デバイスをもたらす。他の実施形態では、選択透過性要素が基板に直接結合されて、選択透過性デバイスを生じる。
【0061】
ガス混合物の水蒸気含有量を減少させるための方法
本明細書に記載される脱水膜等の選択的透過性膜は、乾燥ガス又は水蒸気含有量の低いガスが所望される用途のために、水蒸気を含有する空気等の未処理ガス混合物から水蒸気を除去するか、又は水蒸気含有量を低減するための方法において使用されてもよい。この方法は、水蒸気を含有する空気等の第1のガス混合物(未処理ガス混合物)を膜に通し、それによって水蒸気を通過させて除去することを含み、一方、空気等のガス混合物中の他のガスを保持して、水蒸気含有量が低減された第2のガス混合物(脱水ガス混合物)を生成する。本明細書に開示される実施形態は、水蒸気(飽和又はほぼ飽和)及び圧縮空気が導入されるモジュールの一部として提供されてもよい。モジュールは、乾燥加圧生成物ストリーム及び低圧透過ストリームを生成する。透過流は、空気と、モジュールに導入される水蒸気の大部分との混合物を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、膜は、少なくとも、0.5×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも1.0×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも1.5×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも2.0×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも2.5×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも3.0×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも3.5×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも4.0×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも4.5×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも5.0×10-5g/m2・s・Pa、少なくとも5.5×10-5g/m2・s・Pa、又は少なくとも6.0×10-5g/m2・s・Paの水蒸気透過性を有する。いくつかの実施形態では、膜を適用することは水蒸気を選択的に通過させることを含む。いくつかの実施形態では膜はガス成分に対して不透過性又は比較的不透過性である。
【0063】
いくつかの実施形態では、膜は、1×10-5L/m2・s・Pa未満、5×10-6L/m2・s・Pa未満、1×10-6L/m2・s・Pa未満、5×10-7L/m2・s・Pa未満、1×10-7L/m2・s・Pa未満、5×10-8L/m2・s・Pa未満、1×10-8L/m2・s・Pa未満、5×10-9L/m2・s・Pa未満、1×10-9L/m2・s・Pa未満、5×10-10L/m2・s・Pa未満、又は1×10-10L/m2・s・Pa未満のガス透過性を有する。いくつかの実施形態では、ガス成分が空気、水素、二酸化炭素、及び/又は短鎖炭化水素を含むことができる。いくつかの実施形態において、短鎖炭化水素は、メタン、エタン又はプロパンであり得る。
【0064】
脱水プロセスを最適化するために、透過空気又は第2のドライスイープ流を使用することができる。膜が水分離において完全に効率的であれば、供給流中の全ての水又は水蒸気が除去され、それをシステムから掃き出すものはないであろう。プロセスが進むにつれて、供給側又はボア側の水分圧は低くなり、シェル側の圧力は高くなる。この圧力差は、追加の水がモジュールから放出されるのを防止する傾向がある。対象はボア側を乾燥させることであるため、圧力差が装置の所望の動作に干渉する。したがって、スイープ流を使用して、シェル側から水又は水蒸気を除去することができ、一部は水の一部を吸収することによって、一部は水を物理的に押し出すことによって、除去することができる。
【0065】
スイープ流が使用される場合、スイープ流は、モジュールの生成物流の外部乾燥源又は部分的再循環を含むことができる。一般に、除湿の程度は、膜を横切る水蒸気の分圧比、及び生成物回収率(供給流に対する生成物流の比)に依存する。より良好な膜は、低レベルの生成物湿度及び/又はより高い体積生成物流速で高い生成物回収率を有する。
【0066】
脱水膜は、エネルギー回収換気(ERV)のために水を除去するために使用され得る。ERVとは、通常は排気された建物又は空間の空気に含まれるエネルギーを交換し、それを使用して、住居用及び業務用HVACシステムで流入する屋外換気空気を処理(事前条件付け)するエネルギー回収プロセスである。暖かいシーズンでは、ERVシステムにより、冷たいシーズンでは加湿・予熱しながら予備冷却・除湿を行う。
【0067】
本明細書に記載の膜は低コストで容易に作製することができ、体積生成物流又は生成物回収のいずれかにおいて、既存の市販の膜より性能が優れ得る。
【0068】
(実施形態)
以下の実施形態が特に考えられる。
(実施形態1)
脱水膜であって、以下を含む:
支持体;
酸化グラフェン化合物とアンモニウム塩ポリマーとを含む複合材であって、;
前記複合体は、支持体をコーティングし;及び、
前記膜は、高い水分透過性及び低いガス透過性を有する。
(実施形態2)
前記アンモニウム塩ポリマーが、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)塩である、実施形態1に記載の膜。
(実施形態3)
前記支持体が多孔質である、実施形態1に記載の膜。
(実施形態4)
支持体が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、又はポリエーテルスルホンを含む、実施形態1に記載の膜。
(実施形態5)
ポリビニルアルコールをさらに含む、実施形態1に記載の膜。
(実施形態6)
酸化グラフェン化合物及びポリビニルアルコールが架橋されている、実施形態5に記載の膜。
(実施形態7)
ポリビニルアルコールに対する酸化グラフェン化合物の重量比が、約0.1:100~約9:1である、実施形態5に記載の膜。
(実施形態8)
酸化グラフェン化合物が、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、官能化酸化グラフェン、又は官能化及び還元型酸化グラフェンを含む、実施形態1に記載の膜。
(実施形態9)
グラフェン化合物が、約0.05μm~約100μmの小板サイズを有する、実施形態1に記載の膜。
(実施形態10)
膜が中空繊維を含む、実施形態1の膜。
(実施形態11)
複合材が、塩化カルシウムを含む、実施形態1に記載の膜。
(実施形態12)
複合材が、界面活性剤をさらに含む、実施形態1に記載の膜。
(実施形態13)
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、実施形態12に記載の膜。
(実施形態14)
ガスを処理する方法であって、以下を含む:
実施形態1~13の膜を提供する、
水蒸気を含有する第1のガス成分を有する複合混合物に膜を適用し、第1のガスから水蒸気を除去して第2のガス成分を生成する。
【実施例】
【0069】
本明細書に記載される選択的透過性要素の実施形態は、他の選択的透過性要素と比較して、許容可能な材料特性を有する酸素ガス及び蒸気の両方に対する改善された透過性抵抗を有することが発見された。これらの利点は以下の実施例によってさらに示され、これらは本開示の実施形態の例示であることが意図されているが、いかなる形でも範囲又は基礎となる原理を限定することが意図されていない。
【0070】
【0071】
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリドをシグマ-アルドリッチ(セントルイス、MO、USA)から購入し、さらに精製することなく使用した。脱イオン水(DI)を用いて5重量%溶液を調製した。
【0072】
膜コーティング手順
塗工液調製:
GOは、改変ハンマー法を用いてグラファイトから調製した。グラファイトフレーク(4.0g、アルドリッチ、100メッシュ)を、NaNO3(4.0g)、KMnO4(24g)及び濃98%H2SO4(192mL)の混合物中で50℃で15時間酸化し、次いで得られたペースト状混合物を氷(800g)に注ぎ、続いて30%過酸化水素(40mL)を加えた。得られた懸濁液を2時間撹拌して二酸化マンガンを還元し、次いで濾紙を通して濾過し、固体を500mLの0.16M HCl水溶液、次いでDI水で2回洗浄した。固体を回収し、2日間撹拌することによってDI水(2L)中に分散させ、次いで氷水浴冷却しながら10Wプローブ超音波処理機で2時間超音波処理した。得られた分散液を3000rpmで40分間遠心分離して、大きな非剥離グラファイト酸化物を除去した。十分なDI水を添加して、0.1重量%のGO水性分散液を調製した。
【0073】
1mLのGO(0.1%)を4.4mLの水と合わせ、それを約3分間超音波処理する。GOを水中に完全に分散させた後、溶液中に1mLのポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDADMA、5.0重量%水溶液)及び2mLのPVA(水中2.5%)を添加した。次に、溶液を約8分間超音波処理する。PDADMA及びPVAが水溶液中に完全に溶解していることを観察した後、0.4mlのCaCl2(5%)(シグマ-アルドリッチ、セントルイス、MO、USA)を添加し、溶液を約6分間超音波処理して、溶液中にCaCl2を完全に溶解させる。
【0074】
以下の表1に示すように、EX-1~EX-3は、例えば、(a)種々の質量比のPVA及びPDADMAを用い、そして(b)任意に材料、例えば、SLS、CaCl2を記載の量/比で使用したことを除いて、EX-4と同様の様式で製造した。
【0075】
基材処理:多孔質ポリプロピレン基材(Celgard 2500)を、70Wの電力、3カウント、0.5m/分の速度を使用するコロナ処理によって改質した。
【0076】
コーティング及び硬化:
コーティング溶液を、200μmの湿潤ギャップで、新たに処理した基板上に塗布した。得られた膜を乾燥し、次いで110℃で5分間硬化させた。硬化中、GO及びPVAを架橋した。
【0077】
選択透過性要素の測定
上記のように作製したEX-1、EX-2、EX-3、及びEX-4を、23℃及び0%相対湿度(RH)で、ASTM 6701に記載のように窒素透過性について試験した。その結果を表1に示す。
【0078】
上記のように作製したEX-1、EX-2、EX-3、及びEX-4を、20℃及び100%相対湿度(RH)で、ASTM E96標準法に記載の水蒸気透過率(WVTR)について試験した。その結果を表1に示す。
【0079】
【0080】
特に記載のない限り、規格及びクレームに用いられている成分、分子量、反応条件等の性状を表示する数量はすべて「約」という用語で変更されているものと理解される。したがって、逆に表示されない限り、規格及び添付のクレームに記載されている数値パラメータは、求められている所望の性状によって異なる可能性のある近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0081】
本開示の実施形態を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲において)使用される用語「a」、「an」、「the」及び類似の指示対象は、本書に別段の記載がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈される。本明細書で説明されるすべての方法は、本明細書で特に指示がない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行され得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば、「等」)の使用は、単に本開示の実施形態をよりよく例示することを意図しており、請求項の範囲を限定するものではない。明細書中の言葉は、本開示の実施形態の実施に不可欠な、請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0082】
本明細書に開示された代替要素又は実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、又はグループの他のメンバー又は本明細書で見られる他の要素との任意の組み合わせで、参照及び請求することができる。グループの1つ又は複数のメンバーが、利便性及び/又は特許性の理由でグループに含まれたり、グループから削除されたりすることが予想される。
【0083】
本明細書では、実施形態を、実施するために発明者に知られている最良の形態を含む特定の実施形態が説明されている。もちろん、これらの記載された実施形態の変形は、上述致の説明を読めば当業者に明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、本発明者は、本開示の実施形態が本明細書に具体的に記載されている以外で実施されることを意図する。したがって、請求項には、適用可能な法で許可されているように、請求項に記載されている主題のすべての修正及び同等物が含まれる。さらに、本明細書で特に明記しない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせが企図される。
【0084】
最後に、本明細書で開示される実施形態は、特許請求の範囲の原理を例示するものであることが理解される。採用され得る他の修正は、特許請求の範囲内である。したがって、限定ではなく例として、本明細書の教示にしたがって代替する実施形態を利用することができる。したがって、特許請求の範囲は、示され説明されたとおりの実施形態に厳密に限定されない。