(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B21B 27/00 20060101AFI20220621BHJP
B22D 19/16 20060101ALI20220621BHJP
B22D 13/02 20060101ALI20220621BHJP
C22C 37/00 20060101ALI20220621BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20220621BHJP
C22C 38/60 20060101ALI20220621BHJP
C22C 38/58 20060101ALI20220621BHJP
C21D 5/00 20060101ALN20220621BHJP
C21D 9/38 20060101ALN20220621BHJP
【FI】
B21B27/00 C
B22D19/16 F
B22D13/02 502H
C22C37/00 B
C22C38/00 301L
C22C38/00 302E
C22C38/60
C22C38/58
C21D5/00 A
C21D9/38 A
(21)【出願番号】P 2021511876
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013400
(87)【国際公開番号】W WO2020203571
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2019071298
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502227767
【氏名又は名称】日鉄ロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】上宮田 和則
(72)【発明者】
【氏名】石川 晋也
(72)【発明者】
【氏名】柳鶴 彩華
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/045720(WO,A1)
【文献】特開2012-117083(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147370(WO,A1)
【文献】特開2001-321807(JP,A)
【文献】国際公開第2019/045068(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/00
C22C 37/00-37/10
C22C 38/00-38/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層と内層を有する遠心鋳造製圧延用複合ロールであって、
前記外層は、化学成分が質量比で、
C :1.0~3.0%、
Si:0.3~3.0%、
Mn:0.1~3.0%、
Ni:0.1~6.0%、
Cr:0.5~6.0%、
Mo:0.5~6.0%、
V :3.0~7.0%、
Nb:0.1~3.0%、
B :0.001~0.1%、
N :0.005~0.070%、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、
当該外層の化学組成は以下の式(1)を満たし、且つ、黒鉛の晶析出量が面積比で0.3%未満に抑制され、面積比で1~15%のMC型炭化物を有し、
前記外層と前記内層の境界において、直径φ4mm以上の鋳造欠陥を有しないことを特徴とする、遠心鋳造製圧延用複合ロール。
50×N+V<9.0 ・・・(1)
【請求項2】
外層、中間層、及び内層を有する遠心鋳造製圧延用複合ロールであって、
前記外層は、化学成分が質量比で、
C :1.0~3.0%、
Si:0.3~3.0%、
Mn:0.1~3.0%、
Ni:0.1~6.0%、
Cr:0.5~6.0%、
Mo:0.5~6.0%、
V :3.0~7.0%、
Nb:0.1~3.0%、
B :0.001~0.1%、
N :0.005~0.070%、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、
当該外層の化学組成は以下の式(1)を満たし、且つ、黒鉛の晶析出量が面積比で0.3%未満に抑制され、面積比で1~15%のMC型炭化物を有し、
前記中間層と前記内層の境界において、直径φ4mm以上の鋳造欠陥を有しないことを特徴とする、遠心鋳造製圧延用複合ロール。
50×N+V<9.0 ・・・(1)
【請求項3】
更に、前記外層には化学成分が質量比で、
Ti:0.005~0.3%、
W :0.01~6.0%、
Co:0.01~2.0%、
S :0.3%以下、
のうち1種以上が含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遠心鋳造製圧延用複合ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年4月3日に日本国に出願された特願2019-071298号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【0002】
本発明は、耐摩耗性・耐クラック性・耐肌荒れ性に優れた遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、鉄鋼例えば形鋼、薄板、厚板等の熱間圧延分野においては、鋼板の板厚精度向上や表面品質向上の要求が高まっている。当該圧延用ロールに対しても、高い耐摩耗性が求められてきており、薄鋼板を製造する熱間仕上げ圧延機の前段においては、ハイス系鋳鉄ロールの適用が進んできている。しかしながら、絞り事故の遭遇する確率の高い熱間仕上げ圧延機の後段においては、絞り事故発生時にロール表面に深いクラックが入り、圧延使用中等にクラックが進展して爆裂に至ることがあるため、従来から使用されている高合金グレン鋳鉄ロールが主に使用されていた。
【0004】
前記高合金グレン鋳鉄ロールは黒鉛、炭化物および基地組織からなり、絞り事故に遭遇した際も、クラックの発生・進展が極めて少ない、つまり耐事故性に優れるという特徴がある。しかしながら、ハイス系鋳鉄ロールに比較すると耐摩耗性が大幅に劣るため、耐事故性と耐摩耗性を両立させたロールが望まれている。
【0005】
耐事故性と耐摩耗性を両立させたロールが望まれているという要求に応えるために、特許文献1では、質量%でC:1.8~3.5%、Si:0.2~2%、Mn:0.2~2%、Cr:4~15%、Mo:2~10%、V:3~10%を含み、さらに、P:0.1~0.6%、B:0.05~5%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする耐焼付き性に優れた熱間圧延用ロール外層材が開示されている。この特許文献1には、鋳造後、熱処理は、800℃~1080℃に加熱して焼入れする焼入れ処理と、さらに300~600℃で焼戻し処理を1回以上施す処理とすることが好ましいと記載されている。しかしながら、特許文献1に記載のロールは、Pの含有量が過大であるため、粒界に偏析することで脆化するという問題がある。また、鋳造時に外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に、微小鋳造欠陥が発生しやすいため、製造中に割損する頻度が高く、また、製品に残留した微小欠陥は圧延使用中に成長・進展して爆裂に至る危険性が高いという課題がある。
【0006】
また、特許文献2には、遠心鋳造されたFe基合金からなる外層及び中間層とダクタイル鋳鉄からなる内層とがそれぞれ溶着一体化した構造を有し、前記外層が、質量基準で1~3%のC、0.3~3%のSi、0.1~3%のMn、0.5~5%のNi、1~7%のCr、2.2~8%のMo、4~7%のV、0.005~0.15%のN、0.05~0.2%のBを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有し、前記中間層が0.025~0.15質量%のBを含有し、前記中間層のB含有率が前記外層のB含有率の40~80%であり、前記中間層の炭化物形成元素の合計含有量が前記外層の炭化物形成元素の合計含有量の40~90%であることを特徴とする圧延用複合ロールが開示されている。この特許文献2には、鋳造後に、必要に応じて焼入れ処理を行い、焼戻し処理を1回以上行う。焼戻し温度は480~580℃が好ましいと記載されている。しかしながら、特許文献2に記載のロールは、B含有量が高いことに起因して製造中にクラックが発生する頻度が高く、割損する危険性が高いという課題がある。また、圧延使用時にはBの偏析層が原因で、肌荒れするという課題があることが分かった。また、鋳造時に外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に、微小鋳造欠陥が発生しやすいため、製造中に割損する頻度が高く、また、製品に残留した微小欠陥は圧延使用中に成長・進展して爆裂に至る危険性が高いという課題がある。
【0007】
また、特許文献3には、外層を有する遠心鋳造製圧延用複合ロールであって、前記外層は、質量%にて、C:2.2%~3.01%、Si:1.0%~3.0%、Mn:0.3%~2.0%、Ni:3.0%~7.0%、Cr:0.5%~2.5%、Mo:1.0%~3.0%、V:2.5%~5.0%、Nb:0を超えて0.5%以下、残部Fe及び不可避的不純物であって、条件(a):Nb%/V%<0.1、条件(b):2.1×C%+1.2×Si%-Cr%+0.5×Mo%+(V%+Nb%/2)≦13.0%を満足することを特徴とする圧延用複合ロールが開示されている。この特許文献3には、850℃以上のγ化熱処理及び、焼入れ、焼戻しを実施してもよいと記載されている。しかしながら、特許文献3に記載のロールは、ハイスロールと比較すると耐摩耗性が大きく劣るとともに、黒鉛が過剰に晶出しているため、肌荒れするという課題があることがわかった。また、鋳造時に外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に、微小鋳造欠陥が発生しやすいため、製造中に割損する頻度が高く、また、製品に残留した微小欠陥は圧延使用中に成長・進展して爆裂に至る危険性が高いという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4483585号
【文献】国際公開第2018/147370号
【文献】特許第6313844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1~3に記載のロールにおいては、鋳造時に外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に、微小鋳造欠陥が発生しやすいため、製造中に割損する頻度が高く、また、製品に残留した微小欠陥は圧延使用中に成長・進展して爆裂に至る危険性が高いという課題がある。
【0010】
このような事情に鑑み、本発明の目的は、ハイス系鋳鉄ロール並みのすぐれた耐摩耗性・耐肌荒れ性を有し、且つ、高合金グレン鋳鉄ロール並みの耐事故性を有するような遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明によれば、外層と内層を有する遠心鋳造製圧延用複合ロールであって、前記外層は、化学成分が質量比で、
C :1.0~3.0%、
Si:0.3~3.0%、
Mn:0.1~3.0%、
Ni:0.1~6.0%、
Cr:0.5~6.0%、
Mo:0.5~6.0%、
V :3.0~7.0%、
Nb:0.1~3.0%、
B :0.001~0.1%、
N :0.005~0.070%、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、当該外層の化学組成は以下の式(1)を満たし、且つ、黒鉛の晶析出量が面積比で0.3%未満に抑制され、面積比で1~15%のMC型炭化物を有し、前記外層と前記内層の境界において、直径φ4mm以上の鋳造欠陥を有しないことを特徴とする、遠心鋳造製圧延用複合ロールが提供される。
50×N+V<9.0 ・・・(1)
【0012】
また、本発明によれば、外層、中間層、及び内層を有する遠心鋳造製圧延用複合ロールであって、前記外層は、化学成分が質量比で、
C :1.0~3.0%、
Si:0.3~3.0%、
Mn:0.1~3.0%、
Ni:0.1~6.0%、
Cr:0.5~6.0%、
Mo:0.5~6.0%、
V :3.0~7.0%、
Nb:0.1~3.0%、
B :0.001~0.1%、
N :0.005~0.070%、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、当該外層の化学組成は以下の式(1)を満たし、且つ、黒鉛の晶析出量が面積比で0.3%未満に抑制され、面積比で1~15%のMC型炭化物を有し、前記中間層と前記内層の境界において、直径φ4mm以上の鋳造欠陥を有しないことを特徴とする、遠心鋳造製圧延用複合ロールが提供される。
50×N+V<9.0 ・・・(1)
【0013】
更に、前記外層には化学成分が質量比で、
Ti:0.005~0.3%、
W :0.01~6.0%、
Co:0.01~2.0%、
S :0.3%以下、のうち1種以上が含まれても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、鋳造時に外層と内層、もしくは中間層と内層の境界に鋳造欠陥が発生することを防止できるため、製造中の割損トラブルや、製品に残留した境界の微小欠陥が、圧延使用中に成長して爆裂に至るトラブルを防止できる。この結果、ハイスロール並みのすぐれた耐摩耗性・耐肌荒れ性とともに高合金グレン鋳鉄ロール並みの耐事故性とを兼備する遠心鋳造製圧延用複合ロールの製造が可能となる。本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、ホットストリップミルにおいて、特に操業安定性が求められる熱間仕上げ圧延の後段スタンドへの適用に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書において、「%」の表記は「質量%」を示す。
【0017】
本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、圧延に供される外層を有する。更には、当該外層の内側に中間層及び内層、又は、内層からなる軸芯材を有する。内層を構成する内層材としては、高級鋳鉄、ダクタイル鋳鉄等の強靭性を有する材料が例示され、中間層を構成する中間層材としては、アダマイト材、黒鉛鋼が例示される。
【0018】
遠心鋳造された外層は、質量比で、1.5~3.0%のCと、0.3~3.0%のSiと、0.1~3.0%のMnと、0.1~6.0%のNiと、0.5~6.0%のCrと、0.5~6.0%のMoと、3.0~7.0%のVと、0.1~3.0%のNbと、0.001~0.1%のBと、0.005~0.070%のNと、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるFe基合金により形成される。
【0019】
また、外層の組織は、(a)MC型炭化物、(b)M3C、M2C、M7C3を主体とする共晶炭化物、(c)基地、(d)その他、から構成され、MC型炭化物は1~15%含有される。また、外層の組織には黒鉛が含まれても良いが、黒鉛の存在は必須ではなく、例えば黒鉛の晶析出量は0.3%未満に抑制される。
【0020】
(成分限定理由)
以下に、先ず、本発明に係る外層の化学成分について、その限定理由を説明する。なお、以下において特に明示しない場合、「%」との表記は「質量%」を示す。
【0021】
C:1.0~3.0%
Cは主として、Fe、Cr、Mo、Nb、V、W等と結合して種々の硬質炭化物を形成する。また、場合によっては黒鉛を形成することもある。さらにマトリックス中に固溶され、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト相等を生成する。多量に含有させるほど、耐摩耗性の向上には有効であるが、3.0%を超えると、粗大な炭化物や黒鉛が形成され、靱性の低下や肌荒れの原因となる。また、1.0%未満だと炭化物量が少なく、また、硬度の確保が難しく、耐摩耗性の劣化が起こる。従って、その範囲を1.0~3.0%とした。より好ましい範囲は1.5~2.5%である。
【0022】
Si:0.3~3.0%
Siは溶湯の脱酸により酸化物の欠陥発生を抑制するために必要である。また、溶湯の流動性を向上させて鋳造欠陥を防止する作用を有する。0.3%未満ではこの効果が不十分となり、外層の圧延使用層に鋳造欠陥が残留する危険性が高くなる。したがって、0.3%以上含有させる。しかしながら、3.0%を超えると靱性を低下させ、耐クラック性低下の原因となる。従って、その範囲を0.3~3.0%とした。より好ましい範囲は0.5~2.0%である。
【0023】
Mn:0.1~3.0%
Mnは脱酸、脱硫作用を目的として添加する。また、Sと結合してMnSを形成する。MnSは潤滑作用を有するため、被圧延材の焼付き防止に効果がある。このため、副作用のない範囲でMnSを含有する方が好ましい。Mnが0.1%未満だとこれらの効果が不十分であり、また、3.0%を超えると靱性を低下させる。従って、その範囲を0.1~3.0%とした。より好ましい範囲は0.3~1.2%である。
【0024】
Ni:0.1~6.0%
Niは基地の焼入れ性を向上させる作用を有し、冷却中のパーライト形成を防止して、ベイナイト化を促進することで、基地強化を図るのに有効な元素であるため、0.1%以上を含有させる必要がある。しかし、6.0%を越えて含有させた場合、残留オーステナイト量が過大となり、硬度を確保することが困難になるとともに、熱間圧延使用中に変形や肌荒れ等を起こすことがある。従って、その範囲を0.1~6.0%とした。より好ましい範囲は0.3~5.5%である。
【0025】
Cr:0.5~6.0%
Crは、焼入性の増加、硬度の増加、焼き戻し軟化抵抗の増加、炭化物硬度の安定化等のために添加する。しかし、6.0%を超えると共晶炭化物量が過大となり、耐肌荒れ性や靱性が低下するため、上限を6.0%とした。一方、0.5%未満であると前記効果が得られなくなる。従って、その範囲を0.5~6.0%とした。より好ましい範囲は1.0~5.5%である。
【0026】
Mo:0.5~6.0%
Moは、主としてCと結合して硬質炭化物を形成して、耐摩耗性の向上に寄与するとともに、基地の焼入れ性を向上させるため、最低0.5%以上の含有が必要である。一方、6.0%を超えると粗大炭化物が形成され、耐肌荒れ性や靱性が低下する。従って、その範囲を0.5~6.0%とした。より好ましい範囲は0.7~5.5%である。
【0027】
V:3.0~7.0%
Vは、特に耐摩耗性を向上させるために重要な元素である。即ち、VはCと結合して耐摩耗性に大きく寄与する高硬度のMC炭化物を形成する重要な元素である。3.0%未満ではMC炭化物量が不十分で耐摩耗性の向上が不十分となり、7.0%を超えると低密度のMC炭化物が初晶として単独で晶出する領域となり、遠心力鋳造法で製造する場合、MC炭化物の密度は、溶湯の密度に比べ小さいため、外層と内層の境界部、もしくは中間層と内層の境界部に重力偏析してMC炭化物の凝集部を形成する。このMC炭化物の凝集部は、外層と内層の境界部、もしくは中間層と内層の境界部に鋳造欠陥を発生させる原因となる。従って、その範囲を3.0~7.0%とした。より好ましい範囲は3.5~6.5%である。
【0028】
Nb:0.1~3.0%
Nbは基地中にはほとんど固溶されず、そのほとんどが高硬度のMC炭化物を形成して、耐摩耗性を向上する。特に、Nbの添加で生ずるMC炭化物は、Vの添加で生ずるMC炭化物に比べ、溶湯密度との差が小さいため、遠心鋳造による重力偏析を軽減させる効果を有する。Nbの含有量について、0.1%未満ではその効果は不十分であり、3.0%を越えて含有させた場合、MC炭化物が粗大になるため、肌荒れの発生や靱性の低下に繋がる。従って、その範囲を0.1~3.0%とした。
【0029】
B:0.001~0.1%
Bは、炭化物に固溶するとともに、炭ホウ化物を形成する。炭ホウ化物は潤滑作用を有し、被圧延材の焼付き防止に効果がある。Bの含有量について、0.001%未満ではその効果は不十分であり、0.1%を越えて含有させた場合、粒界に偏析して肌荒れの発生や靱性の低下に繋がる。従って、その範囲を0.001~0.1%とした。
【0030】
N:0.005~0.070%
Nは、炭化物を微細化する効果を有するが、Vと結合して窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)を形成する。0.005%未満では炭化物の微細化効果は不十分であり、0.070%を越えて含有させた場合、過剰な窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)が形成される。これらが、外層と内層の境界部、もしくは中間層と内層の境界部に重力偏析して、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部を形成する。これらは、外層と内層の境界部、もしくは中間層と内層の境界部に鋳造欠陥を発生させる原因となるため、0.070%以下に抑える必要がある。従って、その範囲を0.005~0.070%とした。
【0031】
本発明に係る外層の基本成分は、上記の通りであるが、適用を対象とするロールのサイズ、要求されるロールの使用特性等により、その他の化学成分として、前記の基本成分に加えて、さらに以下に記載する化学成分を適宜選択して含有してもよい。
【0032】
Ti:0.005~0.3%
本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、上記必須元素の他にTiを含有することができる。TiはNおよびOとの脱ガス作用が期待できるとともに、TiCNもしくはTiCを形成して、MC炭化物の晶出核にもなり得る。Tiの含有量が0.005%未満ではその効果が期待できず、0.3%を超えると溶湯の粘性が高くなり、外層と内層の境界部、もしくは中間層と内層の境界部に鋳造欠陥を誘発する危険性が高くなる。従って、Tiを添加する場合は、その範囲を0.005~0.3%とする。より好ましい範囲は0.01~0.2%である。
【0033】
W:0.01~6.0%
本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、上記必須元素の他にWを含有することができる。WはMoと同様に基地中に固溶されて基地を強化すると共に、Cと結合してM2CやM6C等の硬質な共晶炭化物を形成し耐摩耗性の向上に寄与する。基地強化のためには、最低0.01%以上の含有が必要であるが、6.0%を超えると粗大共晶炭化物が形成されて耐肌荒れ性や靱性が低下する。従って、Wを添加する場合は、その範囲を0.01~6.0%とする。なお、Wの添加有無の選択については、例えば、共晶炭化物増量により耐摩耗性の向上を図る場合に添加するとその効果がより大きい。
【0034】
Co:0.01~2.0%
本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、上記必須元素の他にCoを含有することができる。Coは、ほとんどがマトリックス中に固溶され、基地を強化する。そのため、高温での硬度及び強度を向上させる作用を有している。0.01%未満ではその効果は不十分であり、2.0%を越えてはその効果が飽和するため、経済性の観点からも2.0%以下とする。従って、Coを添加する場合は、その範囲を0.01~2.0%とする。なお、Coの添加有無の選択については、例えば、耐摩耗性の向上が要求され、共晶炭化物の増量が困難である場合に添加するとその効果が大きい。
【0035】
S:0.3%以下
通常、Sは、原材料より不可避的にある程度混入するものであるが、前述のようにMnSを形成して潤滑作用を有するため、圧延材の焼付きを防止する効果がある。一方、過剰に含有させると材質を脆くするので、0.3%以下に制限することが好ましい。
【0036】
不可避的不純物
本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールの外層の組成は、上記元素の他に残部は実質的にFe及び不可避的不純物からなる。不可避的不純物の中で、Pは靱性を劣化させるため、0.1%以下に制限することが好ましい。また、その他の不可避的元素として、Cu、Sb、Sn、Zr、Al、Te、Ce等の元素を外層の特性を損なわない範囲で含有しても良い。外層の特性を損なわないために、不可避的不純物の総量は0.6%以下であることが好ましい。
【0037】
(化学組成に係る関係式)
また、本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールの外層の化学成分(化学組成)については、特に硬質な炭化物形成元素であるV、Nb、Mo、Crを添加した際に、NとVの含有量(%)に関し以下の式(1)を満たす必要がある。
50×N+V<9.0 ・・・(1)
【0038】
Nは、炭化物を微細化する効果を有するが、硬質な炭化物形成元素であるV、Nb、Mo、Crと結合して窒化物もしくは炭窒化物を形成する。特にVは、溶湯より密度が小さい元素であるため、過剰な窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)が形成された場合、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)は、遠心鋳造時に遠心力により外層溶湯内面側へ移動して、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が形成される。
【0039】
また、中間層を入れる場合には、遠心鋳造中に外層注入後、一定時間経過後に中間層を鋳造するが、この際に、外層内面を溶融させることで中間層と外層を溶着させる。この際に、中間層溶湯で溶融させた外層内面部と中間層溶湯は混合溶湯となり凝固して中間層部が形成される。一方、外層内面に窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が形成されている場合、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)は溶融点が高く、中間層溶湯では溶融されない。このため、外層内面に形成された窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部は、中間層溶湯より密度が小さいことから、中間層溶湯を注入後、遠心力により中間層溶湯内面に移動して、中間層内面に窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が形成される。
【0040】
次工程である内層溶湯の注入は、外層、もしくは外層と中間層が遠心鋳造により凝固完了した時点で、遠心鋳造機から取り出して、上下型と組み立て後、静置鋳造により注入鋳造する。この際に、外層内面もしくは中間層内面に窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が形成されている場合、これらを内層注入時に内層溶湯で溶融させない限りは、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界部に残留することとなる。
【0041】
しかしながら、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の溶融点は、内層溶湯の溶融点よりかなり高いことと、内層の注入温度は、外層もしくは中間層の内面部のみを溶着に必要な最小限の厚み(最大でも10mm程度)で溶融させるという制約があるため、内層の注入温度の値は、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)を溶融させるような高温での設定が困難である。
【0042】
従って、遠心鋳造時に外層もしくは中間層内面に窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が形成された場合、ロール素材の外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に、窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が残留することを避けることは極めて困難となる。このような窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部は、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界において、溶着不良、鋳巣といった鋳造欠陥を形成させる原因となり、この結果、外層と中間層もしくは内層の境界に有害な鋳造欠陥が残留する。
【0043】
そこで、本発明では、遠心鋳造製圧延用複合ロールの外層において、式(1)を満足させることで、遠心鋳造時に外層内面側に窒化物(VN)もしくは炭窒化物(VCN)の凝集部が形成されることを防止している。これにより、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に有害な鋳造欠陥が形成されることなく、健全なロールが安定的に供給できる。
【0044】
(遠心鋳造法における鋳造条件)
本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、一般的な遠心鋳造法により製造されるが、遠心鋳造法における外層鋳込み開始温度(T1)と、外層液相線温度(T2)との関係が以下の式(2)を満たすことが必要である。
40℃≦T1-T2≦120℃ ・・・(2)
【0045】
本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールの外層においては、硬質な炭化物形成元素であるV、Nb、Mo、Cr等の合金元素が多量に添加されているため、T1-T2が40℃未満の場合、遠心鋳造時の湯流れ性が十分に確保できず、外層の健全性が十分に確保できない。また、120℃以上では、凝固組織が粗大となり、圧延使用時に肌荒れが発生する等の問題が生じるため、上記式(2)を満たすことが必要である。
【0046】
(黒鉛の晶析出量)
また、本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールの外層においては、黒鉛の晶析出量は0.3%未満に抑制される必要がある。黒鉛は極めて軟質なミクロ組織構成要素であるため、本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールの外層に黒鉛が多量に晶析出した場合、耐摩耗性が大きく劣る原因となる。また、硬質な炭化物や高硬度の基地と軟質な黒鉛との摩耗量差が原因で、圧延時に肌荒れが発生する原因となる。これらの悪影響が発生しない黒鉛晶析出量の限界が、面積比で0.3%である。したがって、黒鉛の晶析出量を面積比で0.3%未満に抑制させる必要がある。
なお、黒鉛の晶析出量が過大となった場合には、本発明の範囲内で、黒鉛化促進元素であるSiの添加量を削減すること、もしくは、黒鉛化阻害元素であるCr、V等の添加量を増加することで、黒鉛の晶析出量を抑制することが可能である。
【0047】
(MC型炭化物の含有量)
また、本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールの外層には、MC型炭化物を面積比で1~15%含むことが必要である。本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、ハイスロール並みの高耐摩耗性を付与していることが特徴であるが、この高耐摩耗性は、当該ロールのミクロ組織構成要素の中で、最も高硬度のMC型炭化物を適量晶出させることで満足させている。従って、MC型炭化物量が1%未満では、耐摩耗性が維持できない。一方、MC型炭化物量が15%を超えると、遠心鋳造時に高温で晶出するMC型炭化物が外層内で大きく偏析するため、内面側に偏析した場合には、境界部に鋳造欠陥が発生する原因になるとともに、圧延使用時に肌荒れが発生する原因となる。従って、MC型炭化物量について、面積比で1~15%に規定した。
【0048】
なお、MC型炭化物量については、MC型炭化物を形成する元素(V、Nb、Ti)について、本発明の範囲内で添加量を調整することで規定量を満足させることが可能である。MC型炭化物量が上限の15%を超えている場合には、MC型炭化物を形成する元素(V、Nb、Ti)の添加量について、本発明の範囲内で削減すれば良い。また、MC型炭化物量が下限の1%未満の場合には、MC型炭化物を形成する元素(V、Nb、Ti)の添加量について、本発明の範囲内で増加させれば良い。
【0049】
(外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界における欠陥)
一般にロールの耐摩耗性を向上させるためには、硬質な炭化物形成元素であるV、Nb、Mo、Cr等の含有量を増加させることが有効であると考えられるが、従来技術においては、遠心鋳造時に形成される窒化物(主にVN)が外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に集積して、当該境界に鋳造欠陥を発生させるという問題があった。また、これらの微小な鋳造欠陥が製品に残留した場合、圧延使用時に当該欠陥が成長・進展してスポーリング等の割損トラブルが発生する危険性が高まるという問題があった。このような問題に鑑み、本発明者らは、外層に含有させるVとNの量を、上記式(1)を満たすものとし、遠心鋳造時の外層鋳込み開始温度(T1)と、外層液相線温度(T2)との関係を、上記式(2)を満たすものとし、また、黒鉛の晶析出量を面積比で0.3%未満とし、MC型炭化物を面積比で1~15%含むように構成させることで、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界に発生する鋳造欠陥を抑制させることができる事を見出した。
【0050】
具体的には、本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールは、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界において、直径φ4mm以上の鋳造欠陥を有しない構成である。このような構造とすることで、ロールの圧延使用時に鋳造欠陥が成長・進展して割損トラブルが発生するといった事を抑制できる。外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界における欠陥の大きさがφ4mm未満である場合、これまでの使用実績から、圧延使用中に成長して爆裂に至るトラブルは発生していないことから、φ4mm以上の欠陥を有しないことと規定するに至った。
【0051】
(作用効果)
以上説明したように、本発明に係る遠心鋳造製圧延用複合ロールにおいては、外層の化学組成を上記所定の成分とし、上記式(1)、(2)を満足し、更には、黒鉛の晶析出量を面積比で0.3%未満、MC型炭化物を面積比で1~15%含むような構成とすることで、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界において、直径φ4mm以上の鋳造欠陥を有しない構成が実現される。これにより、製造中の割損トラブルや、製品に残留した境界の微小欠陥が、圧延使用中に成長して爆裂に至るトラブルを防止でき、耐事故性の向上が図られる。即ち、ハイス系鋳鉄ロール並みのすぐれた耐摩耗性・耐肌荒れ性を有し、且つ、高合金グレン鋳鉄ロール並みの耐事故性を有する遠心鋳造製圧延用複合ロールが実現される。
【0052】
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【実施例】
【0053】
下記の表1に示す化学成分、即ち、No.1~16(本発明例)、17~28(比較例)からなる複合ロールを、遠心鋳造法により、内層径600mm、ロール外径800mm、外層厚み100mm、胴長2400mmの熱延仕上げスタンド圧延用複合ロールとして製作した。溶解温度は1550℃とし、外層鋳込み開始温度(T1)と、外層液相線温度(T2)との差であるT1-T2を、それぞれ以下の表1に示す値に設定した。また、鋳造後には、400℃~580℃で焼き戻し熱処理を実施した。なお、鋳造後においては、基地がオーステナイトへ変態する温度に加熱(γ化熱処理)後に焼入れ、焼き戻し熱処理を実施しても良い。
【0054】
ここで、表1中の下線部は、外層の化学成分が上記式(1)を満足していない場合や、遠心鋳造時の条件が上記式(2)を満足していない場合を示している。また、表1中の境界における鋳造欠陥については、符号「○無し」が本発明範囲内、符号「×有り」が本発明範囲外を示す。更に、圧延使用時の肌荒れ発生有無については、圧延使用時に肌荒れが発生したものには、肌荒れ発生有無の欄に、符号「×有り」、圧延使用時に肌荒れの発生がなかったものには、符号「○無し」を記した。
【0055】
【0056】
その後、各複合ロールにおける外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界における鋳造欠陥の有無を確認するため、超音波探傷検査にて鋳造欠陥の有無を調査した。超音波探傷については、超音波探傷用標準試験片STB-G(JIS Z 2345)によりφ4mm以上の欠陥を検出できるように感度調整を行い、複合ロールにおける外層と内層もしく中間層と内層の境界を垂直法により探傷した(使用探触子:5Z20N)。
【0057】
また、製作したロールの外層部より採取した試験片について組織中の黒鉛およびMC型炭化物の面積比を測定し、黒鉛については0.3%未満、MC型炭化物については、1~15%範囲であるか否かを調査した。黒鉛の面積比については、各試験片を鏡面仕上げしてノンエッチングの状態で光学顕微鏡写真(×100)を撮影し得られた画像について画像解析ソフトを用いて測定を行なった。また、MC型炭化物の面積比については、村上試薬にて着色した状態で光学顕微鏡写真(×100)を撮影し得られた画像について画像解析ソフトを用いて測定を行った。
【0058】
その結果、外層の化学成分が上記実施の形態で説明した所定の範囲内であり、上記式(1)、式(2)に関する条件が本発明の範囲内であるような本発明例No.1~16のロールにおいては、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界において有害な鋳造欠陥は検出されなかった。
【0059】
一方、上記式(1)や式(2)に係る条件が本発明の範囲外であるような比較例No.17~28のロールにおいては、外層と内層の境界、もしくは中間層と内層の境界において有害な鋳造欠陥が検出された。
【0060】
以上説明した実施例の結果から、遠心鋳造製圧延用複合ロールにおいて、外層の化学成分を所定の範囲内にすると共に、上記式(1)や式(2)に係る条件を本発明の範囲内とし、黒鉛の晶析出量を面積比で0.3%未満とし、MC型炭化物を面積比で1~15%含むように構成させることで、ハイス系鋳鉄ロール並みのすぐれた耐摩耗性・耐肌荒れ性を有し、且つ、高合金グレン鋳鉄ロール並みの耐事故性を有するような遠心鋳造製圧延用複合ロールが実現されることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、耐摩耗性・耐クラック性・耐肌荒れ性に優れた遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法に適用できる。