(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】光ファイバーへの放射ビームの注入
(51)【国際特許分類】
G02B 6/26 20060101AFI20220621BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20220621BHJP
H04B 10/118 20130101ALI20220621BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G02B6/26
G02B6/42
H04B10/118
G02B26/08 E
(21)【出願番号】P 2021545852
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(86)【国際出願番号】 FR2020050045
(87)【国際公開番号】W WO2020161405
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-05
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517342903
【氏名又は名称】エアバス・ディフェンス・アンド・スペース・エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウラン,ジェレミ
(72)【発明者】
【氏名】ベルソー,ポール
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0209297(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02535857(FR,A1)
【文献】特開2007-079387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0158536(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/42 - 6/43
H04B 10/00 - 10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有用な電磁放射ビームを光ファイバーに注入させるための注入システムであって、:
- 前記有用な電磁放射ビーム(F
1)の少なくとも第1の部分(F
11)が向けられる端部(E)を具備し、当該有用な電磁放射ビームの当該第1の部分を当該端部(E)から内部に注入させる光ファイバー(1)と、;
- 前記有用な電磁放射ビーム(F
1)を前記注入システムに入れるための光学入口(P
0)と、;
- 前記光学入口(P
0)を前記光ファイバー(1)の前記端部(E)に繋ぐための、当該光ファイバーの端部(E)に向かう第1の光路(P
1)と、;
- 放射ビームを受け取り、当該放射ビームの方向を識別する光検出アセンブリ(2)と、;
- 前記光ファイバー(1)の前記端部(E)を前記光検出アセンブリ(2)に繋ぐための、当該光検出アセンブリに向かう第2の光路(P
2)と、;
- 前記光ファイバー(1)に接続される二次放射源であって、二次放射ビーム(F
S)が前記第2の光路(P
2)へ前記光ファイバーの端部(E)を通じて出射し、かつ前記光検出アセンブリ(2)によって当該二次放射ビームの発生時点の方向を識別する少なくとも1つの第1の検出信号(S
E)が生成される、二次放射源と、;
- 第1の光路(P
1)に配置され、前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F
11)を偏向させる可変偏向装置(4)と、;
- 前記可変偏向装置(4)によって偏向された前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F
11)が前記光ファイバー(1)の前記端部(E)に入射するように、前記少なくとも1つの第1の検出信号(S
E)に応じて前記可変偏向装置(4)を制御する注入コントローラ(5)と、;
- 光路結合装置(6)と、;
を備え、
前記光路結合装置(6)は、前記光ファイバー(1)の前記端部(E)と当該光路結合装置(6)との間において前記第1の光路(P
1)および前記第2の光路(P
2)を重畳させ、
前記光路結合装置(6)は、前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F
11)を前記光ファイバーの前記端部に向かって伝送するように、かつ、二次放射ビーム(F
S)を光検出アセンブリ(2)に向かって同時に伝送するように適した構成となっており、
前記可変偏向装置(4)は、前記光路結合装置(6)と前記光ファイバー(1)の端部(E)との間の前記第1の光路(P
1)および前記第2の光路(P
2)内に配置されていることによって、前記光ファイバーの前記端部に向かって伝播する前記有用な電磁放射ビームの第1の部分(F
11)と、前記光検出アセンブリ(2)に向かって伝播する二次放射ビーム(F
S)とを、相互に関連した前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分および前記二次放射ビームのそれぞれに有効である瞬間
的な偏向
を発生させることによって、同時に偏向させ、
更に前記光路結合装置(6)は、前記有用な電磁放射ビームの第2の部分(F12)を、前記光検出アセンブリ(2)に向けるように適した構成となっており、これにより、前記光検出アセンブリは、前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F11)の方向を識別する少なくとも1つの第2の検出信号(S1)を更に生成する構成となっており、
前記注入コントローラ(5)は、
前記少なくとも1つの第1の検出信号(S
E
)および前記少なくとも1つの第2の検出信号(S1)に基づき前記可変偏向装置(4)を制御して、前記光路結合装置(6)と前記可変偏向装置との間において前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F11)と前記二次放射ビーム(FS)とを平行にする、
注入システム。
【請求項2】
前記注入システムは、レーザー増幅器(3)を更に備え、
前記レーザー増幅器は、前記光ファイバー(1)に関連付けられて設けられており、前記光ファイバーの前記端部から当該光ファイバーに入る前記有用な電磁放射ビームの第1の部分(F
11)が、前記レーザー増幅器に送信されるようになっており、
更に前記レーザー増幅器(3)は、増幅された自然放射を生成するように構成されているとともに、当該増幅された自然放射が前記光ファイバー(1)内を前記端部(E)に向かって送信されるように構成されていることによって、当該増幅された自然放射の少なくとも一部分が前記二次放射ビーム(F
S)を構成し、当該レーザー増幅器が前記二次放射源
を成している、
請求項1に記載の注入システム。
【請求項3】
前記光路結合装置(6)は、放射スプリッタ(60)と、反射アセンブリ(60’)とを備え、
前記放射スプリッタは、前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F
11)を前記可変偏向装置(4)に向けて伝送するように構成されているとともに、前記二次放射ビーム(F
S)を前記反射アセンブリに向けて同時に伝送するように構成されており、また更に、前記反射アセンブリによって反射された後の前記二次放射ビーム(F
S)の少なくとも一部分を前記光検出アセンブリ(2)に向けて同時に伝送するように構成されている、
請求項1に記載の注入システム。
【請求項4】
前記反射アセンブリ(60’)は、複数の堅固に接続された平坦な反射器を備える、
請求項3に記載の注入システム。
【請求項5】
前記反射アセンブリ(60’)は、三面体を形成するように配置された3つの平面ミラー(61、62、63)を備え、
前記三面体は、前記三面体と共有頂点を有する立方体の角部
を内包する内部開口を有する、
請求項4に記載の注入システム。
【請求項6】
前記光ファイバー(1)は、シングルモードタイプである、
請求項1に記載の注入システム。
【請求項7】
前記可変偏向装置(4)は、1つの回転軸または2つの回転軸に沿って
回転可能なミラーを有し、当該ミラーは、前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F
11)を前記光ファイバー(1)の端部(E)に向けて、また、前記二次放射ビーム(F
S)を前記光検出アセンブリ(2)に向けて同時に反射するように配置されている、
請求項1に記載の注入システム。
【請求項8】
レーザー信号による光テレコミュニケーションのための端末(100)であって、
- 前記端末(100)の外部光源(200)からの第1のレーザー信号を受信するように設けられた受信用光路と、;
- 第2のレーザー信号を前記外部光源(200)に送信するように設けられた光学放出経路と、;
- 前記第1のレーザー信号の一部分を受信するように構成されたトラッキング光検出アセンブリと、
-
トラッキング機能を実現するために、前記トラッキング光検出アセンブリによって識別される前記第1のレーザー信号の受信方向に応じて、前記端末(100)の放射方向または指示方向を調整することに適した構成となっている少なくとも1つのトラッキングコントローラ(103、106)と、;
を備えており、
前記端末(100)は、
請求項1から7の何れか1項に記載の注入システムを具備し、
前記第1のレーザー信号が、前記有用な電磁放射ビーム(F
1)を形成し、
前記第1の光路(P
1)および前記光ファイバー(1)が、前記受信用光路の一部分を構成し、
前記光ファイバーが、前記第1のレーザー信号の少なくとも一部分を、受信用の光学検出器(11)に送信するように構成されている、
端末(100)。
【請求項9】
前記トラッキング光検出アセンブリが、前記注入システムに具備された前記光検出アセンブリ(2)を構成し、
前記トラッキング
機能のために用いられる前記第1のレーザー信号の一部分は、前記注入システムによって使用される前記有用な電磁放射ビームの前記第2の部分(F
12)でもある、
請求項8に記載の端末(100)。
【請求項10】
前記トラッキング光検出アセンブリは、マトリクスイメージセンサ(20)を含み、
前記マトリクスイメージセンサは、感光面(S)を具備し、当該感光面(S)の一部には、前記トラッキング
機能のために用いられる有用区域(ZU)と称される前記端末の光入射区域に抱合された部分が含まれ、前記トラッキング
機能のための前記有用区域(ZU)の任意の点が前記端末の光入射区域内の受信方向に対応し、前記トラッキング
機能のための前記有用区域(ZU)に属さない、前記感光面の任意の点は、前記端末の受信方向に対応しないように構成されており、
前記光路結合装置(6)は、放射スプリッタ(60)と、反射アセンブリ(60’)とを備え、
前記放射スプリッタは、前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F
11)を前記可変偏向装置(4)に向けて伝送するように構成されているとともに、前記二次放射ビーム(F
S)を前記反射アセンブリに向けて同時に伝送するように構成されており、また更に、前記反射アセンブリによって反射された後の前記二次放射ビーム(F
S)の少なくとも一部分を前記光検出アセンブリ(2)に向けて同時に伝送するように構成されており、
前記反射アセンブリ(60’)は、複数の堅固に接続された平坦な反射器を備え、
前記堅固に接続された平坦な反射器は、前記トラッキング
機能のための前記有用区域(ZU)外のマトリクスイメージセンサ(20)の感光面(S)に前記二次放射ビーム(F
S)が到達するように、配置されている、
請求項8に記載の端末(100)。
【請求項11】
前記光学放出経路は、前記第2のレーザー信号の一部分が前記トラッキング光検出アセンブリに向けて伝送されるように配置され、
前記トラッキング光検出アセンブリは、前記端末の出射方向を識別する少なくとも1つの第3の検出信号(S
2)を更に生成する、
請求項8に記載の端末(100)。
【請求項12】
前記光学放出経路は、前記第2のレーザー信号の一部分が前記トラッキング光検出アセンブリに向けて伝送されるように配置され、
前記トラッキング光検出アセンブリは、前記端末の出射方向を識別する少なくとも1つの第3の検出信号(S
2
)を更に生成し、
前記光路結合装置(6)は、例えばバイプリズムスプリッタのような放射スプリッタ(60)と、反射アセンブリ(60’)とを備え、
前記放射スプリッタは、前記有用な電磁放射ビームの前記第1の部分(F
11)を前記可変偏向装置(4)に向けて伝送するように構成されているとともに、前記二次放射ビーム(F
S)を前記反射アセンブリに向けて同時に伝送するように構成されており、また更に、前記反射アセンブリによって反射された後の前記二次放射ビーム(F
S)の少なくとも一部分を前記光検出アセンブリ(2)に向けて同時に伝送するように構成されており、
前記反射アセンブリ(60’)は、複数の堅固に接続された平坦な反射器を備える、
前記第2のレーザー信号の前記一部分は、前記注入システムの前記光路結合装置(6)を用いて前記トラッキング光検出アセンブリに送信されることによって、前記二次放射ビーム(F
S)とは別に、前記トラッキング
機能のために有用な前記区域(ZU)外の前記マトリクスイメージセンサ(20)の感光面(S)に到達する、
請求項
10に記載の端末(100)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は放射ビーム、特にレーザー光を、光ファイバーに注入するためのシステムに関し、また、レーザー信号による光テレコミュニケーションのための端末におけるその使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
多くの光学的な利用において、光ファイバーに対して、その一端に電磁放射ビームを入射させることが必要となる。これは、ビームの焦点と光ファイバーの端部との間に生じうる横方向の位置ずれを排除又は少なくとも低減しながら、光ファイバーの端部にビームを集束させることを必要とする。
【0003】
光ファイバーがシングルモード型である場合、このようなアラインメントの要件は、光ファイバーの直径が、自由空間を伝搬する放射ビームの直径に比べて小さくなるほどさらに厳しくなる。
【0004】
このような位置合わせを行うために、カメラを用いて光ファイバーの端部の面に集束ビームが照射される状態を観察するとともに、ビームの焦点に対する光ファイバーの端部を変位させる装置を用いることが、すでに提案されている。しかしながら、光線の焦点が光ファイバーの端部よりも外側にある場合、この端部は照明されないので、カメラによって提供される画像では見えない。よって、撮影された画像の中で放射ビームが同時に見えるような状態で、ファイバーの端部を照明するための外部光源を追加する必要がある。しかし、このような追加の光源は、放射ビーム及び光ファイバーを使用する装置の機能に直接関与しないにもかかわらず、寸法及びコストの増大をもたらす。
【0005】
また、最終的に、何らかの現象によって既に調整されている放射ビームと光ファイバーの端部との間のアラインメントが変化してしまうような状況がある。この位置合わせが部分的にまたは完全に失われてしまうことの典型的な原因は、例えば、システム全体の熱変動である。実際、このような熱変動は、光ファイバーの端部と集束放射ビームを提供する光学系との間の機械的接続の寸法変動を引き起こす可能性がある。その他の原因としては、機械的な摂動、特に振動が考えられる。
【0006】
レーザー信号による光テレコミュニケーションを行う端末では、受信したレーザー信号のビームは、高速光学検出器に導かれるように光ファイバーに入射される。しかしながら、受信されたレーザー信号のビームの方向、例えば、このビームが集束される位置を通って端末の焦点面に現れる方向は、通信シーケンスのために調整される前方指向角度に依存して変化する。事実、前方指向角度は、進行中の通信セッションにおける、受信したレーザー信号を放射した外部テレコミュニケーション端末に対する相対変位量及び分離状態に依存する。この外部端末は2つの連続する通信セッションの間で変化し得るので、前方指向角度も同じではない。また、前方指向角度は、単一の通信セッション中の2つの端末の相対移動に伴って変化することもある。したがって、受信したレーザー信号のビームの焦点と光ファイバーの端との間の位置合わせを継続的に調整する必要がある。しかし、光通信端末が衛星に搭載されている場合、光ファイバーの端部に対する受信レーザー信号のビームの位置合わせを提供するシステムは、軽量かつ小容量であることに加えて、エネルギー消費が少ないことが必要である。
【0007】
〔発明が解決しようとする課題〕
以上の状況に基づき、本発明の目的は、重量、寸法、エネルギー消費、及び、コストの要件のうち少なくともいくつかを十分に満たすことのできる、光ファイバー端部に対する放射ビームの焦点位置を調節するための新しいシステムを提案することにある。
【0008】
本発明の付加的な目的は、レーザー信号による光テレコミュニケーションを行う端末において使用され得るそのような調整システムを提供することである。
【0009】
〔発明の概要〕
これらの目的のうちの少なくとも1つまたは別の目的を満たすために、本発明の第1の態様は有用な電磁放射ビームを光ファイバーに注入するための注入システムを提案し、このシステムは、以下の要素を備える:
- 有用な電磁放射ビームの少なくとも第1の部分が向けられる端部を具備し、有用な電磁放射ビームの当該第1の部分が、当該端部から光ファイバー内に注入する前記光ファイバーと、;
- 有用な放射ビームが前記注入システムに入射するように意図された光学入口と、;
- 前記光ファイバーの前記端部に向かって前記光エントリーを前記光ファイバーの前記一端部に接続するように意図された第1の光路と、;
- 受け取った放射ビームの方向を識別する光検出アセンブリと、;
- 前記光ファイバーの前記一端部を前記光検出アセンブリに接続する、前記光検出アセンブリに向かう第2の光路と、;
- 前記光ファイバーに接続され、前記光ファイバーの前記一端部から出て第2の光路に向かう2次放射ビームの二次放射源であって、前記2次放射ビームの発生時点の方向を識別する少なくとも1つの第1の検出信号が光検出アセンブリから生成される、二次放射源;
- 前記有用な放射ビームの前記第1の部分を偏向させるために前記第1の光路上に配置される可変偏向装置と、;
- 前記有用な放射ビームの前記第1の部分が前記光ファイバーの前記一端部に入射されるように、前記少なくとも1つの第1の検出信号に応じて前記可変偏向装置を制御する注入コントローラと、;
を備える。
【0010】
本発明のシステムにおいて使用される二次放射は、光検出アセンブリの助けを借りて光ファイバーの端部の位置を識別するために当該光ファイバーの端部を通って出て行くことによってこのファイバーから生じる。そのため、この二次放射は、光ファイバーの端部が位置する焦点面の主要な部分に光を当てない。また、この二次放射の発生源は低電力であり、従って、低容積であり、低エネルギー消費及び重量であり得る。
【0011】
本発明の特に有利な実施態様では、システムが光ファイバーに関連するレーザー増幅器をさらに備えることができる。その端部によって光ファイバーに入射する有用な放射ビームの第1の部分がレーザー増幅器に伝送されるようにする。レーザー増幅器は、そのようにして、その端部によって光ファイバーに入射する有用な放射ビームの第1の部分を増幅することができる。好ましくは、レーザー増幅器そのものはシステム全体の費用、寸法および重量を低減するために、光ファイバーの形成で作製されてもよい。
【0012】
次いで、レーザー増幅器は増幅された自然放射を生成し、この増幅された自然放射を光ファイバー内でその端部までずっと伝送するようにさらに適合されてもよい。従って、増幅された自然放射の少なくとも一部が二次放射を構成し、レーザー増幅器が二次放射源を構成する。このように、レーザー増幅器は注入システムによって受け取られる有用な放射を増幅する二重の機能を有し、有用な放射ビームの第1の部分を光ファイバーの端部に対して位置合わせするのに有用な二次放射を生成する。このようにして、二次放射源は、もはや、特に位置合わせ機能専用の追加の構成要素ではない。したがって、重量、寸法およびコストのさらなる改善が達成される。
【0013】
一般に、本発明では、光ファイバーはシングルモードタイプであってもよい。明らかに、本発明はマルチモード光ファイバーで実施することもできるが、ファイバーへの放射ビームの入射はより容易である。
【0014】
ここでも、概して、本発明のために、可変偏向装置は、1つの軸又は2つの回転軸に沿って配向可能なミラーを備えることができる。ミラーは、有用な放射ビームの第1の部分を光ファイバーの端部に向かって同時に反射させ、二次放射ビームを光検出アセンブリに向かって反射させるために配置される。
【0015】
また概して本発明の場合、光検出アセンブリは、二次放射ビームまたはその少なくとも一部をマトリクスイメージセンサ上に集束させるように構成されたイメージャとマトリクスイメージセンサとの組合せを含むことができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、注入システムがさらに以下を含むことができる:
- 光路結合装置
当該光路結合装置は、当該光路結合装置と光ファイバーの端部との間において第1の光路と第2の光路とが重ね合わされるように配置される。当該光路結合装置は、有用な放射ビームの第1の部分を光ファイバーの端部に向かって送信することができ、同時に二次放射ビームを光検出アセンブリに向かって送信するのに適している。注入システムのこのような構成の場合、可変偏向装置は、当該光路結合装置と光ファイバーの端部との間の第1の光路及び第2の光路内に配置される。可変偏向装置が、光ファイバーの端部に向かって伝搬する有用な放射ビームの第1の部分と、光検出アセンブリに向かって伝搬する二次放射ビームとを同時に偏向させるようになっている。有用な放射ビームの第1の部分に対して、また、二次放射ビームに対してそれぞれ有効な、それが生成するビームの瞬間的な偏向を、相関させた。
【0017】
本発明のこれらの好ましい実施形態では、前記光路結合装置が有用な放射ビームの第2の部分を光検出アセンブリに向けるのにさらに適していてもよい。したがって、光検出アセンブリは、有用な放射ビームの第1の部分の方向を識別する少なくとも1つの第2の検出信号をさらに生成することができる。言い換えれば、光検出アセンブリは、有用な放射ビームの方向と、有用な放射ビームが向けられる光ファイバーの端部の位置との両方を決定する役割を果たすことができる。次いで、注入コントローラは有用な放射ビームの第1の部分と、光路結合装置と可変偏向装置との間の二次放射ビームとを平行にするように、可変偏向装置を制御するように構成することができる。それらが平行であるとき、有用な放射ビームの第1の部分は、光ファイバーの端部に入射する。
【0018】
また、本発明の好ましい実施形態について、光路結合装置は、放射スプリッタ、例えば、バイプリズムスプリッタおよび反射アセンブリを備えてもよい。次いで、放射スプリッタは、有用な放射ビームの第1の部分を可変偏向装置に向かって透過させ、二次放射ビームを反射アセンブリに向かって同時に透過させ、再度、反射アセンブリによって反射された後に二次放射ビームの少なくとも1つの部分を光検出アセンブリに向かって同時に透過させるために配置されてもよい。光路結合装置のこのような構成の場合、反射アセンブリは、幾つかの堅固に接続された平坦な反射器を備えることができる。特に、それは三面体を形成するように配置された3つの平坦なミラーを含むことができ、その1つの内部開口は三面体と共有頂点を有する立方体の角部を含む。反射アセンブリのこのような構成は光ファイバーの端部に対する有用な放射ビームの第1の部分の位置合わせを制御する役割を果たし、光検出アセンブリによって同時に生成されるが、有用な放射ビーム及び二次放射ビームに別々に関連する検出信号を混合するリスクはない。特に、このような混合は、有用な放射ビームの第1の部分と二次放射ビームとが放射スプリッタと可変偏向装置との間において重ね合わされる場合でさえ、回避される。
【0019】
さらに、本発明の第2の態様は、以下を含むレーザー信号による光通信用の端末を提案する:
- 端末の外部のソースから第1のレーザー信号を受信するように構成された受信光路と、;
- 第2のレーザー信号を前記外部のソースに伝送するように構成された光放出経路と、;
- 前記第1のレーザー信号の一部を受信するように構成されたトラッキング光検出アセンブリと、;
- 前記トラッキング光検出アセンブリによって識別された第1のレーザー信号の受信方向に応じて端末の放射方向または指向方向を調整するのに適した少なくとも1つのトラッキングコントローラと、;
を含む。
【0020】
本発明によれば、端末は本発明の第1の態様に合致する注入システムを備え、第1のレーザー信号は有用な放射ビームを形成し、第1の光路及び光ファイバーは受信光路の一部であり、光ファイバーは第1のレーザー信号の少なくとも一部を受信光学検出器に送信するように配置される。
【0021】
有利には光テレコミュニケーション端末の入射系が上述の好ましい実施形態のうちの1つであってもよく、光検出アセンブリは有効放射光線の方向と光ファイバーの端部の位置との両方を識別する役割を果たす。光通信端末内で、トラッキング光検出アセンブリは次いで、注入システムの光検出アセンブリを構成することができ、第1のレーザー信号の一部はトラッキング機能のために意図され、さらに、注入システムによって使用される有用な放射ビームの第2の部分を形成する。
【0022】
トラッキング光検出アセンブリはトラッキング機能のための有用な区域と呼ばれる、この感光性表面の一部を有するマトリクスイメージセンサを備えてもよく、この感光性表面の一部は端末の光入射フィールドと共役であり、したがって、トラッキング機能のためのこの有用な区域の任意の点は端末の入射光場内の受信方向に対応し、トラッキング機能のための有用な区域に属さない感光性表面の任意の点は端末の任意の受信方向に対応しない。次いで、光路結合装置は放射スプリッタと、幾つかの堅固に接続された平坦な反射器とを実装することができ、これらの後者は、二次放射ビームがトラッキング機能のためにその有用な区域の外側でマトリクスイメージセンサの感光面上に到達するように配置される。
【0023】
おそらく、前記光放出経路は、第2のレーザー信号の一部がトラッキング光学検出システムに向かって伝送されるように配置されてもよい。したがって、このトラッキング光検出アセンブリはさらに、端末の発光方向を識別する少なくとも1つの第3の検出信号を生成する。このように、同じ光検出アセンブリは、以下の3つの機能を有することができる:
- 光テレコミュニケーション端末の発光方向の制御;
- 光ファイバーの端部に対する受信レーザー信号のビームの位置合わせの制御;
及び、
- 受信光信号のトラッキング。
このケースでは、再度、光路結合装置が放射スプリッタ及び幾つかの堅固に接続された平坦な反射器を実装する場合には、第2のレーザー信号の一部が第2の放射ビームに加えて、トラッキング機能に有用な区域の外側のマトリクスイメージセンサの感光面上にも到達するように、注入システムの光路結合装置によってトラッキング光検出アセンブリに向かって伝送されてもよい。このように、マトリクスイメージセンサのトラッキング機能のための有用なゾーンは第1のレーザー信号の受信方向の検出専用であってもよく、同時に、同じ光検出アセンブリと共に、前述した2つの他の機能、すなわち、受信レーザー信号の位置合わせの制御、つまり、光ファイバーの端部に対する第1のレーザー信号を意味する、を提供し、この端末の光軸に対する光通信端末の発光方向の制御を提供する。
【0024】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して提供される非限定的な実施例の以下の詳細な説明においてより明確になるのであろう:
図1は、本発明を満たす、光ファイバーへのビーム注入のためのシステムの光学的な図である;
図2は、
図1から注入システムに用いることができる反射アセンブリの斜視図である;
図3は、本発明に合致する、レーザー信号による光テレコミュニケーション用端末の光学的な図である。
【0025】
〔発明の詳細な説明〕
明確にすることを目的としているため、図示する構成要素の寸法は、実際の寸法または実際の寸法の比率のいずれにも対応していない。さらに、これらの構成要素のいくつかは象徴的にのみ示され、様々な図に示される同一の参照符号は同一であるか、または同一の機能を有する要素を示す。
【0026】
図1によれば、光ファイバーへのビーム入射のためのシステムは、電磁波放射ビームF
1を受け入れるための光入射P
0と、端部Eを有する光ファイバー1とを備える。システムの機能はビームF
1の一部F
11が光ファイバー1の端部Eに確実に入射するようにすることである。その結果、このビーム部分F
11は次に、光ファイバー1によって、その内部を導波されて、例えば光学検出器11に伝播される。ビームF
1は本明細書の全体部分において有用な放射ビームと呼ばれ、例えば、通常の可視光または赤外範囲のうちの1つにおいて、システムのすべての光学部品の動作のスペクトル範囲に適合する任意の波長を有することができる。有用な放射は、レーザー放射またはレーザー放射の連続パルスであってもよい。光ファイバー1は、有用な放射のためにシングルモードタイプであってもよい。この場合、その端部Eは、有効放射の波長が1.5μmのオーダーの場合、10μmのオーダーの直径を有することができる。
【0027】
この目的のために、第1の光路P1は、光学入口P0を光ファイバー1の端部Eに接続し、一方、光ファイバー1の方を向いている。光路P1は、有用な放射ビームF1のF11部に続くことが意図されている。図面を明確にするために、光ファイバー1の端部Eが位置する焦点面にビーム部分集束させるためのレンズは、その使用が当業者には周知であるので、図示されていない。
【0028】
光ファイバー1の端部Eの位置を識別するための放射のために、P2と記された第2の光路が設けられている。光路P2は、光ファイバー1の端部Eを、光検出アセンブリ2に繋いでいる。
【0029】
本発明では、光路P1及び光路P2の各々が後に続く光路によって各ビームの方向が設定されることなく、関連する放射光線が後続することができる。本発明の目的は、このビームが伝播する光路P1、P2内のそれぞれの放射ビームの方向を制御することにある。
【0030】
好ましくは、光検出アセンブリ2は、マトリクスイメージセンサ20、例えばCMOSタイプ、および撮像装置21、例えば収束レンズを含んでもよい。光検出アセンブリ2内で、マトリクスイメージセンサ20の感光面Sを撮像装置21の焦点面内に位置させることができる。その結果、イメージャ21に入射する各放射ビームは、マトリクスイメージセンサ20の感光面S内の1つまたは複数の照明点に集束される。この場合、これらの照明点の位置は、光線の入射の方向を表す。好ましくは、マトリクスイメージセンサ20の感光面Sが撮像装置21の画像焦点面内に位置し、撮像装置21に入射される各放射ビームがコリメートされる。
【0031】
光ファイバー1の端部Eの位置を識別するように意図された放射は、本明細書の全体部分において二次放射と呼ばれている。このビームは図にFSと記載されている。
【0032】
特に好適な実施例によれば、光ファイバー1は有用な放射ビームF1の部分F11を光アンプ3に伝送し、次に、そのように増幅された有用な放射ビームを光学検出器11に伝送する。「低雑音光増幅器」のためにLNOAとマークされた増幅器3は、EDFAと指定されたエルビウムドープファイバ増幅器タイプであってもよい。既知の方法で、このような増幅器は増幅された自然放射、すなわちASEから放射を生成し、その一部は、光ファイバー1内でその端部Eに向かって案内される。この光ファイバー1は、増幅器3からファイバー端部Eへ増幅された自然放射のこのような放射を伝導するのに有効である。端部Eを通って出た後、増幅された自然放射のこの部分は、二次放射ビームFSを構成する。それは、光路P2に光検知アセンブリ2に向かって伝播し、マトリクスイメージセンサ20の感光面S上に結像することによって、光ファイバー1の端部Eの位置を識別する。
【0033】
装置6は、光路P
1とP
2を結合するために挿入されている。この2つの光路が、この装置6と光ファイバー1の端部Eとの間において重畳されるようになっている。装置6は、放射スプリッタ60及び反射アセンブリ60’を含むことができる。放射スプリッタ60は強度分割タイプ、例えば、当業者に知られているようなバイプリズムとすることができるが、他の種類の放射スプリッタを同等に使用することもできる。
図1に示すように、バイプリズム60は、有用な放射ビームF
1の一部F
11がずれなく横断するように配置してもよい。その結果、反射アセンブリ60’を介して、光検出アセンブリ放射ビームF
Sを同時に伝送する。図示されている装置6の構成では、二次放射ビームF
Sがまず、バイプリズム60によって反射アセンブリ60’に向かって反射される。次に、二次放射ビームF
Sは、反射アセンブリ60’によって再帰反射される。次に、二次放射ビームF
Sは反射されることなく、再度、バイプリズム60を横切り、光検出アセンブリ2に向かう。このように、ビーム部分F
Sが検出される感光面S上の点は、光ファイバー1の端部Eの位置を表している。このビームF
Sの検出点は、マトリクスイメージセンサ20によって生成される検出信号S
Eによって識別される。これらの信号S
Eは、本明細書の全般的な部分において、少なくとも1つの第1の検知信号と呼ばれる。
【0034】
必要に応じて、しかし有利には、バイプリズム60がさらに、有用な放射ビームF1の別の部分F12を、光検出アセンブリ2に向かって直接的に反射する。この解説の全般的な部分では、ビーム部分F11とF12を、それぞれ、有用な放射ビームF1の第1の部分と第2の部分と称している。このようにして、マトリクスイメージセンサ20は、ビームF1の部分F12と二次放射ビームFSを同時に受信する。ビーム部分F12が検出される感光面S上の点は、光ファイバー1の端部Eに向けられるべきビーム部分F11の方向を表す。このビームF12の検出点は、マトリクスイメージセンサ20によって生成される検出信号S1によって識別される。これらの信号S1は、本明細書の全体部分において少なくとも1つの第2の検知信号と呼ばれる。
【0035】
可変偏向装置4は光路P
1上に、例えば、光路P
1とP
2との間で共用されるものの必須ではない経路部分に、さらに配置されている。この可変偏向装置4は有用な放射ビームF
1の部分F
11を可変方向に反映するように、2つの回転軸を有する支持体に取り付けられた平らなミラーから構成されてもよい。可変方位ミラー4が
図1に示すように、ビームF
1の部分F
11と二次放射ビームF
Sを同時に反映する具体的なケースでは、これらは同一の伝搬方向を有する。しかし、ミラー4が光学部F
11が光ファイバー1の端部Eに入射するように配向されているとき、ミラー4と光ファイバー1の端部Eとの間を一方の場合に伝播し、ミラー4と結合装置6との間を他方の場合に伝播する。次に、反射アセンブリ60’が光検出アセンブリ2の光軸に固定され、垂直である平坦なミラーで構成される場合、ビーム部分F
12およびビームF
Sの両方が単一の検出点でマトリクスイメージセンサ20の感光面Sに衝突する。逆に、ビーム部F
12の各検出点とマトリクスイメージセンサ20の感光面S上のビームF
Sとの間隔は、有用な放射ビームF
1の部分F
11が光ファイバー1の端部Eを遮らないことを意味する。
【0036】
本発明によれば、注入コントローラ5(CTRL)が、検出信号S
Eに対する方位可能なミラー4の方位の制御に役立つ。注入コントローラ5は、ミラー4の向きを制御して、ミラー4における見かけ上の方位と、基準方位とのギャップを小さくする。ミラー4における見かけ上の方位とは、検出信号SEに特徴付けられる光ファイバー1の端部Eが位置するミラー4における見かけ上の方位と、基準方位との間の隙間を小さくするようにミラー4の向きを制御するように設計されている。使用される基準方向は、ビーム部分F
11の方向自身がこの基準方向に対して定数である場合、定数であってもよい。
図1に示す実施形態では、基準方位がビーム部分F
12を用いてマトリクスイメージセンサ20によって検出されるようなビーム部分F
11の方向である。その場合、それは必ずしも一定ではない。このケースでは、検知信号S
E及びS
1に基づいて、注入コントローラ5はこれらの方位の重ね合わせを生成するまで、ビームF
Sのそれぞれの方位とビーム部F
11との間のギャップを減らすように、ミラー4の方位を制御する。このようにして、光ファイバー1の端部Eに対するビーム部分横方向オフセットを補償することができる。このような横方向オフセットは、光学系の少なくとも一部に影響を及ぼす温度変動、および/または光光学P
0付近の有効放射光線F
1の向きの変更、および/または他の要因によるものであり得る。
【0037】
図2は、光路結合装置6の反射アセンブリ60’の好ましい実施形態を示す。この実施形態によれば、反射アセンブリ60’は、それらの間に角度αを形成する2つの直線エッジと同時エッジとの間にそれぞれ制限される3つの平坦なミラー61、62および63によって形成される。平坦なミラー61、62、63は頂点で角度αを有する対称な三面体を形成するために、それらのエッジに沿って組み合わされる。
図2に示されるように、各ミラー61、62および63の角度αは、例えば90.5°に等しい90°よりも大きく選ばれる。これは、使用される光学部品間の距離、その大きさ、その焦点距離値などに応じて調整することができる。これらの条件下で、ミラー61、62および63の三面体に入射する放射ビームはそれぞれの方向が平均反射方向の周りに対称に分布される6つのビームの形成に再帰反射され、平均反射方向は三面体の中心軸に対して入射ビームの方向に対して対称である。
【0038】
図1の入射系において平面鏡の三面体を有するこのような反射アセンブリ60’を使用することによって、二次放射ビームF
Sは、反射アセンブリ60’へのビームF
Sの入射方向に依存する平均軸の周りに対称的に分布された6つの平行ビームの形成で、光検出アセンブリ反射される。
図1の挿入は、注入システムの動作中に二次放射を受け取るマトリクスイメージセンサ20の感光面S内の点を示す。6つの点が二次放射ビームF
Sによって照射され、これらの点は、半径が三面体反射アセンブリ60’の角度αに依存する正六角度形の頂点に位置する。方向付け可能なミラー4によって生成されるようなビームF
Sの方向は検出信号S
Eに基づいて注入コントローラ5によって決定され得る、これらの6つの点の重心に対応し、これらの検出信号は感光面Sにおける6つの点のそれぞれの位置を示し、ビームF
Sの方向を表す6つの点の重心を決定するために、注入コントローラ5によってS
Eされる検出信号に対して実行される計算は当業者には明らかであり、アクセス可能である。
【0039】
なぜなら、三面体反射アセンブリ60’は、有用な放射ビームF1の一部分F11の向きの特徴付けに関与しないからである。この方向は再び、マトリクスイメージセンサ20の感光面Sにおける単一の検出点を特徴とする。すでに示したように、この点は、ビーム部分F11の方向を表すビーム部分F12によって点灯される。
【0040】
このようにして、頂点における角度が90°とは異なった反射アセンブリ60’の三面体構成のために、マトリクスイメージセンサ20によって生成される検出信号S1は光入射P0付近の有効放射光線F1の向きも識別するが、マトリクスイメージセンサ20によって生成されるが光ファイバー1の端部Eの位置を特徴付ける検出信号SEと一致させることはできない。
【0041】
図3は、レーザー信号による光学テレコミュニケーションのための端子100への
図1からの注入システムの適用を示す。この用途では、有用な放射ビームF
1が遠隔端末200から端末100によって受信されるレーザー信号によって形成される。端末100によって受信されるこれらのレーザー信号は、説明の概略部分において、第1のレーザー信号と呼ばれている。これらは、光学検出器11で終わる光受信経路によって端末100内部に伝送され、この後者は高速フォトダイオードである可能性がある。そこから生じる受信電気信号は、図中のRxに注目される。光路P
1および光ファイバー1は、この受信光路の2つのセグメントを構成する。
【0042】
端末100によって遠隔端末200に伝送される他のレーザー信号はビームF21の一部を形成し、本明細書の概略部分では第2のレーザー信号と呼ばれている。それらは、ラジエーションを収集する光学系101で終わる光放出経路によって、端末100内で送信される。
【0043】
端末100および200はそれぞれ異なる衛星に搭載されてもよく、あるいは一方が1つの衛星に搭載され、他方が地球または他の惑星の表面に搭載されてもよい。
【0044】
図3に示すその他の参考文献には、以下の意味がある:
101: 端末100用の、ラジエーションを収集する光学系である。遠隔端末200から発するビームF
1を収集することと、この遠隔端末200に向けてビーム部分F
21を送信することとの両方に役立つ。例えば、光学系101は、望遠鏡であってもよい。
【0045】
102: 端末100のためのポインティング装置である。ポインティング装置102は、微細なポインティング装置および針路ポインティング装置を組み込むことができる。簡単のために、ポインティング装置102は急速反応指向性ミラー、すなわち「高速ステアリングミラー」の形成で示されているが、端末100が配置されている付随体の姿勢および軌道を制御するコントローラ系の一部と組み合わせてもよい。
【0046】
103: ポインティング装置102のコントローラである。
【0047】
104: 端末100の発光光路と受信光路との結合装置である。結合装置104は、結合装置6と可変偏向装置4との間に配置されるバイプリズムであってもよい。
【0048】
105: 端末100の出射方向、すなわちビーム部分F21の方向の校正装置である。これは任意選択であり、本発明によって追加された可変偏向装置4とは別個であり、ポインティング装置102とも別個である可変方位ミラーを備えることができる。
【0049】
106: 校正装置105のコントローラであり、端末100の出射方向、すなわちビーム部分F21の方向を調整する。
【0050】
110: 端末100によって遠隔端末200に送信されるレーザー信号のソース(源)である。
【0051】
レーザー信号源110と放射収集光学系101との間に構成される光路は、端末100の光放出経路を構成する。
【0052】
構成要素101~110の各々の動作、および端末100内でのそれらの関わり合いは、当業者に知られている。対照的に、
図1の注入システムを具備する端末100内におけるそれらの組み合わせは、本発明の更なる態様である。
【0053】
特に、ポインティング装置102は端末100が対象とする振動を補償するように意図されており、これは、探索される出射方向に対してそのポインティング方向をずらすことになり、それにより、この端末100(すなわち、集光光学系101の下流のビーム部分F21)によって送信されるレーザー信号が遠隔端末200に正確に到達するようになる。これを行うために、制御装置103は遠隔端末200から発せられるレーザー信号(すなわち、ビームF1)の瞬間的な受信方向を識別する検出信号S1を受信する。応答時間が非常に短い振動に対する補償のこの機能は、反応時間を長くすることができる可変偏向装置4のものとは異なる。
【0054】
送信ソース110は、端末100によって遠隔端末200に送信されるレーザー信号の光線F2を生成する。結合装置104は、端末100によって伝送されるべき信号の光線F2がバイプリズム60を通過するように配置される。次に、ビームF2はバイプリズム60によって2つのビーム部分、すなわち、ラジエーションを収集する光学系101を通って遠隔端末200に向かって伝送されるビーム部分F21と、光検出アセンブリ2に向かって導かれる別のビーム部分F22とに分割される。
【0055】
放射レーザー信号の伝播方向に対してポインティング装置102の上流にある光線部F
21の方向は、端末100の光軸と一致することが好ましい。そのために、コントローラ106は、光束部F
22からマトリクスイメージセンサ20により生成された検知信号S
2に基づいて、校正装置105を被写体制御する。そのため、光線部分F
21の方向は、ポインティング装置102の上流の端末100の光軸上に重なる。記載された実施形態では、光線部分F
22が、三面体反射アセンブリ60’によって反射されることによって、光検出アセンブリ2に直接導かれる。したがって、光線部分F
22はマトリクスイメージセンサ20の感光面S内の他の6つの点(
図3の挿入図においてF
22で参照される点を参照されたい)を照らし、これらの点は、中心が結合装置6の上流のビームF
2の方向に対応する正六角形の頂点に位置する。校正コントローラ106が校正装置105を自動的に制御する場合、光線部分F
22の検出六角形は端末100の光軸と感光面Sとの交点を中心とし、信号S
2は、本明細書では少なくとも1つの第3の検出信号と呼ぶ。校正コントローラ106は、検出信号S
Eに関して注入コントローラ5について説明したのと同様の方法で、検出六角形を表す信号S
2に基づいてビーム部分F
22の方向を決定することができる。このような較正関数は、EP 2 173 042の名称で公開された「送信方向の制御を有する光送信-受信ユニット」という名称の特許出願EP 2009/172,199に記載されている。
【0056】
先に説明した端末100の動作下においては、光線部分F21およびビームF1のそれぞれの方向の間のオフセットが、端末100に指令される前方指示角度である。この前方指示角度は、検知信号S1およびS2によって特徴付けられる。検知信号S1およびS2は、一方では光線部分F22によって照らされる感光面S内の6つの点の六角形の中心と、他方では光線部分F12によって照らされる点との間の2次元のずれを表す。この角度は、ラジエーションを収集する光学系101の入射光場を配向させることによって生成される。したがって、マトリクスイメージセンサ20の感光面Sへの光線部F12の衝突点は、求められる前方指示角度の反対に対応する位置にある。この機能のために、マトリクスイメージセンサ20を当業者の専門家の分野ではトラッキングセンサと呼び、光検出アセンブリ2を光通信端末100内の発明に従い使用した場合には、トラッキング光検出アセンブリと呼ぶ。
【0057】
図3に示すように端末100に組み込まれるような
図1の注入システムは、光ファイバー1に注入されるビーム部分F
11に対する端末100の前方指示角度を補償する作用を有する。注入コントローラ5が偏向装置4を自動的に制御すると、マトリクスイメージセンサ20の感光面Sのビーム部分F
12が点灯する点が、2次放射ビームF
Sの検知六角形の中心に現れる。このセンタリングは、ラジエーションを収集する光学系101、及びポインティング装置102によって送信されるレーザー信号が光ファイバー1を介して光学検出器11に到達することを保証する。それは同時に、端末100内部の変形、特に熱的変動に起因する変形を補償し、これは、受信レーザー信号の伝播方向に対して光ファイバー1の上流に位置する端末100の光学部品の幾つかに対する光ファイバー1の端部Eの位置を変化させる。これにより、端末100で受信されたレーザー信号の光線部分F
11は、光ファイバー101の端部Eから連続的に入射される。
【0058】
したがって、光検出アセンブリ2は、ポインティング装置102の制御、補償装置105の制御、及び、端末100に影響を与える振動をその全体で補償するための偏向装置4の制御に関わっている。これらの制御は、端末100の発光方向の制御、及び受信光学検出器に向かって案内するための光ファイバーへの受信レーザー信号の注入の制御の3つのためにそれぞれある。このような機能の組み合わせは、光通信端末100の寸法、重量およびエネルギー消費を低減するために特に有利である。
【0059】
端末100の動作中、単一の照明点の形成にマトリクスイメージセンサ20によって検出されるような、端末100によって受信されるレーザー信号のビームF
1の方向は、センサ20の感光面Sの限定された領域に含まれる。この限定された領域は、ラジエーションを収集する光学系101の光入射照射野に含まれる受信方向のセット全体と共役である。ZUは、本明細書の概要部分において、トラッキング機能のための有用な区域と呼ばれていることに留意されたい。トラッキング機能ZUに有用な区域と相補的である感光性表面Sの一部の点は、光学系101を通るいかなる受信方向とも光学的に共役ではない。区域ZUが注目される相補的な感光面Sのこの部分は
図3のインサートにおけるZNUであり、限界Lは、区域ZUとZNUとの間の境界である。この場合、反射アセンブリ60’の三面体の角度αは二次放射ビームF
Sによって照射される感光面Sの6つの点、及び、場合によっては、放射ビーム部分F
22によって照射される他の6つの点も、ZNU区域内にあるように選択されることが好都合である。このような場合、端末100によって受信されたレーザー信号の有用な放射ビーム線F
1の方向を識別するマトリクスイメージセンサ20によって生成された検出信号S
1は、マトリクスイメージセンサ20によって生成され、光ファイバー1の端部Eの位置を特徴付ける検出信号S
Eとは、同期することはできない。同様に、検出信号S
1は、マトリクスイメージセンサ20によって生成され、端末100によって送信されたレーザー信号の光線F
2の方向を識別する検出信号S
2とは、同期することはできない。
【0060】
本発明は引用した利点の少なくともいくつかを維持しながら、上記で詳細に説明した実施形態の第2の態様を修正することによって再現することができることを理解されたい。特に、説明された構成要素の機能と同様の機能を実行する光学部品が、それに代えて使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明を満たす、光ファイバーへのビーム注入のためのシステムの光学的な図である。
【
図2】
図1から注入システムに用いることができる反射アセンブリの斜視図である。
【
図3】本発明に合致する、レーザー信号による光テレコミュニケーション用端末の光学的な図である。