(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】伸縮積層シート、使い捨て着用物品、伸縮積層シートの製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
B32B 5/24 20060101AFI20220621BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20220621BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220621BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B32B5/24
A61F13/15 311Z
A61F13/15 353
A61F13/49 312A
A61F13/49 311A
A61F13/514 211
A61F13/514 320
(21)【出願番号】P 2021576509
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2021037345
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2020189437
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧村 員利
(72)【発明者】
【氏名】腰島 美和
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-151868(JP,A)
【文献】特開2019-041887(JP,A)
【文献】特開2018-051230(JP,A)
【文献】特開2017-064225(JP,A)
【文献】特開平06-328600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性繊維を含み通気性を有する少なくとも1枚の不織布(NW)に、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルム(F)が積層された伸縮積層シートであって、
前記不織布(NW)と前記フィルム(F)とが互いに熱融着された複数の接合部(1)と、前記複数の接合部(1)の各接合部(1)は前記不織布(NW)および前記フィルム(F)が互いに熱融着された少なくとも1つの融着領域(α)を含み、
前記不織布(NW)および前記フィルム(F)の前記融着領域(α)を定義する少なくとも1つの境界ライン(10)と、
前記境界ライン(10)
のうち前記フィルム(F)における境界ライン(10)が前記
フィルム(F)の伸長状態において
前記フィルム(F)の伸長方向に直交する前記接合部(1)の縁に沿った部位において前記フィルム(F)が引っ張られた方向に伸びて現われる前記フィルム(F)の第1開孔(H1)と、
前記第1開孔(H1)により定義され通気性を発揮する第1通気部(11)と、
前記融着領域(α)に隣接し前記境界ライン(10)により区画され前記フィルム(F)の一部が欠損した第2開孔(H2)により定義され、伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部(12)とを備える、伸縮積層シート。
【請求項2】
請求項1において、前記少なくとも1枚の不織布(NW)は一対の不織布(NW)を含み、
前記フィルム(F)は前記一対の不織布(NW)の間に挟まれており、
前記複数の各接合部(1)の融着領域(α)は前記一対の不織布(NW)と前記フィルム(F)とが互いに熱融着されている、伸縮積層シート。
【請求項3】
請求項1もしくは2において、前記複数の接合部(1)を構成する各接合部(1)は、互いに接近した複数の前記融着領域(α)を含み、
前記複数の融着領域(α)同士の間に前記第2通気部(12)が形成されている、伸縮積層シート。
【請求項4】
請求項3において、前記互いに接近した複数の前記融着領域(α)同士の距離は、0mmよりも大きく3mm以下である、伸縮積層シート。
【請求項5】
請求項1もしくは2において、前記融着領域(α)はくびれた括れ部(αs)と、前記括れ部(αs)により互いに連なり、前記括れ部(αs)よりも大きい複数の主部(αm)とを含み、
前記複数の主部(αm)同士の間に前記第2通気部(12)が形成されている、伸縮積層シート。
【請求項6】
請求項5において、前記複数の主部(αm)同士の距離は0mmよりも大きく3mm以下である、伸縮積層シート。
【請求項7】
請求項1もしくは2の前記伸縮積層シートを含む使い捨て着用物品であって、
前記伸縮積層シートにより形成され着用者の胴回り方向に延び着用者の胴を覆うように構成された胴回り部と、前記着用者の股間を覆うように構成された吸収性本体とを備える、使い捨て着用物品。
【請求項8】
熱可塑性繊維を含み通気性を有する少なくとも1枚の不織布(NW)に、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルム(F)が積層された伸縮積層シートの製造方法であって、
前記不織布(NW)を張設しながら搬送する第1搬送工程と、
前記フィルム(F)を伸長状態で搬送する第2搬送工程と、
これらの搬送工程を行いながら前記不織布(NW)と前記フィルム(F)とを互いに重ねる工程と、
重ねた前記不織布(NW)および前記フィルム(F)を複数の接合部(1)において互いに熱融着する工程と、前記複数の接合部(1)の各接合部(1)は前記不織布(NW)と前記フィルム(F)とが互いに熱融着された少なくとも1つの融着領域(α)を含み、
前記不織布(NW)および前記フィルム(F)の前記融着領域(α)を定義する少なくとも1つの境界ライン(10)
のうち前記フィルム(F)の境界ライン(10)が、
前記フィルム(F)の伸長状態において前記フィルム(F)の伸長方向に直交する前記接合部(1)の縁に沿った部位において前記フィルム(F)が引っ張られた方向に伸びて前記熱融着により前記伸長状態のフィルム(F)の一部が破断して、伸長状態において通気性を発揮する第1通気部(11)となる第1開孔(H1)を前記フィルム(F)に形成する工程と、
前記融着領域(α)に隣接し前記境界ライン(10)により区画されたフィルム(F)の一部が前記熱融着に伴い欠損することで、伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部(12)となる第2開孔(H2)を生成する工程とを備える、伸縮積層シートの製造方法。
【請求項9】
請求項8において、前記少なくとも1枚の不織布(NW)は一対の不織布(NW)を含み、かつ、前記フィルム(F)が前記一対の不織布(NW)の間に挟まれた伸縮積層シートの製造方法であって、
前記第1搬送工程では前記一対の不織布(NW)を張設しながら搬送し、
前記重ねる工程では前記第1および第2搬送工程を行いながら、前記一対の不織布(NW)の間に前記フィルム(F)が挟まれるように、これらを互いに重ね、
前記熱融着する工程においては前記一対の不織布(NW)および前記フィルム(F)を前記複数の接合部(1)において互いに熱融着し、前記接合部(1)の前記融着領域(α)においては前記一対の不織布(NW)と前記フィルム(F)とが互いに熱融着される、伸縮積層シートの製造方法。
【請求項10】
請求項8もしくは9において、
前記熱融着工程の後に、前記伸縮積層シートを伸長状態から非伸長状態にする工程を更に備え、
前記非伸長状態におけるフィルム(F)の永久ひずみが0%よりも大きく10%以下である、伸縮積層シートの製造方法。
【請求項11】
熱可塑性繊維を含み通気性を有する少なくとも1枚の不織布(NW)
に、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルム(F)が積層された伸縮積層シートの製造装置であって、
前記不織布(NW)および前記フィルム(F)を複数の接合部(1)において互いに熱融着するための複数の突部(4)を有するアンビルロール(R)と、
前記アンビルロール(R)と協働して前記突部(4)上の前記不織布(NW)およびフィルム(F)を互いに熱融着する融着装置(5)とを備え、
前記複数の突部(4)の各突部(4)は、
前記接合部(1)における、熱融着される領域に対応する少なくとも1つの凸面(β)と、
前記少なくとも1つの凸面(β)を定義すると共にフィルム(F)の伸長状態において現われる前記フィルム(F)の第1開孔(H1)を形成するエッジライン(40)と、
前記エッジライン(40)により区画され前記凸面(β)が切り欠かれて前記フィルム(F)の一部を熱融着させて欠損した第2開孔(H2)を生成する切欠部(42)とを備える、伸縮積層シートの製造装置。
【請求項12】
請求項11において、前記少なくとも1枚の不織布(NW)は一対の不織布(NW)を含み、かつ、前記フィルム(F)が前記一対の不織布(NW)の間に挟まれた伸縮積層シートの製造装置であって、
前記アンビルロール(R)は前記一対の不織布(NW)および前記フィルム(F)を複数の接合部(1)において互いに熱融着するための複数の突部(4)を有するアンビルロール(R)である、伸縮積層シートの製造装置。
【請求項13】
請求項11もしくは12において、前記各突部(4)は、互いに接近した複数の前記凸面(β)を含み、
前記複数の凸面(β)同士の間に前記切欠部(42)が形成されている、伸縮積層シートの製造装置。
【請求項14】
請求項11もしくは12において、前記各凸面(β)はくびれた括れ部(βs)と、前記括れ部(βs)により互いに連なり、前記括れ部(βs)よりも大きい複数の主部(βm)とを含み、
前記複数の主部(βm)同士の間に前記切欠部(42)が形成されている、伸縮積層シートの製造装置。
【請求項15】
請求項1もしくは2において、前記複数の接合部(1)を構成する各接合部(1)は、互いに接近した複数の前記融着領域(α)を含み、
前記複数の融着領域(α)同士の間に前記第2通気部(12)が形成されており、
前記複数の融着領域(α)のうちの一方の融着領域(α)を定義する1つの境界ライン(10)と、前記複数の融着領域(α)のうちの他方の融着領域(α)を定義する別の境界ライン(10)との間の距離(Δ)の全長にわたって、かつ、
前記1つの境界ライン(10)から前記別の境界ライン(10)まで連なるように前記第2通気部(12)が形成されている、伸縮積層シート。
【請求項16】
請求項8もしくは9において、
前記第2開孔(H2)を生成する工程において、
前記複数の融着領域(α)のうちの一方の融着領域(α)を定義する1つの境界ライン(10)と、前記複数の融着領域(α)のうちの他方の融着領域(α)を定義する別の境界ライン(10)との間の距離(Δ)の全長にわたって、かつ、
前記1つの境界ライン(10)から前記別の境界ライン(10)まで連なるように前記第2通気部(12)が形成される、伸縮積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伸縮積層シート、使い捨て着用物品、伸縮積層シートの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の不織布の間に伸縮性のフィルムを挟んだ伸縮積層シートは公知である(特許文献1)。同シートの構造の一例を
図11A~
図11Dに示す。
【0003】
図11Aは同伸縮積層シートSに形成された接合部1の形状を示す拡大平面図、
図11Bは同伸縮積層シートSのフィルムFに形成された開孔Hを示す拡大平面図、
図11Cは非伸長状態の伸縮積層シートSの断面を示す断面図、
図11Dは伸長状態の伸縮積層シートSの断面を示す断面図である。
【0004】
図11A~
図11Dにおいて、伸縮積層シートSの一部を構成する一対の不織布NWは熱可塑性繊維を含み通気性を有する。一方、伸縮積層シートSの他の一部を構成するフィルムFは熱可塑性で、かつ、伸縮性を有する。
【0005】
一対の不織布NWとフィルムFとは、グレーで着色した接合部1において、互いに熱融着されている。フィルムFの接合部1の周囲は熱融着時に破断したり、あるいは、着用時等の再伸長時に破断し、
図11Bおよび
図11DのフィルムFの伸長状態では
図11Bの破線で示す開孔Hが現れる。したがって、この伸長状態では、伸縮積層シートSは通気性を発揮する。このような伸縮積層シートSを着用物品の胴部として用いると、着用時のムレを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
しかし、伸縮積層シートSが収縮した非伸長状態では、
図11Aおよび
図11Cのように、前述の開孔Hが閉じてしまう。そのため、伸縮積層シートSの通気性は著しく低下する。したがって、着用物品における伸縮積層シートSの伸長度合いが小さい着用者などの場合は、通気性の低下によるムレが生じる原因となる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、通気性の良い伸縮積層シートおよび使い捨て着用物品を提供すると共に、かかる伸縮積層シートを製造する方法および装置を提供することである。
【0009】
本発明の伸縮積層シートは、熱可塑性繊維を含み通気性を有する少なくとも1枚の不織布NWに、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルムFが積層された伸縮積層シートであって、
前記不織布NWと前記フィルムFとが互いに熱融着された複数の接合部1と、前記複数の接合部1の各接合部1は前記不織布NWおよび前記フィルムFが互いに熱融着された少なくとも1つの融着領域αを含み、
前記融着領域αを定義する少なくとも1つの境界ライン10と、
前記境界ライン10において、フィルムFの伸長状態において現れるフィルムFの第1開孔H1により定義され通気性を発揮する第1通気部11と、
前記融着領域αに隣接し前記境界ライン10により区画され前記フィルムFの一部が欠損した第2開孔H2により定義され、伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部12とを備える。
不織布が一対である場合、本発明の伸縮積層シートは、熱可塑性繊維を含み通気性を有する一対の不織布NWの間に、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルムFが挟まれた伸縮積層シートであって、
前記一対の不織布NWと前記フィルムFとが互いに熱融着された複数の接合部1と、前記複数の接合部1の各接合部1は前記一対の不織布NWおよび前記フィルムFが互いに熱融着された少なくとも1つの融着領域αを含み、
前記融着領域αを定義する少なくとも1つの境界ライン10と、
前記境界ライン10において、フィルムFの伸長状態において現れるフィルムFの第1開孔H1により定義され通気性を発揮する第1通気部11と、
前記融着領域αに隣接し前記境界ライン10により区画され前記フィルムFの一部が欠損した第2開孔H2により定義され、伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部12とを備える。
【0010】
本発明の使い捨て着用物品は、前記伸縮積層シートを含む使い捨て着用物品であって、
前記伸縮積層シートにより形成され着用者の胴回り方向に延び着用者の胴を覆うように構成された胴回り部と、前記着用者の股間を覆うように構成された吸収性本体とを備える。
【0011】
これらのシートや物品においては、伸長状態において第1開孔H1が現れ、そのため第1通気部11が一対の不織布NWを通して通気性を発揮する。
一方、伸長状態および非伸長状態(収縮状態)においては、フィルムFの一部が欠損した第2開孔H2および一対の不織布NWを通して、第2通気部12が通気性を発揮する。
したがって、伸長状態および非伸長状態のいずれの状態においても、従来よりも通気性が向上する。
【0012】
本発明の製造方法は、熱可塑性繊維を含み通気性を有する少なくとも1枚の不織布NWに、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルムFが積層された伸縮積層シートの製造方法であって、
前記不織布NWを張設しながら搬送する第1搬送工程と、
前記フィルムFを伸長状態で搬送する第2搬送工程と、
これらの搬送工程を行いながら前記不織布NWと前記フィルムFとを互いに重ねる工程と、
重ねた前記不織布NWおよび前記フィルムFを複数の接合部1において互いに熱融着する工程と、前記複数の接合部1の各接合部1は前記不織布NWと前記フィルムFとが互いに熱融着された少なくとも1つの融着領域αを含み、
前記融着領域αを定義する少なくとも1つの境界ライン10において、前記熱融着により前記伸長状態のフィルムFの一部が破断して、伸長状態において通気性を発揮する第1通気部11となる第1開孔H1を前記フィルムFに形成する工程と、
前記融着領域αに隣接し前記境界ライン10により区画されたフィルムFの一部が前記熱融着に伴い欠損することで、伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部12となる第2開孔H2を生成する工程とを備える。
【0013】
不織布が一対である場合、本発明の製造方法は、熱可塑性繊維を含み通気性を有する一対の不織布NWの間に、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルムFが挟まれた伸縮積層シートの製造方法であって、
前記一対の不織布NWを張設しながら搬送する搬送工程と、
前記フィルムFを伸長状態で搬送する搬送工程と、
これらの搬送工程を行いながら、前記一対の不織布NWの間に前記フィルムFが挟まれるように、これらを互いに重ねる工程と、
重ねた前記一対の不織布NWおよび前記フィルムFを複数の接合部1において互いに熱融着する工程と、前記複数の接合部1の各接合部1は前記一対の不織布NWと前記フィルムFとが互いに熱融着された少なくとも1つの融着領域αを含み、
前記融着領域αを定義する少なくとも1つの境界ライン10において、前記熱融着により前記伸長状態のフィルムFの一部が破断して、伸長状態において通気性を発揮する第1通気部11となる第1開孔H1を前記フィルムFに形成する工程と、
前記融着領域αに隣接し前記境界ライン10により区画されたフィルムFの一部が前記熱融着に伴い欠損することで、伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部12となる第2開孔H2を生成する工程とを備える。
【0014】
本方法においては、融着領域αにおいて不織布NWおよびフィルムFが互いに熱融着される際に、伸長状態のフィルムFは境界ライン10において一部が張力により破断し、第1開孔H1が形成される。この第1開孔H1は伸長状態において一対の不織布NWを通して空気の流れを許容する第1通気部11となる。
なお、「熱融着により伸長状態のフィルムFの一部が破断して」とは、フィルムFの接合部1の周囲が熱融着時に破断する場合の他、熱融着後の再伸長時に破断する場合があることを意味する。
【0015】
他方、融着領域αに隣接し、境界ライン10により区画されたフィルムFの一部は熱融着や前記破断に伴い欠損し、第2開孔H2が形成される。この第2開孔H2は伸長状態および非伸長状態の双方において一対の不織布NWを通して空気の流れを許容する第2通気部12となる。
【0016】
このように、本方法により製造された伸縮積層シートは、伸長状態および非伸長状態のいずれの状態においても、従来よりも通気性が向上する。
【0017】
本発明の製造装置は、熱可塑性繊維を含み通気性を有する少なくとも1枚の不織布NWの間に、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルムFが積層された伸縮積層シートの製造装置であって、
前記不織布NWおよび前記フィルムFを複数の接合部1において互いに熱融着するための複数の突部4を有するアンビルロールRと、
前記アンビルロールRと協働して前記突部4上の前記不織布NWおよびフィルムFを互いに熱融着する融着装置5とを備え、
前記複数の突部4の各突部4は、
前記接合部1における、熱融着される領域に対応する少なくとも1つの凸面βと、
前記少なくとも1つの凸面βを定義すると共にフィルムFの伸長状態において現われる前記フィルムFの第1開孔H1を形成するエッジライン40と、
前記エッジライン40により区画され前記凸面βが切り欠かれて前記フィルムFの一部を熱融着させて欠損した第2開孔H2を生成する切欠部42とを備える。
【0018】
不織布が一対である場合、本発明の製造装置は、熱可塑性繊維を含み通気性を有する一対の不織布NWの間に、熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルムFが挟まれた伸縮積層シートの製造装置であって、
前記一対の不織布NWおよび前記フィルムFを複数の接合部1において互いに熱融着するための複数の突部4を有するアンビルロールRと、
前記アンビルロールRと協働して前記突部4上の前記不織布NWおよびフィルムFを互いに熱融着する融着装置5とを備え、
前記複数の突部4の各突部4は、
前記接合部1における、熱融着される領域に対応する少なくとも1つの凸面βと、
前記少なくとも1つの凸面βを定義すると共にフィルムFの伸長状態において現われる前記フィルムFの第1開孔H1を形成するエッジライン40と、
前記エッジライン40により区画され前記凸面βが切り欠かれて前記フィルムFの一部を熱融着させて欠損した第2開孔H2を生成する切欠部42とを備える。
【0019】
本製造装置においては、不織布NWおよびフィルムFを介して融着装置5が突部4に接し、突部4上の不織布NWおよびフィルムFが加熱され、凸面βにおいて不織布NWおよびフィルムFが互いに熱融着される。この際、フィルムFは伸長状態を維持されており、そのため、凸面βのエッジライン40に沿ってフィルムFが破断され、第1開孔H1が形成される。
【0020】
一方、凸面βには切欠部42が設けられ、この切欠部42のフィルムFは前記第1開孔H1が形成される際の熱による軟化や前記破断に伴い欠損し、第2開孔H2がフィルムFに形成される。この第2開孔H2はフィルムFの非伸縮時にも現れる。
【0021】
したがって、前述と同様に従来よりも通気性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aは伸縮積層シートのマクロ的な構造を示す概略斜視図、
図1Bは同シートの製造装置を示す概略正面図である。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ、伸長状態で示す着用物品の概略平面図である。
【
図3】
図3Aおよび
図3Bは、同シートの一例である胴回り部を非伸長状態で示し、
図3Aは胴回り部を示す平面図、
図3Bは胴回り部の一部を拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は伸長状態における同シートの一部を拡大して示す拡大平面図である。
【
図5】
図5A~
図5Dは同シートを長手方向に伸長した伸長状態における同シートの超拡大図であり、
図5Aは同シートの平面図、
図5B、
図5Cおよび
図5Dは、それぞれ、
図5Aにおける同シートのB-B線、C-C線およびD-D線断面図である。
【0023】
【
図6】
図6は非伸長状態における同シートの一部を拡大して示す拡大平面図である。
【
図8】
図8Aはアンビルロールの一部を示す拡大斜視図、
図8Bは
図8Aの突部とは異なる突部の他の例を示す拡大斜視図である。
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0026】
以下、本発明の実施形態について 説明する。
図1A~
図9Bは本発明の実施形態1を示す。
【0027】
本伸縮積層シートは、種々の用途に用いることができる。以下、本伸縮積層シートを使い捨てオムツ(着用物品の一例)に適用した場合について例示して説明する。オムツは、着用者の胴を覆う胴回り部と、着用者の股間を覆う股部とを備えている。伸縮積層シートは、胴回り部に用いられる。
【0028】
伸縮積層シートを使い捨てオムツに用いた場合のより詳しい構造は例えば、US2013/0110073A1(WO2012/017817A1)に開示されており、これらの開示の全てがここに組み込まれる。
【0029】
図1Aに示すように、伸縮積層シートSは熱可塑性繊維を含む通気性を有する一対の不織布NWの間に熱可塑性で、かつ、伸縮性を有するフィルムFが挟まれて形成される。
【0030】
一対の不織布NWとフィルムFとは、
図3Aおよび
図3Bに示す多数の接合部1において互いに熱融着されて積層されている。伸縮積層シートSは例えば使い捨てオムツのフラップや胴回り部に用いることができる。その場合、胴回り方向Xが伸縮積層シートSが伸縮する伸縮方向となる。
【0031】
各接合部1は超音波ホーンの振動エネルギーにより形成されてもよいし、加熱により昇温されて形成されてもよい。
【0032】
本伸縮積層シートの詳細な説明に先立って着用物品の一例について説明する。
図2Aおよび
図2Bは着用物品6を示す。
これらの図に示すように、着用物品6は、吸収性本体20および胴回り部30を備えている。吸収性本体20は、胴回り方向Xに直交する縦方向Yに長い。着用物品は
図2Aのオムツ型であってもよいし、
図2Bのパンツ型であってもよい。
【0033】
吸収性本体20には図示しない吸収コアが設けられている。この吸収コアは体液を吸収する。吸収コアは、トップシートとバックシートとの間で挟まれている。各シートおよび吸収コアは互いに積層されている。
【0034】
トップシートは透液性の薄い不織布からなり、吸収コアの肌面を覆う。このトップシートの上には図示しないカフが設けられていてもよい。
【0035】
バックシートは吸収コアの非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。吸収性本体20の縦方向Yの端部には、胴回り部30が貼り付けられている。すなわち、胴回り部30は吸収性本体20が重なる重なり部34を有する。
【0036】
胴回り部30は伸縮積層シートSにより形成され着用者の胴回り方向Xに延び着用者の胴を覆うように構成されている。吸収性本体20は着用者の股間を覆うように構成されている。
【0037】
図3Aおよび
図3Bは胴回り部30を構成する伸縮積層シートSの例を示す。
【0038】
横長の接合部1は胴回り部30の上縁部32に複数行および複数列(マトリクス状に)設けられている。縦長の接合部1は胴回り部30の下縁部31および中間部33に複数行および複数列(マトリクス状に)設けられている。各接合部1は胴回り方向Xに間欠的に配置され、かつ、縦方向Yに間欠的に配置されている。
【0039】
中間部33は下縁部31および上縁部32を除く、下縁部31と上縁部32との間の部分である。一般に、上縁部32はウエスト部と呼ばれ、下縁部31および中間部33はヒップ部と呼ばれている。
【0040】
つぎに、伸縮積層シートSの構造の詳細を前記ヒップ部を例にとって説明する。
【0041】
図5Aに示すように、複数の接合部1の各接合部1は一対の不織布およびフィルムが互いに熱融着された例えば2つの融着領域αを含む。これらの図において、各融着領域αはグレーで着色されている。各融着領域αは1つのループ状の境界ライン10で定義される。境界ライン10は実線で描かれている、
【0042】
図5Aの超拡大図に示すように、伸縮積層シートSは、第1通気部11および第2通気部12を備える。
図5Aにおいて、これらの通気部11,12は破線で描かれている。
【0043】
第1通気部11はフィルムFの第1開孔H1により定義され、通気性を発揮する。第1開孔H1はフィルムFの伸長状態において、境界ライン10が破線のように開いて現れる。
一方、第2通気部12は融着領域αに隣接し、境界ライン10により区画され、フィルムFの一部が欠損した第2開孔H2により定義され、
図5Aの伸長状態および
図7Aの非伸長状態の双方において通気性を発揮する。
【0044】
図7Aにおいて、1つの各接合部1の一対の融着領域αは互いに接近している。この融着領域α同士の間に第2通気部12が形成されている。互いに接近した2つの融着領域α同士の距離Δは、0mmよりも大きく3mm以下であるのが好ましく、2mm以下であるのが更に好ましい。
【0045】
図2Aおよび
図2Bの着用物品の着用時に胴回り方向Xに伸縮積層シートSが引っ張られた場合、伸縮積層シートSは胴回り方向Xに伸長する。この際、
図4および
図5Aに示すように、境界ライン10のうち、胴回り方向Xに直交する接合部1の縁に沿った部位において、
図5Cおよび
図5Dの一対の不織布NWの間の伸縮フィルムFは胴回り方向Xに伸び易く、開孔しやすい。そのため、
図5Aの破線で示すような大きな第1開孔H1が伸縮フィルムFに形成される。すなわち、前記引っ張りによって、強度の大きい一対の不織布NWに開孔は形成されず、一対の不織布NWの間に挟まれた伸縮フィルムFにのみ第1開孔H1が形成される。
【0046】
図1Bは前記伸縮積層シートSの製造装置の一例を示す。
図1Bにおいて、フィルムFは一対のニップロールR1,R2に挟まれて、これらの間からアンビルロールRに向かって供給される。一方、一対の不織布NWはフィルムFを挟むようにアンビルロールRに巻き付く。3枚に重なったシート状物NW,Fには超音波ホーン50から振動エネルギーが付与される。アンビルロールRの表面には
図4の融着パターンに合致した形状や配置の突部4が
図8Aのように形成されており、突部4において、シート状物NW,Fが互いに融着(シール)される。
【0047】
図1BのフィルムFはニップロールR1,R2により張力が加えられた伸長状態で不織布NWと積層される。
図1AのフィルムFに張力を加えた場合、フィルムFは胴回り部の縦方向Yとなる幅方向に収縮(ネックイン)する。そのため、フィルムの融着直前において、フィルムFに張力を加えることが好ましい。したがって、
図1Bに示すように、超音波ホーン50およびアンビルロールRの近傍の上流に一対のニップロールR1,R2を配置することが好ましい。
【0048】
図1Bの超音波ホーン50は融着装置5の出力部であり、アンビルロールRと協働して、前記3枚に重なったシート状物NW,Fに対し、接合部1(
図4)において振動エネルギーを与えて、不織布NWおよびフィルムFを互いに熱融着する。つまり、本例の融着装置5は超音波エネルギーで前記融着を行う超音波融着装置である。
【0049】
つぎに、アンビルロールRの
図8Aの突部4の詳細について説明する。
図8Aに示すように、アンビルロールRには多数の突部4がアンビルロールRの周方向に間欠的に、かつ、アンビルロールRの軸方向Rsに間欠的に配置されている。これらの多数の突部4は接合部1(
図4)に対応するように多数設けられている。なお、作図の都合上、
図8Aの突部4は
図3Aの胴回り部30の下縁部31の接合部1に対応するもののみを拡大して図示しており、
図3Bの上縁部32に対応するものは図示していない。
【0050】
図8Aの各突部4は本例の場合2つの凸面βを有する。2つの凸面βは切欠部42を介して互いに接近している。これらの各凸面βは
図5Aの融着領域αに対応しており、一方、切欠部42(
図8A)は第2開孔H2に対応している。
【0051】
図8Aにおいて、1つの凸面βは1本のループ状のエッジライン40により周囲が囲まれて定義されており、
図5AのフィルムFの伸長状態において現れるフィルムFの第1開孔H1を形成する。この形成のメカニズムは後述する製造方法において説明する。
【0052】
ここで、
図8Aのエッジライン40は、尖った形状ではなく、小さなC面やアールを有しているのが好ましいだろう。適度の大きさのC面やアールは、不織布NWを傷付けることなく、フィルムFを溶断することを可能とするだろう。
【0053】
図8Aの切欠部42はエッジライン40により区画され、つまり、2つのエッジライン40,40の間で定義され、凸面βが切り欠かれて形成されている。この切欠部42はフィルムFの熱融着時にフィルムFが欠損した
図7Aの第2開孔H2を生成する。この形成のメカニズムは後述する製造方法において説明する。
【0054】
なお、
図7Aの距離Δは
図8Aの切欠部42の幅W(
図8A)に対応し、近似ないし同じ大きさとなる。
【0055】
つぎに、伸縮積層シートの製造方法の一例について説明する。
【0056】
図1Bに示すように、一対の不織布NWの連続シートを張設しながら搬送すると共に、フィルムFを伸長状態で搬送する。アンビルロールR上において、一対の不織布NWの連続シートの間にフィルムFが挟まれるように、これらを互いに重ねる。
【0057】
この際、周知のように、不織布NWは弛まない程度の張力で保持され、一方、フィルムFは後に収縮するように伸長状態でアンビルロールR上を搬送される。なお、フィルムFは後に収縮した非伸長状態となるが、フィルムFの永久ひずみが0%よりも大きく10%程度以下となるように、フィルムFに張力を付与するのが好ましい。
【0058】
図1Bの一対の不織布NWおよびフィルムFが超音波ホーン50とアンビルロールRの突部4(8A)との間を通過する際に、超音波ホーン50がアンビルロールRに向かう方向に超音波振動する。これにより、
図5A~
図5Dの各接合部1の融着領域αにおいて不織布NW同士がフィルムFを介して互いに熱融着され伸縮積層シートSが生成される。この熱融着の際に、以下に説明するように、第1開孔H1および第2開孔H2がフィルムFに形成される。
【0059】
前記熱融着の際には、前述のように、フィルムFには張力が付与されて、フィルムFは伸長状態である。この熱融着の際には接合部1のフィルムFは加熱されて軟化しており、前記張力によりフィルムFの一部が実線で示す境界ライン10において破断し、破線で示すように例えば楕円形の第1開孔H1が現れる。この第1開孔H1は着用時に第1通気部11となって通気性を発揮する。
なお、一部の第1開孔H1は熱融着後に、一旦、閉塞し、着用時等の再伸長時に、再度、フィルムFが破断して現れてもよい。なお、第1開孔H1は、溶着加工後に特表2000-513054に示されるような延伸加工を施すことにより現れてもよい。
【0060】
また、前記熱融着の際に、第1開孔H1が形成されると共に、一対の融着領域αと融着領域αとの間に第2開孔H2が形成される。すなわち、前記熱融着時には、前述のようにフィルムFが胴回り方向Xに引っ張られており、一方、前述の第1開孔H1が形成される際に、融着領域αと融着領域αとの間の距離が小さいため、融着領域αと融着領域αとの間のフィルムの部位も熱融着時に熱の影響を両側から受けることにより欠損する。例えば、このフィルムの部位は胴回り方向Xに引っ張られて境界ライン10に沿って破断したり、あるいは、ネッキングにより縦方向Yに収縮したりして欠損するものと推測される。こうして形成された第2開孔H2は伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部12となる。
【0061】
こうして生成された伸縮積層シートSには
図2Aのように吸収性本体20が配置された後、たとえば
図2Bのようなパンツ型の着用物品6が得られる。この着用物品6において、伸縮積層シートSの伸長状態が胴回り方向Xに張力の付与されていない非伸長状態となる。
【0062】
この非伸長状態においては、
図5Aおよび
図5Dの第1開孔H1は、
図7Aおよび
図7Dのように閉じる。また、この非伸長状態においては、フィルムFが収縮するのに伴い
図7Cおよび
図7Dのように不織布NWにギャザーが現れる。
【0063】
つぎに、
図3Bの胴回り部30の上縁部32の接合部1について簡単に説明する。この接合部1は
図9Aおよび
図9Bに示すように、胴回り方向Xに長く、つまり、フィルムの伸長方向に沿って長く形成されている。この場合、第1開孔H1は小さくフィルムの伸びも小さくなる。
【0064】
なお、
図9Aの第2開孔H2は
図9Bの伸長状態において伸長方向(胴回り方向X)に若干拡がるが、作図の便宜上、
図9Aの幅Wと
図9Bの幅Wを同一にして図示している。
【0065】
【0066】
図9Cおよび
図9Dに示すように、接合部1は、長い2つの融着領域α,αが胴回り方向X(伸長方向)に互いに離間していてもよい。
【0067】
図9Eおよび
図9Fの例に示すように、融着領域αはくびれた括れ部αsと、括れ部αsにより互いに連なり、括れ部αsよりも大きい2つの主部αmとを含んでいてもよい。この場合、括れ部αsに第2開孔H2が隣接している。
【0068】
この例の接合部1は
図8Bの突部4により形成される。
図8Bにおいて、各凸面βはくびれた括れ部βsと、括れ部βsにより互いに連なり、括れ部βsよりも大きい2つの主部βmとを含む。
この場合、2つの主部βm同士の間に前記切欠部42が形成されている。
【0069】
図9Gおよび
図9Hに示すように、1つの接合部1が4つの融着領域αを含んでいてもよい。この場合、フィルムの伸長方向およびこれに直交する2つの方向に融着領域α同士が離間している。
【0070】
つぎに、1枚の不織布NWと1枚のフィルムFが積層された伸縮積層シートSの一例について、
図10A~
図10Dにしたがって説明する。
【0071】
この場合、
図10Aおよび
図10Bに示すように、各接合部1の上下の縁100においてフィルムFが破断されずに不織布NWとフィルムFとが互いに連なっていてもよい。この場合、この連なりにより
図10Cおよび
図10Dの不織布NWとフィルムFとが一体に積層された状態を維持できる。
【0072】
このような連なった縁100を形成するには、
図8Aのエッジライン40の一部に大きなアールを形成するなどの方法が考えられる。
【0073】
以上の実施形態から把握される発明には以下の好的な実施形態が含まれる。
【0074】
好ましい実施形態においては、複数の接合部1を構成する各接合部1は、互いに接近した複数の前記融着領域αを含み、
複数の融着領域α同士の間に前記第2通気部12が形成されている。
【0075】
融着領域α同士の間に第2通気部12が存在する場合、第2通気部12を形成し易い。
【0076】
より好ましい実施形態においては、互いに接近した複数の前記融着領域α同士の距離は、0mmよりも大きく3mm以下である。
【0077】
この距離が3mmよりも大きいと、融着領域α同士の間において、フィルムFが軟化せず、第2開孔H2が形成されにくい。
【0078】
好ましい実施形態においては、融着領域αはくびれた括れ部αsと、前記括れ部αsにより互いに連なり、前記括れ部αsよりも大きい複数の主部αmとを含み、
複数の主部αm同士の間に前記第2通気部12が形成されている。
【0079】
この場合、融着領域αが括れ部αsを有する分だけ融着領域αが複数である場合に比べ第2通気部12の大きさが小さくなるかもしれない。しかし、第2開孔H2を形成する確度が向上するかもしれない。
【0080】
より好ましい実施形態においては、複数の主部αm同士の距離は0mmよりも大きく3mm以下である。
【0081】
この距離が3mmよりも大きいと、隣り合う主部αm同士の間において、フィルムFが軟化せず、第2開孔H2が形成されにくい。
【0082】
好ましい製造方法においては、熱融着工程の後に、前記伸縮積層シートを伸長状態から非伸長状態にする工程を更に備え、
非伸長状態におけるフィルムFの永久ひずみが0%よりも大きく10%以下である。
【0083】
永久ひずみが大きいと、融着領域α同士の距離が大きくても第2開孔H2が形成され易くなるが、永久ひずみが大きすぎると伸縮性が劣る。そのため、これらのバランスで永久ひずみを0~10%とするのが好ましい。
【0084】
好ましい製造方法においては、各突部4は、互いに接近した複数の前記凸面βを含み、
複数の凸面β同士の間に前記切欠部42が形成されている。
【0085】
この場合、融着時に切欠部42においてフィルムFが熱や張力により欠損する。
【0086】
別の好ましい製造方法においては、各凸面βはくびれた括れ部βsと、前記括れ部βsにより互いに連なり、前記括れ部βsよりも大きい複数の主部βmとを含み、
複数の主部βm同士の間に前記切欠部42が形成されている。
【0087】
この場合、融着時に括れ部αs同士の間において、フィルムFが熱や張力により欠損する。
【0088】
1つの実施態様または好ましい各実施形態に関連して説明/およびまたは図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様において同一または類似な形で、および/または他の実施態様と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0089】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、不織布NWの一方又は両方が連続不織布ではなく、不連続不織布であってもよい。また、不織布は非伸縮性であってもよい。また、不織布は伸縮不織布や捲縮不織布であってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の伸縮積層シートは使い捨て着用物品などの部材の一部として利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1: 接合部 10:境界ライン
11:第1通気部 12:第2通気部
20:吸収性本体
30:胴回り部 31:下縁部 32:上縁部 33:中間部 34:重なり部
4:突部 40:エッジライン 42:切欠部
5:融着装置 50:超音波ホーン
6:着用物品
F:フィルム
NW:不織布
H:開孔 H1:第1開孔 H2:第2開孔 MD:搬送方向
R:アンビルロール R1,R2:ニップロール Rs:軸方向
S:伸縮積層シート
X:胴回り方向
Y:縦方向
W:幅
α:融着領域 αm:主部 αs:括れ部
β:凸面 βm:主部 βs:括れ部
Δ:距離
【要約】
本積層伸縮シートは一対の不織布とフィルムとが互いに熱融着された複数の接合部と、複数の接合部の各接合部は一対の不織布およびフィルムが互いに熱融着された少なくとも1つの融着領域を含み、融着領域を定義する少なくとも1つの境界ラインと、境界ラインにおいて、フィルムの伸長状態において現れるフィルムの第1開孔により定義され通気性を発揮する第1通気部と、融着領域に隣接し前記境界ラインにより区画されフィルムの一部が欠損した第2開孔により定義され、伸長状態および非伸長状態の双方において通気性を発揮する第2通気部とを備える。