(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/55 20180101AFI20220622BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20220622BHJP
F21S 41/20 20180101ALI20220622BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20220622BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20220622BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20220622BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20220622BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20220622BHJP
【FI】
F21S41/55
F21S43/50
F21S41/20
F21S43/20
F21W102:00
F21W102:30
F21W103:00
F21W103:40
(21)【出願番号】P 2019150736
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉滿 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 義治
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】米谷 昌也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 誠
(72)【発明者】
【氏名】原井 弘之
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-061255(JP,A)
【文献】実開平6-45206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/55
F21S 43/50
F21S 41/20
F21S 43/20
F21W 102/00
F21W 102/30
F21W 103/00
F21W 103/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一モール部材と、
前記第一モール部材とは別体で、前記第一モール部材に対して開口部を介して離間する第二モール部材と、
前記開口部に配置されて奥側からのランプ光を手前側に透過する透過面を有するアウタレンズと、
を備える車両用照明装置であって、
前記第一モール部材及び前記第二モール部材はそれぞれ、前記アウタレンズの前記透過面に対して位置決めされるモール側位置決め部を有し、
前記アウタレンズは、前記第一モール部材に対して位置決めされる第一レンズ側位置決め部と、前記第二モール部材に対して位置決めされる第二レンズ側位置決め部と、を有する、車両用照明装置。
【請求項2】
前記第一モール部材及び前記第二モール部材はそれぞれ、表出する板状のモール本体部と、前記モール本体部の前記開口部側の縁部から奥側に突出する突出部と、を有し、
前記モール側位置決め部は、前記突出部の先端部又は前記突出部の前記開口部側の表面とは反対の裏面側に設けられている、請求項1に記載された車両用照明装置。
【請求項3】
前記モール本体部の表面、及び、前記突出部の前記開口部側の表面は、メッキ処理されている、請求項2に記載された車両用照明装置。
【請求項4】
前記アウタレンズは、前記透過面の外縁から前記開口部から離間する方向に突出するフランジ部を有し、
前記第一レンズ側位置決め部及び前記第二レンズ側位置決め部は、前記フランジ部に設けられている、請求項1乃至3の何れか一項に記載された車両用照明装置。
【請求項5】
前記アウタレンズは、前記透過面を含む透明部と、前記ランプ光を遮蔽する非透明部と、により構成され、
前記第一レンズ側位置決め部及び前記第二レンズ側位置決め部は、前記非透明部に設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載された車両用照明装置。
【請求項6】
前記第一モール部材の前記モール側位置決め部と前記アウタレンズの前記第一レンズ側位置決め部とは、互いにインロー構造により位置決めされており、
前記第二モール部材の前記モール側位置決め部と前記アウタレンズの前記第二レンズ側位置決め部とは、互いにインロー構造により位置決めされている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載された車両用照明装置。
【請求項7】
前記アウタレンズ及び前記ランプ光を発する光源が取り付けられるランプハウジングと、
車体側に設けられ、前記第一モール部材、前記第二モール部材、及び前記ランプハウジングが取り付けられるブラケットと、
を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載された車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される車両用照明装置が知られている(例えば、特許文献1)。この車両用照明装置は、発光体を備えている。発光体は、車両前部又は車両後部のバンパやグリルなどの裏側に配置されている。バンパやグリルには、加飾部材が設けられている。この加飾部材は、上下に離間する二つのモール部材からなる。上記の発光体は、上側のモール部材と下側のモール部材との隙間である開口部の裏側に配置されている。発光体が発した光は、この開口部を介して車両外方へ放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1記載の車両用照明装置の如く、互いに離間する二つのモール部材の間に開口部が設けられ、その開口部に発光体からの光が透過するアウタレンズが配置される構造では、そのアウタレンズと各モール部材とが固定されていないと、アウタレンズと各モール部材との位置決め精度が低くなり、車両振動などに起因してそれらの間に隙間が発生し或いは異音が発生してしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、互いに離間する二つのモール部材と、それら二つのモール部材の間の開口部に配置されるアウタレンズとの位置決め精度を確保することが可能な車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第一モール部材と、前記第一モール部材とは別体で、前記第一モール部材に対して開口部を介して離間する第二モール部材と、前記開口部に配置されて奥側からのランプ光を手前側に透過する透過面を有するアウタレンズと、を備える車両用照明装置であって、前記第一モール部材及び前記第二モール部材はそれぞれ、前記アウタレンズの前記透過面に対して位置決めされるモール側位置決め部を有し、前記アウタレンズは、前記第一モール部材に対して位置決めされる第一レンズ側位置決め部と、前記第二モール部材に対して位置決めされる第二レンズ側位置決め部と、を有する、車両用照明装置である。
【0007】
この構成によれば、第一モール部材がアウタレンズの透過面に対して直接に位置決めされると共に、その第一モール部材に対して離間する第二モール部材がアウタレンズの透過面に対して直接に位置決めされるので、アウタレンズの透過面と第一モール部材及び第二モール部材との位置決め精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置の外観斜視図である。
【
図2】実施形態の車両用照明装置の分解斜視図である。
【
図3】実施形態の車両用照明装置が備えるランプアッシの分解斜視図である。
【
図4】実施形態の車両用照明装置の要部断面図である。
【
図5】本発明の一変形形態に係る車両用照明装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明に係る車両用照明装置の具体的な実施形態について説明する。
【0010】
1.車両用照明装置1の構成
一実施形態の車両用照明装置1は、車両に搭載される照明装置である。車両用照明装置1は、車体外面又は車室内面に設けられる。尚、以下では、車両用照明装置1は、車体外面に設けられるものとし、車両外方に向けて光を発するものとする。例えば、車両用照明装置1は、車両のフロントバンパやフロントグリルなどに取り付けられる。
【0011】
車両用照明装置1は、
図1、
図2、及び
図3に示す如く、ブラケット10と、光源20と、インナレンズ30と、アウタレンズ40と、ランプハウジング50と、第一モール部材60と、第二モール部材70と、を備えている。
【0012】
ブラケット10は、車体側に設けられる部材である。ブラケット10は、板状に形成されている。ブラケット10は、ランプハウジング50、第一モール部材60、及び第二モール部材70が取り付けられる支持部材である。ブラケット10には、ランプハウジング50、第一モール部材60、及び第二モール部材70を取り付けるための取付部11が設けられている。ブラケット10の取付部11へのランプハウジング50、第一モール部材60、及び第二モール部材70の取り付けは、スクリュ締めや爪嵌合などで行われる。
【0013】
光源20は、可視光を発するLEDなどの発光体である。光源20は、例えば、様々な色の光を発することができる。光源20は、制御装置(図示せず)に接続されており、制御装置により発光制御される。
【0014】
インナレンズ30は、光源20の発した光が進入する導光体である。インナレンズ30の一端は、光源20に接続されている。インナレンズ30は、水平方向に延在している。尚、インナレンズ30は、フロントバンパやグリルの湾曲に合わせて湾曲して水平方向に延びていてよい。インナレンズ30は、断面略円形に形成されている。光源20からインナレンズ30に進入した光は、インナレンズ30の外面に略均一に放出される。
【0015】
アウタレンズ40は、インナレンズ30から放出される光(以下、適宜、ランプ光と称す。)を車両外方へ放出するレンズである。アウタレンズ40は、インナレンズ30を覆うように断面U字状或いは断面半円状に形成されている。アウタレンズ40は、その一部(具体的には、車体外側の端部)がインナレンズ30に対して車体外側に配置されるように形成されている。アウタレンズ40は、水平方向に延在している。尚、アウタレンズ40は、インナレンズ30の湾曲に合わせて湾曲して水平方向に延びていてよい。
【0016】
アウタレンズ40は、
図4に示す如く、透明部41と、非透明部42と、により構成されている。透明部41は、インナレンズ30から放出されるランプ光を透過する部位である。透明部41は、インナレンズ30を覆うように形成されている。透明部41は、車室内側(奥側)のインナレンズ30からのランプ光を後述の開口部80を介して車体外側(手前側)に透過する透過面41aを含んでいる。インナレンズ30は、アウタレンズ40の透過面41aの背面側(すなわち車室内側)に配置される。
【0017】
非透明部42は、ランプ光を遮蔽する部位である。非透明部42は、例えば黒色に色付けされている。非透明部42は、透明部41の一部を覆うように形成されている。非透明部42は、ランプ光が透過面41a以外の部位から外方に漏れるのを防止するために設けられている。非透明部42は、アウタレンズ40全体のうち透過面41aを除く部位に形成されている。アウタレンズ40の透明部41と非透明部42とは、二色成形により形成される。
【0018】
尚、上記の二色成形に代えて、アウタレンズ40は、非透明部42がアウタレンズ40を構成する透明体の一部の表面又は裏面に塗装されることにより形成されていてもよい。また、アウタレンズ40は、それぞれ別体で構成された透明部41及び非透明部42が互いに組み立てられることにより構成されるものであってもよい。
【0019】
ランプハウジング50は、光源20、インナレンズ30、及びアウタレンズ40が取り付けられる支持部材である。ランプハウジング50は、水平方向に延在する板状の部材である。尚、ランプハウジング50は、インナレンズ30及びアウタレンズ40の湾曲に合わせて湾曲して水平方向に延びていてよい。ランプハウジング50には、光源20、インナレンズ30、及びアウタレンズ40を取り付けるための取付部51が設けられている。ランプハウジング50の取付部51への光源20、インナレンズ30、及びアウタレンズ40の取り付けは、スクリュ締めや爪嵌合,振動溶着,熱溶着などで行われる。光源20、インナレンズ30、及びアウタレンズ40がランプハウジング50に取り付けられると、ランプアッシ90が形成される。
【0020】
第一モール部材60及び第二モール部材70はそれぞれ、表出面に加飾が施された加飾部材である。第一モール部材60及び第二モール部材70はそれぞれ、例えば、ABS樹脂などの合成樹脂の表面にメッキ処理が施されたメッキモールである。第一モール部材60及び第二モール部材70は、周囲部材との配置関係や車体外面の装飾性などの観点から、それぞれ所定の大きさや所定の形状に形成されている。第一モール部材60及び第二モール部材70はそれぞれ、長大な形状に形成されたものであってもよい。第一モール部材60は、車体外面の上部に配置される。第二モール部材70は、車体外面の下部に配置される。
【0021】
第一モール部材60と第二モール部材70とは、それぞれ別体で構成されており、車両上下方向において互いに離間している。尚、第一モール部材60と第二モール部材70とは、互いに組み付け可能で接触する部位を有していてもよい。第一モール部材60は、下端において水平方向に延びる水平縁部61を有している。第二モール部材70は、上端において水平方向に延びる水平縁部71を有している。第一モール部材60の水平縁部61と第二モール部材70の水平縁部71との間には、車両前後方向に開口する開口部80が形成されている。すなわち、第一モール部材60と第二モール部材70とは、開口部80を介して互いに離間している。開口部80は、水平方向に延在している。
【0022】
開口部80には、上記のアウタレンズ40が配置されている。具体的には、アウタレンズ40の透明部41(具体的には、透過面41a)が開口部80に配置されている。このため、インナレンズ30から放出されたランプ光は、アウタレンズ40の透過面41a及び開口部80を通じて車両外方へ放出される。
【0023】
第一モール部材60は、モール本体部62と、突出部63と、を有している。モール本体部62は、車体外面に表出する板状の部位である。モール本体部62は、水平方向に延在している。突出部63は、モール本体部62の背面から車室内側(奥側)に突出する部位である。突出部63は、モール本体部62の開口部80側の端部すなわち水平縁部61から水平に突出している。突出部63は、モール本体部62の長手方向において互いに離間して複数箇所設けられている。第一モール部材60において、少なくとも、モール本体部62の車体外面側の表面、及び、突出部63の開口部80側の表面は、メッキ処理されている。
【0024】
第一モール部材60は、第一モール側位置決め部64を有している。第一モール側位置決め部64は、第一モール部材60とアウタレンズ40とを位置決めする部位であって、具体的には、アウタレンズ40の透過面41aに対して位置決めされる部位である。第一モール側位置決め部64は、突出部63の車室内側(奥側)の先端部に設けられている。第一モール側位置決め部64は、アウタレンズ40の後述する第一レンズ側位置決め部に挿入して係合する突部である。第一モール側位置決め部64は、モール本体部62の背面側から奥側にかけて幅が小さくなるようにテーパ状に形成されている。
【0025】
第二モール部材70は、モール本体部72と、突出部73と、を有している。モール本体部72は、車体外面に表出する板状の部位である。モール本体部72は、水平方向に延在する部位を有している。突出部73は、モール本体部72の背面から車室内側(奥側)に突出する部位である。突出部73は、モール本体部72の開口部80側の端部すなわち水平縁部71から水平に突出している。突出部73は、モール本体部72の長手方向において互いに離間して複数箇所設けられている。第二モール部材70において、少なくとも、モール本体部72の車体外面側の表面、及び、突出部73の開口部80側の表面は、メッキ処理されている。
【0026】
第二モール部材70は、第二モール側位置決め部74を有している。第二モール側位置決め部74は、第二モール部材70とアウタレンズ40とを位置決めする部位であって、具体的には、アウタレンズ40の透過面41aに対して位置決めされる部位である。第二モール側位置決め部74は、突出部73の開口部80側の表面とは反対の裏面側に設けられている。第二モール側位置決め部74は、アウタレンズ40の後述する第二レンズ側位置決め部に挿入されて係合する孔部である。
【0027】
上記のアウタレンズ40は、上部フランジ部43と、下部フランジ部44と、を有している。上部フランジ部43及び下部フランジ部44は共に、非透明部42に設けられている。上部フランジ部43は、透明部41の透過面41aの外縁から上方(すなわち、開口部80から離間する方向)に突出する部位である。下部フランジ部44は、透過面41aの外縁から下方(すなわち、開口部80から離間する方向)に突出する部位である。上部フランジ部43及び下部フランジ部44は共に、透過面41aに面一になるように形成されている。
【0028】
上部フランジ部43及び下部フランジ部44はそれぞれ、アウタレンズ40の長手方向に沿って広がる面を有している。上部フランジ部43は、透明部41の透過面41aの上縁にアウタレンズ40の長手方向において互いに離間して複数箇所設けられている。下部フランジ部44は、透明部41の透過面41aの下縁にアウタレンズ40の長手方向において互いに離間して複数箇所設けられている。
【0029】
アウタレンズ40は、第一レンズ側位置決め部45と、第二レンズ側位置決め部46と、を有している。第一レンズ側位置決め部45は、アウタレンズ40と第一モール部材60とを位置決めする部位であって、具体的には、第一モール部材60に対して位置決めされる部位である。第一レンズ側位置決め部45は、上部フランジ部43に設けられており、非透明部42に設けられている。第一レンズ側位置決め部45は、上部フランジ部43に形成された孔部であって、第一モール部材60の第一モール側位置決め部64の挿入方向に貫通している。第一レンズ側位置決め部45と第一モール部材60の第一モール側位置決め部64とは、互いにインロー構造により位置決めされる。
【0030】
第一モール部材60の第一モール側位置決め部64とアウタレンズ40の第一レンズ側位置決め部45とが互いに係合して位置決めされると、第一モール部材60がアウタレンズ40に対して第一モール側位置決め部64の挿入方向、車両上下方向、及び車両左右方向へ移動すること及び回転することは規制される。
【0031】
第二レンズ側位置決め部46は、アウタレンズ40と第二モール部材70とを位置決めする部位であって、具体的には、第二モール部材70に対して位置決めされる部位である。第二レンズ側位置決め部46は、下部フランジ部44に設けられており、非透明部42に設けられている。第二レンズ側位置決め部46は、下部フランジ部44の車体外面側に形成された突部であって、第二モール部材70の第二モール側位置決め部74の挿入方向に水平に突出している。第二レンズ側位置決め部46は、下部フランジ部44の車体外面側から手前側にかけて幅が狭くなるようにテーパ状に形成されている。第二レンズ側位置決め部46と第二モール部材70の第二モール側位置決め部74とは、互いにインロー構造により位置決めされる。
【0032】
第二モール部材70の第二モール側位置決め部74とアウタレンズ40の第二レンズ側位置決め部46とが互いに係合して位置決めされると、第二モール部材70がアウタレンズ40に対して第二モール側位置決め部74の挿入方向、車両上下方向、及び車両左右方向へ移動すること及び回転することは規制される。
【0033】
2.車両用照明装置1の組立
車両用照明装置1は、以下の手順に従って組み立てられる。まず、ランプアッシ90を構成する光源20、インナレンズ30、アウタレンズ40、及びランプハウジング50が用意される。そして、ランプハウジング50の取付部51に光源20、インナレンズ30、及びアウタレンズ40が取り付けられて、ランプアッシ90が形成される。
【0034】
次に、そのランプアッシ90、第一モール部材60、第二モール部材70、及びブラケット10が用意される。そして、ブラケット10の取付部11にランプアッシ90、第一モール部材60、及び第二モール部材70が取り付けられる。具体的には、まず、ランプアッシ90のアウタレンズ40の第一レンズ側位置決め部45に第一モール部材60の第一モール側位置決め部64が挿入されることで両位置決め部45,64が互いに係合して位置決めされ、かつ、アウタレンズ40の第二レンズ側位置決め部46が第二モール部材70の第二モール側位置決め部74に挿入されることで両位置決め部46,74が互い係合して位置決めされる。そして、その位置決めが行われているランプアッシ90、第一モール部材60、及び第二モール部材70がブラケット10に位置合わせされてスクリュ締めされる。このため、ブラケット10からランプアッシ90などが落下するのを防止することができる。
【0035】
ブラケット10にランプアッシ90、第一モール部材60、及び第二モール部材70が取り付けられると、第一モール部材60の水平縁部61と第二モール部材70の水平縁部71との間に開口部80が形成され、その開口部80にアウタレンズ40の透過面41aが配置される。この状態で光源20が発光すると、インナレンズ30からランプ光が放出され、そのランプ光がアウタレンズ40の透過面41a及び開口部80を通じて車両外方へ放出される。従って、車両外側の人は、車両の第一モール部材60と第二モール部材70との間の開口部80から放出されるランプ光を視認することができる。
【0036】
3.車両用照明装置1の効果
車両用照明装置1においては、上記の如く組み立てが行われた後、ランプアッシ90のアウタレンズ40と第一モール部材60とが互いに位置決めされた状態で固定されると共に、そのアウタレンズ40と第二モール部材70とが互いに位置決めされた状態で固定される。
【0037】
特に、上記したアウタレンズ40と第一モール部材60との位置決めは、アウタレンズ40の透過面41aの上縁に形成された上部フランジ部43の第一レンズ側位置決め部45と、第一モール部材60のモール本体部62の開口部80側の端部の背面から奥側に突出する突出部63の第一モール側位置決め部64との間で行われる。また、アウタレンズ40と第二モール部材70との位置決めは、アウタレンズ40の透過面41aの下縁に形成された下部フランジ部44の第二レンズ側位置決め部46と、第二モール部材70のモール本体部72の開口部80側の端部の背面から奥側に突出する突出部73の第二モール側位置決め部74との間で行われる。
【0038】
従って、第一モール部材60がアウタレンズ40の透過面41a近傍でその透過面41aに対して位置決めされると共に、第二モール部材70がアウタレンズ40の透過面41a近傍でその透過面41aに対して位置決めされるので、アウタレンズ40の透過面41aと第一モール部材60及び第二モール部材70との位置決め精度を確保することができ、組立後の位置ズレを防止することができる。
【0039】
このため、車両振動などに起因してアウタレンズ40と第一モール部材60との間及びアウタレンズ40と第二モール部材70との間に隙間や異音が発生するのを抑えることができる。また、第一モール部材60及び第二モール部材70でのリフレクタ効果を安定化させることができ、これにより、車体外面の装飾性を向上させることができる。
【0040】
また、第一モール部材60及び第二モール部材70はそれぞれ、車体外面に表出する板状のメッキモールである。特に、第一モール部材60及び第二モール部材70における少なくともモール本体部62,72の車体外面側の表面、及び、突出部63,73の開口部80側の表面は、メッキ処理されている。第一モール側位置決め部64は、突出部63の奥側の先端部に設けられている。また、第二モール側位置決め部74は、突出部73の開口部80側の表面とは反対の裏面側に設けられている。
【0041】
この構造においては、第一モール部材60及び第二モール部材70におけるアウタレンズ40の透過面41aよりも手前側に、メッキ処理された突出部63,73の開口部80側の表面が表出する。このため、アウタレンズ40の透過面41aよりも手前側の開口部80近傍におけるリフレクタ効果を向上させることができ、これにより、開口部80縁部における装飾性を向上させることができる。
【0042】
また、アウタレンズ40は、ランプ光を透過する透過面41aを含む透明部41と、ランプ光を遮蔽する非透明部42と、により構成されている。そして、第一レンズ側位置決め部45及び第二レンズ側位置決め部46は、非透明部42に設けられている。このため、アウタレンズ40のレンズ側位置決め部45,46が透明部41に設けられる構成とは異なり、それらのレンズ側位置決め部45,46が車両外側の人に視認され易くなるのを防止することができる。
【0043】
また、ランプ光を透過する透明部41の材料は、ランプ光を遮蔽する非透明部42の材料に比べて限定される。すなわち、非透明部42は、透明部41に比して多くの材料から選択可能である。このため、アウタレンズ40の第一レンズ側位置決め部45及び第二レンズ側位置決め部46を設ける非透明部42の材料選択の幅を増やすことができ、これにより、それらのレンズ側位置決め部45,46の強度を高めることができる。
【0044】
また、上記の非透明部42は、透明部41の車室内側の表面に対してその透明部41を覆うように形成されており、インナレンズ30からのランプ光が透過面41a以外の部位から外方に漏れるのを防止する。このため、アウタレンズ40の透過面41a以外(例えば、第一モール部材60とブラケット10との間の隙間や第二モール部材70とブラケット10との間の隙間など)からインナレンズ30からのランプ光が漏れるのを防止することができる。
【0045】
尚、上記の実施形態においては、第一モール側位置決め部64及び第二モール側位置決め部74が特許請求の範囲に記載した「モール側位置決め部」に、上部フランジ部43及び下部フランジ部44が特許請求の範囲に記載した「フランジ部」に、それぞれ相当している。
【0046】
ところで、上記の実施形態においては、車両用照明装置1として、車両のフロントランプやフロントフォグランプが配置されるフロントバンパやフロントグリルに適用することとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、車両用照明装置1として、車両のリアランプやリアフォグランプが配置されるリヤバンパや、モールが配置される車体側面などに適用することとしてもよい。
【0047】
また、上記の実施形態においては、第一モール部材60と第二モール部材70とが開口部80を介して互いに離間し、その開口部80が第一モール部材60の水平縁部61と第二モール部材70の水平縁部71との間に形成される。この場合、開口部80は、水平直線状に延びる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第一モール部材60と第二モール部材70との間に形成される開口部80が、曲線状に延びるものであってもよい。
【0048】
また、上記の実施形態においては、アウタレンズ40が、ランプ光を透過する透明部41と、ランプ光を遮蔽する非透明部42と、により構成される。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、アウタレンズ40が、透明部41のみにより構成され、非透明部42を有さないものに適用することとしてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態においては、アウタレンズ40の第一レンズ側位置決め部45と第一モール部材60の第一モール側位置決め部64とは、互いにインロー構造により位置決めされており、アウタレンズ40の第二レンズ側位置決め部46と第二モール部材70の第二モール側位置決め部74とは、互いにインロー構造により位置決めされている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、それらの位置決めが、爪同士が嵌合するものであってもよい。
【0050】
また、上記の実施形態においては、ランプアッシ90と第一モール部材60とが位置決めされかつランプアッシ90と第二モール部材70とが位置決めされた後に、それらのランプアッシ90、第一モール部材60、及び第二モール部材70がブラケット10に位置合わせされてスクリュ締めされる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ランプアッシ90がブラケット10に位置合わせされた後に、そのランプアッシ90と第一モール部材60とが位置決めされかつランプアッシ90と第二モール部材70とが位置決めされてスクリュ締めされることとしてもよい。
【0051】
更に、上記の実施形態においては、車両用照明装置1が、インナレンズ30及びアウタレンズ40を支持するランプハウジング50と、ランプハウジング50にインナレンズ30及びアウタレンズ40が取り付けられるランプアッシ90、第一モール部材60、及び第二モール部材70が取り付けられるブラケット10と、を別体で構成することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、
図5に示す如く、車両用照明装置100が、インナレンズ30及びアウタレンズ40が取り付けられるランプハウジングと、第一モール部材60、及び第二モール部材70が取り付けられるブラケットと、を一体で構成して兼用したブラケット110を備えることとしてもよい。
【0052】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,100:車両用照明装置、10,110:ブラケット、20:光源、30:インナレンズ、40:アウタレンズ、41:透明部、41a:透過面、42:非透明部、43:上部フランジ部、44:下部フランジ部、45:第一レンズ側位置決め部、46:第二レンズ側位置決め部、50:ランプハウジング、60:第一モール部材、61:水平縁部、62:モール本体部、63:突出部、64:第一モール側位置決め部、70:第二モール部材、71:水平縁部、72:モール本体部、73:突出部、74:第二モール側位置決め部、80:開口部、90:ランプアッシ。