(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20220622BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220622BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
H01L27/04 A
H01L27/04 H
H01L21/82 B
(21)【出願番号】P 2019519151
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 JP2018016824
(87)【国際公開番号】W WO2018211931
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2017096404
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 功弥
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-100891(JP,A)
【文献】特開2013-131619(JP,A)
【文献】特開昭60-110137(JP,A)
【文献】特開2009-32908(JP,A)
【文献】特開2004-179184(JP,A)
【文献】特開2013-38366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップと、
前記チップ上に設けられたコア領域と、
前記チップ上の、前記コア領域
と前記チップの外辺との間に設けられたIO領域とを備え、
前記IO領域には、前記チップの外辺に沿う方向である第1方向に並ぶ複数のIOセルをそれぞれ備えた2列以上のIOセル列が、前記第1方向と垂直をなす第2方向に並べて配置されており、
前記2列以上のIOセル列は、
前記2列以上のIOセル列の中で、前記チップの端に最も近く配置された第1IOセル列と、
前記第1IOセル列の前記コア領域側に、前記第1IOセル列と隣り合うように配置された第2IOセル列とを含み、
前記第1および第2IOセル列における前記IOセルは、それぞれ、前記第2方向において分かれて設けられた、高電源電圧領域と低電源電圧領域とを有し、
前記第1および第2IOセル列は、前記高電源電圧領域同士が対向するように、配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記高電源電圧領域は、前記第2方向において分かれて設けられた、P型トランジスタ領域とN型トランジスタ領域とを有し、
前記第1IOセル列と前記第2IOセル列とは、前記P型トランジスタ領域同士が対向するように、配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列における前記IOセルは、前記第2方向におけるサイズおよび位置が同一であり、
前記第2IOセル列における前記IOセルは、前記第2方向におけるサイズおよび位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列と前記第2IOセル列とおいて、対向する前記IOセルは、前記第1方向におけるサイズと位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2IOセル列において、対向するIOセルの組同士の間に、信号配線が通過可能なスペースが設けられている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2IOセル列において、対向するIOセル同士の間に、前記第1方向に延びる電源配線が配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2IOセル列における前記IOセルは、前記高電源電圧領域に、前記第1方向に延びる第1電源配線が配置されており、
前記第1および第2IOセル列において、前記第1電源配線よりも上層の配線層に、前記第2方向に延びるよう形成され、前記第1電源配線同士を接続する上層電源配線が配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体集積回路装置において、
前記チップの外部との接続のために設けられたパッドを備え、
前記上層電源配線は、前記パッドと同一の配線層に形成されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
チップと、
前記チップ上に設けられたコア領域と、
前記チップ上の、前記コア領域
と前記チップの外辺との間に設けられ、前記チップの外辺に沿う方向である第1方向において隣り合う第1および第2IOセルブロックを含むIO領域とを備え、
前記第1IOセルブロックには、前記第1方向に並ぶ複数のIOセルをそれぞれ備えた2列以上のIOセル列が、前記第1方向と垂直をなす第2方向に並べて配置されており、
前記2列以上のIOセル列は、
前記2列以上のIOセル列の中で、前記チップの端に最も近く配置された第1IOセル列と、
前記第1IOセル列の前記コア領域側に、前記第1IOセル列と隣り合うように配置された第2IOセル列とを含み、
前記第2IOセルブロックには、前記第1方向に並ぶ複数のIOセルを備えた第3IOセル列が、1列のみ、配置されており、
前記第1~第3IOセル列における前記IOセルは、それぞれ、前記第2方向において分かれて設けられた、高電源電圧領域と低電源電圧領域とを有し、
前記第1および第2IOセル列は、前記高電源電圧領域同士が対向するように、配置されており、
前記第3IOセル列は、前記高電源電圧領域が前記チップの端の側に位置するように、配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列と、前記第3IOセル列とは、前記第1方向に沿って一列に並ぶように配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項11】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第3IOセル列における前記IOセルは、前記第2方向におけるサイズおよび位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項12】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセルブロックと、前記第2IOセルブロックとの間に、前記第2方向に延びる電源配線が配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項13】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記高電源電圧領域は、前記第2方向において分かれて設けられた、P型トランジスタ領域とN型トランジスタ領域とを有し、
前記第1IOセル列と前記第2IOセル列とは、前記P型トランジスタ領域同士が対向するように、配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項14】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列における前記IOセルは、前記第2方向におけるサイズおよび位置が同一であり、
前記第2IOセル列における前記IOセルは、前記第2方向におけるサイズおよび位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項15】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列と前記第2IOセル列とにおいて、対向する前記IOセルは、前記第1方向におけるサイズと位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項16】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2IOセル列において、対向するIOセルの組同士の間に、信号配線が通過可能なスペースが設けられている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項17】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2IOセル列において、対向するIOセル同士の間に、前記第1方向に延びる電源配線が配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項18】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1および第2IOセル列における前記IOセルは、前記高電源電圧領域に、前記第1方向に延びる第1電源配線が配置されており、
前記第1および第2IOセル列において、前記第1電源配線よりも上層の配線層に、前記第2方向に延びるように形成され、前記第1電源配線同士を接続する上層電源配線が配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項19】
請求項18記載の半導体集積回路装置において、
前記チップの外部との接続のために設けられたパッドを備え、
前記上層電源配線は、前記パッドと同一の配線層に形成されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チップ上にコア領域とIO領域とが配置された半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路は、大規模化が進み、入出力信号数が増大している。このため、コア領域の周囲に入出力セル(IOセル)を一重に並べて配置すると、IOセルによって半導体集積回路の面積が律束され、半導体集積回路が構成される装置、すなわち半導体集積回路装置の面積が増大する場合がある、という問題がある。
【0003】
特許文献1では、IOセルを二重に並べて配置した半導体集積回路装置の構成が開示されている。また、特許文献2では、IOセルを、1列、2列、および、3列に並べて配置した半導体装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-100891号公報
【文献】米国特許出願公開第2005/0127405号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IOセルは一般に、ESD回路や半導体集積回路装置外部へ信号を出力するための出力バッファ等を含む高電源電圧領域と、半導体集積回路装置内部へ信号を入出力するための回路部等を含む低電源電圧領域とを有している。低電源電圧領域では、チップのコア領域に形成された内部回路と同じ電源電圧を使用する。
【0006】
また、近年の微細化の進展により、チップ内部の電源電圧は低下している。ところが、チップ外部の電源電圧はチップ内部の電源電圧ほど低下しておらず、特に各種インターフェース規格などのために低電圧化が進んでいない場合がある。このため、IOセルにおいて、高電源電圧領域と低電源電圧領域との電源電位の差が大きくなっている。
【0007】
このため、高電源電圧領域と低電源電圧領域とで、トランジスタやウェルにかかる電圧の差が大きくなっており、いわゆるラッチアップエラーによる破壊が発生しやすくなっている。ラッチアップエラーを防ぐためには、高電源電圧領域と低電源電圧領域との間で、トランジスタ間やウェル間の距離を十分に大きくする必要がある。特に、高電源電圧領域において、チップ外部端子と直接接続されてチップ外部からのノイズが印加されやすい出力バッファやESD回路について、この対処が必要になる。
【0008】
ところが、例えば特許文献1の
図1の構成では、2列目のIOセルは、高電源電圧側である外部信号端子14bがコア領域の方に向いているため、ラッチアップエラーを防ぐためには、IOセルとコア領域との間にスペースを大きくとる必要がある。また、特許文献2の
図2の構成では、1列目のIOセル27の低電源電圧側と2列目のIOセル28の高電源電圧側とが向かい合っているため、ラッチアップエラーを防ぐためには、IOセル27,28の間にスペースを大きくとる必要がある。
【0009】
したがって、特許文献1,2の構成では、ラッチアップエラーの問題に対処するためには、半導体集積回路装置の面積が増大してしまうことになり、好ましくない。
【0010】
本開示は、複数列のIOセルを備えた半導体集積回路装置について、面積の増大を招くことなく、ラッチアップエラーを回避可能となる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様では、半導体集積回路装置は、チップと、前記チップ上に設けられたコア領域と、前記チップ上の、前記コア領域の周囲に設けられたIO領域とを備え、前記IO領域には、前記チップの外辺に沿う方向である第1方向に並ぶ複数のIOセルをそれぞれ備えた2列以上のIOセル列が、前記第1方向と垂直をなす第2方向に並べて配置されており、前記2列以上のIOセル列は、前記2列以上のIOセル列の中で、前記チップの端に最も近く配置された第1IOセル列と、前記第1IOセル列の前記コア領域側に、前記第1IOセル列と隣り合うように配置された第2IOセル列とを含み、前記第1および第2IOセル列における前記IOセルは、それぞれ、前記第2方向において分かれて設けられた、高電源電圧領域と低電源電圧領域とを有し、前記第1および第2IOセル列は、前記高電源電圧領域同士が対向するように、配置されている。
【0012】
この態様によると、半導体集積回路装置は、チップの端に最も近く配置された第1IOセル列と、第1IOセル列のコア領域側に、第1IOセル列と隣り合うように配置された第2IOセル列とを含む。第1および第2IOセル列におけるIOセルは、それぞれ、IOセルが並ぶ方向と垂直をなす第2方向において分かれて設けられた、高電源電圧領域と低電源電圧領域とを有している。そして、第1および第2IOセル列は、高電源電圧領域同士が対向するように、配置されている。すなわち、第1IOセル列と第2IOセル列とにおいて対向するのは高電源電圧領域同士であるため、第1IOセル列と第2IOセル列との間に、ラッチアップエラーを回避するためにスペースをとる必要がない。また、第2IOセル列のコア領域側には低電源電圧領域が位置するため、第2IOセル列のコア領域側にも、ラッチアップエラーを回避するためにスペースをとる必要がない。したがって、半導体集積回路装置の面積の増大を招くことなく、ラッチアップエラーを回避可能となる。
【0013】
本開示の他の態様では、半導体集積回路装置は、チップと、前記チップ上に設けられたコア領域と、前記チップ上の、前記コア領域の周囲に設けられ、前記チップの外辺に沿う方向である第1方向において隣り合う第1および第2IOセルブロックを含むIO領域とを備え、前記第1IOセルブロックには、前記第1方向に並ぶ複数のIOセルをそれぞれ備えた2列以上のIOセル列が、前記第1方向と垂直をなす第2方向に並べて配置されており、前記2列以上のIOセル列は、前記2列以上のIOセル列の中で、前記チップの端に最も近く配置された第1IOセル列と、前記第1IOセル列の前記コア領域側に、前記第1IOセル列と隣り合うように配置された第2IOセル列とを含み、前記第2IOセルブロックには、前記第1方向に並ぶ複数のIOセルを備えた第3IOセル列が、1列のみ、配置されており、前記第1~第3IOセル列における前記IOセルは、それぞれ、前記第2方向において分かれて設けられた、高電源電圧領域と低電源電圧領域とを有し、前記第1および第2IOセル列は、前記高電源電圧領域同士が対向するように、配置されており、前記第3IOセル列は、前記高電源電圧領域が前記チップの端の側に位置するように、配置されている。
【0014】
この態様によると、半導体集積回路装置は、IOセルが並ぶ方向と同じ第1方向に隣り合う第1およびIOセルブロックを備えている。第1IOセルブロックは、チップの端に最も近く配置された第1IOセル列と、第1IOセル列のコア領域側に、第1IOセル列と隣り合うように配置された第2IOセル列とを含む。第2IOセルブロックは、第3IOセル列を1列のみ、含む。第1~第3IOセル列におけるIOセルは、それぞれ、IOセルが並ぶ方向と垂直をなす第2方向において分かれて設けられた、高電源電圧領域と低電源電圧領域とを有している。そして、第1および第2IOセル列は、高電源電圧領域同士が対向するように、配置されている。すなわち、第1IOセル列と第2IOセル列とにおいて対向するのは高電源電圧領域同士であるため、第1IOセル列と第2IOセル列との間に、ラッチアップエラーを回避するためにスペースをとる必要がない。また、第2IOセル列のコア領域側には低電源電圧領域が位置するため、第2IOセル列のコア領域側にも、ラッチアップエラーを回避するためにスペースをとる必要がない。また、第3IOセル列は、高電源電圧領域がチップの端の側に位置するように、配置されている。すなわち、第3IOセル列のコア領域側には低電源電圧領域が位置するため、第3IOセル列のコア領域側にも、ラッチアップエラーを回避するためにスペースをとる必要がない。したがって、半導体集積回路装置の面積の増大を招くことなく、ラッチアップエラーを回避可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る半導体集積回路装置によると、半導体集積回路の面積の増加を招くことなく、ラッチアップエラーを回避可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る半導体集積回路装置の全体構成を模式的に示す平面図
【
図3】第1実施形態に係る半導体集積回路装置におけるIOセルの配置例
【
図6】第2実施形態に係る半導体集積回路装置におけるIOセルの配置例
【
図7】(a),(b)は
図6のIOセル配置の比較例
【
図8】
図6のIOセル配置において、デッドスペースに電源配線を設けた例
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は実施形態に係る半導体集積回路装置の全体構成を模式的に示す平面図である。
図1に示す半導体集積回路装置は、チップ1上に、内部コア回路が形成されたコア領域2と、インターフェース回路(IO回路)が形成されたIO領域3とが設けられている。IO領域3は、コア領域2の周囲に設けられている。IO領域3には、チップ1の外辺に沿うように、2列のIOセル列10A,10Bが配置されている。ただし、IO領域3の一部では、1列のIOセル列10Cのみが配置されている。なお、IO領域3に配置されるIOセル列は、全て2列であってもかまわない。あるいは、2列以上のIOセル列が配置されていてもかまわない。
図1では図示を簡略化しているが、IOセル列10A,10B,10Cにはそれぞれ、インターフェース回路を構成する複数のIOセル10が並んでいる。また
図1では図示を省略しているが、半導体集積回路装置1には、複数の外部接続パッドが配置されている。
【0019】
図2はIOセル10の構成例である。なお、
図2では、IOセルの内部構成や信号配線等については図示を省略している。以降の図でも同様である。IOセルは一般に、ESD回路や半導体集積回路装置外部へ信号を出力するための出力バッファ等を含む高電源電圧領域と、半導体集積回路装置内部へ信号を入出力するための回路部等を含む低電源電圧領域とを有している。そして、
図2のIOセル10は、Y方向(図面縦方向)において、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12とに分かれている。なおここでは、X方向はチップ1の外辺に沿う方向であり、IOセル10が並ぶ第1方向に相当する。Y方向はチップ1の端からコア領域2に向かう方向であり、X方向と平面視で垂直をなす第2方向に相当する。
【0020】
低電源電圧領域11では、P型トランジスタおよびN型トランジスタが混載されている。P型トランジスタはP型トランジスタ領域に形成されており、N型トランジスタはN型トランジスタ領域に形成されている。高電源電圧領域12では、P型トランジスタが形成されるP型トランジスタ領域12aとN型トランジスタが形成されるN型トランジスタ領域12bとが、Y方向に分かれて設けられている。P型トランジスタ領域12aには、X方向に延び、IO用電源電位VDDIOをIOセル10に供給する電源配線21が設けられている。N型トランジスタ領域12bには、X方向に延び、接地電位VSSをIOセル10に供給する電源配線22が設けられている。なお、図示を省略しているが、低電源電圧領域11にも、電源配線が設けられている。また、IOセル10の低電源電圧領域11および高電源電圧領域12には、トランジスタ以外のデバイス例えばダイオードが形成されていてもよい。
【0021】
(第1実施形態)
図3は第1実施形態に係る半導体集積回路装置におけるIOセル10の配置例を示す図であり、
図1の部分X1の拡大図に相当する。
図3において、2列のIOセル列10A,10Bは、それぞれ、X方向(図面横方向、チップ1の外辺に沿う方向)に並ぶ複数のIOセル10を備えており、Y方向(図面縦方向、チップ1の端からコア領域2に向かう方向)に並べて配置されている。第1IOセル列に相当するIOセル列10Aは、Y方向に並べて配置された2列以上のIOセル列(ここではIOセル列10A,10B)の中で、チップ1の端に最も近く配置されている。第2IOセル列に相当するIOセル列10Bは、IOセル列10Aのコア領域2側に、IOセル列10Aと隣り合うように配置されている。
【0022】
図3の配置例では、IOセル列10Aは、高電源電圧領域12がコア領域2側に位置するように、各IOセル10が配置されており、IOセル列10Bは、低電源電圧領域11がコア領域2側に位置するように、各IOセル10が配置されている。すなわち、2列のIOセル列10A,10Bは、高電源電圧領域12同士が対向するように、配置されている。なお、
図3の配置例では、IOセル列10AにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であり、IOセル列10BにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしている。また、IOセル列10AとIOセル列10Bとにおいて、対向するIOセル10は、X方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしている。
【0023】
図3の配置例では、IOセル列10AとIOセル列10Bとは、同じ高電源電圧領域12のN型トランジスタ領域12b同士が対向しているため、IOセル列10AとIOセル列10Bとの間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない(
図3の矢印A1)。また、IOセル列10Bは、コア領域2側に低電源電圧領域11が位置しているため、IOセル列10Bとコア領域2との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない(
図3の矢印A2)。
【0024】
図4は比較例に係るIOセル配置を示す図である。
図4の構成では、2列のIOセル列10G,10Hはいずれも、低電源電圧領域11がコア領域2側に位置するように、各IOセル10が配置されている。この配置では、IOセル列10Gの低電源電圧領域11とIOセル列10Hの高電源電圧領域12とが対向しているため、ラッチアップエラーを回避するためには、IOセル列10GとIOセル列10Hとの間にスペースをとる必要がある。このため、IOセル列10GとIOセル列10Hとの間にデッドスペースDSが生じることになり、半導体集積回路装置の面積増大につながってしまう。
【0025】
これに対して
図3の配置例では、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がないので、半導体集積回路装置の面積の増大を招くことなく、ラッチアップエラーを回避可能となる。
【0026】
図5は
図3の配置例の変形例である。
図5の配置例では、IOセル10に代えて、高電源電圧領域におけるP型トランジスタ領域とN型トランジスタ領域の位置が入れ替わったIOセル15が、配置されている。すなわち、IOセル15は、低電源電圧領域16と高電源電圧領域17とがY方向に分かれて設けられており、高電源電圧領域17は、P型トランジスタ領域17aとN型トランジスタ領域17bとがY方向に分かれて設けられている。
【0027】
そして、
図3の配置例と同様に、IOセル列15Aは、高電源電圧領域17がコア領域2側に位置するように、各IOセル15が配置されており、IOセル列15Bは、低電源電圧領域16がコア領域2側に位置するように、各IOセル15が配置されている。すなわち、2列のIOセル列15A,15Bは、高電源電圧領域17同士が対向するように、配置されている。この配置により、
図3の配置例と同様に、IOセル列15AとIOセル列15Bとの間にスペースをとる必要がなく、またIOセル列15Bは、コア領域2側に低電源電圧領域16が位置しているため、IOセル列15Bとコア領域2との間にスペースをとる必要がない。
【0028】
また、
図2に示すIOセル10の構成では、高電源電圧領域12のP型トランジスタ領域12aにおけるN型ウェルと、P型/N型トランジスタが混載された低電源電圧領域11との間に大きな電位差がある。このため、P型トランジスタ領域12aと低電源電圧領域11との間に、大きなスペースをとる必要がある。これに対して、
図5に示すIOセル15の構成では、N型トランジスタ領域17bと低電源電圧領域16との間に大きなスペースをとる必要がないので、IOセル面積をより小さくすることができる。
【0029】
なお、
図2に示すIOセル10の構成では、低電源電圧領域11はP型/N型トランジスタが混載されるものとしたが、低電源電圧領域11において、P型トランジスタ領域とN型トランジスタ領域とをY方向に分けて設けてもよい。この場合、
図2において、低電源電圧領域11は、図面上側にN型トランジスタ領域を設けて、下側にP型トランジスタ領域を設ける方が好ましい。すなわち、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との間では、同一導電型のトランジスタ領域(この場合はP型トランジスタ領域)が対向する方が、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との間の電位差がより小さくなる。また、
図5に示すIOセル15の構成では、同じ理由により、低電源電圧領域16をY方向に分ける場合は、図面上側にP型トランジスタ領域を設けて、下側にN型トランジスタ領域を設ける方が好ましい。
【0030】
なお、本実施形態では、2列のIOセル列10A,10Bが配置されているものとしたが、IOセル列の列数は2列に限られるものではない。例えば、4列のIOセル列を配置する場合には、上述したIOセル列10A,10Bの配置を、Y方向に2組並べればよい。この場合も、本実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0031】
また、
図3の配置例では、IOセル列10AにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であり、IOセル列10BにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。また、IOセル列10AとIOセル列10Bとにおいて、対向するIOセル10は、X方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。
【0032】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態に係る半導体集積回路装置におけるIOセル10の配置例を示す図であり、
図1の部分X2の拡大図に相当する。
図6において、第1IOセルブロック4と、第2IOセルブロック5とは、X方向において隣り合っている。第1IOセルブロック4におけるIOセル10の配置は、
図3の構成と同様である。すなわち、2列のIOセル列10A,10Bは、それぞれ、X方向に並ぶ複数のIOセル10を備えており、Y方向に並べて配置されている。第1IOセル列に相当するIOセル列10Aは、Y方向に並べて配置された2列以上のIOセル列(ここではIOセル列10A,10B)の中で、チップ1の端に最も近く配置されている。第2IOセル列に相当するIOセル列10Bは、IOセル列10Aのコア領域2側に、IOセル列10Aと隣り合うように配置されている。
【0033】
また、第2IOセルブロック5は、X方向に並ぶ複数のIOセル10を備えた、第3IOセル列に相当するIOセル列10Cを、1列のみ、備えている。
図6の構成では、IOセル列10AとIOセル列10Cとは、X方向に沿って一列に並ぶように配置されている。
【0034】
図6の配置例では、第1IOセルブロック4において、IOセル列10Aは、高電源電圧領域12がコア領域2側に位置するように、各IOセル10が配置されており、IOセル列10Bは、低電源電圧領域11がコア領域2側に位置するように、各IOセル10が配置されている。すなわち、2列のIOセル列10A,10Bは、高電源電圧領域12同士が対向するように、配置されている。なお、
図6の配置例では、IOセル列10AにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であり、IOセル列10BにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしている。また、IOセル列10AとIOセル列10Bとにおいて、対向するIOセル10は、X方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしている。また、IOセル列10A,10CにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしている。
【0035】
第1IOセルブロック4では、IOセル列10AとIOセル列10Bとは、同じ高電源電圧領域12のN型トランジスタ領域12b同士が対向しているため、IOセル列10AとIOセル列10Bとの間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない。また、IOセル列10Bは、コア領域2側に低電源電圧領域11が位置しているため、IOセル列10Bとコア領域2との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない。これらの作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0036】
また、第2IOセルブロック5では、IOセル列10Cは、高電源電圧領域12がチップ1の端の側に位置するように、配置されている。すなわち、第1IOセルブロック4におけるIOセル列10Aと第2IOセルブロック5におけるIOセル列10Cとでは、IOセル10の向きが逆になっている。そして、第1IOセルブロック4と第2IOセルブロック5との間に、高電源電圧領域と低電源電圧領域またはコア領域とが隣接しているために、デッドスペースDSが生じている。
【0037】
図7は比較例に係るIOセル配置を示す図である。
図7では、長さが異なるIOセル列10I,10Jが配置されており、IOセル配置はIOセル列が2列の部分と1列の部分を含む。
図7(a)では、IOセル10の向きが全て同一である。このため、IOセル列が2列の部分において、IOセル列10IとIOセル列10Jとの間に
図4と同様の理由によりスペースを設ける必要があるため、デッドスペースが生じている。なお、IOセル列10Jの右側にも一部、高電源電圧領域とコア領域とが隣接しているために、デッドスペースが生じている。
図7(b)では、IOセル列10Iの全体において、IOセル10の向きを逆にしている。このため、IOセル列が2列の部分では、高電源電圧領域12同士が対向しているため、IOセル列10IとIOセル列10Jとの間にデッドスペースは生じていない。ところが、IOセル列が1列の部分では、高電源電圧領域12がコア領域側にあるので、その全体にわたって、高電源電圧領域とコア領域とが隣接しているためコア領域側にデッドスペースが生じている。
【0038】
これに対して、
図6の構成では、第1IOセルブロック4において、IOセル列10A,10Bの間にはデッドスペースは生じない。また、第2IOセルブロック5において、IOセル列10Cの低電源電圧領域11がコア領域側にあるので、コア領域側にデッドスペースは生じない。すなわち、第1IOセルブロック4、すなわちIOセル列が2列の部分において、
図7(a)のように、その全体にわたってデッドスペースが生じることがない。また、第2IOセルブロック5、すなわちIOセル列が1列の部分において、
図7(b)のように、その全体にわたってデッドスペースが生じることもない。したがって、第1IOセルブロック4と第2IOセルブロック5との間にデッドスペースDSが生じているものの、第1および第2IOセルブロック4,5の全体で見た場合、デッドスペースの全体量を大幅に抑制することができる。したがって、半導体集積回路装置の面積を小さく抑えつつ、ラッチアップエラーを回避することができる。
【0039】
図8は
図6の構成において、デッドスペースに電源配線を設けた例である。
図8の構成では、第1IOセルブロック4と、第2IOセルブロック5との間に、Y方向に延びる電源配線23,24が配置されている。電源配線23は、第1IOセルブロック4に配置された電源配線21と、第2IOセルブロック5に配置された電源配線21とを接続する配線であり、電源配線21よりも上層の配線層に形成されている。電源配線24は、第1IOセルブロック4に配置された電源配線22と、第2IOセルブロック5に配置された電源配線22とを接続する配線であり、電源配線22よりも上層の配線層に形成されている。
図8の構成では、第1IOセルブロック4と第2IOセルブロック5との間のデッドスペースを有効活用して、電源を強化することができる。
【0040】
なお、
図6の構成では、IOセル列10AにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であり、IOセル列10BにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。また、IOセル列10AとIOセル列10Bとにおいて、対向するIOセル10は、X方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。さらに、
図6の構成では、IOセル列10A,10CにおけるIOセル10は、Y方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。また、
図6の構成では、IOセル列10AとIOセル列10Cとは、X方向に沿って一列に並ぶように配置されているものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。
【0041】
(他の構成例)
図9はIOセル配置の他の例である。
図9の配置例は、
図6の配置例とほぼ同様である。ただし、第1IOセルブロック4において、信号配線が通過可能なスペースが設けられている点が、
図6と異なっている。すなわち、IOセル列10A,10Bにおいて、対向するIOセル10の組同士の間に、信号配線が通過可能なスペースS1が設けられている。また、IOセル列10Aのチップ1の端の側に、信号配線が通過可能なスペースS2が設けられている。IOセル10では通常、低電源電圧領域11の端部に入出力部が設けられている。このため、スペースS1,S2を設けたことによって、IOセル列10Aの各IOセル10の入出力部と、コア領域2に設けられた内部コア回路との接続が容易になる。
【0042】
なお、第1実施形態において、
図9の配置例と同様に、信号配線が通過可能なスペースを設けてもよい。
【0043】
図10はIOセル配置の他の構成例である。
図10では、図示の便宜上、対向する一組のIOセル10の構成を示している。実際には、
図10に示す一組のIOセル10がX方向に並ぶことによって、2列のIOセル列が構成される。
図10では、対向するIOセル10同士の間に、X方向に延びる電源配線25が配置されている。この電源配線25によって、電源がより強化される。ここでは、電源配線25は、例えば接地電位VSSの供給を強化するものとする。ただし、電源電位VDDIOの供給を強化するものとしてもよい。上述の第1または第2実施形態において、
図10のような構成をとってもいい。
【0044】
図11はIOセル配置の他の構成例である。
図11では、図示の便宜上、対向する一組のIOセル10の構成を示している。実際には、
図11に示す一組のIOセル10がX方向に並ぶことによって、2列のIOセル列が構成される。
図11では、チップ1の外部との接続のために設けられたパッド30が示されている。なお、IOセル10とパッド30との接続配線は図示を省略している。そして、
図11では、パッド30と同一配線層において、Y方向に延びる上層電源配線26,27が配置されている。上層電源配線26は、対向するIOセル10の電源配線21同士を接続する。上層電源配線27は、対向するIOセル10の電源配線22同士を接続する。これら上層電源配線26,27によって、電源がより強化される。上述の第1または第2実施形態において、
図11のような構成をとってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示によると、半導体集積回路装置について、面積の増加を招くことなく、ラッチアップエラーを回避可能であるので、例えば、LSIの小型化や性能向上に有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 チップ
2 コア領域
3 IO領域
4 第1IOセルブロック
5 第2IOセルブロック
10 IOセル
10A IOセル列(第1IOセル列)
10B IOセル列(第2IOセル列)
10C IOセル列(第3IOセル列)
11 低電源電圧領域
12 高電源電圧領域
12a P型トランジスタ領域
12b N型トランジスタ領域
15 IOセル
15A,15B IOセル列
16 低電源電圧領域
17 高電源電圧領域
17a P型トランジスタ領域
17b N型トランジスタ領域
21,22 電源配線
25 電源配線
26,27 上層電源配線
30 パッド
S1,S2 信号配線が通過可能なスペース