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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
A63F5/04 612
A63F5/04 620
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020110748
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007659
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2020-10-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】塩原 弘節
(72)【発明者】
【氏名】末岡 直也
【審査官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-051421(JP,A)
【文献】特開2015-136531(JP,A)
【文献】特開2015-198773(JP,A)
【文献】特開2018-138085(JP,A)
【文献】特開2020-048590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当たりおよびハズレを含む抽せん媒体を複数有する抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う特別当否抽せん部を備え、
前記特別当否抽せんは、前記抽せん群の中から選択された1つの前記抽せん媒体に応じて当否が決定され、選択された前記抽せん媒体が前記抽せん群から除外されて次回の抽せんが行われる、遊技機であって、
複数の回転リールと、
遊技者によりそれぞれ操作可能なスタートスイッチおよび複数のストップスイッチと、
前記スタートスイッチおよび前記複数のストップスイッチの操作に基づいて、前記複数の回転リールを制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記特別当否抽せん部と、
前記回転リールが全て停止している状態で行われた前記スタートスイッチの操作に伴って内部抽せんを行う内部抽せん部と
を有し、
前記特別当否抽せん部は、
前記内部抽せんにより当せんした役に応じて、抽せんに当せんしたか否かを判定する成功判定と、抽せんに落せんしたか否かを判定する失敗判定とのいずれの判定を行うかを決定する判定部を有し、
決定された判定の当否が前記特別当否抽せんにより決定される、遊技機。
【請求項2】
当たりおよびハズレを含む抽せん媒体を複数有する抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う特別当否抽せん部を備え、
前記特別当否抽せんは、前記抽せん群の中から選択された1つの前記抽せん媒体に応じて当否が決定され、選択された前記抽せん媒体が前記抽せん群から除外されて次回の抽せんが行われる、遊技機であって、
前記特別当否抽せんが、第1の特別当否抽せんと、前記第1の特別当否抽せんとは異なる第2の特別当否抽せんとを有し、
前記特別当否抽せん部は、同じ前記抽せん群を用いて、前記第1の特別当否抽せんと前記第2の特別当否抽せんとを実行可能である、遊技機。
【請求項3】
当たりおよびハズレを含む抽せん媒体を複数有する抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う特別当否抽せん部を備え、
前記特別当否抽せんは、前記抽せん群の中から選択された1つの前記抽せん媒体に応じて当否が決定され、選択された前記抽せん媒体が前記抽せん群から除外されて次回の抽せんが行われる、遊技機であって、
指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間である通常区間と、前記指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間である有利区間とを含む複数の遊技区間の中から内部抽せんが行われる1つの遊技区間を設定する区間制御部をさらに備え、
前記特別当否抽せん部は、
遊技区間が前記有利区間に設定された場合に、前記抽せん群の構成を設定する、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、AT遊技が実行可能な有利区間と、AT遊技が実行不可能な通常区間とを有する遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-078981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技機分野においては、遊技者のニーズに応えるために、多種多様な遊技性を提供可能な遊技機が求められている。
【0005】
本発明は、新たな遊技性を提供可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の遊技機は、
当たりおよびハズレを含む抽せん媒体を複数有する抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う特別当否抽せん部を備え、
前記特別当否抽せんは、前記抽せん群の中から選択された1つの前記抽せん媒体に応じて当否が決定され、選択された前記抽せん媒体が前記抽せん群から除外されて次回の抽せんが行われる。
【発明の効果】
【0007】
前記態様の遊技機によれば、当たりおよびハズレを含む抽せん媒体を複数有する抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う特別当否抽せん部を備える。特別当否抽せんは、抽せん群の中から選択された1つの抽せん媒体に応じて当否が決定される。選択された抽せん媒体が前記ハズレであった場合、選択されたハズレが抽せん群から除外されて次回の特別当否抽せんが行われる。このような構成により、新たな遊技性を提供可能な遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の遊技機であるスロットマシンの前面図。
図2図1のスロットマシンのブロック図。
図3図1のスロットマシンの回転リールの配列を示す図。
図4図1のスロットマシンの有効ラインを示す模式図。
図5図1のスロットマシンの第1遊技状態を説明するための図。
図6図1のスロットマシンの第2遊技状態を説明するための図。
図7図1のスロットマシンの第3遊技状態を説明するための図。
図8図1のスロットマシンの遊技区間を説明するための図。
図9図1のスロットマシンの内部抽せんテーブルの内容を説明するための図。
図10図1のスロットマシンの抽せん群を説明するための第1の図。
図11図1のスロットマシンの抽せん群を説明するための第2の図。
図12図1のスロットマシンの抽せん群を説明するための第3の図。
図13図1のスロットマシンの判定部による判定を用いてAT抽せんを行う場合の処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の遊技機の一例であるスロットマシン1は、図1に示すように、直方体形状の筺体10を備えている。この筺体10は、前面(すなわち、図1の紙面貫通方向の手前側の面)に図示しない開口部と、この開口部を開閉可能な板状の前扉20とを有している。
【0010】
前扉20は、その略中央部分に設けられた透光性の表示窓21を有し、筺体10に対してロック可能に取り付けられている。表示窓21は、前扉20により筺体10の開口部を閉鎖した状態で、後述する各回転リール41,42,43の表面に配置された複数の図柄を視認可能に配置されている。
【0011】
また、筺体10は、表示部の一例の液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24を有している。液晶表示装置22、電飾装置23およびスピーカ24の各々は、前扉20の表示窓21の上部に配置されている。遊技中の各種の演出は、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を用いて行われる。例えば、液晶表示装置22は、遊技中に各種の演出画像(演出動画)を表示したり、所定の情報等を表示したりする。また、電飾装置23は、所定の条件を満たした場合に、所定のパターンで点灯または消灯し、スピーカ24は、所定の条件を満たした場合に、所定の音を出力する。
【0012】
また、筺体10は、メダルが払い出される払い出し口25、払い出し口25から払い出されたメダルを貯留する下皿26および操作部30を有している。払い出し口25、下皿26および操作部30の各々は、前扉20の表示窓21の下部に配置されている。
【0013】
操作部30は、遊技媒体の一例としてのメダルを投入するためのメダル投入口31と、メダルをベットするためのベットスイッチ32と、前扉20に操作可能に設けられ操作により各回転リール41,42,43を回転させるスタートスイッチ33と、前扉20に操作可能に設けられ操作により回転中の各回転リール41,42,43を停止させるストップスイッチ34,35,36とを有している。操作部30の各スイッチは、遊技者の操作に基づいて操作信号を出力する。また、メダル投入口31には図示しないメダルセンサが設けられており、遊技者によるメダル投入口31へのメダルの投入を検出し、検出信号を出力する。
【0014】
なお、操作部30には、他に、精算スイッチ(図示せず)および表示部の一例の貯留メダル表示部(図示せず)等が設けられている。この貯留メダル表示部は、貯留されたメダルの数に加えて、後述する遊技区間が有利区間であることが表示可能に構成されている。また、操作部30は、遊技者の操作によりオンオフ操作可能なスイッチを有し、このスイッチを介して液晶表示装置22に後述する抽せん媒体の総数を表示するか否かを設定可能に構成されている。
【0015】
また、スロットマシン1は、図2に示すように、スロットマシン1全体を制御する制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、メダルを払い出すホッパーユニット50を備えている。制御装置100、回転リールユニット40、回転リール位置検出センサ44、および、ホッパーユニット50は、スロットマシン1の主電源をオン/オフする電源装置(図示せず)、スロットマシン1の設定値を変更するときに管理者が操作する操作部45等と共に、筺体10の内部に配置されている。
【0016】
回転リールユニット40は、筺体10の内部の略中央に配置され、複数の回転リール(この実施形態では、3つの回転リール41,42,43)と、この回転リール41,42,43を駆動するステッピングモータ61,62,63とで構成されている。各回転リール41,42,43は、略円筒状で、その表面には、図3に示すように、各回転リール41,42,43の周方向に沿って間隔を空けて配列された複数の図柄と、基準点(図示せず)とが設けられている。基準点は、例えば、回転リール41,42,43のゼロ番の図柄(ベルA)の中心に配置されている。
【0017】
ここで、図1図9を参照して、スロットマシン1で行われる遊技の概要について説明する。
【0018】
図1に示すように、スロットマシン1で遊技を行う場合、まず、メダルをメダル投入口31から投入する、または、ベットスイッチ32を操作することにより貯留しているメダル(すなわち、クレジット)を使用して、メダルをベットする。予め設定されている規定の枚数(例えば、1~3枚)のメダルがベットされると、有効ラインが有効化され、スタートスイッチ33の操作が可能な状態、すなわち、遊技が開始可能な状態になる。このとき、遊技状態等に応じて設定されている規定の枚数を超えて投入されたメダルは、クレジットとして貯留される。
【0019】
有効ラインは、図4に示すように、役の入賞を決定するための仮想ラインであり、この有効ラインによって、表示窓21に表示される各回転リール41,42,43の図柄が、それぞれ1つずつ連結されている。このスロットマシン1では、有効ラインは、例えば、右下がりライン70で構成され、所定枚数(例えば、3枚)のメダルがベットされることにより有効化される。なお、一例として、このスロットマシン1の表示窓21に表示される図柄は、各回転リールにつき3図柄である。
【0020】
遊技が開始可能な状態でスタートスイッチ33が操作されると、スロットマシン1内で行われる電子計算機によるくじ(以下、内部抽せんという。)が行われ、各回転リール41,42,43の回転が開始される。この状態で、いずれかのストップスイッチ34,35,36が操作されると、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43が停止し、表示窓21に、当せんした役に応じた結果が表示される。全ての回転リール41,42,43が停止すると、入賞した役に応じて、所定の枚数のメダルが払い出され、1ゲームが終了する。この実施形態では、全ての回転リール41,42,43が停止した状態で、内部抽せんにより当せんした役毎に設定された図柄の組み合わせが、有効ライン70上に配置された場合に、有効ライン70上に配置された図柄の組み合わせに対応する役が入賞したと判定される。なお、有効ライン70上に役に対応する図柄の組み合わせが停止しなかった場合(いわゆるハズレ時)も、入賞に含まれる。
【0021】
このように、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33およびストップスイッチ34,35,36を操作して、遊技の結果を得る一連の動作を遊技という。遊技の単位はゲームであり、1ゲームを単位遊技という。
【0022】
また、遊技中は、複数の遊技区間の中から1つの遊技区間が設定され、複数の遊技状態の中から1つ遊技状態が設定される。そして、設定された遊技区間および遊技状態に基づいて、内部抽せんが行われる。遊技状態には、図5図7に示すように、第1遊技状態、第2遊技状態および第3遊技状態が含まれる。
【0023】
第1遊技状態は、内部抽せんにより当せんする役(以下、単に当せん役という。)のうち、リプレイ役の種類(図9参照)およびその当せん確率を決定するための遊技状態であり、一例として、図5に示すように、RT0と、RT1とで構成されている。
【0024】
RT0は、第2遊技状態が特別役実施状態から特別役非持ち越し状態に移行した場合、または、遊技状態の初期化時(例えば、RAMクリア時)に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT1からRT0に移行する)。また、スロットマシン1が店舗等に設置された直後の第1遊技状態もRT0に設定されている。言い換えると、第1遊技状態は、一種BBが実施されている場合を除いて、全てRT0に設定されている。
【0025】
RT1は、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態から特別役実施状態に移行した場合に設定される(すなわち、第1遊技状態がRT0からRT1に移行する)。RT1では、図9に示すように、リプレイ役および一種BBに当せんする可能性はない。また、RT1では、後述する区間移行抽せんおよび後述するAT抽せんが行われない。
【0026】
第2遊技状態は、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されていない特別役非持ち越し状態と、内部抽せんにより当せんした一種BBの入賞が持ち越されている特別役持ち越し状態と、入賞した一種BBを実施するための特別役実施状態とを含む。
【0027】
特別役非持ち越し状態は、特別役実施状態に移行したときから払い出されたメダルが所定数(例えば、180枚または2枚)を超えた場合、または、遊技状態の初期化(例えば、RAMクリア時)などの所定条件を満たした場合に設定される。
【0028】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより一種BBに当せんしかつ後述する所定の条件を満たした場合に設定される。一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置(いわゆるビッグボーナス)であり、特別役の一例である。一種BBが持ち越されている場合、一種BBの抽せんは行われない。また、持ち越されている一種BBのフラグは、設定値を変更しても消滅しないように構成されているが、消滅するように構成しても構わない。
【0029】
特別役実施状態は、内部抽せんにより特別役に当せんしかつ入賞した場合に設定され、一種BB実施状態(図6中、BB一般で示す。)と、RB持ち越し状態(図6中、JAC内部で示す)およびRB実施状態(図6中、JAC中で示す)を含んでいる。BB一般は、特別役が入賞した場合に設定される。BB一般は、役物非内部状態の一例で、内部抽せんにより特別役物の一例のRB(図9のJAC1~4)に当せんしていない場合に設定される。JAC内部は、役物内部状態の一例で、第2遊技状態が一種BB実施状態BB一般であるときに、内部抽せんによりRB(すなわち、図9のJAC1~4)に当せんしかつRBが入賞していない場合に設定される。JAC中は、役物実施状態の一例で、当せんしたRBが入賞した場合に設定される。JAC中は、JAC中に移行したときから12ゲーム消化するか、または、JAC中に何らかの役が8回入賞することで、BB一般に移行する。
【0030】
第3遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、一例として、図7に示すように、一般遊技状態とATとで構成されている。
【0031】
一般遊技状態は、指示機能が発生しない状態であり、例えば、設定値の変更後、RAMクリア後およびAT終了後、AT抽せんに当せんするまで設定される。スロットマシン1では、一般遊技状態として、通常状態と、AT抽せんに当せんする確率が通常状態よりも高い高確率状態(いわゆるチャンスゾーン)とを有している。AT抽せんは、一例として、第1遊技状態がRT0であり、かつ、遊技区間が有利区間である場合に、内部抽せんにより当せんした役に応じて行われる。通常状態から高確率状態への移行は、例えば、第1遊技状態がRT0でかつ遊技区間が有利区間である場合に内部抽せんが行われ、その結果、AT抽せんに当せんしなかった場合に行われる高確率状態移行抽せんに当せんすることで行われる。なお、一般遊技状態には、ATとは異なるが押し順役の操作手順の報知が発生する状態が含まれていてもよい。
【0032】
ATは、指示機能が発生する特別遊技状態の一例であり、第3遊技状態がATに移行したときから経過した遊技数が、ATで遊技可能な遊技数(すなわち、ATゲーム数)に到達するまで設定される。ATでは、メダルの払い出しのある押し順役の押し順の報知が行われ、一般遊技状態(例えば、通常状態)よりもメダルの獲得期待値が高くなるように構成されている。
【0033】
なお、ATおよび高確率状態は、通常状態よりも遊技者にとって有利な有利状態の一例であり、AT抽せんおよび高確率状態移行抽せんは、有利状態抽せんの一例である。また、ATまたは高確率状態の延長抽せんも有利状態抽せんに含んでも構わない。
【0034】
遊技区間は、指示機能に係る処理が行われるか否かを決定するための状態であり、一例として、図8に示すように、有利区間と通常区間とで構成されている。
【0035】
有利区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行可能な区間であり、遊技区間が通常区間で行われた内部抽せんの結果に基づいて行われる区間移行抽せんに当せんした後、有利区間が終了する条件を満たすまで設定される。なお、有利区間には、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、第3遊技状態が特別遊技状態(すなわち、AT)で進行する有利区間とが含まれる。
【0036】
通常区間は、指示機能に係る処理および抽せんを実行不可能な区間であり、遊技区間として有利区間が設定されていない場合に設定される。通常区間は、第3遊技状態が一般遊技状態で進行する。
【0037】
なお、指示機能とは、出玉に影響する操作手順(例えば、押し順役の押し順)または操作方法を何らかの方法によって遊技者に教える機能であり、例えば、ストップスイッチ34,35,36を所定の操作手順で操作することで入賞可能な押し順役の押し順を指示する機能、または、ストップスイッチ34,35,36の操作が行われたときの回転リール41,42,43の位置が予め定められた操作位置であった場合に入賞可能な役の操作位置を指示する機能をいう。すなわち、遊技区間が有利区間である場合にのみ、第3遊技状態としてATが設定される。
【0038】
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、図2に示すように、メイン制御部110とサブ制御部120とで構成されている。
【0039】
メイン制御部110およびサブ制御部120の各々は、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラムまたはデータ等を記憶しておく記憶装置(例えば、ROMおよびRAM)等を備えている。メイン制御部110は、内部抽せん部111と、回転リール制御部112と、遊技結果判定部113と、区間制御部114と、遊技状態制御部115と、計測部116と、設定値制御部117と、特別当否抽せん部118とを有し、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部120は、演出制御部121を有し、各種演出等を行うための制御を行う。
【0040】
なお、以下に説明するメイン制御部110およびサブ制御部120の各部は、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現される機能である。
【0041】
内部抽せん部111は、複数の内部抽せんテーブルを有し、スタートスイッチ33の操作の受付に伴って、内部抽せんを行う。詳しくは、内部抽せん部111は、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときの第1遊技状態(言い換えると、RT状態)を判定し、判定されたRT状態に基づいて内部抽せんテーブルを選択する。そして、内部抽せん部111は、選択された内部抽せんテーブルと、スタートスイッチ33の操作が受け付けられたときに取得される乱数とに基づいて、内部抽せんを行う。
【0042】
例えば、当せん役については、図9に示す内部抽せんテーブルに基づいて決定される。この内部抽せんテーブルは、RT状態毎に設けられており、内部抽せんにより当せんの可能性がある当せん領域に関する情報を有している。この当せん領域には、図柄の組み合わせが対応付けられている役が、少なくとも1つ設定されている。
【0043】
図9では、RT状態および第2遊技状態毎に、当せんする可能性のある当せん領域が“○”で示され、当せんする可能性のない当せん領域が“×”で示されている。すなわち、各内部抽せんテーブルには、スタートスイッチ33の操作が行われた場合に取得される乱数に対応する役が記憶されている複数の領域(置数の領域)が設けられており、この領域の各々が、図9の“○”で示されている当せん領域にそれぞれ対応付けられている。
【0044】
例えば、スロットマシン1は、内部抽せんに当せんする役として、ストップスイッチ34、35、36を所定の操作手順で操作することにより遊技媒体の払い出しが最大となる押し順役を有している。このスロットマシン1では、図9に示すように、押し順役として、「左正解ベル」、「中・左・右ベル」、「中・右・左ベル」、「右・左・中ベル」および「右・中・左ベル」を有している。各押し順役に当せんした場合、複数の役に同時に当せんする。これにより、各押し順役は、設定されている操作順通りにストップスイッチ34,35,36が操作された場合は、8枚のメダルの払い出される「ベル」が入賞する一方、設定されている操作順とは異なる順番でストップスイッチ34,35,36が操作された場合は、「ハズレ」または「1枚役」が入賞するように構成されている。
【0045】
回転リール制御部112は、スタートスイッチ33または各ストップスイッチ34、35、36の操作の受付に伴って回転リールユニット40のステッピングモータ61,62,63を制御して、各回転リール41,42,43の回転を開始または停止させる(すなわち、回転リール41,42,43の回転を制御する)。
【0046】
例えば、全ての回転リール41,42,43が停止している状態でスタートスイッチ33が操作された場合、回転リール制御部112は、全ての回転リール41,42,43を回転させる。いずれかの回転リール41,42,43が回転している状態で、回転中の回転リール41,42,43に対応するストップスイッチ34,35,36が操作された場合、回転リール制御部112は、操作されたストップスイッチ34,35,36に対応する回転リール41,42,43を停止させる。
【0047】
各回転リール41、42、43を停止させる場合、回転リール制御部112は、内部抽せんにより当せんした役と、各ストップスイッチ34,35,36が操作されたタイミング(すなわち、各ストップスイッチ34、35、36の操作が受け付けられたときの対応する回転リール41、42、43の位置)に応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御は、当せんした役に対応する図柄を有効ライン70上に引き込むように各回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御は、当せんしていない役に対応する図柄が有効ライン70上に揃わないように回転リール41,42,43の回転を停止させる制御である。
【0048】
遊技結果判定部113は、内部抽せんの結果および回転リール41,42,43の停止制御の結果に基づいて、遊技の結果を判定する。遊技の結果には、例えば、有効ライン上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かの判定が含まれる。
【0049】
また、遊技結果判定部113は、判定した遊技の結果、または、精算スイッチの操作の受付に基づいて、ホッパーユニット50を制御し、メダルの払い出しを行う。遊技の結果に基づいて払い出されたメダル(すなわち、役の当せんまたは入賞により得られたメダル)は、まず、クレジットとして貯留される。そして、メダルを貯留した結果、クレジットの上限(例えば、50枚)を超えた場合には、その上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、1枚以上の貯留メダルがある場合(すなわち、クレジットが1以上の場合)に精算スイッチが操作された場合には、貯留されているメダルがホッパーユニット50から払い出される。
【0050】
さらに、遊技結果判定部113は、例えば、第3遊技状態がATに移行した場合、第3遊技状態がATに移行したことを表す信号をホールコンピュータに出力して、管理者に報知する。
【0051】
区間制御部114は、複数の遊技区間(この実施形態では、通常区間および有利区間)の中から遊技区間を設定する。
【0052】
具体的には、区間制御部114は、遊技区間が通常区間である場合に、遊技区間を通常区間のままとするか、または、有利区間に設定するかの抽せんである区間移行抽せんを行い、区間移行抽せんに当せんした場合に遊技区間を有利区間に設定する。区間移行抽せんの当否は、例えば、当せんにより区間移行抽せんが行われる役(すなわち、抽せん対象役)に内部抽せんにより当せんした場合に行われる抽せんに当せんしたか否かで決定される。
【0053】
なお、区間移行抽せんは、スロットマシン1の設定値によって当せん確率に差を設けてもよいし、設けなくてもよい。区間移行抽せんの当せん確率に差を設ける場合、例えば、抽せん対象役の内部抽せんにおける当せん確率に設定差を設けることで実現してもよいし、内部抽せんにより抽せん対象役に当せんしたときに行われる抽せんの当せん確率に設定差を設けることで実現してもよい。
【0054】
また、区間制御部114は、遊技区間が有利区間である場合、遊技区間を有利区間のままとするか、または、通常区間に設定するかを決定する。この実施形態では、区間制御部114は、第3遊技状態がATから一般遊技状態に移行したか否かを判定し、一般遊技状態に移行したと判定された場合に、遊技区間を有利区間から通常区間に設定する。
【0055】
さらに、区間制御部114は、計測部116で計測された遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)が所定値(例えば、1500ゲーム)に到達した場合、または、遊技区間が有利区間に設定された以降のメダルの差枚数が所定値(例えば、2400枚)に到達した場合、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0056】
なお、遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114は、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物(すなわち、RBまたはCT)および役物連続作動装置(すなわち、一種BB)を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、操作部30に設けた表示部を介して、有利区間であることを表示する。
【0057】
遊技状態制御部115は、RT状態制御部1151と、遊技状態設定部1152とを有している。
【0058】
RT状態制御部1151は、複数のRT状態(この実施形態では、R0およびRT1)の中から内部抽せんが行われる1つのRT状態を設定する。具体的には、RT状態制御部1151は、前述のとおり、第2遊技状態が特別役非持ち越し状態に移行した場合、第1遊技状態をRT0に設定し、第2遊技状態が特別役実施状態に移行した場合、第1遊技状態をRT1に設定する。
【0059】
遊技状態設定部1152は、複数の第2遊技状態(すなわち、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態)の中から1つの遊技状態を設定する。
【0060】
また、遊技状態設定部1152は、AT抽せんの結果に基づいて、第3遊技状態をATに設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。詳しくは、遊技状態設定部1152は、第1遊技状態がRT0であり、かつ、遊技区間が有利区間である場合に行われるAT抽せんに当せんしたと判定した場合に、第3遊技状態を特別遊技状態(すなわち、AT)に設定する。第3遊技状態がATに設定された場合、遊技状態設定部1152は、メダルの払い出しのある押し順役の押し順の報知を行う。押し順役の押し順の報知は、例えば、液晶表示装置22を介して行われる。
【0061】
計測部116は、例えば、遊技結果判定部113により判定された遊技の結果に基づいて、遊技区間が有利区間に設定された以降に経過した遊技数(すなわち、有利区間消化ゲーム数)、および、遊技区間が有利区間に設定された以降のメダルの差枚数を計測する。また、例えば、計測部116は、全ての回転リール41,42,43が定常回転となった以降に設定された起算点から経過した時間を計測する。
【0062】
設定値制御部117は、管理者が操作部45を操作することにより、遊技に対する有利度合い(例えば、機械割)が異なる複数の設定値(この実施形態では6つ)の中から1つの設定値を設定する。有利度合いの差は、例えば、所定の役に対する内部抽せんの当せん確率に差を設けることで実現している。また、設定値制御部117は、有利区間への移行率、AT抽せん、AT上乗せ抽せん等の出玉関連の有利度合を設定する。
【0063】
設定値を設定する方法の一例を以下に示す。この方法は、(1)から(7)の順に行われる。
(1)前扉20を開ける。
(2)スロットマシン1の主電源をオフする。スロットマシン1bの主電源をオフすることで、回転中の回転リール41、42、43は全て停止するが、この回転リール41、42、43の停止による入賞判定は行われない。
(3)操作部45の所定箇所に設定変更キーを挿入し、設定変更モードをオフからオンに変更する。
(4)スロットマシン1の主電源をオンする。
(5)現在の設定値が、例えば、操作部30の貯メダル表示部に表示される。所定のボタンを操作して、貯メダル表示部に表示された設定値を所望の設定値に合わせる。
(6)スタートスイッチ33を操作する。スタートスイッチ33を操作することで、スロットマシン1の設定値が貯メダル表示部に表示された設定値に変更される。
(7)設定変更モードをオンからオフに変更して、設定変更キーを抜出する。
【0064】
演出制御部121は、内部抽せんが行われた遊技状態と、内部抽せんの結果とに基づいて、1ゲーム毎に演出を決定し、液晶表示装置22、電飾装置23、および、スピーカ24を介して、決定された演出を出力する。また、演出制御部121は、指示機能の発生により報知されるストップスイッチ34、35、36の操作手順を液晶表示装置22等を介して出力して遊技者に報知する。
【0065】
特別当否抽せん部118は、当たりおよびハズレを含む抽せん媒体を複数有する抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う。特別当否抽せんは、遊技中に行われるあらゆる抽せん(例えば、特定の役に対する内部抽せん、AT抽せんおよびAT延長抽せん)に対して適用可能であり、抽せん群の中から1つの抽せん媒体を選択し、選択された抽せん媒体に応じて当否が決定される。特別当否抽せんでは、選択された抽せん媒体が抽せん群から取り除かれて次回の抽せんが行われる。例えば、最初の特別当否抽せんにおいて選択された抽せん媒体がハズレであった場合、次回の特別当否抽せんでは、選択されたハズレが抽せん群から除外される。
【0066】
例えば、図10に示すように、特別当否抽せん部118が、抽せん媒体の総数が「8192」、当たりの数が「1」、ハズレの数が「8191」の特別当否抽せんを行うとする。この場合、1回目に行われた特別当否抽せんでハズレが選択されると、図11に示すように、選択されたハズレが取り除かれ、ハズレの数が「8190」となる。つまり、特別当否抽せんは、当たりが選択されるまで抽せん毎に当せん確率が高まるように構成され、図10の特別当否抽せんでは、抽せん回数が8192回以内に必ず当たりが選択される。なお、特別当否抽せんは、全てのハズレが取り除かれた状態で行われる場合、必ず当たりが選択されるように構成してもよいし、他の条件に基づいて当たりが選択されるように構成してもよい。例えば、全てハズレが取り除かれた状態で特別当否抽せんが行われる場合、同時に行われる内部抽せんにより所定の役(例えば、リプレイ)に当せんした場合は、特別当否抽せんに落せんしたとみなし、所定の役以外の役に当せんした場合は、特別当否抽せんに当せんしたとみなしてもよい。
【0067】
なお、抽せん群の構成(例えば、抽せん媒体の総数、当たりの数)、および、抽せん群の数は、任意に設定できる。例えば、特別当否抽せん部118は、図12に示すように、構成の異なる複数の抽せん群(図12には、一例として、3つの抽せん群A~Cを示す)を有し、特別当否抽せんが行われる際に、複数の抽せん群の中から少なくとも1つの抽せん群を抽せんにより選択し、選択された抽せん群を用いて特別当否抽せんを行ってもよい。この場合において、抽せん群の選択は、遊技者が操作部30を操作することで行えるようにしてもよい。また、特別当否抽せんを行うタイミングと、抽せん群の選択を行うタイミングとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0068】
抽せん群の構成は、予め設定されてもよいし、特別当否抽せんを行う際に抽せんで設定されてもよい。例えば、遊技区間が有利区間から通常区間に移行した場合に、抽せん群の構成をリセットしてもよいし、遊技区間が有利区間に設定された場合に、抽せん群の構成を設定するように構成してもよい。また、抽せん群の構成は、遊技中に変更可能に構成することができる。例えば、特別当否抽せんで10回連続でハズレが選択された場合、抽せんで当たりを1つ抽せん群に追加するか、または、ハズレを1つ抽せん群から除外するように構成することもできる。また、特別当否抽せんが連続してハズレた場合に限らず、いわゆるレア役への当せんで当たりまたはハズレを増減させてもよい。つまり、抽せん群の構成は、遊技中に任意の条件を満たすことで変更可能に構成できる。
【0069】
1つの抽せん群を異なる複数の特別当否抽せんに用いてもよい。例えば、特別当否抽せん部118は、上乗せゲーム数の獲得期待値が異なる2つのAT延長抽せんを1つの抽せん群を用いて特別当否抽せんを行うことができる。例えば、内部抽せんにより「スイカ」に当せんした場合、上乗せゲーム数の獲得期待値が低い方のAT延長抽せんが行われ、内部抽せんにより「チェリー」に当せんした場合、上乗せゲーム数の獲得期待値の高いAT延長抽せんが行われる。なお、AT延長抽せんの当否については特別当否抽せんを用いるが、上乗せされるゲーム数は、特別当否抽せんが行われたときに当せんした役によって変化するように構成することもできる。この場合、特別当否抽せんに当せんする際の役が重要になり、遊技性を高めることができる。
【0070】
このような2つのAT延長抽せんを1つの抽せん群を用いて行うことで、AT延長抽せんに対する当否だけでなく、内部抽せんにより当せんした役の種類、および、AT延長抽せんに当せんしたタイミング等を組み合わせた新たな遊技性を実現できる。
【0071】
また、特別当否抽せん部118は、判定部1181を有している。判定部1181は、内部抽せんにより当せんした役に応じて、成功判定および失敗判定のいずれの判定を行うかを決定する。成功判定は、任意の抽せんに当せんしたか否かを判定し、失敗判定は、任意の抽せんに落せんしたか否かを判定する。決定された判定の当否は、特別当否抽せんにより行われる。
【0072】
一例として、図13を参照して、判定部1181による判定を用いてAT抽せんを行う場合の処理を説明する。なお、以下に説明する処理は、一例として、CPUが所定のプログラムを実行することで実施される。
【0073】
判定部1181は、内部抽せんが行われ(ステップS1)、内部抽せんによりリプレイに当せんした場合(ステップS2)、失敗判定を行い、(ステップS3)いずれかのベルまたはレア役(例えば、スイカまたはチェリー)に当せんした場合(ステップS7)、成功判定を行う(ステップS8)。失敗判定に成功した場合(ステップS4の「YES」)、AT抽せんに外れ(ステップS6)、成功判定に成功した場合(ステップS9の「YES」)、AT抽せんに当せんする(ステップS11)。なお、レア役に当せんした場合は、成功判定が複数回(例えば、2回)行われる。この場合、成功判定が行われる毎に、抽せん群から抽せん媒体が除外される。
【0074】
失敗判定に失敗した場合(ステップS4の「NO」)は、失敗判定に用いた抽せん群からハズレが除外され(ステップS5)、ステップS1に戻り、再び内部抽せんが行われる。同様に、成功判定に失敗した場合(ステップS9の「NO」)、失敗判定に用いた抽せん群からハズレが除外され(ステップS10)、ステップS1に戻り、再び内部抽せんが行われる。なお、抽せん群から全てのハズレが除外された場合、ステップS3の失敗判定およびステップS8の成功判定は必ず成功する。
【0075】
なお、成功判定および失敗判定の成否に係る特別当否抽せんは、1つの抽せん群を用いた特別当否抽せんにより行われる。例えば、抽せん媒体の総数が「12」で、当たりの数が「1」、ハズレの数が「11」に設定された抽せん群を用いて特別当否抽せんを行うとする。AT抽せん開始後、最初のゲームでリプレイに当せんしたとすると、成功確率1/12の失敗判定が行われる。この失敗判定で行われた特別当否抽せんでハズレが選択されたとすると、抽せん群から選択されたハズレが取り除かれ、次に成功判定および失敗判定のいずれの判定が行われたとしても、成功確率は1/11となる。
【0076】
このように判定部1181による判定を用いてAT抽せんを行うことで、AT抽せんに対する当否だけでなく、内部抽せんにより当せんした役の種類(つまり、成功判定および失敗判定のいずれの判定が行われるか)、および、判定に成功したタイミング等が組み合わされた新たな遊技性を実現できる。
【0077】
特別当否抽せん部118は、特別当否抽せんを用いて、当せんすることでスタートスイッチ33の操作に基づく恩恵が付与されるか否かの恩恵付与抽せんを行う。例えば、回転リール制御部112が、内部抽せんにより所定の役(例えば、スイカ、チェリー等のレア役)に当せんした場合に、ストップスイッチ34、35、36の操作が一時的に不能になるフリーズ期間を抽せんで発生させ、フリーズ期間が発生すると、AT抽せんまたはAT延長抽せんへの当せん等、フリーズ期間が発生した遊技状態に応じた恩恵が遊技者に付与されるとする。この場合、特別当否抽せんで行われたフリーズ期間を発生させるか否かの抽せんが、恩恵付与抽せんに該当する。また、スタートスイッチ33の操作に基づく恩恵には、例えば、設定の示唆、または、いわゆる天井機能を備えたスロットマシン1の場合における天井ゲーム数の短縮が含まれる。つまり、恩恵付与抽せんは、例えば、設定値の示唆を行うか否かの抽せんであってもよいし、天井ゲーム数の短縮を行うか否かの抽せんであってもよい。
【0078】
スロットマシン1によれば、次のような効果を発揮できる。
【0079】
スロットマシン1によれば、当たりおよびハズレを含む抽せん媒体を複数有する抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う特別当否抽せん部118を備える。特別当否抽せん118は、抽せん群の中から選択された1つの抽せん媒体に応じて当否が決定される。選択された抽せん媒体が前記ハズレであった場合、選択されたハズレが抽せん群から除外されて次回の特別当否抽せんが行われる。このような構成により、抽せんに対する当否だけでなく、例えば、内部抽せんにより当せんした役の種類、および、抽せんに当せんしたタイミング等を組み合わせた新たな遊技性を実現できる。その結果、新たな遊技性を提供可能なスロットマシン1を実現できる。また、スロットマシン1によれば、ハズレを繰り返すことで当たりの確率が高まっていくため、ハズレでも遊技者の遊技意欲の減退を抑制できる。
【0080】
また、スロットマシン1は、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成を任意に採用できる。つまり、次に示す複数の構成のいずれか1つまたは複数の構成は、前記実施形態に含まれていた場合は任意に削除でき、前記実施形態に含まれていない場合は任意に付加することができる。このような構成を採用することにより、より新たな遊技性を提供可能な遊技機を実現できる。
【0081】
抽せん群に設定される当たりの数は、複数である。この場合、特別当否抽せんが行われた際、ハズレのみならず当たりも抽せん群から除外される可能性がある。
【0082】
スロットマシン1が、抽せん媒体の構成を表示する液晶表示装置22をさらに備える。
【0083】
スロットマシン1が、液晶表示装置22に抽せん媒体の構成を表示するか否かを設定可能な操作部30をさらに備える。操作部30に対する抽せん媒体の構成を表示するか否かの操作は、遊技者が行ってもよいし、店舗スタッフが行ってもよい。
【0084】
特別当否抽せん部118は、構成の異なる複数の抽せん群を有し、特別当否抽せんが行われる際に、複数の前記抽せん群の中から少なくとも1つの抽せん群を所定の条件により選択し、選択された抽せん群を用いて特別当否抽せんを行う。
【0085】
特別当否抽せんが、第1の特別当否抽せんと、第1の特別当否抽せんとは異なる第2の特別当否抽せんとを有し、特別当否抽せん部118は、同じ抽せん群を用いて、第1の特別当否抽せんと第2の特別当否抽せんとを実行可能である。
【0086】
特別当否抽せん部118が、内部抽せんにより当せんした役に応じて、抽せんに当せんしたか否かを判定する成功判定と、抽せんに落せんしたか否かを判定する失敗判定とのいずれの判定を行うかを決定する判定部1181を有し、決定された判定の当否が特別当否抽せんにより決定される。
【0087】
特別当否抽せん部118は、特別当否抽せんを用いて、当せんすることでスタートスイッチの操作に基づく恩恵が付与されるか否かの恩恵付与抽せんを行う。
【0088】
特別当否抽せん部118は、遊技区間が有利区間から通常区間に移行した場合に、抽せん群の構成をリセットする。
【0089】
特別当否抽せん部118は、遊技区間が有利区間に設定された場合に、抽せん群の構成を設定する。
【0090】
スロットマシン1は、次のように構成することもできる。
【0091】
判定部1181は、省略することができる。
【0092】
特別当否抽せんは、出玉に関する抽せんに使用する場合に限らず、演出に関する抽せんに使用してもいい。演出に関する抽せんには、例えば、設定示唆演出が含まれる。この場合、設定値が決定された際に抽せん群を生成して、所定のタイミングで設定示唆演出発生抽せんを特別当否抽せんで実施することで、遊技中に必ず設定示唆演出を発生させることができる。また、設定確定演出に、複数の演出(例えば、「6確定」、「123否定」、「456確定」、「56確定」)が含まれているとする。決定された設定値によっては、これらの設定確定演出のうちの複数に該当する可能性がある(例えば、決定された設定値が例えば設定6だった場合、上記4つの設定確定演出全てに該当する)。このような状況では、発生させる設定確定演出を抽せんで決定することが考えられるが、この抽せんを特別当否抽せんで行うこともできる。この場合、各確定演出に対応する4つの当たりを含む抽せん群を用いて特別当否抽せんを行うことで、全ての設定確定演出が発生するように構成することができる。
【0093】
AT抽せん、および、高確率状態移行抽せん(CZ抽せん)を1つの抽せん群を用いた特別当否抽せんで行ってもよい。通常、CZよりもATのほうが出玉の獲得期待値が高い。このため、CZ抽せんではずれを繰り返しても、AT当せんの当せん期待値が高くなることから、遊技者の遊技意欲の低下を抑えることができる。
【0094】
複数の抽せん群から1つの抽せん群を選択する場合、選択される1つの抽せん群を抽せんで決定してもよいし、複数の抽せん群の各々に相互に異なる番号を付し、付された数字の小さい順に決定してもよい。この場合、選択される可能性のある抽せん群には、少なくとも1つの当たりが含まれるように構成してもよいし、当たりが1つも含まれていない抽せん群が含まれるように構成してもよい。また、含まれる全てのハズレまたは当たりが除外された抽せん群は、記憶媒体から消去してもよいし、記憶媒体から消去せずに選択される可能性のある抽せん群に含まれないようにしてもよい。
【0095】
特別当否抽せんは、有利区間中の一般遊技状態時に行われてもよい。例えば、有利区間かつ一般遊技状態で行われた遊技数が所定数に達する毎に、特別当否抽せんを行ってもよい。この場合、抽せん媒体の総数を天井ゲーム数に対応させることで、演出的な効果を高めることができる。例えば、天井ゲーム数が500ゲームで、50ゲーム毎に特別当否抽せんが行われ、抽せん群に含まれる抽せん媒体の総数が10に設定されたとする。この場合、天井ゲーム数に到達するまでに特別当否抽せんでアタリが選択されれば、ボーナスまたはATへの当せんが確定する。
【0096】
スロットマシン1が天井ゲーム数の異なる複数のモードを有している場合、有利区間で進行する一般遊技状態では、複数のモードのうちのいずれかが設定されるようにしてもよい。この場合、モードに応じて抽せん群の構成(例えば、抽せん媒体の総数、当たりの数)をセットすることが好ましい。その際、抽せん媒体の総数および当たりの数が報知されれば、遊技者は、その報知内容を確認することで、現在の滞在モードを推測することができ、遊技継続の意欲が増す。
【0097】
有利状態抽せんは、AT抽せんおよび高確率状態移行抽せんに限らない。例えば、スロットマシン1がARTまたは疑似ボーナスを有している場合、有利状態抽せんには、ART抽せん、疑似ボーナス抽せん、ART延長抽せん等が含まれる。
【0098】
区間制御部114による有利区間の通常区間への強制的設定の条件は、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達する、および、有利区間の差枚数が2400枚に到達することに限らない。これらの条件とは異なる条件で、有利区間を通常区間に強制的に設定してもよいし、また、有利区間を通常区間に強制的に設定する条件を設けなくてもよい。例えば、有利区間消化ゲーム数が1500ゲームに到達することで有利区間が通常区間に強制的に設定されるが、有利区間の差枚数が2400枚に到達することでは、有利区間が通常区間に強制的に設定されないように構成してもよい。また、例えば、有利区間が通常区間に強制的に設定された場合を除いて、一旦、遊技区間が有利区間に設定されると、いわゆるボーナス(例えば、一種BB)が1回入賞するか、または、メダルの払い出しが最大となる押し順役(例えば、押し順ベル)の押し順を1回報知するまでは、有利区間を通常区間に設定できないように構成してもよい。
【0099】
スロットマシン1の設定値が変更された場合、遊技区間は、スロットマシン1の設定値が変更される直前の状態を引き継ぐように設定してもよいし、予め設定されている初期状態に設定される(すなわち、初期化される)ようにしてもよい。
【0100】
前記実施形態では、有利区間中に指示機能が作動し、かつ、役物および役物連続作動装置を除いて小役を払い出し枚数最大で入賞させるように遊技を進めた場合の出玉率の平均が100%を超える場合にのみ、有利区間であることが表示部に表示されるように構成しているが、これに限らない。例えば、遊技区間が有利区間へ移行したときに、表示部に有利区間中であることを必ず表示されるように構成してもよい。
【0101】
前記実施形態では、遊技区間が有利区間に移行した場合、区間制御部114が、操作部30に設けた表示部を介して、遊技区間が有利区間であることを表示するように構成しているが、これに限らない。例えば、液晶表示装置22が表示部を兼ねるように構成してもよいし、表示部を省略して遊技区間が有利区間であることを表示しないように構成してもよい。表示部に有利区間であることが表示された後は、有利区間が終了するまで、有利区間であることを表示し続けてもよいし、有利区間であることを表示し続けなくてもよい。
【0102】
制御装置100は、ソフトウェアと協働して所定の機能を実行するCPUに代えて、ハードウェアのみで所定の機能を実現するように専用に設計されているFPGA(field-programmable gate array)、または、ASIC(application specific integrated circuit)を含んでいてもよい。
【0103】
メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれ異なる基板に設けてもよいし、同一基板上に設けてもよい。すなわち、メイン制御部110およびサブ制御部120は、それぞれがCPU、ROMおよびRAM等を備えていてもよいし、CPU、ROMおよびRAM等を共有していてもよい。
【0104】
押し順役は、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞する場合に限らない。押し順役は、例えば、所定の位置でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよいし、所定の位置に加え、所定の押し順でストップスイッチ34,35,36を操作することにより入賞するようにしてもよい。
【0105】
内部抽せんテーブルは、図9に示されている情報に限らず、スロットマシンの設計に応じて、他の任意の情報を含むことができる。
【0106】
有効ラインは、少なくとも1本設定されていればよく、2本以上であっても構わない。
【0107】
可能であれば、メイン制御部110の構成をサブ制御部120に設けてもよいし、サブ制御部120の構成をメイン制御部110に設けてもよい。
【0108】
本発明は、スロットマシンに限らず、例えば、ぱちんこ遊技機にも適用できる。
【0109】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 スロットマシン
10 筺体
20 前扉
22 液晶表示装置
33 スタートスイッチ
34,35,36 ストップスイッチ
41,42,43 回転リール
45 操作スイッチ
100 制御装置
118 特別当否抽せん部
1181 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13