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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
D06F39/08 301A
D06F39/08 301B
D06F39/08 301Q
D06F39/08 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017252958
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019118413
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】野呂 勝
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-043103(JP,A)
【文献】特開2004-049826(JP,A)
【文献】特開平06-277385(JP,A)
【文献】実開平04-103881(JP,U)
【文献】中国実用新案第203821127(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0196752(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010038620(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽に給水を行うための給水路と、この給水路内にオゾンを発生させるオゾン生成装置とを具備するものであって、
前記オゾン生成装置は、前記給水路の一部に設けた略水平方向に沿った横長のオゾン生成領域内に水の流れ方向に沿って略水平に配設されるオゾン電解部を含み、前記オゾン生成領域よりも上方かつ上流には前記給水路を開閉するバルブが配置されて、
バルブの開閉動作が繰り返されるなか、オゾン生成装置のオゾン電解部は常に前記オゾン生成領域で水に浸漬された状態を維持するように構成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配置される外槽と、この外槽内において回転可能なドラムとを具備するものであって、
前記給水路のオゾン生成領域は前記外槽の後面に隣接する位置で前記洗濯機本体の上壁近くに配置されて、当該オゾン生成領域の上流側または下流側のうち少なくとも何れかの給水路がオゾン生成領域に対し屈曲して設けられており、その屈曲部を通して前記オゾン生成領域内に前記オゾン電解部を挿脱可能としたことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
オゾン生成領域を構成するオゾン生成用配管は、隙間を隔てて直列に配列した対をなす配管部と、両配管部の間を液密に接続する弾性筒体とによって構成され、前記弾性筒体が支持部材を介して洗濯機本体に支持されるとともに、各配管部内にオゾン電解部を、上流側の給水路の屈曲部と下流側の給水路の屈曲部を介してそれぞれ挿脱可能としていることを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配置される外槽と、この外槽内において回転可能なドラムとを具備し、
前記バルブの開閉制御と、前記オゾン電解部への通電ON/OFF制御とを司る制御部を具備するものであって、
前記制御部は、洗濯工程における除菌開始時に、前記バルブを閉状態から開状態に切り替えるとともに、当該バルブの切り替えから所定時間経過後または前記ドラム内の水位上昇を直接又は間接に検知した後に、前記オゾン電解部への通電をOFFからONに切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記バルブの開閉制御と、前記オゾン電解部への通電ON/OFF制御とを司る制御部を具備するものであって、
前記制御部は、洗濯工程における除菌停止時において、前記オゾン電解部への通電をONからOFFに切り替えるとともに、当該切り替えから所定時間経過後に、前記バルブを開状態から閉状態に切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の洗濯機。
【請求項6】
洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配置される外槽と、この外槽内において回転可能なドラムとを具備し、
前記ドラムの所定周期での回転ON/OFF制御と、前記オゾン電解部への通電ON/OFFとを司る制御部を具備するものであって、
洗濯工程における除菌工程が前記オゾン電解部への通電をONにした状態でオゾン水を補給しながらすすぎを行う除菌すすぎ工程である場合に、前記制御部は、前記ドラムの1周期に占める回転ON時間の割合を通常の洗濯工程時における1周期に占める回転ON時間の割合よりも短くした制御を行うことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の洗濯機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水を内部で生成することにより洗濯能力を高めた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯にオゾン水を利用することが行われている。例えば、特許文献1には、被洗浄物を洗浄する洗浄機が開示されている。この洗浄機は、被洗浄物の洗浄のための水を溜めることのできる槽と、水を電気分解することにより電解水を生成する電解水生成装置と、槽内に溜められた水を排水するための排水機構とを備えている。そして、槽洗浄運転実行手段が、電解水生成装置によって生成された所定濃度の電解水を槽内に溜めた状態にし、その状態で槽内の除菌に十分な時間が経過した後に、排水機構を動作させて槽内の電解水を排水させる槽洗浄運転を実行するように構成されている。
【0003】
また、特許文献2には、電気分解により生成した電解水を洗浄又は消毒のために動物又は人間の身体部位へ向けて吐出するための電解水生成吐出装置が開示されている。この電解水生成吐出装置は、ダイヤモンド電極を少なくとも陽極として使用した電解電極を用いて、供給される水又は水溶液を電気分解することにより電解水を生成する電解ユニットと、電解ユニットに接続されているノズルと、予め定められた流量で水又は水溶液を電解ユニットに供給し、電解ユニットによって生成された電解水をノズルから吐出させるポンプと、電解ユニット及びポンプの作動を制御する制御ユニットと、を備えている。そして、制御ユニットが、電解ユニット及びポンプの作動の開始及び停止を予め定められた時間間隔で繰り返すように制御し、ノズルから電解水を間欠的に吐出させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-73248号公報
【文献】特開2012-161762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のものには、中間過程で生成される酸性電解水の主成分が次亜塩素酸であり残留するという課題がある。
【0006】
一方、特許文献2のものには、携帯タイプのオゾン水生成器であり、動物や人間の外傷部位洗浄用途であるため生成オゾン水吐出量が少ないという課題がある。
【0007】
そこで、オゾン生成により残留物質が発生することがなく、持続的に除菌、消臭することを可能にするために、給水路にオゾン電解部を配置してオゾンを発生することが有効な手段として考えられる。ここに言うオゾン電解部には、オゾン電極および電解膜が含まれる。
【0008】
しかしながら、むやみにオゾン電解部を配置しても所望の効果が望めないことが、本発明者の検討により明らかになった。例えば、オゾン電解部を定電流で駆動した場合、オゾン電解部の電解膜が乾燥していると抵抗値が上がり、結果として電圧が上昇する。また、オゾン電解部を一度水に浸漬した後に電圧を測定し、オゾン電解部を一度引き上げてから一定時間経過後にオゾン電解部を水に浸漬して電解電圧を測定した場合でも、電解部の初期傾向として抵抗値が上がり、結果として電圧が上昇する。電解電圧上昇は膜の劣化、ひいてはオゾン電解部の損傷や破損を早めることに繋がる。
【0009】
そして、かかる電圧上昇は乾燥時に電解により電極間に不純物が付着することに起因していることが判明している。したがって、電解膜は濡れたり乾いたりする状態を繰り返さない方が、電解膜の劣化に関しては良い。よって、オゾン電解部を一度水に浸漬したら、常時水に浸漬する構造が望ましい。
【0010】
本発明は、このような着眼に立って、残留物質を発生することがなく、オゾン電解部を損傷から保護しつつ除菌、消臭効果を持続させることが可能な洗濯機を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明の洗濯機は、洗濯槽に給水を行うための給水路と、この給水路内にオゾンを発生させるオゾン生成装置とを具備するものであって、前記オゾン生成装置は、前記給水路の一部に設けた略水平方向に沿った横長のオゾン生成領域内に水の流れ方向に沿って略水平に配設されるオゾン電解部を含み、前記オゾン生成領域よりも上方かつ上流には前記給水路を開閉するバルブが配置されて、バルブの開閉動作が繰り返されるなか、オゾン生成装置のオゾン電解部は常に前記オゾン生成領域で水に浸漬された状態を維持するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
また本発明の洗濯機は、洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配置される外槽と、この外槽内において回転可能なドラムとを具備するものであって、前記給水路のオゾン生成領域は前記外槽の後面に隣接する位置で前記洗濯機本体の上壁近くに配置されて、当該オゾン生成領域の上流側または下流側のうち少なくとも何れかの給水路がオゾン生成領域に対し屈曲して設けられており、その屈曲部を通して前記オゾン生成領域内に前記オゾン電解部を挿脱可能としたことを特徴とする。
【0014】
また本発明の洗濯機において、オゾン生成領域を構成するオゾン生成用配管は、隙間を隔てて直列に配列した対をなす配管部と、両配管部の間を液密に接続する弾性筒体とによって構成され、前記弾性筒体が支持部材を介して洗濯機本体に支持されるとともに、各配管部内にオゾン電解部を、上流側の給水路の屈曲部と下流側の給水路の屈曲部を介してそれぞれ挿脱可能としていることを特徴とする。
【0015】
また本発明の洗濯機は、洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配置される外槽と、この外槽内において回転可能なドラムとを具備し、前記バルブの開閉制御と、前記オゾン電解部への通電ON/OFF制御とを司る制御部を具備するものであって、前記制御部は、洗濯工程における除菌開始時に、前記バルブを閉状態から開状態に切り替えるとともに、当該バルブの切り替えから所定時間経過後または前記ドラム内の水位上昇を直接又は間接に検知した後に、前記オゾン電解部への通電をOFFからONに切り替える制御を行うことを特徴とする。
【0016】
また本発明の洗濯機は、前記バルブの開閉制御と、前記オゾン電解部への通電ON/OFF制御とを司る制御部を具備するものであって、前記制御部は、洗濯工程における除菌停止時において、前記オゾン電解部への通電をONからOFFに切り替えるとともに、当該切り替えから所定時間経過後に、前記バルブを開状態から閉状態に切り替える制御を行うことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、洗濯機本体と、この洗濯機本体内に配置される外槽と、この外槽内において回転可能なドラムとを具備し、前記ドラムの所定周期での回転ON/OFF制御と、前記オゾン電解部への通電ON/OFFとを司る制御部を具備するものであって、洗濯工程における除菌工程が前記オゾン電解部への通電をONにした状態でオゾン水を補給しながらすすぎを行う除菌すすぎ工程である場合に、前記制御部は、前記ドラムの1周期に占める回転ON時間の割合を通常の洗濯工程時における1周期に占める回転ON時間の割合よりも短くした制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の洗濯機は、略水平なオゾン生成領域にオゾン電解部を配置して、上方に配置したバルブを経て下流域のオゾン生成領域に給水を行うので、バルブの開閉を繰り返しても、バルブの閉時に、給水路内は負圧になり、オゾン生成領域は略水平に配設されているため、内部の水が貯留した状態が保たれる。その結果、オゾン電解部が常に水に浸漬された状態が維持され、電圧上昇を抑えて安定した通電を行うことができる。残留物質を発生することなく、またオゾン電解部を損傷させることなく除菌、消臭効果を持続させることが可能となる。
【0019】
また本発明の洗濯機は、ドラムを収容した外槽が洗濯機本体に配置される構造において、給水路のオゾン生成領域を外槽の後面に隣接する位置で洗濯機本体の上壁近くに水平に配置するので、ドラムや外槽、駆動装置、他の配管類との干渉を避け易いうえに、製品高さへの影響を抑制することができる。また、オゾン生成領域の上流や下流の給水路を屈曲させているので、極力コンパクトに配置して屈曲部からオゾン電解部を挿脱できる構造を実現することが容易となる。
【0020】
また本発明の洗濯機は、オゾン生成用配管を対をなす配管部を弾性筒体で接続して構成し、その筒体を介してオゾン生成用配管を支持するとともに、各配管部に対して上流側または下流側の屈曲部を介してそれぞれのオゾン電解部を挿脱可能としている。このため、オゾン電解部に無理な応力が作用することを避けつつ、オゾン電解部の出し入れを容易にすることができる。そして、2つのオゾン電解部を通って洗濯水が流れる構造となることで、除菌効果をより高めることができる。
【0021】
また本発明の洗濯機は、制御部によってバルブの開閉とオゾン電解部への通電を制御するにあたり、バルブを開にした後にオゾン電解部への通電をONに切り替える制御を行うようにしているので、たとえオゾン電解部が水に浸漬していても、水が沸騰してオゾン電解部が損傷することを防止できる。
【0022】
また本発明の洗濯機は、制御部によってバルブの開閉とオゾン電解部への通電を制御するにあたり、オゾン電解部への通電をOFFにした後にバルブを閉に切り替える制御を行うようにしているので、たとえオゾン電解部が水に浸漬していても、水が沸騰してオゾン電解部が損傷することを防止できる。
【0023】
また本発明の洗濯機は、オゾン電解部への通電をONにした状態でオゾン水を補給しながらすすぎを行う除菌すすぎ工程において、制御部はドラムの所定周期での回転制御を行うにあたり、1周囲に占める回転ON時間の割合を通常の洗濯工程時における1周期に占めるON時間の割合よりも短くした制御を行うので、発生したオゾンが即座に消滅することを防ぎつつ、除菌すすぎを効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る洗濯機内の概略構成を示す模式図な正面図。
図2】本発明の一実施形態に係る洗濯機の外観を含めた概略構成を示す模式的な側断面図。
図3】本発明の一実施形態に係る洗濯機内におけるオゾン電解部周辺の具体的な取付構造を示す斜視図。
図4】本発明の一実施形態に係る洗濯機内におけるオゾン電解部周辺の給水路の縦断面図。
図5】本発明の一実施形態に係る洗濯機の除菌開始時の手順を示すフローチャート。
図6】本発明の一実施形態に係る洗濯機の除菌停止時の手順を示すフローチャート。
図7】本発明の一実施形態に係る洗濯機の除菌すすぎ工程の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1はドラム式の洗濯機W内の概略構成を示す模式図な正面図、図2は洗濯機Wの外観を含めた概略構成を示す模式的な側断面図、図3は洗濯機W内におけるオゾン電解部周辺の具体的な取付構造を示す斜視図、図4は洗濯機W内におけるオゾン電解部周辺の給水路の縦断面図である。
【0027】
洗濯機本体1は略直方体形状をなす。洗濯機本体1の前面10aには、ドラム2に対して洗濯物を出し入れするための開口11が形成されるとともに、この開口11を開閉可能な図示しない開閉蓋が取り付けられる。ドラム2の外側には外槽3が配置され、これらドラム2と外槽3によって洗濯槽1bが構成される。洗濯槽1bは軸芯が略水平方向を向くように取り付けられている。
【0028】
外槽3は、洗濯機本体1の内部に配置されて側面3cと後面3dを備えた有底筒状の部材であり、内部に洗濯水を貯留可能である。
【0029】
外槽3には、内部へ洗濯水を供給するための給水路3aと外部へ洗濯水を排出するための排出路3bとが接続されている。給水路3aには給水バルブ31が設けられ、排出路3bには排水バルブ32が設けられている。給水バルブ31には電磁バルブが用いられ、排水バルブ32にはトルクモーター制御による排水バルブが用いられる。これらのバルブ31,32には制御部Cから開閉信号Sv1、Sv2が入力される。給水バルブ31はオゾン専用給水バルブであり、給水バルブ31以外にも通常の洗濯水を供給するための給水バルブ(図示せず)が存在し、制御部Cによって開閉制御される。給水バルブ31は除菌すすぎ時のみ作動する。
【0030】
ドラム2は、外槽3内において外槽3と同軸に配置されるとともに、回転自在に支持される有底筒状の部材である。ドラム2は、内部に洗濯物を収容可能で、その壁面に多数の通水孔を有する。
【0031】
ドラム2は駆動装置Drによって駆動される。駆動装置Drは、モータ10によりプーリー15及びベルト15bを回転させるとともに、ドラム2の底部2dに向けて延出する駆動軸17を回転させて、ドラム2に駆動力を与え、ドラム2を回転させるものである。モータ10はインバータ34によって制御され、インバータ34には制御部Cから制御信号Smが入力される。
【0032】
以上の構成において本実施形態は、除菌を行うために、給水路3a内にオゾンを発生させるオゾン生成装置4を備えている。オゾン生成装置4は、給水路3aの一部に略水平に設けたオゾン生成領域Arに配設されるオゾン電解部41を含み、オゾン生成領域Arよりも上方かつ上流には給水路3aを開閉する本発明のバルブである前記給水バルブ31が配置されている。そして本実施形態は、給水バルブ31の開閉動作が繰り返されるなか、オゾン生成装置4のオゾン電解部41が常にオゾン生成領域Arで水に浸漬された状態を維持するように構成されている。
【0033】
すなわち、給水バルブ31が開閉動作を繰り返すなか、オゾン生成領域Arよりも上流で給水バルブ31を閉じると、給水路3a内は負圧になり、オゾン生成領域Arは略水平に配設されているため、内部の水が貯留した状態が保たれる。その結果、オゾン電解部41が常に水に浸漬された状態が維持され、電圧上昇を抑えて安定した通電を行うことができる。また、仮にオゾン生成領域Arを垂直に配置すると、エアが入った際に配管部の水が完全に抜けてオゾン電解部41が空焚き状態になるリスクがあるが、水平に配置しておけば、エアが入っても空焚き状態になるリスクは低くなる。
【0034】
具体的に説明すると、図2図4に示すように、給水路3aのオゾン生成領域Arはオゾン生成用配管33により構成されているもので、このオゾン生成用配管33は外槽3の後面3dに隣接する位置において洗濯機本体1の上壁1a近くに配置され、支持部材であるブラケット5を介して洗濯機本体1に懸吊支持されている。オゾン生成用配管33には、上流側に上向きに延びる第1接続部33aが形成され、下流側に下向きに延びる第2接続部33bが形成されている。
【0035】
第1接続部33aは、第1管路35aを経て給水バルブ31と接続され、第2接続部33bは第2管路35bを経て外槽3の後面に設けた給水口3d1と接続されている。第1接続部33aはロート状をなしており、オゾン生成領域Arへの入口は細い径で形成される。オゾン生成用配管33の径もオゾン電解部の電解効率を高めるために略同等の細い径とされる。給水バルブ31には外部から洗濯水を導入する導入管36が接続され、給水バルブ31は開となると、外部の洗濯水が給水路3aに流れ込み、給水口3d1を経て洗濯槽1bに給水されようになっている。
【0036】
すなわち、オゾン生成領域Arを形成するオゾン生成用配管33からみると、上流側から洗濯水が落下して一端側の第1接続部33aより流入し、内部を略水平に流れて、下流域である第2接続部33bから落下して流出する構造となっている。
【0037】
このようにオゾン生成領域Arを略水平に配置するので、ドラム2や外槽3、駆動装置Dr、他の配管類との干渉を避け易いうえに、製品高さへの影響を抑制することができる。
【0038】
図4に示すようにオゾン生成用配管33は、隙間を隔てて直列に配列した対をなす配管部33c、33cと、両配管部33c、33cの対向する側の端部間を液密に接続する弾性筒体33dとによって構成されるもので、この弾性筒体33dがブラケット5を介して洗濯機本体1の上壁1aに懸吊支持されている。各配管部33c、33cの他端部は上流側が上向きクランク状の屈曲部3xで水平方向に開口し、下流側が下向きクランク状の屈曲部3yで水平方向に開口しており、これらの開口を介してオゾン電解部41を挿脱可能としている。オゾン電解部41は基端にフランジ部41aが取り付けてあり、このフランジ部41aを配管部33cの開口端に螺着できる構造となっている。フランジ部41aからはオゾン電解部41に通電をなすための配線41bが引き出され、図2に示す通電部40に接続されている。この通電部40には制御部Cから通電ON/OFF信号Seが入力される。配線41bは配管部33cに設けたヒューズ4xを通してあり、万一過熱した際にヒューズ4xが切れてオゾン電解部41が保護される構成になっている。
【0039】
このようにオゾン生成装置4は、一対の電解部41、41を直列に通過させて水の電気分解によりオゾンを発生するようにしているので、最初の電解部41で水を初期除菌して浄化した後、次の電解部41でオゾン濃度を高め、確実に洗濯槽1bに必要濃度、必要量のオゾン水を安定して供給することができる。また、初期除菌が不要な場合には、洗濯槽1bに供給するオゾン水の濃度をさらに高めることができる。そして、オゾン生成により残留物質が発生することもない。
【0040】
また、オゾン生成装置4を水平に配置し、両側の屈曲部3x、3yにおいて電解部41、41の挿脱を行える構成にしているため、オゾン電解部41を略水平に配置していることと相まって、オゾン電解部を常に水に浸漬させた状態を維持することができる。また、劣化した電解部41のみを清掃または交換すればよく、長尺な電極や特殊な電極も不要となるため、オゾン電解部41のメンテナンスが容易でコストダウンにも資するものとなる。
【0041】
このように構成される本実施形態は、制御部Cによって給水バルブ31の開閉制御と、オゾン電解部41への通電ON/OFF制御とが行われる。
【0042】
また本実施形態は、制御部Cによってモータ10によるドラム2の回転制御と、オゾン電解部41への通電ON/OFF制御とが行われている。
【0043】
以下、図5図7のフローチャートに基づいて、制御部Cが実施する手順を説明する。
先ず、図5は除菌開始時のシーケンスである。
【0044】
<ステップS1>
制御部Cは、ステップS1で給水バルブ31を閉から開に切り替える。これにより、オゾン生成装置4を介して洗濯槽1bへの給水が開始される。
【0045】
<ステップS2>
次に、制御部CはステップS2でドラム2内の水位上昇が始まったかどうかを判断する。そのために制御部Cには、洗濯機本体1に設けた図示しない水位センサ或いは水流センサの信号が入力されている。そして、YESの場合にステップS3に進み、NOの場合にステップS2を繰り返す。
【0046】
<ステップS3>
ステップS2でYESとなったことを受けて、制御部CはステップS3でオゾン電解部41への通電をOFFからONに切り替える。これにより、オゾン電解部41は洗濯水を電気分解してオゾンを発生させる。
【0047】
このように制御部Cは、洗濯工程における除菌すすぎ開始時に、給水バルブ31を閉状態から開状態に切り替えるとともに、ドラム2内の水位上昇を直接又は間接に検知した後に、オゾン電解部41への通電をOFFからONに切り替える制御を行う。
【0048】
すなわち、先に給水を開始した後にオゾン電解部をONにするので、たとえオゾン電解部41が水に浸漬していても、水が沸騰してオゾン電解部41が損傷することを防止できる。勿論、水位上昇の検知に代えて、給水バルブ31の切り替えから所定時間経過後に通電切り替えを行ってもよい。
【0049】
図6は除菌停止時のシーケンスである。除菌停止のシーケンスは制御部Cに予め設定されたタイミングで始められる。
【0050】
<ステップS11>
制御部Cは、ステップS1でオゾン電解部41への通電をONからOFFに切り替える。これにより、オゾン電解部41は洗濯水の電気分解を停止する。
【0051】
<ステップS12>
次に、制御部CはステップS12でオゾン電解部41への通電をOFFにしてから所定時間が経過したか否かを判断する。電気分解現象は瞬時に止まらないためである。そして、YESの場合にステップS13に進み、NOの場合にステップS12を繰り返す。
【0052】
<ステップS13>
ステップS12でYESとなったことを受けて、制御部CはステップS13で給水バルブ31を開から閉に切り替える。これにより、オゾン生成装置4を介した洗濯槽1bへの給水が停止される。
【0053】
このように制御部Cは、洗濯工程における除菌停止時において、オゾン電解部41への通電をONからOFFに切り替えるとともに、当該切り替えから所定時間経過後に、オゾン電解部41への通電をONからOFFに切り替える制御を行う。
【0054】
すなわち、先にオゾン電解部41をOFFにした後に給水を停止するので、たとえオゾン電解部41が水に浸漬していても、水が沸騰してオゾン電解部41が損傷することを防止できる。
【0055】
図7は除菌すすぎ時のシーケンスである。給水路3aからの給水に伴う除菌と、ドラム2の回転とをある条件で行う。
【0056】
<ステップS21、S21a>
制御部Cは、ステップS21でドラム2を停止させる。ドラム停止中は給水バルブ31を閉から開に切り替え、オゾン電解部41もOFFからONに切り替えてオゾン給水が設定水位に到達するまで行われる。設定水位に到達したか否かはステップ21aで判断され、YESの場合にステップS22に進む。
【0057】
<ステップS22>
制御部CはステップS22でドラムの回転を開始する。このとき、給水バルブ31を開から閉に切り替え、オゾン電解部41もONからOFFに切り替える。
【0058】
<ステップS23>
ドラムの回転が開始してから、制御部CはステップS23で水位が例えば所定の水位よりも下がった否かを判断する。NOであれば次のステップS24をスキップし、YESであればステップS24のオゾン補給ステップを実行する。
【0059】
<ステップS24>
制御部CはステップS23でYESと判断すると、所定の水位に戻るまでドラム2を一定の周期で正逆に回転させながら給水バルブ31を閉から開に切り替え、オゾン電解部41への通電もOFFからONに切り替えてオゾン水の補給を行う。このオゾン水補給中の制御部Cによるドラム回転制御は通常の洗濯工程とは異なり、1周期に占めるドラム回転ON時間とドラム回転OFF時間が異なっている。例えば、オゾン水ではない洗濯水を供給する工程やオゾン水を供給しないステップS22の工程ではドラム回転ON時間が8秒、ドラム回転OFF時間が2秒であるとすると、オゾン水補給時はドラム回転ON時間が2秒、ドラム回転OFF時間が8秒という具合に、1周期に占めるドラム回転ON時間を減らしドラムOFF時間を増やして、オゾンが即座に消滅することを防止している。
【0060】
<ステップS25>
制御部Cは、ステップS25でドラムが回転を始めてから所定時間が経過したか否かを判断する。そのために、制御部Cは除菌すすぎ工程の開始時にタイマを作動させておく。そして、YESであれば終了し、NOであればステップS22の手前に戻る。
【0061】
このように制御部Cは、オゾン電解部41への通電をONにした状態でオゾン水を補給しながらすすぎを行う除菌すすぎ工程において、制御部Cはドラム2の所定周期での回転制御を行うにあたり、1周囲に占める回転ON時間の割合を通常の洗濯工程時における1周期に占めるON時間の割合よりも短くした制御を行う。
【0062】
すなわち、オゾンが生成されても、ドラム2の回転時に発生する水流によって簡単に消滅する。これに対して、本実施形態のようにオゾン水補給中にドラム2の1周期に占める回転ON時間の割合を低減すれば、発生したオゾンが即座に消滅することを防止でき、除菌すすぎを効果的に行うことができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0064】
例えば、上記実施形態では一対のオゾン電解部41によってオゾン生成装置4を構成したが、オゾン電解部41は1つのみであってもよく、この場合はオゾン生成領域Arの一方または他方からオゾン電解部41を挿脱可能にすればよい。
【0065】
また、オゾン生成装置4は通常の給水路上に構成してもよいが、通常の給水路とは別にオゾン専用の給水路を設けてそこに構成しても構わない。
【0066】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…洗濯機本体
1a…上壁
1b…洗濯槽
2…ドラム
3…外槽
3a…給水路
3d…後面
3x、3y…屈曲部
4…オゾン生成装置
5…支持部材(ブラケット)
31…バルブ(給水バルブ)
33c…配管部
33d…弾性筒体
41…オゾン電解部
Ar…オゾン生成領域
C…制御部
W…洗濯機


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7