(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-21
(45)【発行日】2022-06-29
(54)【発明の名称】段階的警告表示機能付きトルクレンチ
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20220622BHJP
B25B 23/142 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B25B23/14 620J
B25B23/142
(21)【出願番号】P 2019146190
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2019-08-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511314186
【氏名又は名称】優鋼機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】謝 智慶
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】久保田 信也
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-209988(JP,A)
【文献】特開2005-195352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0013475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25B 23/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段階的警告表示機能付きトルクレンチであって、レンチ本体と処理ユニットと少なくとも2つの警告表示レベルと警告表示構造とを備え、
前記レンチ本体には、検知ユニットが設けられ、前記検知ユニットが前記トルクレンチの操作値を検出して検測値を形成し、
前記処理ユニットは、前記検知ユニットの検測値と設定値とを比較し、かつ前記検測値と前記設定値との比を計算して比較値を出力し、
前記少なくとも2つの警告表示レベルは、少なくとも2つの数値範囲の比較値で形成され、
前記警告表示構造は、主警告表示ユニットおよび少なくとも1つの副警告表示ユニットを備え、前記主警告表示ユニットは、少なくとも2種類の色光を発光し、前記副警告表示ユニットには、少なくとも2つの発光体を有し、
前記警告表示構造は、前記主警告表示ユニットおよび前記副警告表示ユニットを組合せて警告表示を形成し、前記比較値が一つの警告表示レベル範囲内である場合、前記主警告表示ユニットが1種類の色光を発光し、前記副警告表示ユニットは、前記警告表示レベルにおける比較値に応じて前記少なくとも2つの段階的な副警告表示を形成し、
前記比較値が異なる警告表示レベル範囲内にある場合、前記主警告表示ユニットは、前記色光と異なる色光を発光する、ことを特徴とする段階的警告表示機能付きトルクレンチ。
【請求項2】
前記主警告表示ユニットは、低警告表示レベル、中警告表示レベル、および高警告表示レベルを有し、かつ、それぞれ、第1色光、第2色光、および第3色光で発光し、前記副警告表示ユニットは、第1段階副警告表示、第2段階副警告表示、および第3段階副警告表示を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のトルクレンチ。
【請求項3】
前記主警告表示ユニットのうちの何れ一つの警告表示レベルが発光して警告表示を示す時、前記副警告表示ユニットの発光体の発光の色は、前記主警告表示ユニットの発光の色と同じまたは異なる、ことを特徴とする請求項1または
請求項2に記載のトルクレンチ。
【請求項4】
前記主警告表示ユニットの警告表示は、前記比較値の比率を示す3つの警告表示レベルを有し、前記比率の範囲が40%~79.9%である場合、低警告表示レベルを示し、80%~95.9%である場合、中警告表示レベルを示し、96%以上である場合、高警告表示レベルを示す、ことを特徴とする
請求項1に記載のトルクレンチ。
【請求項5】
前記レンチ本体先端には、レンチヘッドが設けられ、前記副警告表示ユニットの発光体は、前記レンチヘッドからレンチ本体の後端部に向かって発光する、ことを特徴とする請求項1に記載のトルクレンチ。
【請求項6】
前記警告表示構造は、過負荷コマンドおよび過負荷率値を有し、前記過負荷率値は、前記検知ユニットの検測値と前記処理ユニットの設定値との過負荷比率であり、前記検測値と前記設定値との比率が前記過負荷比率に達すると、前記処理ユニットは、前記主警告表示ユニットまたは副警告表示ユニットを駆動して過負荷コマンドを形成する、ことを特徴とする
請求項1に記載のトルクレンチ。
【請求項7】
前記副警告表示ユニットの発光体が発光する個数は、比較値の増加につれて増加する、ことを特徴とする請求項1に記載のトルクレンチ。
【請求項8】
前記レンチ本体は、正面と2つの側面を有し、前記主警告表示ユニットは、前記レンチ本体の正面に設けられ、前記少なくとも1つの副警告表示ユニットは、前記レンチ本体の少なくとも1つの側面に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のトルクレンチ。
【請求項9】
前記副警告表示ユニットの異なる段階的な副警告表示に対応する発光体の色が異なるまたは同じである、ことを特徴とする請求項1に記載のトルクレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクレンチの警告表示装置に関し、特に、各警告表示レベルにおいて主警告表示および副警告表示を組合せて、表示効果を読みやすくかつ正確にしたトルクレンチに関する。
【先行技術】
【0002】
トルク値表示を発生させ、使用者に印加されたトルクを把握するために、一般的な電子式トルクレンチでは、数値表示機能のある表示画面を設けている。しかしながら、数値表示式では、使用者が操作する時、表示画面の視認をそらす必要があるため、実際の使用に不便を与える。従来の電子式トルクレンチは、補助的な表示を得るために、トルク警告表示を提供する発光体が設けられ、この発光体の変化により、動作中のトルク値および設定されたトルク値の比率をおおまかに知ることができる。
【0003】
一般的に使用されている発光体の警告表示は、以下の2つのモードを有する。その一つは、レベル表示であり、異なる比率範囲において異なる色表示を形成し、例えば、比率が0~40%の範囲内である場合、緑色光を示し、41%~70%の範囲内である場合、黄色光を示し、比率が71%以上である場合、赤色光を示す。異なる色光により、トルク値が達する比率範囲はいくつかを知ることができる。もう一つの方式は、複数の発光体を使用しており、例えば、10個の発光体を有し、トルクレンチに印加されたトルクが、10%のトルクごと増えると、一つの発光体が発光して警告表示を形成し、発光体が発光した個数の変化によって、作動中のトルク値が達する比率がいくつかを知ることができる。
【0004】
上述の発光体による警告表示では、色の変化のみがレベル値を表するように設定しており、そのレベルに割り当てられた比率の範囲は比較的に大きく、例えば、71%~100%以上であるという表示に赤色を示しており、トルク制御が目的値に到達したかどうかについて、正確に把握できず、精度も優れないという欠点がある。そのため、トルクレンチにさらなる応力をかけ続けるか止めるかを判断することは不可能であり、過度な応用によって機械や道具に損傷を与えやすく、ワークを固定するのに不十分などの問題を生じる。一方、発光体の個数による方式では、一つの発光体が一つの小さい範囲の比率を表しており、トルク値の表示はより正確であるが、表示用の発光体の個数が多いため、加えられた力の値の比率を確認する時、発光体の個数を確認しなければならない。しかし、発光体の個数の確認は、特に発光体が小さい場合、視認されにくい問題がある。したがって、発光体の個数は、トルク警告表示の視認に利便性が比較的に低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、トルク値を段階的に警告表示する機能を有し、読み取りやすく、警告表示レベル細分化され、操作値を迅速かつ正確に把握できるトルクレンチを提供することである。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、主警告表示および副警告表示を組合せて表示し、操作値を迅速かつ正確に把握でき、トルク値を段階的に警告表示するトルクレンチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、段階的警告表示機能付きトルクレンチを提供し、前記段階的警告表示機能付きトルクレンチは、レンチ本体と処理ユニットと少なくとも2つの警告表示レベルと警告表示構造とを備え、
前記レンチ本体には、検知ユニットが設けられ、前記検知ユニットが前記トルクレンチの操作値を検出して検測値を形成し、
前記処理ユニットは、前記検知ユニットの検測値と設定値とを比較し、かつ前記検測値と前記設定値との比を計算して比較値を出力し、
前記少なくとも2つの警告表示レベルは、少なくとも2つの数値範囲の比較値で形成され、
前記警告表示構造、主警告表示ユニットおよび少なくとも1つの副警告表示ユニットを備え、前記主警告表示ユニットは、少なくとも2種類の色光を発光し、前記副警告表示ユニットには、少なくとも2つの発光体を有し、
前記警告表示構造は、前記主警告表示ユニットおよび前記副警告表示ユニットを組合せて各警告表示レベルを表示し、前記比較値が一つの警告表示レベル範囲内である場合、前記主警告表示ユニットが1種類の色光を発光し、前記副警告表示ユニットは、前記警告表示レベルにおける比較値に応じて前記少なくとも2つの段階的な副警告表示を形成し、
前記比較値が異なる警告表示レベル範囲内にある場合、前記主警告表示ユニットは、前記色光と異なる色光を発光する。
【0008】
好ましくは、前記検知ユニットは、前記トルクレンチの操作中のトルク値または角度値のうち少なくとも1種の操作値を検出することができる。
【0009】
好ましくは、前記副警告表示ユニットの発光体が発光する個数は、操作値の増加につれて増加する。
【0010】
本発明の段階的警告表示機能付きトルクレンチは、主警告表示ユニットおよび副警告表示ユニットを組合せて警告表示レベルの表示を形成し、かつ前記副警告表示ユニットは、警告表示レベルにおいて段階的な副警告表示を形成することがでる。これによって使用者が操作中の操作値と設定値との比率を迅速かつ正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願発明の目的、技術的な特徴、および有利な効果をより理解しやすくするために、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【
図1】本発明の好ましい実施形態におけるトルクレンチの斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態におけるトルクレンチの分解図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態における段階的警告表示の構成概念図である。
【
図4A-4C】本発明の好ましい実施形態の主警告表示ユニットは緑ランプが点く際、副警告表示ユニットの動作を示す概念図である。
【
図5A-5C】本発明の好ましい実施形態における主警告表示ユニットは黄色ランプが点く際、副警告表示ユニットの動作を示す概念図である。
【
図6A-6C】本発明の好ましい実施形態における主警告表示ユニットは赤ランプが点く際、副警告表示ユニットの動作を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および
図2に示すように、本発明の好ましい実施形態が提供するトルクレンチ10は、電子式トルクレンチであって、レンチ本体20を備え、前記レンチ本体20の先端部がレンチヘッド21であり、後端部が把持に用いられるグリップである。前記レンチ本体20は、応力を前記レンチヘッド21に加わることで、ワークピースを緩めたり締めたりすることができる。前記レンチ本体20には、検知ユニット22が設けられ、前記検知ユニット22は、前記レンチ本体20の作動トルクを検出した検測値を提供することができる。前記レンチ本体20には、前記検知ユニット22が検出した検測値を受信できる処理ユニット23が設けられ、前記処理ユニット23には、調整可能な設定値が設定しており、前記設定値が、トルク値、角度値(トルクレンチの回転角度)、または応力量が設定されたトルク値に達する当該トルクレンチの回転角度の角度値(以下、トルク値到達後角度値という)である。
【0013】
前記レンチ本体20には、パネル部24が設けられている。前記パネル部24は、表示画面241およびボタンモジュール242を有し、前記表示画面241は、検知ユニット22が検出した検測値または前記トルクレンチが測定を行うときの日付、時間、残電量、トルク値単位などの各種の情報を表示することができる。前記ボタンモジュール242は、関連動作の選択または制御をすることができる。動作中、検知ユニット22によって測出された検測値(トルク値、角度値)と前記処理ユニット23の設定値とを比較したあと、前記処理ユニット23は、比較結果を百分率の比率(検測値/予め設定値x%)に計算して出力される。本好ましい実施形態では、比率の範囲が3つの警告表示レベルに分割され、各警告表示レベルは3つの段階の副警告表示レベルに細分される。
【0014】
警告表示構造30は、主警告表示ユニット31と、2つの副警告表示ユニット32とを備え、前記主警告表示ユニット31は、前記パネル部24の中央部に設けられ、すなわち、レンチ本体20の正面、かつ前記表示画面241とボタンモジュール242との間に設けられている。前記副警告表示ユニット32は、前記レンチ本体20における前記パネル部24に隣接する側面に設けられている。前記主警告表示ユニット31は、3つの異なる警告表示レベル(例えば、低、中、高)に従って3つの異なる色の警告表示を形成して発光することができる。また、副警告表示ユニット32は、前記各警告表示レベルにおいて、3つの段階の副警告表示レベルを段階的に表示することができる。
【0015】
本発明の各警告表示レベルは、前記主警告表示ユニット31および副警告表示ユニット32を協働して表示しており、主警告表示ユニット31は、粗略の警告表示レベルに区分され、副警告表示ユニット32は、各警告表示レベルをさらに細分して段階的警告を形成する。これによって、主警告表示ユニット31の警告表示レベルは、副警告表示ユニット32によって、3つの段階の副警告表示レベルに3細分することができる。使用者は、各警告表示レベルにおける副警告表示レベルの逓増により、警告表示を正確に把握することができる。ここで、前記副警告表示ユニット32の個数が3つしかないため、警告レベルを迅速に読み取ることができる。
【0016】
図3に示すように、本好ましい実施形態の3つの異なる警告表示レベルは、低警告表示レベル、中警告表示レベルおよび高警告表示レベルであり、かつ、それぞれ3つの異なる数値範囲の比率に対応しており、具体的には、低警告表示レベルは、比率が設定値の40%~79.9%であり、中警告表示レベルは、設定値の80%~95.9%であり、高警告表示レベルは、設定値の96%以上である場合に対応する。
【0017】
本実施形態の各警告表示レベルは、3つの段階的な副警告表示にさらに細分化され、具体的には、低警告表示レベル40%~79.9%の範囲内では、3つの段階的な副警告表示を含み、40%~52.9%の範囲間にある場合、第1段階の副警告表示を示し、53%~65.9%の範囲間にある場合、第2段階の副警告表示を示し、66%~79.9%の範囲間にある場合、第3段階の副警告表示を示す。
【0018】
同様に、中警告表示レベル80%~95.9%のトルク値の範囲内では、3つの段階的な副警告表示が割り当てられ、80%~84.9%の範囲間にある場合、第1段階副警告表示を示し、85%~89.9%の範囲間にある場合、第2段階副警告表示を示し、90%~95.9%の範囲間にある場合、第3段階副警告表示を示す。
【0019】
高警告表示レベル96%以上の範囲内では、3つの段階的な副警告表示、すなわち、96%~99.9%の範囲内の第1段階副警告表示、100%~103.9%の範囲内の第2段階副警告表示、および104%以上の第3段階副警告表示に割り当てられる。
【0020】
前記主警告表示ユニット31は、発光体311であり、前記発光体311は、3つの異なる警告表示レベルに応じて異なる色変換ができる。
図4~
図6に示すように、本実施形態においては、前記発光体311が低警告表示レベルの場合に緑色311Gを示し、中警告表示レベルでは、黄色311Yを示し、高警告表示レベルでは赤色311Rを示す。このような3つの異なる色表示によって、使用者が、トルク値がどの警告表示レベルにあるかを正確に把握することができる。本実施形態では、各警告表示レベルにおける比率の範囲が固定比率であるが、所要に応じて調整可能な比率であっても良い。
【0021】
図3~
図6に示すように、各前記副警告表示ユニット32は、本実施形態において、3つの発光体321、322および323であり,前記副警告表示ユニット32の3つの発光体321、322および323が、レンチヘッド21からレンチ本体の後端部に向かって順次配置されている。
【0022】
図3~
図6に示すように、前記主警告表示ユニット31の発光体311が緑色311Gを示す場合、前記副警告表示ユニット32は、3つの緑色の発光体321G、322Gおよび323Gを協働して表示され、主警告表示ユニット31の発光体311が黄色311Yを示す場合、副警告表示ユニット32は、3つの黄色発光体321Y、322Yおよび323Yを協働して表示され、前記主警告表示ユニット31の発光体311が赤色311Rを示す場合、副警告表示ユニット32は、3つの赤色の発光体321R、322R、323Rを協働して表示される。
【0023】
図3、
図4A~
図4Cに示すように、前記トルクレンチ10の操作値(トルク値、回転角度、またはトルク値到達後角度値)が設定値の低警告表示レベル(40%~79.9%)の範囲内にあると、前記主警告表示ユニット31の発光体311の表示は、緑色311Gであり、副警告表示ユニット32の発光個数は、実際の比例の増加につれて増加する。前記トルクレンチ10の比較値が40%~52.9%の範囲内にある場合、前記副警告表示ユニット32の第1緑色発光体321Gが発光し、第1段階の副警告表示を示す。前記トルクレンチ10の比較値が53%~65.9%の範囲内にある場合、前記副警告表示ユニット32の第1緑色発光体321Gが発光するとともに、第2緑色発光体322Gが店頭し始める。前記2つの緑色発光体321G、322Gの発光によって、第2段階の副警告表示を示す。前記トルクレンチに比較値が66%~79.9%の範囲内にある場合、前記副警告表示ユニット32の前記2つの発光体321G、322Gが発光するほか、第3緑色発光体323Gが発光する。このように3つの発光体321G、322Gおよび323Gのいずれも発光することによって、第3段階の副警告表示を示す。
【0024】
図5A~
図5Cに示すように、前記トルクレンチ10の操作値(トルクまたは角度)が設定値の中警告表示レベル(80%~95.9%)の範囲内にある場合、前記主警告表示ユニット31の発光体311は黄色311Yを示す。前記副警告表示ユニット32の発光個数は、実際の操作値の増加に従って増加する。前記トルクレンチ10の比較値が80%~84.9%の範囲内にある場合、前記副警告表示ユニット32は、第1黄色発光体321Yが発光し、第1段階の副警告表示を形成する。前記トルクレンチ10の比較値が85%~89.9%の範囲内にある場合、前記副警告表示ユニット32の第1黄色発光体321Yが発光し続け、第2黄色発光体322Yも発光する。このような2つの黄色発光体321Y、322Yが発光することによって、第2段階の副警告表示を形成する。前記トルクレンチ10の比較値が90%~95.9%の範囲内にある場合、前記副警告表示ユニット32の第1黄色発光体321Yおよび第2黄色発光体322Yが発光するほか、第3黄色発光体323Yも発光する。このような3つの黄色発光体321Y、322Yおよび323Yが発光することによって、第3段階副警告表示を形成する。
【0025】
図6A~
図6Cに示すように、前記トルクレンチ10の操作値(トルクまたは角度)が設定値の高警告表示レベル(96%~)の範囲内である場合、前記主警告表示ユニット31の発光体311は赤色311Rを示し、前記副警告表示ユニット32の発光個数は、実際の比較値の増加に従って増加する。前記トルクレンチ10の比較値が96%~99.9%の範囲内である場合、前記副警告表示ユニット32の第1赤色発光体321Rが発光し、第1段階の副警告表示を形成する。前記トルクレンチ10の比較値が100%~103.9%の範囲内である場合、前記副警告表示ユニット32は、第1赤色発光体321Rが発光し続け、第2赤色発光体322Rも発光する。このような2つの赤色発光体321R、322Rが発光することによって、第2段階の副警告表示を形成する。前記トルクレンチの比較値が104%を超えると、前記副警告表示ユニット32の第1赤色発光体321Rおよび第2赤色発光体322Rが発光し続け、第3赤色発光体323Rも発光する。このような3つの赤色発光体321R、322Rおよび323Rが発光することによって、第3段階副警告表示を形成する。
【0026】
副警告表示ユニットは、第1段階~第3段階警告表示において、3つの発光体321、322、323が、レンチヘッド21からレンチ本体の後端部に向かって順次発光する。なお、前記副警告表示の格段階は、均一に割り当てられた警告表示レベルの数値範囲であり、例えば、本好ましい実施形態の低警告表示レベルおよび中警告表示レベルでは、各副警告表示の範囲が警告表示レベル範囲の三分の一であり、または警告表示レベルを副警告表示としての予め設定された範囲に設定することができる(例えば、本実施形態の高警告表示レベルでは、各副警告表示の範囲が設定比率である)。
【0027】
主警告表示ユニット31は、異なる色の発光体311による異なる警告表示レベルを形成し、かつ前記副警告表示ユニット32は、異なる個数の発光体321、322、323が発光することによって、異なる段階的な副警告表示を形成することができる。これによって、トルク値または回転角度値が警告表示レベルの副警告表示のいずれかの段階範囲にあるかは識別されることができる。使用者が操作中のトルクまたは角度値と、設定値との比較値がいくつなのかを迅速かつ正確に把握できるため、副警告表示は、警告表示レベルをさらに小さい範囲に細分しており、表示された数値はより細かく、かつ副警告表示ユニット32の発光体321、322、323の個数が3つだけであるので、素早く読み取ることができる。
【0028】
なお、前記副警告表示ユニット32は、一つだけ設けられている。3つの異なる主警告表示ユニット31は、同一副警告表示ユニット32の発光体321、322および323を共用して三段階の副警告表示を表示することができる。副警告表示ユニット32が三段階で主警告表示ユニット31の警告表示レベルを3つの異なる段階的な副警告表示を表示すれば、本発明の効果が得られる。前記副警告表示ユニット32の発光体321は、同一警告表示レベルに対して異なる色変化による三段階の副警告表示を形成すること、または、異なる副警告表示に対して異なる色変化、異なる点灯頻度による警告表示を形成することができる。
【0029】
また、使用者に他の警告機能を持たせるために、前記レンチ本体20には、さらに、補助警告表示装置(図示せず)が設けられ、前記補助警告表示装置は、前記処理ユニット23の信号を受信する。前記検知ユニット22が観測した比較値が設定値、すなわち、比率が100%の状態になると、前記補助警告表示装置を駆動してほかの警告表示動作を発生させる。例としては、前記補助警告表示装置がバイブレータであり、前記検知ユニット22により検知されたトルク値または角度値の検測値が設定値と同じである場合、前記補助警告表示装置がバイブレータを駆動して振動動作を行わせるので、前記トルクレンチ10は、前記警告表示構造30により提供されたランプ型警告表示に加えて、ほかの警告表示を使用者に与えることができる。
【0030】
また、前記トルクレンチの処理ユニットには、過負荷率値を設定しても良い。前記警告表示構造30は過負荷コマンドを形成することができる。前記過負荷率値は、検知ユニット22の検測値と前記処理ユニット23の設定値との特定の過負荷比率であり、前記検測値と前記設定値との比率が過負荷率値を超えると、前記処理ユニット23は、前記警告表示構造30を駆動して過負荷コマンドを形成して使用者に警告表示を与える。本実施形態では、前記過負荷率値が104%であり、前記トルクレンチの検測値と前記設定値との比率が前記過負荷率値を超えると、前記処理ユニット23は、前記警告表示構造30を駆動して過負荷コマンドを形成し、前記過負荷コマンドにより、主警告表示ユニット31および副警告表示ユニット32の発光体311、321、322、323が明滅状態になり、使用者に、予め設定値を超えたことを知ることができるので、前記トルクレンチ10への過剰な応力を印加しないように調整することができる。
【0031】
本発明のトルクレンチ10は、操作値が警告表示構造30の主警告表示および副警告表示を協働して表示されることができる。主警告表示ユニット31は、警告表示レベルの主警告として機能され、警告表示レベルは副警告表示ユニット32の細分化された警告で表示されるので、使用者が応力と設定値との関係を迅速かつ正確に把握することができ、また、副警告表示ユニット32が形成した副警告表示の警告段階が少ないので、正確な比率を読み取る時間がかからず、使用者が動作状態を素早いかつ正確に把握することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 トルクレンチ
20 レンチ本体
21 レンチヘッド
22 検知ユニット
23 処理ユニット
24 パネル部
241 表示画面
242 ボタンモジュール
30 警告表示構造
31 主警告表示ユニット
311 発光体
311G 緑色
311Y 黄色
311R 赤色
32 副警告表示ユニット
321 発光体
321G 緑色発光体
321Y 黄色発光体
321R 赤色発光体
322 発光体
322G 緑色発光体
322Y 黄色発光体
322R 赤色発光体
323 発光体
323G 緑色発光体
323Y 黄色発光体
323R 赤色発光体